まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら
こんにちわ。  
  ・・・・・今回、一回目のガウリイ・・・・死亡(汗)
  これから、物語は、過酷になっていきます・・・あうあうあう・・・・・。
・・・・唯一、ほのぼのしているのが、二回目の転生話・・かなぁ・・(汗)
  では・・・・・・・。



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エデンの園  ~第20話~

「・・・・で?」
   半分あきれるルナ。
   「こうなったら、根性勝負です!!」
   アメリアが、パレスの謁見室で、結界に向かって叫んでいる。
   未だに、リナの気配は、眠ったままであるからして。
   「いや、すまんな、ルナさん、アメリアのやつ、言い出したら、聞かないから・・。」
   「まあ、いいですけど・・・・・。
     でも、リナ様も、鈍いですから、ガウリイに対しての感情・・・気づいてませんから、
      ・・・無駄かと・・・・。」
   「あそこまで、あからさまに、ガウリイ様を意識しているのにですか?」
   ずずっ。
   紅茶タイムに突入し。
   アメリアは、リナを何とか目覚めさせようと躍起になっていたりする。
   すでに、アメリア、ゼルガディス、シルフィールは、肉体を持っていない。
   いわゆる、精神だけ、魂だけの存在となっているのであるからして。
   それでも、ここに、普通の人間である彼らが、無事にいられるというのは。
   リナの無意識のうちの結界が、彼らを保護しているからに他ならない。
   ここは、それほど、普通の存在などが入り込めるところではないのである。
   「・・・・リナ様は、おそらく、恋愛感情。
     といったものを理解されてないと思います。
      ・・・だからでしょうね。」
   自分の中にある感情を理解できずに。
   苦しむばかりのリナ。
   自分の存在理由と、その役目。
   心の苦しさ。
   その全てにおいて、縛り付けられて、目覚めるのをかたくなに拒んでいる節がある。
   「リナさん、本当にかわいらしいですわvv」
   にっこり。
   シルフィールがくすくすと笑う。
   「ある意味、すごいな。そこまで、疎いというのも。」
   ゼルガディスが、ため息をつくが。
   「まあ、リナ様ですから・・・・。」
   『確かに。』
   そのルナの言葉に、全員が納得してしまう。
 

 

 

 

   一見したところ、何もないような空間である。
   ―が。
   「ここか!!」
   パッキィィィィィン!
   ガウリイの剣技の余波で、隠されていた結界が壊れさる。
   『―みつけた。みつけた・・・・。』
   わらわらわらわら・・・・・・・・。
   「・・・・・貴様ら・・・・・。」
   すぅ。
   ガウリイの目が、冷たく光る。
   リナの前では、決してみせたことのない表情。
   冷たいまでのその眼差し。
   ガウリイが、最強と呼ばれているその人格の一つ。
   つまりは、本気の表情のガウリイ。
   「貴様が、ガウリイ=ガブリエルか。
     貴様を殺す!!!!」
   数百名が、一斉にガウリイに襲い掛かってくる。
   「させるか!!!!!」
 
   キィィィィィィィィィィィンンンン!!!!!!!!!
 

 

   鋭い閃光が、辺りを一瞬、埋め尽くす。
   何が、起こったのか。
   理解できている存在は、殆どいない。  

   ブン。

   何かを振り切る音がする。  
   くるり。
   振り返ると、そこには、すでに、動かなくなり、
   それでいて消滅しかけている戦いを挑んできた存在達の山々。
   一瞬、ガウリイが剣を構え。
   彼らの陣に入った直後。
   ガウリイは、光よりもすばやい動きで。
   全てを斬り倒したのである。
   「ふん。やっぱりな。」
   リナに背いた輩が。
   ことごとく、姿をどこかに身を潜めている。
   というのは、わかっていた。
   だが、それは、ルナですら、何処にいるかが、つかめない場所。
   ガウリイは、少しでも、リナの役にたちたい思いから。
   この、アジトを捜していたのであるからして。
   少しでも、リナが目覚めたとき。
   心安らかでいられるように・・と。
   自分が危険な目にあうことで、リナが苦しむ。
   とは夢にも思わずに。
   ただ、ただ、リナの役にたちたいがために・・・・・。

   

 

   「雑魚ばっかりだな・・・・。」
   ガウリイにとってはそうかもしれないが。
   ガウリイに向かってきているのは、かつての、神や魔王。
   それに、結構上層部の、存在達。
   それでも、ガウリイにはかなわない。
   苦もなく、ガウリイは、どんどんと奥に、奥にと進んでゆく。
   やがて。
   空間が、突如として開ける。
   するどい圧迫感。
   「・・・・何?!」
   間違えようのない気配。
   「・・・・・な・・・・ぜ!?」  
   奥から感じる、闇の気配。
   その気配から。
   ・・・・・・・・・・・・・リナの気配と、自分の気配が同時に感じる。
   というのは、どういうわけか。
   ガウリイが、その部屋に入ると同時に。  
   広いその部屋に明りが灯る。
   石造りのその部屋。
   殺風景のようで、四方に、石像が造られている。
   『ほぅ・・・ここまで来たか・・・・。
     ガウリイ=ガブリエルよ・・・。』
   暗闇より声が響く。
   「誰だ!?」
   ガウリイが、剣を構える。
   ゆらり。
   闇が、実体化する。
   朱金色の髪を伸ばして。
   それでいて、漆黒の瞳。
   見た目は、少し細めの男性とも女性ともいえないその存在。
   見方によっては、男性にもみえるし。
   逆に、女性にもみえる。
   つまりは、気配からして、性別を持っていない。
   いわゆる、精神だけの存在・・・。
   ぐらり。
   ドドトオオオオン・・・。

   実体化するとともに。
   空間そのものが揺れている。
   「・・・・貴様・・・・は?」
   今までよりも、強力なまでの、自分に対しての殺気。
   いや、殺気というよりは、むしろ・・これは・・・。
   『我の存在理由・・・貴様と、リロードを滅ぼすこと・・・・・』
   ごとからともなく響く声。
   「!!!!!!!!!!!」
 

 

 

   「リナの本名?」
   「ガウリイ、彼方には、知っていて欲しいのです。
     リナ様の本名を・・。」
   

 

   唐突に、リナの目覚めをまっている間に、ルナから聞いた、
   リナの真実の名前が頭に浮かぶ。
   きん。
   ガウリイの目が、雰囲気が、一辺する。
   これは、本気をださないと、勝てない。
   「リナにあだをなす気か!!!!?」
   そんなことは、させない!
   ガウリイの、気が、全て剣に集中してゆく。
   キィィィィィィィィィィィィィィィンンンンン・・・・・・。
   音にならない、音が響き渡る。
   攻撃波の並。
   見えない、攻撃。
   『無駄だ。貴様の攻撃は・・・我には全て、分かっている・・・・。』
   まるで、機械のように、目の前の人間の手が動く。
   ・・・・どしゅっ。
   「ぐわっ!!!!!!!?」
   まさか、攻撃をかわされたどころか・・・かえされた!?
   あわててよけるが、かすかに頬を掠める攻撃波。
   つぅ・・・。
   頬から血が流れ出る。
   「くそ?」
   こいつ・・強い!?
   ふと。
   凝視して、よく目の前の人間の格好をしている存在を見るガウリイ。
   「・・・・・!!!!?なぜ・・・なぜ、貴様・・!?」
   なぜ、俺の・・俺の気を・・もっている!?
   目の前の人物は、自分の力と同じものをもっている。
   そして・・・・・・・。
   リナの気配すら・・・・。
   『我は、汝たちの思いから、生まれでし存在・・・。
     ゆえに、汝たちを滅ぼすのが、我の生きている存在する意味・・・。』
   闇の奥底から響く声。
   『ゆえに。貴様の攻撃などは、我の一部でもある。
      ・・・・我を攻撃すること。すななわち・・・・。
       貴様自身を攻撃するのに他ならない。そして・・・リロードすらも。』
   たんたんと語る声。
   音もなく、ガウリイの方に近づいてくる。
   「どういう・・ことだ!!!!?」
   『汝たちが願った・・・・・。』
  

   ―ガウリイとずっと一緒にいたい。
   ―リナとずっといたい。
   ―ガウリイの(リナの)笑顔を見たいから。幸せになってほしいから。
   ―だけど・・・あたしは・・・・この世界の深遠なる真の王だから・・。
   ―存在なんて関係ない。リナはリナだ。  
     リナの苦しみを・・・俺が半分肩代わりしたい・・・・。
   そのすれ違う心。
   リナも気づかない。
   その、強いまでの、純粋なる心と願い。  
   そして、その全てを抱擁しようとするガウリイと。
   存在から、それを望んではいけない。
   というリナの心の叫び。

   無意識下で。
   その大きくすれ違う心は、歪みとなり、
   そして・・・・・。

 

 

   『我は、汝と、リロード・・深遠なる真の王の感情より、誕生せしもの。
     ゆえに、我は・・・汝たちを滅ぼすのが使命・・・。』

 

   「!!!!!!!!!!!」

   その言葉で、ガウリイは理解した。
   確かに、自分は、リナを強く思っている。
   その自覚はある。
   だが・・・・リナも!?
   すこし、うれしいのと同時に。
   そしてまた。
   こういう存在が誕生してしまったという理由もまた。
   ガウリイには、理解できてしまった。
   つまり、リナは、自分の存在からして、自分の心をかたくなに、否定して、
   意識的に、無意識に、気づかないようにしている。
   ということに。
   

 

   「・・・・・リナ!!!」
   リナが自分を気にかけてくれている。
   それが、うれしく。そしてまた、
   自分のせいで、こんなに強く感情がリナは無意識にあふれ出てしまい。
   今、目の前にいる存在を創り出してしまった。
   というのは、想像に固くない。
   『今、リロードは眠っている最中・・・。
     まず、手始めに、貴様だ・・・・・・・・。』
   「させるか!!!!」
   『できるのか?我を傷つけると・・・・リロードの心まで傷つくことになるぞ?
    我は、まだ貴様たちと、つながりを持っている・・・・。』
   「!!!!!!!!!!!!!!!!!」
   『感じる・・感じるぞ・・その心が、我の力。我が力の源となるのだ・・・。
     我と同化して、我をさらなる完全体に・・・・・。』
   闇が伸びてくる。
   ガウリイは、手出しができない。
   つまりは、攻撃すると、自分の心にまだこれは、繋がっている。 
   そして・・・・リナにも。
   しかし。
   このままでは・・・・・・・。
 

   じりっ。
   間合いを詰めるガウリイ。
   ・・・・・やるしかない!!
   自分の全てを賭けてでも。
   これをリナから解放すためにも。
   自分の力だったら、おそらく。
   全身全霊を込めれば、出来る。
   漠然と、そう感じる。
   直感に頼るしかない!
   『我が力となれ・・・・。』
   闇が忍び寄る。
 

 

   「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

    ―――――カッ!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

   まばゆい光が。
   その場を多い尽くす。

 

 

   『ぐ・・ぐわぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』

   闇がのた打ち回る。
   ガウリイの影に闇の手がかかる。
   「くぅぅぅぅ!!!」
   視界がかすむ。
   汗なのか、紅いもので、前がみえなくなる。
   魂に入り込もうとする闇。
   「!!!!」
   力が、入らない。
   今の一撃に、全てを費やした。
   だが。
   今ので、つながりは断ち切ることができた。
   それは、目の前の苦悶する気配からも、見て取れる。
   全ての、自分がもてる、力の全てを媒介として。
   目の前の存在に叩き込んだのである。
   ガウリイは。
   リナと自分がそれに繋がっている場所を見つけ出し。  
   そこに、全てを叩き込んだのである。
   その結果。
   ガウリイは、視界がかすんでいるのは、仕方ない。
   すでに、体中、傷だらけとなり。
   リナにかかるであろう、負担も。
   自分に転化させたのである。
   今の攻撃における反射して戻ってくる傷を。
   ガウリイは。
   リナを守るために。
   それが出来るのは、さすがに、金色の王とルナの心より、
   誕生した力ある魂だからこそ。
   といえるのであるが。

   『お・・・・おのれぃぃぃぃぃ!!!』 
   「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
   残りの力を振り絞り。
   ガウリイは、精神力、全てを霞む視界の先に叩き込む。
   闇がガウリイを飲み込もうとする刹那。
 

 

 

   「い・・・・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

   ふっ。
   その場から、ガウリイの姿は、掻き消えていた。

   『・・・・ちっ。ギャラクシーオブナイトメアの仕業か・・・。
     まあいい・・・・。まだ、これから力はいくらでも・・・・。』
   口から伝う血をなめつつ。
   彼・・・アザチェスは、再び、闇の中へと解け消えてゆく・・・・・。
 

 

 

 

 

   ふっ。
   いきなり、目の前に、ガウリイの体が横たわる。
   「ガウリイさん!!!!?」
   「ガウリイ様!?」
   「ガウリイ!?」
   驚愕する、アメリア、シルフィール、ゼルガディス。
   「―ガウリイ!!!!!!」
   それに、すがるように、いきなり出現する、リナ。
   「ガウリイ・・ガウリイ・・いや・・いやぁぁぁぁ!!!!」
   かなり、混乱しているらしく。
   わめき散らしている。

   リナには感じられたのだ。
   ガウリイが傷つく様子が。
   そして・・・。

   闇に絡めとられそうになったその刹那。
   リナは、ガウリイを守るために、目覚めた。

   ―ガウリイを死なせたりは・・・・消滅させたり・・・しない!!!
   反射的な、無意識の行動。
   リナは、アザチェスと対峙していたガウリイを。
   自らのパレスに移動させたのである。

   「リナさま・・・リナ様!」
   「いやぁぁぁぁ!!!!!」
   頭を抱えて、絶叫しているリナ。  
   「リナ!!!!」
   パシィィィィィィン!!!
   「・・・・ルナぁぁぁ・・・・ガウリイがぁぁぁぁあ!!」
   ルナの平手打ちで、半分正気に戻り。
   そのまま、崩れるように泣き始める。
   「一体・・何が!!?」
   とまどうリナ以外。
   「・・・・・あたしの・・・・せい・・・・な・・・・の・・・・。」
   自分が、ガウリイを思ってしまったばっかりに。
   あんなのを創り出してしまっていたとは・・・・。
   ガウリイを助けるために、具間みたあの存在。
   間違いなく。
   ・・・・・リナ自身の感情から、そして、その大きさから、
   歪みとして誕生したのである。
   リナには分かった。
   それでも、まさか、ガウリイの思いまで、入っているとはリナは気づいてないのだが。
   「あたしが・・・あたしが・・・・ガウリイを・・・。」
   ・・??
   あたし・・・・ガウリイに対して・・・・・。
   特別な風に思ってる??
   そこで、ふと、自分が、ガウリイを特別に見ている。
   というのに気づいているリナ。
   しかし、それが、何という感情なのか、リナは理解できていない。
   

   ひくっ・・ひくっ・・・。
   泣きじゃくる様子は、まるで幼い子供のようで。
   力ない、女の子のようで。
   「・・・・うっ・・・・・。」
   全身、傷まみれで。
   それでいて、すでに、体から、半分以上の血が流れ出ている。
   いや、それくらいならば、何とかなる。
   だが・・・。
   ガウリイがうめく。
   霞む視界。
   目を開けると。
   泣きじゃくるリナの姿。
   「・・・・・・リナ・・・・。」
   そっと手を伸ばす。
   「・・・・ガウリイ・・ゴメン・・・・」
   それしかいえなくて。
   どうすれば、ガウリイが助かるのかが、混乱して、分からなくて。
   ただただ、泣くしか出来ないリナ。
   いつものリナであれば、簡単にできることですら。
   動揺して、何もできない。

   「・・・・リナ様・・・・ガウリイの精神は・・・・。」
   言われて、リナは気づく。
   このままでいれば・・・。
   そのまま、体力に比例して、精神までもが、消滅してゆく。
   そういう傷を受けている・・・。 
   自らの力を受けたのと同様であるからして。
   助けたい。
   助けたい。
   何をおいても・・・・ガウリイは。
   ・・・・・消滅なんて・・・・させたくなぃい!
   リナの心が悲鳴を上げる。
   すでに、肉体は、生命活動を停止している。
   今は、魂の活動で、保っているようなものである。
   その、精神たる魂も。
   過負荷がかかりすぎ。 
   ちょっとやそっとの養生では聞かない。
   逆に、いきなり、治してしまうと。
   精神に傷がつき、下手すると精神事態が崩壊してしまう。
   それほどまでに、深いダメージを追っているガウリイ。
   「ガウリイ・・何で・・・・無茶を・・・・。」
   ぽたり。
   リナの涙が、ガウリイの顔に当たる。
   「・・・・リナの役にたちたかったら・・。」
   かすれる声。
   すでに、精神のみの声すらも、かすれて途切れ途切れになりかける。
   「・・・・馬鹿!!!!!あんたが怪我したら・・・・あたし・・・あたし・・・!」
   ガウリイが怪我すると、自分が傷つくより・・・苦しいのは・・どうして??
   「・・泣くな。リナ・・・・。」
   「馬鹿!!話したら・・!」
   話すたびに、ガウリイの生命が弱くなってゆく。
   このままじゃ・・・・。
   ・・・・・・・ガウリイには・・・・養生が必要・・・・。
   ふっ。
   リナの脳裏に、その言葉が浮かぶ。
   このままでは・・・ガウリイの精神は・・崩壊してしまうから・・・。
   「・・・・ガウリイ・・・・休んで・・・。
     次は・・・今度こそ・・自分のために・・・・幸せに・・・・。」  
   涙で視界がかすれる。
   今度こそ。
   自分に関する記憶を全て消そう。
   そのほうが、ガウリイのため。
   自分のせいで、ガウリイが傷つくのは・・・耐えられないから。
   ガウリイには、ガウリイの幸せをつかんで欲しいから・・・・。
   「・・・・り・・・・ナ?」
   やっと・・・会えたのに。
   リナは、ずっと、自分をみつつ泣いている。
   泣くな俺は・・・・リナの笑顔を・・見たいんだ・・。
   声にしようにも、力がはいらない。
   ・・・くそ。
   あいつ・・・名前を・・・アザチェスといったか・・・。 
   あれは、まだ存在しているというのに!
   ガウリイは歯がゆく思う。
   力は互角。
   いや、今、歪みを吸収しているあれ・・精神と力の全てを叩き込んだときに。
   同調して、全てわかった。
   あれは・・力を付けている。
   まだまだこれから・・・力をつける。
   だから、あのまま、全てをかけてでも。
   消滅さそう。
   としたのだから。
   だが、そんなガウリイの想いとは裏腹に。
   「・・・・・ガウリイ・・・・眠って・・・・・。」 
   ・・・・り!!!
   ふいに。
   額に何かが触れた感じがした。
   とても、暖かく、切ない何かが。
   ガウリイには。
   そのまま、ガウリイの意識は。 
   闇に沈んでゆく・・・・・。
 

   「リナさん!!」
   「リナ様!!」
   アメリアとルナが抗議をする。
   ルナはリナが何をしようとしているのかを察して。
   アメリアは、リナがガウリイから記憶を消そうとしている。 
   というのを本能的に察知して。
   横たわっている、ガウリイの額に。
   軽く、リナは涙で濡れた顔を上げ。
   キスをする。
   無意識の行為。

   ぽう・・・・。

   ガウリイの体が、一瞬のうちに、掻き消えて。
   残るは、ガウリイの魂たる、珠(オーブ)のみ。
   「・・・・ルナ、ガウリイを・・・・輪廻の輪に・・お願い・・・・。
     ・・・・魂が休息できるように・・・・。」
   「・・・・リナ様・・・・。」
   「・・・・お願い!!いそいで!!でないと!!!!」
   でないと、ガウリイの魂は。
   消滅してしまう!!
   自分がやってもいいのだが。
   なぜか、出来ない。
   出来ない・・・・別れたくない・・・。
   その思いが強すぎて。
   「うっ・・・・・・・。」
   その場に崩れるリナ。  
   「リナ・・・さん?」
   そっと、肩に触れる暖かい手。
   見上げれば、心配そうなシルフィールの顔。
   「・・・シルフィ・・・何で・・あいつ・・・無茶を・・・・!」
   そのまま、胸にすがるように、泣き出すリナ。
   それは、まぎれもなく、恋する乙女の姿なのだが。
   愛するものを傷つけられて、傷を負っている姿。
   「何で・・・何であいつが怪我しないといけないのよ!!!!
     ・・・・苦しい・・・・・・」
   うっっうっ・・・・。
   そのまま、声にならない嗚咽が、謁見室に響き渡る。
   意見しようとしたアメリアですら。
   リナの苦しみがわかってしまい。
   そのまま、リナを抱きかかえるようになぐさめるしかない。
   「・・・リナ、ガウリイに何やったんだ?」
   ゼルガディスが、不安を感じ、問いかける。
   「・・・・ガウリイには・・ひっく・・。
     あのままだと・・・精神崩壊が起こって・・・・・消滅するから・・。
      ・・・・記憶を消して・・・魂の安息を・・・・・。」
   『リナ(さん)!!!!』
   とがめるような三人の叫び。
   「どうしろっていうのよ!!!あたしは・・・・あたしは・・・・。
      あいつに消滅なんてしてほしくない!!
        あたしのために、無茶なんてしてほしくもない!!!」  
   それが、どうしてなのか。
   わからないけど。
   「だから・・・・あたしのことさえ・・忘れれば・・・・。」
   ぷんぶん。
   それは、違います。
   アメリアとシルフィールが首を横に振るが、リナはそれにも気づいてない。
   

   シィィィィン・・・・・。

 

 

   静か過ぎる静寂の中に
   ただただ、リナが嗚咽を貰す声が響いてゆく・・。

   ・・・どうして、ガウリイのことを考えるだけで、こんなに苦しいの?
   ・・ねえ・・どうして??
   自分の心なのに・・・自分が・・・分からない・・・・。

 

   リナは、自分の心にとまどいつつ。
   やがて、涙を振り仰ぎ、シルフィールたちの方を向く。
   「・・・・わがまま・・・聞いてくれる?
     ・・・あたしは・・ガウリイの側にいられないから・・・・。
      ・・・・・元々、アメリア達が、ガウリイの親友だもんね。
       ・・・だから・・・だから・・転生しても・・側にいてあげて・・。」
   今度こそ、ガウリイが幸せになれるように。
   「それは、かまいませんが・・・リナさんも、いきません?
     ガウリイ様の側に・・ね?」
   シルフィールの問いかけに。
   ぴくり。
   「・・・・駄目!!あたしが側にいると・・・また!」
   ・・・・まだ、あいつは、消滅したわけではない。
   ・・・・自分のことは、自分でけりをつける・・・。
   「あたし・・・・あたしのせいで、ガウリイが傷つくの・・・・
     ・・・・何でか・・耐えられないから・・・」
   かすかに、涙を浮かべて苦笑するリナ。
   「・・くす。・・・変よね?この、あたしともあろうものが・・。
     あんな・・・一人の人間に・・ガウリイに・・・・。」
   どうして、こんなに苦しいの?
   部下達や、今まで世界を消滅させても、こんなに苦しいことは、なかったのに。
   リナは、いまだに、その感情が何か、気づいてない。  
   「しかし、それでは、ガウリイが・・。」
   ガウリイが、心の奥底から、しかも、魂として、
   生まれ出る前から、リナを意識している。
   というのは、昔から、ガウリイの話を聞いているゼルガディスたちは知っている。
   だから、リナがたとえ、記憶を消したとしても。
   ・・・・きっと、ガウリイは覚えている。
   それが確信できるから。
   「・・・・あたしが側にいたら・・・ガウリイを傷つける・・・。」
   それでなくても。
   一緒に、旅しているときもそうだった。
   いつも、大丈夫。
   だというのにガウリイは、いつも、自分を守るように、
   自分から、危険に入り込んでいたりした。
   ・・・・そんなのは、耐えられないから・・・。
   「あたしは・・・・あたしは、この世界の核なんだから。」
 

   その前に、一人の女性でしょ?
   シルフィール、アメリアが言いかけるが。
   あまりに、寂しいリナの瞳に。
   何もいえなくなってゆく。

   「・・・分かりましたわ。リナさんが、戻ってくるまで。
      私達、ガウリイ様と、まってますわ。いつまでも・・永遠に。」
   ねっ。
   シルフィールが言って。
   アメリア達を振り仰ぐ。
   「いつでも、戻ってきてくださいね?
     転生し、記憶はなくても、私達は、リナさんの友達ですから。
      それは、ずっと変わりません。友達だっていうのを忘れたりはしません!」
   リナの決意が分かるから。 
   傷ついているのが分かるから。
   今、何を言っても無駄だと、分かるから。
   だから・・・今は。
   今は、そっと・・・・。
   女性だからこそ、リナの気持ちが分かり、
   男性だからこそ、ガウリイの気持ちもいたいほどに分かる。
   「・・・・アリガト。・・・・ガウリイを・・・お願いね・・・・。」
   「ルナ。」
   「・・・・はい。」
   リナの言葉とともに。
   ガウリイを連れて行っていたルナがアメリア達の横に出現する。
   「・・・・さよなら・・・。」
   「さよならはいいません。またです!!リナさん!」
   「きっと、まってますからね!」
   「素直になれ、リナ。」
   「???」
   最後のゼルガディスの台詞の意味をリナはわからず。
   首をかしげる。
   「さ。では、案内いたしますわ。」
   シュン。
   ルナにつれられて。
   アメリア達は、輪廻転生部門を扱っている機関にと移動してゆく。
   一度、輪廻に入れば。
   今生のことは、覚えてないであろう。
   ・・それでいい。
   いいはず・・・・。
   「・・・・・う・・・・・ガウリイ!!!!」
   その場に泣き崩れるリナの姿。

   会わなければよかった。
   こんなに苦しいのであれば・・・・。
   降りなければよかった。
   でも・・・・降臨しなければ・・・会えなかった・・・。
   会いたくなかった、でも、あいたかった。
   どっちが本当の気持ちなの?
   どうして、こんなにたった一つの存在に、このあたしが、
   心を乱されるの??
   戸惑うのと同時に。
   ずっとガウリイの側にいたい。
   と想っている自分の心にいやおうなく気づいてしまう。
   ・・・・・どうして?

 

   やがて、ひとしきり、泣いた後。
   「さて・・・・じゃ、けじめをつけにいきますか。」
   その目は、すでに、深遠なる真の王の瞳とその姿。
   自分が無意識のうちに、創り出してしまったあの存在。
   あれは、放置しておくわけには・・・いかない。
   ふっ。
   リナの姿は。
   謁見室から、パレスから解け消えた。

 

 

                                 -続くー

##################################### 

    あとがき:
       薫:次回、リナVSアザチェス。第一戦。
      エル:・・・でも、元が、ガウリイとリナの感情から生まれているだけあって・・。
       姫:リナが消滅させた。と想っても、すぐに復活してるのよね・・・。
      エル:というか、リナが滅ぼすたびに。
         力を付けてるからね・・・・。
       姫:・・・・ま、リナとガウリイの絆。
         すでに、あの短期間で、かなり強くなってるからねぇ。
      エル:・・・でも、育て方・・間違ったかしら?
         ここまで疎いなんて・・・・・・・・。
       姫:うーん・・・。     
         私達、ちょっと、かわいがりすぎたのかも・・・。
       薫:でしょうね(断言!!!!)
      エル:だって、すっごくかわいかったしvv
       姫:リチェウスィと為を張れるのよvv
       薫:・・・・・も、いーです・・(涙)
         それでは、次回から、転生、第一回目&二回目に突入です。
         ちなみに、ちらりと。
         のこされた、エデン世界というかあの惑星の話をちらほらと・・。
    エル&姫&薫:それでは・・・・・。
 
      薫:・・・・・くらい・・・・くらすぎるぅ・・・・・(汗)
 
 


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