闇の行方  第27話


<ガウリイサイド>


「リナ!!」
ようやく、見つけた!
ゼロスから、ここに、リナがいるらしい。
という情報を聞いたときには、半身半疑だったが・・。
オレをみて、なぜか、逃げようとするリナ。
「リナ!」
オレはそんなリナの手をつかむ。
「は・・放して!!」
リナが別の場所をみながら俺にいう。
「いやだ!!どうして、俺をみない!リナ!!」
リナの手が・・震えている。
あのときと、まったく変わらない姿のままのリナ。
オレもそうだが。
絶対に、オレの顔を見ようとしないリナ。
「・・・好きな人が・・できたの・・。」
リナが震える声でいう。
―え?
一瞬、リナが何を言っているのかが分からなかった。
「・・子供も・・いるわ・・・。」
子供?
リナの言葉と、同時に。
「母様?」
リナそっくりの女の子が、リナに駆け寄ってくる。
六歳前後の・・・。
オレ・・以外の・・こ・・子供?・・・リナの?
「・・・・ごめん。」
リナが震える声でいう。
「・・・そっか。」
オレは・・リナが、俺を必要としているとばかり思っていたけど・・。
お前は・・・・。
もう・・オレを必要とはしてなかったんだな・・・。
子供までいるとなると・・・。
今・・・幸せなのか?
・・・・リナ・・・・。
でも・・・・。
オレは・・別のやつと、幸せのお前をみる自身はないから・・。
リナに必要とされない・・オレは・・生きている意味がないから・・・・。
「いくよ・・エリー・・。」
リナが、俺の手をふりほどき、視界の先に去ってゆく。
「・・リナ・・・今・・幸せ・・なんだな・・。」
遠ざかるリナの姿をみて。
「・・オレの存在は・・もう・・必要・・ないな・・・。」
オレがいたら、逆に、リナを苦しめる結果になるかもしれない。
それに。
リナのいない、人生なんて・・・考えられないから・・。
オレは・・リナに拒絶されたら・・生きては・・いけないから・・・。
だから・・・・。
・・・さよなら・・・リナ・・・。
・・・・幸せに・・・・。

すら。
剣を引き抜く。
そして、砂浜につきたてる。
「・・・・リナ・・さよなら・・。」
リナに拒絶されたら、俺は存在する意味もないから・・・。
そのまま・・オレは、剣の上に身を投じる。
・・・・さよなら。リナ・・。
幸せに・・・・。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


どしゅ・・・・・・・・・。

あふれ出る血。

白い砂浜を瞬く間に、真っ赤にそめていく血・・・・。


にぶい・・音がした・・・・・。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


  <リナサイド>


・・・・・・え?
何かが、におってくる・・・。
鉄さびにもにた・・生暖かい臭いが・・。
そして・・後ろの方からかすかに・・聞こえた・・何かを貫く音・・。
ふりかえっちゃ、いけない。
・・だけど。
・・・・・・いやな予感がした・・・・。
後ろを振り返ると・・。
あたしの視界に入ってきたのは・・・。
真っ赤に染まる砂。

・・・・そして・・・・・。

い・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!!」

紅く染まる真っ赤な海と砂浜。
「ガウリイ・・ガウリイ・・いや・・いやぁぁ!!!」
違う!あたしは・・あたしは・・こんなのを望んでたんじゃない!!
生きてほしいから!!!
彼方には、幸せになってほしいから!!!
だから・・・・。
だから!!!!
あたしは、真っ赤にそまるガウリイに駆け寄る。
真っ青となり、すでに息もしていない・・何よりも・・・・。
いや・・いやいやいやいやぁぁぁぁぁ〜〜!!!!!!!
〃・・・いいご馳走だ・・。〃
あたしの中で何かがささやく。
いや・・いやいや!
どうして!どうして!
あたしは・・あたしは・・何のために・・いやぁぁぁぁ〜〜!!

ガウリイは・・自らの剣で・・その喉を完全に貫いていた・・。
ガウリイから、大量に流れ出ている血は無情にもとまらない・・・。

「いや・・いやいやいやぁぁ〜!あたし・・あたし・・こんなの・・。・・・こんなの・・望んでない!!」
生きてほしいから!
あたしと一緒だと、それは、難しかったから!
無理に近かったから!
だから・・だから・・だから離れた!!
嘘を今、ついてまで!!
―なのに!!
〃・・・満ちてくる・・力が・・。〃
魔王が、あたしの中で、嘲笑する声が遠くに聞こえる・・。
あたしの意識をおおう、赤い影。
あたしなんか・・あたしなんか!!
紅き声が笑う。
『母様!?』
エリーとカウリイが何かいっている・・・・。
・・けど!
・・・ガウリイぃぃ!!いやぁぁぁぁぁぁ〜!!!!
「ちっ!!エリー姉様!!カウリイ兄様!!リナ母様をお願い!!私は・・ガウリイ父様を!!」
おぼろげに聞こえてくる声。
何か、つぶやくながら、ガウリイに手をかざしているリナスの姿が・・。
ぼんやりと視界に入る・。
「ガウリイ・・ガウリイ!!いやぁぁ〜!!死なないでぇ〜!!
  何のために・・あたしが・・あたしが離れたのか・・いやぁぁぁぁあ〜!!!」
あたしを取り巻く瘴気がだんだんと濃くなってゆく。
目の前で、動かなくなっていき、冷たくなってゆく、
誰よりも・・世界よりも、何よりも・・一番大切な人・・・。
あたしが・・・・ガウリイを・・追い詰めたの?
あたしなんか・・・。
ふら。
ふと、目の前に、剣が目にはいる。
ガウリイが・・自害した・・剣が・・・。
リナスが、抜いたらしいけど・・。
ふら。
剣に手が伸びる。
―ガウリイがいない・・世界なんて・・・・。
無意識に、あたしは、剣を手にとっていた。
――前にもあったような気がする。
――こんなこと。
――でも・・・。
『母様!?』
あたしの手に、二人の子供達の手が触れているのがわかる。
止めようとしているのか。
・・・でも・・あたしは・・・。
――彼のいない世界になんて・・生きていたくない・・・。
ガウリイを追い詰めたあたしなんか・・・
・・・いくなくってしまいたい・・・・・・
・・・・すべてが・・・・・。
このまま・・何も考えずに・・・。
すべて忘れてしまいたい・・・・。
・・・・ガウリイの所に・・いきたい・・・・。
あたしは、剣をたかく、胸の前に掲げる。
このまま・・・一気に・・・。
「ちっ!!!ガウリイ父様!!!いいかげんにもどってこぉぉぉぉぃぃぃ!!!
   このままじゃ・・リナ母様・・完全に・・・精神が壊滅して、消滅しちゃうんだからね!!!!」
遠くで、リナスらしき声がするような気がする・・・。 
・・・・ごめんね・・・。
・・ガウリイ・・・・・。
あたしが・・・・彼方を・・・追い詰めた・・・・。
よかれ、と思ったのに・・・。
彼方を・・守りたかったらからなのに・・・・。
でも・・ガウリイは・・・・。
・・・・ごめん・・・こんなあたし・・・ゆるされるはずも・・ないよね・・・。
・・あたしは、自分が嫌い。
彼方を追い詰めてしまった・・自分は・・いらない・・・。
あたしは・・剣を・・一気に、胸にと押し当てる。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 <リナスサイド>

風にのって、切なすぎるほどに嘘の言葉が聞こえてくる。
「・・いけない!カウリイ兄様!速くリナ母様のところに!」
父様の・・・負の・・・いや・・・・死を決意した感情が、私にははっきりと感じられた。
「え?リナス姉様?」
きょとんとした声を上げている兄様。
私は気が動転していて・・。
未来で呼んでいるその呼び方で兄さまを呼んでいることに。
・・・・まったく気付いていなかった。

私の視線のその先で。
ゆっくりと母様と父様が・・離れていき・・・。

そして・・・・。

だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!!!


私の声にならない叫びが・・・。
その直後に響き渡ってゆく・・・・。

私の視界のその先で・・・。
・・・・父様が・・・ガウリイ・・父様が・・・。
自らの剣で・・その喉を・・・砂浜に突きたてて・・・今まさに貫いたのだ・・・

・・怖れいてた現実。

「あ・・・あ・・・いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

母様の鋭い悲鳴と絶叫。
リナ母様の・・意識と・・・世界そのものが・・・・揺らいでゆく。

―させない!絶対に!
―母様と父様は!私が助ける!!


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


   <ガウリイサイド>

ここは・・・・。
あたりは、闇よりも暗い、深遠の闇の世界。
リナ・・幸せに・・。
リナが幸せなら・・俺は・・このまま消滅しても・・。
「何馬鹿いってるのよ・・。」
聞き覚えのある声。
「・・・・ルナ義姉さん・・。」
オレの前に、ルナ義姉さんの姿。
「何やってるのよ・・・ガウリイ!!あんたは!!」
怒に満ちたその声。
「でも・・オレは・・もう・・リナに必要とは・・。」
オレ以外の相手との間に、子供まで・・。
リナに必要されないのなら、存在する意味がないから・・。
だから・・。 
オレは、このまま、消滅を・・。
「・・・・よく見なさい。ガウリイ。」
ルナ義姉さんが、手をかざす。 
ふっ。
深遠の空間に、俺の死体と、それにすがり、泣き叫んでいるリナの姿・・。
そして・・・。
リナの子供らしい・・六歳前後の女の子・・。
「もう一人の子供をよくみなさい!!」
・・もう一人?
子供は、全部で三人いるが。
一人は、リナと同じ栗色の髪の女の子。十歳前後くらいか。
そして、リナにそっくりの女の子に・・。
金色の髪の・・男の子・・・おとこの・・こ!?
「・・・・お・・・オレ?!」
その六歳前後のもう一人の子供の姿は・・。
・・・・オレに生き写し・・・・・。
「・・・・ま・・・・まさか!?」
まさか・・そんな!?
あれから・・二十年は・・・。
「いったでしょ。リナの肉体の時間率は、普通でないって。
  ・・あんたの今の肉体と、変わらないって・・。つまり・・・子供も・・・。」
あきれたように、いうルナ義姉さん。
「・・まさか・・あのとき・・の!?」
リナと分かれる前。
・・・オレは、初めて・・リナを抱いた・・。
あのときの・・・子供だと・・いうのか?
「リナが、あんた以外に心許すと、本気で思ったの?あんたは・・・。」
オレは・・オレは・・。
「リナ様!!!!!」
いきなり、ルナ義姉さんが悲鳴を上げる。
「駄目!!その状態で自害したら!!」
・・・自害?
ふと、映像のほうを見れば、リナが・・・。
オレがつきたてていた剣をもち。
真っ赤に泣きはらした瞳で・・胸に押し当てようとしていた。
『リナ!!!』
闇の空間に、金色の王の痛いほどの叫びが響き渡る。
――!?
リナの思いが・・ここに伝わってくる・・・・。

―・・・・ごめんね・・・。・・・ガウリイ・・・・・。
あたしが・・・・彼方を・・・追い詰めた・・・・。
よかれ、と思ったのに・・・。
彼方を・・守りたかったらからなのに・・・・。
でも・・ガウリイは・・・・。
・・・・ごめん・・・こんなあたし・・・ゆるされるはずも・・ないよね・・・。
・・・あたしは、自分が嫌い。
彼方を追い詰めてしまった・・自分は・・いらない・・・。―

「っ!?リナ!?」
「ちっ!!!ガウリイ父様!!!いいかげんにもどってこぉぉぉぉぃぃぃ!!!
   このままじゃ・・リナ母様・・完全に・・・精神が壊滅して、消滅しちゃうんだからね!!!!」
オレの死体に、手をかざしている栗色の髪の少女が、何かいっている。
・・・父様?
『だめぇぇ!!!リナ(様)・・リロードナファレス(様)ぁぁぁ!!!!』
ルナ義姉さんと、金色の王の悲鳴が・・同時に重なる。
リロードナファレスって・・・。

ぱし。
俺の中で、何かがはじける。
―リナの本名?
―ええ、ガウリイ=ガブリエル。あなたには、知っておいてほしいんです。
   リナ様が、唯一、心を許している・・存在たるあなただから・・。
   ・・・・くやしいですけどね・・・。
俺に言っている、ルナ義姉さん。
―リナ様の・・本名。
   この世界、深淵なる真の王、朱金の王ギャラクシー・オブ・ナイトメア様の・・。
   真実の名前・・。
それは・・・。
「リロード・・ナファレス・・ドナ・・ナイトメア・・・リナ!!!!」
オレは・・オレは・・!!

がばっ!!
跳ね起きると、目の前に、どこか、俺にも似ている少女の姿。
―リナ!?
ふとみれば、リナは、今にも・・剣を胸につきたてようと・・・・。
―駄目だ!!!!


『だめえええええええええ〜〜!!!!!』


間一髪・・。
ぽたり。
リナが、その胸に、剣をつきたてる直後。 
オレは・・その剣の前に、手を突き出した・・・。
・・・すまん・・リナ・・。
オレは・・・・お前を・・守ると・・誓ったのに・・。
馬鹿だな・・オレは。
リナを疑うなんて・・・・。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


  <リナスサイド>

「リナ姉様!?」
私が、気づいたときには、リナ母様が、ガウリイ父様から、逃げるように、離れているところだった。
私は、エリー姉様と、カウリイ兄様と、砂遊びなどをしていたのだ。
そして、エリー姉様が、先にリナ母様のところにもどっていって・・。
「・・・駄目ぇぇぇ〜!!」
どしゅ・・・。
あ・・・ああぁぁぁぁ〜!!
・・・ガウリイ・・父様が・・その剣で・・。
自らの喉を貫いていた・・・・。
「い・・・・・いやァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!!」
リナ母様の、悲鳴が世界中に響きわたるほど、大きく発せられる。
紅く染まる真っ赤な海と砂浜。
「ガウリイ・・ガウリイ・・いや・・いやぁぁ!!!」
半狂乱になっているリナ母様。
『母様!?』
遊んでいた、カウリイ兄様も、母様の方に走ってゆく。
「いや・・いやいやいや!あたし・・あたし・・こんなの・・。・・・こんなの・・望んでない!!」
ちっ!!
父様の・・馬鹿!!
「ちっ!!エリー姉様!!カウリイ兄様!!リナ母様をお願い!!私は・・ガウリイ父様を!!」
頭をふりがふり、完全に、半狂乱と化しているリナ母様・・。
私は、エリー姉様と、カウリイ兄様に、ついつい、いつも、私の時代でいっている呼び方で、呼んでしまう。
けど・・今は、そんなことを訂正してる場合じゃないし!
私は、意識を集中して、ガウリイ父様の傷をふさぎ始める。
かなり・・深い。
この私の力でも、すんなりとは、回復しないほどに。
・・・・さすが、存在が、輪廻から切り離されているだけあって・・。
傷そのものが・・すでに、世界の理からは・・かけ離れているし。
何しろ、仮とはいえ、ガウリイ父様は、
今は、リナ母様と同じ。
そのリナ母様の核を仮に抱擁してる存在と変貌している。
だから、
私は、自分の・・リナスレイヤー=トゥエル=ラナ=ナイトメア。
として、すべての力を・・父様に注ぎ込んで、治してみせる!!
父様と、母様が、いつも、笑っていられるように!!
「ガウリイ・・ガウリイ!!いやぁぁ〜!!死なないでぇ〜!!
  何のために・・あたしが・・あたしが離れたのか・・いやぁぁぁぁあ〜!!!」
ふら。
リナ母様の手が、私が抜いた、父様が自害した、剣に伸びている。
・・・・!!!!!?
だ・・だめぇぇぃぃ!!

「ちっ!!!ガウリイ父様!!!いいかげんにもどってこぉぉぉぉぃぃぃ!!!
  このままじゃ・・リナ母様・・完全に・・・精神が壊滅して、消滅しちゃうんだからね!!!!」
傷は、どうにか、ふさがった・・。
けど・・・。
肝心な父様の精神が戻ってこないしぃぃい!!!
このままじゃあ!!
リナ母様までもが消滅しちゃうよ!!!
ガウリイ父様ぁぁ!!!!


―がばっ!

私の前で、ガウリイ父様が、跳ね起きる・・。
「・・間に・・あった・・・馬鹿・・父様・・・。」
あたしは、ほっと、息をついた・・。
まったく・・・。
本当に、不器用よね。
リナ母様も。
ガウリイ父様も・・・・。


◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


  <カウリイ=ユリウスサイド>

何が起こっているのかよく理解できなかった。
リナ母様か・・・何やら泣き喚き。
・・・そして、辺りに満ちている・・血の・・匂い。
そこに倒れているのは・・・・自分と・・・僕とまったく同じといっても。
過言でない・・リナス姉にいつもよく見せてもらっていた・・・父であるという。
ガウリイ=ガブリエフ・・その当人。
その喉に剣を・・今では突き立てて。
辺りの砂がどす黒く染まっている。
「ちっ!!エリー姉様!!カウリイ兄様!!リナ母様をお願い!!私は・・ガウリイ父様を!!」
何かそんなふうに叫んでいるリナス姉の言葉にふと我に戻ると。
・・・・気付けば、リナ母様が、視点の定まらない瞳で・・。
今、リナス姉が父様から抜きとったその剣を・・・。
握り締めたところだった。


どれくらい必死に母様を止めただろうか。
ふと。
リナス姉の言葉が・・耳にと届いてくる。
「ちっ!!!ガウリイ父様!!!いいかげんにもどってこぉぉぉぉぃぃぃ!!!
   このままじゃ・・リナ母様・・完全に・・・精神が壊滅して、消滅しちゃうんだからね!!!!」
何やら叫んでいるリナス姉。
必死で僕達ですら見たことのない回復術をかけつつ、そう言っている、リナス姉。
―だけど・・・この気配は?
思わず目を見開く。
・・・・リナス姉から、僕とエリーと同じ・・・・。気配と・・・。
今・・初めて・・・・僕は・・・感じ取った。

そして・・・リナス姉が纏っているオーラが・・・。
この時代のそれでないことに。
ようやく僕は・・・そのことに・・・十数年経過しているというのにも関らずに。
・・・・今ようやくそのことに気付く。

リナお母様を・・母とよび・・・そして・・・ガウリイ父様を・・・父と呼び。
・・・・僕達ににた気配と・・・そして・・・オーラの色・・・・
僕は・・・・今さら、ようやく、リナス姉が一体【誰】なのかを。
漠然とだが・・理解した・・おそらくは・・・・・・・。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


    <リナサイド>

がし。
・・・何かが、あたしの手をつかむ。
ぽたり。
胸と剣の前に・・・手が・・。
――う・・嘘?・・・夢?現実?
「間に合った・・・馬鹿父様・・。」
リナスがほっと息をつく。
「・・・・すまん・・リナ。・・俺・・分かってなかった・・お前の気持ち・・。」
あたしをやさしく抱擁してくる暖かい胸。
「・・う・・そ・・。」
あたしの剣を止めたのは、・・・ガウリイの姿。
忘れたいのに、忘れられない優しい声と、この温もり・・・。
優しい声。やさしい瞳・・。
あのとき、分かれたときと、ほとんど変わらない・・何よりも大切な人の姿・・。
がばっ!
無意識のうちに、あたしは、ガウリイにだきつき、泣きわめいていた。
ぽかぽかぽか!
あたしは、ガウリイの胸をぽかぽかと殴る。
「馬鹿!!馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿!馬鹿ぁぁぁ!!!!
  ガウリイが・・死んだら・・死んだら意味がいなじゃない!!!
  死んでほしくないから・・だから!!だから離れた!!なのに!!!!ば!・・・・・」
ぐいっ。
ん・・・・。
あたしの手をつかみ、あたしの口をその唇でふさいでくるガウリイ。 
暖かい唇・・・。
・・・ガウ・・・。
「・・・ん・・・・。」
ガウリイがあたしを離すと、
「オレは・・お前がいなくなるほうがいやだ。
  ――何回もいったろう?・・俺は・・お前がいないと、生きていきれないって・・・」
やさしく、あたしを抱きしめてくるガウリイのひろい胸。
つよく、あたしを抱きしめる、優しい手。
―あたしだって・・・・ガウリイがいないと・・生きていかれない・・・。
〃無駄だ・・すでに力は・・満ちた・・〃
・・・・・っ!!
沸き起こる、魔王の意識。
―いや!!!

―――――どかっ!!!!

一瞬、あたしには、何が起ったのか・・わからなかった・・・。

                     −続くー

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まえがき:
こんにちわぁ。
うーん。
編集は結構時間がかかりますねぇ(こらこらこら・・)
ではでは、しばらくは様々視点ですが。
あしからす・・(かなりまて!)

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あとがきもどき:
薫:ええと・・・。編集前のは・・こちらにv
  うーん。次回で始めにちらりとカウリイの視点を入れてから。
  それからにするか(こらまて!)
  うう・・・よーやくここだよ・・ううううう(涙)
これさえすめばラブラブだぁぁ!(こらまてぃ!)
んではでは・・・・v

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