まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
海外版vのおもしろい遊戯王さんの動画はっけんv
だがしかし、ラストが消されてた・・・しくしくしく。
でも、あれ、たのしいですv
過去編さんで、王子(アテム)がゲームつくったりするのがあるから、くみいれ決定v(かなりまて
ちなみに…だめもと検索してみたら。
でてたんですねぇ・・・記憶編のDVDボックス…
だめもとで注文です…何しろ、アマゾンさんで検索かけてもみつからず…
だけど、よそではリンクがはられてる…これいかに(汗
遊戯王デュエルモンスターズDVDシリーズ DUEL BOX 4
販売元:ポニーキャニオン
DVD発売日:2005/03/16 時間:664 分 ASIN: B0007MCJ4Q
価格/二万八千三百五十円
(アマゾン価格/二万五千五百十五円也)←ユーズ価格はさらに安いもの有
参考までにどうぞですv
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「……あれ?」
はっと思わず我にと戻る。
「…僕…どうしてたんだろう?」
回りを見渡せば、そこはどこかの地下室らしき場所。
どきっ。
まさか…まさか……
ここ数年、自分が自分でないもうひとりの自分になっている。
それは自覚している。
自分の中にあるもう一つの人格。
その人格は自分の意志とはうらはらに、様々な悪いことを好んでしている。
ということも。
だからこそ常に気を強くたもっていたのだが……
何か一瞬、自分の心がかるくなった。
ふとみれば、その場に倒れているうごかなくなっている人形のような男達の姿。
そして、奥の方からは何やら大勢の泣き声が聞こえてくる。
「…まさか…と、とにかく、たすけないとっ!」
こういう場合、何がおこっているのか大体理解できる。
即ち、もう一人の自分の人格が人々に危害を加えていたりする。
というのは今までにもあったこと。
どうにか思い出そうと精神を集中すればおぼろげながらもうひとりの自分がやっていたことが漠然とみえてくる。
もうひとつの別の自分の中にとある自分の人格。
それが出ているときは、彼自身は深い闇の中に閉じ込められている状態。
そして…その中で、かつての悲劇を再び体験しているのだ。
そう…あの村人が全員理不尽にころされたあのときのことを……
「とにかく。いそがないとっ!」
また自分の中の悪い心がでてこないうちに、売り飛ばされそうになっている人たちをたすけないとっ!
体力はあまり自身はない。
だけども…今は一刻を争う。
それゆえに、そこに落ちている鍵の束を手にとり声のするほうにかけてゆく、
歳のころならば十歳くらいの少年が一人……
~第7話~
「ルールは簡単。たった一つ。
それは、この十本の指の中できめられた一本の指以外、動かしてはならない。という制約さ。
どの指を選ぶかはお互いの自由。その選んだ指だけで行動する。さ、どの指を選ぶ?」
淡々と元死刑囚でもある脱獄犯、佐々木に対し恐怖するでもなく、
すっと両手を彼のほうにと突き出してルールの説明を始めるユウギ。
そんな彼の横では、
お兄ちゃん…凶悪犯人に対してどんなゲームする気なの?
杏子……
はらはらしつつも、今だ目隠しされて人質にされている状態の杏子を気遣っている遊戯の姿。
とはいえ、当然遊戯の姿は今現在は霊体の姿なので犯人に見えてはいない。
あまりに単純すぎるルールの説明。
それゆえに、運ばれてきている品物の一つ。
タバコをそのまま口にとくわえ、
「俺なら当然、この人差し指を選ぶね。銃の引き金をひくための人差し指をな」
くく。
馬鹿じゃねえのか?
このガキ。
そんな簡単なルールのゲームなんて。
そんなことをおもいながらも迷うことなく、すっと拳銃をユウギのほうにむけて言い放つ。
「OK。俺はこの指を選ぶ」
ユウギが選んだのは右手の親指。
犯人のほうにむかって右手の親指を突き出し自分が選んだ指を指し示す。
親指一本で何ができる。
ま、この俺が一瞬であの世におくってやるさ。
そんなユウギの姿を馬鹿にしまくなりがらも笑みを浮べ、
自身はひとまず彼が運んできた酒を飲むために片手で拳銃をもったまま、
テーブルの上においてあるコップにと酒をつぐ。
こぼこぼこぼ。
コップにこぽこぽとお酒がなみなみと注がれてゆく音のみが杏子の耳にとこびりつく。
「ゲームスタートの合図をしたら、何をしようと自由。引き金をひくこともね」
相手がゲームに応じたのをうけて、
「じゃ、いくぜ。ゲームスタート」
淡々と言い放ちながらスタートの合図を出すユウギ。
ユウギがゲームスタート、といったその直後。
「ふはは。この一瞬でゲームオーバーだっ!」
すちゃっと拳銃をかまえてユウギにむけて引き金にと手をかける。
そんな彼の行動に動じることもなく、
チンッ。
ちゃっ。
いつのまに手にしていたのか右手にライターをもち、そのライターの火を親指でチャッカする。
「ふん?そうか、まだ火をつけていなかったな」
最後にその親指でこの俺のたばこに火をつけさせて、その後にころしてやるぜ。
口に火をつけていないタバコをくわえているままであったのに気づいて、
ユウギが手にしているそのライターの火でタバコに火をつけさせてからも殺すのは遅くない。
そうおもいながらもユウギの手が近づいてくるのをそのまま許す。
ゆっくりとユウギの手が男の顔にちかづいてゆき、口にくわえているタバコに火をつける。
ユウギが火をつけると動じにかるくタバコの煙りを一吹きする。
しかしこういう場所ではマナーとしてタバコはすわない。
というのがあるいみ常識なのであるが。
最も、最近は禁煙席や喫煙席、といったようにわけられているが。
しかし、彼が座っている場所は一応は禁煙席の場所。
だがそんなことはこの犯人には関係ない。
「このライター…やるよ。あの世にもっていきな」
だが、タバコに火をつけてもうライターの火は用がないはずなのに、
手と指を放したというのにライターの炎は消えることなく燃え盛っている。
そして、それをそのまますっと手の力を抜いて男のお酒を注いでいるほうの手の上にと落とすユウギ。
もえさかる火がついたままのライターを酒をついでいる手の甲の上にのせられて思わず固まる。
……あ。
炎がこの人の心の闇を表してるんだ。
だから消えることがないんだな。
そんな様子をみながら、一人納得している遊戯の霊体の姿もあったりするが。
そんな遊戯の姿はユウギにしか視えていない。
「その酒は、ロシア製のウォッカ。アルコール度…九十%以上だ」
遊戯の心のつぶやきをきき、かるく遊戯に微笑みながら、淡々と犯人に向けて言い放つ。
完全にユウギが手を離した。
というのに未だにライターの炎は消えていない。
目の前で腕をくんで足をくみながら淡々と説明する遊戯の説明も男の耳にはほど遠く感じる。
アルコール度、九十%以上。
それはつまり発火性にもすぐれている。
ということを指し示している。
少しでも動けば、手の甲にのっているライターの火はまちがいなくお酒に引火する。
う…うごけない。
ライターを落としたら酒に引火。
そして俺の体は……
すでに固まったままで酒を今だに注いでいるのでコップからはかなりあふれ出している。
犯人が考えをめぐらせている間にコップから溢れた酒は彼の膝元をもぬらしてゆく。
「ためしに銃をうってみろよ。その反動で確実にライターはおちるぜ」
こういうときの人間というものは、まず一瞬かたまり状況判断が鈍る。
しかも、これは闇のゲーム。
人の心の闇を暴き出すゲームでもある。
「いくぞ。杏子」
犯人に淡々と言い放ち、確実に固まっている犯人の姿を尻目にそのまますっと立ち上がり、
杏子を促し、その場を離れるユウギの姿。
そのまま杏子を安全な場所にとつれてゆくユウギであるが。
えっと……あの犯人…どうするんだろ?
そんなことをおもいつつ、ふと足をとめてそちらのほうを確認している遊戯。
遊戯が視ているとは露しらず、
こ…このままじゃ。
くそっ……
内心、かなり葛藤しつつもふと一番簡単な方法を思いつき、にやりと笑みを浮べる。
よくよく考えれば指を一つしかつかってはいけない。
と言われはしたが、たかがゲーム。
本当に命をかける必要なではない。
そのことに思い当たり、
そうだ。こうすれば。
拳銃をもっていた手をおろして、左手の手の甲にのせられているライターを右手で取り除く。
へっ。
何だ。
たいしたことないゲームじゃないか。
そう思い笑みを浮かべる。
が。
「やはり、ルールを守ることができなかったようだな」
闇のゲームは人間の本性を暴きだす。
それゆえに彼がルールを守らない。
というのはわかっていたこと。
それは消えなかった炎からも一目瞭然。
…なんだ?あの額の眼は?
声につられて横のほうをみれば、
なぜか額とそして首からさげているペンダントが金色に光っているユウギの姿が目に入る。
首からさげている逆三角のペンダントが淡い金色の光を発し、
さらには先ほどまで話していた子供の額に金色に光る第三の目。
それはたしかに見間違いとかではなく、まぎれもなく眼であることは疑いようがない。
そのあまりといえばあまりの違和感に一瞬硬直する彼に向かい、
「闇のゲームは人間の本性をあばきだす。ルールを破ったものには…運命の罰ゲーム」
淡々と言い放つユウギ。
「こ…このがき!ふざけやがって!」
そんなユウギの声にはっと我に戻り、
目の前の子供に対し何ともいえない恐怖を感じ机の上においておいた拳銃にと手をかける。
そしてそのまま彼…ユウギに向かって拳銃をぶっぱなそうとするが。
『闇の扉が…開かれた』
ユウギの声とともに、彼の額の眼と、そして首からさげている千年パズルが光を発し、、
そのままその額の眼から放たれた光は犯人を直撃する。
ばんっ!
それと同時に犯人が拳銃を発砲するものの、だがしかし。
拳銃から逆に炎がたちのぼり、そのまま犯人の体を包み込む。
そして、それだけでなく足元から黒いもやのようなものがたちのぼり、犯人の体にしがみつく。
「…お…おまえはっ!?」
それが何なのかを理解し驚愕の声をあげる犯人。
それは…まぎれもなく、彼が今まで殺したことがある人たちの姿。
彼を包み込む炎が獣の形をなし、彼自身を飲み込んだ挙句、
彼が殺した人間達がそんな彼を足元へとひきずりこもうとする。
「た…たすけてくれ、たすけてくれぇぇぇっ!」
…うわ~。
お兄ちゃん、やりすぎのような気もしなくもないけど…だけど、杏子にひどいことした人だし……
ユウギが何をしたのか理解しだかゆえにそんなことを思うが、だがしかし。
相手は人の命を何ともおもわない殺人犯でもある。
それゆえの不可思議な感情が入り混じる遊戯。
『遊戯。あとはまかした』
「え?お兄ちゃん?」
杏子をひとまず安全であろう場所まで移動させた後、いきなり話をふられて戸惑う遊戯。
だがしかし、ユウギがそう言うと同時にいきなり彼は再び心の中にとひっこみ、
気づけば自分が表にでてきている状態になっている。
「って、お兄ちゃん!?いきなりかわらないでよっ!」
というか、この後始末は僕の役目!?
叫びたいのは山々である。
何しろ自分が犯人に酒などをもっていった。
というのは店にいるすべての人が知っている。
「…え?ゆう…ぎ?やっぱり遊戯?」
ようやく、はっと我にともどり、ふと気がついて自分の手で目隠しされていたスカーフをのける。
スカーフをのけた視界にうつったのは、目の前にいる遊戯の姿。
そして…何やら少し離れた場所でわめいている犯人の姿も。
ふと、杏子が目隠しをとったことに気づいて杏子に駆け寄り安否を気遣う遊戯。
「あ。杏子っ!大丈夫?怪我とかない?」
そんな心配した声をだしてくる遊戯に対し、
「今、あたしを助けてくれたのって…もしかして……」
戸惑いながらも確認を込めて問いかける杏子。
あのおちついた、しかも自身のある口調。
かつて幾度かきいたことのあるおちついた口調。
考えるまでもなく、その可能性は一つしかない。
「うん。お兄ちゃん。なんだけど…
……お兄ちゃん、あとはまかしたっていっていきなりひっこむんだもん。
僕にどうやって説明しろっていうの?」
他の客がざわざわとざわめいているので彼らの会話は人の耳にははいっていない。
ほとんどの客はわめいている犯人のほうに注目している今現在。
そしてまた、外のほうからはけたたましいサイレンの音が聞こえてくる。
きちんと説明できる自信は遊戯にはない。
『そうはいうがな。遊戯。俺が表にでているままだと余計にややこしくなるぞ?
そもそも、俺とお前は雰囲気だけでなく身長とかも異なるしな』
それは今の遊戯の魂では本来の年齢の肉体がもつ力に耐えられないがゆえ。
「そりゃ、そ~だけどさ。どう説明しろっていうの?」
そんな二人のやり取り…正確には杏子には遊戯の声しか聞こえないが。
「え…えっと。とりあえず。そこにもう一人のユウギお兄ちゃんがいる…のよね?」
「いるよ?」
杏子の戸惑いながらの問いかけに、さらっと答える遊戯であるが。
『まあ、あの犯人は覚せい剤の常習犯でもあったらしいから、それを利用して説明すれば問題ないだろ?』
「そなの?」
『遊戯~。おまえ、きちんとニュースとか新聞に目をとおしてないな?』
「そういっても。でも覚せい剤って……」
脱獄してから時間あまりたってないとおうもけど、そんなの手にはいるのかな?
遊戯の素朴な疑問は何のその。
「覚せい剤…。なるほど。そっか。そういえばあの犯人はそれの常習犯でもある。
って新聞にのってたわね。なら、遊戯、耳かして」
『うごくなっ!警察だっ!!』
杏子が遊戯に対して耳打ちするのと、警察が突入してくるのとほぼ同時。
???
いきなりといえばいきなりの犯人の悲鳴。
それゆえに、床に伏せていた全員が思わず顔をあげる。
みれば、なぜか一人で虚空に手をバタバタさせつつ騒いでいる犯人の姿が目に入る。
それとほぼ同時。
ファンファンファン…っ!
店の周りに警察車両のサイレンがなりひびき、そして。
「うごくなっ!警察だっ!!……って……」
人質にとられていたバーガーショップの店員が機転をきかし、
音なしで警察に110番をしたがゆえに犯人がこの店にいるのを逆探知してやってきた警官たち。
また、人質にとられていたとある客が外にメールで連絡をとり、
その第三者を通じて警察に通報がはいったがゆえの出動劇。
だがそんな警官たちがみたものは、何やら一人で意味不明なことを叫んでいる脱獄犯の姿。
何か意図があるのかもしれないが、とりあえずは。
「みなさん。大丈夫ですか!?」
まずは店の中にいた人質たちの安全が第一である。
「おい。大丈夫か!?杏子!?遊戯!?」
とりあえず犯人は一人で何やらわめいている。
ふとみればいつのまにか人質にとられていた杏子も目隠しをとり、遊戯の隣にいたりする。
「き、きみ。大丈夫?」
そしてまた、杏子の上司。
すなわち、この店の店長が人質に取られていた杏子を気遣い声をかけてくる。
「え?あ。はい。すいません。ご心配をおかけしました」
とりあえず自分は雇ってもらっている身である。
それゆえにぺこりと頭を下げてあやまる杏子。
別にこういう場合は杏子が謝る必要はないとおもうのだが。
だが、それでは杏子の気が収まらない。
「杏子~。大丈夫だったの!?怪我とかしてない!?平気?」
ものすごく不安そうな顔をして、声を震わせ杏子の横にとかけより、声をかけてくる美穂。
「え?あ。うん。あたしは大丈夫よ」
「よ…よかった~」
うるうると、そのままその瞳に涙をうかばせ、杏子にとしがみつく。
「しかし…あの犯人のやつ…いったいどうしたっていうんだ?」
いまだに、警察が取り押さえようとしていても、炎がどうの、足元がどうの。
と犯人は一人何もない虚空を掴みながらも叫んでいる。
二人が無事な姿をみてほっとしながらも、犯人のほうをみてつぶやくようにいっている本田。
「さあな。ともかく二人が無事でよかった。心配したぜ」
そんな本田に続いてしみじみと安堵しながらいってくる城之内。
「え。えっと。心配させてごめんね?」
お兄ちゃんがでてきて解決したっていうの…いったほうがいいのかな?
『それはやめとけ。遊戯。話がややこしくなる』
そんな遊戯の心に反応し、即座に心の中で突っ込みかえしてくるユウギであるが。
ややこしくしたのはお兄ちゃんのような気がするんだけど……
そんなことをおもい、多少戸惑う遊戯をみつつ、
「おい。遊戯?ほんっとうに大丈夫か?」
ひらひらと遊戯の前で手をふりながら遊戯の安否を確認する城之内。
何があったのかはわからないが。
だがしかし、遊戯が犯人に要求された品物をもっていったのもまた明らか。
だから、そこで何かがあったのであろう。
というのは想像はつく。
あの、あまりに静かになったあの時間にいったい全体何があったのか。
「みなさん。怪我はありませんか?」
「脱獄犯、佐々木茂男は無事に確保!人質となっていた店員、客ともどもけが人なしっ!」
ざわざわと、警官たちのやり取りや連絡する声が店内を飛び交っているこの状況。
そして、店長としばし話していた警官が数名、遊戯たちのほうにと歩いてくる。
そして。
「人質にとられていた方ですね。詳しくお話をききたいのですけど……」
杏子が一番初めに人質にとられた。
というのは全員が証人であるがゆえにごまかしようがない。
そしてまた、
「えっと。君が犯人に要求されてお酒とかもっていった子?」
「え…あ、はい……」
遊戯のほうにと問いかけてくる警官に素直にうなづく遊戯。
「あ…あの、まさか新聞に名前とか…のりませんよね?」
こんな出来事に巻き込まれ、万が一紙面に自分の名前などが載ったりでもしたら。
卒業して海外留学どころではない。
下手をすれば高校は退学である。
「未成年は本名は伏せられるからね」
だが、その言い回しは確実に名前はでなくとも、新聞には載る確率が高い。
ということを物語っている。
「……はぁ……」
こんな事件にまきこまれちゃ…ここもこれまでだな~。
どこから書かれるであろう新聞記事で自分のことがばれてしまうとも限らない。
「とにかく。詳しく事情はなしてくれる?」
警官に促され、遊戯と杏子、それぞれに説明できる範囲で説明を開始する。
とはいえ、犯人がなぜ一人でわめいているのか。
という点は二人して本当にことは話しはしないが。
というか話しても絶対に信じられるはずがない。
遊戯のほうは物心ついたころから心の中でユウギと出会っているので違和感はないが。
普通の人たちが『光と闇の力』といわれてもピンとこないのは当たり前。
しかも、『人の心の奥底に潜む悪意を表にだして実体化させて反省を促す』
といった内容ならばなおさらに。
その度合いによっては確実に命を落とすほどの力。
ともあれ、二人してどうにか話をあわせつつ、警察にと状況を説明してゆく遊戯と杏子。
そんな二人の姿が、しばしバーガーワールドの一角においてみうけられてゆく――
「遊戯っ!!」
「……あれ?爺ちゃん?」
そこにいるはずのない人物の姿をみとめて驚きの声をだす。
『…シモン?』
そしてまた、同じく驚いたのか奥に引っ込んでいたユウギもまた姿を現し思わずつぶやく。
ひととおりの事情聴取がおわり、バーガーワールドからの帰宅許可がでたのはすでに日もくれたころ。
遊戯たちは被害者であるというのにここまで警察に関わると面倒なのか。
とおもわず愚痴が誰ともなくほかの客からも出ていたりする。
まあ、警察とはそのようなものなのではあろうが。
だが、とりあえず、脱獄犯が以前から麻薬常習犯でもあったこともあり、
すでに脱獄して数日経過していることからどこかで麻薬を調達しそれを服用し、
その副作用にて幻覚をみて混乱に陥った。
そう結論づけられたらしいが。
そう考えざるをえないほどの犯人の狼狽ぶり。
未だにわけのわからないことをわめいて人格崩壊寸前にまでなっているらしい。
病院で検査をこれから受けるらしいが、それで何か結果がわかればそれでよし。
そう警察としては思っていたりする。
だがしかし、検査などをしてもわかるはずもない。
それは彼の心の闇に関係しているのだからして。
「よかった。無事じゃったか。
ニュースで『バーガーワールドで脱獄犯が人質をとってたてこもった』そうきいての。
まさかとおもったが……」
そういいながら、ちらり、と遊戯の横に出現しているユウギのほうを垣間見て、
『それで?
先ほどとは異なる言語で横にいるユウギにと問いかける双六。
それは古代エジプト語。
ゆえに、城之内たちや他の者には理解不能な言葉。
「すご~い。さすが爺ちゃん」
物心ついたころからその言葉は聞きなれているがゆえに、遊戯はその言葉が理解できる。
それが古代エジプト語である。
というのも、一応は理解している。
遊戯としては、ニュースでみただけでもう一人の自分。
すなわち、彼が関わっている、と即座に見抜いたその事実に対して褒めたのだが、
「…え。ちょっとまって。お爺さん。ニュースで…って、まさか私達のことでてたわけ?」
「いや。じゃが。学生も数名人質にとられたとかいってたからの。
しかも、遊戯のやつはけっこうハンバーガーは好きじゃしの。
なかなかもどってこぬし、もしかしたら…とおもっての」
念のために精神を集中し自身がもつ精霊の一人を偵察にむかわせた。
というのは言葉の奥にとしまいこむ。
彼もまた古代よりいくつかの精霊をその身に宿している存在ではある。
もっとも、そのうちの核ともいえる彼自身の分身。
ともいえる精霊の力はとても計り知れないものがあるが。
『無茶はしていないぞ?』
そ~かなぁ?
拳銃もっている相手にそのまま挑んでいった。
というのは僕としては無茶だとおもうんだけどな?
そんな祖父である双六に答えるユウギの台詞に思わず心でつっこむ遊戯。
『そうですかのぉ?儂の精霊が伝えてきた光景によりますと、
拳銃をもっている犯人に何やら窓際の席で話している
「爺ちゃん…視てたんだ……」
そんな双六の声をきき、おもわずつぶやく遊戯。
『いや、それは……』
あまり心配をかけたくないがゆえに答えたというのに、やはりシモンには視られていたか。
その気配はあったがゆえにわかってはいたが。
ごまかせるとは思ってはいなかったけどな。
そんなことをおもいながらも言葉をつまらせるユウギ。
彼らがそんな会話をしている最中。
「って、ちょっとまってよっ!ニュースで…って、それじゃ、もうここのバイトつづけられないじゃないっ!」
いつ、どこでどのようにして話がつたわるか。
などといったものは人の口には蓋はできない。
このままこの店でアルバイトを続けていれば間違いなく学校にも話しが伝わるであろうとは明白。
「せっかく…せっかく結構時給よかったのにぃぃ~~……」
これ以上、この店でアルバイトを続けていれば危険だと気づいてがくりと肩を落とす杏子。
『いや。というか杏子のやつは。
そもそもこんな場所でやってたら教員たちにも見つかる可能性…気づいてなかったのか?』
『
そんな杏子のつぶやきをうけて、これ幸いとさらっと話題転換をするユウギに対し、
すかさずじと目でそんな彼にといっている双六。
「??遊戯の爺さん?何わかんねえ言葉いってるんだ?何かのまじないか?」
意味のわからないものがきけば、たしかにまじないのようにもきこえなくもないであろう。
「う~ん。美穂も怖かったから、もうここのアルバイトやめようかな~……」
「つうか。おまえら。こんなところでやってたら先公にみつかりかねないとおもうぜ?俺は?」
「「「…あ」」」
ぼつり、とつぶやく美穂に対して、しごく最もな突っ込みをしている城之内。
そんな城之内の台詞に三人が三人ともその可能性に思い当たっていなかったらしく、
三人が同時に間の抜けた声をだす。
『…って、やっぱり気づいてなかったのか……』
「あ。なるほど。お兄ちゃんが心配してたのってそれもあったんだ。
たしかにここって駅前だし。先生たちもよく通るよね」
というか、よくもまあ今まで先生にみつからなかったものである。
ようやくユウギが心配していたことが理解できて、ぽんっと軽く手をうつ遊戯。
「ともかく。みんな無事でなによりじゃ。さ、みんな。もう遅くなるから帰りなさい」
「「は~い」」
「じゃ、またな。遊戯」
「まったね~。遊戯くん」
「美穂ちゃん。遅くなったから送ってくよっ!」
とりあえずその場にてそれぞれ城之内、美穂、本田と別れ彼らはそのまま帰路にと着いてゆく。
後に残されたは、遊戯と杏子と…そして遊戯の祖父である双六のみ。
いまだに警察関係者がわらわらと周囲をゆきかい何やらものものしいが。
「さって。わしらもいくかの」
そんな会話をかわしながらも、とりあえず杏子を家にと送り届けるためにとその場を後にすることに。
「それで?いったい全体何がどうなったというんじゃ?
犯人が何やらおかしくなっているらしい。というのは聞いたが。
てくてくと歩きながら遊戯の横で同じように歩いているユウギにと問いかける。
そんな双六に対し、
「まあ。たしかにあれはやりすぎなような気もしなくもないけど。
だけどね。爺ちゃん。あの犯人って杏子を人質にとったあげくに杏子をたたいたんだよ!?」
『そもそも。人の命を命とはあの犯人はおもっていなかったようだしな。
しかし手加減はしているぞ?シモン?闇のLVは一応は抑えているしな』
「いやあの…闇のLVを上げたら即死確定ですが……
って、杏子ちゃんが人質にとられたのかっ!?そりゃ、災難じゃったのぉ。こわかったじゃろ?」
遊戯たちの交互の説明に思わず突っ込みをいれつつも、ふと横にいる杏子にとねぎらう声をかける。
「え?え、ええ。だけど、ほら。結果よければすべてよし。っていうじゃないですか。お爺さん」
あのままもしかしたら殺されていたかもしれない。
という恐怖はたしかにまだある。
だがしかし、自分は今助かってここにいる。
それがすべて。
「そ、それより。やっぱり遊戯お兄ちゃん。
また遊戯の体ででてこれるようになったんですか?双六お爺さん。遊戯もいってましたけど」
というかさっき聞いたのだが。
「遊戯がまたパズルを組み立てられた以上、これからはずっとじゃろうな。
…まさかまた、自ら壊したりしませんよな?
『必要性がない限りはな』
「え~!?またこわさないでよ!?お兄ちゃんっ!?僕今度は絶対っ!に阻止するからねっ!」
確認をこめて問いかける双六に対し、さらっと何でもないように言い放つユウギ。
そんなユウギに対してぷうっと顔をふくらませ、何やら文句をいっている遊戯の姿。
「…いいな~。何で私には視えないんだろ?…何かくやしいな~……」
彼らの会話からそこにもう一人のユウギがいるのは明白。
だけど杏子の眼には映らない。
それゆえに彼らがどんな会話をしているのかは理解不能。
「でもお兄ちゃん、自力で第三者にも姿みせられるからみたければいえば姿みせてくれるんじゃない?」
きょとんとしながらも、さらっと言い放つそんな遊戯の台詞に、
『あれはかなり力を使うからな。今の俺の力はまだ完全ではないからあまりやりたくはない』
「そんなものなの?」
「と。とにかく。遊戯も、それに
ほんっとうに老い先みじかいこの儂を心配させんでくだされよ?」
『シモン……おまえな……』
「爺ちゃん。老い先短いなんて縁起でもないこといわないでよ」
遊戯のお爺さんって…か~なり長生きしそうよね。
そんな双六や遊戯のやり取りをききながら、心の中でそんなことを思う杏子。
「ほっほっほっ。さ、完全に暗くなるまでにいそぐとするかの?」
そんなたわいのないやり取りをしながらも、夕暮れの人ごみの中、進んでゆく三人の姿。
数多といる通行人やすれ違う人々の中には、ユウギの姿が視えている者も存在しているが、
ユウギ自体があまり違和感を感じさせないようにしているのであまり目立たない。
もし、彼が元々の本来の姿。
すなわち、古代エジプトの地にて生きていた当時の姿で現れていればかなり目立つであろうが…
今、遊戯の横に現れている彼の姿は、一応は服装は学生服にと変えてある。
その装飾品などはけっこうそのままつけているままだが。
それもあまり彼の雰囲気とマッチしているので違和感はない。
ともあれ、彼らはそのままのんびりと街中を進んでゆく――
「ちぇ。また授業はいつも通りかよ?」
「まあまあ。城之内くん。いいじゃない。つまり心配がなくなったってことだしね」
翌日からは、脱走していた犯人が捕まった。
というのもあり、それぞれの学校などもいつもどおりの日程にともどり、授業の時間もいつもどおり。
ここ最近、昼までで慣れていたがゆえに多少の不満もでるのは仕方ないのかもしれないが。
もっとも、翌日においては朝早くから全校集会があり、先生の話が長々とあったりしたが。
「あ~あ。せっかくゆっくりとできてたのにな~」
「ほらほら。みんな。せきにつけっ!」
そんな会話をしている最中。
休み時間もおわり、次の授業担当の教員が教室にと入ってくる。
未だに世間では脱走した死刑囚の話でもちきりであるが。
テレビでは連日、意味不明なことをわめいている犯人のことを取り上げている。
ある番組の霊能者曰く、悪霊がとりついた。
などとそんなことをいっていたりもするようだが。
ある意味、たしかに似たり寄ったりの事実ではあるかもしれない。
ガタガタガタ……
教師が教室にはいってきたのをうけて、それぞれ自分の席にとつく生徒たち。
「さて。それでは……」
カツカツと黒板にと書き込んでゆく教師の姿。
いつもの代わり映えのない日常風景が童美野高校に再びもどってくる。
それは今までとかわらない日常。
だが、遊戯にとってはこれからは今までとは少し違う日常でもある。
ここ数年ばかり、常に心の中でしか会話できなかったユウギが再び表にでてこれた。
それ即ち、常に彼と話ができて、意見がその場でかわせる。
ということ。
『……高校一年でまだこんなレベルなのか?』
「…お兄ちゃんの感覚でいわないで……」
授業内容をすこし視てみようと、
霊体として表にでてきたユウギが黒板と遊戯が手にしている教科書をみて思わずつぶやく。
そんな彼にと小さくつぶやきかえしている遊戯。
たしかに、彼…ユウギにとっては『こんなレベル』といった類のものであろう。
何しろ彼はまだ七歳のころにすでに様々な知識などを吸収しとある大学の卒業試験にすら、
そこに通っていないのに独学で得た知識のみで合格したつわものである。
しかも、彼にはどうやら言葉の壁、というものは存在していないらしい。
遊戯も昔から日本語以外で話している人たちの会話は何となく理解はできていたが。
それが何を意味するのかは遊戯は理解していない。
それが、すなわち、ユウギと、そして遊戯の本質ともいえる姿を現している、というとも。
とにもかくにも、それぞれ今までどおりにいつものように授業をうける生徒達の姿が、
この日より再びこのあたりの学校全体において見受けられてゆくのであった……
「え?もう杏子、バイトやめちゃったの?」
もったいない……
久しぶりに一緒に下校しよう。
とさそわれた。
バーガーワールドのバイトは?
そう聞いたところ、何でも止めた。
というとらしい。
さすがにあんな目にあったのもあり、五月蝿いマスコミから未成年である杏子を守るために。
という決断もあり、あっさりとバーガーワールドの人は了承してくれたらしい。
たしかに、いくら未成年とはいえ今話題の人質になった学生アルバイト。
というのは格好の餌食であろう。
そこさえやめればまず身元を割り出す手段はない。
誰かが口を滑らさない限りは。
「うん。とりあえずね。バイトばっかりやってたら遊戯につきあう時間なくなっちゃうしさ」
とはいえ、留学の一件はあきらめていないのでまた新しいアルバイトを探す気の杏子。
それはあまり自分に負担がかからない程度で。
「ほんとう!?」
脱獄犯の事件よりすでに二日が経過している。
何でも本田たちもまたあの場所でのアルバイトはやめたらしい。
そもそも、連日の報道陣の多さでバーガーワールドも経営側として困っているとか何とか。
ああいうエキサイトしてゆく報道はどうにかならないものか。
とテレビでもとある人たちがいっていたりするが、それは昔からいわれていること。
そんな杏子の言葉に目をぱっと輝かせる遊戯。
「まね。それより…あ、いたいた」
「おう。おそいぞ!」
今日は新しくオープンするという、全国チェーンのお店。
その店にいってみよう。
と城之内にと誘われて学校帰りに立ち寄っている杏子と遊戯。
そんな二人を待ち構えるように店の前でまっている城之内の姿。
「ほ~ら。今日からオープンする牛丼屋だ。めちゃめちゃ美味いって評判なんだぜ?」
牛丼屋。
よしのんち。
そう書かれている看板。
全国チェーン店の有名店。
ガ~……
そのまま、学生服のまま店の中にはいってゆく。
と。
「「いらっしゃいま……」」
『・・・・・・・・・・・・・・・』
おもわず再び数日前のデジャヴのように三人はその場に硬直。
目の前にはなぜかその店の制服らしきものを着ている本田と美穂の姿が……
「お…おまえら。まだやってやがるのか?」
唖然としながらも問いかける城之内の台詞に、
「だってだってだって…美穂、新しいお洋服、ほしいんだもん」
にこやかにきっぱりはっきりいいきる美穂。
「俺は、堕ちるところまで堕ちるのだ!美穂ちゃんと一緒にっ!!」
そんな美穂に続いて、どこか決意したように言い切っている本田。
そんな二人の姿をみて、
『……はうっ……』
ため息をつく杏子、城之内、遊戯と同じく、遊戯の横に出現して額に手をあてているユウギの姿。
ほんっとぉぉにヒロト…昔からかわってないんだな……
そんなことを彼は思っているのだが。
そんな思いは当然、本田たちにわかるはずもない……
「…何だかな~……」
「……だよね」
「え~と……」
とりあえず、せっかくだから。
というのもあり、店の中にはいり注文をかける。
だがしかし、やはり気になるのは本田と美穂のこと。
「…ま、そのうちにあきわよ。きっと」
あっさりとそれですます杏子。
美穂はたしかに、お小遣いなどほしさにアルバイトをしようとしたりするが、
それはあまり長続きしたためしはない……
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あとがきもどき:
薫:やっぱり初代のほうの遊戯王のほうが本田のキャラが光ってるようなきがします(笑
さてさて。ようやく次回は海馬瀬戸の登場ですv
アニメと原作をいりまじってゆくのですv
やっぱりあの罰ゲームはないとねvvんふふふふv
何はともあれ、ではまた次回にて。
2007年8月24日(金)某日
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