蒼き水晶の歌姫 第17話
「ええええええええ!?そんな!?」
完全に思惑が外れた・・とはこういうことをいうのかもしれない。
「ですから?現地で合流してもかまわないでしょ?」
そういってにっこりと微笑む百合香。
はっきりいって思惑がかなり外れた・・といっても過言ではない。
「だけど!百合香ちゃん!」
「多分。社長?まちがいなく、私のパスポートで本名と連絡先。知ろうとしたんじゃないですか?」
にこやかにそうきっぱりといわれ。
「・・・・・うっ!」
おもわず言葉に詰まる。
確かに。
それが一番の目的・・・ではあったのだが・・・・。
「だからって・・・あ、でも現地集合って・・・言葉・・・・」
どうにかその意見を変えようとするものの。
「あれ?いってませんでした?私一応すべての国の言葉・・話せますけど?」
さらりと爆弾発言をしている百合香。
「・・・・・・・・・・」
しばし沈黙。
『・・・って・・・・ええええええええ!?』
思わず事務所にいたすべての人たちの声が重なる。
「??そんなに驚くことですか?」
そんな彼らをきょとんとしつつみている百合香。
普通驚かないほうがおかしいとおもうが。
何しろいまだにこの百合香は16歳。
その歳で・・・すべての言葉が話せるなどと・・・・。
それが本当かうそなのか・・・はたまた大げさにいっているのかはともかくとして。
それはかなりすごいことではある。
この世界、すべての言語といえば、かなりの数になる。
それを・・・すべて・・・・。
まあ、彼女にとってこの惑星上においてわからないことなど。
はっきりいって皆無に等しいがゆえにこんなことは当然なのであるが。
「とにかく予定表をいただければ、それに合わせて私は現地集合しますから。」
そうにっこりと言い放ち。
「それでは、私はそろそろこのあたりでお先に失礼しますね♡)」
いまだに絶句している彼らをそのままに。
サーチェプロダクション事務所を後にする星空百合香。
そのまま裏口から出るといつものように待ち構えている新聞記者や、そのほかの記者の姿・・そして彼女のファンの姿が。
そんな彼らをかるくあしらいつつ、近くにある森の中にとはいってゆき。
そこの中にある小さな神社の中にて髪を結びそして服を着替え。
そのまま由香子の姿で道を歩いてゆく岡村由香子。
人間というものは見た目にだまされる・・・というのをよく反映しており。
ただ、長く伸ばした髪の毛を二つにみつあみにし、そしてめがねをかけただけで。
・・・・・星空百合香だとばれないのだから世の中不思議である。
そのままいつものようにファンたちを巻きつつ、帰路にとついてゆく由香子。
今日は、数ヶ月後にあるという海外での撮影についてのその返事をしてきたところ。
彼女が所属する事務所の社長や従業員、そして同僚たちは。
それで彼女の本名や本当の連絡先などを知ろうとする思惑があったのだが。
由香子としてはそれはどちらかというとあまり知られたくはない。
それでなくても・・・由香子は今、一人ぐらしをしているのだ。
万が一・・・ということは彼女にはないに等しいにしろ。
静かな生活が乱されるのは・・・あまり好ましくはないのが実情。
それゆえにずっと本名も住所も連絡先も。
秘密主義でアイドル歌手として活動しているこの由香子。
彼女と事務所が連絡をとるのは彼女がもっている一台の携帯電話のみ。
「・・・・・うう・・・・」
思惑がはずれうなる社長に。
「なら?社長?その時期にそこに出かける旅行者・・・該当する人がいるか、いないか確かめる・・・というのは?」
そういってくるここに所属している役者のその言葉に。
「・・・・そうはいうけど、アテナにいく観光客・・・どれくらいいるかしってるの?かるく一万人・・・超えるんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・」
その言葉にすかさずつっこみをいれているここ、プロダクションの社長。
それでなくても時期が時期。
ちょうど普通の学校なども夏休みに入る時期。
・・・・・旅行者は・・・格段にと増える。
「・・・・・・・・・・うう。とりあえず・・・・どうにか隙をみて。どうにか百合香ちゃんの本名だけでもしっておきたい。」
まさか所属している歌手のその名前から身元、そのすべてに至る、すべてがわからない。
という状態のまま・・・ずっといくわけには・・・・はっきりいってそれは経営者としても。
そして個人的にもよくないと思われること。
そんなことをおもいつつ。
彼・・・・ここ、サーチェプロダクションの社長は・・深くため息をついてゆくのであった。
「・・・・・で?親には了解とれた?」
今日は終業式。
明日からここ、聖凰学園は一般より少し早めの夏休みにと入る。
それは、高等部でもあるここの学園に入学した由香子たちにとっても、初めての長期の休み。
終業式がおわりそう教室で問いかける由香子のその言葉に。
「うん、私のほうは大丈夫。」
「というか、由香、母さんたちに絶対な信頼あるし・・・・」
そういっている由香子ととても仲がいい二人の親友たる洋子と悦子。
「じゃ、問題はないわよね♡)あ、パスポートは?」
そう問いかける由香子のその言葉に。
「あ、それももう大丈夫。」
「私も。」
「うん、私もちゃんと送ってもらったし。」
などと口々に会話をしているこの三人。
「ねえねえ?何の話?」
そんな彼女たちに話しかけてくるクラスメートたち。
「あ、うん。この夏休みにね。海外旅行をするっていう話になってて。」
そう答える由香子のその言葉に。
『ええええぇぇぇぇ!?いいなぁ!・・・お土産よろしくvv』
ものの見事に・・・・彼女たちと仲がいいクラスメート達からといわず、同じ言葉が重なっていたりするが。
「・・・・・・・・由香ぁ・・・いいだしっぺが全員の金額もちね♪」
「えええええええ!?そんなぁぁぁぁ!? ・・・・・・うう・・・わかったわよ・・・・・」
さらっと洋子につっこまれて、しぶしぶながら承諾している由香子。
それぞれの思惑をそこに残し。
学園生活最初の長期休みに入る前の終業式は。
とどこおりなく終了し、最後のホームルームを後に生徒たちはそれぞれ、帰路にとついてゆく。
本来の学校などでは長期休み・・というと。
これでもか!というほどの大量の宿題がでて、
それまでのおさらいと、そしてあまり羽を伸ばさないように。
という学校の思惑があってのことか夏休みに対する宿題は。
はっきりいってかなり出るのがいまだに一般的ではあるものの。
ここ、聖凰学園はそんなほかの学校とくらぺて・・そういったものは。
ほとんど普段とあまり変わりなく・・・しいて言えば。
本当におさらい程度の宿題しか出ない。
それもこの学園の生徒たちの自主性に任せる。
といった生徒の主体性を尊重した学園形態となっている。
それゆえにここの生徒たちは・・その自主性というかその精神は。
ほかと比べて自力で成長してゆく場合が多い。
この学園が世界に名だたる有名な学園・・というのもこのあたりに原因はある。
押さえつけるのではなくすべて自主性に任せるといったその校訓。
それは、この学園の創立者でもある鳳凰亜美の教育方針の賜物。
「・・・・よっし!戸締りオッケー!」
さわさわさわ。
そんな彼女のまわりに集う人ではない生き物たち。
そんなあたりにいる生き物たちににっこりと微笑みかけ。
「留守をいつもどおりにお願いね♡」
そういってにっこりと微笑みかける由香子。
この家にきたことのある人間ならまずはじめに・・・必ず驚くことがある。
それは・・・この家には俗にいう絵本にでてくるような妖精とか、精霊。
そういった生き物が・・息づいているのである。
それはこの家に来た存在ならば誰でもその姿をみることは可能。
人間、目に見えない・・いや、見えていても見ないようにしていたがために、その能力をなくしているだけ。
ここ、由香子が住んでいるこの家はそんな世間の空気とは異なる空気に満ち溢れている。
それは古代の・・・本来あるべき空気にこの空間そのものがなっているからなのだが。
とりあえず戸締りをきちんとし。
長期旅行だというのにその荷物はそんなに多くはない。
しいていうならば肩にかけているちょっとした大き目のかばんがある程度。
長期旅行にそれだけの荷物で出かけている由香子。
・・・・ま・・まあ、彼女にしては何かいるものがあれば。
この惑星上であればどこででも一瞬で移動ができるのだから。
この荷物でも多いくらいに感じているのだが・・・。
さすがにほとんど手ぶらで出かける・・・というのは人目というか、一緒に旅行する友達の目のある。
そういいつつ、戸締りをきちんとし。
そして。
「・・・・さて・・・と。そろそろ時間だし。いきますか。」
ふと時計をみるともうすぐ待ち合わせ時間。
そのまま、家のいまだに敷地内部にいるにもかかわらずに目を閉じる。
と。
シャラン・・・・。
まるで鈴がなるような音をそこにのこし。
由香子の姿は・・・そこから完全にと掻き消えてゆく。
「う~ん、結構荷物・・・重いね。」
コロツキのかばんをもち、ここから飛行場まで電車で移動し。
そしてそこから一気にと今日より海外旅行にでる彼女たち。
そういいつつ、待ち合わせ場所にと選んでいる駅の一角で。
そんな会話をしている悦子と洋子。
「確かにね。でもあれ・・買うようなお金・・・ないし。」
世間に出回っている荷物がよく入り・・・それでいて、かさばらないものがあるのは知ってはいるが。
それもかなりいまだに値段が高く彼女たちのような学生に手が届く範囲ではない。
大量にそれが生産されて安くなっているのならば話は別だが。
それを作っている会社が・・・その製法はその会社のみにしかできないらしく。
その数にも限りがあり。
その会社が作っている中には見た目普通のかばんなのに。
大量の品物がその中に入れられる・・・というものもあったりする。
それは何でも次元というか物質世界と精神世界などのかかわりをうんたら・・・・
という話はきくには聞くが。
よくその意味は彼女たちには理解できてはいない。
というか、いまだにそれを完全に理解している人たちなどはごく一部に過ぎないのだが。
「まあ・・・・確かにね。」
まあ、誕生日に・・・ちょっとした小物入れ。
それを由香子からプレゼントされたときには驚いたが。
何でもあの会社は由香子の出身地でもある蓬莱町の会社だからとかいう理由で
そしてまた。
何でも由香子はその会社の経営者に顔がきくらしく、かなり安く手に入るとか入らないとか。
蓬莱町。
そこに住んでいる人たちはその今までは閉鎖されていた町であるせいか。
かなりそこに住む人たちの絆は深い。
そう彼女たちは認識している。実際にそうなのだが。
そんな会話をしつつ、待ち合わせの時間まで。
ぽんやりと椅子にすわり時間をすごしてゆく二人の姿が。
駅のホームで見受けられてゆくのであった。
「ごめん!おまたせ!」
ぱたぱたと、そんなのんびりと会話をしていた二人の耳に、由香子の声が聞こえてくる。
「あ、やっほー、由香・・・って・・・荷物・・・それだけ?」
おもわずちょっとした一抱え程度の鞄ひとつをもっている由香子をみて。
思わず突っ込みを入れる悦子。
「うん。荷物、多かったかな?」
そういいつつ鞄をみる由香子に。
『その逆だって!!!』
おもわず同時に洋子と悦子、二人の突込みが入ってゆく。
そんなほのぼのとした会話をしつつ。
彼女たち三人は。
これから海外に旅行に行くべく、電車を乗り継ぎ。
そして向かうは飛行場。
そこから彼女たちは・・・・アテナへと向けて旅だってゆく。
当然ツアーとかでなく個人的な観光旅行。
それゆえに案内役も誰もいない三人だけの気ままなたび。
「ええええええ!?百合香ちゃんは一緒でないの!?」
やはりというか当然の反応。
「・・・・えっと・・・現地で合流するとかいって・・・・(涙)」
彼とて泣き出したい気持ちは同じである。
そんな社長のその言葉に。
「ほんとーに百合香ちゃん・・・くるんでしょうねぇ?こなかったら国際問題だよ?」
「あ・・・・あはははは・・・・(汗)か・・・確認してみます(汗)」
じと目でそういわれあわてて百合香と唯一連絡がとれる携帯電話の番号にと。
電話を入れてゆくプロダクション社長。
ピルリラ、ピルリラ、ピルビルビルリv
懐から響くひとつの音。
「・・・・あ、電話。」
由香子が使っているのは回りにその磁力の影響が及ばない。
これもまた蓬莱町にその本拠地をおく会社の電話。
その性能はかなりよく今では世界中にその利用者は結構いたりする。
そのまま、ぶちっと電話をとり。
「もしもし?」
とりあえず窓の連結器のところにいき、周りに人がいないのを確認しつつ、電話をとる由香子。
とりあえず数個乗り継いで後はこの新幹線を乗り継ぎ。
向かう先はあとはまったく自然にやさしいとある電車に乗り継ぎ、空港にと向かうのみ。
そんな中でかかってきた電話は・・・・・。
「・・・・・はい?・・・・あら?社長?」
周りに人がいたらこの電話には出れない。
それゆえに周りに人がいないときのみにこの電話には出ている由香子。
いつもはなかなかでない百合香がすぐさまに電話口にでたのは運がいいのか悪いのか。
「百合香ちゃん!?今どこ!?と言うか本当にくるんでしょうね!?今確認とられてるんだけど!?」
由香子にとっては電話の向こうから。
社長にとっては電話口の向こうから聞こえてくる声。
そんな社長である、彼のその言葉に。
「あ、大丈夫です。今空港に向かってますから。
それにきちんと合流しますから、心配ないと伝えておいてください。それでは♡」
簡単にそれだけいって電源を切る。
あまり長く話しているとどこから彼女が百合香だと。
ばれないとも限らない。
そんな互いの思惑を乗せたまま。
由香子たち三人が乗った電車は。
やがて空港にとたどり着いてゆく。
-続くー
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あとがきもどき:
薫:・・・・・・・・うっし!よーやく次回はターミナル!
・・・・・な・・・・ながかったかな?(汗)
・・・・・さて・・・・海外イベント・・・・文章にできるかな?(汗)
・・・・うー・・・・ま、ファイトだ!おー!
ではでは・・・・・。
ただいま2003年7月18日午後23時40分・・・・・。
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