まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ようやぁぁぁぁぁぁぁく、例のシャディー(のさらだ館)の回なのですv
そういえば、このまえ、まだあったんだ。
とサラダ館の看板みつけました(笑
あの宣伝、一時流行ったんですけどねぇ(苦笑
そういえば、今まで日曜日…いく度だしたっけ?うみゅ?
そういえば、十八代王朝時代は古代エジプト史において新王朝時代、といわれております。
しかし女王の即位した時代がBC1500年ごろ、となっている。ということは?
BC1565年ごろにエジプトがイアフメス王において統一されているわけで…
あの時代の人たちの年齢ってどうなんだろう?うにゅう?
ちなみにすでにBC1565年ごろには馬と馬車が伝わっていたらしいので遊戯王の設定はあるいみ問題なし。
何しろうま…でてくるし……
王家の谷の建造がBC1520年ごろ、となっている以上、そのあたりの設定。
というのはわかるんですけどね…
しかし、ふとおもったこと。
エジプト統一したイアフメス王が18王朝、ではないのか?ナゾ……
まあ、史実と漫画では異なりがある、ということなのでしょうけどね(汗
ちなみに、史実では事実、イアフメス王がエジプト統一して第十八王朝開始、となっております。
王様かわっても第○○、というのは血筋がたえないかぎり同じ…だっけ?
えっと、調べてみれば第18王朝の時期。
BC1567からBC1320年の間。その間が第十八王朝、とくぎられている時代です。
というわけで(どういうわけ?)この時代設定は。
BC1510からBC1460年の間の出来事、という形になりますのであしからず♪
だってそれくらいの間がないと…他は数十年という短い期間で王様の名前判明してるしね(涙
アテムの名前をもじってアテン神という太陽神信仰つくった、という設定も違和感なくなるしv
(ちなみにイクナテン王がアテン神をあがめはじめてます←今のところの史実)
まあ、いろいろと史実を並べましたがゆくのですv

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「誰?誰かいるの?」
地下に続く階段。
それを下りきり、しばらくゆくと、どうやら地下牢のような場所にと出た。
何をしたのか不明だが、目の前の子供が何やら手をすっとかざしてつぶやくと同時。
数多といた見張りとおもわしき人々も今では気絶、または眠っており意識はない。
「その声…シズカちゃん!?」
その声に覚えがあるアンズが思わず叫ぶ。
以前、いっとき同じ場所に閉じ込められていたが、別の場所につれていかれた同じ立場の女の子。
アンズとは違い、彼女がいうには村が襲われてつれてこられた…と聞いてはいるが。
シズカ?
では、あのカツヤとかいう人物の妹?
そんなアンズの声にふとカツヤのことを思い出す。
「?誰?」
目がシズカは見えない。
だけども気配はわかる。
判るが…二つの人の気配と、そして。
何か横にいるキサラ、と名乗った少女に似通った気配がもうひとつ。
さらにいうならば、何やら邪悪っぽい気配もうっすらと感じ取る。
「……あなたは……」
シズカをとりあえず守るように。
自分は容姿はともかく、目は見える。
まず自分の容姿に人は驚き、くぎづけになる。
それが彼女への興味半減につながれば、自分の存在意義もよかった、とおもえるかもしれない。
そんなことをおもいつつも、すっとシズカを守るように片手を出して、牢屋の外にいる人物にと語りかける。
だがしかし、そちらに目をやりおもわず目を見開く。
一瞬驚いたのはリョウとて同じこと。
一度もみたことがない、真っ白い肌の色に髪。
瞳の色も透き通るようなまでの青。
「…なるほど。白き…竜。ね。この前から感じていた気配は君のか」
そんな彼女の背後に白き竜の姿を視とめ、苦笑まじりにつぶやきをもらす。
自分が感じていた気配は、まさにこの目の前の少女のもの。
聖なる力をその身そのものに宿している存在。
「あ…あの?あなたは……」
そんな顔をすっぽりとフードで覆い隠している少年らしき人物の台詞に戸惑いの声をあげるキサラ。
「それより。はやくここからでたほうがいいんじゃない?」
自分の中にある負の気配は今はない。
だが、いつ目覚めるかわからない。
だからこそ、自分の意識がはっきりしているときに行動をおこしておきたい。
それがリョウの本音。
「たしかに。急いだほうがいいみたいだな。…すこしはなれて」
リョウの意見はもっとも。
だが、この牢屋の扉にはかなり頑丈な鍵がかかっている。
ここにくるまで、鍵をもっていた見張りなどはいなかった。
力任せでこじ開けては逆に今は気絶している人々が起きる可能性がある。
ゆえに【力】にて鍵を開く。
すっと手を鍵の部分にかざすと同時、がちゃり、と鍵が開く音。

~第20話~

コッ……
ごぉぅっ。
背後で離陸する飛行機の音がする。
真っ白い服にターバン。
その手には金色の何かをにぎっている。
かつん。
守人の一族として、そしてまた自分自身の役目としてこの地におりたった。
聖なる地を荒らすものには聖なる裁きを……

「エジプト発掘展?」
「うん」
バサッ。
学校に新聞をもってくるのはどうか、ともおもえなくもないがこの高校はそのあたりの校則はあまり厳しくはない。
この学校のモットーは生徒の自主性に任せてはいる。
が、勉強に差し支えがあるようなことだけはしない、というのが条件で。
しかし自主性にまかせすぎてあまりに手のつけられない生徒たちを野放しにしている、という点は問題がある。
家からもってきていた新聞を休み時間にばさっと広げ周囲を見渡す。
興味をもった数名、というか遊戯と親しい人物たちが彼の机を取り囲むようにと座ったりたったりしているこの現状。
【王家の谷で王墓発見】
見出しにはそうかかれている文字がひとつ。
さらに詳しくみれば発見されたのはついこの間であり、
エジブト政府の許可をうけとある美術館にて展示会をする、という内容の記事。
発見されたときも新聞に記事としてあがったのだがそれはそれ。
そのときは小さな記事だったがゆえに城之内達は気にとめてもいなかった。
もっとも、『遊戯』はそれらもきちんとチェックしていたのだが。
そんな新聞をのぞきこんで横から読んでいる杏に、椅子にすわったままで後ろをむいてへ~といっている城之内。
「明日からド童美野町の美術館で展示されるんだ」
そんな彼らにむかいにこやかに説明する遊戯の台詞に、
「え~。おもしろそう。いこういこう!」
きゃいきゃいとはしゃぎながらもいっている美穂の姿。
「うん。僕の爺ちゃんがお墓を発見した大学の教授と友達でさ。発掘展に招待してくれたんだ」
新聞には墓を発掘したメンバーの代表とそしてそれに対してのコメント。
そして展示会についての説明が書かれている。
「この写真の人ね」
そこにはたしかに採掘にかかわったとおもわれる人物と出資者とおもわしき人物の姿。
それをみて至極もっともな意見をいっている杏であるが。
「エジプトってなんか神秘的で素敵!」
すぐに意見をきりかえて何やら一人すこしばかりはしゃいでいたりするのはお約束。
こういうところはほんっと昔からかわらないよな~、杏は。
そんなことをふと思う。
『…こ~いうとこはアンズは昔も今もかわってないしな』
遊戯の横に出現していたもう一人の『ユウギ』がそんな遊戯の心のつぶやきをうけてしみじみとつぶやく。
「そういえば。遊戯のもっているそのパズルも元はエジプトの王家の墓にあったものだったわよね」
「あ。うん」
ふと思い出したようにそういう杏の台詞に素直にうなづく。
正確にいうならばお兄ちゃんのお墓だったんだけど。
かつて『王』の墓よりそれを持ち出したのは他ならない遊戯の祖父である双六である。
まあその墓の主ともいえる当事者が認めているのでそれは別に盗掘とかにはあてはまらない…と彼らいわく言っているが。
「でも、たしか以前、遊戯のそれって他の人がもったりしたら大変なことになる。とか遊戯のお爺さんがいってたわよね」
以前、杏はそのあたりのことを多少なりとも聞いている。
聞いている、とはいっても詳しく丁寧にまではきいてはいないが。
しかしながら不可解な現象を目の当たりにしている以上、それらを認めているのも事実。
「何かお兄ちゃんがいうには、このパズルがもっている力に飲まれるとか何とかいってたけど……」
『まあ心がつよくなければまちがいなく飲まれるな』
それは事実。
内部に自分の魂とともに封印した邪悪な存在に見出されて糧とされてしまう。
もしくはそれらを封じている闇の部分に触れて自ら破滅の道をたどるか、のどちらか。
「「力に飲まれる。って……」」
少し考えながらもいう遊戯の台詞の意味がわからずにきょとんとして首をかしげている美穂と城之内。
「お。おい。遊戯。お前大丈夫なのか!?」
よくわからないが何となくオカルト系統のような気がひしひしとする。
それゆえに戸惑い気味にとといかけている本田の姿。
しかしいく度かすでに遊戯がもう一人の姿に変化するのを目の当たりにしている以上、さほど驚くこともないだろうにな。
とは遊戯の言い分。
「僕は平気だけど?」
彼だからこそ制御できている、というのが真実。
もっとも詳しいことをユウギにしろ遊戯にしろわざわざ説明する気はさらさらないのだが。
何しろ知ればまちがいなく自分たちの宿命に巻き込んでしまう、というのがわかっているがゆえに、
必要でない限りは説明する気はさらさらない。
「お。みろよ。ミイラもみつかった。ってかいてあるぜ?」
よくわかんねぇけど、お、面白いこともかいてある。
よくわからない。
ということでそんな会話をさらっと流し、新聞をのぞきこみつつそこに書かれている文字をみて面白そうにいっている本田。
「み…ミイラ!?」
ずざっ。
その台詞に思わず後ずさる。
「お。何だ?どうした?顔色が悪いぞ?まさかミイラが怖い、とかいうんじゃぁ……」
その反応を見逃さずにいたずら心をだして問いかける。
城之内とは長い付き合いでもあり、そういう手のものが苦手だ、というのは本田はよく知っている。
それゆえのからかい。
「そ、そんなことあるわけないだろ?!」
そんな本田のからかいに必死で言い訳をしている城之内であるが、いかにも言い訳っぽい。
しりごみしたままでそういっても誰も信じはしないのだから。
と。
ん。
まてよ?
ミイラ?
これはもしかして…おいしいかも!
城之内をからかいつつも、
-きぁぁぁ!
-美穂ちゃん、怖がることはない。君は命にかえても俺がまもる!
-強いのね。本田君……
本田の脳裏でおもいっきりまたまた妄想が繰り広げられる。
この本田の妄想はいつも妄想だけで現実になったことなどないのだが、
彼の行動力がこの妄想によるものだ、ということはあまり知られてはいない。
んふふふ。
美穂に抱きつかれる様子を妄想しつつ、怪しげな笑いを一人あげ、
「よぉし!いくぜ!エジプト発掘展!」
何だか一人異様に盛り上がっている本田であるが。
「それじゃ。明日の日曜日。一時に美術館に集合ね」
今日は土曜日。
今はちょうど朝のルーム時間の前。
本日の授業は午前中でおわり、部活動があるものはその後部活の後にと帰宅する。
それはいつもの彼らの日常の光景――

童美野
「おお。武藤さん」
「おお。吉森君。久しぶりじゃのぉ」
童美野美術館の前にて旧友にあい挨拶している双六とそして初老の男性。
「あ。お久しぶりです」
そんな初老の男性…吉森に昔であったことがあるがゆえに、ぺこり、と頭を下げている遊戯。
「やあ。どうもご無沙汰しています。遊戯くんも元気そうだね」
遊戯の姿をみとめて小さくかがむ。
彼一人だけ制服、というのは遊戯は律義にきちんと校則を守っているからに他ならない。
校則にはこうある。
外出時は理由がないかぎりは制服であること、と。
もっとも、それを守っている生徒などまずいないが。
「あれ?あの?その人って……」
確か新聞におじさんと一緒に写っていた……
疑問視する杏に対し、
「こちらこそ。展示会に招待してくれて感謝しておりますじゃ。おお。みんなにも紹介しておこう。彼が吉森教授じゃ」
そこにいる真崎杏、城之内克也、本田ヒロト、野崎美穂の四人に説明している双六。
遊戯はかつて出会ったことがあるのでこの人物が双六の知り合いだ、というのは知っている。
「はじめまして」
「おお。王様の墓を発見した今や時の人だぜ」
「ん~。かっこいい」
双六の説明をうけてひとまずそれぞれ挨拶している杏達三人。
「その後ろの人はもしや?」
そんな吉森、と紹介された人物の後ろに恰幅のいい男性が一人。
そんな彼をみて多少顔をくもらせつつも吉森にと問いかける。
双六とて彼のもつ負の気配はいやでもわかる。
欲望に飲み込まれたものが発する闇の心の気配。
「え。ええ。お察しのとおり、今回の発掘に資金援助をしてくださった金倉さんです。
  そして今回の展示会の主催者でもあります」
最近の発掘はお金をだしてくれるスポンサーがいなければ続けられないのも事実である。
ゆえにどうしてもそういうスポンサーには発掘者達は逆らえない。
何ごとにおいても資金、というのは必要になってくるのだから。
特に大発掘作業となればそれにかかる費用も莫大。
「金倉です。武藤殿の御高名はかねがねおききしておりますじゃ」
古代史を語るのに古代の文字を解読でき双六はかなり貴重。
それゆえにその筋ではかなり彼は有名であったりする。
一部では、武藤博士、ともよばれているのだが。
心の奥底にある悪意を表にだすことなくにこやかにほほ笑みかけて手を差し出している金倉。
そんな彼らとは対照的に
「?」
お兄ちゃん、さっきからずっとだまってるけどどうかしたのかな?
かつての自分の国の品々の展示会。
懐かしいのもあるからうれしいような気もするけど。
ふと、じっと彼らのほうをみているユウギに気づいて首をかしげている遊戯。
常に遊戯のそばに姿を表しているものの、『ユウギ』はさっきからずっとだまったまま。
だからこそ心配している遊戯。
古代エシジブトはかつての『ユウギ』が生きていた時代でもある。
今回の展示品はそれよりもかなり後の時代のものらしいが。
と。
「吉森くん。例のものは?」
双六たちと会話している吉森にとこそっと耳打ちして話しかけている金倉。
そんな金倉とほぼ同時、ふと人の気配を感じて振り向く遊戯。
あれ?
今誰かがこっちのほうをみてたような?
勘違いかな?
たしかに視線を感じたのにそこには誰もいない。
『ユウギ』もまたそちらのほうを見ているので誰かがいたのは間違いはない、のだろう。
が、そこに誰がいたのか遊戯にはわからない。
「あ。そうでした。確か再びお孫さんの遊戯くんが千年パズルを組み立てられたとか……」
吉森がいうよりもはやく、遊戯が首からげている逆三角の金色のそれにと目をとめ、
「そ、それか!噂の千年パズル!というのは!」
いうなり遊戯の首からさげたままのそれを手にとり高らかに言い放つ。
「これはすばらしい。古代史に残る歴史的貴重で文化的遺産だ」
みるひとがみればその目が欲望に血走っている、とわかるであろう。
しかし遊戯はそんなことは思わない。
もっとも『ユウギ』の目はごまかせないが。
そういや、これをお兄ちゃんのお父さんが創造った。
というのも歴史上の痕跡においてはどこにもその痕跡がのこってないんだっけ?
そんな金倉の台詞にふとおもう遊戯。
それゆえに多少悲しくもある。
確かに存在していたのに、その存在そのものが抹消されてしまったようになっている『ユウギ』。
そしてその父親たる存在であるアクナムカノン。
「金倉さんは美術商を専門にしているから目は確かだよ」
そういわれても遊戯からしてみれば文化遺産、とかいう品物ではない。
ユウギの魂が封じられているとても大切でかけがえのないもの。
歴史的云々、というよりは遊戯にとっては家族同様でありそういわれてもピンとこない。
「遊戯くん。お願いだ。この展示会にその千年パズルをメダマとして展示させてくれないか?」
「え~?」
いきなりといえばいきなりの金倉の申し出。
それゆえにおもいっきり戸惑う遊戯。
『遊戯、ことわれよ?』
そんな彼の申し出をうけ、腕をくみながら遊戯にと話しかけてきているユウギ。
一応、かなりの目があることから他人が手にとっても害のないように制御はしている。
もし、『ユウギ』が制御をしていなければ、
まちがいなく手にとった直後に人はその身の中にある心の闇を表にだしてそのまま引き込まれてしまうであろう。
彼の思惑があまりに見え見えでもあるし、何よりも千年秤と千年錠の気配が近くにあるこの今。
自分の力がすぐに発揮できない状況にはさせたくない。
それはすなわち、遊戯の安全面においても危険が伴ってしまう。
「たのむ!このとおりだ!」
お兄ちゃんはこういうけど…この人、ものすっごく頭を下げてるし……
遊戯は基本的に優しすぎる。
もっとも、その類の性質を分けて誕生させたのが遊戯なのだから仕方ない、といえば仕方ないのだが。
そのことを遊戯は知るよしもない。
おもいっきり頭をさげられて戸惑う遊戯。
何だか人が頭をさげたりしていると、自分は何もしていないのに自分が悪いような感覚に陥ってしまう。
それは誰しも人間が根本的にもつ性質、なのかもしれない。
「あの。そんなことより早くミイラを……」
「いこいこ!」
そんな遊戯達とは対照的にそのまま美術館の中にはいってゆく本田と美穂。
「たのむ!このとおりだ!」
「う~ん。それじゃ、今日の閉店までなら……」
あまりに深く頭をさげてくるので気の毒になってしまう。
ゆえに妥協案をいっている遊戯なのだが。
『遊戯!お前なぁ!』
やはり、というか何というか。
遊戯の性格上、許可するような気がしていたが本当に許可するとは。
わかってはいたが、それでもやはり抗議せざるを得ないユウギ。
かといって危険性を説くには問題がある。
遊戯は基本的に隠し事はうまくない。
ゆえにもし例の品々の所有者に気付かれてしまったらもともこもない。
『でも、こんなに頼んでるのにダメ、というのも悪いし……』
自然と古代エジプト語にてユウギと話している遊戯であるが。
このあたり、無意識のうちにやってのけるのはユウギであるがゆえ。
『まあまあ。ファラオ。あと数時間で閉店ですし。ほんの数時間ですからいいのでは?』
シモンとて二つの気配が近くにあるのは察知している。
特に千年錠はかつて自分がもっていたもの。
わからないほうがどうかしている。
かといってこういう輩は無理に却下したらどういう行動にでるのか予測がつかない。
下手をすれば危険なことにもなりかねない。
『シモンっ!』
『しかし。こういう輩は下手に却下したらどういう行動にでるか。ここはひとまず……』
『?爺ちゃん?お兄ちゃん?こういう輩って何?この人、何かあるの?』
シモンのいいたいことはわかる。
わかるが。
一人よくわかっていないがゆえにきょとんとしてそんな二人に問いかけている遊戯。
『しかし。あの気配がある以上、俺がすぐに力が発揮できない状況は望ましくないんだが……』
『遊戯には常にわしがそばについておきますじゃ。伊達に初代所有者ではありませんぞ?』
たしかに千年錠はもともとシモンが所有していたもの。
その使い道もその特性も何よりも理解している。
千年錠とて本来の持ち主である『シモン』と今現在の所有者の意思。
どちらをとるか、といえばまちがいなく本来の持ち主のほうの意志をとる。
それがわかっているがゆえの双六の提案。
「?遊戯?おまえ、爺さんと何はなしてるんだ?」
摩訶不思議な言葉にて話しているっぽい遊戯と双六を見比べて戸惑い気味にといかける城之内。
「さすがは武藤博士。古代エジプト語がペラペラですな。…お孫さんのほうも」
「ほう。今のが古代の?」
以前、そのことをしっているがゆえにしみじみいう吉森に、感心したような声をあげている金森。
とはいえ、それが古代エジプト語っぽい、というのはわかっても何をいっているのか皆目意味不明、なのだが。
しかし金倉にとってはそんなことはどうでもいい。
「おお!ありがとう!遊戯くん!」
遊戯の言葉に深く頭をさげて礼をいう。
しかしそれは形だけのこと。
ふふ。
一日だけで十分だ。
頭をさげたその先では下卑た笑みを浮かべていたりする。
『こいつは心に闇をもってるからあまりこれに触れさせたくないんだが……』
「そなの?」
ため息まじりにいう遊戯にきょとん、とといかけつつも金倉にとパズルを手渡す。
ぴりっ。
「うわっ!?」
ばっ。
パズルに触れたその刹那、体に走ったような電流をうけあわてて手を離す金森。
ものすごい電流というか衝撃。
あのままもっていたら気絶してしまいそうなほどの、意味不明な。
しかし手渡しであったというのにもかかわらず、手にしている遊戯にその衝撃が伝わった気配はない。
ゆえに静電気、ということはあり得ない。
『やはり、な。たとえ抑さえていても心に闇をもつものは触れることはかなわないからな』
それをみてさらに深くため息をついているユウギ。
抑えていなければその場にて心の闇に飲み込まれてしまったであろう。
それゆえのユウギの言葉。
『では、儂が運んでいきましょう。ファラオ。それでいいですな?』
『嫌だ。といっても遊戯は人がいいからなぁ……はぁ。わかった。ただし!遊戯。この建物の中からでないようにしろよ?』
遊戯とあまり長く離れていては本来の力すらも発揮できない。
それで闇の力が無防備な遊戯にむかっては今の遊戯では防御の仕様がない。
まだ、彼も真実に目覚めるときではない、のだから。
それゆえに遊戯に強く念を押す。
それにある程度力がたまっている今ならば多少離れていても姿を現すことは可能。
「うん」
こくり、とうなづき、パズルを双六に手渡す遊戯。
「さて。それでは儂がこれを展示するのを手伝いますじゃ。
  後から孫達とは合流すればいいですしの。吉森くん。彼らの案内をたのめるか?」
「え。あ。はい。わかりました」
『……とりあえず、俺は寝る』
『え?お兄ちゃん!?』
そういうと同時にそのまますっと姿をかき消すユウギ。
確認してみればどうやら心の中の部屋で本当に眠りについたらしい。
何だかなぁ。
そんなに展示されるのがいやなのかな?
お兄ちゃん。
そんなことを思いつつも首をかしげる遊戯。
ユウギ達のいっていた心の闇の深さが気になりはするが遊戯にそれを図ることはできない。
「やれやれ。それじゃ、また後でな。儂がパズルの展示を手伝いますよ。金森さん」
いまだに手がびりびりとしびれたような感覚が抜けない。
それが何なのかわからないが、ここはひとまずこの彼の申し出のとおりにしたほうが確実のような気がする。
それに、それこそ時間がたてば遊戯の気持ちが変わりかねない。
「おお。そうですか。しかし感謝しますぞ。エジプト発掘展のメダマになりますしな!」
古代史というか古代エジプトの歴史を知っていれば、千年アイテムの存在はかなり有名。
その中で有名なのは、やはり千年パズルであろう。
…いろいろな意味において。
そんな会話をしつつも、彼らはそれぞれに美術館の中へとはいってゆく――

エジプト発掘展。
その初日だ、というのに人ではかなりのもの。
日曜日。
ということもありそうであるが。
ここ童美野町を誇る美術館。
ちなみにこの美術館の持ち主も金倉である。
出費者が日本人であった、ということから全世界を先駆けての展示会。
エジプト政府としても金倉氏の素行を疑い調査してはいるが、多大な寄付をしてもらっているのも事実。
ゆえに表立って却下することなどできはしない。
美術館の中にはそれぞれケースにしっかりと納められた品々がきれいにと展示されている。
「わぁ。すごいすごい!杏!みてみて!この首飾り!ルビーじゃない!?鶏の卵よりもおおきいっ!」
ケースの中には今では見受けられないほどの大きさのルビーを中心とした首飾りが展示されている。
ちなみにその周囲の装飾品は金。
ゆえに王に近い人物が身に着けていたもの、というのが用意に想像できる。
「美穂。よだれ、よだれ」
くいいるようにみている美穂に対してあきれたように注意を促している杏。
杏はさほど貴金属に興味はないが美穂は貴金属にはかなり興味をもっている。
杏はどちらかというと落ち着いたようなもののほうが興味がある。
招待してくれた吉森に案内されつつの美術館閲覧。
「このおたからってさ。全部掘り当てた人のものになるのか?」
「いや。1921年までは宝物の半分を所有することができたが。今は全部エジブトのものだ」
歩きながらも疑問を口にだす城之内にこたえている吉森。
と。
「そう。じゃから1922年に見つかった有名なツタンカーメンの財宝も発掘者は何ひとつ手にいれることができなかったのじゃ」
いきなり背後から聞きなれた声。
「って、うわっ!?爺さん!いつの間に!?」
「ほっほっほ。この程度に驚くとはまだまだじゃの?城之内?」
城之内が声に驚きふりむけばそこには双六の姿が。
「あ。爺ちゃん。もうお兄ちゃんのパズルの展示おわったの?」
そんな祖父にと問いかける遊戯。
祖父、双六はパズルの展示のために一時自分達とは別行動をとっていた。
「ファラオはだいぶふてくされてたようじゃがの。ほっほっほっ」
展示をするときもまったく姿を現さなかったのは常に遊戯とともにいたからであろう。
というのは双六もまた理解している。
「うん。心の中で話しかけても何か表にでてこないしね」
何でも瞑想中とかで扉の前まではいけれども取り次いでもらえない。
「そうなの?考古学者って宝物探しでてっきり一攫千金できる人たちって美穂、おもってたのに」
そんな吉森の説明に残念そうにいっている美穂。
てっきり見つけた人のものになる、というのならばあのルビーも交渉次第ではもらえる可能性がある。
それゆえの美穂の本音。
「お兄ちゃん、故郷思い出すから出てこないのかな?」
「まあ、これらはあの時代よりかなり後のものじゃしのぉ」
何だか二人しかわからない会話をしている遊戯と双六とは対照的に、
「とんでもない。考古学ほど見入りのない職業はないよ。
  でもね、長い月日をかけて誰も知りえなかった歴史の扉をあけた瞬間は、何ともいえない喜びがある。
  だからやめられないんだよ」
そんな美穂の言葉に苦笑しながらも答えている吉森の姿。
「?誰も知りえなかった…って、爺ちゃんはある程度、生き字引なんじゃない?」
そんな会話をふと耳にして首をかしげつつも祖父にと問いかける。
「儂も全部を知ってはいないからのぉ」
ファラオならばいざ知らず。
とはいえ『ユウギ』以外に今の時代できちんと説明できるのは双六くらいではあろう。
何しろかの血筋の者たちも正確なことを伝えてはいないのだから。
「まあ、この時代の人々にとっては、金よりロマン。というやつじゃの」
遊戯の質問に苦笑しつつも、とりあえず吉森達の会話に話を挟む。
この会話はあまりここでしていいものではない。
特に近くに千年アイテムの気配があるならばなおさらに。
それゆえの話題転換。
「そのとおりです」
話をはぐらかされた、とはおもうことなくいまだに首をかしげている遊戯とは対照的に、
旧友である双六にそういわれて大きくうなづいている吉森。
「わ~。この絵、何だか綺麗」
杏が足を止めた場所にあるのは様々な絵が描かれている壁画。
綺麗に色付けがされており、様々な文字や人の姿が刻まれている。
中心には犬のようなお面のようなものをつけた人物のような絵と天秤のようなもの。
その上には古代エジプトの絵文字が描かれている。
さらにその上には様々な人の姿をもした絵が描かれている一枚の壁面。
「おお。これは死者の裁判の絵じゃのお」
かつての裁判を思い出しながらふと懐かしそうにつぶやく双六。
この絵の通りではないにしろ、似たようなことはしていたので感慨深い。
「ええ。冥界の王の前で、死者が生前の行いや罪を天秤を図って計量される。
  もし天秤がかたむいたら、魔物に食われてしまうんだ」
「え~。怖い」
壁画をみつつ説明している吉森の言葉におもわずつぶやいている美穂。
一方の杏は何となくどこかでみたような?
というような感覚に陥っていたりするのだが、何のことはない。
事実、杏はそれをかつて見たことがある。
杏がアンズ、としてユウギとともにいた古代エジプトにおいて。
もっとも杏はそのことを覚えてはいないが、魂の奥底では覚えている。
ゆえにどうしてもこの絵に釘付けになってしまう。
「正確には、人の心の中に掬う魔物カー、ですがのぉ」
吉森の言葉にさらっと追加訂正をいれる双六。
伊達に千年アイテムで罪人をさばいていたわけではない。
『そういえば、千年秤がこれに該当するんじゃない?爺ちゃん?』
祖父やマハード達から千年アイテムのことはよく聞いている。
それゆえの問いかけ。
何となく日本語よりこちらの言葉のほうがいいような気がして古代エジプト語にて問いかける。
『そのとおりじゃよ。それでもって千年錠によって心の中のソレを実体化していたからのぉ。かつては』
「??遊戯?爺さん?何はなしてるんだ?」
いきなり二人してまたまた意味不明な会話をしている二人を見て首をかしげている城之内。
「武藤殿は古代の空白の歴史の部分に詳しいですからの。
  それに対する歴史的根拠がまだみつかってはいませんが。さて、次はミイラのコーナーですぞ」
そう。
彼…武藤双六はなぜか古代エジプトの事情に詳しい。
学会に発表していない古代遺跡を彼がいくつも見つけていることをこの吉森教授は知っている。
しかしそれが前世に絡んでいる、とは科学的なことしか信じていない彼は信じてはいない。
「み…ミイラ?やっぱりみるの?」
吉森の言葉におもわずずざっと後ずさる。
そんな城之内とは対照的に、
ミイラ!?
つ…ついについにきた!
美穂ちゃんが自らの胸にとびこんでくるときが!
一人、妄想の世界にひたっている本田の姿。
あるいみ対照的な二人、とはいえよう……

ガラスケースに展示されている今回見つかったミイラ。
その右手が心臓の上にきていることからそれが王のミイラだと理解できる。
ミイラの作成においてはその手の位置でその人物の地位がわかる、という特性がある。
もっともそれらの節が正しいのか、というのは学会でも意見がわかれているところではあるが。
保存状態はかなりいい、といえなくもないのであろう。
顔かたちもしっかりとしており、安らかな寝顔が見て取れる。
とはいえミイラ化しておりミイラの作成の仕方も完全な保存の仕方でなかったのか面影を残してはいない。
生前の姿のままで姿を保ったミイラをつくれたのはあるいみユウギのみ。
その記述もまた今の時代には伝わっていない。
「きゃぁぁ!!」
ミイラのコーナーに案内され、ちょっとした叫び声が響き渡る。
「ついに…さあ、美穂ちゃん!とびこんでくるがいい!俺の胸に!」
ついにきた!
美穂ちゃんを抱きかかえる瞬間が!
そんなことをおもいつつ、おもいっきり両手を広げる本田。
が。
「かわいいっ!」
次の瞬間、叫び声の後から聞こえたのは拍子抜けする声。
なのに確かにだれかが胸に飛び込んできた感触があったのはこれいかに。
「あ、あんた、どういう感覚してんのよ」
「だって、頭なんかつるんとしてて何かあかちゃんみたい」
そんな美穂に対してあきれたようにいっている杏。
あるいみ杏のいうことももっともではあるが、美穂からすればそれが当たり前の感覚ではある。
このあたりの性質は今も昔も変わっていない。
「うん?」
美穂はそのままミイラの前に立っている。
ならば、自分の胸に飛び込んできたとおもわしきこれは?
不審におもいつつ、すっと自分が美穂だと思い込んで抱きしめたソレにと視線をむける。
「な、何か急に気分が……のろいだ…ミイラの呪いだ……」
なぜかそこには城之内の姿が。
つまりは美穂と思い込んで城之内を抱きしめていた本田。
自分の妄想の世界に浸りすぐに気付かなかった彼も彼。
「いつまでやってんだ!」
男に抱きつかれてうれしい、とはおもわない。
ましてやてっきり美穂だとおもっていたのに事実は男。
しかも城之内。
ばっ
いまだに抱きついている城之内をおもいっきりひきはがす。
「う…うわわっ!」
その反動で一瞬よろける本田に、
「み、ミイラにのろわれないうちに次にいくぞ!次に!」
その場にて見入っている美穂と杏の肩にと手をおいてあわててその場を後にしようとしている城之内。
「き、急にどうしたのよ!」
「何でもいいから、ほらっ!」
文句をいう杏達をそのままに、とにかく一秒でもはやくこの場を後にしようと急ぎ足で遠のいてゆく……

この人は、お兄ちゃんから何代後の王様なんだろう?
でも、この人はきちんと器があるけど、お兄ちゃんには……
肉体とその名前を鍵として邪悪なものを封印し魂だけの存在となっているユウギ。
だからこそ思わずにはいられない。
こうしてミイラとはいえ器が残っている、というその幸せを。
そんなことをおもいながら、城之内に押されるように別の場所にいった杏達とは裏腹に、しばらくその場にてミイラをみている遊戯。
このミイラの人の生前はどんな様子だったのかはわからない。
わからないが、それでも少しでもユウギに近づけるような気がしてしばし眺めている遊戯。
こういう品々は見ていて何かとても心がおちつく。
それはユウギに通じるものがあるからだろう、と遊戯はおもっているが真実は異なる。
魂が記憶している風景、というものは記憶がなくても惹かれるものがあるのだから。
と。
ふときづくといつのまにか自分の横に別の人が立っている。
人の気配を感じて視線を横にと移してみれば、何やら懐かしいような格好をしている青年が一人。
真っ白い服にローブ。
そして頭に巻いている真っ白いターバン。
耳にしている金の輪もまたどこか懐かしい。
そういえば、マリク君たち…今、何してるかな?
その横の人の格好をみてエジプトの地の友人たちを思い浮かべる遊戯。
彼らとは時々精霊を通じて交流があったがここ最近はまったくなかった。
そもそも遊戯のみでは精霊を扱うことなどできはしない。
ユウギが表に出られない以上、連絡のとりようがなかったのも事実である。
なつかしい友人のことを思い浮かべてその人物をみていると、いきなり横の人物は無表情のまま涙を流し出す。
その人物がいきなり涙を流し始めたのをみて多少びっくりし、
「え、えっと。何でないてるの?お兄さん?」
おもわず問いかけた後、何だか幻影にて教えてもらった品々と同じ品をもっていることにふと気付く。
彼の胸にはかつて、シモンが使っていた、という千年錠と同じような品物。
そしてまた、手にしている天秤のようなものもまた千年秤によく似ている。
何よりもその千年秤にはウジャトの瞳が施されていればなおさらに疑問に思う。
もしかして、お兄ちゃんや爺ちゃんがいってたのってこの人?
ということはやっぱりこの二つって千年アイテム?
そんなことを遊戯が思っていると、
「これは私の涙ではない。この朽ち果てた姿は、まさに魑魅の人形。
  それでもなお、偉大なるファラオのその名とともに魂はいき続ける。永遠の眠りさえ許されずに」
淡々と遊戯のほうをむくでもなく、ミイラをみつつもそんなことをいってくるその青年。
どき。
永遠の眠りが許されていない。
それは、ユウギにあてはまる真実。
それゆえにおもいっきりどきり、としてしまう遊戯であるが。
「魂の嘆きは涙となって私の頬をつたわる」
そんな遊戯の心の動揺は知る由もなく、ふっと遊戯にと視線をむける。
話しかけられてはいたが、あらためてこの少年の姿を目にしたのは今がはじめ。
ふっ。
この目の前の少年はどこか懐かしい感じがする。
くしゃ。
それゆえに問いかけてきた少年の頭をくしゃりとなでる。
「かわいいぼうやだな」
かつての面影がよみがえる。
自分の主が何よりも大切にしていたあの……
あれからずっと似た人物には一度もあったことがない。
すでにその面影すらも記憶のかなた。
「ぼ、僕はボウヤじゃないよ!高校生だよっ!」
きちんと制服きてるのにぃ!
そんな彼の言葉に思わず抗議の声を上げる。
遊戯が常に制服で行動するわけはここにもある。
その背の高さからどうしても遊戯は小学生にみられがち。
制服をきていても信じてもらえないことは多々とある。
男の子としてそれはちょっと物悲しい。
聞きたいことは別にあった。
それは彼のもっている品。
その手にしている天板には見慣れたウジャト瞳の紋様が描かれている。
それを聞きたかったのに。
かといっていきなり千年アイテム?ときいて警戒されるわけにはいかない。
もしもこの人物がユウギが敵対していたという闇の勢力に属しているものならばまちがいなく危険。
というのは遊戯とて理解している。
そんな遊戯の声を気に留めることなく、そのままその場を立ち去ってゆくそのエジプト人。
「……変なエジプト人」
そもそも、あの首にかけてたのも、爺ちゃんからよくきいていた千年錠?
……まさか…ね。
それだとお兄ちゃんが何かいってくるはずだし。
「あ、遊戯。何してるのよ?ほら、いくわよ?」
いまだにミイラの前にてつったっている遊戯がいないのに気付き、そのまま遊戯をつれにきている杏。
そのまま杏の手にひかれ、その場をあとにする遊戯。
「ねえ。杏。なにかかわったエジプト人がいるよ?」
「?そう?誰もいなかったわよ?」
杏はその人物を見てはいない。
実は遊戯にのみ視えていた、ということを遊戯は知らない。

装飾品などを主に展示してあるその中心。
そこに設置されている真新しいケースがひとつ。
そのケースの前にて何やら話している美術館のオーナーである金倉とみたことのない人物。
「Mr金倉。この千年パズルはすばらしい。お金に糸目はつけません!」
「さすがお目が高い。では商談は閉館十分前に私のオフィスでゆっくりと」
そんな二人の視線の先には千年パズルが展示されている。
『…まったく。ここまで人がいなければとっとと闇の裁きをしてるところだぞ……』
そんな二人の姿をみつつも思わずため息。
しばしの精神集中においてこの場にいる『存在』の正体をある程度は把握した。
しかし彼は知らないはずである。
自分の記憶がシモンの手によりほぼ戻っている、ということを。
多少の記憶の曖昧はあるものの、大体思いだしている、といっても過言でない今の現状。
ゆえに力も多々と扱える。
まだ、鍵となる名前を知る時期ではない。
まだ、遊戯の体はその負担に耐えられない。
それに今ゾークに見つかってしまえば遊戯やそして周囲のものに危険がせまる。
まだ、自分は対抗できるまでの力を回復させてはいないのだから。
そんなユウギのつぶやきに当然きづくはずもない彼ら達。
と。
「お。みろ。遊戯の千年パズルがあそこに展示してあるぞ!」
「すごいじゃない」
「あ、ほんとだ」
ふと視界にと遊戯達の姿が目にとまる。
遊戯のそばにはシモンがいる。
ゆえに自身は千年パズルとともにいた。
何かあったときにすぐさまに対応できるように。
遊戯達もまたそこに設置されているケースに気付いて近づいてくる。
ちっ。
「それじゃ、後で」
そんな遊戯達の姿に気付き舌打ちし、商談をジャマされては、とばかりにその場を後にする。
金倉は商談をもちかけていた人物にこの品物の本来の持ち主のことは教えていない。
知られて商談が破談になればそれこそ損。
そのためにこそ話をきいてほぼ強制的に遊戯をこの場につれてきてもらったのだから。
「遊戯の宝物が有名になるぜ」
そんなことをいいつつもケースに駆け寄る城之内。
それに続いて杏や美穂、そして本田もまたケースの前にとやってくる。
「そうかなぁ?…というか、あれ?お兄ちゃん?」
遊戯もケースに近寄り、ふとケースの横に憮然とたっているユウギに気付いておもわず問いかける。
『まったく……そういうことじゃないか、とはおもったが……』
ガラスケースの中に展示してある千年パズルの横によりかかるようにして姿を表しているユウギ。
『やはり何かありましたかの?』
『まあ、な』
「?お兄ちゃん?爺ちゃん?」
何か二人してわかりあっているようなその会話にただ首をかしげるしかできない遊戯。
そんな彼らの態度に気付くことなく、
「記念写真ここで一枚とらない?」
「お、いいな」
「それってすてき~!」
杏の提案に即座にうなづく本田にきゃぴきゃぴと答えている美穂。
「遊戯君。本当は千年パズルを手放したくなかったんだろ?」
そんな彼らとは対照的に遊戯に話しかけている吉森。
吉森には双六が何かつぶやいているのはわかるが誰と話しているのか、などとはわからない。
彼がそういうものを視える能力がある、というのは知ってはいるが信じられないのも事実である。
彼はどちらかといえば科学的根拠がなければ信じない。
それは逆をいえば信じているがゆえに信じない、ということでもある。
「うん。でもあれだけお願いされたら気の毒でもあるんだもん」
こちらが何か悪いことをしているかのように罪悪感に襲われてしまう。
遊戯の長所でもあり欠点。
それは優しすぎる、ということ。
「今回の発掘もあの金倉さんがいなかったらなしえなかったことでね。立場上何もいえなくて」
ちらり、とこちらの様子をうかがって何か携帯電話で話しているっぽい金倉をみつつもそういってくる。
彼に対してあまりいい噂はきかない。
きかない、が道楽ともいえる発掘作業に出資してくれる人物などそうはいない。
『そもそも死者の墓を暴いて展示せずとも今の科学ならば画像のみでも問題ないだろうに……』
故人の業績を人々に知らしめる、というのは自分的には認めている。
いるがわざわざその屍などをさらすことには抵抗をもつ。
それでなくても最近は本来あるがままの姿で保存する、というのが常識になっていたはずである。
なのにこうして主たる品々を持ち出すとはこれいかに。
『それは儂とて同感ですじゃ。話によれば今回の展示会もかなり無理をいったらしいですしのぉ。
  そのあたりのことも相談をうけておりますじゃ』
『ゾークに支配されたヤツのつくった光のピラミッドまでもが再び発掘される危険性もあるしな』
もしあれが表にでてくれば、セトがここにいる以上、また彼を利用しようとするに違いない。
それだけは何としても避けねばならない。
今の彼ならばまちがいなく飲み込まれてしまいかねない、とおもえばなおさらに。
「みんな、そこに並んで~。写真とるわよ?」
ユウギ達が話している最中、杏がその手にデジカメをもちそんなことをいっくてる。
『あ。そうだ。せっかくだし。お兄ちゃんも一緒に写ろうよ』
何だか深刻な話をしている祖父とユウギ。
遊戯にはその会話の意味はよくわからない。
しかしせっかくユウギが表にでているのならばいっしょに写りたい、とおもうのは至極当然。
ちなみに遊戯の姿はいつものもの。
つまりは本来の姿のままで姿を現している。
古代エジプトのファラオ、としての姿そのままに。
第三者には視えないようにしているのでそれに対して違和感を感じるものはまったくいない。
「それはいいアイデアじゃの。杏ちゃん。それを儂に。みんなパズルの前に並んで並んで。ほら、ファラオも」
『…それは問題あるんじゃないのか?シモン?』
『え~?一緒にとろうよ~。お兄ちゃん、ね?…ダメ?』
うっ。
遊戯にいわれ強くダメ、とはいえないのがユウギである。
遊戯もまたユウギに強くダメ、といわれればそれを無理にしよう、とは絶対におもわない。
このあたり、元はひとつの魂、ということもありまったく同じ性格をもっているユウギと遊戯。
『あ、王子!私もはいる~!!』
ひょいっといきなり姿を現す一人の少女。
こういうことには目がない、といえば目がない。
『こら!マナ!…すいません。ファラオ……』
いきなり姿を現したマナに続いてマハードもまた姿を現す。
「みんなでとろうよ?ね?」
マナに続きマハードまで出てきたというのに驚くこともなく逆ににっこりとそんなことをいっている遊戯であるが。
『は~……』
自分の性格をはたからみれば何となく周囲の者たちの気苦労がわかる、というもの。
遊戯の性格は裏をかえせば自分のかつての行動に重なるものがあるのだから文句の言いようがない。
自分で行動するときにはわからなかったものが見えてくる。
盛大なため息をひとつつき、
『…わかった。しかしシモン。それの現像はオマエがするんだぞ?いいな?』
『ほっほっほっ。了解ですじゃ』
下手に第三者にみせていい写真ではない。
今の世の中、デジタルカメラのデータを自宅で写真にとできる。
そのあたりは他人の目を気にしなくてもいい、というのが彼らにとっては利点といえば利点。
「では、とりますぞ~」
『わ~い。私、王子と王子のとなり~』
『…は~…育て方、まちがったか?』
ちゃっかりと遊戯とユウギの間に割り込むようにしてポーズをきめているマナをみて盛大にため息をついているマハード。
そもそも彼女を見習いとして育てていたのはほかならない自分自身。
それゆえのため息。
「じゃ、とりますぞ~。はい、ポーズ」
カシャ。
双六の言葉に従い、カシャ、と短い機械音がその場にて響き渡る。
デジタルカメラ、というものは画像を確認したのちに保存するかどうか、というのが選べるのが利点。
その映像の中に魔力を含ませることにより彼らの姿をも映し出すことも可能。
以前のような普通のフィルムより手間暇もすくなく双六からすればかなり便利ではある。
何しろ普通のフィルムだと現像液やらいろいろと必要となってくる。
しかし、データとして撮られるデジタル画面にはそれがない。
昔からすれば考えられないほどに人類の技術は進化している。
魔術にたよることなく、科学、という名前の技術を発展させている今の現代人。
しかしかなしいかな、今の時代の人々は昔の人々がもっていた柔軟性、というものを持ち得てはいないこと。
それらをもっていれば無意味な戦いや自然破壊などはしないであろうに。
いく枚かの写真を撮り終えデジタルカメラを杏に渡す。
「杏ちゃん。それを現像するときにはいってくれよな?」
「は~い。遊戯のお爺さんパソコン処理上手だからお願いしますね」
双六はこう見えて機械類にはかなり強い。
といっても自分でプログラム云々…というところまではさすがにいかないが。
それができるのはユウギのみ。
というか少しばかりの文献などをみただけでオリジナルブログラムを創りだせるのはさすが、といえよう。
『どうやらヤツはこの場から離れたようだな』
それまではこの会場内部に気配を感じていた。
しかしその気配は倉庫のほうにと移動している。
気配を隠しつつ姿を現すことなどいまのユウギには造作もないこと。
双六と杏の会話をききつつも、ちらっと奥のほうにと視線をむける。
そんな彼らとは対照的に、
「しかしこれでぐるっと一周したな~」
このコーナーは展示会の始めのコーナー。
ゆえに一応、すべてのコーナーを見て回ったことになる。
う~ん、とのびをして大きく深呼吸している城之内。
「閉館時間まであと三十分か」
腕時計をみて時刻を確認している本田。
だいぶ日は長くなってきた、とはいえ遅い時間は危険でもある。
最近、物騒な事件が新聞によくのっている状況では自己防衛も必要となってくる。
「あと三十分?じゃあそろそろ解散?」
確かに時計をみればあと三十分で閉館である。
この美術館の閉館時間は午後五時。
今の時刻は午後の四時半。
「そうね。あ~、たのしかった」
確かに時計をみてみればそろそろ閉館時間。
けっこう長く美術館にいたものである。
それゆえに美穂の言葉にうなづきつつも感想をいっている杏の姿。
「あ~。俺もエジプトにいってみたくなっちまったぜ」
古代の品々をみていればその時々の生活が目にうかんでくるような感じがする。
昔から古代エジプトに関しては城之内は嫌いではない。
以前まだ家族がそろっていたときに出向いた古代エジプト展の影響もあるのかもしれない。
城之内からしてみればそうおもっていたりする。
真実は魂が記憶しているがゆえにそう感じる、というのが正解なのだが当人は知るよしもない。
「あ、なら今度一緒にいかない?僕もいってみたいし」
そもそもユウギが異界の扉をつかえば世界各国どこにでも自由自在に行き来できる。
が、それは他言していいようなものではない。
しかし何となくだが彼らには再び合わないといけないようなきがひしひしとする。
何だかいろいろとあって連絡をとっていないがそろそろ相談して彼女たちと連絡をとってもいいかもしれない。
そんなことをふと思う。
それゆえの遊戯の言葉。
「しかしお金がな~」
それでなくても自分の学費をひねり出すのがやっと。
あの父親が働くとは到底おもえない。
毎朝の新聞配達で何とか学費を賄っている今の状況。
海外旅行など夢のまた夢。
「吉森教授、今日はありがとうございますじゃ」
「ではまた明日」
「ええ」
そんな彼らの横ではたがいに挨拶をかわしている双六と吉森の姿が目にとまる。
「?明日何かあるの?お爺さん?」
明日、という言葉がひっかかり思わずといかけている杏。
何だか何かが掴めそうな気がしたのも事実。
やはり教科書や資料でみるのと実在の品をみるのとでは感じるものが異なる。
そう。
何かが掴めそうな気がしたのだ。
あのピエログリフをみたときに。
しかしそれは漠然としたものでそれが何を意味するのかは杏にはわからない。
「明日は吉森教授の大学の研究室にいく予定なんじゃよ。いろいろと相談することもあるしの」
そもそも双六とてこのように亡き偉大なる古の王の遺体を見世物にする、というのはいただけない。
他の品々はともかく、遺体は静かに眠らせておくべき。
ゆえに、金倉はどうしても首を縦にふりそうにないので相談にのってほしい、と相談をうけている。
その相談を明日、彼の大学にて行うことにと電話相談にて決めている。
「では。みなさん。私はこれで。まだ仕事がのこってますので」
いいつつ明日のことを確認し、全員に頭をさげてその場をあとにする吉森の姿。
そんな彼の姿を見送りつつも、
「みんなは?これからどうするの?」
全員を見渡しといかけている杏。
「僕はまだのこるよ。というか美術館からでないようにっていわれてるし」
あまりパズルから離れることは望ましくない、そうユウギより遊戯はいわれている。
今彼らがいるのは美術館に入ってすぐのチケット販売のコーナーの近く。
ゆえに美術館からはまだ一歩も外にはでてはいない。
そういいつつ、
「四時三十分か~。そだ。お兄ちゃん。残り時間、のんびりともう一度まわってみようよ」
ちらり、と腕時計の時刻を確認し、横にいるユウギにとにこやかに言っている遊戯であるが。
『…遊戯。オマエな~……』
無防備、といえば無防備。
いつどこに邪な思いを抱くものがいるとも限らない。
もっとも、独り言を言っている、としか普通はとらえないであろうが。
小さな子供がひとりごとなどをいうのはよくあること。
制服をきていてもやはり遊戯はぱっと見た目はどうみても小学生。
ゆえにあまり大人たちも気にはしない。
横に祖父らしき人物がいればなおさらに。
『ファラオ。我々の苦労がよぉぉくおわかりになりましたかの?』
そんなやり取りをききつつ多少嫌味をこめて問いかけるシモン。
かつてそのような行動をとる王子に散々苦労させられたのは他ならない彼ら達。
『…あのな。シモン……』
抗議すれども言い返せないのが多少悲しい。
真実なのだから仕方がない。
そんなユウギの小さな抗議の声は何のその、
『しかし、注意してみましたが、どうやら精霊が一人、きているようですのぉ。
  その人物が千年アイテムを所有しているようですの』
さらっと自分に対して嫌味をいわれ、おもわず文句をいおうとしたユウギの声をさらりとかわす。
このあたりはさすが歳の功であり、彼自身の教育係だけだったことはある。
『ああ。しかしこのパズルには気付かなかったようだな。こちらもまた気付かれないよにしてはいたが……
  見極めるために後であの人間たちとともにいってみよう、とおもってる』
『…無理は絶対になさらないでくだされよ?ゾークの手のもの、ともかぎりませんので』
『わかっている。姿はみせはしない』
その気になれば遊戯以外の存在に姿をみせられなくさせられる。
遊戯の成長はすなわちユウギの成長でもある。
遊戯が学んだことがすべてユウギのものとなり、ユウギはユウギで自分なりに学んでゆく。
いずれ二人が本来の姿、すなわち別れた魂がひとつになるときそれらはすべて昇華される。
すべてはきたる時のための布石。
どうやら会話から察するに何かしらの精霊がこの場に入り込んでいるらしい。
それが善のものか悪のものかは今のところはわからないっぽい。
悪といっても悪意に利用されていなければ悪もまた善であり、善もまた悪である。
そんな二人の会話をききつつも、
「じゃ、みんなとはここでお別れだね。じゃあ、また明日、学校でね」
「おう。またな。遊戯」
「じゃぁね~」
それぞれに女の子の帰宅は危ないので美穂には本田、杏には城之内がついていきこの場でひとまず解散する。
「さて、では儂もファラオと遊戯とともにもう一度みてまわるとしますかな」
「うん」
そんな会話をしつつも再び展示室の中にと戻ってゆく遊戯達の姿がその場において見受けられてゆく……

『そういえば、イシズお姉ちゃんたち、元気なのかなぁ?』
ふと双六とともに再び美術館の展示室の中にと入り、横にいるユウギに問いかけている遊戯の姿。
『アイシスか。とりあえずパズルのことは精霊により伝えてはあるけどな』
しかしその返事は戻ってきていない。
もっとも、精霊に聞けばかの地で何があったのかくらいは理解できる。
力をつかえば過去も未来も見通せることはできるのだが、今はあまりそのような余分な力は使いたくない。
今は彼女もまたエジブト政府のかなり重要なポストの地位についているはずである。
『シモン。アクナディンの墓は見つけられているのか?』
『かの墓はかつてファラオが一時目覚められたときに発見はされておりますが。
  その直後の地震によって地盤沈下をおこしてまだ発掘までには至ってないはずですじゃ』
『そうか。ゾークは叔父の心を完全に蝕んでいたからな……』
何よりも自分が生まれたことにより、彼がかなりの劣等感を感じていた。
というのをしっていればこそ心配になる。
いまだかつて彼の転生した姿はみかけていない。
とすれば、いまだに魂は闇にとらわれている、と考えられる。
そもそもあの時はあまりの犠牲が多すぎて。
だからこそ、自らの記憶を分けることにより、自分の分身の役割となし、
千年アイテムの力をさらに増幅させて犠牲になった生き物たちすべてを生き返らせた。
かつてにおいて彼の肉体の消滅とともに闇もまた消滅し、そして奇跡がおきたのも事実。
もっともそこまで詳しく語る力ものこっていなかったので漠然とアイテムに記憶が分断されたと思われたらしいが。
記憶をわけた、といってもそれは今でいう属にいうコピーのようなもの。
完全に表の表層意識から消し去った自分自身の名前の重みとはまた異なる。
ゆえにこそ、双六…否、シモンによって生前のことを話聞かされることにより記憶をある程度思いだしている。
しかし力はまだかつてのようにふるえない。
今はまだ。
『?このピエログリフって何あらわしてるの?』
何だか二人して深刻な話をしている。
こういうときはあまり会話にはいっていけない遊戯である。
ふと目の前にあるとある壁画に目をとめてあまり話しが重くならないようにと話題をかえる。
『どうやらこれはナイルの氾濫の様子の裏側だな』
天気すらをも自在にユウギは操っていた。
そんなユウギを慕い、まだ即位していないうちからなぜか国力が増していたのも事実。
まあ即位する前に国外に出向いて色々厄介事などを片づけていたりしたのだからそれもうなづける。
が、当の本人からすればそれは当たり前のことであり、それでどうして神聖視されるのかすらもよくわかっていなかった。
何しろ普通誰もができるのだろう。
幼いころは確かにそのようにおもっていたのである。
成長し様々なことを学ぶにつれて自分のもつ役割などをも理解しはじめたが。
自分がどうして地上に存在し人として生をうけたのか、その意義をあるとき確かに理解したのだ。
それが何なのか今はまだ思いだせないが。
それは名前とともに封じた本来の力に関係しているもの。
『へ~』
ナイルの川は果てしなく広い。
そしてその川の上流には果てしなく広がる森がある。
が、今ではその密林すらも人の手により失われかけている。
しばしそんな会話をしつつも、横に姿を視せているユウギ、そして双六、遊戯の三人にて美術館の中を歩いてゆく姿がみうけられてゆく。


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あとがきもどき:
何だかまえがきさんは今わかっている歴史の記述表記ばかりになってるような。
ま、いっか(よくない)
そもそもギリシャよりもエジプトさんのほうがはるかに以前のわけで。
同じような設定さんのがあったりするのでつたわって変化したんだろうなぁ。
とかああいう伝説とかってしきつめていくとけっこうおもしろいですv
次回でようやく千年秤vんでもって再びまともにシャーディー登場。
ではでは、また次回にてvv

2009年7月1日(水)某日

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