まえがき:
こんにちわ♪
今度は、ガウリイ視点から♪
リナちゃんと別れて(違うっ!!)てから、行動してた、ガウリイ君の行動です♪
ふっ・・・・。
ほっといて、リナの側にいればよかったのにねぇ・・・・(涙)
何しろ、ガウリイ、制約期間・・・。あまり残ってない・・・。
人となるために、要した時間が、20年(いい器となりえる両親たる人がいなかった)
そして、今、24。(リナと出会ったときを22で設定してます・・笑)
つまりは・・・残り、56年しかない・・・・。
この期間が終了したら、問答無用で、リナの中からスティルバイトに関する記憶・・・。
抹消されます。
そして・・・スティルバイトも・・・・(汗)
え・・・エル様ぁぁぁ・・・・・(涙)
では・・・・・。
一番、心を痛めているのは・・・・ゼルだよな・・・・。
自分がリナに教えてしまったから・・・・・(汗)
####################################
無心にデザートを食べているリナをひとまず、確認し。
念のために、リナがここから離れたら分かるように、結界を張り。
「さて・・・と、災いの目は、早くつむに限るよな・・♪」
一人、ここの惑星の中にある、とある組織に組している反逆者の別荘に向かうスティルバイト。
木々の結界に覆われて、カモフラージュをしているが。
スティルバイトには、関係ない。
「さっそく仲間に連絡だ!!金色の王の弱点発見!!」
『おう!!』
中では、外の様子をしらない無謀な者達が、仲間にむけて、リナの存在を通信しようとしている。
――どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんん!
そこにのみ、響く爆発音と、爆音。
ここ以外には、聞こえないように、ちゃっかりとしてあったりする。
「何ごとだ!?」
かろうじて、爆発から逃れた反逆者の一人は。
炎の合間に、金色の髪を見出す。
「・・・ま・・・まさ・・か・・・・・」
彼らは、はっきりいって、知っている。
彼を怒らせたら、どういう結界になるというのを。
なぜ、あいつがここに!?
混乱が引き寄せるる
「あれ?まだ、生きてたのか?ま、いーか、リナ様に害をなす種は、早く摘んどかないとな♪」
にこにこといいつつも、目が完全に笑ってない。
『――!!!?碧玉の王(スティファランス)スティルバイト!?』
「ま、リナ様のことを知られるには、いかないからな♪」
いいつつも、彼がつい。
と、前に手を出す。
瞬間。
辺りが、碧い光に包まれて、
『ぐわぁぁぁぁ!?』
あっけないほどに、隠れ別荘は消滅する。
無論、混沌に還りゆいている。
「さぁてと♡」
何でもないふりをして、ここで繋がっている彼らの本部にも、スティルバイトは、力を送り込む。
彼がいる、ここより遥かに離れた世界にて。
――どぉぉぉぉぉぉぉぉんんんん!!!!
瞬く間に、反逆者がたむろしていた、反逆者達が創り出していた世界は。
彼らが神と魔王を滅ぼして、乗っ取っていた世界は。
スティルバイトの、遠く離れた攻撃によって。
あとかたもなく消え去っていた。
「第一段回♪終了♪」
まだ、リナ様を知られるわけにはいかない。
というか、絶対に、リナ様を危険にはさらさない!!!
危険な芽は・・・かたっぱしから叩き潰す!!
目がはっきりいって・・・すざましい殺気を含んで笑っている。
「・・・・?あれ?どこかで、何かがあった?ま、いっかvvわーいvvケーキvvケーキvv」
リナは一応、自分の中でもあるので、その気配に気づくが。
理解してなかったりする。
ただ、リナの頭の中には。
目の前のケーキで占められているのだから・・・・。
やがて、白雲の世界のこの惑星が黄昏始める。
・・・ぴたり。
リナのケーキをがむしゃらに食べていた手が止まる。
「・・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
リナは、初めて。
自分の目で、こういう景色を目の当たりにした。
かさ。
後ろに気配がする。
「ねえねえ!!カウリイ!!これなに!?」
リナが瞳をきらきらさせて、スティルバイトに聞く。
「え?ひょっとして、リナ様、知らないんですか?」
あっさりと、反逆者達を壊滅させてきたとも思えない。
優しい瞳がリナの目に飛び込んでくる。
そして、母に似ているお気に入りの金髪が。
「りな、初めてみるの!!」
空が、暁色に染まり、そして、周りの木々が、色とりどりに色づき始める。
これは、この惑星の特徴。
夜を迎えるその一瞬の夕方に。
全ての木々や草木が紅葉するのである。
空は、暁色や、栗色、そして・・オーロラを映し出し。
幻想的な風景が、リナの目に飛び込んでくる。
「・・・・・・きれぃぃぃぃ・・・・。」
リナはその光景に目を奪われる。
・・・・・・かわいい!!
そんなリナの無邪気な様子が、より一層、スティルバイトの保護欲をかきたてる。
「じゃ、しばらくこれ、見てますか?リナ様、俺を椅子代わりにしてもいいですよ?」
「本当!!じゃ!!」
とて。
小さな身体がスティルバイトの膝にのる。
リナは、気づいてないが。
光景に目を奪われて、また、子供の姿・・。
つまり、三歳前後になっているのだが(笑)
ちょっとでも、他に気を取られると。
まだまだなのである。リナは。
・・・くす。
まだまだですね。リナ様。
早く、姿を変えるだけでも、完璧に習得しましょうね♡
なでなで。
心でそんなことを思いつつ。
自分の膝の上で、身体を預けて、空をきらきらとした瞳で、見上げているリナの髪をなでているスティルバイト。
――何があっても、絶対に守ってみせますよ・・・。
そう、硬く心に誓いつつ。
「――リナ!!!」
夜と帳が降りるころ。
遅れてやってくる、金色の王。
すく・・
ぐらっ!!
「おっとと!!」
リナが立ち上がり、思わずよろけるのを防ぐスティルバイト。
「ははさまぁぁぁぁぁ!!!」
「ん~♡リナ、いい子にしてた?♡」
――ちゅ♪
「うん!!母様!!」
だきっ!!!
こっきぃぃぃぃん・・・。
固まりつつも、これか・・これか・・コレが原因か・・・
リナ様のあの行動は・・・・(汗)
リナを抱きしめ、頬に、満面の笑みでリナの頬にキスしている、 我らが絶対主でもある、金色の王をみつつ。
スティルバイトは、内心、汗を流していた。
よくもまあ、滅びないのは。
さすがというしかないが。
「はは・・・さ・・・ま・・。」
「あらあら♪」
こてん。
安心したのか、リナは、そのまま、エルに身体を預けるように、眠りについている。
「そういや・・昼ね・・リナ様・・してなかったっけ?」
ふと、微笑むスティルバイト。
無邪気なリナの寝顔が、硬直の解けた体を向けた先に、見え隠れする。
「ありがとね♪スティルバイト♪リナに付き合ってもらって♪」
かきぃぃぃぃん。
またまた凍りつくスティルバイト。
二度目・・・・(汗)
あ・・・あのエル様がお礼ぃぃぃぃ!!!!?
動揺する、心をどうにか、押し殺し。
「あ・・あの、エル様・・話があるのですが・・。」
死ぬのを覚悟で、話を切り出す。
「ま、それは、戻ってから、聞くわ♪」
ふわ。
言葉と同時に、金色の光が辺りに、広がる。
気づくと。
そこは、リナの子供部屋。
つまりは、金色の王の宮殿の一室。
「さ、リナは、ねんねしましょうね♪」
・・だらだらだら・・・。
よく、滅びないよなぁ・・・・俺・・・・。
エルのこんな姿みてて・・・・(汗)
冷や汗ものの、スティルバイト。
それもそうだろう。
エルは、リナをやさしく、壊れ物を扱うように、そっと、寝かしつけているのである。
まず、彼以外がこれみたら。
間違いなく、永久消滅は決定という、精神ダメージを受けるは、必死。
「かたん。」
リナを寝かしつけて。
子供部屋から、でて、語りかける、エル。
そこには、金色の王としての、燐とした声。
・・・ええい!!
これも、リナ様を今後、お守りするためだ!!!
「・・・・実はですね・・・・・。」
うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!
静かな宮殿に、哀れともいえる悲鳴がこだまする。
「うぅん・・・。確かに、やばいわね♪リナには、よぉぉく、言い聞かせないとね♪
でも、リナにキスされたなんて・・・・。ふふふふふ♪覚悟はいいわよね♪」
「うう・・・・覚悟は出来てます・・・・。」
すでにぼろぼろになってるスティルバイト。
「まあ、あたしにも責任あるみたいだから♪簡単なお仕置きですませてあげるわよ♪」
いいつつも、手には、いつのまにか、黒い固まり。
無意識のうちに、それをかろうじて防いでいるスティルバイトもスティルバイトだが・・。
リナが目覚めたとき。
「??あれ??なんで、スティルバイト、そんなにぼろぼろになってるの?」
きょんとしているリナの姿が・・・・。
そこにはあった。
「う~ん・・・・。やっぱり、あれでも、滅びないとは♪さすがに、ルーの魂が元のだけはあるわよね♪」
ちょっと、成功♪
とか、内心思っているエル。
私としては、今後が面白くなりそうな展開で、とっても楽しみ♪
エル・・気づいてないし♪
ふふふふふふふ♪
未来への希望 ACT-16
ガウリイの張った、結界の中で。
声にならない、悲鳴と・・むせ返るような血の臭いが、充満してゆく。
手加減などはいらない。
「・・・さて・・と。依頼主の名前・・聞かせてもらおうか?」
冷たい瞳で、皮をはぎながらいうガウリイ。
「ひっ・・・。ひ・・ヒュールだ!!ガブリエフ家、長老の一人・・フェール=リペ=ガブリエフ!!た・・たすけて・・・く・・」
「そうか。」
ぼしゅ!!
頭が吹っ飛ぶ。
「あの・・長老か・・。」
ガウリイの瞳に殺意がこもる。
リナを巻き込んだ。
それだけでも・・十分すぎる理由である。
ゆら・・。
ガウリイの姿は、並いる暗殺者や、魔族をあっさりと、うち滅ぼして、
そのまま、闇へと解け消えていった・・・・。
「こんちわ♡長老。」
闇に佇む一人の人影。
「・・・・っ!??」
声なき声を上げている。
・・どういうことだ?
ガウリイは、確か、今はストリッジ・シティにいるはずでは!?
「くっ!!盟約に従い手・・出でよ!!!」
フェールの言葉とともに、影のような、魔族が出現する。
「へえ。ガブリエフ一族の長老の一人ともあろう人が、魔族と契約ねぇ・・・。」
冷たいまでのガウリイの声。
姿が見えないのが、より一層フェールを震えわせる。
「リナにまで手を出した・・当然、償いは・・させてもらいますよ?」
「・・ひぃ!?」
ガウリイの声と同時に。
彼の身体が引き裂かれる。
いや、引き裂かれた感覚に陥ってゆく。
ガウリイは、精神世界面から、彼の魂をずたずたに切り裂いているのである。
「この俺に・・こんな雑魚が通用する・・とでも?」
スザマシイまでのガウリイの殺気。
それは、ガウリイ=ガブリエフ。
としての、殺気ではすでにない。
金色の王が賭けている束縛も何のその。
本質たる、神魔の王としての・・その殺気。
まず、この殺気に触れて。
助かる存在は・・まずいない。
フュールの視界に、ガウリイの金色の髪が目に入る。
それと・・同時だった。
―ぼしゅ・・・。
何が起こったのか、理解不能だったろう。
何しろ、ガウリイは、手も使わず、呪文も使わずに、 フュールの両手両足を消滅させたのだ。
血を一滴も流さずに。
「死なせは・・しませんよ・・。リナを狙った罪は・・死ぬなんて、生易しいことではすみません・・からね・・。」
いいつつ、冷ややかな冷笑を浮かべるガウリイ。
そして、その、無くなった、手足の部分に、フュールが契約していた、魔族を強制的に、同化させ、つまりは、ヒュールを半魔族にし。
寿命を延ばす。
少しでも、苦しむ時間が長いように。
そして、その焼け焦げた傷口からは、絶えず、黒い蛇が誕生し、ヒュールの身体を這いずり回り、そして、食事をしながら。
また、傷口に戻ってゆく。
これは、ガウリイは、気づいてないが。
ラウグルトヌシャヴア゛ナに近い呪法。
滅多として、ガウリイは、これをかけることは・・まずない。
違うのは、ガウリイがやったこれは。
人だけでなく・・魔族にも、神族にも、有効だ。
ということ。
「さて・・・。じっくりと苦しんでもらいましょうか・・・」
冷ややかに。
ミプロス島の、ガブリエフ家の本家に。
ただただ、冷たいまでの風が吹き抜けてゆく・・・
しばらくして。
いや・・いやいやいやぁぁ!!!
―ガウリイぃぃ!!
「・・・・・リナ!?」
リナの悲鳴がガウリイに届く。
まさか!?
すぅ・・と血の毛がひいてゆく。
すぐに確認の意識を飛ばすと、あの酒場にリナの姿がない。
まさか!?
一体、どうやって、俺の結界から抜けたのを俺に気づかれなかった!?
ガウリイも知らない。
リナも知らない。
リナが無意識にガウリイに迷惑かけたくないからという無意識の心が、
本来の混沌の力を使い、結界を通るときに、無効化していたということは。
だから、リナが結界からでても、ガウリイには感知されなかったということを。
ちらり。
「・・・・・ちっ!!」
身体の手足がなくなり、それでもまだ、死んでない、フェールをちらりとみて、
「・・・・殺さないのをありがいと思え・・・。」
ゆらり。
そのまま、屋敷から掻き消えた。
・・・・・リナ!!!!
いまのリナの悲鳴・・ただごとじゃない!!
ガウリイは急いで、ストリッジシティの方向に空間移動する。
「よっ!!ガウリイ!!これ、できたぞ!!」
「・・・・ピュービル!?リナを知らないか!?」
精神世界で、ピュービルとあってるガウリイ。
実は、ガウリイとピュービルがガブリエフ一族から疎まれていたのも、この理由があったりする。
この二人、物心ついたときから、簡単に、空間移動が出来ていたのだ。
つまり、精神世界に自由自在に入り込めていたのである。
「・・・・何!?まさか、お前・・リナさんから離れたのか!?結界は!?」
「いつ、結界の外にでたのか、俺にもわからん!!」
ガウリイが、ストリッジ・シティに独特の結界を張っているのは、知っていたピュービル。
「とにかく、リナの魔力波動から探すしかない!!!」
勘でなくてもわかる。
リナがどこにいるかなんて。
「ほら!ガウリイ!」
ぽん!!
ガウリイに投げられる小さな箱。
ガウリイがピュービルに頼んでいたリナへの婚約指輪。
「すまん!お礼は後で!」
「それより、早くいけ!!こっちは、どうにかしとく!」
ちらり。
と、視界の先に方にある長老の家をみながらいうピュービル。
ガウリイは、そのまま、ストリッジシティにと向かう。
「・・・・さて・・・・と。馬鹿だなぁ・・・。フェール長老。よりによって、リナさんを狙うなんて・・・ねぇ。」
ゆら。
鋭い痛みは襲い来るのに、血が一滴もでない。
それが、異様に、恐怖をさらに増幅しているフェールに。
目の前に出現する、ガウリイによく似た、まるで女性のような、一人の男性。
「くすくすくす。まあ、このまま、死ぬまで、苦痛に耐えて♡死んでも、直、苦痛に耐えるんだろうケドね♪くすくすくすvv」
ピュービルは、実は、ガウリイとリナの正体を知っている。
とゆーか、彼も実は、れっきとした神魔の王だったりするのである。
なぜ、この星にいるか。
というと。
今は、彼らの世界は、消滅してるから。
つまりは、次の命令があるまで、ここで休暇をとっていたのである。
ここに、彼の友人でもあった、スティルバイトが、転生してるのを知ってたので。
リチェウスィを守るべく。
まあ、彼は、リナのファーストネームは、スティルバイトののろけ話で、聞かされているので、知っている。
全ての名前はしらないが。
そのファーストネームを聞いて、しばし、行動不能の千年に陥ったりしたのだが。
「くすくすくす。いいこと教えてあげるよ♪あんたが殺そうとしてた、リナさん・・万物の王の一人娘♪
この世界の創造主たる御方の娘を殺そう・・なんてねぇ・・。
くすくすくす。未来永劫・・許されないよ♡フュール長老♡くすくすくす・・。」
ふっ・・・。
それだけいって、ピュービルの姿も掻き消える。
「あ・・・・あははははは・・・・。」
後には、完全に混乱し、意味不明なことをつぶやきながら。
どすぐろい蛇をなくなった手足から生やしながら、
それにかまれているフェール長老の姿が残るのみ。
「何ごとだ!?」
異変を感じ取り、やってきたほかの長老が目にしたのは。
手足のないフェールが、蛇を生やして、それにかまれている姿。
そして・・一つの手紙。
『―リナに手を出したら・・・今度は、全員・・殺す!!!!―』
ぞくり。
それが、誰からのものなのか。
彼らは、全員、瞬時に理解した。
そして・・・。
―ガウリイには手出ししないほうが・・いいぞ?―
何を怖気づいている。
と、あざけ笑っていた一族のメンバーは、ここにいたり。
ガウリイを本気で怒らせたら・・どうなるか。
現実を持って、知ることとなった。
リナ・・・
・・・・・・こっちだ!!
ガウリイが、リナの方向に向かっていくと。
「ここから、先は・・いかさん。」
黒い人形を取っている魔族がガウリイの前に立ち塞がる。
精神世界で。
「のけっ!!」
「ふん。貴様の実力・・計り知れないのでな・・・。こういう手をつかわせてもらおう!」
ぐわぁぁぁ!!
物質世界にいた、キルの雇った、暗殺者やごろつきが、もだえ苦しむ。
そして、そのまま、人を媒介として、魔族が憑依する。
ガウリイの目の前に、数百とも言える、元、人であった、魔族達。
『・・・・・・のけ。』
重く、低いガウリイの声。
その声だけで、消滅するには、十分すぎるほどの。
声と同時に、つつき刺さるより、もっと重い殺気が、辺りに立ち込められる。
辺り一体をガウリイの力が押さえてゆく。
『リナをどうした!!』
ガウリイが剣を突きつける。
「ふ・・ふん。どうせ今ごろ・・・リナ=インバースは・・。キルさまの手にかかって・・犯されてるさ・・・。」
・・・・・・・・・!!!!
『・・・・・死ね!!』
ざしゅ!!
ガウリイの一閃が、魔族をなぎる。
「・・・くっ!」
ゆらり。
主の元に逃げてゆく魔族。
「・・・・・・リナ!!」
リナの気配を探る。
・・・・弱々しい。
・・・どくん・・・どくん。
いやな予感が突き抜ける。
ふぃ。
精神世界から抜け出る。
目に飛び込んできたのは、リナが身に着けていた、肩当。
そして・・マント。
そして・・無残に引き破られた服をかろうじて、動く手で、前でつかんでいるリナの姿。
・・横たわったままで。
全身がすでに、紫の色になっていて。
・・・・意識が・・なかった。
「リナ!!」
あわてて、・・いや、完全に狼狽し、リナに駆け寄り、急いで、解毒の呪文を施す。
リナに呪文を使うことを知られたくない。
そう言っている情況ではない!
だが・・。
「・・こ・・・これ・・は!!?」
ガウリイはあることに気づく。
リナの身体を蝕んでいるのは・・・毒。
その毒が・・あろうことか・・・・。
ガウリイがかつて、経験した・・。
リナを失う瞬間。
あの力に溶け込んでいたのだ。
リナの身体を蝕んでいるのは・・・確かに、毒のせいもある。
あるが・・・・。
リナが自分にもつきたてた・・虚無の刃の虚無の力。
つまりは、リナ自身の力。
毒をうけ、人であることが出来ない状態になったので、リナの中のセキュリティが作動して。
本来の姿に戻る力のところに、リナが当てたその力。
それは、リナのうちなる想いと・・共鳴した。
つまりは。
――ガウリイ以外に触れられた・・この身体・・・。・・・なくなってしまいたい・・・・・。――
と。
純潔は守り通したリナだが。
キスを奪われ、そして、肌をキルに触れられた。
それが、リナには、苦痛にも耐えがたいことであるがゆえに。
リナは、キルに奪われたのをファーストキスと想ってるようだが・・・。
実は、リナのキスは、すでに、ガウリイが奪ってる。
寝ているときなんかは、度々だったし。
混沌の空間で、二人は、深いキスを交わしているのだから。
リナはそのどれも覚えてないが。
「リナぁぁぁぁぁ!!!!」
ようやくガウリイが暗殺者達を退けリナを探し当てたとき―。
リナはすでに立てなくなり、四肢の色も紫と成り果て……一目で重傷が見て取れた。
辺りには、リナが倒した、〃あいつ〃の痕跡を残すかのように。
一箇所のみ人一人分ほどの大きさほど、無の空間となっている場所もあるのだが。
「リナ!!」
・・・リナの側を離れるんじゃなかった!!
リナを巻き込みたくなかったばかりにリナには何も告げなかったガウリイ。
強い自責の念がガウリイにのしかかる。
――大切だから。
リナを巻き込みたくなかったから何も言わなかったのに!!
心の内でどんなに後悔しても目の前の現実は消えることはない。
「う・・・ガ・・ウ・・リィ・・?」
リナがなんとか声を出す。
夢?幻?
ガウリイが・・・あたしの願いが・・通じたの?
最後に・・彼方に会いたいって・・・・。
リナがかすかに微笑む。
・・・ゴメンね・・・ガウリイ・・勝手なまねして・・。
声にならない、リナの心の言葉。
「リナ!!!」
あわてて、リナを抱き起こすガウリイ。
「大丈夫だ!!すぐに医者にいくからな!!」
ガウリイの声にリナはただ。
「・・ごめんね・・ガウリイ・・・。あたし・・・・・。
ガウリイを殺そうとしているあいつに・・。少しでも気を許しそうになった自分が許せなかったの・・・・・。」
ご゛ふっ!!!!!!!!
リナが大量に血を吐き出す。
「しゃべるんじゃない!!」
リナの手をつよく握るガウリイ。
その目にはとめどもなく涙があふれている。
「ごめ・・・ガウ・・・リ・・・・・イ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「リナ!!????」
「・・・・・・・・・っっっ!!!!!!!!リナぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
リナがガウリイの頬にあてていた手から力が抜ける。
ぱたっ・・・・・・・・
リナの指から今ガウリイがはめた指輪が、力なく指から落ちてゆく・・・。
信じたくない現実。
何よりも命よりも大切な存在。
大切だからこそ、見守っていた。
傷つかないように。
命を投げ出しても守りたかった女性は・・・・・。
・・・今。
ガウリイの手の中で身動き一つしない。
――息もしてない。
狂おしいほど愛らしい紅の瞳で、もう自分を見つめてもくれない。
その天使の声で自分の名を呼んでもくれない。
目の前で、最も大切な存在の女性―リナは。
自らの手の中で完全に息を引き取った。
「・・・・・・・・・・・・・・・っっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
しばらくリナを抱きしめるガウリイ。
すれ違いが招いた結果。
言葉に出さねば――不安が襲う。
その不安に押しつぶされそうになって―自ら決着つけようとしたリナ。
リナが大切だからこそ、自分の実家が自分に莫大な懸賞金をかけたことを、
知らさなかったガウリイ。
リナを守りたいがゆえに。
リナを巻き込みたくはないゆえに。
どのくらい、時間が過ぎたのか。
ガウリイにとっては一秒の時間ですら永遠に感じていた。
ふいに。
抱きしめているリナの体がほのかに光る。
金色の淡い光に。
はっとなりガウリイがリナを見つめると―。
光はだんだんと大きくなり―。
リナの体とガウリイの体を……包み込んだ。
「―――そうか・・・・・。俺は・・・・・・・・・・・・。」
金の光につつまれて、自分の存在している意味と。
そして・・・・リナのことを全て、何もかも・・・今。
今、ガウリイは・・・スティルバイトは、エルの封印も何も関係なく、全てを思い出していた。
『おぎゃぁぁぁぁぁ!!!おぎゃぁぁおぎゃぁおぎゃぁおぎゃぁぁ!!!!!!』
ガウリイの手の中で泣く赤ん坊。
スティルバイトにとって、何ものにも代えがたい何よりも愛しい存在。
たった一人の愛しい―リナ。
今度こそ、守り抜いてみせる。
ぴとり。
赤ん坊となった、リナのもみじのような手が、ガウリイの頬に当てられる。
それをつよく握り締めながら・・・・。
―――――――――――チャンスは―――あと、一回。
あと・・・ガウリイに残されている期間は・・・ここの時間率でいうと・・56年間・・・・。
ガウリイが、しっかりと、リナを抱きしめていると。
ふいに。
「リナ様!!!!」
声と同時に、紫がかった蒼い髪に紅の瞳の女性が出現する。
「リナはつれて帰るわ。」
ガウリイの手の中で眠るリナを青い髪の女性が抱き上げる。
「・・!?まってくれ!!ルナさん!!」
ガウリイが、女性―ルナにはじかれたように語り掛ける。
「頼む・・!!俺にもう一度リナを守らせてくれ!!今度こそ!!」
半ば涙を浮かべているガウリイ。
「何いってんのよ。それでなくても、少なくとも、ガウリイ。あんたが原因でリナはこうなったのよ?」
半ば冷ややかな目でガウリイを見つめるルナ。
ちょっぴり怒っていたりするのは、ルナ=インバース。
リナ=インバースの姉である。
「俺が・・俺が言葉にしなかったばっかりに・・・。」
うなだれるガウリイ。
(・・ま、仕方ないか。これもあの御方のことだし・・・・・。)
少し考えて。
「ガウリイ、彼方、ゼフィーリアに永住する気・・ある?
少なくともまた今度もリナは思い出すとも・・成長するとも限らないのよ?――今回がそうだったように。」
ルナは手の中で眠っている栗色の髪の―幼い赤子を見ていう。
「それでも・・俺はリナを一生守ると誓ったんだ・・・。頼む・・・・。」
言葉にできなくて。
素直にいうことができなくて招いた結果。
リナはまだ『恋愛』という感情を完全に理解できていない。
無理もない。
リナはまだ誕生してまだ五千年と少し。
リナの魂は純粋無垢。
自分が抱いていた恋心すら意味がわからない・・・まだ、本当に無垢な存在。
リナの成長を助けるため―あえて、100年ほどスティルバイトに休暇を与え、そして、この世界に、転生させたエル。
まあ、面白くないけど、
リナがかなりスティルバイトに心・・占められてたからねぇ・・・。
お互いに惹かれあい。
それでもすれ違い。
また、赤子へと戻っているリナ・・・リチェウスィ。
この世界の核で、そして・・・エルの一部。
そして、この世界においての、混沌そのもの。
エルの娘。
ルナは眠っているリナを見て、
「・・・今回は思い出さずに、普通に成長したのよ?前回は・・・少し成長遅かったし。その前は一気に成長したし・・・・。」
ルナはガウリイにリナのことをそれとなく言う。
前回は、ちょっと・・・・。
馬鹿なゼフィーリアにやってきたとある貴族の馬鹿息子が、リナを手篭めにしようとして、
リナは、そのまま、クリスタルに閉じこもり、しばらく、赤子の姿に戻っていたのだが・・・・。
リナがちゃんと成長を始める様子を見せたのは。
ガウリイが・・スティルバイトが、この世界に人として誕生したとき。
そのとき、ようやく、無意識における、水晶の結界から出てきたリナ。
そして・・・・。
静かに成長を始めた。
ルナは、ガウリイが転生してきたのを知って。
一度、死んだことにして、リナの姉として。
インバース家の長女として・・活動を始めたのだが。
「―それでも。俺の命の続く限り!!」
強い決心をたたえたガウリイの瞳。
スティルバイトにとって、リナは全て。
「ふぅ・・・・・。」
ルナはため息一つ。
「――分かったわ・・・・。でもいっておく・・・・。
――もし、リナが思い出さなかったら・・彼方、次はないのよ?・・・スティルバイト・・・。」
ルナはガウリイの神魔の王としての本来の名前を言う。
泣きそうな瞳はどうしようもない。
これは、彼が決めたこと。
――たとえ、エルに完全消滅させられる。
と、告げられていても。
それでも、リナを守りたい。
と、願うスティルバイト・・・・。人としてのガウリイとして。
そして・・・。
神魔の王としてでなく。
ただ、一人の存在として・・・・・・。
「――…っ!!それでもっ!!!!」
自分がどうしてここにいるのか思いだしているガウリイ。
(分かっているさ・・分かっている・・・。これが最後のチャンス・・・・。もし・・駄目なときは・・・・・。)
ガウリイは人間になるにあたりエルに言われている言葉を思い出す。
『もし、失敗するとそなた、消滅。それとあの子にはおまえに関する記憶・・消すから。』
仮にリナの記憶を消したとしても。
心は残る。
消滅させてもそれはそれで心に残るものである。
特にリナは、まだ幼子当然。
いろいろある長い長い永久の時間の中で、
出来ればそんな煩わしさは、与えたくない。
だが、そういう〃心〃も必要なのだ。
特にリナに関しては・・・私やエルと根本的には同じなのだから。
でも、できれば・・リナには、私達のような、想いはさせたくない。
それは、エルも同じ想い。
・・・だからこそ。
私としては、二人が素直になってくれたらいいんだけど・・・。
エルも心のうちではそうなんだろうけど・・・。
何ぶん、まだ、リナが誕生して(リナを創り出して)・・・・5000と少しだからねぇ・・・。
「・・・わかったわ・・・。じゃ、一緒にいらっしゃい。」
言ってルナは・・・。
抱きかかえている赤子のリナと共に、ガウリイもいつ所に連れて。
ゼフィーリア・ゼフィールシティへと空間移動した。
「まったく・・・・スティルバイト・・・それにリナ様・・。なんで、こうも両想いなのに・・すれ違うのよ!」
「・・いやぁ・・。だってなぁ・・。」
「・・・あのねぇ・・・・。はぁ・・・・。リナ様がエル様の娘だから?」
「まさか、リナはリナだろ?俺は・・たとえ、リナが誰であろうが・・・。・・・・あきらめる気は・・ない。」
しっかりと、ルナが抱いていると、泣き喚くので、ガウリイがリナを抱きかかえ、精神世界から空間移動しているルナとガウリイ。
「・・・・分かってるの?スティルバイト・・・彼方に残されてる時間・・・。」
「・・・・分かってる・・。56年も・・ない・・・。」
期間が過ぎれば、どうなるのか。
二度と、リナには会えないのか?
ずきん。
心が痛む。
リナを守れなくなる自分が。
そして・・・リナが自分を忘れてしまうのが。
そういう約束。そういう制約。
だが・・選んだのは、自分。
リナが完全に力を封印され、人として、修行する。
と、エル様が言ったときに・・。
申し出たのは・・自分。
自分の世界をほっておいて。
それでも、それ以上に、リナの側で・・リナを守りたかったから・・。
初めてあったときから・・すでに、心は、リナで占められていた。
人としての自分も。
そして・・・・碧玉の王(スティファランス)スティルバイト。
自分が、リナを一人の存在として・・女性として。
愛している。
と気づくのには・・そうは、時間はかからなかった。
始終・・・リナのことばかり・・考えている自分が・・いたのだから。
あえて、リナには告げなかった。
何も知らず、無邪気に自分になついているリナには。
それでも、リナが誕生して、23年後。
リナが、精神の修行も兼ねて、名目上は、人として、生活するとき。
毎日のように通っていた自分。
リナも、よくスティルバイトが来ない日は。
エルに内緒で(ばれてたけど)彼の世界にいっていた。
無意識の内の行動。
その想いが何なのか。
リナは、全然理解してなかったが。
無邪気すぎるその姿は・・さらに、スティルバイトをリナの全てを手に入れたい。
そう、想うのには・・十分すぎるほど。
保護者・・確かに。
初めてあったときには、ただ、守りたかった。
強大な力をもつ、リナ様だから。
力があやういリナ様だから。
だが・・きづけば、一人の存在として・・女性として・・リナを、リナの全てを守り通そうとする自分が・・いた。
立場なんて・・関係なかった。
ただ、リナを守りたかった。
自分の側に感じていたかった。
今まで、こんなに本気になったことは・・一度たりとて・・なかった。
自分の存在も何もかも、全て消滅してもいいほどに。
ただ・・リナのその笑顔を・・守りたかったスティルバイト。
だから・・・
だから、リナの記憶を封印され、そして、力も封印される。
という条件でも、リナを守るため。
と無理を承知で・・エル様に懇願したのは・・他ならぬ自分なのだから。
「リナ様も・・・・御自分の感情・・理解してなかったからねぇ・・・。はぁ・・・。リナとして、ようやく、その感情に気づいた矢先に・・。」
赤子の手を握るルナ。
「たとえ・・この身がなくなっても・・。・・・・俺は、必ず、お前を守るから・・リナ・・・・リチェウスィ・・・。」
赤子に軽く唇を触れる。
「まったく・・・・相思相愛のくせに・・・。まあ、身分的には、問題あるんでしょうけど・・・・。
少なくとも、私達は、リナ様とスティルバイト。彼方たち、二人、見守ってるんですからね!!!
リナ様を泣かしたら・・承知しないんだから!!」
「泣かす気は・・ない!!!」
「・・・ともかく。リナ様が・・・リナが、このたびは・・・。・・・赤ん坊に転じる前のことを・・思い出せばいいんだから・・。」
・・・・・何いってるの?
あたし?
・・・・暖かい・・・・・。
あたし・・・・・この人と・・・・離れたく・・・・ない・・・・。
ぎゅ。
リナの小さな手が、ガウリイにしがみつく。
「ん?リナ?心配しなくても・・俺は、必ずお前の側にいるから・・。だから・・安心しろ。側にいるから。」
その手をかるく握り、キスをする。
・・本当よ?
・・・必ず・・側に・・いて・・・・。
記憶の墨に、うかぶ、金色の髪。
・・・・あたし・・・・何か・・・・とても・・・・・。
・・・・大切な・・・何かを・・・・忘れてる・・・・・・・・・。
・・・・あたし・・・・・・。
誕生したばかり・・・・よ・・・・ね?
違う!
何か、あたしの心が言っている。
・・・・何を忘れているの?
とても・・大切なことなのに・・・・。
でも・・・・この人といたら・・・・。
暖かくなるから・・・・。
・・・・だから・・・・・・・・。
・・・・側にいて・・・・・・。
ガウリイの手の中で安心するリナ。
リナの魂が問いかけている。
・・・自分は、何か、大切な、何かを忘れている・・と。
「ともかく、俺は、家を捨てて・・リナとともに生きる。・・いいよな?赤の竜神(フレアドラゴン)ルナ=スィーフィード。」
ひたり。
言い切るガウリイ。
「はいはい。言い出したら、聞かないのは、リナ様と一緒だもんね。彼方も。碧玉の王(スティファランス)カウチェリイ=スティルバイト・・。」
苦笑するルナ。
赤ん坊となった、リナを連れて。
ルナとガウリイは。
ゼフィーリアのゼフィールシティへと・・戻っていった・・・・。
-続くー
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あとがき:
薫:よっしゃぁぁぁ!!!あとは、ゼフィーリアでの、混乱?(汗)に。ゼルの独白で終了だ!!!!
ちなみに。一部は、アンハッピー(こらまて!)
ですが、二部では、最後は、きっちりと、ハッピーになってますので、あしからず(汗)
ではでは・・・・・。
エル:・・・・あたしが活躍してない・・・・・・。
薫:き゜っくぅぅぅぅぅ!!それでは!!!!
姫:私も出てないし♪
薫:うぎゃぁぁぁぁぁ!!!!?・・・・・・・・・・・・・。
シィィィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンンンンン・・・・・。
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