エターナル・スレイヤーズ ~第4話~
バタン!
「ちょっと!どういうこと!?」
「ひ・・・・ひぇぇぇぇぇぇ!?」
村長の家はキャニーがあっさりと教えてくれたがゆえに、すぐにわかった。
んっふふふ。
人を穴の中に突き落としたその罪!万事に値する!
あたしが勢いよく、ナーガ、そしてキャニーとともに。
家の中にとはいってゆくと。
なぜか、部屋の隅の方に固まり、小さくなっている一人の老人と。
もう一人、ちょっと若い男性の姿が。
こいつが・・・こいつがぁぁぁ!
「ちょっと!あんた!何人をいきなり穴の中に突き飛ばすのよ!?んっ!?」
あたしのもっともな怒りのその言葉に。
「ああ、すいまぜん、いすません。ごめんなさい!依頼料はお払いしますからぁ!」
「生ぬるいわよ!あるだけ全部だしなさい!」
なぜか涙をだくだくと流していってくるそんな二人に対して。
ずいっ。
・・・・・何であんたが代わりにいうのよ?
ずいっと腰にと手をあてて、詰め寄っているナーガの姿が。
まあ、この格好で迫られたら、絶対に引くわな…うん。
「わ、わかりました!わかりましたから!」
「村を壊さないでください!殺さないでください!」
・・・・・・何かかぁぁぁなり不本意なことをいってるような気がするんだけど…
まあ、村を壊す云々はともかくとして。
なぜか泣く泣く、音からして金貨の入った袋を差し出してきている村長さん。
「ふっ。人を穴にいきなり突き落とした罰ね。助けてくれたことには感謝するけど。」
「そういうことね!おーほっほっほっほっほ!おーほっほっほっほっほ!」
あたしの言葉に続き、ナーガの高笑いが村全体にと響き渡ってゆく。
そのまま、なぜかないている村長たちをそのままに。
とりあえず依頼料を受け取り、外にとでるあたしたち。
「それはそうと、リナ?あなた、何かおとなしくない?」
外にでるのと同時に何やらあたしに聞いてくるナーガ。
うっ。
記憶ない・・・っていったら、かなりからかわれるような気がするのは…
あたしの気のせいかしら?
まあ、このまま、というわけにもいかないしなぁ。
大切な何かを完全に忘れてるような気がするし。
「あ。うん。ちょっとね。とりあえず、食べながらでも話さない?ちょうど資金も入ったことだし。」
食事。
何やらものすっごぉぉぉぉぉく久しぶりのような気がするのは。
あたしの気のせいだろうか??
まあ、何にしろ。
腹ごしらえは必要だしね。うん。
そんなあたしの言葉に。
「それもそうね。それじゃ、確か村の入り口にある食堂にでもいきましょ。」
「ですね。」
そんな会話をしつつも。
あたしたち三人はそのまま。
村の入り口にとある食堂にと足を向けてゆく。
うーん。
何だかなぁ。
まあ、あまりおいしい、とはいえないが。
とりあえず、全メニューを軽く五人前ほどたのみ。
席にと座り食事をしているあたしたち。
「実はね。あたし、記憶がないのよ。」
食べつつもとりあえず説明するあたしのその言葉に。
「あら、そうなの。」
「うーん、これ、いまいちですけど、味付けはまずまずですね。」
もぐもぐもぐ。
あっさりと受け流し、食事に専念しているナーガとキャニー。
ま、いっか。
あたしも食べよっと。
ひとまず説明はしたし。
そんなことを思いつつ、そのまま、あたしも彼女たちと同様に、食事に専念してゆく。
うーん。
何かこの食べる感覚、久しぶり。
いや、何でそう思うのかすらもわかんないけど。
何か食べた端から、どっかにそれらが移動して、またまたあたしの中に戻ってきているような、
そんな不思議な感覚はすれども。
ま、それは関係ない、というか多分気のせいだし。うん。
あたしたちがそんな食事にと専念しているそんな中。
「あのぉ。あなた方が村のコブリンを退治してくれたのですよね?」
何やら話しかけてくる男性が。
「今食事中。」
ばくばくばく。
「・・・・・・・・・・・・・実は、あなた方に折り入ってお願いがありまして。
実は、この村の北の山にヒドラが住み着いてしまい、私たち近隣の村人はとてもこまってるんです。」
・・・・・つうか。
無視して食べてたらいきなり話を始めてるし。
「それでですね。できれば、コブリンを退治されたあなたがたなら、それも退治していただけるのではないかと…」
何やら好きかってなことをいってるし。
無視してさらに食事を続けるあたしたちの耳に。
次に聞こえてきたそのせりふは。
「そうですね。依頼料は銀貨十枚程度ですが、
あなた方がこの村のこの食堂にこられた限り。無料食べ放題。というのはいかがでしょう?」
ぴくっっ。
あたしの耳にと何とも甘美な台詞が聞こえてくる。
食べ放題!?
しかも、この言い回しだと、どうやら無制限!?
んふふふふ…
「その依頼、うけてあげるわ!」
あたしのそんな言葉に。
「さすがです!リナさんって、本当はとっても困っている人をほうっておけない人だったんですね。
てっきり非情な人かとおもってました。」
何やらかなり失礼なことを横でいっているキャニー。
「あんたねぇ…あたしのことをどういう目でみてんのよ…」
じと目でキャニーをにらむあたしのその言葉に。
「ちょっと。リナ。たかが依頼料、銀貨十枚なんでしょ?私はいやよ。」
そんなことをいっているナーガだけど。
んふふ。
どうやら、この様子だとこいつわかってないし。
ちょいちょい。
手招きしてナーガの顔をあたしにと近づけさせる。
「いい?ナーガ。よく聞いて。今、この人は。『あたしたちがこの村に来た限り』といったのよ?
それってつまりは、永久に制限なしに何年たとうが、
ここにきたらただ!でご飯がしかも、食べ放題!ということなのよ?」
ぴぴくぅ。
食べ放題。
しかも、期限なしの無制限。
ようやく自体が飲み込めたのか。
ナーガの体が一瞬ふるえ。
そして。
「おーほっほっほっほっ!この白蛇のナーガ様に任せなさい!詳しい話を聞かせてもらおうかしら?おーほっほっほっほ!」
その手にしているビールジョッキを掲げたまま。
そのままの姿勢で高笑いを始めているナーガ。
何かそんなナーガの高笑いにほかの客たちが幾人か外に逃げ出していたりするようだけど。
まあ、あたしには関係ないし。
うん。
何はともあれ。
あたしたちは、その村人より、ヒドラのことを詳しくききだし。
無制限食べ放題!・・・もとい。
困っている近隣の村人のためにと。
そのヒドラを退治すべく、村を出発してゆくことに。
んふふふふ。
今後、この村にきたら、無料で食べ放題!こんなおいしい話はない!
さあ、はりきってがんばろっとv
「・・・・・あれ?」
「どうかしたのか?リナ?」
「あ、うん。何でもない……」
何か一瞬悪寒が走ったその後に。
何も食べていないのになぜかおなかがいっぱいにったようなそんな感覚。
この感覚は…って、どうやらあっちのあたしも無事らしいし。
だけど…?
精神体を実体化なんて…かなりの力つかうんだけどなぁ。
あっちのあたしにそんな力が残っているんだろうか。
というか。
ようやく一年と少しぶりくらいに感じているあたしの半身、というか、もう一人のあたし。
以前、ちょこっと魔竜王があたしを付けねらっていたときに、
気配が感じられなくなっていて、あれからだいぶたつけども。
最近になって、というか、先日その気配をようやく捉えた。
どうも、不安定な空間にてがんばっていたせいか。
おそらく。
以前、姉ちゃんに修行、と称して叩き込まれた。
時空のハザマにでも迷い込んだのかも…
いや、もうあのときばかりは本当にダメかと思ったもんね…あたし…
・・・・まあ、怖いことはとりあえず思い出さないようにして…っと。
しかし、万が一そうだとしたら、…大丈夫なんでしょうね・・・あっちは…
まあ、今気をもんでもしかたがないし。
今はとりあえず。
「とにかく!セイルーンに急ぐわよ!」
まあ、あっちに何かあったら、あたしにもわかるし。
つまり、あたしに何かあってもあっちにわかるわけで。
とりあえず、無事、というのが確認というか感じられただけでも、とりあえずはオッケー!
今一番問題なのは、何はともかく!
あたしの偽者!
あいつらの悪さをどうにか姉ちゃんの耳に入るまえに!何とかしないとぉぉお!
しかも、セイルーンで騒動というか悪さ・・・・間違いなく姉ちゃんの耳にすぐ入る。
いや、ぜったいに、間違いなく。
つまりは、セイルーンに向かっている、という、あたしのホムルンクスたちよりも早くに。
たどり着かなければいけない、ということで…
「えー…リナ、せっかくそこに宿屋があるんだし…すこしばかり休憩しても…最近、リナ冷たい…」
「だぁぁぁぁぁ!今はそれどころじゃないでしょうが!」
まったく。
それでなくても…その・・・昼近くまでその、何というか、動けないし・・毎日・・・
つうか、昼近くになってようやく宿からでるこの毎日で、どないしろ、というんだ?
いったい…
そんな理由もあって夜遅くまでいけるところまでいき、朝早くに出発する、という方法をとっているあたしたち。
何かそれでガウリイがいじけていたりするのは…まあ、あたしのせいじゃない。うん。
下手に気を許したら、それこそ、数日は宿にこもりっきりになるのが目にみえている。
「とにかく!セイルーンに急ぐわよ!」
食事をとったら、またまた。
増幅呪文を唱え、ガウリイに抱きかかえられた格好にて。
あたしは、セイルーンにむけて、レイ・ウィングの術にて飛び立ってゆく。
「ここね。」
「おーほっほっほっほっ!まってなさいよ!食べ放題!」
「・・・あのぉ?何か目的が摩り替わってませんか?私たち、困っている村人のためにヒドラを退治しにきたんじゃ…」
村人から聞き出したヒドラのすむ山。
確かにうっそうとした森が続き、その先にあるのは、切り立った絶壁。
しかも、その絶壁にどうやらかなり洞窟が多々とあるらしく。
「まあまあ、キャニー。物事にはどうでもいいことがあるのよ。ヒドラ退治はともかくとして、重要なのは。
今後あの村においてはただで食事ができる、というのが重要なのよ。」
にっこりと。
横で何やら意見してきているキャニーにと説明しておくあたし。
まあ、そんな当たり前のことはとりあえずおいとくとして。
「それはそうと、リナ?」
「わかってるって。出てきたらどうなのかしら?それとも、何?こちらから仕掛けましょうか?」
「え、えっ、えっ!?」
臨戦態勢にと入ったあたしとナーガに首をかしげ、何やら戸惑っているキャニー。
そして。
「へえ。勘だけはいいようだな。お嬢ちゃん。怪我したくなかったら、有り金といわず金目のものすべておいてきな。
まあ、おいていかないならおいていかないで、たっぷりと。楽しませてもらうだけだがな。
・・・・・・・・・まあ、そこの変な格好の姉ちゃんはともかく、スタイルだけはいいようだし。
栗色の髪の姉ちゃんは何か胸ないが、まあ楽しめないほどでもないだろうしな。」
むかっ!
何やらかぁぁぁぁなり失礼なことをいいつつも。
ざっ。
と。
あたしたちを取り囲むたかが数名の男たちの姿が。
そんな男たちのその言葉に。
「おーほっほっほっほっほ!笑わせてくれるわね!あなた方にこの白蛇のナーガ様がどうにかなるとでも?
その台詞、そっくりそちらにお返しするわ!
怪我したくなかったら、あなたたちこそ、有り金すべておいて立ち去るのね!おーほっほっほっほっほ!」
あたりにナーガの高笑いが響き渡る。
うーみゅ。
まあ、それはそれでいいんだけど。
だがしかぁぁぁし!
このあたしに暴言吐いたつみは万事に値する!
「何ぃぃい!?」
そんなナーガの言葉に何やら色めきだっている男たち。
そんな中で。
あたしはすでに呪文を唱え始めている。
何か不思議だけど、記憶ないにもかかわらず、すらすらと言葉がでてくる、というのは、結構かなり便利、といえばかなり便利。
ぱっ。
と脳裏に浮かんだし。
この言葉。
「黄昏よりも暗きもの 血の流れよりも赤きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において…」
ぶつぶつとつぶやくあたしのその言葉は。
「おーほっほっほっほっ!聞こえなかったのかしら?あなた方にこの白蛇のナーガ様をどうこうできるとおもって?
そんなの百万年早いわよ!おーほっほっほっほっほっほっ!
あなたたち程度なら、そのあたりのミミズでも相手にしてたらどうかしら?おーほっほっほっほっほっほ!」
そんなナーガの高笑いの声にとかき消されていたりする。
「…リ…リナさん…その術は!?」
横にいるキャニーだけが、それに気づいて、何やら顔色もわるく叫んでいるけど。
関係ないし。
んふふふ。
誰が胸なしですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?
「しゃらくせぇ!こうなりゃ、遠慮はいらねえ!後悔させてやるぜ!」
そんなことをいいつつ、その手に手に武器をもち。
あたしたちにと向かい来るそんな男たちだけど。
だがしかぁぁし!そうは問屋がおろさない!
人を胸なし呼ばわりしたその罪は万事に値する!
「竜滅斬(ドラグ・スレイブ)!!!!!」
ちゅどどどごぉぉぉぉぉん!!!!!
「うきゃぁぁぁぁ!?」
『うどわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?』
なぜか、少しばかりあたしの後ろにと避難していたキャニーを除き。
まともに、男たちと一緒くたに吹き飛ばされているナーガの悲鳴と。
まともに術をうけて、吹き飛んでゆく男たちの姿がそこにみえていたりするけど。
「ふっ。人を胸なし呼ばわりするのがわるいのよ!」
あたしの至極当然なそんな意見に。
「…さすが、リナさん。ロバーズ・キラー、と名高いだけのことはありますね。」
何か横でそんなことをいっているキャニー。
へー。
あたし、そんな風にも呼ばれてるんだ。
ま、そのあたりのことも今あたしなぁぁぁぁんにも覚えてないしね。
うん。
とりあえず…っと。
なぜかちょっぴりと地形がかわり、クレーターと化したその先に。
こげたりびくびくしている男たちから、金目のものをすべて奪い。
二度と悪さをする気にならないようにと。
下着一枚でそのあたりの木にとくくりつけておく。
ま、数日もしたら、こりるでしょ。うん。
「ちょっとぉぉおお!リナ!あたしまで巻き込まないでよ!」
何やら無傷でそんなことをいってきているナーガがそこにいたりするけど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で無傷?
・・・・・深くは考えまい。うん。
「あ、ナーガ。今の男たちから調達した資金は山分けね。」
「おーほっほっほっほっ!リナ、話がわかるじゃない!さあ、とにかく、とっととヒドラを退治しにいくわよ!」
「・・・・・というか、山の形が完全にと変わってるんですけど…」
キャニーの言葉に、ふとみれば。
先ほどまであったはずの山が。
何かぽっかりと半分ほどなくなっていたりするし。
・・・・・・・・・・・・・え、えっと。
もしかして、今の一撃でヒドラごと・・・あたし、吹き飛ばした?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
そんなことをあたしが思っていると。
「けほっ。けほほっ。あ、やっぱりリナさんたちです。お久しぶりです。」
なぜか。
いまだにちょっぴりと立ち上っている煙の先から、女性の声が。
あたしたちのほうにむけて放たれてくる。
・・・・・・・誰?
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あとがきもどき:
薫:・・・・・・ちなみに。
記憶ないのに、どうして、ドラグスレイブが使えるのか?
その理由は、かなり簡単です。はい(笑)
リナの中には、まだ、例の残留思念体が取り込まれているままだからv
わかる人にはこれでわかるはず(笑)ここでいったら、今後のネタバレだしね。
さて、次回、クレア登場ですv(だからまて!
んではでは。また次回にて。
2004年6月29日某日
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