今回は、あまり意味がない回です。
でも、少しばかり、友人二人の心に?といったものが芽生える、そんな場面です。
何はともあれ、意味になってないですが、いくのです!

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       蒼き水晶の歌姫  第25話



そこは、はっきりいって、不思議、としかいいようのない空間。
それはそうであろう。
何しろ、このご時世というかこの世界状況の中で。
霧のために、その概要がわからない場所など。
そんな場所がこの惑星には七箇所も存在する。
ある科学者などはそれは不思議な現象などではなく、科学的に証明できる。
そう、言い切り、それの解明にと尽力を尽くし…結果。
最後にはそのはじめに言っていたことを覆す結果と今までの歴史上。
そうなっているのもまた事実。
いまだになぞに満ち、それゆえに、人は未知なる物にと興味を注がれ。
結果、七不思議、として存在している霧に覆われているそんな場所。
宇宙空間からも、そしてまた、大気圏内部からにおいても。
絶対にその内部が確認できない…そんな空間。
その中のひとつ。
ここ、とある小島が並ぶとある諸島。
そんな中にあるという、伝説のひとつのとある島国。
伝説では本当に小さな島らしいが、その姿を見て記録にとどめているものは、いまだかつて数えるほど。
それゆえに、その現状をいまだに正式に誰もが把握していない、というのもまた事実。
海上に浮かんでは消えてゆく、人魚やそしてイルカ、見たこともないような、真っ白いまでのイルカの大群。
あまり白いイルカ、というのは一般的には知られていない。
一説には古から、白いイルカは神の使い、とか言われていた時期もあり。
そして、逆に…悪魔の使い、と呼ばれ大量虐殺された記録もまた残っている。
ゆえに。
すでに絶滅したのでは?と噂されてはいるものの。
だがしかし、その姿を見た、という話も多少記録に出てくるもので。
今では絶滅危惧指定になっているそんな生物。
写真などでしか見たこともないようなそんなイルカが、
彼女たち三人-由香子・悦子・洋子が乗っている車を先導するかのように、
並んで少しばかり水しぶきを上げながらも一緒に進んでゆくその様子は。
はっきりいって、感動、以外の何者でもない。
「きゃーきゃー!すごい!」
などといいつつ、歓声を上げている洋子と悦子とは裏腹に。
「…はぁぁぁぁ~…」
一人ただ、ため息を深くついている由香子。
「ほら、見えてきたわよ…あれよ。」
あまり由香子としてはそこにいくのはあまり気が進まない。
だがしかし、その訳を言うわけなど…そちらの理由の方がはっきりいって説明できない。
ゆえに、気が進まないながらも。
しかたなく、洋子たちの意見にともなって、その島に行くことを決めている由香子。
「すごーい!みてみて!島全体が光ってるぅぅぅぅう!」
由香子が指を指し示したその先に、確かに見えるのは光に満ち溢れている小さな島。
?あの島は光っているはずは…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
声を弾ませそんなことをいっている悦子の言葉に。
思わず首をかしげ、そして島の方にと視線をむけ。
「・・・・・・・・・・・・・・げ!?」
思わず、思いっきり叫んでいる由香子。
というか、やっぱり、というか、気づかれてるぅぅぅぅぅう!!!!
あわわわわわわわわ!!?
などと少しばかりちょっとパニックも入っていたりするが。

― 由香子はまだ知られたくない。
いや、できれば一生…彼女たちには。
人の一生というものは、とにもかくにもはかなく…そして短いもの。
今までに、確かに長寿であった存在もいた。
だけども。
今まで、自分がいったい本当は『何』なのか。
それがわかってしまってそれまでの態度とまったく変わらなかったのは。
一握り以下、というかほとんど皆無。
…知ってしまったが最後。
たいていは誰もが、自分を特別扱いし、または、自分を手にしたものが、この惑星の支配者になれる。
などといった馬鹿な勘違いをしでかすものすらいた始末。
彼女たちならば、自分が『歌手』として活動しているのを知っても、態度を変えなかったことから大丈夫のような気はするが。
だけども。
どうにもならない理由でせっかくできた、親友、と呼べるべき友人たちを失うのは。
長い、長い年月を隔てているそんなわが身であっても、それは……

「ね、ねえ?本気でいくき?」
『??』
珍しいまでにどこか由香子が弱気になっているように見えるのは気のせいかしら?
などとそんな問いかけをしてくる由香子をみつつ、首をかしげている洋子と悦子。
「どうしたの?」
何かいつもと違うそんな由香子の様子に首を傾げつつも問いかける。
「あのね…悦子。…あの明かり…島全体でわざわざ【灯り】灯してるのよ・・・・あれ…
   つまりは歓迎の儀式みたいなものなんだけど…かなり濃いのよね…それって…」
どこか遠い目をしつつ、そんなことを言っている由香子。
「「濃い?」」
二人にはそんな由香子の言葉の意味がわからない。
「でも、ここまできたんだし。いきましょ。」
首を傾げつつも、島全体に灯りを灯したその小さな島を指差しつついっている洋子。
「…わかった…」
これ以上、何かいって、怪しまれるのもいや。
それゆえに、そんな二人の言葉にため息つきつつもうなづく由香子。
そんな会話をしている最中。
彼女たちののった乗り物は、ゆっくり、ゆっくりと島にと近づいてゆく。






「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
乗り物が島にと近づくにつれ、聞こえてくる歓声。
それと同時に、どういうわけか。
自分たちの周りに俗にいう、
絵本とかの中でよくみている、羽の生えたような人間が踊りながら先導しているのは一体全体どういうわけか。
いったい、何がなんだか、当然、二人にはわからない。
しばし、状況を把握するひまもなく、呆然としている間に。
やがて、車は、島のおそらくは港らしき場所にとたどり着いてゆく。





「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」
思わず乗っていた車から外をみて、間の抜けた声をだしている洋子と悦子。
それもそのはず。
何しろ、そこにいるのはおそらくは人間であろう、そう思っていたのに。
どうしてどうして。
なぜ、どうみても、動物、としかいいようのない猫や犬、そしてウサギなど。
そういった小動物がなぜに二本足でたって、しかも言葉をしゃべっているのか。
いや、それだけではない。
なぜかその背中に様々な色の羽を持った人間らしき人物や。
中には確かに普通の人間らしきものも存在はするが。
変わっている、というように感じるのは体全体がまるでうろこのようなもので覆われている、二足歩行をしている生物。
それらも全員が言葉を話していたりする。
「…いい忘れてたけど…ここ、鳥とか、あとは恐竜とか、そのほかもろもろ。
  そういったものが進化した生物も共存してすんでるから…って、説明しても今は無理?」
ため息つきつつ、二人に向かって説明している由香子ではあるが。
だが、その説明をされている当の二人は、いまだに目を丸くしたまま。
まあ、こんな状況の中、パニックに陥る、というのがないだけ、まだましなほうであろう。
と、とにかく、降りて…
混乱する思考の中、とりあえず車から折り始める洋子達ではあるが。





ざわっ。
二人が島に降り立つと同時に、一瞬あたりに緊張が走る。
― 違う、違う?何者?
そういった、警戒心、そんな視線やつぶやきが二人の耳にと届いてくる。
「静まりなさい!」
ざわめくそんな人々の中。
凛とした、洋子や悦子が聞いたことのないような声が響き渡る。
それも後ろから。
どこかで聞き覚えのあるようなそれでいて、強い口調の凛としたその声に。
思わず振り向いた二人の目にと入ったのは。
ざわめくそんな人々を見渡して、片手を腰にと当てて、そんな人々にと一喝している由香子の姿。
「この二人はこの私の友人です。そして、…今回訪れたのは正式な訪問ではありません。仰々しくすることは、硬く禁じます。」
澄み切った由香子の声が、あたりにと響き渡ってゆく。
「…どういう意味?」
「さあ?」
今までに見たことのないような由香子の態度。
そんな友人の姿をみて、そんな会話をしているこの二人。
彼女たちは知るはずもない。
由香子の本当の正体を。
それゆえに、今の由香子の言葉の意味を理解することなどは到底不可能。
ただただひたすらに、首をかしげるそんな洋子と悦子の耳にと。
「…そんな、せっかく…ィニー様が…」
「あのお姿がこのたびの…」
などとざわめく人々の言葉と。
そして、そんな由香子の言葉に一斉に。
ザッ。
膝を軽くつき、片手を地面にあてて、全員が地面をむき頭を下げているのはいったい全体どういうわけか。
「ああもう!いい加減にしてぇぇぇぇぇ!!」
こういった対応をされるのは、いつになってもなれない。
というか、こんな対応をされると悲しくなるのが現状。
「と、とにかく!二日ばかり滞在しますけど、何も!しないように!― いきましょ。洋子、悦子。」
いまだに膝まづき、そんな由香子の言葉に驚きの表情を浮かべ幾人かは、由香子の顔を見上げているが。
だが、そういった者たちには目もくれず。
とにかく、ずんずんと二人の手をとり、そのままその場所から離れてゆく由香子。
「ちょっ!?ちょっと!!?由香?!何なの!?あれ!?」
さすがに、あのような、いきなり、といっても過言でないほどに。
そこにいる全員が膝まづくなど、普通考えられるはずもなく。
混乱しつつも由香子にと問いかけるそんな悦子の言葉に。
「― 気にしなくてもいいの。」
「「…いや、普通気にすると思うんだけど…」」
疲れた口調でピシャリといってくるそんな由香子の言葉に。
思わず同時につぶやく悦子と洋子であった。





いろいろと聞きたいことは山とある。
というか、この島そのものが、とにかく不思議。
まるで透き通ったような木々や花々。
よくよくみれば、それは水晶や、そして鉱物など。
それらが生命をもって木々や花々にと進化しているらしきものが見て取れる。
そして、空には、よくある昔ながらの絵本に出てくる妖精、としかいいようのない。
小さな人の姿をした羽の生えた生き物や。
挙句はどうしてこうして。
その背に真っ白い羽を生やした人間や動物など。
そんな生き物を目の当たりにして、どうして驚かずにはいられようか。
何か言葉をかけようにも、とにかくそんな光景がずっと続いているがゆえに。
何となく聞きそびれ、そのまま由香子がずんずんと進むがままにとその後をついてゆく。


― やがて。
彼女たちの視界にと、真っ白い、建物らしきものが見えてくる。
そこは、海を見下ろす断崖と、その後ろには豊かな緑の森。
螺旋状に、断崖の壁の上には階段が建物にと続くようにと作られており。
それはまるでどこかの絵画のような何とも不思議な感じのするそんな建物。
そこのみが、周りから切り離されたかのような、独特の雰囲気をもっている。
…そんな、空間にある、白い建物。
「えと?由香?あれは?」
とりあえず、いまだに黙り込んでいる由香子にと、恐る恐る問いかける。
気のせいか、何か由香子、この島の人々の様子に辟易しているような感じうけたけど。
というか、そもそも、あの島の人々の反応…何?
などと、聞きたいことは山とある。
あるが、何かそれは聞くのがためらわれる。
それゆえに、自分たちが向かっているらしいその建物のことについて話題を振る。
「あ、ごめん。そういえばいってなかったわね。
  とりあえず、この島に滞在している間、別荘を使うから、あの建物がそうよ。―ごめんね。びっくりしたでしょ?
  …この島の人たち、ほとんどがあーなのよ…
  人を勝手に神聖化してあがめるわけ…気をつけないと、洋子たちも崇め奉られるわよ?」
それはある意味事実。
そんな由香子の言葉に。
思わず顔を見合わせ。
『そりはいや……』
た、たしかに、由香子があまり気乗りしなかったわけ…何となぁぁぁくわかったような気がする…
先ほどの人々の対応を思い出し。
その対象が自分であったとして想像し。
即座にそんなつぶやきをもらしている二人であるが。
まあ、確かに、誰でも気分がいいものではないであろう。
…いきなり、膝まづかれて、自分に対して人々が頭を下げる、ということは…
― でも、そもそも、どうして【神聖化】?なんてものをされるわけ?
二人同時にそんな疑問が心に浮かぶものの、だがしかし。
その疑問は何となく二人とも口にすることがはばかられ。
そんな会話をしている中。
「あ、ほら、そろそろ着くわよ。」
気づけば、真っ白い石が敷かれているどうみても人の手が加わっている、
そんな建物にと向かう道。
その道を進みつつ、やがて、三人は白い建物の前にとたどり着いてゆく。


それはちょっとした、中世のお城のような感じをうける、そんな建物。
「ここって?」
「だから、別荘。」
「…由香子の家って、ひょっとしてお金持ち?」
「普通じゃない?さ、入りましょ。」
別荘、と聞かされ。
まず頭に浮かぶのは、当然家族が所有しているような別荘。
まさか、彼女個人がもっている別荘だなどと、一体全体誰が想像するであろう。
「あ、うん。」
にっこりと由香子にと微笑みかけられ。
そのまま、洋子と悦子は建物の中にと入ってゆく……



                                         -続くー
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  あとがきもどき:
       薫:白い砂浜、白い建物、そして…日の光に輝く銀色のがけ。
         ちなみに、この島。
         常識ではまったく考えられないことが起こる島でもあります。
         まあ、もっとかなり細かくいえば。
         常識的には絶滅した、と思われていた海の生物など。
         そんなモノがここにはまだ生きながらえていたりするのです。
         当然、その後進化したモノもいたりします・・・・
         ここ以外では、ジャングルの奥地とかでは、
         逆に大陸において絶滅した、と思われているような生き物、などが生き残ってたり。
         進化して文明を気づいていたり…と。
         とにかく、霧の空間たる七箇所は何があっても不思議ではないのですv(おい!
         あ、ちなみに、余談ですが。
         この別荘。
         歌手としての別荘ではなく、由香子がその本来の姿としての別荘みたいなものです。
         ちなみに、この建物、すでに築数百年は経過していたりしますv(ネタバレv
         まあ、意味のない話ですが、モー少しお付き合いくださいな。
         多分次回の終わりで今回の旅行は終わりですね。
         んではではー。

         2004年2月16日某日

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