エターナル・スレイヤーズ     ~ブロローグ~



「しっかし、何だっていうのかしらねぇ?」
ぶつぶつつぶやくそんな栗色の髪の少女に対して。
「なあ?本当に本当にもう大丈夫なのか?」
などと、心配そうに何やらいってきている傍らの金色の髪の青年。
「なあ…」
ぷちちちちっ。
「だぁぁぁぁあ!鬱陶しい!というか、大丈夫だからあまり話しかけるなぁ!それでなくても、道に迷うじゃないのよ!」
「だってなぁ…リナ、あんなに大怪我だったんだし…」
何やらつぶやくようにいっている傍らの男性の言葉に。
「だからって、何であんた!
  がそういや、あたしが怪我して、寝ている間、あんた、一睡もしてなかったそうじゃない?あんたこそ大丈夫なの?」
そんな隣にいる男性にと話しかけている栗色の髪のリナ、と呼ばれたその少女。
「だってなぁ。オレがそばにいたのに、リナにあんな怪我させて…」
「まあ、すんだことよ。というか油断したあたしもあたしなんだし。
   とりあえず、しばらく怪我とかもあって、資金、底をついてるから。無難なこの遺跡調査を受けたんじゃないのよ。」
そんなことをいいつつも、短剣の先にともした魔力の明かりで。
どんどん奥にと進んでゆく、リナ、と呼ばれた見た目、どうみても十三か四。
といったくらいの少女。
対してそんな少女の横にいるのは、二十歳くらいの金色の髪に碧い瞳の男性。
「だけど…まだあまり無理したら…」
なおも心配そうにそういってくるそんな男性の言葉に。
「あのねぇ!いつまでものんびりとしてるわけにはいかないの!ガウリイ!
    収入源がないんだから!あたしたちのようなたびの魔道士なんかは!
    お金がないと、食べ物もあまり食べられないんだからね!」
まあ、本当になくなったら、そのあたりの盗賊でも退治してお金を奪いと・・もとい、没収すればいいだけだけど。
そんなことをリナ、と呼ばれた少女は思いつつ。
傍らにいる男性…ガウリイ、と呼んだ青年に対して言い募る。
「ともかく!今回の依頼はそれほど難しいものじゃないと思うし…」
先日、ちょっとした事件にかかわり。
かなりの大怪我をしたこのリナ、という少女。
どうにか怪我も治り、こうして再び旅を再開しているのではあるが。
だがしかし、一応は大事をとり。
あまり無理でないような依頼を受けて。
そこそこに資金稼ぎをしているそんな状況のこの二人。
アトラス・シティを離れ、少し進んだ先にある。
ちょっとした名前も知られていないとある村。
そこで、二人が受けた依頼は。
村はずれの山の中にあるという、洞窟をしらべてきてくれ。
というもの。
何でもそのあたりの山に近づいて行方不明になっている人物がいるとかいないとか。
もっとも、距離的には、アトラスからあまり離れていないがゆえに。
そしてまた
時期が時期だけに、その行方不明になった、という人物たちがどうなったのかは…
先の事件解決にとかかわったリナたちには、痛いほどに理解できたのではあるが…
それゆえに、もしかしたら、その洞窟が先のあれに関係してるのかも。
とでも思うのもまた仕方のないことで。
あまり依頼料的には、おいしい、という額でもなかったのだが。
宿代ただ、という言葉と、食堂で食べ放題。
という条件から、今いる洞窟を調べにときているこの二人。
彼らの名前をリナ=インバースとガウリイ=ガブリエフ。
「しっかし、これは確かに何かありそうだわよね…」
洞窟の先に進んでゆくと何やら厳重に封印されているらしい扉があり。
そこはそれ。
ガウリイのもっているとある剣にて、その封印を解除し。
そのまま、その先にと進んで言っているこの二人。
洞窟の中、というのに、そこは、どうやら何かの遺跡、らしき場所のようで。
思わず、何かお宝があるかも!
と内心ほくそえんでいるリナ。
「ああ、だが、油断するなよ。リナ。」
「わかってるってば。」

そんなやり取りをしつつ、二人はそのまま遺跡の奥にと進んでゆく。


その先に、何が待ち受けているのか。
ということも知らずに…






ごぉぉぉぉぅ。
たきつけるのは…間違いなく瘴気。
一番奥の部屋の祭壇の、とある装置らしきものを解除したとたんに。
あたりにあふれ出る、間違えようのないその気配。
「な゛!?」
「なあ、リナ、これって、シャブ何とかってやつの気配じゃないのか!?」
さすがにその気配から、顔色を瞬時にと変えているリナに。
横からそんなことをいってきているガウリイ。
「というか、シャブラニグドゥだってば!うかつだったわ!まさか・・・・!」
まさか、ここに……が封印されてたなんて!
などと、うっかり開放してしまった自分を呪うが、時すでに遅し。
闇はどんどんと濃縮を増し、その場にあるものすべてを取り込もうとしている様子が見て取れる。
遺跡の奥にと隠されていたとある隠し部屋。
そこにたどり着いたリナとガウリイが見つけたのは。
何やら祭っていたらしい祭壇と。
そして、何らかの装置らしきもの。
もしかして、隠し倉庫とかの入り口の鍵かも。
 とか思い、うっかり開放してしまったリナなのであるが…
「ああ!こんなの姉ちゃんにばれたら!
    とりあえず、ガウリイ!あたし、あれ、どうにか抑えるから!あんたはその間に逃げて!」
などといいつつ、とりあえず自分のミスは自分の手で。
そんなことを思いつつ、横にいるガウリイにと叫んでいるリナ。
だがしかし。
「いやだ!オレはお前の!」
「自称保護者でしょうが!?…つうか、こいつに肉体とか与えるのやばそーだし…仕方ない。」
あまりやりたくないんだけどなぁ。
というか、だけどそれ以上に姉ちゃんのお仕置きのほうが怖いし…
そんなことをリナは思いつつ。
何やら聞きなれない言葉を発してゆく。
と。
次の瞬間には。
ゆらっ。
トッ!
リナの姿がなぜか二つに分裂したようにガウリイの瞳に移り…いや、実際に二人になっている。
「な゛!?リナが二人!?」
思わず驚愕の声を上げているガウリイ。
「あまりやりたくはなかったけどね!精神体の一部を本体である肉体から切り離したのよ!
    というわけで、本体でもあるあたしを連れて、ここから逃げて!」
というか、こっちのあたしは精神体、つまりは魂の一部だし。
これなら、こいつに何かされても、問題なし!
そんなことを思いつつ、とりあえず久しぶりに精神分離、などといった高度の術を使ったがゆえに。
肉体的には疲れ果て、ぐったりとなっている自らの体をガウリイにと預けているリナ。
そんな会話をしているさなかにも。
あたりに満ちてゆく、間違えようのない瘴気の渦。
「できるわけないだろう!?リナをおいてゆくなんて!?」
とりあえず、自分の腕の中にいるリナも、目の前にいるリナもリナには代わりがない。
それでなくても、先日のあの一件のときに、リナに大怪我をさしてしまった。
というのはガウリイの心の中に棘となって残っている。
自分がそばにいた、というのにもかかわらず…でかるからして。
「だぁぁぁぁ!聞き分けのないことをいうな!
  というか、このままだったらあんたもあたしの体も、こいつに取り込まれるでしょうが!
  あたしだけだったらまだ勝算はあるけど!」
 びしっ!
いいつつも、すでにほとんど部屋全体を覆いかけている闇を指差し叫ぶリナ。
そんなリナのせりふに。
「いやだ!」
「だぁぁぁぁあ!わがままいうなぁぁぁあ!いって!ガウリイ!」
「いって!ガウリイ!」
「いやだ!」
何やら場違い、ともいえる、掛け合い漫才のような言葉がしばし続き…
だが、その間にも。
ごうっ!
あたりに荒れ狂う魔力と…そして、瘴気の渦。
立っているだけでも、やっと、というほどの威圧感(ブレッシャー)。
それでもなお、言い合っているこの二人。
いまだにガウリイの腕の中のリナの肉体は目覚めぬまま。
そんなやり取りが数十分近く続いたであろうか。
当人たちにはかなり長く感じたであろうが。


「だぁぁぁぁぁ!聞き分けのないことをいうなぁぁあ!
    そっちの『あたし』まで取り込まれたら、それこそあたしは終わりなんだかんねぇ!」
先にキレて叫んだのはいうまでもなくリナのほう。
びしっ!
いいつつ、ガウリイの腕ので、気絶しているもう一人の『自分』を指差し言い放つ。
「いやだ!オレは、お前の!!」
言いかけるそんなガウリイの言葉を。
「『自称保護者』っていうんでしょうが!
  だったら、だったら、そっちの『力』を大半失った、『あたし』を守ってよね!―大丈夫だって。
  あたしは、こんなところで終わる気なんてないし!
  そんなことになったら、姉ちゃんにどんなお仕置きうけるかわかんないし!」
・・・どこか、問題がずれているような気もしなくもないが…
そんなことを言い放ち。
「・・・って!?リナ!?」
ガウリイが声を上げるとほぼ同時。
次の瞬間には、何やら叫んでいるもう一人のリナの口から、力ある言葉が発せられ。


「ともかく、こっからでていけぇぇぇぇ!」
パッ・・・ンッ!!!
スパーク。
一瞬辺りにとあふれかえる光。
瞬時に気絶している『もう一人の自分』とガウリイを強制的に。
『ここ』の空間より排出する。
― うん。大丈夫。
ガウリイなら・・・あたしを任せても。
そう、自分に言い聞かせ。
「さぁぁぁって、決着をつけるとしますか?シャブラニグドゥの残留思念さん?」
きっと、目の前にある闇をにらみつけているのは、栗色の髪に紅い瞳の少女。
目の前にあるのは・・・黒い…黒い、瘴気のような塊の・・・紅き闇・・・


「まさか、この遺跡に残留思念が残されてたとはねぇ。
    どうにかしないと、あたしが姉ちゃんにお仕置きされちゃうのよぉぉお!」

残された、リナの叫びが。

むなしくも、なぜか叫ぶ内容がかなり違うような気もしなくもないが。
遺跡の中に響き渡ってゆくのであった…





「リナ!」
気づいたのはすでに遺跡から追い出された空がみえる遺跡の外。
あわてて、戻ろうとするが。
だがしかし。
次の瞬間、目の前の洞窟ごと、彼の目の前からその場所は掻き消えて行く。
「リナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
彼の叫びがあたりにこだまする。


彼の腕の中に残されているのは…

その精神体の大半を失い、力をかなり失っているリナの体…


とくん。
暖かい。
とりあえず、自分がなすことは…今、自分の腕の中にいるリナを助けること。
リナ、待ってろよ。そっちのリナもきっと助けてやるからな!
そう、硬く心に誓いつつ。
そのまま、リナを抱き上げ、とりあえずリナを医者に見せるために。
その場から後ろ髪を引かれる思いで立ち去るガウリイの姿が。
しばし、見受けられてゆく…



                                -GO TO NEXTー



     TOP   BACK   NEXT

#####################################

まえがき:

  こんにちわ。
  なぜだかスーバーファミコン版。スレイヤーズをブレイしてて。思いついた話のひとつをば。
  某所に投稿してる、鏡の迷宮。
  あれに似通ったところがあるのは、まあお約束(かなりまて)
  何はともあれ、いくのですvv

#####################################


  あとがきもどき:
     薫:さてさて。
        とりあえず、意見があったので、開始する。
        と宣言したエターナル・スレイヤーズ。
        リナちゃん、いきなり何かピンチになってるし?
        というか、リナちゃんが二人!?
        まあ、そのあたりはおいおいと・・・・・・
        ちなみに、ガウサン、とーぶんでてきません!(こらまてぃ!
        んではではv
        それでもみてやろう。
        という人のみお付き合いくださいなv
         それではv


       2004年5月23日某日




 TOP   BACK   NEXT