まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。今回はようやく選手決定とヒカルとアキラのこうこう生活スタートv
といってもあまりこちらではこうこう生活にはふれませんが(笑
ちなみに、ヒカルたちの担任は森下の関係者ということもありかなり熱血教師です(笑
まあ、親類が囲碁界にいるので多少理解がふかい、というので抜擢なのですがね。←裏事情
何はともあれゆくのですv

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「……碁の神様って孤独だな。だって自分と対等な相手いないじゃん」
そして、その対等な相手と打ちあえたとしても…消えてゆく運命であったとしたら…
神からすれば人の寿命はかぎりなく短いであろう。
おそらく佐為のように千年、この世にとどまっていたような存在ですら短く感じるはず。
孤独。
きっとあいつも孤独だったんだろう、とおもう。
千年ののちに虎次郎とであえ、その百四十年あまり後に自分と出会った。
それまではずっと、一人、だったのだから……
「もしかしたら、それで碁の神様は人間に碁を教えて精進させてるのかもしれませんね。
  自分の相手を務められるほどの棋士を育て上げるために」
ふと、おもってもいなかったことをいわれてはっとする。
「では。昔生きていた碁うちも、今いてきてる碁うちも、みんなそのために切磋琢磨を続けている、ということですか?」
ヒカルと同じく手をとめたアキラが横にいる人物にと問い返す。
「そう。誰もがお互いに影響をあたえながらね」
「くすっ。百万年はかかりそうなそう大な計画、ですね」
そう、なのかもしれない。
本来ならば出会うことのなかった人たちの出会い。
佐為が虎次郎に出会ったことにより、囲碁の世界は道が開け…そして今。
ヒカルが佐為と出会ったことにより、ヒカルはまったく未知の世界に足を踏み入れた。
佐為の教えをその身に抱き。
佐為…お前は…神に選ばれたのかもな…本当の意味で…
そう、おもえばすこしは救われる。
ねがわくば…彼があの世において好きな碁をめいっぱい、虎次郎や他の人々とうてていますように…

ふと、昼間の会話を思い出す。
あのとき、どうして進藤はあんなことをいったんだろう。
だけども、あれはおそらく、本当の意味で神様を示したものなのではないのであろう。
おそらくいきなりいなくなってしまった誰かのため。
こんな夜中に目がさめることなんてめったとなかったというのに。
「…お水、のんでこよ…」
とりあえず布団からおきて台所へ。
ふと、真夜中だというのに父の部屋の明かりがいまだについている。

こんな真夜中だというのに、お父さんまだ碁の勉強かな?
そんなことをおもいつつ、少しひらいた障子の隙間から中をみる。
碁盤の前にすわり、一手を打ちだし、じっと動かない父。
対局には白石の入った碁笥がおかれている。
棋譜ならべだとすれば自らの手元に両方の碁笥がなければ嘘である。
誰の一手をまっている?
…いや、きかなくてもわかる。
おそらく…父がまっているのは…sai、なのだろうから…
そして、おそらくそれは進藤も……
ときどき進藤の家にいくと打ちかけ途中の局面をよく目にする。
まるで、そうそれ以後どう相手がうってくるのかまっているかのごとくに。
何となく声をかけそびれ、そのまま台所にいき水をのみ静かに布団にともぐりこむ。
互いに磨きあえて何でも言い合える相手。
自分にとって進藤光がそうならば、父は…父、塔矢行洋は…
そんな思いをいだきつつ、アキラもまた深い闇の中に意識を手放してゆく……

星の道しるべ   ~選手決定!そして・・・~

選抜選手決定戦。
この対局でかったもの二名が北斗杯の代表選手にと決定される。
「四人、全員きているね」
ぐるりと周囲を見渡し、ひとまず確認。
「この対局の勝者二名が一か月後の北斗杯に参加する日本チームの選手となります。
  では、はじめてください」
いいつつも、それぞれ碁盤を囲んで対局開始の挨拶を開始する。
じゃらりと石をにぎってみれば、どうやら先番は社。
社が先番か。
うってこねぇかな?
初手、天元。

「船村師匠の家で対局したんだけど、あいつがそのとき、初手天元にうってきてさ。オレは完敗。
  悔しくてオレ、プロの初手天元の棋譜を集めて勉強してさ。
  今日、先番だったから進藤相手にうってみたんだけど・・・また完売だ~」
対局が終わったのちに本田がいっていたことを思い出す。
「本田さん。いい例をみせようか?初手、天元の」
佐為のあの一局をひとに見せたのはアレがはじめて。
佐為がいっていた。
『自分一人のときはこうして相手の手、そして自分の手…
  …と分けて考えてゆくとわくわくする一局が結構浮かぶものですよ』
と。
少しほほ笑んで。
そういえば、本田さん、この一局誰の!?
とくいさがってきたっけ?
もう、教えたくとも…佐為は…いない。
「sai、のだよ。ネットでみたんだ」
そうごまかしはしたが……

社。
俺に初手天元、うってこないかな?
今の自分でどこまでできるのか確かめたい。
佐為に少しでもおいつきかけている、また佐為の強さに少しでも近づいているであろう【証】がほしいから……
ヒカルがそんなことを思っている最中。
パチッ。
社の初手が示される。
初手。
五の五。
『自分の力に自信があるものであればこのような手でくるものもいます。
  これは乱戦狙いの手でもありますから、この場合は……』
佐為の言葉が脳裏に浮かぶ。
ふっ。
やってくれるぜ!
パチッ!!
『…天元、が。最も有効、です。すべての盤面にゆきわたりますから。しかし……』
わかってる。
佐為。
あのときは、そんな手もあるんだ。
という気持ち程度できいていた。
だけど、今はそんな佐為の代わりは自分しかいない。
だから――
ニ手目。
天元。

こ…こんなやつがおるんか!?
社と同い年で…こんな、社の上をゆくようなやつが!?
…世界は、広い。
社が最強、才能も桁はずれ、だとおもっていたのに。
それゆえに二人の対局をみていた社とおなじ関西棋院の津坂は驚きを隠しきれない。
進藤光。
なんてそんな名前はまったく噂にものぼったことのない相手、だ、というのに……

「…くっ!」
こいつ、想像以上だ。
三手目に五の五にうちこみ、しかけても、まったく動じることなく受け流された。
しかも、それ以後、しかけてもしかけてもかわされ、逆にと攻められる。
どうにかこうにかくらいついてゆくのがやっと。
だけどもやられっぱなしというのは称にあわない。
だからこそ、徹底的に戦う姿勢は崩さない。
ないが……
棋力の差、は確実に…読みとれる。
だからこそムキにならずにはいられない。
自分を両親に認めてもらう、ためにも負けられないのだから。

誰も観戦している人がいないのを不思議におもいふと覗いて唖然としてしまう。
初手からずっと越智と和谷の対局をみていた。
「あ、あの!?何なの!?あれ!?」
ずっと保谷と越智との対局をみていたのでわけがわからない。
少しばかり除いた進藤と社の盤面上はとんでもないことにとなっている。
手順もわからない複雑な碁。
しかし、ぱっと見た目白が圧倒的有利ではある。
ふとみれば、ちらっと盤をのぞいて立ち去る別の男性の姿が目にとまる。
それゆえにその人物をあわてておいかけて思わずといかける。
「秋山君、みてないの!?社が先番で五の五をうってさぁ」
「ゴ…ゴノゴ!?」
というか信じられないという気持ちのほうが強い。
「二手目の進藤が天元!」
「ええ!?ニ手目、天元!?」
それもまた驚愕することしきり。
「で、三手目で社がまた五の五!」
「~~~!!?」
言葉にならない、とはまさにこのことかもしれない。
何やらとんでもない一局がいままさに進行されているらしい。
「ここにうったで!いやぁ、すごい空中戦ですよ」
「相手のう隅をついていけば、ただうけたりせずに切り返し。
  さらにはそれらに対してそれぞれが反撃して……」
「うわっ、大混乱、だな」
混乱しているとはいえ白が有利なのはかわりがない。
「しかし。どこもまだ薄いのによく打てるな。こんな恐ろしい碁」
それはたしかに本音からでた言葉。
「というか。白、圧倒的、ですよね。これ以上ない場所へとうってる」
「黒も必至にすがってはいるが…いやしかし、社君も正直。ここまで打てる子とはおもっていなかったよ。
  進藤君はまあ高段者相手にもずっと勝ち進んでいるし。
  しかももう棋戦も三次予選まで勝ち進んでいるから想像はつくとして」
しかも森下達から彼の実力は一応はきかされている立場からいけばこの感想も至極当然。
「しかし…おしいな。社。ひっしにくらいついているが…進藤君には及んでいない。しかし……」
しかし、ここまで必至にくらいつける相手が塔矢明以外にいる、とはおもえない。
まあ、塔矢明ならばこの局面でさらに大混乱になり勝ち負けの予測不能となるではあろうが……
「たしかに。この二人ならば韓国、中国相手でも面白くなるかも、ですね」
「これに塔矢明がくわわれば~!」
日本とて、低迷しているわけではない。
と世界にアピールもできるというもの。
別室でヒカルたちの対局を検討しつつそれぞれがそんな思いを抱いてゆく――

「塔矢!」
棋院にはいってエレベーターに乗り込もうとすると呼びとめられた。
今日は午前中、他の棋院で手合いがあり、今もどってきたところである。
「?倉田さん?」
どうしてかれがここにいるのだろう。
それゆえに首をかしげてといかけるアキラ。
「お前もみにきたのか?北斗杯の代表を決める予選」
「倉田さんも?」
彼はあまりこういうのには興味がわかないような気がしていたのでちょっとぱかり以外である。
「オレ、団長だもん。おまえら日本チームの」
「倉田さんが?」
というかそんな話はアキラも聞いていない。
「韓国チームの団長は安太善アン・テソンだってきいたんだ。そうときいたらだまってられるか!!
  あいつはオレのことを『日本のアンテソン』といったんだぜ!?
  あいつが韓国の倉田のくせにさ!あ~!おもいだしてもあのフフン、という顔がにくらしい!
  北斗杯でひと泡吹かせて、こんどはオレがヘヘンっ!っていってやる!」
・・・・・・・・
子供の喧嘩。
とおもうアキラはおそらく間違っていないであろう。
それゆえに思わず無言となって乾いた笑いをあげるしかアキラにはできない。
「お前が戦う相手は、たぶんNo1同市。高永夏コ・ヨンハだろう。まけるなよっ!」
そんなアキラにそんなことをいってくる倉田の姿。
「…倉田さん、知ってますか?コヨンハは今、韓国のタイトルのひとつ。国主。の五番勝負をもっています。
  タイトル戦の挑戦手合いですよ。まけるな、といわれてもハイ、といえる相手じゃないですよ」
とりあえずここは謙虚に素直におもったことをいっておくのが無難。
そう判断してのアキラの言葉。
が、しかし。
「知ってるさ。そんなもん。オレも調べた。だからいうんだよ。おい。塔矢。か・て・よ!」
がしっと肩をつかんで顔をまじかにもってこられて真剣な表情でいわれればたまったものではない。
「……倉田さ~ん……」
それゆえに珍しく情けない声をだしているアキラの姿がそこにあったりするのだが。
「ホラ、いくぞ。あと二人のメンバーを見に!」
そういいつつ、先にエレベーターに向かってゆく倉田の後姿を見送りつつ、
…あと二人のメンバーのうちの一人は、進藤、君だろうな!
心の中で期待と不安を抱きつつも、アキラもまた倉田とともにエレベーターにて六階へとあがってゆく。

ドタドタ…

「ここや!ここにうった!!」
「うおっ!」
「こうきた、か!」
「すげぇっ!」
「な!?シビレルやろ!?この一手は!?」
何やら奥のほうから声がきこえてくる。
しかもこちらにまったく気づくことなく通り過ぎたのもきにかかる。
「しかし。この進藤、社戦は見ごたえがあったな。今の打ってで勝負ははっきりつきましたね。
  しかし…おしい…ですね」
素直な感想が口からもれる。
「うん。もったいないな。こいつ、これだけうてるのに。結局選手にはなれないわけか」
そんな声が聞こえてくる。
?!
まさか!?
進藤っ!!
「対局室はこっちでしたよね!?」
有無をいわさずそのまま対局室のほうにかけだしてゆくアキラをみつつ、
「あ、おい。塔矢!」
呼びとめようにもすでにかけだし止まりそうもない。
どうやら検討をやってるみたいだな。
「そっちの部屋のほうにいってみるか」
そうつぶやきつつ、倉田は倉田で検討が行われているであろう部屋のほうにとむかってゆく。

息を切らせてかけつけた。
すばやくのぞきこんだ盤面上はといえば……
…勝っているのは、白。
進藤だ。
そのことにほっとする。
が、しかし…
「・・・っ!」
ぱちっ。
相手のほうが顔をゆがませながらもどうにか次の一手をうってくる。
だけど、何て碁だ。
手順がみえない。
しかも天元できりかえされているのも気にかかる。
一体、どんな碁だったんだ?
しかも社のほうがわも圧倒的な強さをみせつける白にどうにかこうにかかろうじてすがりついているのが見て取れる。
それでもおそらくこれから挽回は無理、であろうが。
「…くっ…」
相手の壁は、厚い。
くらいついてゆくのがとにかくやっと。
それでも勝負をしかけてもあっさりとかわされ逆に攻められ殺されてゆく。
コンナコト、今まで一度たりとてなかったのに。
自分は強い、と自覚していた。
周囲の大人たちもそういっていた。
だからこそ、親の反対を押し切ってこの道を進もう、と決意した。
なのに……
「?」
塔矢?
あいかわらず進藤の対局しかきにならないのか。
ふと、横でうっている社対進藤の対局を食い入るようにみているアキラの姿をみて内心ぼやく。
以前、あいつに指導碁をうけたときからずっとボクは甘くみられている。
でも、あれから一年半。
一年半前のボクとはちがう!
「…ありま…せん……」
越智がそんなことを思っている最中、和谷が投了を申し出る。
くっ。
「中盤まではよかったのに……」
オレが確実にリードしていたのに、調子にのりすぎた!
そう後悔しても、もう遅い。
「ありがとうございました」
「…ありがとうございました」
悔しくて震える声を何とかこらえて挨拶をする。
「和谷とボク。どっちが選手にふさわしいか答えがでたな。やっぱりボクだよ」
「!!」
く、くそぉ!
見下された言い方をして悔しくてたまらない。
が、しかし結果は結果。
負けは負け。
…もおいい。
終わったんだ。
さっさとかえろう。
いってゆっくりとゆるゆると立ちあがる。
ふとみれば、越智のほうはといえば進藤と社の間横で固まっているのが見て取れる。
進藤と社の対戦、か。
もう、オレにはどうでも……
そうおもうが、ここまで越智が固まっているのもきにかかる。
ゆえにちょこっと盤面をのぞきこみ…思わず絶句。
な、何だ!?この碁!?
何やらとてつもない一局がいままさに、目の前で繰り広げられていたようである。
和谷の目からしても手順すら読み取れない一局、である。
くるっ。
その思いは越智とて同じ。
それゆえに塔矢明がむかっていったであろうそのあとに越智もついて部屋の外にとでゆく。
何やら外のほうが騒がしい。
どうやら別室で検討がなされているようである。
そのまま、いうまでもなく越智と和谷。
言葉をかけるまでもなく、二人して検討が行われている部屋へとむかってゆく。

ざわざわ。
「しかし。二人ともよくこんな碁を予選で打ったよ」
しみじみと局面をみて素直な感想がもれだしてしまう。
「倉田さん!?って塔矢!?」
部屋にはいるといるはずのない人物が二人。
いや、一人はかるく予測はつくがどうしてここに倉田がいるのか和谷には理解不能である。
「それ、進藤と社との一局、ですね」
そんな和谷とは対照的に冷静に判断してその場にいる人々にとといかけている越智の姿。
「越智君。和谷君。終局したのか。私がさっきみたかぎりでは、勝ったのは越智君?」
「はい。それより、これ、どういう碁なんですか?」
勝ったことよりもかなりきになる一局である。
「初手の社が五の五。二手目の進藤が天元。今、並べるよ」
「ゴのゴ!?」
「テンゲン!?」
というかそんな一局きいたこともない。
それゆえにおもわず叫ぶ和谷と越智。
「で、社が三手目にまたゴのゴ、や」
社とおなじく関西棋院の津坂棋士が変わりに二人にと説明してくる。
「「ええぇぇ!?」」
もう、そうなければ叫ばないほうがどうかしている。
そもそも、しょぱなから大混乱しまくりの一局であることは疑いのようがない。
「いやぁ。すごい一局だよ。こうなって、黒のカケはいい手だが、そこから白が単独でキッテ殺して……」
「ツケギリをしようとしてこようとした社の手のあとの進藤の立ち回りがみごとだ」
「・・・白ののぞきで黒は…死んでる……」
進藤光の実力は知っているつもりではある。
あるが、ここまでの碁をうてるとは……
「だが。社もそう簡単にはやられちゃいない。このツケをうったときは、何てことのない手だとおもったが……」
説明をうけて絶句するよりほかにない。
といってもヒカルはそこまでよんでおり、その先の社の手を封じる一手をとっとと打っていたのだからまたすごい。
何より棋力の差が圧倒的なまでにはっきりしているこの強さを前にして、黒は必至にくいつこうとしている。
「白におきを打たれて碁はほとんどおわったがね。いや、本当、二人とも抜きんでた力をもっている…あ…」
「・・・・・・・・・・・・・・」
たしかに、この一局をみるかぎり、自分は進藤光どころか社清晴にすらおいついていない。
だからこそ何も言い返せない越智。
「越智君。代表選手は君だ。おめでとう」
そういわれてもうれしくない。
対局の組み合わせがたまたまよかっただけで、自分は…自分の碁は…自分の実力は…
「…対局を、みてくる」
そういってそのままその場を立ちあがり、その部屋をあとにする越智。
そんな越智の姿を見送りつつ、
「越智っていうあいつが選手決定?」
とりあえず確認のためにと問いかけている倉田であるが。
「ええ」
「あ、これ対局表です」
たしかに、対局表をみるかぎり、そのような結果になっているらしいが……
「越智の対局はどうだったの?」
「レベルは高いですよ?でもこの進藤対社戦と比べると…ね……」
そうとしかいいないほどの圧倒的な違いがそこにある。
「越智君、和谷君ともに甘さがありお互いそれに助けられたりしてますし」
「ボクらも両方の対局をみてますけど」
「やっぱりこっちの一局がすごすぎますわ」
誰がみても碁が判るものでもわからないものでもどちらが圧倒的かは一目瞭然。
「社…ほしいけど・・・予選でこういう結果が出た以上。どうしようもないな……」
運も実力のうち。
組み合わせ結果もまた運次第。
わかってはいるが…かなりおしいことこの上ない。
…誰の目にも一目瞭然、だ。
越智と社の囲碁センスの差は……
アキラとてそんなことをしみじみおもってしまう。
何しろあの進藤にここまでくいついてくるなんて。
予想以上といってもいいであろう。
「ちょっと、対局場にいってみるか」
「そろそろ終局ですかね」
「私もいきます」
いいつつも、その場を片づけてそれぞれが対局場となっている個室へと向かってゆく……

「渡辺先生。決着つきました?」
ふと部屋をでて靴箱の前を通りかかったときに声をかけられる。
ふとふりむけばそこには出版部の古瀬村と、見慣れない男女がひと組。
「古瀬村さん。それと…?」
「あ。こちら北斗通信システムの戸刈さんです」
どうやらこのたびの北斗杯の主催者というか実行責任者であるらしい。
名前くらいは渡辺達とて一応はきかされている。
いるが当人の顔を知らなかったというだけ。
「どうも。ちょっと立ち寄らせていただきました」
渡辺、と呼ばれた人物に対してぺこりと頭をさげる戸刈と呼ばれた男性。
「韓国、中国の選手が決まったので、日本の選手がきまりしだい、パンフを作成するんだそうです。
  顔写真と簡単なプロフィールがいるんですよね?」
「ハイ」
古瀬村の質問に軽くうなづく戸刈。
「なるほど。一名は越智君に決まりました。もう一名はまだ対局中ですが、進藤君で決まりですね」
淡々と説明する渡辺のセリフに、
「お。二人とも東京勢だ」
そのことに多少なりともがっつポーズをしている古瀬村の姿がみてとれる。
「…では、社という関西棋院の子はダメだったのですか?」
「残念ながら。進藤君の前に敗れ去りますね」
どうあがいても越えられないものもある。
それを超えていき初めて高みにのぼってゆくのが棋士の本分。
「渡辺先生。社が投了しました」
そんな彼にと対局場から一人の人物が声をかけてくる。
「社が投了したようです」
いってかるく頭をさげて対局場の部屋のほうへとむかってゆく渡辺棋士をみつつ、
「戸刈さん。どうぞこちらです。僕らもいきましょう」
いって促す古瀬村であるが。
「ああ。いえ。私はここでお待ちしてますよ」
どうせいっても意味はない。
「そうですか?じゃあ写真とコメントをとったら戻ります。
  それから出版部で顔写真とかをお渡ししますね」
いいつつも、古瀬村もまた渡辺につづいて奥の部屋へとむかってゆく。

「越智君!進藤君!代表決定おめでとう!!」
元気にいって部屋にとはいる。
が。
何やら部屋の空気がどこかおかしい。
…ん?
「あの~?」
何やら渡辺棋士の前に座り込んでいっている越智の姿が目にとまる。
「いや、しかし、越智君」
「おねがいします!社君と勝負させてください!選手決定はその結果で決めてほしいんですっ!」
・・・・・・・・・・・・・・
「え!?」
古瀬村の目が一瞬、点となり果てる。
「このままボクが選手になったとしても、みんな不満がのこるでしょう!?僕だって納得できない!
  この一局をみれば僕は僕が選ばれることに納得できない!
  どっちが強いか、どっちが弱いか、はっきりさせて僕は上にいくっ!」
それは棋士としてその身を一生おこうとしているからこそ妥協はできない。
「・・・越智……」
そんな越智の姿をみて驚きで目を丸くしている和谷。
「進藤と社。この二人の対局をみるとたとえ予選ででた結果だとしても。
  僕は僕が選手に選ばれることに納得できない!選手になるべきは僕か社かはっきりさせたいんだ!」
負けず嫌いで、きちんと白黒つけて自分を納得させないと気がすまない越智だからこそのプライド。
…越智。
何てプライドだ…
オレは自分が社や進藤とあたらないことを喜んでいたのに……
強敵と戦わずに代表に選ばれたとして、その先、国際戦でいい戦いができるか・・・といわれれば答えは…否。
「いや。越智君。君の気持ちはわかるけど、君が勝負を望んでも簡単にではそうしよう、とはいえない」
組み合わせも結果もすべては運。
運も実力のうち。
それが、棋士の世界にいきるものの宿命、なのだから。

「社が負けた、か。やれやれ。関西棋院の人が身うちびいきで褒めていただけで大したことはなかったらしい。
  それとも社に勝った子が相当の腕のたつ子だったのかな?そうあってほしいところだ」
日本が勝つ必要はない。
ないがふがいないのも困る。
大会は多いに盛り上げてもらわないといけないのだから。
そんなことをおもいつつも、自動販売機のボタンをびっとオス。
ガコン。
と落ちてくるカンジュースが一つ。
と。
「戸刈さん!?…あれ?」
いたはずの戸刈の姿が見当たらない。
それゆえにきょろきょろと姿をさがしもとめる古瀬村のこえが彼の耳にと届いてくる。
「ここです。取材は終わりましたか?」

どうやら雰囲気がどこかおかしい。
「いえ、実は……」
戸惑いつつも、古瀬村は、越智の申し出を戸刈にと伝えてゆく――

「どうも」
対局場にはいると、たしかに渡辺棋士の前にすわっている越智とよばれる子供なのであろう人物と。
そして碁盤の前にすわっている変わった容姿の子どもと、そしてまた白髪に近い子供が一人。
関西棋院の人からきいていた容姿からいくと、白髪に近い子供のほうがおそやく社、という子供であろう。
そんな部屋にとはいってきた戸刈に頭をさげている渡辺の姿が目にとまる。
「お話はうかがいました。予選をもう一局。追加したい、とか。わかりました。いいですよ。
  対局料、社君の宿泊費、交通費などすべてこちらで負担しましょう。
  ただ、こちらの都合もありますので、早急にお願いしたいのですが」
何しろ初めての大会である。
ふがいないのもこまる。
選手に決定した子が不満がある、というのならば一局くらい追加させてもバチはあたらない。
すくなくとも、ブザマな姿を世界にさらすよりははるかにまし、というのも。
「明日でいいですよ。ボクは」
「社君は?」
「も、もちろん!いつだってええです!オレにとっては願ってもないことですから!
  対局料もホテル代もいらへんっ!もう一度チャンスがあたえられるんや!」
とてつもなく強い相手とかちあったのも運。
だがしかし、親がそれで納得する、とはおもえない。
それみたことか、といわれるのがオチである。
だからこそ、ゆずれない。
ないが……
「…ええんか?」
ごねなければ自分が代表決定しているというのに、納得いかないから、と追加対局を申し出てくるとは…
社にとってもかなり以外。
「もちろんっ!」
そう言い切る越智の目に…迷いは…ない。

「越智君は十四歳ですか。ああいった熱い気持ちを抱くのはやはり子供ゆえ、ですかね」
熱意は認める。
しかし大人がそのようにいってくるか、といえば彼的にはこたえは否。
「他の子どもたちからもこの予選に対する意気込みを感じられてとてもうれしくおもいますよ。
  大人ではこうはいかないでしょう。十八以下の子供の大会にしたのは正解でしたかな。ハハハ」
とにかく主催者側からすれば話題になるのが先決なのである。
この予選のことも許可することにより主催者サイドの株があがるというもの。
そんな戸刈の言葉に、
「子供、子供といわれますが。あの社、プロ八段のこの私が勝てるかどうか。
  進藤君と塔矢君にいたっては私は確実にまけますよ」
「……そう、なんですか?」
まさかきっぱりはっきりと負ける、といいきられるとはおもわなかった。
相手は子供。
しかもこの春こうこうにあがるばかりのまだ子供。
それがいい大人が負ける、と断言するなどとは……
ゆえにそかなり驚きを隠しきれない。
「たとえば。スポーツは体ができていない子供はおのずと力にも限界がありますが。
  囲碁は思考と感覚、です。子供と大人が対等なんですよ」
「……なるほど」
いわれてみれば、たしかに。
普通のスポーツなどではどうしても大人と子供では体力的にも格差はでるが。
思考と感覚、となれば子供や大人も関係ない。
むしろ頭の柔らかい子供のほうが有利、ととれなくもない。
それゆえに、いわれてみれば対等、という言葉はそうなのかもしれない。
「ご存じなかったんですか?」
彼は今回の大会の主催の責任者ときいているのに知らないことにびっくりしてしまう。
「韓国や中国の選手のプロフィールなどはご覧になっていませんか?」
といかける渡辺の言葉に、
「部下にまかせっきりで。それにみてもわからないでしょう。
  北斗杯を企画したのも一般の人々には若い棋士のほうがウケがいいだろう。とおもっただけのことでしてね」
実際にそのとおり。
囲碁に感心があったわけでなく中国や韓国とコネをつくるのにうってつけであっただけ。
ちょうどたまたま塔矢行洋という人物が話題になっている今だからこそ、この企画は計画された。
たかが一人の現役棋士が引退し、そののちに中国の何とかリーグに参加する。
というだけでものすごい紙面はにぎわった。
ゆえにそれに便乗しての企画でもあったのだが。
しかし…
「…囲碁界の子どもは子どもではない…か…」
どうやら多少認識を改めなければならないかもしれない。
そんなことをおもいつつふとつぶやく。
「だとしたら、わが社は偶然にも好企画を得たわけだ」
そんな戸刈の言葉に、
「十八歳以下での、日、中、韓の団体戦、というのはおもしろい企画です。…剥き出しの才能の戦い、なのですから」
どうやら戸刈達北斗通信システムの上層部が考えている以上に、
この企画はいろいろな意味でおもしろいものになるらしい。
それでアジアだけでなく海外にも会社の名前が知れ渡ることになればこの企画は大成功、である。

翌、四月四日。月曜日。
「社のやつ。俺のときは5-5と空中戦をしかけてきたのに。今日は一点、地に辛い三久に打ってきたな」
「いろいろためしてるんだろ」
社と越智の横では常に和谷が確認し、一手をうてば別室にいるヒカルたちにとつたえる。
そんな形をとりつつの再戦。
「越智君はこの打ち込みにどう応じるんでしょうね?」
社の一手も、越智の一手もみていてたのしい。
前はよく佐為がいっていたおもしろい場所に打ち込みしてくるのでたのしい。
碁を覚え始めたころはその意味がまったくわからなかった。
だけども、わかりはじめたとき、佐為とその一手を模索するのがたのしかった。
「そうだな。少しこまってるね。何か変化をもとめたい局面だが」
「ええ。すかさず越智君はかわしていきますよ、きっと」
圧倒的な力を前にしてもひるむことなくたちむかってゆく勇気。
その勇気はヒカルが佐為から教わったもの。
越智はそんなヒカルから。
だがそのことをヒカルは知らない。
「だけど、やっぱり社ってすごいな」
それはかけなしの本音。
きっと佐為がいてもこの子、けっこうやりますねぇ。
といってほめていたであろう。
「越智君もね。よくたたかっている」
反撃しつつ戦っているのはわかる。
わかるが、それでも結果はかわらない。
かつて、ヒカルが反撃しまくっても佐為には手も足もでなかったように。
「…うむ。だがここからの逆転は無理だろう」
そんなことを周囲がいってくるが。
「だけど。渡辺先生。ここに越智がきて、社がこうくれば、ここに隙ができるから……」
「あ!そっか!確かに。だけどたぶんそれに気づくのはおそらく君くらいだよ。進藤……」
さらっと逆転の一手を示すヒカルにうなづきつつも、苦笑しながらいってくるアキラ。
「…だろうね。それか塔矢君か君くらいのものだとおもうよ」
自分たちが判らない一手を示されてはっとする。
しかしおそらくきづかないであろう。
「…一か月後の北斗杯のメンバーは決定、だな」
「……まけました」
それと同時。
別室で越智が社に投了を申し出る。
全力のかぎりがんばった。
それでまけたのだ。
悔いはない。
自分がなっとくしないままに国際戦にデビューしてもいい碁はうてない。
だけども、次はこうはいかない。
もっと、自分を見つめなおし、鍛えて、次こそはっ!
そのための再戦願い、でもあったのだから……

四月八日。
金曜日。
「そういえば。おじさん。韓国のアマ棋戦に出場申込の打診をしたんだって?」
「うん。何でも三星火災杯の参加権利を得るためとかいってたよ」
「へ~。でもおじさんも元気だよな」
思わず感心してしまう。
というかよく火災杯のことは知らなかった。
それゆえにその話をきいてネットで調べたのはつい昨日の夜のこと。
「三星火災杯の主催者側は父が出るならって、シード枠を用意するっていってきたらしいよ」
「へ~。ネットで調べてみたらそれってたしかプロでなくても参加できる棋戦…だったっけ?」
「進藤~。だから、海外の棋戦もおぼえろってば!まったく…キミは……
  まあ、たしかに。オープンとなっている棋戦はまだまだ国際的にも少ないしね。
  だけどきっと棋院の人たち、寝耳に水で驚いてるだろうな~」
「はは。違いない」
本日は海王高校の入学式。
クラスは偶然なのかヒカルとアキラは同じクラスでもあった。
学校側からすればわざわざわ分けて騒ぎを拡大するよりは、ひとつのまとめたほうが効率的。
そういう判断ゆえのクラス編成なのであるが。
何しろ二人とも、北斗杯参加決定の生徒、である。
おそらく大会が近付けば取材陣なども騒ぎを増してくるのは明白。
高校側からすれば世界に、全国に高校の名前をうるチャンスでもある。
何しろこちらからいわなくてもご丁寧にそういったときは、学校の成り立ちから何から何まで。
取材側、というものは視聴者などにもわかりやすく説明する。
棋院としても、入学式を手合いで休ませました、というのは体裁がわるかったらしく、
この日は二人とも手合いが珍しくはいっておらず、二人して参加の運びとなったのだが。
「今日、帰りどうする?」
「今日は入学式だけだし。あと担任の先生にわかっている手合い日の予定はつたえとかないと」
「そういやそうだな~」
海王の制服をきているヒカルとアキラはかなり目立つ。
何よりも二人ともすでに日本代表ときまっていることもあり、
最近では数すくない新鮮なよいニュースとしてなぜか顔写真まで取り上げられていたりする。
ゆえに、野次馬というかミーハー根性丸出しの生徒の姿も周囲に多々とみえなくもないが。
そんな彼らには目もくれず平然とはなしているヒカルとアキラ。
すでにながったるしい入学式はおわり、各自教室にと入っている。
それぞれが好きな場所に座る形となっているので、自然とヒカルとアキラは両隣。
まあ、これからきちんと席順をきめるホームルームなどがあるであろうが。
「しかし。海王高の制服もやっぱり白…なんだな~」
きてみて改めておもってしまう。
自分はあまりにあっていないが、佐為はものすごくあの白い服が似合っていた。
一枚の絵のごとくに。
実際に絵姿になっていても違和感はまったくなかった。
白は、どうしてもヒカルからすれば佐為を連想してしまう色でもある。
「あ。じゃあさ。荷物は母さんたちにまかせてさ。そのまま帰りにうたねぇ?」
「いいね。それ。北斗杯まであと一か月だし」
そんな会話をしていると。
「あ、あの!塔矢君!進藤君!今度の北斗杯、がんばってね!」
「きゃ~!!目があったぁ!」
などと何やら騒いでいる女性との姿。
と。
「はいはい!静かに!これからホームルームをはじめます!
  まず、担任の長谷川です。名前は…」
ガラリと扉がひらき、担任教師であろう人物が教室にとはいってくる。
そのまま黒板に自らの名前をかき、
「ここにいる人たちは一年、クラスメートとして一緒に生活することになります。では……」
クラス全体をみわたして担任がはじめてのホームルームを開始する。
今日よりアキラとヒカルは高校生一年の生活がスタートする。
とはいえ互いにブロ棋士。
学校を休みがちになってしまうのは…仕方ない、であろう。
【明さん、進藤君のこと、いつも以上に気にかけておいてね】
【え?】
海王高はアキラの家からは五キロ程度、ヒカルの家からもまた五キロ。
ちょうど中間地点の位置にとある。
ゆえに今日よりアキラは自転車通学をする予定。
棋士たるのも、体力が必要となることも多々とある。
それゆえの決断。
【お母さん?】
【そろそろ鯉のぼりが出始めてるしね。大丈夫だとは思うけど……
  また、去年のようなことにならない、ともいいきれないし……】
たしかに、母の言うとおり。
進藤光の様子がおかしくなったのは四月後半。
【…わかりました】
去年の四月の後半からヒカルは傍目にも顔色がわるくなり・・そして、五月の連休明けのあの日。
倒れて入院した。
【お父さんにはいったけど。進藤君がぬかよろこびとなっても…ねぇ~…】
ふと、ヒカルと会話をしつつも今朝の会話を思い出すアキラ。
それは明子の直感。
佐為さんは必ずもどってくる予感がするのよね。
そう、明子がいったからこそ、行洋もまた立ち止まることなく前へ、前へと進んでいる。
だが、それは今のヒカルにいえば…もし間違っている場合・・・取り返しのつかないことになりかねない。
それゆえの明子の配慮。
「担任の長谷川先生って、誰かににてねぇ?」
「そ~いえば……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふとヒカルがそれにきづき、アキラもまたふとつぶやく。
ぱっと二人の脳裏に浮かんだのは……
森下茂男、九段の顔。
「「あっ!!」」
どこがどう似ている、というわけではないが。
その濃い顔といい雰囲気といい…とてもよくにている。
ヒカルたちは知らないが、彼は実は森下の親戚にあたるのであるが。
そんなことをヒカルたちは知る由もない……


                                -第70話へー

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あとがきもどき:
薫:普通ならば、ぜったいに棋戦の再戦、なんてしませんよね。
  運も実力のうち、と棋士の人たちはわりきるでしょうし。組み合わせもまた運、ですし。
  おそらく、原作の中で認められたのは、主催者側の思惑もあったとおもわれます。
  何しろ予選結果で選ばれた子が自分が選ばれるのがなっとくいかない!
  と別の負けた子と戦いをのぞむ、なんてこれこそ話題性につきますし(笑
  なのであっさりと認めたのもあるんだとおもうんですよね~
  とにかく、会社側とすればもりあがってほしいわけではありますしv(大人の事情で
  事実、おそらくそれでかなり紙面や話題にものぼったとおもわれますし。
  しかも一人はあの塔矢行洋元名人の息子、でもありますし(まて
  まあ、アキラは父の息子、という殻の中でしかみられないことに憤りをかんじはするでしょうけど。
  ヒカルのみはあくまでも、行洋はアキラの父親、という感覚なわけで(こらこら
  もしくは佐為が唯一自分とおなじ!と認めていた人物という認識v
  つまり世間とはかけ離れた認識さん。
  なので救われている部分はかなりあるとおもえたり(苦笑
  たぶん、原作でもヒカルは行洋をそのようにみてるとおもうんですよね~
  絶対に(笑
  さてさて、んでは例のごとくに小話をば~♪
しかし、本気でどこをかいてかいてないのかわからなくなってきてるぞ(やぱいやぱい・・汗



「何だかすごい人だよね~」
『ですねぇ~』
なぜだろう。
毎日のようにネットにはいってうっていればいつのまにか申込者多数。
『しかし、本当にこの箱の中身はおもしろいですよね。弱い人も強い人もいろいろいますし。
  でも顔がみえなくて相手の手もみえないのがさみしいですけど・・・・・・』
佐為のいいたいことはわからなくもない。
「佐為の姿が他の人にも視えて佐為が自分で石をもてたらいうことないのにね」
そうすれば、佐為も望む対局ができるであろうに。
自分が変わりに打ち込むという形をとらずとも。
『それは…おそらくかなわない願い…なのでしょうね…』
「佐為……」
ふと、あの日の会話を思い出す。
「だけど。佐為?いくら生身でうてる喜びがうれしいからって。体にはきをつけないと……」
む~……
おもわずむくれてしまうのは仕方ないであろう。
佐為が現実にもどってきて数日。
夜なども気づけば朝方まで一人で石を並べていたりすればなおさらに。
「つい。わが身が自由に動けるのがうれしくて……」
「佐為さん。お気持ちはわかりますけど。無理をしたら体にどくですよ?
  ほら。ヒカルは今日は手合い日でしょ?佐為さんはお母さんにまかせて、はやくいきなさい」
「ぜったい、ぜったい、絶対!!!に佐為、ねなきゃ、だめだからねっ!」
「大丈夫。お母さんにまかせなさいって」
心配する娘の気持ちはわかる。
「佐為。とっとと対局おわらせてすぐにもどってくるからねー!!」
ヒカルとすれば佐為と離れていたくないのだが。
それをいったところものすごくなつかしいほどにこっぴどく佐為に怒られた。
自分の役目ははたさなければだめです!
と。
その声をきいていれば、佐為がもどってきたんだ。
そばにいるんだ。
と実感できる。
しかも以前と異なり触れることも可能となればなおさら喜びも大きいというもの。
後ろ髪ひかれつつも棋院にむかうヒカルの後姿を見送りつつ、
「さてと。佐為さん。ひとまずお茶にでもしますか?」
「あ、いただきます」
取り残された美津子と佐為の何ともほのぼのとした会話が繰り広げられてゆく。
ちなみに、美津子がこっそりとおそらくいっても利かないだろうから!
というヒカルの言葉をさんざん聞かされたこともあり、お茶に睡眠薬をまぜて彼を無理やりねむらせたのは…
佐為が知らない事実、である……



みたいな感じでv
佐為ちゃん、現世にもどってきてからそりゃもう、わが身がある喜びに一睡もせずに碁漬け状態(笑
ヒカルが心配しまくる様子をみて、美津子がこっそりと計画をばv
美津子もまた、佐為がず~~と入院していた、ときかされていれば眠らせなければまたおおごとに!
とおもうところもありますしね(笑
ちなみに、佐為、睡眠薬という意味アイ、わかってないです(まて
いあ、たぶん、ヒカルとともにいた約二年間、そ~いうの知る機会ってなかったとおもうんですよね(苦笑
なので世間からずれまくってる佐為さんなのですけど(笑
ではでは、また次回にて~♪

2008年9月22日(月)某日

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