まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

何だか最近、輪廻転生版のヒカル&佐為の話があたまからはなれない~(こらこら
ちなみに、そのお話としては、前世がらみではあるんですけど。
さまざまな要素がからみあって、ヒカルが佐為を何と!式神として実体化できる!
ということが(まてこら
でも佐為はそれには不満。というか幽霊のまま実体化もできるわけで(おひ
ヒカルに式神をよりしろにして憑依してふれるのと実物(?)でふれるのとはわけがちがいますからね。
何しろ石をもつのも紙をはさんでもってるようだ…とあるいみ嘆き(笑
でも、その理由は、ヒカルにはきちんとあるのですよ~v
佐為のかつての肉体さんは竜族に頼んで(というかおどした)保存してもらってますから。
生き返らせることが可能なんですよね。実は(まて
しかし、佐為には当然戸籍とかないわけで~
とりあえずただいまチマタでさわがれている戸籍のない子供~という説明をして、
きづいたらいつの間にか一緒にすんでます。という形を表向きにはとってたり(こらこらこら
ちなみに、二人が院生試験うけるのは、十二と十四(佐為の年齢はヒカル偽造)の歳ですが。
その年にヒカルの両親がなくなってしまったゆえに、
子供だけ(精神年齢は大人でも)で生活してゆくにはやっぱりじゃ、そろそろなろっか。みたいな感じだったり。
バケモノナミの二人がそこにいますよ…ええ(だからまて
(何しろヒカル&佐為さんはその想いの強さから平行世界とびぬけてそこの世界に転生してるので)
(あるいみ悲劇?というか救い?というかとにかく似た世界設定さんにそのまま魂ごと転移&融合した設定)
ちなみに、佐為&ヒカル。ものすっごくラブラブカップルです。
院生の中でとんでもない新人がくる。といわれたけどそのあまりのラブラブブリに、
たしかにとんでもない・・・と逆の意味でおもわれてたりv
しかも院生初日に佐為が
『ヒカルは私のいいなずけですから友人関係はみとまけすけど、
  それ以外のものをヒカルにもとめたら…みなさん、つぶしますよ?』
と、にこやかに冷やかな笑みを浮かべていってしかもそれがあるいみ本気であるのだからかなり怖い(笑
伊達に千年培われた絶対零度のほほ笑みではないわけで~(こらこら
ちなみに、ヒカルはそのとき佐為(式神憑依バージョン)の胸にぼすん、とうずめられていて佐為の表情みてません(笑
まあ、ヒカルも佐為からみならかなり暴走するのですけどね~。
しかも、それでいて天然無自覚!というかなり最強設定(笑
佐為、日々ヒカルが十六になるまで・・なるまで・・・と一人耐えている状況が延々とつづいていたりするという(合唱
何だか最近、ようやくヒカルと佐為が再開したのをうけて、
どうもそっちのほうがむしょうにかきたくなっている今日この頃…
やぱいなぁ(汗
あははははv
だってこのお話はあくまでも強い絆でむすばれてるヒカル&佐為だけど。
女の子バージョンヒカル&佐為は永遠の伴侶!としての強みもありますしねぇ(笑
まあ、何はともあれ、本編のほうをいゆくのですv

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なぜ囲碁に興味をもったのか。
自分の息子の事情のほうは単純明快。
たまたま通学路にたまたま関西棋院があり、たまたまそこにいりびたったら親切にしてもらえた。
その理由がきちんとある。
しかし、進藤光、という少年のほうは父親ですらわからない、といわれたときにはびっくりした。
たしかに彼の祖父は以前から子供や孫に囲碁の相手をしてほしい。
とはいっていたらしいが…まったく興味など抱かなかった、というのに。
きっかけは、社会の成績のせいで止められたというおこずかいらしい。
が、しかし初心者囲碁教室に数回というか二、三度通っただけで力をつけるであろうか?
答えは否。
いくら何でもありえない。
囲碁のことを一応、息子が習いたい、といったときに自分なりに調べた。
息子もきちんとしたプロ棋士のもとで力をつけた。
なのに、進藤光にはそれがない。
それなのに囲碁を始めて半年後には院生となり、さらにその半年後にはプロ棋士を蹴散らして何とかという大会で優勝し。
さらにはその夏にはプロ試験を全勝合格したという。
関西棋院のプロの仕組みは試験というものではないのでどういう試験内容だったのかはわからない。
が、ありえなさすぎる。
それでも息子がきちんと勉強もしていたので、まあ何かに必至になるのも別にいいか。
という程度で認可してみれば合格してしまい、何が何だかわからないままの状況だ、という。
「私としては息子には手堅い公務員になってほしかったんですけどね~」
いって盛大にため息をついた進藤正夫の姿は記憶に新しい。
あれよあれよというまにどうして日本代表ということにまでなったのか・・・
どうやら一番とまどっているのは彼のご両親のようである。
私たち家族は、それでも息子が小学三年のころから興味をもっていたのでひっこしたばかり。
というのもあって認可していた。
まさかそれでプロになりたいなどといいだすなど夢にもおもわなかったが…
目の前のこの人物はまったく寝耳に水できづいたときには院生、さらにはプロ試験…そして合格。
…それがたったの二年あまりで行われたというのだから唖然とする以外にない。
彼の息子である進藤光に才能があり、それが何かのきっかけで開花したのか・・・
囲碁界。
つくづく不思議な世界だ、とおもう。
そんな世界にとびこんでいった息子の清春。
勝負が、実力がすべてをきめる世界。
親が望むのは子供の幸せ。
しかし、その話をきいてふとおもった。
子供の幸せを願い、子供の可能性をつみとって、何が幸せなのか・・・と。
それはただたんに親のエゴなのではないのか…と。
北斗杯も昨日でおわりをつげ、息子が参加した日本は優勝。
息子は自分だけが二敗なのがくやしいらしく、自室で今も必至に勉強しているようである。
…そろそろ、私たち家族も覚悟をきめるとき、なのかもしれないな。
かの両親は光君が原因不明の病気で死にかけて、それで何もいわなくなったらしいが。
…生きていてくれるだけでありがたいものなのですよ。
そういって笑っていた。
もしも、もしも反対しつづけて…清春が命を絶つようなことになれば…それこそ悔いても悔いても悔やまれる。
後悔だけは、けっしてしたくないから。

星の道しるべ   ~心理・理…そして真実~

「…進藤。僕にも打たせてくれ」
その言葉の意味をきちんと正確にとらえられるのはおそらくヒカルと佐為のみであろう。
ヒカルと秀英、そしてアキラ。
話しを聞いた棋士たちもいつのまにか手があいたものたちが集まりはじめ部屋が手狭になってきた。
まず第一局をヒカルと秀英がうち、スヨンの投了による中押し勝ち。
そのあと、スヨンとアキラがうち、そしてヒカルとアキラの対局…となったのだが。
すでに気付けば時刻はとっくに六時をすぎかけている。
一局、一時間半と短い設定だとはいえその後の検討を含めれば一局につき約二時間半。
それでもひとは増えるばかりで帰ろうとする人々はいない。
「では、ひとが増えてきたので先心の間に移動しましょうか?」
すでに大広間でもある手合いの間は本日の手合いの対局もおわり空いている。
「でも、秀英。おまえあまりおそくなったらおまえのおじさん、心配しない?」
それでなくてもたしかあの碁会所までは多少ばかりここから距離が離れていたはず。
それとも家はもっと近いのであろうか?
そんな会話をしつつも、ヒカルたちはたしかにそのほうがいいか。
というのもあり場所を移動している今現在。
『碁会所・リュウですか。なつかしいですね~。
  柳の木のヤナギ、というのかとおもえば竜神様のリュウ、だったのですよね。たしかあそこは』
何げにおもいっきり佐為のしみじみつぶやく台詞はまちがっているが。
しかしその勘違いを訂正する知識はあいにくとヒカルにはない。
……とりあえず、竜神のリュウではないとおもうけど…あれの読み方……
それだけはひとまず佐為に対して心の中で突っ込みをいれておく。
後にも先にもあの場所にいったのは一度きり。
ゆえにおもわずしみじみつぶやく佐為の気持ちはわからなくもない。
「その点は心配ない。日本棋院にいってくる。といってあるし」
アキラにもヒカルにも負けたがすがすがしくはある。
目標とする高みは高ければ高いほど燃えるというもの。
「とりあえず。この一局が終わったら三人とも送って行くよ」
「すいません」
篠田の声に思わず頭をさげてしまう。
どちらにしても五月の太陽がかげるのは早い。
棋院の営業時刻は午後の九時まで。
一般対局受付は午後八時まで。
いつの間にかやってきていた天野がそんな彼らにといってくる。
「だけどさ。塔矢。お前。別に今でなくてもいつでも打てるのに」
まあ確かに、この北斗杯の予選が終わるまでは打たない、といったのは自分だが。
「そのいつでも、ができたらね」
……やっぱり目的は佐為か。
その言葉ですばやくアキラが誰と打ちたいのか瞬時に理解する。
たしかに碁打ちならば伝説の棋聖とまでいわれた人物と手合せしてみたい、と望むのは当然であろう。
「たしかに。君たちはこれからは地方のイベントとかが増えるだろうしね」
もっとも、塔矢明のほうはあまり目立つことを父親とおなじく好まないのでめったに棋院も仕事を割り振らないだろうが。
その意味を取り違え、一人しみじみと職員の一人がいっているが。
たしかに、日中韓戦の初めての国際戦にて打ち勝った若手の棋士を地方イベントの目玉として狩りだすのは、
少し考えれば当然の結果であろうが。
そもそも、棋院とて慈善活動だけで成り立っている組織ではなく、列記とした一応は会社のようなものなのだから。
…普通の会社などとは根底から組織の形式から異なるが。
「今ならば、きちんと記録が残るしね」
アキラも佐為の力を垣間見ている一人。
このまま彼の力を表に公表することなく彼が再び逝くとなれば絶対に後悔するとアキラとて思う。
公式の場…ではないが、それに近い形できちんと対局しててみたい。
と思うのは高みを目指す、神の一手を目指す棋士だからゆえ。
……で、佐為はどうする?うつ?
『でも、こんなにたくさんの人たちがいますよ?いいんですか?ヒカル?』
ヒカルの言いたいことはものすごく興味があるが、しかしこんな大勢の中で自分が石を握ってもいいのだろうか。
ましてやかつてのように自分が打てば、回りはヒカルがうった、としかとらえない。
ヒカルはそれを自分の力でないのに佐為の力なのに自分の手柄になるのがいやだ。
とはいっていたが、それでも佐為の影を負う覚悟はあのとき、すでにできてはいた。
「平気、平気。それにさ、塔矢の気持ちもわからなくもないし」
とりあえずぽそっと小声で佐為にと笑みを浮かべて語りかける。
何よりほかの棋士にも佐為の碁をみてほしい、とおもっているのは他ならないヒカル自身。
たとえ、それが自分がうっている、と思われたにしても気づいてくれる人はいるのだ。
そう、塔矢明のように。
そして、その一局は人々の心に強く刻まれる。
『では、かつて塔矢がみたあの三将戦の形でいきましょう』
人の心に残したい一局。
その強い思いは佐為にも伝わる。
「じゃ、前、お前がいった三将戦の再録、な」
【くやしいよ。どうして相手が僕でないんだろう】
三将戦といわれてぱっと思い浮かんだのは小学六年のときにみたあの一局。
あのとき、あれをうったのは…・・
そんな会話をしつつも、ヒカルたちは先心の間へと向かってゆく。

「「これは……」」
その場にいる誰もが思わず息をのむ。
ただみているだけの存在にもわかる。
はっきりと。
盤上にて繰り広げられている碁石による星々の輝き。
昔、アキラが途中で中断してしまったもの。
そして、そのあと、あの一局をみて後悔したもの。
彼…進藤光とは別次元にいるより神に近しき力の持ち主に導かれるごとくの一局。
ヒカルにまるで囲碁の神が下りてきたかのようなその一局にその場にいる誰もが声を失う。
小さな盤上にてたしかに広大なまでの神秘的な宇宙がしっかりと表現されている。
碁をうつ先にみいだすもの。
石を打つことにより視え、聞こえてくるもの。
この一局を目にしている者たちは自分たちもまた神秘的な空間に立会い、
その場にたたずんでいるような錯覚をうける。
碁をうつことの楽しさ。
そのものがもつ幽玄さ。
小さな碁盤の上にてすべての心理すら見渡せ感じられるようなその一手一手。
以前、アキラはこの対局から逃げた。
力を見せつけられるだけのような気がして。
でも、そうではない。
そうではないのだ。
アキラもヒカルも、そして周りにいる誰もが宇宙の神秘さを感じつつ、静かに時は過ぎてゆく……

進藤光、という少年は謎すぎる。
本気でそうおもう。
どうしてこども…まだ十五歳だというのに年月の重みを感じさせる一局が打てるのか。
かとおもえば、子供らしいそれでいて別人が打っているような一局をもうつ。
先の一局。
昨日、一昨日の一局、そして今、目の前で繰り広げられていた一局。
あきらかに棋力の差は歴然としている。
しかもその中でも今の一局は、進藤光に神が舞い降りたかのごとくのような一局であった。
そう表現するのが一番しっくりくる。
碁を始めて半年ばかりで院生になり、さらにはその一年後にはプロ試験をうけてプロの世界へ。
人の可能性というものを指し示しているかのごとくの不思議な存在。
人は、無限の可能性を秘めている。
そうおもわざるをえない一局。
棋譜をつけていた人だけでなくその場にいる誰もから自然とため息が漏れだしてしまう。
気付けば惜しみがたい対局時間はおわり、局面は終局。
未だに余韻の残る中、ふと気付けばいつのまにか閉館時間が迫っている。
名残惜しいが夢を視るのもここまで。
それゆえに、その場を片づけ各自それぞれ心の中に満たされた感覚を抱きつつ棋院をあとにしてゆく姿が、
午後八時を回った日本棋院においてみうけられてゆく――


「お帰りなさい。おそかったのね」
家にもどったのはすでに九時を回っていた。
「ただいま。手合いがおわってちょっと打ってたから」
母親の問いかけに無難な返事をしているヒカル。
『何だかひさしぶりにヒカルの院生時代にもどったようで楽しかったですね~』
横では佐為がしみじみとそんなことをいっているが。
たしかにいわれてみれば、佐為がもどってこの数日。
正確にいえば今日で三日目。
棋院に顔を出したのはこれがはじめてではあるが。
「…お前らしいな」
くすっ。
しみじみとつぶやく佐為の横顔にとてもほっとする。
たわいのない会話がとてもここちよい。
そんな会話をしつつも靴を脱いでそのまま二階の自分の部屋へ。
「ヒカル。夕食できてるわよ」
「先にお風呂にいくから~」
階下できこえる母・美津子の声。
荷物を背中からはずして寝巻を取り出す。
そんなヒカルの横では改めてヒカルの部屋の中を見渡している佐為。
昨日、ヒカルの家にもどったとき、自分の自画像があるのにかなりびっくりしたが。
それはかつて虎次郎の墓のあるお寺でみたその絵姿の掛け軸である。
というのはすぐに理解した。
どうしてこれがいま、ヒカルの手元にあるのか。
というのはまだ佐為はきいていない。
それでも、その下に丁寧に花などが飾られていることから、
ヒカルが常に自分を想っていてくれていたことが痛いほどにわかった。
ヒカルが話してくれるのを待つ。
それが佐為にできる唯一のことだと思ったのであえてそのことには佐為はまだ触れていない。
「そういえば。佐為」
『はい?』
しみじみと自分の絵姿を間近でみるとどうしても首を思わずかしげてしまう。
自分はここにいるのに、絵の中の自分もたしかに自分そのもので。
それでもすくなくとも、自分がいなかったこの一年。
ヒカルの心の支えになってくれていたのでしょうか?
そんなことをふと思う。
「今日のあの一局。あのとき、塔矢相手にうとうとしていたあの一局の再現?」
そんなことを思っているとヒカルが荷物を片づけつつも問いかけてくる。
手を動かしつつ、しっかり視線は佐為を確認し、その姿を視界にとらえあからさまにほっとした表上で。
あの一局で、ヒカルは本当の意味で囲碁に目覚めた。
いわば先をきめた一局の再現。
『ええ。あの時のあの一局はうちかけになっていましたしね。
  ……ヒカル。あのときよりも感じるものがおおかったですか?』
にこりと笑みを浮かべられ、少し思う。
たしかに言われてみればあのときとは違う感覚をうけた。
そう、宇宙の誕生と滅亡。
そして再生と消滅……
それと同時に生命の数多なる神秘さ。
一気に心にそんな想いがそれこそ流れ込んできた、そんな感覚。
自らが手を動かすたびに変化する。
まるで、生命、否、世界そのものの営みを過去から現代、そして未来にむけてなぞっていったかのような。
そんな不思議な感覚。
『私はかつて、数多と広がる広大な星星の声を形にし、その声を盤上にと導きました。
  盤上はいわば神秘的な星空そのもの。でしたから。
  …もっとも、そのとき脳裏に浮かんでいた光景は当時も江戸の世においても自分なりに把握しきれていませんでしたが。
  現代においてヒカルが私に与えてくれた知識によりそれが【何】なのか知ることができました。
  知ることによりより深く、盤上の神秘差を引き出すこともできる…
  より高みへとのぼる神の一手に続く道を見出すこともできるのです。
  まあ、まだまだ私の力はそこまで確実にたどり着けてもいなくて、神秘差も表現しきれていませんけどね』
いや、あれだけできれば十分すぎるんじゃぁ……
にこやかにいってくる佐為の台詞に思わず心の中で突っ込みをいれてしまう。
そのように強くおもえども佐為の向上心は果てしない。
ヒカルとて三年あまりも佐為とともにいてそれをよくわかっている。
「おまえらしいよな。佐為」
佐為がいた時代。
平安の世にそのような感覚があったのかどうかは別として。
おそらく昔は今よりも自然と触れ合うことが当たり前だったのだろう。
すくなくとも、陰陽師が当たり前に認められていた時代、なのだから。
佐為がいる間に科学博物館とか宇宙博物館にいってみたいな。
きっと佐為はそこから更に深くよみとり高みにのぼるであろう。
より、神の一手に近づくのがありありと思い描かれる。
しかし、学校や対局を休んでまでいったとすれば逆に佐為に怒られまくるのは請け負う。
「でもさ。お前、つかれてない?」
何しろあんな一局はいくら佐為とておそらくかなりの精神力を使うはず。
いくら肉体のない佐為とて精神的な疲れは幽体の弱体化にすらつながってしまうであろう。
それがわかるがゆえの問いかけ。
『そうですね。ヒカルと一緒にお風呂にはいってゆっくりしますよ』
「…って、お前、お風呂にははいれないだろうが」
思わずその言葉にのりつっこみ。
こんなやり取りすらとてもうれしく感じていることを佐為はわかってるのかな?
ふとそんなことを思うヒカル。
二度と、このように会話ができてあえる、などとは思っていなかったのも本音。
佐為がいなくなり、がむしゃらに突き進んでいたのは、一重に佐為とあの世で再開したときに褒めてもらいたかったから。
しかし、あの世にいくまでもなく今、佐為は再びかつてのようにヒカルのそばにいる。
それがとても…うれしくもあり、そしてまた恐怖でもある。
再び、彼を失ったとき…ヒカルは立ち直れる自信はまったくない。
それどころか今度こそ彼をおいかけて逝くかもしれない。
という自覚すらもっていたりもするのだから。
『気分だけでも違うものですよ?』
といっても、服をきたまま湯船につかる姿は…以前も幾度かみたがかなり違和感を感じたものである。
幾度か無理やり服を引っぺがしたこともあったが、すぐに元にもどるのであきらめた経緯が過去にある。
服は確かに脱げる。
が、一時もしないうちに脱いで畳んでいたはずの服はきえ、気付けば元通りの正装姿。
最も、そのあたりは佐為が幽霊である自分が着替えなどできるはずもない。
と思い込んでいるがゆえ…の結果なのだが。
そのことに佐為はまったく気づいておらず無自覚のまま。
何しろヒカルが服をひっぺがしたときですらかなり驚愕していたのだから。
「ま、とにかく。風呂いくか」
『はい♪』
たわいのない会話をしつつも一階にと降りてゆくヒカルと佐為。

ピチャン…
静かな水音が周囲にと響く。
「そういえばさ。この石を意識して水につけたら佐偽もオフロにはいれるのかな?」
第三者に渡すことにて佐偽の姿が視えるようになった、というのも驚愕だが。
『さあ?でも碁石は触れますけどヒカル以外、他のものには触れませんし』
とりあえず様々なものに触れてみたが自らさわれるようなまずなかった。
碁石にしても打とう、とおもわなければ手はすり抜ける。
「…なんか、ものすっごく中途半端な復活だよな……」
それでも、帰ってきてくれた、というのがとても嬉しく心強い。
一年間の葛藤が嘘のようにかききえる自分もまた現金だよなぁ。
そんなことをふと思う。
「とりあえず今度こそ後悔しないようにしないと……」
いつ消えてしまうかわからない不安はある。
だけども今、佐偽はここにいる。
『ヒカル?』
「何でもない。よ~し!佐偽!風呂からでたら打とうぜ!」
『はい♪』
自分が消えていた間のヒカルのことを聞きたい。
だけどもその瞳の奥底に悲しみと不安の色が見え隠れしているのがわかるから。
私もいつまた消えてしまうかわからない身。
お別れの言葉もいえずに消えてしまったあのときのような思いはもうしたくたない。
自分にできること。
まだまだヒカルには教えることは山とある。
それらすべてを伝えるまでは、どうか今一度、私に時間をください……
それぞれ様々な思いを巡らしつつも、しずかに時間は過ぎてゆく……


                                -第83話へー

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あとがきもどき:
薫:何となく、女の子バージョンヒカルで考えていると、まあいろいろパターンがでてくる、でてくる(笑
  もともと光が実は大地を守護していた竜神で人々の想いの結晶で誕生した佐為となかよくなって。
  女神と会話できる佐為をやっかんで菅原公が佐為を落としいれ…
  んでもって、自ら命をたった佐為を悲しんで自らの神としての力をすべて神々の長にもどすことを条件に。
  彼の願いをかなえさせてほしい、というようなことをいい……
  神としての力を失ってはいるヒカルだけどやはりヒカルはヒカルなので佐為はひきよせられ…
  そのあと、昇天したのちに、かつての佐為&輝姫のことをしっている同じ神族さんがでてきて~
  そして、神々も記憶をけしているのにひかれあったというのもあって、
  さらにとどめの試練とばかりに佐為に過去(ヒカルより五年ほどさき)に転生させて~
  そして、時がくるまで彼女(ヒカル女の子バージョン)とあわずにすごせたら二人をみとめる。
  みたいな(ちなみに一度でも直接にあったりしたら佐為からヒカルの記憶はきえます)
  そのときは、北斗杯終了後に、楊海がヒカルに手紙を託しますけどね。
  ちなみに、楊海の囲碁ゲームのスポンサーというのがこの世界にある藤原財閥さんだったり(まて
  (ちなみにその一族、佐為と輝の仲を応援してた神の守護をうけてるという設定さん)
  んで、そこには打ちかけの例の一局の続きをばv
  手紙には佐為がヒカルのことを「私のヒカル姫」と呼んでいた文面だけで名前なしv
  ちなみに、北斗杯にも多大なる貢献していたりする藤原財閥(笑
  同じホテルの最上階のスィートルームに佐為ちゃん、ずっといたりするという(こらこら
  ちなみに、藤原財閥にとって佐為はかなり貴重な存在です。
  何しろ叶姫(藤原家の守り神)の姿が視える貴重な人物なので(とゆーか知り合いなんだけど)
  昔から二人をみているだけに、叶姫は二人の仲をおもいっきり応援しまくってます(笑
  自分でみにいくことができないのなら、トオクからなら問題なし!
  第三者が勝手に調べて連絡するのなら問題ないでしょぅ!?
  と神々の上層部にくってかかって(けっこう強き)佐為にヒカルが生まれてこのかたの様子は報告してますが。
  魂というのは現在、過去、未来とかそういう概念があまりない、とおもうのですよね。
  神々の世界などにしても。
  なのでヒカルのもとから消えた佐為は二十年前に飛ばされてそこで誕生してるという設定さん。
  でも、容姿はもののみごとに佐為のまま。
  だけど自分の容姿とかが表にでてそれがヒカルの目にとまっても記憶はきえる。
  (何しろ佐為そのものの元となってる魂さんはそのときいまだ碁盤にいるのだから)
  という何とも過酷な条件。
  ゆえに常にずっとネットのみでその存在も知る人ぞしる、というような形の人だったりするのです。
  ちなみに、実体佐為と幽霊佐為がかちあわせでもしたら、互いに二人とも消滅。
  というものすっご~~くハードル高い条件を神々はだしてきてますけどね…
  (あるいみ、一人の人間のために神がその力も命もささげたのでけっこうねにもってるという…汗)
  もっとも、そちらのパターンさんもヒカルと佐為はむすばれますがv
  ちなみに、囲碁もネットでうってはいけない。自分のみでしか。というものすごい制約が(汗
  それもヒカルが北斗杯にでる五月の五日まで、という制約だったんですけどね。
  その日を迎えたら制約解除、ということであってもいいし、また碁をうってもいい。という感じです。
  しかし、ほんと、ヒカルが女の子だったら~とおもうといろいろ話がぱたぱた浮かぶからこれまたたのしv
  さてさて、本編のほうはようやぁぁぁぁぁく、意味深発言菫ちゃん登場です(汗
  ……佐為が転生することになる十八までは話数はこれまたい~ず~こ~(汗
  何はともあれ、毎度のことながら小話、いくのですv


ぼんやりと外を眺めるその光景も、青いはずの空もどこかむなしくて。
佐為が目の前で…消えた。
その現実を認めたくなくて。
気がついたのは病院のベットの上。
お母さんがいうには、いきなり二階からおりてきたかとおもったらそのまま倒れた、とのこと。
何でも三日間、ずっと意識不明だったらしい。
そのままずっと意識不明のまま、佐為のところにいけていたらいいのに……
そうおもうと知らず涙がこぼれてくる。
どうして?
神様。
目覚めてもそこにいるはずの人はいない。
優しいほほ笑みも、あの優しい声も。
そして、ふわりと触れられないにしても感じていたあの優しいぬくもりも。
もう、何もかもどうでもいい。
……ねえ。
佐為?
私、あなたがいなくなって…これからどうしたらいいの?
あなたがいない、なんて耐えられない。
佐為はきっとあのときのようにこういうんでしょう?
『私の意思はヒカルに伝わり、そしてその意思はさらに人にと伝わりつづいてゆくのですよ。
  あなたは私のすべてをうけついでくれています。あなたが碁をうちつづけてゆくかぎり、私はずっとあなたのそばに……』
あのとき。
佐為はきっと自分がもうすぐ消えるのだろう。
と確信していたんだとおもう。
それでも、私は信じたくなかった。
だってそうでしょう?
私の前の虎次郎って子のときには、ねえ、佐為。
彼がしぬまでそばにいたって、はやり病でしぬところをみとった。
そういってたのにっ…なのに、どうして…どうして!?
私は…私はまだあなたとであってまだたったの三年もたってないのにっ!!
血の染みが薄くなっていることで佐為を失う怖さを始めて知った。
ずっとともにいてくれる。
そう信じてやまなかった。
佐為だってそういっていた。
自分が死んだらまた次の人を暗闇でずっと待ち続けることになるのでしょうね…と。
だから、佐為にそんな想いを二度とさせたくなくて、私が佐為と一緒に神の一手を極めるんだって。
そう決心して佐為が喜ぶ顔がみたくて、囲碁を始めた。
覚えてゆくたびに佐為がいっていた盤上の神秘的な宇宙空間に魅せられた。
だけど、それはあなたが一緒に感じている世界だ、そうおもえたのもあったから……
塔矢君という子供とであって、彼より強くなければ佐為の笑顔がみられない。
そうおもって必至に頑張った。
私がのびてゆくたびに喜んでくれた佐為の笑顔はもう横にはない。
いつもなら、こんなふうにぼんやりとしていたら
『ヒカル。ぼんやりしてないで、一局うちましょうよ~!ね?ね!!』
そういってはしゃいでいたあの人。
ねえ?
神様。
佐為はどうなっちゃうの?
昔、自殺した人の魂は極楽にいかれない、そうきいたのに。
ずっと自ら命をたったその罪を背負いつづけて生まれ変わることもできない、ときいたのに。
佐為はでも十分にもうその罪は果たしたとおもうのに。
千年でたったの二人。
佐為は自ら入水自殺して会話ができたのが…虎次郎と私、だけ。
佐為はずっと孤独の中で存在していたのに。
私、佐為にはいっていなかったけど、佐為を残して自分がしぬとき、絶対に佐佐為も一緒につれてゆく。
それかずっと彼のそばで幽霊になってもそばにいたい。
そうおもっていたのに……
残されたのは佐為とともに過ごした思い出と、私の中に刻まれたあの人のぬくもり。
心がつながっていたからこそ佐為のことは誰よりもわかっていた。
佐為とであってからつけ始めていた佐為とうった、また佐為がうったさまざまな対局の棋譜。
これがこののち、増えてゆくことがない。
なんて私には耐えられない。
…ねえ。
佐為。
……あなたのあとをおって、自殺したら…あなたは…おこるかな?
だけども、それはできない。
あなたは、だって、私に『生きてくださいね。ヒカル』そういって消えていったのだから……
それとも、
『ヒカル!!あなたって人はっ!!』
ってときどき間違った手をうったときのように顔を真っ赤にしておこってくれる?
あなたとの想いでをつなぐのは…残された、たくさんの棋譜…だけ。
せめて佐為の写真でもあれば…
自分が書いた絵姿なんかじゃなくて、佐為自身の。
だけど佐為は絶対に写真には映らなかったから……
学校にもいくきになれなくて、何をする気にもなれなくて。
それでも、
『ヒカル。すごいですね。ヒカルは文学の才能も絵ごころもあるんですねぇ~』
私のサイトをみたときに、いってくれた佐為の言葉は今まで誰にいわれたときよりもとてもうれしかった。
『顔がみえない人たちは、この数字がうごいているこの数の人だけ、みなさんヒカルの話をみたくてやってきてるんですね。
  今の時代は素晴らしいですね。こうして顔がわからなくても手紙のやりとりができるなんて』
サイトに設けている掲示板。
それをみてしみじみと佐為はおどろいていた。
『ヒカル。ヒカル……』
佐為がお話の続きを気にしていたのもわかっている。
私が結末を先にいおうか?
といったら、
『ヒカルが続きをかくまでまちますよ。
  私たちにはこれからも時間はたっぷりとあるんですから。そのほうが楽しみがふえますしね』
そういってたのに。
…うそつき。
うそつき、うそつき、うそつきっ!!!
絶え間ない思いが噴き出してきて…どうしようもない。
お母さんが心配しているのはわかっている。
理由を問われてもいえるはずもない。
学校にいく気力も、ご飯を食べる気力も今の私にはない。
誰か…ワタシヲサイニアワセテッ!!ワタシをサイノモトにツレテイッテッ!!


設定的には、ヒカル。佐為が目の前できえて、お別れをいわれてはいますけど。
そのときうっていた一局はうちかけのまま、という設定さんです。
不戦敗がつづいている次期、そう捉えてくださいなv
切ないほどのヒカルの叫びをば。
こののち、アカリがやってきて、アカリには佐為のことを話していたので(でも幽霊とはいってない)
あまりのヒカルの代わり用に、【サイ】という人物がいなくなったのだ。
と察してヒカルをなだめて…おもいっきり泣く。
という(え~と。どの小話にかいたっけ?38の小話、ですね←確認さん)展開につづいていきますが。
はたからみてもおもいっきりヒカルはかなりやつれてゆく裏設定です。
そのうち、伊角のアテマチガイさんの再起を含めた訪問さんの小話もいくよてい。
何はともあれではまた次回にてvv

2008年10月5日(日)某日

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