まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ついにアメリア男性版登場
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If ~もしも…~新たな同行人?
「…しっかし…ララも考えてるな……」
思わず苦笑がもれているリナン。
「ん?いつものことだし」
そんなリナンの言葉にさらり、と答えるララちゃんに対して。
『…まあ、一応今は私のマスターですし。何かあったらそれこそ元の世界に戻れなくなりますし…』
ララちゃんの腰の辺りから声がする。
「…まあ、深くは聞かないが。…でも、自力で元の世界に戻れない、というのは本当なのか?」
他人と話すときには大概、猫をかぶってデスマス口調にとなるリナンとレナン。
ララちゃんも同じく猫をかぶって話すみたいだけど、それでは、三人とも息がつまる。
ということで、互いに普通の話し方にとなっていたりするこの三人。
『…はぁ。そこまでの力は回復してませんし…』
と言っている。ゴルンノヴァ。
「…ララがあの日のときにはゴルンノヴァが特殊防壁を張っておく…か」
そんな事を言っているレナン。でもそれもいい手ね。
「今から、私もアルテマに頼もうかな?」
そんなことを言った私に対して
「「お前今までどうしてきたんだよ~?」」
と声を合わして聞いてくるリナンとレナン。
「あの日の前後は、あまり戦うことは無かったからね」
当たり前な私の返事に
「「あ~、そう」」
何故か疲れた様に言ってくる二人。
「じゃ。アル、よろしくね」
と頼んでおく私。
『判ったわよ』
「ありがとう」
そんな会話をしている私達。
先日、ルルティス、と名乗った女性がやってきてから後。
問題の【賢者の石】は像の中よりだして、
ゴルンノヴァとアルテマの指導のもと、精製し、実はかなり小さくなっていたりする。
その事実を当然、ルルティス側は知らないのではあるが……
そしてまた、像そのものには、アストラル探査ができないようにプロテクトの術をかけ。
その為か一時ほど襲撃はなくなったものの…どうやら、別の存在。
俗にいう、魔族を使って彼らを探り出したらしく…
ここ、2~3日はそれゆえに襲撃が後を絶たなかったりするこの実情。
そんな中で、あからさまに【怪しい】以外の何ものでもない、
とある世間で有名な人物の名前を名乗って、私達に近づいてきたりした人物もいたりもしたのだが……
ララちゃんは勘で。
そしてまた、私とレナンとリナンは幼いころからの兄ちゃんとルナさんの特訓の成果によって、
人の真偽のほどを見極められる…という特技をもっている。
そして…ララちゃんの持っている【光の剣】。
真実は、別の世界、
ゴルンノヴァ。
別名、烈光の剣。
それと…私の持っている【闇の剣】
真実は、別の世界、白霧の王と白銀の竜神が治めている世界の魔王の腹心の一人。
アルテマウェポン。
別名、破壊の剣。
そんなゴルンノヴァとアルテマの見立てもあり…
【石】を狙っている存在の目的が、かいつまんで見えてきている今の現状だけど。
『…向こうが私とアルテマさんに気づいてないからできる手段ではありますが…でも……』
言いかける、今は剣の姿となっている『彼』の言葉に。
「わかってるって。…それにこの辺り一帯があいつに操られている、というのも…」
町にしろ村にしろ、先日、私たちの目にいかにも人のよさそうなフリをして近づいてきた。
世間でかなり有名で、現代の七賢者の一人、とも言われている、赤法師レゾ。
そんなレゾに操られたもの達が私たちを狙ってきたのは一度や二度ではない。
それゆえに仕方なく、野宿…もとい、盗賊などの本拠をつぶしてはそこで一夜を過ごしている私達。
…いい年頃の男女がするようなことではないと思うけど…
まあ私達にはそんな事関係ないし。
それに私以外の三人にあるのは、
性別の違いは関係なく、友達感覚というか親近感に近いものみたいだし。
「で?今日の寝床はアレでいいのか?」
「ああ」
「さっさと行こう眠くてしょうがないし」
「そうだ。」
何とも若い男女…傍目から見たら、リナンとレナンは小柄であるがゆえ女性にみえたりするので、
四人の女性の会話とは到底思えない会話をしつつ。
私達は山の中にとあるとある一角に向かって、足を進めてゆく。
ドゴォォォォォン!!
「て…てめえらは!?」
ごうっ!
辺りに火の手が舞い上がる。
何のことはない、リナンが一発、火炎球を放ったからに他ならないのだが。
「ふっふっふっ。悪人に名乗る名前はない!」
「まあ、そういうことで、お宝と今夜の寝床を提供してもらうので。」
にこやかに、さらりと言い放つリナンとレナンに。
「それじゃあ観念してね♡」
「くださいましね♡」
にっこりと言い放ち、剣にと手をかけている私とララちゃん。
一瞬、そんな私とララちゃんの笑顔に惚けるものの。
「何を!?オレたちが、あの!ヘルマスターズ!と知ってのことか!?」
何やら叫んでいる盗賊の男性。
「「「「知らない」」」」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
いともはっきりと、まったく同時にいう私達の言葉にしばし無言になる盗賊達。
「…くっ!だ、だったら!力づくでわからせてやる!女四人で我らにかなうとでも!?」
「あ♡それ禁句。」
「「…だぁぁれが女だってぇぇ?私は男だぁぁ~!!
ズドドドドッ!!
『うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
そんな盗賊の言葉にコメカミをひきつかせ、問答無用で術を解き放つリナンとレナン。
まあ、小柄で、しかも声もそんなに低くなく…顔も黙っていれば女の子…にしか見えないんだから。
そんな盗賊の反応も仕方がない…とは思うのけどね~
二人の力ある言葉と同時に、まるでアメのように炎の雨が辺り一面にと降り注ぐ。
それと同時に盗賊たちの悲鳴が巻き起こってゆく。
『…さすが、
何やらつぶやく、そんな『彼女』に対し。
「それはそうと、寝床をとっとと確保するぞ」
かくして…
私達によって、盗賊団がいともあっさりと壊滅させられてゆくのに…
……そうは時間はかからない………
がさり。
「よくもやってくれたな!」
森の中、私たちの行く手をさえぎる数名の男達。
スタスタスタ…
そんなわめく彼らを完全に無視し。
「そろそろ宿に泊まっても平気かな?」
「襲撃もないし…試してみる?」
スタスタスタ…
「…おい!!!」
「てめえら!これが目に入らないのか!?」
いって口々にその手にしている
だがしかし、私達にとってはそんな行動は脅しの一つにも入らない。
「そうしよっか」
「そうするか」
スタスタスタ…
「てめえら!いい根性だ!痛い目を見ないとわからないらしいな!やろうども!」
「「へい!!」」
「おうっ!」」
ザザッ!
その声を合図に私たちを取り囲む。
…まったく、鬱陶しいわね…
そんな盗賊たちをちらりと見て、手を軽く胸の前にと持ってゆく私。
そして力ある言葉を解き放とうとしたその刹那。
「そこまでです!か弱き旅人を襲う悪人ども!!
天が見ている限りこの世に悪の栄えるためしはなし!
今すぐに改心するならばよし!そうでなければ正義の裁きが下るのみ!!」
高々と…なぜか頭上より響いてくる声が一つ。
その少し落ち着いたようなトーンの高さから、男性…
それもまだ、そんなに歳を経ていない…というのがわかるが。
そんな声がなぜか木々の頂上より降り注いでくる。
「「何やつ!?」」
その声にあからさまに動揺している盗賊たち。
「ここです!」
高々と響く声に空を振り仰げば。
……なぜか木の頂上に人影が一つ……
そして……
「とうっ!!」
くるくる…
…ベシャ!!!!
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
その影は、そのまま木の上から飛び降りたかと思うと、
…回転しつつ、そのまま思いっきり、地面にとおっこちていたりする。
思わずその場を沈黙が支配する。
……が。
何事もなかったかのようにがばり、と起き上がり。
「さあ!悪人たち!観念するのです!このウィリアム=ウル=ティス=セイルーン!!
正義が何たるのかあなた方に実力でわからせて差し上げます!」
いいつつ。
ビシッ!
と指を突きつけているのは…
髪を短くショートのようにしている漆黒の髪に、ぱっちりとした大きな黒い瞳。
そして、どこかの神官服のような真っ白い衣装をまとった…
歳のころならば13~4程度の歳若い男の子。
一般的にいうなれば、かなりの美少年ではあるが。
まあ、それをいうならばリナンとレナンもだけど…
「…な、何だ!?てめえは!?」
唖然としつつも叫ぶ盗賊に対し。
「あなた方の悪事をくいとめよ!と天が使わした正義の使者です!
さあ、今ここで自らの悪事を悔い改めなさい!」
「何が正義だ!かまわねぇ!やろうども!こいつも一緒にやってしまえ!」
「へい!」
「がってんだ!」
「いたし方ありません。ならがこの私の手で裁きを下すのみ!」
そう何やら言い放ち。
そして。
次の瞬間には。
「
「「何!?」」
「
「
「
ドゴォン!
カキィン!!
バチバチ!
ドスススッ!!
幾度かこうげき呪文を放った後、
何やらその手に魔力を込めたのか、ものの見事に盗賊たちをのしてゆく少年の姿が……
「…え…えっと…こういう場合はどうすれば……」
「えっと……」
唖然とつぶやくララちゃんと私に。
「ちょうどいいし。倒れたやつらから金品…金目のモノを奪……
もとい、もらって役人に縛り上げて突き出せばいくらかにはなるな」
「そうだな」
などといいつつ、こちらもまた、
とどめ、とばかりに文字通り身包みはいで男達を縛り上げてゆくリナンとレナンの姿が…
「…なあ?ひょっとしなくても…また何か旅の連れ…増えるんじゃぁ……」
「たぶんそうみたいね」
そんな三人の姿をみてぼつりとつぶやくララちゃんと、それに答る私の姿がしばし見受けられてゆく……
「ご協力感謝します。お怪我はありませんか?」
手をぱんぱんとたたきつつ男達を縄で縛り上げ、私達にといってくるそんな少年の言葉に。
「別にないですけど…あなたは?」
とりあえず、猫をかぶりつつも問いかけるリナン。
そんなリナンの言葉に。
「申し送れました。私、ウィリアム=ウル=ティス=セイルーンといいます。
何やら不穏な空気と気配が立ち込め始めましたので、こうして原因を探るべく旅をしているんです。
それと少しでも正義を広めるために」
いいつつ、よく宮廷などの上層部のものがやるやうなうやうやしいお辞儀をしていってくる、
そんなウィリアム、と名乗った少年の言葉に。
「私はエミリア=フィリア=ノクターン。こっちがララ。見てのとおり旅の剣士よ」
一応自己紹介しておく私。
「私はリナン=インバース。こっちが弟のレナン=インバース。見てのとおりのたびの魔道士です」
とりあえず猫をかぶったまま答えるリナンに。
「ええ!!!!?するとあなたが!?あの!?」
何やら驚きを隠すこともなく、あからさまに驚いているウィリアム君。
「「…どういう意味だ……」」
思わず声が低くなるリナンとレナン。
だが、ふと。
「…って、『ウィリアム=ウル=ティス=セイルーン』!?もしかして、あのセイルーンと何か関係が?」
ふとその名前の最後の文字に首をかしげるリナン。
そんなリナンの台詞に。
「セイルーンは実家です。お爺様が国王をやってるもので。
…ですが、あなた方があの!盗賊殺しのリナンさんとレナンさんですか!!
これはきっと天が私にさらなあなたと共に正義を広めよ!といってるのですね!!」
ウィリアム君の中の認識では…リナン=インバースとレナン=インバースは盗賊を撃退…
または壊滅させているいい人…というイメージが定着しているみたい…実際は違うんだけれど。
「「国王…って!?んじゃあ皇太子!?」」
思わず叫リナンとレナン。
「それは父さんです。お爺様の長男である、父フィリオネルの私は二番目の子供にあたります。
上には姉が一人いますけど。」
驚く二人ににこやかに答えるウィリアム君。
そして。
「旅をしている。とおっしゃいましたね。これも天のめぐり合わせです!ぜひ私もご一緒させてください!
きっとこの出会いは『世にはびこる悪を滅せよ。』との天のお告げに違いありません!
あ、私のことはウィルと呼んでください。というわけでよろしくお願いします。
えと、リナンさん、レナンさん、それにエリーさん、ララさん」
「「「「……まだいい。といってない……」」」」
つぶやく私達の言葉は何のその……
結局。
説得はムリ…ということと。
断る理由もないから…ということで、
一時のち、ウィリアム君ことウィル君もまた私たちと共に行動することにと決定してゆく。
だけど…王位継承権を持つ王子を平気で出すセイルーン…
何かしら一抹の不安を感じざるを得ないのは……
おそらくは誰にでも言えると思う……
-続く?-
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あとがきもどき:
龍:次回なんとエリーとララが誘拐・・・・・・・
・・・・・・・まあララもエリーもあの日の真っ最中だから
その痛みからいつもの機敏な動きができないからご了解ください。