まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。今回のあとがきの小話は、小話のさらにその裏方さんをばv
現実(?)さんとさりげにリンクさせてみましたのですv
今回…菫ちゃん登場までいけるかなぁ?むりかなぁ?
何はともあれゆくのですv

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ふと、対局がおわり、ノートパソコンとやらの下のほうをみてみれば、
気付けばいつのまにか時刻は二時半をまわっています。
いわゆる丑の刻です。
しんとした暗闇に浮かびあがる碁盤の局面。
精神を集中させるのにはたしかにいいのかもしれません。
が、たしか以前、ヒカルの母君が暗いところでやっていたら目がわるくなるとかいってませんでしたか?
ふと今さらながらにそんなことをふと思う。
結果は私の中押し勝ち。
一目半。
それでも以前より行洋殿は私の碁にはるかにくらいついてきました。
以前うったときはどっしり、じっくりといった感じでしたのに。
まあ、私もまた落ち着いた碁というのはどちらかといえばあまり好きではありませんし。
やはりこう盤面上ではさまざまなせめぎ合いをすることによりより深みをしることができる。
そう昔からおもい日々精進してきているのですから。
「佐為。どうする?チャットで検討する?」
ふとヒカルが何かいいかけたのちにその言葉を飲み込んで私のほうをみて聞いてきます。
もしかしたらヒカルはあのときのように逆転の手を見出したのかもしれません。
いえ、ヒカルならばおそらく見つけたのでしょう。
ヒカルのひらめきは私も目を見開くものがある、とあのとき確信したのも事実なのですから。
『検討、ですか?しかしできるのですか?』
「おじさんの都合しだいかな?というか文字入力おじさんできるようになってるのかな?」
…どうやらヒカルもよくわかっていないようです。
しかし、あのものと文字だけとはいえ検討をかわせる。
それはたしかに魅力です。
何しろ私はいつもヒカルとしか検討を交わしたことはないのですから。
『しかし、ヒカル。時間は大丈夫なのですか?もう時刻は丑の刻をすぎましたが?』
そもそも、ヒカルのような力をもつものにはこの時刻はけっこうきついのではないでしょうか?
陰陽師のかたがかつていっていましたが。
この時刻はモノのけなどの力がさらに力を増す、と。
「大丈夫だって。とりあえず、チャット画面開くな」
ヒカル…何かあなたは無理をしているようなきがするのですけど。
…あなたの心の優しさが痛い。
きっとあなたは、私がすぐにまたいなくなってしまうのではないか。
と不安をいだきつつも私が悔いのないように、とおもって行動しているのでしょうね。
しかし、本当にわたしは今回はいつまで現世に…ヒカルとともにいられるのでしょうか?

星の道しるべ   ~あいまいな猶予~

対局を申し込んだときに、お願いしたことがある。
終局がみえても絶対に最後まで打ち切ってほしい、と。
そして、それは佐為にもいった。
最後まできちんとどんな形であれ終局してほしい、と。
それか、どうしてもプライドからそれが許せないのであれば、そのあと検討を延々としてほしい、と。
佐為だってきっと、自分がうった一局の検討を言い合いたいんだとおもう。
いつもは俺としかその検討を言い合ったりしたことなかったから。
研究会のときも口をだしてきたのを俺が口出ししてもそれはどうしても佐為の言葉でなく俺の言葉になってしまう。
何かに熱中することにより、碁に熱中することにより、ふたたび逝くことを忘れてほしい。
卑しい考えだ、と自分でも自覚している。
いるけど止められない。
佐為と…共に、また、いたいから……

「…一目半の…負け…か」
とにかくはじめから全力で飛ばした。
それでもあいてはやはり強い。
全力をだしきってもたどり着けない壁がそこにある。
「ひゅ~!さすがsai。しかしさすが塔矢先生。ですね。オレだとここまではうてませんよ」
きちんと対局時計もしっかりもってきているのが楊海らしい。
しっかりと時間まで記入して棋譜を作成しながら観戦していた。
「うん?チャット…?…検討をしますか。…か。しかし、私は文字などうてないが……」
「先生。先生、私が変わりにうちますよ。私も先生たちの検討の様子は視てみたいですしね」
文字のうてない行洋にかわり、棋譜をつけて観戦していた楊海の申し出。
それはたしかにありがたい。
しかし、時間が時間である。
しかし自分には受ける理由があるとおもう。
この対局を仲立ちした進藤君の気持ちがよくわかるから。
おそらく彼は悔いが残らないように、身を切る想いでこの対局を申し出てきたはず。
ならば、私は私のできることを、してゆくのみ。


気がたかぶっているときは、なかなか寝付けないのは当たり前。
それでもひとは寝なければ精神がもたない。
『ヒカル。大丈夫なのですか?あなた昨日もはっきりいってねてませんのに?』
そもそも佐為と行洋の検討が終わったのも気付けば朝の六時近くになっていた。
ヒカルの顔色をみてとり、佐為がどうにか説得し、佐為がそいねすることを条件に無理やり少しは寝かしつけた。
よほど佐為が消えてしまう、という不安が強いのであろう。
ぎゅっと佐為にしがみつくようにしてなかなかねつかなかったヒカル。
その姿は幼子が親をもとめるかのごとくにも感じられた。
目を話せば壊れてしまう。
そんなはかなさを一瞬佐為ですら連想したほどに、そのときのヒカルは弱弱しかった。
「一時間はねたよ?」
『たったの!でしょう!ヒカル。あなたは私と違い生身なのですから、無理をしてあなたに何かがあったら……』
「大丈夫。俺は大丈夫だから。それより。佐為。今日、お前うつ?前約束してたもんな」
『ヒカル。でもそれは……』
「おじさんとはいつかさ、きちんと真正面から対局させられてあげられるようにどうにかするから。
  …だから、それまでいなくなるのはなし、だからな?」
ヒカルがどんな思いでそういっているのかは想像するのに難くない。
「それにさ。俺。佐為の打つ手がみたいんだ。…だめ?」
佐為の存在をしらないまでも、佐為という人間の力をしることでひとは変わる。
そう、あの門脇さんだって。
「棋譜作成がつかないのが今日の対局はさみしいけどさ~。
  だけど棋譜ならあとからでもつけられるし。佐為だって他の高段者と一度はうってみたいだろ?」
『うっ!!』
いつ消えてしまうかもしれない私の影をヒカルに負わすのはしのびないのです。
ないのですけど……
ヒカルは伊達に私の性格を知り尽くしているわけではない、ですね。
こういうとき、ヒカルにはかなわない、とおもってしまいます。
佐為がそんなことをおもい思わず言葉につまるのをみこし、にっと笑みを浮かべ、
「それにさ。佐為もいってたろ?俺、寝不足だ。ってだからまともに打てるかあやしいかもしれないし。
  それより佐為のうつところみたいし」
『…ヒカル、それもあってわざと寝不足にしたのでは……』
そうでない、とわかっていてもおもわず突っ込みをいれたくなってしまうのは佐為の性分。
「さ~てね~」
『ヒカルっ!!』
「あはは。やっぱり佐為は元気なほうがいいよ。というわけで、今日の対局は佐為担当、な?」
『…何だかわたし、いいくるめられてませんか?』
「気のせい、きのせい」
絶対に気のせいではないとおもうのですが……
一年もの間、離れていたとはおもえない、かつてとおなじ心地よい会話。
ガタゴトと電車にゆられつつも、ヒカルと佐為がむかっているのは日本棋院。
七月にはいれば本因坊戦の三次予選の決勝が行われる。
それに勝てばヒカルも晴れて本因坊戦のリーグ入り。
他の棋戦も順調にと勝ちあがっている。
去年の早碁の大会は入院していたこともありドクターストップがかかりでられなかったが。
何の棋戦の大会、何の予選と佐為がいなくなってからは意識することなくとにかくひたすらに、
対局手合せ表がくればがむしゃらにとがんばってきた。
こうして、あのときからずっと、佐為とともにまたここにくる日を夢みていた。
二度とかなわないであろう、そんな夢を。
だけどもそれは夢は夢でなくなり、今、たしかに自分の隣には佐為がいる。
ゆえに知らずに顔がほころんでしまう。
ぽこっ。
「ってぇぇ!って、何だ。緒方さんか」
「何だはないだろ。何一人でにやけてるんだ?進藤?」
ふとみれば棋院の入口付近で笑みを浮かべているヒカルにと気づいた。
どうもヒカルからは一年前の棋院主催のイベントから避けられているようにひしひし緒方は感じているが。
「そういえば、北斗杯、よくがんばったな」
その言葉に思わず目をテンにする。
「ええ!?緒方さんがひとを褒めることがあるなんて?!」
『ほ~。このものもこのように素直にひとを褒めるのですねぇ~』
思わずほぼ同時にヒカルと佐為の声が同時にかさなる。
「…お前、ひとを何だとおもってるんだ?え?」
何やら緒方の声が低くなったのはおそらく気のせいではないであろう。
「いや、緒方さんのイメージからして、ひとのことをネチネチいうタイプにみえても…」
「ほぉぉう。まだその口がいうかっ!?」
「ひひゃい~…」
むにっ。
さらにいおうとするヒカルの口をおもいっきりひっぱる緒方。
今日は五月六日の金曜日。
一般的に世間ではゴールデンウィークが終わったあとの合間の日。
一日、学校や仕事にいきそのまままたお休みというところも少なくない。
『このものもかわってませんね~』
一年ぶりにあうがこの緒方どのというかたもかわりがないようで何よりです。
そんなことを思う佐為。
「ひょれはひょうとおかさひゃんはひょうしてひょひょに」
それはそうと、緒方さんはどうしてここに。
そういいたのだが、口をひっぱられているので言葉にならないヒカルの姿。
「棋院に用事があってな。俺はこれから大分にいかなきゃならないからな」
いいつつもようやくヒカルの口をひっぱっていた手を解放する。
「おおいた?」
「地方対局の仕事があるんでね」
「ふ~ん」
「ま、お前らも今回の北斗杯で顔がうれたこともあり、棋院も導入してくるだろうから覚悟はしとけよ?」

そういわれてもヒカルにはよく意味がわからない。
「それより、進藤…」
「あ!そろそろいかないと。じゃ、またね。緒方さん!」
ここであったのも何かの縁。
saiと打たせろ!
そういいたかったのに、それをいうまえに棋院の中にと駆け込むヒカル。
そういえば、とおもう。
「たしか今日は進藤のやつあの乃木先生との対局だったな」
北斗杯の棋譜はみた。
恐ろしいほどに緒方の知る進藤光とはさらに一皮むけて成長していた。
棋院関係者というか正確には出版部のものからきけば高永夏の発言をきっかけにバケタらしいが。
昨日のような実力が発揮できるのであればおそらく乃木先生は勝てないだろう。
だがしかし、乃木先生もそう簡単にやられるお人ではない。
「さて、どうなる、かな?」
二年連続して最年少リーグ入りが続くのか、あるいは……
ふっ。
「囲碁界もおもしろくなってきやがった」
あの一柳に新初段シリーズでかった伊角といい。
囲碁界にたしかに変化があらわれている。
そういえば、とおもう。
すべてはあの進藤が現れたころから変化は始まっているような気がする。
アキラ君もそれまでいく度いってもプロの世界にははいってこなかった。
だが、あのままプロの世界にはいっていて、勝負の世界をほとんどしらず気迫がたりなかった彼に、
リーグ入りするまでの実力が備わったか…ととわれれば緒方も多少説明に困る。
眠っていた隠れていた才能が引き出されるように、進藤光という少年に出会い、
塔矢明の実力もまた確実に成長してきている様を目の当たりにしてきている以上、その思いはどうしようもない。
それでも。
「…まだまだひよっこにはまけんさ」
そう、そして若い棋士たちを待ちうけるためにタイトルを。
すでに棋聖と十段位を所得した。
が、まだまだ。
自分はまだまだ成長できる、とおもうから。
…何より師である塔矢行洋ですらいまだに日々励んでいるのだから負けられるはずなどない。
棋院の中にとはいってゆくヒカルをみつつも、そのまま駐車場へとむかってゆく。
これから一度ゆきつけのペットショップにいき熱帯魚のえさをやり、温度設定などをしてタクシーで出張する。
熱帯魚というものはちょっとでも気をぬけばすぐに死んでしまう。
そのためには日々の世話がどうしても欠かせない。
あるいみ、子供や犬や猫といったペットよりもかなり手のかかるペット、ではあるのだから。

「進藤。おはよう」
「おはよう。塔矢」
『おや。塔矢。おはようございます』
棋院に入り六階へ。
ふとエレベーター前でアキラとばったり遭遇する。
「そういえば、塔矢は今日は名人戦の三次予選だったっけ?」
「うん。君は本因坊戦の三次予選の対局だったよね。相手は乃木先生?」
「その乃木って人、どっかで名前き~たことあるような気がしなくもないんだけど・・・??」
「…し~ん~ど~う~!まだ君、名前おぼえてないな!?まったく。…そういえば、その…まだ、佐為さん、いるの?」
思わず今だに名前を覚えていないらしいヒカルに思わず叫んでしまう。
それはそれで仕方がない反応であろう。
しかも彼とはヒカルは一度確実にあっているのだからなおさらにアキラの叫ぶ気持ちもわかるというもの。
しかしもう一つ、どうしても気になっていたことをそのまま続けて問いかける。
「うん。どうにか。あの日だけじゃなかったらしく、今のところはまだいてくれてる。
  佐為もいつまた逝くのかよくわかってないみたいだからこっちとしてもどきどきしてるけど」
「進藤、あのさ……」
よくよく家にもどり考えてみればヒカルと佐為の出会いも何もかもきいていないのに昨晩気づいた。
名前しかアキラは知らない。
もっとも、その超絶すぎる美貌の前に聞きそびれていた自分も自分だと後から後悔したのだが。
超絶すぎる美貌と、そして圧倒的なまでのその棋力。
ゆえに意地になってしまいついつい朝まで打ってしまい詳しくきくところではまったくなかったのも事実。
しかし、今のヒカルのいいようからいつまた消えてしまうかもしれない。
という不安をかかえているのはありありと見て取れる。
ならば、今きくことはいいのだろうか?
それゆえに聞き淀んでしまう。
「あ、ついた。じゃ、またな」
「あ、うん。君もがんばって」
って、いいたいことはそうじゃないっ!
どうも彼といると重要なことが抜けてしまう。
それはもう以前から。
「は~…。とりあえず、今日の対局。それが先だな」
とりあえずヒカルのことはおいといて、今日の一局に集中しなければ。
名人戦のリーグ入りはどうしても果たしたい。
そして、父と同じく名人のタイトルを。
物心ついたときにはすでに父は塔矢名人、であった。
それがどんなにすごいことなのかそのころのアキラはわからなかったが。
歳とともにそれがどれほど重みをもつことかわかってきた。
今だに誰が名人になっても世間の人たちからすれば父はやはり塔矢名人、なのだ。
その父を超える。
そのためには自分の力で名人のタイトルを勝ち取ること。
そうしなければ自分は前にすすめない。
いや、自分でなくてそれまで父の影を背負ってきていた自分を越えられない。
そんな思いをこめた特別なタイトル戦。
だからこそ、ゆずれない。
負けられない。

『しかし、本当にいいのですか?ヒカル?』
だって、おまえ、うちたいだろ?
それに、おれ、約束やぶるような人間になんかなりたくないもん。
おまえとのあの約束があったからこそ、俺はそれをバネにしてここまでこれてたのもあるんだし。
それはヒカルの心からの本音。
佐為に、本因坊のその名前を還したかった。
佐為がその名前を虎次郎とともに世の中に知らしめたのを聞かされていたからなおさらに。
『しかし、ヒカルにとっても大事なタイトル戦の予選ですよねぇ?』
だから。
あのとき、いっただろ?
それにさ。
おまえ、以前いってたじゃん。
本因坊秀策としての自分の前に現れた数多の対局者たちをこてんぱに一刀両断していったって。
と、いうわけで、俺も直接みる理由はあるとおもうけど。
だって、虎次郎ばっかりずるいっ!
と俺、本気でおもったんたぜ!?
だから、あの提案というかあのことはおもいついたんだからっ!
ヒカルの言葉に思わず目を丸くする。
そして。
『…ぷっ!』
おもわず噴き出してしまう。
ああ、やっぱりヒカルはヒカルだ。
負けん気がつよくて、それでいて負けず嫌いで。
まだまだ子供なのか、それとも自分に甘えているだけなのか。
『では、お言葉にあまえさせていただきます♪』
佐為とて打てることは何よりもうれしい。
碁をうつことが自分自身の存在の証明だ、と思っていればなおさらに。
『では、前とおなじように番号をいいつつこれで指し示しますね?』
わかった。
そんな会話をしつつも、自分たちの手合いの場所にと腰を下ろす。
「?」
やっぱりこの人どっかでみたことあるような気がするんだよな~??
目の前にいる人物はやはりヒカルは見覚えはある。
が、どうしても思い出せない。
まあ、別に重要なことじゃないか。
それより、佐為の久しぶりの対局がみれるんだ。
自分やネット、そして夢や今までの棋譜というのではなく、新しいもの。
ゆえに相手の様子などさほど気にすることなくヒカルはそのままその場に座りこむ。
佐為もそのままヒカルの横にと座り、やがて流れる開始のブザー。
「お願いします」
「お願いします」
『お願いします』
佐為とヒカルが同時に頭をさげ、そしてまた対局相手もまた頭をさげてくる。

進藤光。
この子と直接に対決するのは今回が初めて。
あの塔矢君が一柳先生をやぶったあのときに彼とはあったことがある。
昨日の北斗杯の棋譜はみた。
昨日も仕事があり北斗杯にはいかれなかったが朝、棋院に問い合わせて手にいれた。
相手の実力はまだ初段というのに下手をすれば自分たちとおなじくらい強敵なのは違いない。
そんなことをおもいつつ、しかし九段の意地もある。
ゆえにぶざまな結果をみせるわけにはいかない。
そんなことをおもいつつ、ヒカルの対局相手、この間リーグ落ちしたばかりの乃木はしばし局面上をにらんでゆく。

「どうもありがとうございました」
「どういたしまして」
昨日のテレビはみていた。
ゆえにタクシーに乗り込んできた子供が昨日の韓国戦にでていた子どもだとすぐにと気がついた。
同僚にものすごく囲碁好きの人物がいるし、さらにはその人物の周りに有名人がいる。
としったがゆえにときどき休みの日になどにはその人物が通っているという碁会所にもいっている。
それでもまだ直接にその有名人二人…進藤光と塔矢明に出会ったことは一度とてないが。
「洪君だったよね。これからも活躍、がんばってね。期待してるよ」
「ありがとうございます」
しかも流暢な日本語をきちんと話せるとなればかなり助かる。
どうも東京は電車の乗り継ぎなどが大変すぎるのでホテルからここ、市々谷本院まで直行した。
そういえば、今月末にはここで世界アマチュア世界大会が行われるんだっけ?
そんなことをふと思う。
近年、日々参加国が増えてきている、とも聞くには聞いた。
「たしか今年は六十九カ国だっけ?」
五月二十八日から五月三十一日まで。
韓国からも参加する代表がきまっている。
たわいのない会話をしつつ代金を払って棋院の前にと降り立つ洪秀英。
「とりあえず、受付は…二階、か」
建物ごとにどこに何がある、というのはどこでも異なる。
ゆえにきちんと確認し、エレベーターのボタンを押す。
二階には一般対局場もあるらしく、平日の昼近くというのにひとはけっこう見受けられる。
まあ、昨日のテレビ放映も響いているのであろうが。
「すいません。洪秀英といいますが、今日、ここで進藤光と待ち合わせをしているのですが。彼はいますか?」
受付の女性にとりあえず問いかける。
「洪?ああ!あの昨日までの北斗杯の韓国の三将のかたですね。
  進藤初段は今日は六階で手合い中です。ご案内いたしますので少々おまちください」
別によその棋院関係者が訪ねてくることはよくあること。
一般の人ならばとりあえず待合室でまってもらうが、どちらにしても時刻はもう昼近い。
対局もそろそろ昼の打ちかけ時間である。
ゆえに別の職員を呼び、そのまま彼を六階の先心の間へと案内してゆく棋院職員の姿。

こちらは結構本気だというのに、局面はかろやかに交わされていっている。
しかもこちらが長考しても相手はすぐに考えることなく次の一手をうってくる。
常に白がリードして自分の黒が後手にとまわっている。
しかも、コミなしで考えても白が有利のままリードされているのだからたまったものではない。
とはいえ決定的な投了を覚悟する一手が打ちだされるわけでもない。
ゆえにどうしても内心あせりが生じてくる。
乃木がそんなことを思っているそんなさなか。
一方では、
わくわく。
『このもの、けっこう面白い手をうってきますね~。八の三』
にこやかにいいつつも一手を示している佐為。
勝つことはたやすい相手。
だがどんな手をうってくるのかというのに興味がひかれる。
ゆえに遊び感覚で指示している佐為の姿。
手にした扇で場所をしめしつつも打つ場所を口にもだす。
ヒカルとすれば久しぶりにみる佐為の遊びの一手一手に内心ものすごく感激していたりするのだが。
相手からすればそれはそれでたまったものではない。
というのを完全に失念しているのがヒカルらしい。
と。
び~
「お昼になりました。対局をうちかけにしてください」
相手の手番において鳴り響く昼休みの合図。
「あ、ちょうどいま午前の対局時間がおわったようですね。では、私はこれで」
ちょうど合図が鳴り響いたその直後。
先心の間の出入り口に案内されてくる洪。
きょろきょろと広い大広間をながめていると、目立つツートンカラーの頭が目にはいる。
「なあ、あれ…」
「もしかして、あの子って韓国の…」
そんな秀英に気づいて何やら棋士たちが騒ぎ始めるが、そんなことは意にも介さずにすたすたと中にとはいり、
「進藤」
ひとこと。
ヒカルの横にたち、声をかける。
「…え?あれ?秀英じゃないか。どうしたんだ?」
ちらっと局面をみてみれば、白がリードしているがどうも様子をみているような打ちかけ局面。
『おや。こんにちわ』
そんな彼に気づいて横にいた佐為もかるく頭をさげているが。
「どうしたんだ、じゃない。今日、ここで待ち合わせだといっただろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・ああっ!忘れてたっ!」
がくっ。
「お、おまえなぁっ!」
秀英と約束したのは佐為がもどってくる前。
ゆえに綺麗さっぱり失念していたヒカルである。
『約束?ヒカル、何か彼と約束してたんですか?』
「いやぁ。わるいわるい。綺麗さっぱりわすれてた」
さらっと悪びれもなくいうそんなヒカルの姿におもわず頭をかかえたくなってしまうのは仕方ないであろう。
「あれ?洪君?どうしたの?」
そんな騒ぎというか会話に気づき、こちらも打ちかけにしてひとまず終えたアキラが近付いて話しかけてくる。
「進藤と再戦の約束を北斗杯の前にしてたんですけど。進藤、忘れてたらしくて…は~……」
ゆえに思わずアキラに説明しつつも思いっきり溜息をつく。
『そうなんですか?ヒカル?』
「だから、わるかったって。いろいろあってすっかり失念してたんだよ」
佐為がもどってきたことによりそんな約束などはきれいさっぱりヒカルの頭から消え去っていたのも事実。
『ヒカル。約束があったんですか?ならさくっと片づけたほうがよかったですかねぇ?私遊んでますし』
いや、佐為は悪くないから、うん。
そう心で佐為にと返事をし、
「あ、ならさ。今から昼休みだし、お前も一緒に何かたべる?それとも今からうつ?」
「進藤。だけど昼休みは一時までだよ」
どうもそのことを失念しているのではないだろうか。
ゆえにとりあえず忠告をしているアキラの姿。
ちらりとヒカルの対局局面をみてみればどうも相手がどううってくるのか試しているような局面である。
それでもコミをいれなくても圧倒的に白有利、であることには間違いようがない。
「あ、そっか。う~ん……。秀英、お前いつまで時間あるの?」
「とりあえず、今日はおじさんのところにとまり明日もどる予定だ」
本来ならば本日帰国する予定だったがヒカルと対局するためだけに一日伸ばした。
『ふむ。ではヒカル。彼には少しまっていてもらっていてください。午後からの対局。さくっとかたをつけますから』
さらり、と何でもないようにいいきる佐為はさすが佐為、といえるだろう。
え、でもお前、お前はそれでいいの?
そんな佐為に思わず確認をこめて問いかける。
『彼がどこまであれから伸びたのか私もきになりますし♪』
佐為とて彼にはいく度も指導碁をうったてまえ、どこまで伸びているのか興味はある。
「あ、じゃぁさ。午後からの対局早めにカタつけるから。それまでまっててもらえないかな?」
ぴくっ。
そんな会話を今だにその場にいた乃木がききおもわずぴくりと体を震わせる。
言葉のアヤ、ではないのであろう。
しかし高段者としての意地もある。
ゆえにここで口を挟めばプライドにかかわる。
「それは別にかまわないけど。じゃあ、僕はその間時間をつぶしておくよ。
  昨日の棋譜とかもここでもらえるとおもうしね」
北斗杯の棋譜を手にいれることもここにきたひとつの目的でもある。
ともあれ、そんな会話をかわしつつ、ひとまずヒカルたちは対局場をあとにしてゆく――


「しかし…いいのかなぁ?」
「棋院の人がいい、っていうんだからいいんじゃない?」
結局のところ、ヒカルと洪の対局はかなり興味があるがゆえに午後からの続きをさくっと相手を一刀両断。
その間、秀英は事務所にて人の取材をうけつつ時間をつぶいていたらしいのだが。
棋院職員にと棋院に来た理由をきかれ、進藤光と対局する約束をしていたから。
と答えたところ、六階の一室を使ってもいい、という話になった。
しかも対局準備までも棋院の人たちがやってくれていたりする。
しかも、ヒカルと秀英のことをしったアキラとて佐為と同じ穴のむじな、といえよう。
二人の対局をみたいがためにぐいぐいと早々に力技にと持ちこみ早々に中押しで勝ちをおさめた。
噂というか話しをきいたほかの暇な棋士などが、なら自分が記録係りをしますだの、
秒読みをしますだのといいだして、何だかプライベートな対局のはずなのにこの盛り上がり用はいったい全体何なのか。
出版部としてもいい話題とばかりにわざわざカメラマンまで用意している始末。
「では、持ち時間は一時間半。…初めてください」
頼んだわけでもないのにさらにはしっかりと、仲立人までできている始末。
ゆえに、戸惑いの声をあげているヒカルとアキラなのだが。
そんな彼らとは対照的にいつのまにか舞台がととのい、それぞれ席につく秀英とヒカル。
そんな二人の傍らには佐為とアキラがじっとその盤面をみつめ、アキラが一手一手をよみあげる。
『ふむ。この子も少しは成長したようですね』
それでもヒカルのほうが未だに上をいっているが。
この場に集まった人々が興味をもっているのは主に進藤光という少年。
何しろ白川七段いわく、彼は小学六年生の九月になるまで、
囲碁の基礎の基の字も理解しておらず、さらには石にすらさわったことがなかったという。
なのに翌年の七月の院生試験に受かったばかりか、翌年の五月の若獅子戦においては院生初優勝。
さらにプロ試験においては全勝一発合格。
常識的からみてもありえない。
すなわち半年ばかりで何もしらなかったのに院生にはいるほどの力をつけ、
さらにその半年後にはプロに匹敵する力をつけたということになる。
アマで活躍していたとかならまだわかる。
が、ヒカルは本当に何もしらなかったことは周囲の意見からしても実証済み。
まあ、ヒカルに指南している人物が人物であるがゆえに、
そしてまた心がつながっていたが為かすんなりと上達していったのだが……
当然そんなことは誰も知る由もない。
プロになりすぐに長期入院のための長期欠席。
が、復帰してからは全戦全勝中。
プロとなりようやく一年を迎えたばかりの子どもの棋士。
…これで注目されないほうが確かにおかしいのだが。
『ヒカルも力ず、力を抜いてよい碁がうててますね』
口元に扇をあてて二人の対局を温かく見守る佐為。
石を打ちつける音と、対局時計を押す音。
そしてアキラと秒読み係りのものの声がしばらく部屋の中にと響き渡ってゆく……


                                -第82話へー

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あとがきもどき:
薫:あ、指導碁の料金、かわってるんだ。
  でもこういうのがきちんと明記されてるのは助かるな~(笑
  というわけで、最近ひたすらに日本棋院さんのサイトをひたすらに閲覧しまくってます。
  しかし、地方とかであるイベント情報とかはのってないわけで(年間予定とかには
  タイトル戦のところに○月から~とかいれてくれないかなぁ(しみじみ
  まあ、そんなの別に何するの?といわれそうですけどね。
  小説かくには(こらこら)それが何よりも必要なのだけど(苦笑
  しかし、棋院って駅から徒歩二分だったんだ(汗
  むちゃちかいの?(滝汗…
  ま、まあ細かいことはきにしないでおこう。所詮は二次小説。うん。
さてさて、例のごとくに小話、いきましょうv
今回は、ちょこっと小話しのさらに裏方もどきをばv(こらこらこら


「九つの星?」
「うん。きっときにいるんじゃないのかな?えっとね~、アドレスは……」
趣味で囲碁をたしなんでいるので、ふとその話題になり。
友人からきいたとある創作オリジナルサイトさん。
数年前から囲碁に関する小説をやっているらしく、しかもかなりリアルで人気がでているとか。
登場人物が実際にいる人たちの名前に酷似しており、
さらにはそこの管理人が囲碁を始めたころからの棋譜とかまでのっているらしい。
つまりは、同じ囲碁をやっているものどうし。
ということになる。
興味をひかれてのぞいてみた。
そして……

「すいません。えっと。堀田ゆみというのですが……」
その小説がとても面白く、それでいて挿絵がとても印象深かった。
囲碁界で今噂の佐為という人物を題材にしているのか、それでいて話しがとてもすばらしかった。
どうしても漫画にしたくて、メールをおくったところ、今日ここで待ち合わせとなったのだが。
「どうぞ。連絡をうけております。こちらでおまちください」
いって通されたのは奥の小部屋。
どうやらlaitoのお部屋の管理人さんが話しをとおしてくれているらしい。
彼女が囲碁を始めた直後からのlaitoとsaiの小部屋の内容はとてもおもしろく、
ついつい小説と見比べつつ、これってもしかして現実なんじゃあ?
とおもったほど。
ちなみに、自分の勘でいけば、挿絵などからいま囲碁界で話題の、塔矢明と進藤光、そして進藤佐為。
この彼らを中心にした話しのような気もしなくもない。
ただ、進藤光本因坊に関しては現実には女性だけども小説では男の子となっている。
もしかしたら本因坊の関係者がかいているのかな?
そんなことを多少心の隅で期待しつつ、どきどきしながらまつことしばし。
「おまたせしました。え~と、あなたがゆみさん?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
「え…えええぇぇぇぇぇぇぇ!?うそ!?本物!?うそぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
おもわず部屋にはいってきた人物達をみておもいっきり叫んでしまう。
というか、何でどうして!?
そりゃ、ここはたしかに日本棋院の市ヶ谷本院に近いけど!
さらになぜか横には圧倒的すぎるほどの美貌の持ち主さんが。
「佐為。彼女がこの前はなしたゆみさん。はじめまして。ゆみさん。
  laitoのお部屋の管理人の進藤光です。こっちがその…佐為」
そういってぽっと赤くなるのが何ともかわいらしい。
…でなくって!
「ヒカル。いいかげんにその、たとえば夫とか紹介してくれてもいいのではないですか?」
「だって…はずかしいもん……」
いやあの、目の前でラブラブぶりをみせつられても反応にこまります。
というか、何でどうして!?
私だって趣味で囲碁をやっているもの。
目の前の人物たちが世界においてどんな有名人かわかっているつもり。
何しろ十七にして本因坊を女流、そして普通のタイトルの本因坊すら所得し、
今では夫婦そろっての棋聖、本因坊夫婦として有名すぎるとある夫婦。
何でも塔矢行洋元名人などが引退したことにより、一部のタイトル戦が一般開放されたからだけど。
そのために今では塔矢明から塔矢行洋にまたまた名人タイトルが戻っていたりするけども。
ちなみに、進藤光さんがもっていた棋聖と本因坊も旦那さんの佐為さんが奪取した。
七代タイトルで一般開放されているのは、名人・本因坊・棋聖。
この三つのタイトルがプロアマとわず挑戦するのは参加自由と認められている。
しかし、私の頭の中はすでにパニック状態。
というか!
ひそかにあこがれの私一番のお勧めの棋士がめのまえにっ!
彼女がでむくというイベントなどには欠かさずに出かけるほどのファンなのにっ!
というか、ええ!!?
「…進藤本因坊が…あのサイトの管理人…なんですか?」
かすれる声でどうにかといかける。
「はい」
・・・・・・・・・・・・完全ダメオシ、である。
いやそりゃまあ、ものすごく描写こまかかったり、?とおもうところとかもあったりしたけど。
まさかそんな有名人がかいてるなんて普通は誰もおもわないっ!!
「メールでのお話では、あの小説を元にぜひとも漫画を書かせてほしい、とありましたけど」
いいつつも、呆然とする私の前に座ってくるこの夫婦。
というか、もはや私の思考はパニック状態。
「あの?ゆみさん?」
「え、あ、ははははいっ。あの…」
そんな私の様子に互いに顔をみあわしてくすりと笑い、
「そんなに固くならないで。あまり時間もないんですよ。今日は天元戦の一局目の途中で抜けてきてますから」
…たしかに、そういえば今日、進藤光女流本因坊は天元戦タイトルの防衛一戦目のはずだけど。
「とりあえず、お話にはいりますね。えっと。マンガにしたい、とのことですけど。
  私的にはかまわないんですけど。でもその場合、使う棋譜とかはこちらに相談してもらえます?
  私もかいてたものはもってきてはいますけど。とりあえず、これお渡ししておきますね」
いいつつも、手渡されたのは数冊の本になっているもの。
「漫画と小説かいて自分のことを思い返してあれはかいていたんですよ」
いっていたずらっぽく笑ってくる。
「まあ、あの小説はほとんどえっと…今の世では何といいましたっけ?…ふぃ…?」
「ノンフィクション。だってば。佐為。だけど少しばかりあの小説は設定かえてるし。
  そもそも私を男の子にしてるもの、佐為との出会いが男の子だったらどんなだったかな?
  とおもって書いていたわけだし」
「でも、私はヒカルがヒカルでよかったとおもいますよ?こうして今あなたとともにいれるのですから」
「佐為……」
あの~?
目の前で二人の世界に入られてもかなり目のやりばにこまるのですけど・・・・・・
いや、この二人がもうものすっごく中のいい夫婦であることはもはや世界の認知するところだけど。
しかし、佐為さんは現実の人間であり、…でも、たしかにずっと入院してたというのにあの棋力。
確かに何かがある、とはおもうけど。
…あまり深く追求するのはやめておこっと。
「あ、ごめんなさい。えっと。お話は……」
と、とりあえず二人のあまりのラブラブップリに唖然としてしまい、どうにか頭も冷静になってきた。
私の要件は、あのサイトに載せてある小説を元にして漫画にさせてほしい。
ということ。
あれをよんでものすっごく漫画にして挑戦してみたくなったのは私も囲碁が好きだから。
そんな素敵なことがあったらいいな。
とおもう要素があの小説にはしっかりと組み込まれていた。
だって、何もしらなかった男の子が囲碁の幽霊に出会い、しかもその幽霊が千年前の囲碁棋士で。
しかもしかも、伝説とまでいわれている江戸時代の本因坊秀策にも出あっていた。
なんてとても素敵なことで、あったらいいな、とおもったのだもん。
だから、漫画をかいて応募するならば、この話を元にしたい。
とおもって問いあわせのメールをいれたのだけど・・・
まさか、小説の作者が本物の棋士の進藤光本因坊だとは夢にもおもっていなかったのも事実。
「あ、じゃあ。塔矢君との対局のところとかは、塔矢君に感想とかいれてもらったほうがたのしいかな?」
「しかし、塔矢はのってきますかねぇ?」
「あのとき、佐為が幽体離脱して佐為の指示でうってた、って説明してるから問題ないんじゃないのかな?」
・・・・え~と。
何だかものすっごく恐ろしいことを聞いたようなきがするのは、私の気のせい…なのかなぁ?
テレビやおっかけでイベントにでかけていってそこでしかみたことのないあこがれの女性。
その女性が目の前にいる。
しかも、親切なことにいつでも時間のあるときに彼女達が経営している教室にいってもいい。
とまでいってくれるとはっ!
進藤光という女性はとてもなつっこくて、それでいてとても一目をひくとおもう。
そんな彼女が囲碁の道にはいったのは旦那さんとなった佐為という男性との出会い。
というのは彼女のことを取材した雑誌で知っている。
彼女もなぞだけど一番なぞなのは旦那さんの佐為さんのほう。
ものすっごっっっく、女性、といってもはっきりいってまかりとおるほどの超絶美形さん。
なのに幼いころからずっと入院しており、世界のことに疎いらしい。
いっとき、大手術をするにあたり外国におもむき、
そのとき覚悟の上、彼女に自分は死んだとつたえてほしい、といって死を覚悟で手術にむかっていったとか。
術後一年あまりの昏睡状態をどうにかのりきり、どうにか普通に生活することが可能となり、
そして彼女のもとに訪ねてきたらしい。
そのとき、進藤光さんのほうが頑固として一緒にすむ!といいはって、結局そのまま二人は結婚。
という何とも微笑ましいというかあこがれる人生を彼女たちはおくっている。
常にこの夫婦はどこにいくのもほぼ一緒。
まあ、仲がいいのはいいことだけど。
ちなみに彼女たち夫婦に触発されて結婚する男女も増えてきているともきく。
それでもそれほどまでにきれいな佐為さんだけどテレビ局や雑誌などがあまりうるさくいわないのは、
光さんのほうが彼の体を心配してとにかく拝み倒しているから、という噂もきいたことがある。
何でも彼は完全に完治したわけでなくいつ発作がおこるかわからない、というのだからそれも納得がゆくけど。
何とも夢のような時間が私にとっては過ぎてゆく。
あっさりと漫画にする許可をもらえたことは嬉しいけど。
逆にものすごい力がはいってしまう。
だって…だって、原作があの進藤光本因坊なんて、夢にもおもってなかったんだものっ!
・・・しかも、彼女からもらった彼女が書いた漫画のほうが上手だし…何だかなぁ…
だけど。
心から書きたい、とおもったのは真実なんだし。
うん。
あの小説からよみとって、がんばって読みきりの形で仕上げてみよう!
入選とかを目的でなく、彼女たちにささげる感覚で。
題名は、そのまま、九つの星、で。
そして、脚本担当の名前は【藤原光】。
何でも本当はヒカルさんは佐為さんの姓を名乗りたかったらしい。
が、佐為さんがヒカルさんの籍にはいったほうがすでにヒカルさんの名前が売れているのでそのほうがいい。
といって婿養子の形で二人は婚姻届をだしている。
それがどうしてもヒカルさんからすれば心にひっかかっていたらしい。
とにかく、二人にきにいってもらえるように、私がんばってみよう。
あの二人を直接みてたら何だかものすごくファイトわいてきたもの!
うん!


のような形で(笑
ヒカルが自分のサイトに佐為との出会いがもしも自分が男の子だったらこうだったかな……
と、佐為が消えた現実をまぎらわそうとして書き始めてあるいみ過去を振り返りつつの創作小説。
佐為がもどってきてからもその小説さんはかきつづけられており、
主人公が本因坊のタイトルを所得していき、そして彼の夢をみて終わる。
という形で小説としては完結している、という設定です。
ちなみに、saiがもどってきたことにより、laitoとsaiの小部屋は再び復活してますが(まて
このちなみに、ゆみさんの漫画により、さらに囲碁ブームに火がつくというお約束(笑
何しろあるいみ現実に近いフィクション漫画、ですしね。
登場人物たちも実際にいる人たちの名前ですし(苦笑
ちなみに、脚本としてヒカルの名前から、もしかして。
と棋院関係者がといあわせ、私がかいたやつですよ?
とさらっと爆弾発言して、それでヒカルのサイトさんが明るみに(笑
でも、ヒカルはそれ以外にも普通の創作オリジナル小説おいてますしね。
というかヒカルのサイトにはオリジナル小説と、自分と佐為の想いでの棋譜の小部屋と。
あとは自分の回想伝ともいえるものと、あとは佐為の話をきいて佐為の話とか。
それくらいしかおいてませんが(それでもおおいv
小部屋にある実際に記録されている新初段シリーズの棋譜とかの内容。
それに関係者がきづいたときの騒動は…いうまでもありません(笑
まあ、それでも佐為が自由になれないから幽体離脱とかいうのですかね?
魂だけでふらふらとしていたときにヒカルとであいまして~、
みたいな説明をしたので、だけどもありえない!でなくて実際にそれはのこっているわけであり。
それで妙になっとくする人々、という裏設定(笑
何しろ、病院関係者からきいても、佐為は動くことすらできなかった状態だった。
と聞かされてますからね(それは記憶操作による記憶だが)
それで、よくヒカルがお見舞いにきていたけど、お見舞いにくるのはヒカルだけだったので覚えていた。
というような感じで~。
まあ、世の中、常識でははかりしれないこともある、ということを実感した一部の関係者たちだったりするのですv
何はともあれではまた次回にてvv
しかし、本当にこんなことあったら素敵ですよねv
佐為ちゃん現実に降臨…しないかなぁ??

2008年10月4日(土)某日

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