まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ひとまず画像の魔法陣はエル様(まて)の魔法陣代用v
どこかにないかな~?
悪魔くんの魔法陣画像……

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「やはり……」
間違いではないらしい。
定期的に確実に共鳴を起こしているらしくほのかに光る。
「本家のソロモンの笛が…ですか」
本家の。
というのは多少誤解があるかもしれないが。
そもそも、『ソロモンの笛』というのはあくまでも名称に過ぎない。
古のソロモン王が作った笛はたしかに存在している。
だがそれは、元々あった笛をもとに作り出されたもの。
本来あった『聖なる調べ』はかの王の手により保管されていたに過ぎない。
その笛を研究してゆく過程で、特定の存在に対して言うことを聞かせる笛を作り出した。
それが『ソロモンの笛』と一般的に知られているもの。
だが…本当の本家の笛がもつ力はその比ではない。
「うむ。かつての真吾くんのときにはこのような反応はなかったが……」
彼こそそうでないか。
とはおもったが、この笛は何の反応もしなかった。
それゆえに、もう一つの笛を与えたのだからして。
それももう数十年以上昔のこと。
「では。今度こそ?」
「…おそらく。間違いないじゃろう。本来のこの笛の主。つまりは持ち主が誕生している兆しじゃ」
伝承にある一万年に一人現れる。
その聖なる存在。
だが……
「終末がせまっている兆し…ともいえますな」
「……はやくみつけださねば……」
かの存在さえ始末すればこの世界はすべてが闇と化す。
いや、この世界だけではおそらく確実にないであろうことは明白。
父の願い。
そして自らの使命。
それらの役目を果たすべき時期はすぐそこなのかもしれない。
そう思うと年甲斐もなく気がはやる。
そしてまた……
「…やはり……昔、真吾が占ったとおり…ということですか……」
かつて自分自身を呼び出して使途として使っていた人間。
彼もまた『悪魔くん』と呼ばれていた存在ではあった。
だが…あくまでもそれは人として。
その彼も今はいない……

~第2話~

円を描くように立ち昇る煙。
それがやがて収束し、一つの形を成してゆく。
「…ったぁぁ…もう。博士。いきなり呼び出さない……って、あら?」
人目につかない程度の高度で空から探索していたところ、
いきなりの強制召喚。
自分を召喚するような人物の心当たりは一人しかいないがゆえにてっきりそう思いこんだ。
だがしかし、それならば自身がでた場所はあの中のはずなのに。
回りにみえるのは自然の木々。
そして。
「…本当にナスカちゃんだ……」
呆然とした声が横のほうから煙りの中より出現した少女の耳にととどきゆく。
見た目は人とまったく同じではあるが、確実に異なるもの。
それはその背中に生えている純白の翼。
古の人々はその姿をみて天使の姿を想像し、彼女たちの種族をそのように呼んでいた。
という事実があったりするのはあまり知られてはいない歴史の裏の事実。
聞き覚えのある声にそちらを振り向き、
「…あら?幽子ちゃん?…って、私を呼び出したのは幽子ちゃん?」
同じ仲間ならば呼び出しも可能であろう。
だけども…そのような力…この子ってもってたかしら?
そうナスカ、と呼ばれた少女が疑問に思うよりも先に、
「こんにちわ。いきなり呼び出してすいません。
  えっと幽子お姉ちゃんの連れの人ですよね?始めまして!」
にこやかにそんな彼女にと話しかけてくる小さな男の子の姿。
声のしてくる方向を振り向くと同時に襲いくる不思議な感覚。
どこか懐かしいような、それでいて何かに抱かれて守られているような。
そんな感覚。
しかも、自分の姿をみてまったく驚いている節はない。
「…え?…人の…男の子?」
人…よね?
人間の幼児であることは間違いないとおもうが、だがしかし。
目の前のこの小さな男の子からは人特有のにおいというか感覚を感じないのはどういうわけか。
強いていうならば何かに守られているかのごとくに雰囲気がごまかされているというか何というか。
状況を把握できずに戸惑いの声をあげるナスカ、と呼ばれた少女とは対象的に、
『……あの~?少しききますけど、今まで白悪魔とか召喚したことがあるんですか?』
「ないよ?今のが始めて」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
戸惑いながらも男の子にと問いかけている精霊の姿。
きっぱり間髪いれずに答える彼の台詞に思わず黙り込んでいたりする。
その声に、
「…って、精霊?…どうして精霊が…それに…えっと……」
何がどうなっているのかわからない。
「えっと。幽子お姉ちゃんがいってた鳥乙女のナスカさんですよね?
  僕、真吾っていいます。幽子お姉ちゃんからリアの花を探してるって聞きまして。
  僕もそこにいくところなので一緒にいきませんか?って誘ってたんです」
先ほどの小さな男の子がどうみても年齢にあわない口調でそんなことをいってくる。
「…えっと…君は?」
「あ。僕は真吾っていいます」
戸惑いの声をあげるナスカにぺこり、と頭を下げて挨拶をする。
どうみても二歳かそこらの人間の男の子である。
それゆえに戸惑いを隠しきれない。
しかも、滅多に人の前に姿を現すことがない。
と習っていた精霊までこの場にはいるのだ。
戸惑わないほうがどうかしている。
「…しんご…くん?っていうの?もしかして私を呼び出したの…君?」
にわかには信じがたいが、どうやらそうらしい。
こんな小さな子供が魔法陣で自分を呼び出す技術など持ち合わせているのか?
という疑問ははなはだあるが。
「うん。えっと迷惑だったらごめんなさい」
しゅん、とした表情になり本気で頭を下げてくるそんな男の子の様子に、
「え?いや。そうじゃなくて……」
逆に問いかけた当人のほうが戸惑ってしまう。
『…あの?それはそうと、急がないと時間がないのでは?』
そんな彼らのやり取りをみながらもぽそりと言ってくる精霊の姿。
さもあらん。
元々、彼らが向かっていたこの山の中腹にあるというとある岩山のあたりまでは、
人間の大人ですら歩いてかなり時間を要する位置にある。
ましてや案内しているのはまだ二歳の男の子。
「え?あ。ごめんなさい。えっと。かいつまんで説明しますけど。
  リアの花を僕も今からこの精霊さんの案内でもらいにいくところだったんです。
  それで、途中でこの幽子お姉ちゃんに会いまして。お姉ちゃん達も花を探してる。
  って聞いたから。それで呼び出ししてみたんですけど……」
おもいっきりかいつまんで説明するそんな子供の台詞に、
「……いや。あのね?僕?しんご…くんっていったわよね?私がいいたいのはそうじゃなくて…」
どうしてこんなに幼いのに自分を召喚することができたのか。
というその疑問につきる。
そもそもどうやって召喚魔法の方法を知ったのかすらもはなはだ疑問。
「……君…一人で?」
とりあえず一番疑問な点をひとまず問い返す。
「うん。そうだけど?あ。でも時間かかるだろうからお弁当はつくってもらってきてるよ?」
いや、問題は絶対にそこではない。
思わずこの場にいる少年…真吾、と名乗った少年以外。
即ち、ナスカ、幽子、そして精霊。
三人の思いがものの見事に一致する。
そんな彼女たちの思いは何のその、
「それじゃ、案内よろしく♡精霊さん♡」
にっこりと戸惑いの表情を浮かべている精霊にむかって話しかける真吾。
ふぅ……
そんな彼の言葉にあからさまに判るため息を一つつき、
『判りました。たしかにあまり時間をかけるわけにはいきせまんしね……』
それでなくても不穏な空気が漂っているがゆえにかの場所はとある結界の中に移動してある。
「…え?あの…?」
未だによく状況が理解できていないそんなナスカの声をうけ、
「えっと。ナスカ…お姉ちゃんっていいましたよね?
  精霊さんが花のある場所に案内してくれるんだって♡
  お姉ちゃん達もお花さん、さがしてるんでしょ?一緒にいこ?ね♡」
にっこりと、そんなナスカに対して笑いかけている真吾であるが。
その人を完全に信じきっている澄んだ瞳。
その瞳をみているだけで何やら心が洗われるようなそんな感覚。
気のせいかこの子供の周りの空気が彼がいるだけで浄化されているような気がするのは、
この子があまりに純粋で無邪気であるからだろうか?
「一緒に…って、君もあの花をさがしてるの?どうして?」
普通の人間があの花の存在を知っている。
というのですらも驚きであるが。
それをどうやったら精霊までひっぱりだして案内させる方向にもっていけるのやら。
「えっとね。最近夢の中で説得してるカオスって人がなかなか応じてくれなくて。
  何でかかなりそのたびにつかれてたりするから。
  それ空気の精霊さんに相談したら、お花使えばいいっていって……」
「「???」」
そんな真吾と名乗った幼児の台詞に思わず顔を見合わせる幽子とナスカ。
これだけで意味がわかればたいしたものであろう。
事実、その【カオス】という言葉に反応したのは精霊のみ。
『ともかく。…その御方の意志もありますし……あなた方もご案内いたしますね。
  入り口として空間をつなげているのはこの山の中腹にある岩山ですので』
とりあえず話題を変えるためにといってくるそんな精霊の台詞に、
「って、山の中腹!?」
おもわず驚愕した声をだすナスカ。
さもあらん。
山の中腹といえばここからかなりの距離がある。
今からこんな小さな子供をつれて歩いていって…今日中にたどりつけるか否か。
という疑問がかなりある。
「?ナスカちゃん?」
そんなナスカの驚愕した声にきょとん、として問いかける幽子の言葉に、
「いやあの…?それってかなり距離があるんじゃないですか?」
とりあえず、聞きたいことは山とあれど今の説明で心配なのはそこ。
「昨日、精神だけで飛んでいったらそんなに時間かからなかったよ?」
「「いや、精神だけで…って……」」
さらっという真吾の台詞に思わず異口同音につぶやくナスカと幽子。
『ともかく。急ぎましょう。…不穏な気配をもっている輩に気づかれないうちに』
「うん。いこ?お姉ちゃんたち!」
そういってくる真吾たちの言葉に顔を見合わせつつも、
やがて視線と視線で会話を交わし、かるく首を縦にとふり、
「えっと。それじゃ、お願いしてもいいですか?」
「よろしくお願いします」
それぞれ、ぺこりと頭を下げる幽子とナスカの姿が、しばしその場にて見受けられてゆく。


てとてとてと……
「……大丈夫?」
「うん。お姉ちゃんたちのほうは?」
「私達は何ともないけど……」
自分達が普通にあるいていても、連れがどうしても二歳児であるがゆえ、
真吾のほうが早歩きになってしまう。
それゆえに歩測をゆっくりとしているものの、それでもやはり息を切らす彼のことが気にかかる。
「…これじゃ、かなり時間かかるわね…仕方ないわね。
  幽子ちゃん、私の背中にのって。この子は抱えていくから」
空を飛んでいけばそんなにさほど距離はない。
「え?でも重くない?ナスカちゃん?」
「…このままじゃ、夜になってもつかないしね」
たしかにこのままだといつたどりつけるか不安がのこる。
「?ナスカお姉ちゃん?」
そんなナスカの台詞にきょん、とした声をだしている真吾。
「君を抱きかかえて岩山まで一気にいったほうが早いしね」
いって幽子が背中にしがみついたのを確認し、そのままひょいっと真吾を抱きかかえ、
ぱさっ!
その背中の白い翼をはためかせる。
それと同時に真吾の体もナスカに抱きかかえられたまま、ふわりと浮かび上がる。
「うわ~!すごい!僕空とんでる~!!体のまま飛ぶのってはじめて!」
何やらものすごく意味不明なことをいいながらはしゃいでいる真吾であるが。
歩いていけばかなりの距離がある山の中腹にとある岩山。
だがしかし、空からいけばさほど距離はない。
それはさえぎるものが何もないがゆえ。
空を抱きかかえられながら飛んでゆく五体全身に感じる風の力。
それがとても心地よい。
だが、その感じる風の力の中に微弱ながらも感じる負の気配。
それに一瞬顔をしかめる。
年々、その力が強くなってきている。
というのはなぜか判る。
自然の法則が乱れている。
それもすべてはかの存在の影響である。
というのも漠然と理解している。
自分に何ができるのか。
そんなことはまだわからない。
だからといって何もしないわけにはいかない。
すべての存在が幸せであること。
それが望みであるがゆえ。
真吾がそんなことを思っているなどとは夢にも思わず、
背中に幽子を背負い両手で真吾を抱きかかえているナスカは、
ほとんど時間をおかず目的の場所。
即ち、数分もたたないうちにと山の中腹にとある岩場にとたどりつく。

ふわっ。
そのままゆっくりと地面に足をつける。
そして先に真吾をおろし、そして背中の幽子もまた地面に降りる。
『それでは、ご案内いたしますね。こちらです』
三人が三人とも地面に降り立ったのを確認し、
そのまま促すように岩場の一角にと三人を案内してゆく精霊の姿。

かの場所への入り口は仮につなげている空間に過ぎない。
ゆえにこそ、いくらナスカ達が探していても見つからなかったのであるが。
そのまま、三人は精霊に促され、入り口のある場所にと向かってゆく……



                   ―――第3話へ

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あとがきもどき:
薫:客観的視点でいけば、全員の視点かけるはいいけど……
  やっぱし難しいですね(汗
  いや、それは私の力が足りないからなんですけど(自覚あり……
  ともあれv次回でようやくイベント(?)開始v
  ついに現れる襲撃者!(まて!
  ともあれ、次回にいくのですv
  ではではv

2007年6月29日(金)某日

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