まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら
こんにちわ♪  
  ついに、出てきた、アザチェス!?(こいつ嫌い!!)
  ではでは・・・・これからだんだん暗ぁぁぁくなっていきます・・(汗)
  あぅあぅあぅ・・・・・・。



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エデンの園  ~第18話~

「え?何が?」
  確かに。
  以前チョクチョク来た時と、あきらかに雰囲気が違う。
  「・・・何か寂しい感じがします。」 
  シルフィールがふと漏らす。
  どこか、違う。
  この、ギャラクシーパレスの雰囲気が。
  働いている存在・・といったほうがいいのであろう。
  人でない形の存在も多々といるから。
  彼らは、せわしなく動いているものの。
  どこか、忙しさに追われているようにも見える。
  「とりあえず、謁見室にいこう。」
  ガウリイの台詞で、アメリア、シルフィール、ゼルガディス。
  そしてガウリイの四人は。
  パレスの中心にある謁見室に向かってゆく。
  なぜか、奥に奥にと入っていく間。
  寂しい感覚が、肌を通して雰囲気で伝わってくる。
  まるで、孤独、という名前の寂しい感覚が。
  ガウリイ達が謁見室の前に行くと。
  いつも出迎えてくれる女官が。
  どこか寂しそうに頭を下げる。
  ??
  
  ぎぃ・・・・・。
 
  ガウリイは何かいやな予感がした。
  いつも、ここに入るたびに、感じる、リナの気配が。
  いつもより、とても弱く感じているがために。
  広い、広い、部屋の中央に。
  ぽつん。
  と、一人の人影。
  大きな扉をくぐり、四人が部屋に入ると。
  閑散とした雰囲気が四人を包み込んでゆく。

  「・・・ルナさん?」
  ガウリイが口を開く。
  部屋にぽつん。
  と、佇んでいたのは、リナの側近であり補佐官でもある、
  深遠の補佐官(アビス・ラズ・ポート)
  呼び名、紫蒼の紅玉(パール・レッド、ラズリ)とも呼ばれる。
  リナの片腕。
  深遠なる真の王の側近。
  ルナティック=スィーフィード。
  紫がかった蒼い髪が、振り向きざまに、かすかになびく。

  ぺこり。

  ルナが四人に気づき、お辞儀をする。

  「ルナさん、リナさんは!?私達、どうして、リナさんが記憶を
   消そうとしたのか問いただしたいんです!」
  アメリアがづいっと前にでる。
  「そうですわ、どうして、わざわざ全ての人々から、
    リナさんに関する記憶、消されたのですか?」
  自分達も、一瞬忘れていた。
  シルフィールが問いかける。
  リナがやったのは、あきらかであるがゆえに。
  リナ以外、全ての記憶を消すなどと。
  出来るかもしれないが、そんなことをする理由も思い当たらないがために
  四人は、問いただしに、ここ、リナの住処であるパレスにやってきたのであるから。
  「・・・リナ様は、あなた方が、自分のせいで、
    これ以上、危険な目に合われるのがいやだったんです。」
  というか。
  ちらり。
  ・・・・ガウリイ、あんたを失うのが怖いのよ・・リナ様は・・。
  「それで?リナは?」
  ゼルガディスが先を促す。
  「あ、そうそう、皆さん、リナ様が記憶を消されたのにもかかわらず、
    皆さん、リナ様のことを思い出していただき、ありがとうございます。
     リナ様、苦しんで、皆様の記憶、消されたんですが・・。」
  ふと、微笑むルナに。
  「当然だろ?誰がリナのことを忘れるか、というか、忘れてたまるか!!
    ・・・・リナはどうしたんだ!!!!?」
  リナの気配が消え入りそうに薄い。
  気配を感じ取るガウリイもガウリイだが。
  「そうです!仲間のことを忘れるなんて、正義じゃないですから!」
  断言するアメリア。
  「リナさんの記憶も、私達にとっては、大切な思いでです。
    それを消されてしまうのは・・私達にとっても、悲しいですし。
     だから、リナさんに、
      二度と、こんなまねをしないように、進言しにきたんですが・・。」
  シルフィールの言葉に。
  ふっ。
  と、ルナが微笑む。
  「皆さん、ありがとうございます。そんなにリナ様を、
    一人の友人として、仲間として思っていただいて・・・。」
  リナには、友人、と呼べるべき存在は、今まで、皆無であった。
  あっても、それは、金色の王かもしくは、それと同等の存在。
  そういった、普通でない存在達ばかり。
  リナには、全てが初めてだったのだ。
  普通の一人の女の子として扱われたのも。
  友達ができたのも。
  全てが。
  「だから、リナはどうした!?」
  強いまでのガウリイの口調。
  弱く感じる、リナの気配。
  かすかに、空気から気配を感じるのみ。
  いつもの強い波動がない。
  眠っていたときですら、ここまで弱くはなかった。
  いつも、ここにくると、リナの気配を感じて。
  安心したのに。
  確かに、リナがいる・・と。
  それすらも、今はよわよわしく感じ取れる。
  「・・・・リナ様は・・・・。」
  そこまでいって。
  ルナは、静かに、四人を見据える。
  「リナ様は、全ての歪みをその身に吸収されて、お疲れです。
    ・・これ以上、皆さんに迷惑がかからないように。
     せめて、彼方たちが寿命をまっとうするまで、
       何にも煩わすことがないように、全てを無と化しました。
        その結果、リナ様は、完全に今、コンタクト、不能です。」
  今、リナにコンタクトとるのは、不可能。
  完全なまでに深い眠りに入っているから。

  「・・・どういう・・こと・・・だ?」
  「どういうことですか?」
  「・・・・まさか・・・・。」
  「・・・・リナのやつ・・・。」
  ガウリイの声がかすかに震える。
  それが何を意味するか。
  つまり、それは、ひょっとすると・・・。
  二度と会えなくなる。
  というのを示唆しているのではないか?
  不安がよぎる。
  アメリアもきょとんとした表情で、ルナを見つめる。
  言わずとしていることが分からずに。
  ただただ、ルナを見つめている。
  シルフィールは、リナの思いが分かるがゆえに。
  何となく想像がついてしまった。
  ゼルガディスもまた・・・。
  つまり、リナは、自分達を危険な目に合わせまいとする。
  というよりも、ガウリイを危険な目にあわせたくがないために。
  全ての歪みを無と化し。
  全てを虚無にもどしたのだと。
  だが、そんなことをすれば、リナの精神にも、何かしらの負担がかかるのではないか?
  一年の間で、実は、リナがとても優しい心の持ち主だというのは。
  全員がよくわかっていた。
  弱いものには、とことん甘く、それでいて、威厳のあるまでに、強い。
  あんがい、しっかりしているようで、
  実は、とことん寂しがりやだということも。
  いじっぱりで、テレやで、素直でないけども。
  確かに、リナは、優しいのである。
  困っている人をほっとけなく、見えない優しさに満ち溢れているリナ。
  そんなリナが、深遠なる真の王の本質だということは。
  いつも、その本質ゆえに、苦しんでいるのでは?
  というのは、シルフィールには、何となく想像がついていた。
  強すぎるがゆえに、誰にも普通に見てもらえないさみしさ。
  それは、シルフィールが昔味わっていたさみしさ。
  巫女たる能力が強すぎて、どうしても、
   一番に巫女の素質を問われていたシルフィール。
  彼女の心の支えになったのが、アメリアとガウリイ。
  そして、しばらくして知り合ったゼルガディス。
  ガウリイは、その一族のゆえんからして、それぞれの王家に出入りがあり。
  その親しみやすい性格からか、アメリアと仲良くなり、
  そして、シルフィールにも気軽に声をかけたのである。

  数ヶ月して、ゼルガディスが、ユグラシドル王家と縁談が持ち上がり。
  そして、三人が仲良くなって、すでに、十数年。
  アメリアと出会う前。
  確かに、シルフィールもまた、孤独であったその思い。
  それが、リナから何となく感じられていたから。
  でも。
  ガウリイといるときは、リナは普通でいられた。
  そして、ガウリイもまた。
  リナといるときは、心から幸せそうだった。
  そんな二人を見ているのがうれしかったのに・・・。

  「リナ様は、全身全霊を持って、全ての反逆者を無と化しました。
    リナ様の精神には、負担が大きすぎます。
     ・・それゆえに、リナ様は、しばし、行動不能になっています。
      ・・とうぜん、実体化など・・・できはしません。」
  たゆたっているわけでもなく。
  本当に、眠りについている状態。
  でも、それでも、完全に眠っているというか、封じられているわけではないので。
  世界は、通常通りに動いている。
  もし、リナが完全に意識を封じてしまうと・・。
  この世界は、完全に凍りつく。
  全て無に還すか、永遠の眠りにつく。
  リナが目覚めるまで・・・・。
  絶句するガウリイの前で。
  ルナが静かに、止めの一言。
  「・・・・リナ様、いつ、目覚められるか・・。
    ・・・・今度ばかりは・・・・。
     ・・・・あなた方がこのたびの命をまっとうしても・・。
      ・・まだ目覚めているかどうか・・・。」
  つまりは、そういうことなのだ。
  傷つくのを見たくないから。
  ガウリイ達を苦しませたくはないから。
  だから、無理をしてでも、全てを無と化した。
  ・・・ガウリイ達をこれ以上、怪我させないために。
  自分の精神では、全てを無に還すと、無理がある。
  というのは、先刻承知で。
  それでも、ガウリイを助けたくて。
  選択したリナ。
  自身では、気づいてないが。
  それほどまでに、リナのガウリイに対する思いは。
  強くなっていた。
  彼がいると、自分が自分でなくなるから。
  ・・だから、彼がいる間は、彼の幸せを願うから。
  ・・・・だから、自分はどうにでもなっても。
  ガウリイ達の幸せをとったリナ。
  そのために、自分が身動きできなくなっても・・・・。
 

  「・・・・・リナ!!!!!」
  ガウリイが思わず駆け出す。
  リナの寝室に。
  以前、散々ごねるガウリイに、ルナが案内していたのであるが。

  だが。

  「ここから先は・・もはや、誰にも入ることはできません。」
  「あ・・何か、壁がある・・。」
  ぺたぺたぺた・・・。
  何もないはずなのに、
  確かに、何かのかべらしきものがある。
  「ここから入れるのは、もはや、エル様くらいなものです・・。」
  エル様。
  たしか、それは、リナの姉の存在のことではなかったか?
  アメリア達がそれに気づくまもなく。
  「前回、リナ様が、これやったときには・・。
    ・・・・一億年、動けるようになるまでかかりました。
     ですから・・・・どうか、皆さん、リナ様に成り代わりまして。
      リナ様の友人になっていただけたことに、
       心から感謝したします、でも・・。」
   ルナが顔を伏せる。
   「・・一億年って・・・。」
   そこで今さらながらに、リナが人でない、
   という事実を突きつけられ、一瞬絶句するアメリア。
   「・・・・つまりは、・・・もう・・リナさんには・・会えない・・と・・。」
   シルフィールが言葉を詰まらせる。
   「嘘だ!!!!!嘘だ、嘘だ、リナぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
   「ガウリイ、落ち着け!!」
   取り乱すガウリイを支えるゼルガディス。
   せっかく、会えたのに。
   こんなことで、あえなくなるのは・・・・。
   嫌だ!
   ガウリイの心が悲鳴を上げる。
   ―どくん。
   ・・・お願い・・呼ばないで・・・。
   確かに。
   ガウリイの耳に、リナの声がしたような気がした。
   「・・・・リナ・・・どうして・・・・・。」
   「・・・リナ様は、彼方たちを危険に・・。
     幸せになってほしかったんですわ。
      それには、彼方たちは、すでに、反逆者の中で、有名すぎます。
       そのため、リナ様は、無にもどす。
        という方法で、彼方たちを守ることに決められたのです。」
    まさか、自分が、ガウリイ達を反逆者の駆除に当たってもらうのを。
    請願したのが、こういう結果になるとは・・・。
    ルナにしても口惜しい。
    リナ様にとって、よかれ、と思ってガウリイ達に頼んだことだったのに・・・。
    「・・・・リナ様は、彼方たちが傷つくの・・耐えられなかったんです・・。」
    というか、ガウリイ・・彼方をね・・・。
    そこまでいいかけて。
    やめておく。
    それは、自分がいうべきことではない。
    あくまで、リナとガウリイの問題なのだから。
    「そういうことですので。
      ここにこられても・・もう、リナ様にお会いできることは・・ないかと思われます。」
    ルナの言葉に。
    「何度でも来ます!一億年であろうが、数億年だろうが!
      何度、転生しても、私達はリナさんを忘れません!」
    くす。
    ルナがその台詞に微笑む。
    「本当に、ありがとうございます。リナ様をそこまで、
     大切な友人として思っていただけて・・。」
    「でも、あまりここに長いしては・・肉体にも負担がかかりすぎますわ・・・。
      ・・・皆さんありがとう・・・。」
    「まっ!!」
    ルナがふっ。
    と、手をかざす。
    その手には、小さな仗。
    
   言い返すよりも早く。
   ガウリイ達の体は。
   光に包まれ、その場から掻き消えていた。
 

 

 

    「・・・・リナ!!!!」
    ガウリイの悲鳴を響き渡らせながら・・・・。

 

 

 

    どくん。

   ―感じる、感じるぞ・・。

   「我らが、主よ?何か?」

   ―オリーブか。ふふ。我の力の源が、また膨れ上がる・・・。
    ・・・もうすぐだ。もうすぐ、我も実体化が簡単に出来るようになる・・。

   「この前の、歪みの吸収、全て、完了しております。」

   ―よい。
    それで・・・。
    深遠なる真の王は・・まだ我に気づいておらん・・・・。
    このまま、一気に、不意打ちをかけるのもまた一驚・・・。
    その前に・・・。

    「御衣。ガウリイ=ガブリエルですね。」

    ―そうだ。彼を我が吸収すると・・・。
     ふふ・・・。
     どう、あれは反応するかな?
     ・・あれは、我が獲物だ・・。

    「了解しました。・・・アザチェス様。」

    ―我はまだひと時・・・・。
     力を蓄える・・。
     この、すれ違いの歪みの大きく、なんと甘味なことか・・・。

    リナとガウリイの互いを思いあう。
    その、大きなまでの、すれ違いにともなう歪み。
    それは、確実に。
    二人の感情から誕生した、この歪みの生命に。
    確実に、力を蓄えさせていた。

 

 

    「どうやら、パレスへの出入りが、しばらく。
     表宮殿にのみになったらしい。」
    「リナ様が、眠りに入られたって?」
    「どうやら、そうらしい。
      何でも、一気に、反逆者を駆逐したとか。」
    「さすがに、やるときは、容赦がないな・・あの方は・・(汗)」  
    「そうそう、我らも気をつけねば・・・。
      いつ、いきなり消滅させられるとも、限らないからな(汗)」 
    「・・・・あんなに綺麗なのになぁ・・・。
      隙があったら・・・・。」 
    「よせ。まあ・・・我も同じだがな。」
    神々と、魔王達や、それに伴う、上層部の間で。
    深遠なる真の王(ギャラクシーオブナイトメア)が。
    反逆者を一瞬内に消滅させたことは、
    まことしやかに、噂にのぼり。
    リナがしばし眠りに入ったという情報は。
    あっという間に、世界中に広がっていった。
 

 

 

    「・・・・知ってるか?
      リナ様が、一人の存在をきにかけているらしい。」
    「・・何!?そんなの・・ゆるせるか!?
      どこかの馬の骨に彼女が渡るのなら・・いっそ・・・。
       ・・・・リナ様を我がものに・・。」 
    「確かに。・・・・だが、方法はあるのか?」
    ―我に組せずか?
    リナが特定の存在を気にかけている。
    という噂も。
    静かに、流れ始め、それを聞いた存在達は。
    こぞって。
    リナを自分の物にしたい。
    と、欲望する。
    そんな彼らの耳に。
    闇のそこから声が聞こえてくる。
    『・・・彼女が手に入るなら・・・・。』
    リナが眠りに入った最中。
    どんどん、アザチェスに組する存在が増えていっていた・・。

 

 

 

    「リナ・・・俺は、いつまでも待ってる・・・。」
    きっと・・・。
    きっと、リナは俺の側に戻ってきてくれる・・・。
    そうしたら・・どんなに嫌われても・・。
    嫌がられても・・・・側を離れないんだ。
    二度と、リナを泣かせないためにも・・・・。
    謁見室のある奥宮殿に入れなくなったものの。
    それでも、毎日のように、パレスを訪れつつ。
    リナの目覚めを待つガウリイ。

 

 

    ・・・やがて、そのまま、静かに時は・・過ぎてゆく・・・・。

 

 

 

                       ―続く―

 

 

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   あとがき:
      薫:・・・・次回、アメリア、死亡、(汗)
        まあ、寿命・・ですね(汗)
        そして・・ガウリイまで死亡・・(涙)
        これから、物語は、進んでいきます・・・・・。(涙)
        ああ・・・・くらくなってゆくぅぅぅぅ!!!!!!(涙)

 


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