蒼き水晶の歌姫 第23話
― 祭典の間。
そこは、かつて……
あたりを見渡せば、不思議な空間。
としかいいようがない。
「…というか、どうして空が見えてるんだ?」
一人のつぶやきにふと天上を見上げた観光客の一人が。
思わずつぶやき、ほかの人々も天上にと視線を向ける。
確かに、ここは、ピラミッドの中であるはずなのに。
天上に当たる部分からは、完全に空が見え、雲が浮かんでいるのが具間みえる。
だからといって、ここが、外とつながっている。とかではなく。
それは、上空から中が見えないことからも明らか。
つまりは。
「…どういう材質なんだ?これ?」
思わず、つぶやいている一人の男性。
まあ、無理もないであろう。
外から見た限りは普通のただの岩のように見えるというのに、中からは、外がしっかりと透けて見えているなど。
そんな材質は彼らは見たことも聞いたこともない。
まあ、一部では今そのような材質が普及というか、市販に出始めてはいるのではあるが。
だが、それはまだ、普通の一般人には知られることはなく。
見上げればそこにあるのは、透き通った、外からは石にしか見えない、中からは外が透けてみえる、
という、変わった材質で天上が覆われている、その空間。
そして。
広い空間の四方の壁には。
見たこともないような文字らしきというか文様なのか。
ともかく、文字かはたまた文様かわからないようなものが、びっしりと描かれていたりする。
そして。
「…これって…この惑星じゃいの?」
ふと、一人が、そこに描かれている文様を指差し、思わず声を漏らす。
見れば、そこには、この惑星。
つまりは、この太陽系のすべての惑星らしきものが描かれている文様が、壁の一角にと刻まれていたりする。
一人が何のきなしに、壁の一角にと手を当てる。
すると、その壁の付近が天井と同じようにと透とおり。
そして、外の風景がそのまま彼らの目にと飛び込んでくる。
「「な゛!?」」
思わず絶句する以外の何ものでもない。
彼らの目にと入ったものは。
炎と、そして煙を上げている建物やそして乗り物の数々。
そして、何やら、全身を真っ白い装束にと身に包んでいる、完全武装している人間たちの姿。
彼らがそれぞれに、このあたりにある建物などに火を放っていたりする様子が映し出され。
それに絶句する間もなく。
次の瞬間には。
この時期、絶対に降るはずもない雨が空から降っている様子。
それらは、燃え盛る炎を消すと同時にそのまままるで、何かの神秘的な力が働いているかのごとくに、
そのまま雨はやんでいき。
そんな光景がひとつの壁の一面にと映し出されていたりする。
これは、今現実に外で起こっている出来事だと。
誰ともなく理解する。
事実。
そのとおりであるのであるが。
ウーウーウー!
けたたましく、サイレンの音が鳴り響く。
「暴徒共を逃がすな!」
誰が通報したのか、それは不明。
だがしかし。
けたたましいサイレンの音とともに、このあたりの自警団と、そしてまた、このあたりの連邦に所属している軍隊が出動してくる。
そして、彼らの活躍もあり、攻撃を仕掛けてきた、テロリストたちは、そのままあっさりと捕らえられ。
そしてつかまってゆく様子が。
「えっと、皆さん、けが人はいませんか?」
気がついたら、そんな声がかけられていた。
それは誰がいっているのか混乱したこの状況の中ではよく見えないが。
だが、それが女の子の声であるであろうことは明白。
広い、といっても、この空間にこのピラミッドの中にいた観光客たちすべてが、一気に入り込んでいるのである。
広い空間も人ごみでごった返しているのは明白。
ある壁の文様というか文字をなぞれば、この空間は。
異次元空間とつながり、この空間を広く使用することも可能なのであるが。
そんなことは当然、この場にいる観光客たちは知るはずもなく。
ここは、かつて。
この場所から、この太陽系が所属している銀河空間の。
それらとの連絡手段に使っていた、祭典の間-
周りは動揺しまくっている人々でごったがえし。
「しっかし、由香、よくこんな場所、しってたわね。」
攻撃を仕掛けてきた武装したものたちが。
とりあえず、軍隊が出動し、取り締まりを始めたのを確認し。
一息つきつつ、合流してきた由香子にと話しかけている洋子。
「え?だって、壁にかいてあったじゃない?」
にっこりと。
さも、当然のごとくに言い放つそんな由香子に。
「というか、あれ、文字?というか読めるの?」
「読めないの?蓬莱町に住んでいるものなら。あの文字は読めるわよ?」
きょとんとした視線でそんな洋子たちを見つめている由香子。
「…あれって、いったい何なの?」
問いかけるそんな悦子の言葉に。
「ああ、あれ?あれは…」
- ユニ・クローズィット。
そう、呼ばれているその文字は。
ある世界では、【混沌の言葉】、とも、そしてまた、【原初の海の言葉】。
ともいわれていたりするが。
またの呼び名を、【宇宙配列文字】ともいう。
古より、どのような惑星でも、すべて共通しているその言葉。
それは、すべての母なる宇宙の言葉ともいえるもの。
それを文字にと示したものが、この『ユニ・クローズィット』と呼び証されている文字。
といっても、いまだにこの惑星の人々というか科学者などは。
その意味すらも捕まえてないのが今の人間社会の現実ではあるのだが。
由香子は、とりあえず。
簡単に、その文字の始まり、と言われているそのところから。
軽くかいつまんで彼女たちのと説明してゆく。
「…ごめん、説明されても意味わかんない…」
由香子の始まりからの説明に、思わず頭を抱えている洋子に。
「それはそうと、もう外にでても大丈夫だろうから。まずはこの人たち、外に出さないと。」
とりあえず、考えても頭が痛くなるだけだし。
などと思いつつ。
何しろ、今の由香子の説明は、はっきりいって理解不能。
聞いていれば、まるで、そう。
この惑星がある、というか、すべての星星がある、
というか存在している宇宙空間、その大部分を占める暗闇。
それに意思があるように何か捉えようによっては聞こえたのであるからして。
…事実、『意思』はあるのだが…
それは、普通に暮らしている人間などは知らない事実。
何しろ由香子の説明では、聞いたことのないような専門用語らしきものも先ほどは飛び出していた。
そんな説明でどのように理解しろ、というのであろうか。
そんな悦子の言葉に。
「それもそ~ね。あ、そうだ。」
ふと、気を取り直し、話題転換も兼ね。
「えっと、皆さん、怪我した人とかはいませんかー!?」
とりあえず、けが人の有無を確認している洋子。
万が一、けが人とか、気分が悪くなっている人がいるのならば、まずはその人物の保護が先決。
彼女としては、普通に彼女たちの言葉で話しているつもりなのだが。
彼女が由香子からもらった翻訳装置。
まあ、それはかわいらしいブローチの形を今はしているので、さほど目立ちはしないが。
ちなみに、これ。
そのトップなどを持ち上げることなどによって、機能が充実しており、ある程度の大きさには収縮が可能。
つまりは。
あるときにはペンダントトップのような形式にもなれば、今のようにこうしてブローチのようにもなる。
何でも、由香子の生まれ故郷である、蓬莱町にあるとある企業が今【開発】途中している品物だ。
そう、悦子と洋子は聞かされてはいるが。
つまりは、二人はいわゆるモニター係りのようなもの。
ま、まあ、こんなものがおいそれと完全一般普及でもしようものならば。
まあ、言葉による苦労はこの惑星上から掻き消えるであろう。
何しろ、この装置。
その気になれば、動植物などとの会話も可能なのである。
それにただ、いまだに洋子たちは気がついてないだけで。
ちなみに、この装置は身に着けている本人の声のまま。
その声を聞いた人に、その当人の声のまま、彼らの母国語で話しているかのようにと、
その耳というか脳には伝わる仕組みとなっていたりする。
つまりは-
十人、違う言葉を持っている人たちが、それを身につけている一人の言葉を聞くと。
その十人が十人とも、その言葉を自分たちの言葉として理解してしまうのである。
ちなみに、由香子が二人に渡しているのは、さすがにそういった効果があるのでは普及させるのはまずいかも。
という理由から、一般発売される品にはある程度の制約がもうけられているのに対して。
まったくもって、何も制約も何も施されていない、完全なる完成品。
ゆえに。
洋子の言葉は。
その声を聞いたすべてのそこにいる観光客たちにと、それぞれの母国語として、彼らの耳というか脳裏にと届き。
そして、理解されていっていたりする。
「ここから、外に出れるから。」
にこやかに笑って。
ひとつの壁にと書かれているとある文字をなぞる由香子。
と。
シュン。
まるで、その壁の一部が掻き消えるかのごとくに。
そこにあったはずの壁が掻き消え。
そして、出てくるのは、少し斜めとなっている、ひとつの歩道。
「みなさーん。ここから外に出れますので。落ち着いて避難してくださーい!」
由香子の声に。
思わず人々の視線が、その新たにと出現した道にと集まってゆく。
そこには先ほどまでかなったはずの道が確かに存在しており。
先ほどまで外の様子を壁越しというか壁にと映し出された光景としてみていた人々である。
まだ外に家族や仲間といった連れがいる観光客も少なくない。
そんな彼らが率先して、その言葉を疑うことなく、そのまま。
その新たにとできた、なぜか少し薄明るく光っているようにすら見える、その細長い少し傾斜のかかった道にと足を踏み入れ。
われ先にと外にむかってと歩き始め。
やがて、その足並みは。
すべての観光客というか、この場にと避難していた人々に広がり。
やがて、人々はこの道を通って外にとそのままこの建造物より脱出してゆく……
彼らが目にしたものは。
ほんのりと湯気を立ち上らせている大地と、そして、少し燃えたであろう建物。
そしてまた。
湯気が立ち上っているようにと見えるものは、先ほど、時期的にもありえるはずのない雨がもたらしたその水滴により、
当然、あたりの気温が高いこともあり、それらが蒸発している湯気に他ならない。
そんなことに気づくのはごく一部。
ピラミッドの中に入る前より、太陽が異様にまぶしく感じるのは気のせいか。
そんなことを思っているものたちもいたりするが。
それは別に気のせいではない。
雨により、この場にと満ちていた、よどんだ空気や汚れ。
そういったものが、空気中から大地にと叩き落され。
空気が澄んでいるがゆえに、そのように感じるのである。
雨の後、夜空の星星が異様に綺麗に見える、あの効果と同じであるのだが。
「さ。戻ろv」
いいつつ、いまだにざわめくその場から少し離れ、そして指輪上にしていたそれをそのまま彼女たちの目の前にとそのまま投げる。
それと同時に。
ポンッ
軽やかな音とともに。
その場にと出現する、一台の車。
ちなみに、今回は、さすがに太陽の光などがきついためか、
それでも、天井の屋根は透き通り、といっても少しばかりフィルムが張られたように、少し黒くなっていたりするのだが。
見た目には普通のオーブンカー、そうとしか見えないような一台の車が。
何もなかった場所にと突如として出現する。
「いや、戻ろうって、由香?事情聴取、うけなくてい~の?」
ほかの観光客などは事情聴取というか、何がどうなったのか。
やってきている兵士や軍隊、そして警察などにと話を聞かれていたりする。
「いいのよ。下手に事情聴取うけて。私が百合香だって知られたら、それこそ厄介だし。」
彼らは根ほり、はほり聞き出す。
というのはそもそも常識。
普通に考えても、かなり深いところまで、質問を受けることは必死。
「…まあ、確かに、私も面倒なのはいやだし。ということで戻りましょ。悦子v」
「・・・いいのかなぁぁぁぁ?????」
一人首を傾げつつ。
それでも、由香子と洋子に促され。
そのまま車に乗り込んでいっている悦子の姿が。
プロロロ。
由香子が運転する、といっても、この車。
ある程度の自動操縦が可能。
であるがゆえに、目的地を入力し。
そのまま、仲良く三人で周りの景色などを眺めつつ、ドライブがてらに進む、彼女たち、洋子、悦子、由香子の姿が。
広い、広い砂漠の一角にて、しばし見受けられてゆく…
「「こ…これは!?」」
観光客などから説明をうけ。
そして、彼らが避難していた、という場所に、警察や軍隊などが確認のために入り込み。
驚愕の声を上げ。
後日、そのことが、世界を再び揺るがす大発見になることは。
当然、洋子も悦子も知るはずもない…
-続くー
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まえがき:
二日連続外は雪v
このまま、クリスマスも雪だったらいいんですけどねぇ。
いや、別に意味はないけど、気分的に・・・・
それに雪の方が雨より仕事するのにも濡れないし。外でても。うんv
今年はとりあえず、ケーキは三つv
去年が五つで一昨年が七つだったから、少ないなぁ・・・・うみゅぅ・・・・
この時期のみのホール喰いv
最近、ケーキの食べ放題がないからさみしーです・・・しくしくしく・・・・
都会の方では常にあるんでしょうけどねぇ。
ここは田舎だから・・・・くすん・・・
まあ、何はともあれ、もうすぐクリスマスv
とゆーか…年賀状…宛名はすべて刷ったけど。
裏面がまったくまだだという、情けなさ・・・・
うわぁぁぁん!買った年賀状イラストが、バージョン対応違いだったみたいで、
そのまま宛名職人で開けないのよぉぉ・・・
しくしくしく・・・。
宛名職人limited対応…となってないとだめだったのね・・・
宛名職人2003とかの対応になってたから大丈夫と思ったのに・・・・
しくしくしくしく・・・・・
などとぼやいている、今日この頃・・・・
2003年12月20&21日某日
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あとがきもどき:
薫:ちなみに、追加説明。
触れてませんけど。
彼ら、自分たちを助けてくれたのが少女である。
というのしか覚えてません(笑
容姿がどうしてもおもいだせないのですよねー
それは当然、由香子が彼らの記憶部分にちょっとした細工をばv
まあ、あの空間内部で術を使えば、知られる可能性ははっきりいって皆無(まて!
なので。
事情聴取をうけても、由香子たち三人のことは。
女の子であったことは思い出せますが。
容姿までは思い出せません。
しかも、言葉が先ほどいったとおり。
すべての言語に理解できているがゆえに。
どこの観光客であったのかすらも。
特定できない状況となってたりします(笑
ある意味、似たもの主従…(ぽそり
い、いえ!何でもないですよ!?スミレちゃん!?
ですから、あの!?そ、そのロッドは!?
(薫、背後に突如として出現したかわいい女の子が手にしているロッドを
みて驚愕の叫び-やがてロッドが振り下ろされ…)
?:はい。ということで、薫さんはどこかにいきましたので。
まったく、タイニーの話を打ち込みするのはいいけど。
私の小説はどうなってるのかしらねぇ?
ま、このタイニー。
フェアリーの名前を与えている存在ではあるんだけど…
何はともあれ、また次回にてv
それではねv
謎の美少女でしたv
(いいつつ、黒いポニーテールと赤いリボンをたなびかせ、
少女は出現したときと同様に突如として掻き消えてゆく…)
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