まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
せっかく出てきた敵さんですが(笑)
ものすっごく活躍のないままにあっさりと~♪
さてさて。
今回でてくるのは、はっきりいって展開ばらしまくりv
の台詞をいう大地の女神のユリアナだったり(笑
ともあれ、いっきますv
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~第4話~
『あぶないっ!』
バシュ!
バサッ……
きっとひるむことなく目の前をにらんでいたその小さな体に振り下ろされる魔力弾。
だが、よけることもしない真吾。
普通ならば攻撃をうければまずうろたえるであろうに。
それはほんの無意識の行動。
真吾に魔力弾が繰り出された瞬間。
真吾がもといた場所にそのまま目の前の悪魔が繰り出した攻撃が炸裂する。
何も考えずに思わず飛び出し、そのままその場から真吾を掻っ攫うナスカ。
「…うん?」
白い残像とともに聞こえた羽の音。
それゆえに上空を見上げてみれば、そこにいるのは、
「ほう。なぜこのような場所に鳥人悪魔族がいる?」
体は人間のそれと変わりがないが。
特徴的なのはその背中にある白い翼。
白い翼をはためかせ、どうやらその手に先ほどの人間の子供を抱きかかえているのを確認する。
それをみて、にやっと笑い、
「…そうか。人間の味方をする。ということは貴様、白悪魔か」
まるで見下したかのような口調でそんなことをいってくる。
「そういうあなたは、誰なの!?力ないこんな小さな子供にいきなり攻撃をするなんてっ!」
ふわり、ととりあえず距離を保ちながらその手に真吾を抱きかかえ、
ゆっくりと真吾を地面におろしながら問いかける。
無抵抗な精霊達に攻撃をしかけているだけで、完全にいい悪魔ではない。
というのは明白であるが。
そんなナスカの問いかにもまったく動じることなく、
「貴様などに名乗る名前はない。白悪魔は我等が敵、この場で死んでもらおう!」
いうが早いがその手に魔力弾を出現させナスカにむかって解き放つ。
が。
「瘴魔鏡!!」
「…何!?」
いつのまにやってきていたのか。
小さな女の子が手にしたちょっとした大きさの鏡がその魔力を跳ね返す。
「そういえば。幽子お姉ちゃんのもってる瘴魔鏡って魔力を跳ね返す効果もある。ってかかれてたっけ?」
それをみて、ぽそっとつぶやいている真吾であるが。
古本屋でみつけたとある本。
それに書かれていたことはすべて彼の頭にはいっている。
もっとも、二歳児が古本屋などに出入りしている…というのもまずは前代未聞であろうが……
相手がどうやら、幽子の鏡により魔力を跳ね返されたことによりひるんだのをみてとり、
「…今がチャンスかな?」
そんなことをおもいながら、とある呪文を静かに小さな声で唱え始める。
今まで利用したことはない。
だけども…なぜか【判る】。
精神と意識を集中し小さく精霊の言葉をとなえてゆく。
精霊の言語。
といっても今現在のものではなく、すでに失われた。
とされている太古の言語。
今の人類というか進化の過程が第五期にあたるが、これはこの惑星が誕生してから始めてできた言語。
真吾の聞き取れない言葉と同時、彼の体全体がほのかに光り、そして。
次の瞬間。
真吾を中心としてみたこともない紋様のような何かが浮かび上がる。
一般に悪魔や神族などに知られている黒魔法、そしてまた白魔法。
そして神聖魔法のどれにも属さないその紋様が意味する内容はこの場にいる誰にもわからない。
唯一人、真吾を除いては。
淡く、それでいてとても暖かい感覚がそれぞれの周囲に満ちて、自信を守っている。
と誰もが気づくのにそうは時間はかからない。
真吾が今行ったのは、ひとまずこの場にいる無抵抗な存在達への被害をなくすこと。
つまりは大気に満ちている力を利用しそれぞれに簡単な結界もどきをほどこしたにすぎない。
つまりは、いくら相手が敵意をもって攻撃しようと、それらに守られているものたちには害はない。
本来ならば、攻撃をしかけてきている相手のみを隔離するような術を使えばいいのだが。
それだと攻撃をしかけてきている相手の後ろにいる存在に気づきかれない。
それゆえの無意識の行動。
「……!?きさま…何をした!?」
感覚でわかる。
自分以外の存在に護りの力がはたらいている。
ということは。
それゆえに思わずナスカの後ろにといる小さな子供にと目をむける。
ただの人間の子供ではない。
ただの人間の子供にこのような真似ができるはずがない。
そんな彼の思惑を知ってかしらずか。
静かにゆっくりと目を見開き、目の前にいるそんな彼にと視線をむけて視る。
あからさまに魂が黒い力に飲み込まれかけている。
それは常に夢の中でみている力と同様なもの。
多少感覚は異なってはいるが、それでもアレの影響をうけているのだ。
と無意識ながらも理解する。
ならば…自分のすべきことは……
護りの力をそのまま継続させ、別の言葉を紡ぎだす。
これは心というか魂の力を要するもの。
本来もっているその【力】において、その【黒き力】を浄化させるためのもの。
ゆっくりとその浄化の力を発揮させるために精神を集中させてゆく真吾の周りに、
ほのかに淡い金色の光りが出現し。
それはやがて光りの波となり周囲を多い尽くしてゆく。
「……なっ!?…がっ……ぐっ……!?」
体にまとわりつく淡い金色の光りの波。
別にそれに何らかしらの力を感じるとかではない。
だがしかし、確実に自身の何らかしらの力が失われてゆくのは理解できる。
こんな光りの波で自身が苦しむ必要はない。
と思うのに、確実に何かとても苦しくあがいてしまう。
確実にいえるのは唯一つ。
あの小さな人間の子供が何かをしている。
ということのみ。
淡い金色の光は子供の周りから発生し、この空間を満たしている。
相手はたかが子供一人。
しかもみたところまだとても小さな子供。
だが、自分の知らない何らかしらの力をもっている。
それは自分達には害にしかならない力だと漠然とではあるが今の状況から理解できる。
このままでは自分が危険だ。
それゆえに少し離れた場所にといる子供にむかって攻撃を繰り出そうと身構える。
「「「あぶないっ!」」」
見えない何らかしらの力が真吾にむかって繰り出されたのを感じ取り、思わず叫ぶ精霊達。
「しんごくん!?」
相手の狙いが真吾だとわかり、思わずふりむくナスカだが。
今から急いで向かっても間に合うかどうか。
という距離。
だけども動かずにはいられない。
あわてて真吾にむかって走ってゆく。
が。
精神を集中し目をつむっている真吾にむかって容赦なく攻撃が直撃しそうになる。
……キィィィン……
『……え?』
次の瞬間。
この場にいるすべての存在が一瞬目を見開く。
真吾に今まさに襲いかかろうとしていた攻撃が、
大地から突き出た水晶によってさえぎられ真吾にたどりつくことなく無効化される。
それはまるで真吾を守るかのように大地から突き上げていきなり出現したもの。
「……あれ?」
『……まったく。相変わらず無茶をなさいますね……』
どこか聞き覚えのある声を聞いてゆっくりと目を開く。
自分を取り囲むようにとある透明な水晶の原石。
六方形のそれは、まるで自分を取り囲むように地面より突き出ている。
感じる大地の護りの力。
「…って、ユリアお姉ちゃん?」
目の前におぼろげながら形をとっているその姿をめにしてきょとん、とした声をだす。
水晶の目の前に姿は透けているものの、人の姿をした女性が一人。
その場にたたずんでいたりする。
服装からして普通の人間ではない。
というのは明白だが。
どこかみたことのないような布地のようなつぎはぎのない服装。
しかも完全に体全体が透けている。
この場にいる存在でその姿を知っているのは真吾のみ。
といっても過言ではないであろう。
「というか…何でユリアお姉ちゃんがここに?」
それは最もな疑問。
そもそも、彼女は滅多に人前などに姿を現さない。
と以前きいたはず。
なぜか自分とはよく話してくれているが、それはあまり気にしていない真吾。
『無茶なさっているのがわかりましたからね。
…今ここであなた様の存在を相手側に知られることは……』
いいつつも、驚愕した表情をうかぺている攻撃をしかけてきていた相手をきっとにらみ。
そして。
すっと片手を突き出す、ユリア、と呼ばれた姿がすけている女性。
「まさか…きさまは!?なぜ!?」
その相手が誰なのか理解して思わず叫ぶ。
こんなところに現れるはずがない存在である。
だからこそ驚愕せずにはいられない。
『その問いには答えられません』
「って!?ユリアお姉ちゃん!?殺したらだめ!!」
ユリアナが何をしようとしているのか気づいて思わず叫ぶ真吾。
そんな真吾の言葉をうけ、あきれたような視線を真吾にむけて、
『…あいかわらず甘いですわね……ですが、このままにはしておけませんから』
彼女にとって彼の力を垣間見てしまったこのモノは絶対に俗する陣営には戻せない。
それが真実。
すっと彼女が片手を繰り出すと同時。
ドシュ!!
『……な!?』
戸惑いを隠せないその馬のような生物に対し、その足元の地面より。
いきなり盛り上がるかのように出現する水晶の塊。
それらは瞬く間に彼そのものを取り込んでゆく。
「…ぐっ…こ…こん…っっっっ!」
こんなものは自分の魔力で壊してやる。
そういいたいものの、だが太刀打ちできない。
あがこうとしても先ほどからの淡い金色の光に包まれて力が思うように働かない。
大地から盛り上がってくる水晶をどうにか抗おうとするものの、なすすべがない。
というのはまさにこのこと。
そのままもがくような格好で水晶の中にと一時の後に閉じ込められてゆく。
一瞬。
何がおこったのかわからずに呆然とするナスカたち。
そしてまた、それは精霊や妖精たちにとっても然り。
ただ一人、
「……あの?ユリアお姉ちゃん?……この人……」
先ほどまで攻撃をされていた。
というのに水晶の中にと閉じ込められたそれをみて心配そうな声をだす。
『大丈夫ですわ。…それより、無理はなさらないでくださいっ!とあれほど前にもいいましたわよね?
今のあなた様のその肉体において、様々な力は負担となりかねない…と』
精神というか魂そのものがもつ力は生身の肉体においても負担となる。
悪くすればその力にのまれ、肉体が消滅しないとも限らない。
それゆえの忠告。
「でも、ほっとけないし。…それより、この人…あれ?あ、これもしかして浄化の水晶?」
ぺとりと手を触れてみて普通の水晶ではないことを確信して思わずつぶやく。
『あのまま陣営にもどらせるわけにはまいりませんし。
この水晶の中で様々な負の力を浄化させておきますわ』
そういいながら、ふっと回りを見渡し、
『ああ。これは驚かせてしましましたわね。始めまして。十二使徒のお二人様。
他の存在はこの姿をみせるのは始めてですわね。
わたくしはユリアナ。そこのレンの主でもありますわ』
レン、と呼ばれた真吾たちを案内してきた精霊がその言葉にこくんとうなづく。
「「…いやあの…ユリアナ…って……」」
その名前ってたしか…大地の女神の名前じゃなかった?
思わずナスカや幽子がそのように心の中で思うが、何となく怖くて問いかけられない。
怖い、というのは恐怖のほうではなくて…どちらかといえば畏怖。
圧倒的なまでの力とそして神々しさを相手が実体でない。
というのにあからさまに感じる。
そして……
「あ?あの?…今、使徒…って……」
たしかに自分達はファウスト博士によって、一万年に一人あらわれる。
という【悪魔くん】の手助けをする十二人の仲間たちになるべく教育をうけている。
今どうしてその言葉がここにでてくるのか判らない。
戸惑いながら問い返すナスカの台詞に、
ちらり、ときょとん、とした真吾のほうにと視線をむけ、そしてにこやかに微笑み
『今はまだ。説明すべき時期ではありません。
それより、ひとまずあなた方はこの場を早くそのおかたをつれて逃れてください。
相手はおそらく、送り込んだ刺客の気配が途絶えたことに対して行動をおこすでしょう』
いって、すっと目をとじ。
『この場所は再び、わたくしの力にて別の空間の結界の中にと移動させます。
あなたがたは……』
そうユリアナ、となのった女性が説明をしていると。
「…あれ?」
ふらっ。
今まで気が張っていたのはたしかに認める。
とりあえず誰も死んだりしていない。
そしてまた、怪我もすべて完治している。
それらがわかったがゆえか、ふっと気がゆるんで目の前が真っ暗になってしまう。
どさっ……
「「って!?しんごくん!?」」
『メシア!?』
『コスモス様っ!!!!!!!?』
その場にかくん、と倒れる真吾の姿をみてナスカと幽子。
そして精霊や妖精たち。
あげくはユリアナの叫びが同時に重なる。
みんないきなり倒れた真吾のことに気をとられ、ユリアナがいった名前というか言葉には気づかない。
「…大丈夫。ただ気絶してるだけだわ」
倒れた真吾をそっと抱き上げて脈などをみる。
顔色は多少わるいが、どうやら命には別状はないらしい。
その台詞にその場にいたすべてのものがほっとした表情をする。
『もうしわけありませんが、その御方を家まではこんでくださいますか?
わたくしたちがこれ以上動くと、アレらに気づかれませんので』
アレら。
というのは何かわからないが、おそらくは。
ファウスト博士のいっていた闇の力と関係しているのであろう。
そう判断し、こくりとうなづきながら、
「ですけど。私達、この子の家…しりませんけど?」
至極最もな意見をだす。
『それでしたら心配はございません。家の近くに移動させますので。
…レン、彼女たちを案内して、その御方を無事に家に…・・・ 』
「かしこまりました」
ユリアナの言葉をうけ、うやうやしくお辞儀をする。
いろいろと聞きたいことは山とある。
だけども何を質問していいのかわからない。
ナスカたちが戸惑っている間にどんどんと話が先に、先にとすすんでゆく。
やがて。
『それでは。おねがいいたしますね』
やわらかなユリアナの声とともに、真吾を抱きかかえたナスカと幽子の体は。
淡い光りの中にと包まれてゆく……
―第5話へ
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あとがきもどき:
薫:さてさて。次はまた1話と同じく。真吾の母親の実家の話~
そのあたりで、たぶん、この「悪魔くん」シリーズを熟知している人ならば。
こういう複線にしたの?!と心の中で突っ込みがあるとみたv
なければないで少しさみしいけど(こらこら
ともあれ、次回。
『帰宅』をおおくりしますv
2007年7月3日(火)
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