まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。
今回は第四使徒の幽子の登場v
って、なぜ使命を知る前に先にであってるの?
という疑問はそこはそれv
やっぱり運命ってこんなものよv(まて
何はともあれ、いくのですv
#####################################
十二の星を従えし、その星の元に産まれし存在。
星の元に導かれせし 運命の輪はめぐり始めざらん――
星は十二の星星を得て その星の光をさらに照り知らしたもう――
――古代、石版の一説より――
~第1話~
結構きついな~……
案内役がいるとはいえ、相手は精霊。
自分は生身のしかも幼児。
先日、魂…つまりは精神だけの存在としてかの場所にお願いにいったときは感じなかったというのに。
きちんと自身の足で目的の場所にむかってゆくのに時間がかかる。
とはわかってはいたが、ここまで体力を使うなどとは思っていなかった。
「……これからって、体力もつけないといけないな~……」
おもわず一人つぶやくのは仕方ないとおもう。
きっと、体力はかなり必要になってくるはずである。
強いていうならば打たれ強さか。
二歳児がどのようにして体力をつけるのか?
という疑問が自身の中でも起こるがそれはそれ。
がさがさと道なき道を進んでゆく。
と。
「……あれ?」
ふと進んでゆく先と少しことなる方向に感じる気配が一つ。
これって……
意識を済ますと聞こえてくる声が多数。
「……どうかしたのかな?」
その声が相手を心配して呼びかけている声だ。
というのは一目瞭然。
それゆえに、
『ちょっと気になるからいってみるね』
『そちらは崖がありますから気をつけてくださいね?』
『うん。親切にありがと』
空中にと浮んでいる透き通った人型の女性にと話しかけ、声がしてくる方向にと向かってゆく。
『幽子ちゃん、大丈夫~?』
がさっ。
ばばっ!
主でもある少女を気遣い声をかけている小さなふわふわと浮んでいるそれら。
それらは足音を感じてあわてて少女の頭の中、すなわち髪の毛の中にと隠れだす。
人の気配などは微塵も感じられなかった。
というのに。
足音と同時にみえたのは小さな人間の子供の姿。
だが、敵意を感じない。
それゆえに見守ることに。
「……あれ?この子って……」
おかっぱ頭にスカート姿の十歳にも満たない女の子の姿を見つけ、
思わず女の子がうづくまっているその後ろにとあるちょっとした崖を見上げる。
パラパラと崖から石が落ちてきていたりするのもあり、
おそらく崖から落ちたか何かしたのかもしれない。
「ねえ?大丈夫?」
自分よりもかなり年上なのは間違いない。
見た目は七歳か八歳かそこらくらい。
とはいえ日本の悪魔辞典の中で彼女の姿を見かけたことがある。
気配からしても人のそれではない。
だけどもそんなことは関係ない。
「ねえ?」
ゆさゆさと揺さぶり気絶しているその子を起こす。
どうやらただ気絶しているだけのように見てとれる。
それゆえに、しばらくその子をゆさぶり、
「大丈夫?」
声をかけながら様子をみる。
「う……」
誰かに呼ばれたような気がする。
何だかとても暖かいような、懐かしいような。
そんな不思議な感覚が広がり意識が向上してくる。
ゆっくりと目を開くとそこに見慣れない子供の姿が映りこんでくる。
「……って、…きゃっ!?」
思わず見慣れない人間の子供を目にしてびっくりして小さく叫ぶ。
立ち上がろうとするものの、ずきりと足に痛みが走りそのままへたりこむ。
「って、大丈夫?お姉ちゃん?」
見た目からすればおそらく、二歳か三歳程度なのであろう。
自分が昔からみている人間の子供とは何か雰囲気が違うように感じるのは気のせいなのか。
少女がそんなことを思っているなど露にもしらず、
「どこか痛いの?大丈夫?」
立ち上がろうとしてその場に再びへたりこんだ少女を心配して声をかける。
そして、ふと足元にと視線をむけ、
「って。あ!お姉ちゃん、怪我してる。…ちょっとまってね…えっと……」
たしか自分がよく怪我をするので常に絆創膏などは準備している。
万が一のときを考えてハンカチも二枚以上は常に持ち歩いている。
自身が怪我をしたときなどは自然のどこにでもよく生えている蓬で対応するものの、
蓬…って……霊力とかには関係ないんだなね。
目の前にいる女の子が人間の女の子ではない。
というのは気配からしても気からしてもあきらか。
だからこそ、自身が調合して常に持ち歩いている傷薬を取り出すために、
背中に背負っていたリュックを下ろす。
好奇心も手伝い様々な場所などに出向いていっている現状で、
霊力などに関連する薬がどうしても彼にとっては必需品。
自分用に調合しているので別の存在にもきちんと効くかどうかは不明ではあるが。
普通の手当てよりはましのはず。
親はままごとをして何かやっている程度にしかまだ思っていないので助かっている節もある。
そんなことを思いながら、ごそごそとリュックの中をさぐり、お目当ての小さな小瓶をとりだし、
「あった。…えっと、染みるかもしれないけど、ちょっと我慢してね。お姉ちゃん」
「…え?いやあの……君は…?」
にっこりといってくるそんな幼児に対して戸惑いの声をあげる。
話し方がしっかりしている。
ということは見た目よりももう少し歳なのかな?
そんなことをも思うが、それよりも気になるのは。
この少年に見つめられていると不思議と心が温かくなってくる。
というこの事実。
今まで抱いていた不安などをすべて包み込んで癒してくれるような。
そんな不思議な感覚る
たぶん、この子の澄んだ瞳のせいかな?
そんなことを思いながらも自分の怪我に気づいて水筒からお水を取り出し、
そして自身のハンカチを水で浸して傷口を先に綺麗にしている子供にと話しかける。
戸惑いなからも問いかけられたその台詞に、にっこりと微笑みなから、
「僕?僕は真吾。お姉ちゃんは?」
てきぱきとどうやらすりむいたらしい膝にと水に浸したハンカチをあて、
丁寧にそこについている土などを拭い去り傷口を洗いながら言うそんな男の子の言葉に、
「え?私?私は……幽子……」
戸惑いながらも返事を返す。
足に触れている小さな手がとても暖かい。
まるで触れている場所から霊力がみなぎってくるかのようなそんな不思議な感覚。
「幽子お姉ちゃんっていうんだね?…染みない?大丈夫?」
「え?あ。うん。平気」
いつもならば人見知りするのにこの子にはそんな感覚は起きないことに戸惑いながらも、
それでも心配そうみにてみるその子供の様子をみてあわてて安心させるようにと返事をする。
「あとは薬をつけて…っと…うん。これでたぶん大丈夫!」
ごそごそ。
ぺたっ。
とりあえず念のためにそのあたりに生えている蓬も多少つけて、
自作の薬を軽くぬってからポケットより絆創膏を取り出して傷のある場所にと貼り付ける。
絆創膏にかわいい星のマークが散らばっているのが子供用のものである。
というのを物語っていたりするのだが。
「え?…あ、ありがとう。えっと…しんご…くん?っていったよね?きみ?」
「うん。それより幽子お姉ちゃんはどうしてこんなところにいるの?」
この山ってあまり人とか入ってこない。
ってそこにいる精霊さんはいってたけどな?
今はなぜか姿を隠している精霊のことを思いながらも問いかける。
「え?…えっと…その…そういう君は?小さな子が一人で何してるの?」
まさかなぜここにいるのか問われるとは思わずに一瞬戸惑うものの、
逆に目の前にいる子供にと問いかける。
どう考えてもこんな場所に二歳くらいの男の子が一人でいるなど考えられない。
そもそも、この場所に魔界トンネルをくぐってやったきたときには。
たしかにこの山周辺には人の気配はしなかったはずである。
山の麓にとある小さな街というか集落をのぞいて。
ゆえにこんな場所でこんな小さな子供に出会うなどとは想定もしていなかった。
「え?僕?僕は精霊さんの案内でリアの花の場所にいくところだけど?」
さらっというそんな真吾、と名乗った少年の台詞に。
『……メシア~……軽々とそういうことは……』
何やらか細い声が耳にと聞こえてくる。
「あ。精霊さん。どこかくれてたの?」
「……え?」
ふと視線をあげればそこに透き通った滅多に人の前には姿をみせないはずの精霊の姿が。
それゆえに思わず戸惑いの声をあげる幽子と名乗った少女。
それに…今、この精霊さんって…この子のこと…?
『私はあまりほかの人には姿をみせるわけにはいきませんので……』
「?どうして?」
ふぅ。
きょん、として問いかける真吾の台詞に盛大にため息をついているのが見てとれる。
?
そのため息の意味がわからずにきょとん、と首をかしげている真吾とは対照的に、
はっと我にともどり、
「あ…あの?今この子がいったのって…そうなんですか?
私達もリアの花を探してるんですけど、見つからなくて……」
とりあえず普通の人間ならば精霊の姿をみて驚きを隠しえないであろうが。
幽子も人のことは言えない立場。
しかも関係がある立場ゆえに戸惑いながらも気になっていることを問いかける。
その他にもこの男の子を呼んでいた精霊の言葉も気にはなるものの、
自分達が探している花のありかを知っているかもしれない。
そのほうが何よりも優先事項。
「え?幽子お姉ちゃんもさがしてるの?なら一緒にいこうよ!」
『……あ…あのですねぇ~……』
幽子の手をとりながらにこやかにいう真吾の台詞にまだた脱力した声をあげる精霊の姿。
「どうして?この幽子お姉ちゃん、悪い人じゃないよ?」
人かどうかは別として。
どのように表現していいのかわからずにそのように答え、
「それに、何かとっても困ってるようだし。……だめ?
僕にくれるっていった予定の花をお姉ちゃんにあげてもいいから……」
懇願するように手を合わせ、ふわふわと自身の目の前にと移動してきた精霊にと話しかける。
やがて。
ふう。
とため息一つ。
『……ユリアナ様が言われていたとおりというか何というか……
判りました。どうやらそちらの子は白悪魔のようですしね……』
悪い目的に探していたようではなさそうである。
それに…自身の上司から言われていることには、目の前のこの子は、
まず今までの経験上などからいっても言い出したら聞かない。
というのは明白。
それはこの惑星が誕生する前からある存在いわく変わっていないらしい。
当の当人はそんなことは露にも知らないが。
「ほんと!?ありがとっ!んっと。幽子お姉ちゃんっていったよね。
えっと、よろしく!入り口はこの山の中腹にある崖下らしいよ?」
びょんびょんと飛び跳ねた後に、幽子の手をとりにこやかに話しかける。
「え?あ…こちらこそ」
そこまでいって、そして。
「…あ。あの?連れがいるんですけど……いいですか?」
精霊に向かって心配そうにと話しかける。
「つれ?」
きょん、とした声をだす真吾の台詞に、
『…それはかまいませんけど……』
どうせ反対しても絶対にこの御方はかまわない。
というに決まってますしね……
そんなことを思いながらも答える精霊。
「えっと。その連れの人ってどこにいるの?」
「それが…別れて場所を探してたので……」
見つけた場合というかそうでなくてもいなくても、待ち合わせは今日の夕方。
麓の町のとある神社の境内で。
という話で別れて探していた。
どこを探しているのかは幽子でもわからない。
『…どうします?私が探してきましょうか?』
そういう精霊のその台詞に、
「ん~と……あ。そだ。えっと。幽子お姉ちゃん。その連れってひとってどんなひと?」
「え?…あの、鳥乙女のナスカちゃんっていって……」
『鳥人族ですか。珍しいですね』
「えっと。ナスカってひとだね?」
それを確認してごそごそと再び降ろしていたリュックサックの中をまさぐりだす。
そんな真吾をみて、
「?」
首をかしげる幽子に、
『…って!?もしかして召喚するおつもりですか!?』
何やら驚愕した声をだしている精霊であるが。
「そのほうがはやいとおもうし。その前にきちんと番号を確認して…と」
いいながらもリュックサックの中にいれていたとある布と。
そしてその布にと包んでいるとある小さな箱のようなものを取り出す真吾。
ぱらり。
と布をめくるとそこには何やら魔法陣らしきものが描かれている布と、
そして包まれている箱の中には小さなカードのような束が一つ。
一年ほど前、父親と出かけた先でもらったこのカード。
西洋術などによく用いられているタロットカードであるが。
普通のカードと異なる点がいくつかある。
このカードそのものに意志があるらしく、そのカードに刻まれている属性を発揮する。
そしてまた、このカードは持ち主の意志を反映して様々なことを占える。
二歳児が扱うような品ではないような気がするのは気のせいではないであろうが……
そんなことはこの真吾という男の子は異にも介していない。
土の上に布を広げ、その上に描かれた魔法陣らしきものの中にタロットカードを広げ、
そして意識を集中しながら幾度かかきまぜる。
「…あの?そのタロットカード……」
カードからたしかに感じる強い波動。
たしかそれは博士が探していた、というカードなのでは?
そんなことを思いながらも幽子が問いかける。
「これ?えっとね。一年ほどまえ、お父さんとお出かけした先でもらったの」
正確にいうならば、もらった…というか。
とある箱の中に封印されていたそれを解除したがゆえに彼のものになった。
というのが正解なのだが。
どうしてこのカードをあの学者の奥さんがくれたのか。
などとあまり深く考えたこともない。
そういいながらも、方式にのっとり順番にとカードを並べ終わり、
ゆっくりと決められたとおりにカードを表に開いてゆく。
タロットカードの占いは抽象的ではあるが確実に正解を導き出す。
それは使い手の技量や能力にもよる偏りがあるものの。
カードそのものに意志がやどっている場合は、その意志と扱い手の意志によって見通せる。
「えっと…うん。わかった。あの番号の並びでいいんだ」
すべてのカードを開き終えて一人納得すると同時にごそごそと再びカードをしまい、
そしてそのあたりに落ちている木の枝で地面にむかってごそごそと円を描き始める。
そんな真吾の姿をみて、
『……あの~?大丈夫ですか?』
ものすご~く心配そうにと声をかけている精霊の姿。
精霊の心配も最も。
もし間違えたりすれば彼の命にも関わるハメになるかもしれない。
それを知っているからこそなおさらに。
そしてまた。
「…え?…君、召喚魔法陣…かけるの?」
しかも、何もみずにさらさらと書いている目の前の二歳の男の子の姿に驚愕する。
博士でもけっこう時間かけてるけどな~?
ときどき呪文のみで魔法陣発動させたりもしてるけど。
そんなことを幽子が思っている最中。
「タブン大丈夫!安心して!」
「「…タブン…って……」」
きっぱりいいきる真吾の台詞に幽子と名乗った少女と精霊の声が有無を言わさず一致する。
それって安心できないかと……
そんな彼女たちの思いは何のその、
やがて小さな体を駆使して描いた魔法陣らしきものが完成する。
魔法陣が失敗したときの危険性を嫌というほど習っているがゆえに、
「え…えっと。しんごくん?ちょっとま……」
戸惑いながらも真吾をとめようとする幽子。
だがしかし。
「エロイムエサイム、エロイムエッサイム……」
すでにもはや精神を集中して呪文を唱え始めている真吾にはその声は届かない。
別に誰に習っている、というわけではない。
だがしかし、やり方は自然とわかっている。
額の前で手を交差しながら精神を集中させ、
そして右手と左手の人差し指と親指を合わせて三角の記しをほどこす。
それを前後にと組み合わせ、六芒星の形へと変化させる。
その手で作り出した六芒星と、魔法陣の中にとある六芒星をリンクさせ、
そしてその力をもってして強大な力を呼び覚ます。
それが今彼が使っている魔法陣の一つの特徴。
数字の組み合わせで様々なものを呼び出せる代わりに、失敗したときのリスクも大きい。
というのが玉に傷ではあるが。
「我は求め訴えたり!いでよ!鳥乙女のナスカっ!!!!!」
幽子が心配した声をあげている最中。
呪文が完成し、魔法陣にむかって最後の召喚の言葉を解き放つ。
右手と左手。
片手で天を仰いで、片手で魔法陣を指し示す。
天と地の命のもとに、というのをこの動作は表している。
真吾の叫びとほぼ同時、間髪いれず、
ごっ!!!!!
すざましいまでの魔力が魔法陣の円の中にと高まり、そしてその場に噴煙が立ち込めてゆく……
―――第2話へ
Home TOP BACK NEXT
########################################
あとがきもどき:
薫:さてさて。次回でもう一人の十二使徒の登場ですv
そうv十番目の使途の鳥乙女のナスカですvv
何はともあれ、いっきますv
って、さらっと魔法陣をかける二歳児っていったひ・・・(汗
2007年6月27日(木)某日
Home TOP BACK NEXT