まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
そういえば、設定集?にも年齢とかがのってなかった摩訶不思議さんな悪魔くん……
普通、年齢とかかくのでは?とかなりのつっこみどころが満載なDVDボックスの設定資料集。
でもまあ、20年以上の歳月を経てようやくDVDボックスになっただけまし!
ともいえますけどね(苦笑
祝!2010年3月17日(水)悪魔くんDVDボックス発売!
いい加減に悪魔くん始動?のあたりくらいまでくらいはかいときたいこの小説?もどき。
いったい何話になるのかなぁ?
#####################################~第5話~
「まったく。真吾はどこにまであそびにいったのかしら?」
すでに空はしらみはじめている。
「まあまあ。子供はあそんでこそ子供なんだから。それより悦子ちゃんは大丈夫?」
心配そうに空をみあげてつぶやく女性に苦笑しながらも話しかける。
「悦子ならぐっすりとねむったわよ。お母さん」
今、ここ自分の実家にもどっているのは何のことはない。
子供がうまれたことによりしばらくは実家に戻っているにすぎない。
まだ小さな息子と夫だけ残しておいては気が気ではない。
ゆえにどこでも仕事はできるでしょ!
と言い含めて夫とともに田舎に戻ってきている今の現状。
実際、夫である埋もれ木茂は漫画化で、仕事はたしかに道具さえあればどこでもできる。
子供ができた、とわかるのとほぼ同時に売れ始めて今ではたいへんな忙しさでもある茂。
いくつかの雑誌にいくつもの連載をかかえて大変ではあるものの、
それでもやはり題材やアイデアといったものは気分をかえてこそでてくるもの。
「茂さんは相変わらずこもりっきりのようだしねぇ」
「しっかり働いてもらわないと、子供たちの将来のこともあるんだし」
今でこそ世間は何でかちょっとした変わったものブームがおしよせているらしい。
それゆえに妖怪や悪魔などをだしている茂の作品もよく売れ始めている。
しかしこのブームがいつまでつづくかなんて誰にもわからない。
「そういえば、さっき電話で編集者さんとかいう人が明日くるらしいわよ?」
「ええ!?母さん、そういうことは先にいってよ!進行状況をみにいかないと!悦子をおねがいね!」
せっかくこんな田舎まで原稿をとりにきてまだできていません。
となれば連載を止められてしまう可能性すらありえなくもない。
ゆえにこそそのままくるりと家の中にとかけだしてゆく。
そんな娘の姿をみつつも、
「まったく。あの子は誰ににたのかしらねぇ?…おや?」
ふと日が暮れ出した道の先に人影がみえる。
夕陽に照らされた影が長い人影を照らし出す。
こんな田舎に、しかもこのあたりの民家は自分の家しかない。
ゆえに誰かくる、などめったとない。
「はて?」
それゆえに首をかしげつつもしばしその人影のほうにと視線をめぐらせてゆく女性が一人……
「倒れたときにはびっくりしたけど。とりあえず何ごともないみたいでよかった~」
「そうね。…でも、いったいこの子って……」
く~く~としずかな寝息をたてて腕の中で眠っている幼児。
抱いていてもまるで重さを感じさせない。
それどころか逆に自分の力が満ちてくるようなそんな感覚に陥ってしまう。
その感覚すらもどこか懐かしい。
「この子の家ってこっちのほうでいいんですか?」
とりあえず案内をかってでてくれたレン、と名乗った精霊にと確認をこめてといかける小さな少女。
『ええ。そろそろみえてくるはずですよ?』
ふわり、と空気にまぎれて声がそんな彼女達にと聞こえてくる。
「「幽子ちゃん、あそこに~」」
ざわっ。
ふと小さな少女の髪からいくつもの小さな人魂のようなものが現れて、一斉にとある方向を指し示す。
みればたしかに道の先に一件の民家が垣間見える。
「あ。あれがこの子の家かな?ナスカちゃん」
「どうやらそうみたいね」
この子供が一体『誰』なのかレン、と名乗った精霊に聞いても教えてはもらえなかった。
いずれわかる、としか返答がなかった、というほうが正解なのではあるが。
『では、私はこれにて』
ふわっ。
「「あ、まって!」」
そういうと同時にレンと名乗った精霊の気配はかき消える。
あとには静かな空気があたりに漂うのみ。
ふと、誰かが自分達のほうにと近づいてくるのにきづき、
「豆幽霊ちゃんたち。髪の中に」
あわてて外にでていた豆幽霊達を自分の髪の中にとしまいこむ。
すでにナスカは翼が目立つから、という理由で里におりたときに羽を隠すマントを羽織っている。
真吾は腕にだいている状態なので何も困ることはない。
やがて近づいてくる人影が人間の女性だ、と彼女達が気づくのとほぼ同時。
「うちに何か御用ですか?…って真吾ちゃん!?まあまあ。もしかしてうちの孫をつれてきてくださったのですか?」
ナスカ達に近づいてきていた女性がナスカの腕の中で眠る真吾に気付いてそんな声を投げかけてくる。
見ず知らずの人ではある。
しかし相手は若い女性と小さな女の子。
それゆえにあまり警戒もなくといかける。
そんな女性の言葉に。
「あ、あの?この子の家族の人ですか?私たちこの子をおくってきたんですけど……」
いいつつもすやすやと腕の中でいまだに眠ったままの真吾にと視線をむける。
そんなナスカに対し、
「すいませんねぇ。その子はときどきいきなり眠ったりすることがありまして。
まあこんな田舎で何もお礼もできませんが、どうぞ家の中へ」
にこやかにいわれて戸惑うしかない二人。
そもそも、人間界にくるにおいてあまり人間達に見つからないように。
と口をすっぱくしていわれていたのは記憶にあたらしい。
「いえ。その私たちも急ぎますので……」
「そういいましても。ここから次の家にいくまでに完全に日がくれてしまいますよ?
今日はうちに泊まって明日もどられるがよろしいのでは?お家のかたに連絡もしますよ?」
たしかにこのあたりは集落、といっても家がまだら。
次の家まではかるく歩いて一時間以上かかる、という場所でもある。
かといって車がないわけではなくあるにはあるが、唯一の車は村の会合があるので真吾の祖父がのってでている。
「いえ…でも……」
しばしそんなやり取りの最中。
結局のところ、ナスカも幽子もおしきられ…今日のところは真吾の家…性格には真吾の母の実家にて泊まることに。
ゆっくりと目をあける。
「あれ?…いつのまに?」
ふと気がつけば布団の中。
覚えているのは彼を止めようと力をつかったところまで。
そのあとで、たしか……
「…ユリアお姉ちゃん?」
たしかユリアナがでてきて何かいっていたような気もしなくもない。
しかしどうも記憶が定かではない。
どこかふわふわとして定まらない。
「…ま、いっか」
ごそごそ。
自分の体よりも重い布団から抜け出てフスマをあける。
空には雲がほとんどなく、空にぽっかりと浮かぶ月の明かりが庭を明るく照らし出している。
布団の横にもっていっていたはずのリュックサックはそのままおいてある。
満月の光をあびながらごそごそと月の明かりのみで荷物をまさぐる。
「作業するのにはいい月、だよね」
昼間に行うよりもこういった月の澄んだ月夜のほうが作業ははかどる。
行う作業の属性にもよるにしろ。
庭の少し先には井戸があり、自由にくみ取れるようにとなっている。
すとん、と庭に降り立ち井戸をのぞいてみる。
ちょうど井戸の中の水に満月が映り込み、作業するのに絶好の時間帯。
すでに昨日のうちに用意しておいて押入れの中にとしまっていた桶を廊下におき、
その中にある文様を描いてある紙をいれる。
「よいしょ…っと」
ガラガラ……
月明かりのみで季節的に虫の声が響く時期でもない。
ゆえにしん、としずまりかえった夜の空気に井戸の桶を落とすための滑車の音が鳴り響く。
不思議なことに組み上げた水にぽっかりと月がいまだに崩れることなく映り込んでいる。
それを確認したのち、用意しておいた紙の入った桶にと水を入れかえる。
本来ならば水を入れ替えたりすれば月は水面に残ることなく乱れたりするものの、水面にはしっかりと月が残っている。
それらはすべて真吾がそのようにしているがゆえ。
本来ならばそんなことは絶対にとありえない。
「さて。お水の用意は完了。次は…っと」
今日、とってきたリアの花。
それらを薬にするにあたり、薬ならば時間がたってもさしさわりはない。
しかし、真吾からすれば薬だけでなく別な方面でもリアの花は必要。
おぼつかないあしどりで桶に汲まれた水を縁側にまで運びその場にすとん、とそれをおく。
小さな子供の力ではそれだけでも重労働。
それでも何とかなるのは真吾が無意識に『力』を使っているからに他ならない。
桶の上にいまだに浮かぶ月にむかって手をかざす。
それと同時に真吾の口から意味不明な言葉が紡ぎだされ、それに応じて月の形が変化してゆく。
やがて水面に写っていたはずの月は水面から浮き出るように小さな光を宿した球体となりふわり、と空中に浮かびあがる。
さらに真吾が言葉を続けると同時に、その形はどこにでもある鉢のようなものにと変化してゆく。
そして鉢になりきれなかった球体部分はさらさらと崩れていき、月の光を宿した粒とかし砂状となる。
そのままそれらは鉢の形になったそれの中にすっぽりと収まってゆく。
「うん。こんなものかな?」
その出来具合を満足そうにながめつつも、カバンの中にしまっていたリアの花のはいった小瓶を取り出し、
リアの花のいくつかをその鉢にと植え替える。
花を植え終えると再びそれを桶の中の水にかざし、しばし再び何かの呪文のような言葉を紡ぎだす。
水が意志をもったように変化してゆき、やがて桶の中の水は鉢の周囲につどっていき、やがて……
パシャ……
小さな水音とともに桶の中の水がきれいさっぱりとかき消える。
桶の中にあったはずの何かがかかれている紙もかききえ、桶の中にはほのかに黄色に光る小さな鉢がひとつのこるのみ。
その鉢の上にはまるでふたのようにぷにょぷにょとしたケースのようなものがかぶさっている。
はたからみればやわらかいプラスチック製のカバーにみえなくもない。
さわり心地もほぼプラスチックと同等。
ゆえにこそこれが何でできているか、などと一見したところほぼ誰にもわからない。
よもやそれらのカバーすべてが水により形づくられているなど、とは一体誰が想像できようか。
「あとはしっかりとお月さまの光をあびさして完了~。…僕もあびてこよ」
ふわ。
桶の中に小鉢をいれ、そのままふわり、とうきあがる。
平屋建てのこの家は昔ながらの建造物、ということもありさほど高さもない。
自力で屋根裏から屋根の上にでることも可能な構造となっている。
そのままころん、と屋根の上に到達しその場にねっころぶ。
空気のすがすがしさと月明かりがとても心地よい。
数多の命が眠りについている夜には別の命が鼓動し動き出す。
台地だけでなく星達の鼓動もまたこういう日には感じられる。
月は魔力を反映する、と昔の人々は信じていた。
今の人類はそんなことを信じているものはすくないが。
しかしそれは真実であり、いくら自然の法則を忘れていても生命は月の魔力の影響を多少なりとも受けて生きている。
月の明かりをあびていると、自分が気を失う前にあった出来事がゆっくりと頭の中にとよみがえってくる感覚。
「…まだまだ僕、力たりないな~……」
たかがあれしきで気をうしなうなど。
絶対にあってはならないこと。
つくづく思う。
人の体、とは本当に脆弱である…と。
どうしてそう思うのかは不思議ではあるが、事実そうなのだからしかたがない。
「カオスの力がこの惑星にも及びだしてるみたい…はやくどうにかしないとね……」
何が原因なのかはわからない。
しかし、ここにそれを呼び込んでいる何がいる。
それだけはわかる。
だからこそそれを防ぐためにも自分は今、こうしてここにいる、のだ、ということも……
「ナスカちゃん。おきてる?」
「おきてるわよ」
結局、流されるまま、というか押しきれられてしまった。
てっきり羽のことで何かわれるかもしれない、と身構えていたのではあるが。
「そういえば最近ははやってるとかいってたなぁ。コスプレ」
「こんな田舎でもやってる人はいるのねぇ~」
『・・・・・・・・・・・・・』
そのひとことですまされてしまい、何といっていいのかわからなくなってしまった。
確かに最近の人間界においてはそういうものがはやっている。
それも一部の地域などにおいて、というのは彼女達とて一応はしっている。
知ってはいるがそれでなっとくしてしまうこの人間達の感性というか性格に唖然としたのも事実。
「しかしちょうどいい。モデルになる人がいなくてこまってたんだよね~」
「まったく。お父さん。ちゃんとこの人に許可はとってくださいよ?」
何でも漫画をかいているらしく、その登場人物の容姿のモデルにいつのまにやらさせられて。
聞くところによると今度の漫画に羽の生えた女の子をだす、まではきまったものの。
その容姿がなかなかきまらなかったらしい。
モデル、といってもただ据わっているところと立っているところをデッサンされただけ、なのではあるが。
彼らは埋もれ木、といいあの男の子は埋もれ木真吾、というらしい。
そして生まれてまもない女の子が悦子、という名前らしい。
そこまでは会話の中で判明した。
しかし話しをきいていても彼ら…すなわち、彼の家族が彼の力を知っているかどうか、まではわからなかった。
「あの子、もしかしたら博士がさがしてる子なのかな?」
始めてあった気がしなかった。
見つめられただけで幸福になるような、そんな感覚。
「違うかもしれない。でもそうかもしれない。でも、それだと……」
まだあの男の子はあんなに小さい。
ファウスト博士ですらつかめない、という悪にあんな小さな人間の子を巻き込みたくはない。
この家に入ったときより感じているのは台地の守り。
それがあるからこそおそらくは、悪意あるものに彼の存在が気づかれていないのであろう。
力ある魂は格好の『贄』となる。
ましてあの子供は疑う、ということを知らないまでの純粋なる心をもっているらしい。
だとすれば、それを悪用されない、とも限らない。
「博士に相談したほうがいいのかな?」
「幽子。それはしばらくまちましょ。…せめてあの子がもう少し大きくなるまで……
それまでは博士にも秘密にしておきましょ」
運命、というものがある。
そういつも博士はいっていた。
だとすればもしもあの子が選ばれし存在ならばいやおうなく戦いに巻き込まれてしまうのは明白。
温かかった小さな体。
…そんな小さな体を危険にさらせたくはない。
「うん。わかった。…うわ~。みて、ナスカちゃん。きれいなお月さま」
「あら、ほんと」
フスマがすこし開き、そこから月明かりがさしこんでいる。
こんなに月が近い場所も珍しい。
まるで魔界にいるかのような、そんな感覚。
最近は魔界の中でもこんなに月が近く感じる場所はすくなくなってきている。
それらもすべて、博士いわく、黒い霧のせい、とはいっていた。
「…黒い、霧…か……」
その霧に達向かう選ばれし存在を補佐し守るため。
そのために君たちを見つけ出して養成しているんじゃ。
そんな博士の言葉がいつもよりも身近に感じる。
自分達が選ばれた理由。
それらはあまり深く考えたことなどはなかった。
だけども…あのような子供を守るために自分達の力が役立つのならばそれはそれでいいとおもう。
何に変えてもまもらなければ。
あのとき、たしかにそう思った。
そしておそらくその思いはあの場にいた精霊達もまた同じだったのであろう。
「幽子。明日は学校にもどるわよ」
「うん!豆幽霊ちゃんたちもしばらくはあの子のことは秘密にしといてね」
「「幽子ちゃんがいうのなら~」」
ここにこのままいたらかえりたくなくなってしまう。
しかし自分達が傍にいることで危険がせまらない、ともかぎらない。
豆幽霊達に言い聞かせている幽子の姿をみつつも月を見上げるナスカ。
月は静かにそこにたたずみ、そしてすべてを照らし出している。
それぞれに様々な思いを抱きつつ、静かに夜は更けてゆく……
――第6話へ
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あとがきもどき:
そういえば、悪魔くんの映画では、妹とどうも一歳差?とみられるような映像が…
よくよくDVDをみてたら小学○年というのがわかるかな?(よくまだみてないひと
とりあえず、私の作品では二歳違い、という設定にしておりますvあしからずv
さて、次回かその次くらいで先代悪魔くん(実写版)登場にいけるかな?
ともあれ、次回で視えない学校ですv
え?何で?まだ悪魔くんじゃないよね?という疑問は至極もっとも。
ええ。まだ博士には気づかせませんよ~(にやりv
ではまたvv
2010年3月18日(木)某日