まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ふっとおもったこと。
…おもしろいのでこれに、マンガ&アニメをからませることに決定v
いや、後々、なんですけどね。
ヒカルが自伝かいて、それをアニメ化&漫画化~のような形でさ(こらまてや
んで、マイナーといわれてる囲碁界にあらたに旋風がまきおこる!
実際にこの漫画さん、世界まきこんでイゴブーム起こしたし(笑
ちなみに、それには秀策=佐為、とせずに。
そのあたりは佐為ともはなしあって、佐為が虎次郎に教えてたv
と言葉をかえる予定ではありますが(こらこら
ま、後々の話はおいといて、何はともあれゆくのですv

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「え?金子さん、それ本当!?」
放課後。
理科室にておもわず聞き返す。
「うん。進藤、ここ二、三日は何だか勉強会だか研究会だかで。
  とにかく碁をうつからってお休みしてるよ。進藤」
今年の夏休みは七月十日から。
それゆえに今は夏休み前の短期授業中。
「夏休み前で短縮授業だしさ。進藤顔色もよくなったし。担任の鈴木タマコ先生も病欠とかでなくて休む、というので。
  純粋にヒカルが元気になったことに喜んでたよ」
一番ヒカルを心配していたのは担任の鈴木タマコ、でもあるであろう。
ちなみにヒカルのクラスの担任は囲碁部の顧問教師でもある。
顧問、といっても名前だけの形だけのものであるが。
この葉瀬中において囲碁にもっとも理解がある唯一の教員でもある。
「つうか。退院後もあいつ、顔色、極端に悪かったしなぁ。ようやく元気になったってことか。
  きっとあいつ受験勉強が始まるのがイヤでそっちにしぼったんだぜ?きっと?
  勝手なやつだぜ。ひとにさんざん心配かけてさ~」
三谷の言葉は悪いものの、ヒカルを心配していっているのは嫌でもわかる。
「勝手。ねえ。大会にでないっと言い張ってたのにころっと意見かえたのはどこのだれ?
  ロクに部活にもでてこないくせに」
「でも、最後の大会に出れてよかったよね」
三年生にとっては先日の大会が最後となる。
しかも男子三人、という人数の中で三谷がでる、でないで団体戦にでれるかどうかがきまってくればなおさらに。
最近では男女混合戦の団体戦もあるにはあるが。
「あら。三谷はまるで自分は受験勉強しているようなこというんだねぇ」
「うるせぇなっ!」
あはははは。
放課後の理科室。
囲碁部の部活動を行っている理科実験室においてしばし囲碁部員の笑い声が響き渡ってゆく。

葉瀬中囲碁部がかわってゆく。
みんなかわってゆくんだ。
ヒカルも、きっと今ごろは碁盤の前で真剣な顔わしてるんだろうな。
ふと、ヒカルに思いをはせて空をみる。
ヒカル。
私もがんばるから…ヒカルもがんばれ!
そう、心の中でアカリは応援しつつ。

星の道しるべ   ~新たな道へ~

……何でこんな強い子が低段にいるのよ。
勝てるわけがないわ。
そうおもった時点で負け、である。
ちらりと対局相手の子供にみられてビクリとし、
「…ありません」
負けを宣言するしかない。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
終局し、となりでうっているヒカルのほうをちらりとみる。
ちらり、と局面をみてみてもどちらの勝ちかは明らか。
それでも退院後、初の公式手合い。
となれば気にならないはずもない。
おそらく、進藤の力はもう自分自身でしか計れない。
昨日、名人戦の第一次予選の組み合わせ表は送られてきた。
そう、三度の直接対局はすでに用意されている。
「……ありません……」
一度ならず二度までも。
しかも二か月、というブランクがある相手に対し、手も足もでない、というのはかなり屈辱的である。
「進藤。体、平気?」
「うん」
対局がおわったのをうけて横にいるヒカルに心配そうにと声をかけているアキラの姿。
と。
「あ、進藤君。ちょっと事務室、いいかな?」
背後から棋院の職員の一人にと声をかけられる。
「あ、はい」
「あ、僕もいきます」
そのまま碁石を片づけて、坂巻職員とともにヒカルとアキラは対局場から事務室へと移動してゆく。

「じゃぁ、もう休まなくても平気なの?」
たしかに顔色はよくなっている。
いるがどうしても確認は必要。
「はい。御心配をおかけしました」
一か月前まで意識不明の重体となっていたとは信じられないほどに言葉もはきはきしている。
しかし、子供というものは大人ぷってムリをする傾向がある。
だからこそ…しっかりと観察しなければ無理がでる。
「だけど。進藤。僕だっておばさんにたのまれたんだからね。今日はこれから病院で検査だぞ!」
「え~!?」
「え~!?じゃない!んっとに君はぁ~!」
美津子が心配して明に頼んできたのもわかる、というものである。
あの子、ちょっとでも調子よくなったりしたら病院にいこうとしないとおもうのよ。
だから塔矢君、おねがいね。
と昨日、電話をうけた。
ヒカルはそれを知らないが。
「……進藤君。塔矢君のいとおり。病院にはいきなさいっ!」
そんなヒカルに交互につっこむアキラと坂巻。
いくら当人が平気だ、大丈夫だ、といってもやはり医者の意見は必要である……
「は~い…」
どこか納得しないがゆえにぶぜんとしてしかたなく答えるしかない。
「まったく。またたおられてもこまるんだからね。君に期待している人はかなりいるんだし」
そう、ヒカルに注目し、期待している人は一人や二人、ではない。
何しろ大御所ともいえる棋士たちですらヒカルには注目しているのだから。
「そういえば、名人戦の一次予選の組み合わせ表はとどいたかい?」
「あ、はい。昨日」
「塔矢君。だったね。進藤君の相手は」
「「はい」」
そういわれて同時に返事をかえすヒカルとアキラ。
「問題は、僕のほうの対局スケジュールがつまってて、対局日がきまらないんだよな……
  僕としてはいつでもいいんだけど……」
それこそ夜おそくなってもアキラ的にはかまわない。
「だからって。お前、プロ試験のときみたいに、試験休んでオレのほうを優先なんてさすなよ?」
「あはは♡」
「あはは♡じゃねえ!」
たしかに明は以前、プロになる前。
プロ試験本番のまさに初日にそういうことをしでかしているので、一概にまさかと言えないところがあるのも事実。
そんな会話をしていると、
「あれ?塔矢君。それに進藤君も。二人とも対局おわったの?」
というか対局開始からそれほどまだ時間は過ぎていないのに。
「あ。天野さん」
「こんにちわ。天野さん。はい。何とか。塔矢達は異様に心配してますけど。もう大丈夫です」
いいつつも部屋にはいってきた編集部担当の天野にぺこりと頭をさげていっているヒカルの姿。
そんなヒカルに対し、
「……君の大丈夫。はあてにならないからね……」
何しろ以前のときもそうであった。
あのとき、顔色が極端にわるいのに、仕事だいじょうぶ?
といっても大丈夫です、といって泊まりがけの仕事にヒカルは参加したのだから。
「さ。とにかく。進藤。病院にいくぞ!」
「え~…やっぱりいくの?」
「え~…じゃないだろ!ほら!もう!おばさんが心配するのがわかるよっ!ほらっ!」
「って、引っ張るなよっ!塔矢!」
ずるずるずる。
「「・・・・・・・・・・・・・」」
しばし明に腕をひっぱられてゆくヒカルの姿を見送りつつ、
「何か、本当にいいコンビですねぇ。塔矢君と進藤君」
それに何より。
ここ二カ月あまりの明が纏う空気は…天野達ですら痛かった。
まるで次はアキラが倒れるのではないのか。
というほどに痛々しかったのも事実である。
「しかし。あの進藤君が本当に塔矢明と同等の力をもっているのかねぇ。…私にはよくわからん」
「あはは。でもそれは間違いないですよ。桑原先生もきっぱりいいきっておられますよね。
  でも、進藤君。ほんとうに大丈夫そうでほっとしました」
まだ彼が院生のころから天野はヒカルのことを知っている。
「まあ、塔矢君のような実力者がどんどん現れてくれれば私だってうれしいが」
そもそも、囲碁はマイナーな競技とおもわれているらしく一般的な知名度も低い。
「これから面白くなりそう、ですね。囲碁界も。塔矢先生、きっと早まったって後悔してますよ。絶対に」
ふっ。
そういってふっと笑い、ふと気付いたように、
「そういえば、ブロ試験がこの十日から。か。今年は誰が合格するやら」
ふと思い出し、たばこをすいながらもそういう坂巻の言葉に、
「ああ。今年は伊角君がきますよ。ぜったいに。あとあの学生三冠の門脇もいますしね」
今年のプロ試験もまた荒れそうである。
「…なあ、天野さん。われわれは囲碁界の未来を楽しみにしていいのかねぇ?」
そんな坂巻のつぶやきはしずかに事務室内部にと響き渡ってゆく……

七月十日。土曜日。
「篠田先生」
「おや。天野さん」
ふと声をかけられ振り向けばそこには見慣れた編集部の天野の姿が。
「今年も始まりましたね。プロ試験」
「ええ。まず予選。そして一か月後には本戦開始です」
毎年恒例のプロ試験開始、である。
「門脇君、伊角君あたりが今年の本命ですか?」
何しろ門脇は学生のタイトル三冠を総なめした人物でもある。
「伊角君の顔はみられましたか?」
「ええ」
「去年とは明かに違う。たくましい顔つきになっていましたよ」
「ですね。楽しみです。彼はもろいところがありましたからね」
回りに流されて自分を見失う弱さが彼の実力を試験で発揮できなくさせていた。
「天野さん。囲碁界では才能の開花は早くないとダメ。のようなことを言われていますが。
  私は成長のペースは人それぞれだとおもっています。人生、回り道はわるくない」
「あはは。篠田先生のその言葉。伊角君が合格したら週刊碁の記事に使わせてもらいますよ」
「はは」
彼らとて伊角とはもう長い付き合いである。
実力があるのにうからない。
たしかにそれはもどかしくもある。
だが、それがプロ試験の壁、というものでもあるのだ。
「去年合格した越智君。和谷君はがんばっていますしね。進藤君も復帰戦、勝利しましたし」
「今年合格する人達もそれに続いてほしいものです」
しばしそんな会話をかわしつつも、二人してエレベーターにと乗りこむ二人の姿が、
棋院内部においてみうれられてゆく。

七月十四日。水曜日。
進藤光対辻岡忠男二段の大手合い。
手合せしてみたい、とはおもっていた。
だが、まさかしかし、ここまで…とは……
塔矢明が唯一認めている相手。
一手合わせればわかる。
相手の強さ、は。
「…ありません。進藤君。ほんとうにもう体のほうは大丈夫なの?」
負けたとはいえ悔いはない。
全力のかぎりだしきった。
ヒカルにはまったく手も足もでないだけ。
「え。あ。はい。医者も首をひねっていましたけどね。数値はもう平気です。
  御心配おかけしてしまってすいません」
というか、ヒカルの病気は科学では計れない別方面が理由のもの。
ゆえに科学的の面からしかみない医者の立場からすれば摩訶不思議、とうつるのは事実。
先週、アキラにひっぱられるようにして精密検査をうけにいった。
その結果、完全に病状はよくなっている、とのこと。
まあ、ヒカルの気力も元にともどり、霊力も安定したがゆえに、
【原因不明】といわれているその分野の症状はおそらく二度とおこらない。
圧倒的な力を前にして負けはした。
したが…対局できたことが誇らしい。
自分もいつか、彼や塔矢君のように…!
そうおもわせる何かがヒカルたちには確かにある。
「まだ時間あるから、もう一局、おねがいできないかな?」
「あ。すいません。勉強しないと。持参してきてるんで」
何しろ今まで社会科や古文などに関しては佐為にたより任せっきりだった。
ゆえにヒカルは必至でそれらも勉強中である。
「そうか。君は今、中学三年だったっけ。って高校にはいくの?」
「あ。はい。うちの親も高校くらいはいきなさい!っていってますし。
  それにアキラが一緒にいかないか、ってさそってきてるから。
  計算上、手合い料とかで何とか私立の学校にいっても家計に負担かけないように自力で何とかできそうですし」
「そ…そう……」
というか進学代金を自分でまかなおう、とする子供はこのご時世にそうはいない。
しかし、彼とはいく度も手合せしてみたいものがある。
「あ、英語ならオレ、得意だよ?何ならおしえようか?」
「え!?本当ですか!?」
「そこ!他にも対局中の人がいますから。しずかにっ!」
「「あ」」
注意をうけておもわず二人して口をつぐむ。
「?何何?何の話?面白そうだけど。進藤?」
対局がおわり、何やらにぎやかなヒカルのもとにとやってきているアキラの姿。
「あ。塔矢君。今ね。進藤君に取引もちかけようとしていたんだ。
  英語を教えるかわりにオレとうってくれないか、ってね」
辻岡からすればそれでヒカルと対局ができるのなら何も問題はない。
「…そういえば。進藤、君って英語…ほんと~~に苦手だよね……」
五科目の中でヒカルが唯一点をとれないのはおそらく英語くらいであることをアキラは知っている。
「とりあえず。別の場所ではなしませんか?」
「そ~だね」
いいつつも三人にて対局場をあとにしてゆく彼らの姿。
年下とかは関係ない。
力あるものが上にいく。
それがプロの世界、というもの。
より強い相手に対して教えを熱望するのは、当人もまたその人物においつき、おいこしたいがゆえ。
ヒカルがかつて、塔矢明を…そして佐為においつきたい、おいこしたい、と思ったのと同じように。


「…あれ?進藤。手合い日でもないのに棋院に何の用なんだ?」
「あ、倉田のおに~さん。何って森下先生の研究会、だけど」
七月十一日。日曜日。
ふと棋院にはいると倉田から声をかけられ素直にこたえる。
「そういえば名人戦、第一次予選のトーナメント表、みたぜ。お前一回戦塔矢明とじゃん?」
「うん。倉田さんのおかげだよ。塔矢で公式手合いでうてるのは」
「?オレの?」
そういわれてもピンとこない。
「塔矢が今年まだ一次予選にいるのは去年倉田さんが二次予選で倒してくれたから、だもん。
  それ以外の棋戦はあいつ全部かちあがっててさ~。公式手合いなんて。
  大手合い以外じゃ、ぜったいに俺のところまでおりてきやしない」
しかも大手合いも幾度も同じ人物と手合せする、というわけでもない。
ゆえにおそらく手合せするにしても…来年以降になるのであろう。
「あはは。そりゃ、塔矢明、だからなぁ」
「夜。ネットで塔矢とはうってるけどさぁ。あいつが忙しいからオレとの対局日はまだきまらないしさ」
実際に夜ならば時間がとれるのでヒカルと明はネットを通じてうってはいる。
「進藤。塔矢にかてたらオレの書きかけのサインシキシをもってこいよ。ちゃんと名前までかいてやるから」
「……え?」
はて?
一瞬何をいっているのかわからずにきょとん、とするものの。
……あ~!!!アレ、かぁぁ!
…た、たぶんあれ…捨てた…よな…?
まさかそんなこといえないし。
何のことか思い出し、多少あわててしまう。
「特別サービスだ!励みになるだろう!」
「は…励みは…いらない…かな?」
「お!すげえ自信!」
自信とかいうのではなくて、はっきりいってあんなものはいらない。
というか邪魔である。
そもそも、意味もないのでとっとと捨てたような気もしなくもない。
「おっと。時間が。じゃあな。進藤。早く対局日がきまるといいな。じゃあな!」
ほっ。
これ以上深くつっこんでこられずにおもわずほっと胸をなでおろす。
あのときは、和谷におごってもらえなければこまる、というので倉田をおだてたのだが……
「おっと。研究会、研究会…っと」
倉田をみおくりつつも、ヒカルもまたエレベーターにと乗り込んでゆく。

「…え?いつのまにこんなのきまってたの?」
がくっ。
思わず力が抜けてしまう。
「し~ん~ど~う~!てめぇ!」
「・・・ぷっ。あははは!さすが進藤君だ!」
思わず怒る和谷とは対照的に噴き出す冴木。
「…あ~…進藤。お前は入院していたからかもしれないが。本当に知らなかったのか?決定の仕方?」
おもわずコメカミをおさえつつもといかける森下に対し
「うん」
きっぱり迷わずに即答しているヒカルである。
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
きっぱり即答されてその場にいた森下門下生すべてがヒカルの即答に絶句する。
「…この二か月の間に進藤のやつまた例の無知は復活かよぉぉ~……」
おもわず和谷が嘆くのは…仕方ないであろう。
「進藤君。塔矢先生が引退して五冠が空位になった。これは知ってるよね?」
こくり。
というかあのとき、いくら説得してもおじさん、聞いてくれなかったし……
まさか、それが原因で佐為が消えるなんて…あのときの俺は夢にもおもっていなかった。
ヒカルがそんなことを思っているなど判るはずもなく、
「それゆえに、その空位になった棋戦のタイトル戦に合わせて。
  挑戦者決定戦の決勝戦が何番勝負、となったんだよ。十段位は一人もいないのは体裁が悪い。
  とかいう理由でその時の挑戦者でもあった緒方さんになったけどね」
丁寧にヒカルに説明してくる白川に続き、
「塔矢先生は十段、碁聖、天下、王座、そして名人を保持してたかんな。…まさかそれくらいしってるよな」
「あ、あはは…一応」
あのもの、塔矢の父君のもっているタイトルって何ですか!?
とさんっざん佐為に聞かれて説明するハメになっていたヒカルとしては忘れようにも忘れられない、というもの。
「と、いうわけで。今、棋聖戦が緒方先生と乃木先生の間で碁盤勝負となってるのさ。
  これに三勝すればタイトル保持者、だ」
「で、今日から五局目ってわけだ」
「へ~」
佐為のことでどたばたし、他をきにするゆとりなど、一切なかったのだ。
それゆえにヒカルはそんな決定など今までまったく知らなかった。
「来月からは名人戦、一柳先生と畑中先生とで戦いが始まるしさ」
「桑原先生は倉田君相手に防衛ははたしたけどね」
何だか進藤光、という称念とはなしていたら、話しているほうが気がぬけてしまう。
それは、昔も今も…かわらない。
ゆえに誰ともなくその場にいたヒカル以外の全員が溜息をついてしまうのは仕方がない。
「あ。そういえばさ。和谷」
「?何だよ?まだ何かしらないことでもあるのか?」
しかも質問してくるのが脱力してくるような常識的なことだからこそ気がぬけてしまって怒りたくなってしまう。
「中国のさ。北京チームとかいうのって、何?」
「はぁ!?何いきなりいってんだ!?お前、というか知らないのか!?」
囲碁界に身をおくものならば知っていなければ絶対におかしいと断言できる。
それをどうやらやはりヒカルは知らないらしい。
「は~。中国の団体リーグに所属しているチームだよ。北京チームは」
溜息まじりに説明してくる白川の言葉に、
「へ~。中国ってそんなものがあるんだ~。団体戦かぁ。めずらしいなぁ。塔矢のおじさんが団体戦ねぇ」
……ぴたり。
何かまったく場違いな名前がいま、でてこなかったであろうか。
それゆえに全員がおもわず動きをとめてしまう。
「…ちょっとまて。進藤。何でそこで塔矢先生がでてくるんだよ!?」
「?だって、昨日、明子おばさんと電話してたら。
  おじさんがその北京チームっていうのと契約したっていってたからさ~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
「「「って、なにぃぃぃぃぃぃ!!?」」」
さらっとしたヒカルの爆弾発言である。
「?どうしたの?みんな?」
…ヒカルは、自分が爆弾発言をしていることに…まったくもって気付いてなど…いない……

同日。
日本棋院内部。
五階において本日は本因坊リーグ戦の三回戦がとりおこなわれる。
行雲の間。
森下九段の研究会がある、といっていたヒカルとは一緒に棋院にきた。
きっと進藤のことだから、爆弾発言してるんだろうか?
ふとそんなことをおもってしまう。
そもそも、車でのタクシーの中で中国に関するプロの実情を説明するだけで棋院にとついてしまった。
それゆえにそこまで詳しく説明ができなかったのは仕方がない。
何しろヒカルはまったくもって中国の囲碁の知識が皆無、だったのだから。
北京チームの概要説明までできなかったな…
そうはおもうが、ヒカルのこと。
おそらく研究会でさらっと爆弾発言をして問いかけるであろう。
絶対に。
そんなことをおもいつつ、もじっと碁盤の前にとすわって待つ明がまっているのは本日の対局相手。
バタン。
パチッン。
扉が開くおとと、扇を開け閉めする音。
「あ、おはようございます」
「座間先生。おはようございます」
挨拶をうけて対局にすわっている人物をまじまじとみる。
「……たいしたもんだな。新初段シリーズで対局してからまだ二年もたっていないというのに」
それでもうリーグ入り、である。
「あのときは逆コミ五目半のハンデをオレが背負っていた為にオレの負け。
  しかし今日は互戦。どれほどの腕になったかみせてもらおうか」
「・・・・・・・・・・・」
そんな会話をききつつも、記録係の女性が複雑そうな顔をする。
その新初段シリーズの記録係は私もやった。
本当に信じられない。
あのとき、新初段だった塔矢君がもう本因坊リーグにいる、なんて……
本因坊リーグ。
それは本因坊戦挑戦者を棋士八名により決めるリーグ戦。
ビー。
「お願いします」
開始の合図が繰り出される。
進藤。
君の為にも、僕は…負けない。
来年、君もかならずここにくる、から……

「って、ちょっと!?森下先生!?」
なぜか、ちょっとこい!とわれてエレベーターにと連れ込まれ、やってきたのは最上階。
「はい。出版部。ああ、三宅さん。…え?なんですって!?本当ですか!ええ、はいっ!」
「?毎朝新聞の三宅さん?何の話?」
ガチャ。
バッン!。
「おい!ダレか!行洋のやつが中国の北京チームと契約したって話しをきいているか!?」
「塔矢行洋先生が中国の北京チームと契約したそうです!」
電話機をおくのと、扉が勢いよく開かれて叫び声がそれと同時に投げかけられるのはほぼ同時。
ざわっ。
電話を受けた人物が驚きながら叫ぶのと、森下が扉をあけ放ち叫んだのはほぼ同時。
「って、森下先生!?」
「って、北京チームって、あの!?中国団体リーグ戦に所属しているあの北京チーム!?」

「ねえ。先生?何でみんなおどろいてんの?」
唯一、ヒカルだけが意味がわからずにきょとん、としていたりするのだが。
「お前がしらなすぎるんだよっ!」
おもわずそんなヒカルにどなる森下であるが。
「って、森下先生?それに進藤君?すいません。今、とりこみ……」
「ねえねえ。天野さん。何で塔矢のおじさんが契約しただけで何かさわいでるの?」
「「・・・・・・・・・・・・」」
「って、進藤君!?」
さらっというヒカルの言葉に騒ぎかけていた事務所が一瞬しずまりかえる。
「さっきこいつから、ワシもきいてたまげてな。詳しくききにきたわけだ。とにかく情報がほしい!
  …こいつはきいていても当人がことの重大差をまったくわかっちゃいねえからなっ!」
「・・・え~と……」
何といったらいいものか。
「・・・進藤君?きいていたの?」
とりあえず進藤光に確認をこめて問いかける。
「うん。昨日、塔矢のおばさんから聞いたし。今朝も塔矢と一緒にきたときに聞いたし。
  ねえねえ?何なの?そんなに大騒ぎすることなの?」
さらり、といわれれば思わず頭を抱えたくなってしまう。
そんな最中。
「って、団体リーグ戦?」
「日本のJリーグのようなものが中国の囲碁界にはあるんだよ」
「確か韓国のトップ棋士と契約しているチームもあるってきいたことが……」
そんな会話をしているその場にいる人々の姿。
「そうか!塔矢先生は引退した今、日本の棋戦スケジュールにしばられることがなくなったんだ!
  中国の契約金は日本人にしては安いものだが、
  塔矢先生には世界の強豪に交じる魅力のほうが勝るにちがいない!」
「とにかく!塔矢先生に電話を!」
何かにきづいたように叫ぶ天野とは対照的にその場にいた人々が電話にと手をかける。
「進藤君!詳しく!どんな話を聞いたのか詳しくきかせてくれっ!」
そのまま、ヒカルの肩をがしっとつかみ、真剣なまなざしでといかけてくる天野の姿。
「え?あ、うん」
…何でみんな、そんなに驚いてるのかなぁ?
ヒカルは今だに事の重大性にまったく気づいてなどはいない……
棋院関係者、出版関係者、さまざまなものが電話しても当然のことながら話し中。
「ねえねえ。何でそんなにみんな、おどろいてるの?ねえ?」
「・・・お前~…もうプロなら日本以外のコトもおぼえろっ!!」
思わず横にいた森下の怒号がヒカルに飛ぶ。
「…あ~…まあ、進藤君だしねぇ~…。いいかい?一から説明するから」
よくのどおりのいっていないヒカルから聞き出すのはおそらく困難。
それゆえに先にと説明し、ヒカルが聞いたことを詳しく天野達は聞き出すことに。
囲碁界が、確実に世界を巻き込んで大きく動いている、と実感しつつ……


楊海ヤンハイ!きいたか!?日本の塔矢先生が北京チームにはいったぜ!」
ばっん!
勢いよく扉がひらく。
中国棋院のとある一室。
「知ってるよ。ネットではもう大騒ぎだ」
実際にネット上ではもう炎上寸前とまでなっている。
それほどまでに大騒ぎ。
「これで北京チームの総力があがる!団体リーグは今以上に面白くなるぞ!
  俺と王星もいる上海チームもうかいかしていられん!」
入ってきた人物は一人かなりテンションもたかくいっている。
「お前、嬉しそうだなぁ。塔矢行洋のファンだからな。お前は」
まあ、気持ちはわからなくもない。
ないが見ていて何だか面白い。
「おう!神の一手に一番ちかいぞ!あの人は!」
「神の一手ね。そりゃ、sai、だろ」
「ぐっ…そ、それは!」
そうつっこまれ、おもわず言葉につまる。
たしかに、ネットに存在していたsaiの強さは彼とて知っている。
いるが…最近、ぱったりとsaiはまたネット上から消えてしまったのも事実である。
さらにいえばいまだにsaiの正体はわからずじまい。
「まあ、いいさ。神の一手はこの中から生まれる」
ぽん。
目の前でむきあっていたデスクパソコンをぽん、とたたく、楊海と呼ばれた人物。
「…コンピューター?」
「ああ」
「囲碁でコンピューターがひとの上をいくにはまだ百年かかるっていわれてるよな?」
どうしてもコンビューターではひとの柔軟な思考が生かされない。
それゆえにいわれている言葉。
「俺には百年もいらない。開発のスポンサーがついた。
  いよいよつくるぞ。もう別のところでデータ入力ははじめさせた」
何よりもあのlaitoという子供…彼から送られてきたファイルは貴重。
かつて、ここにいた伊角という日本人から日本の子どもがよくsaiと打っているらしい。
ときかされた。
そのハンドルネームを聞きだして、ネットで対決したときにダメもとでいってみた。
【ありますけど…何でしってるんですか?】
あのとき、相手はネットの上でかなり警戒してきていたようだが。
日本人の伊角という子にきいた、というと納得したようでもあった。
しばらくチャットは無言であったのだが。
【…コンピューターで…あいつを…復活…あの強さ…復活させられるんですか?】
何だかそんな言葉を投げかけてきたのも事実。
【そのために俺はつくる!saiの、さらにその高みを目指すのが俺の目標なんだ!
  もし、saiの棋譜とか君がつけてたら送ってほしいんだが】
ダメモト、だった。
だがしかし、後日、ものすごいまでの量のファイルがメール添えつけとして送られてきた。
圧縮されていたファイルの中の容量はかなり膨大で。
しかも、その中には自信がsaiと打った棋譜まであったりしたのだからかなりたまげた。
そして、その中にはあの塔矢行洋との一局も。
どうしてそれほどまでに棋譜を残していたのかはわからない。
それ以後、彼に話しかけても忙しいから、と一言でかわされた。
彼はしらない。
たとえコンピュータだとしても、佐為が…佐為がいた証ができるのならば…
そうヒカルがそのときおもった、ということを。
そのとき、すでに佐為は消えていた。
彼がlaitoの名前を見つけたのはヒカルが立ち直ったその直後のこと。
伊角から中国にいってきた、と聞かされたその日のことである。
その膨大な量と、そして棋譜にのこされていた日付。
それからして…おそらく、その子供は…saiがだれだか知っている。
いまだにネット上で伝説と化している、最強の棋士、sai、の正体を……
「わかった。お前がそんなことばっかりやってるから、お前のチームは弱いんだ」
「おい!それは関係ないぞ!すくなくとも俺個人の勝率は~!」
「オレヨリ、悪いだろ?」
「ぐっ」
そんな相手の言葉におもわず言葉につまってしまう。
とはいえ事実なのだから仕方がない。
「…sai…か。もう、あらわれないのだろうか?」
あのとき、あの子供の言葉がきにかかる。
あいつを復活させられるんですか?
…と。
まるで…まるで、もう二度と会えない強さを追い求めるかのような、その発言。
不規則なまでのネットへの出現の仕方。
もしかしたら、もう、saiは……
だけどもそれは推測で。
おそらく当人にきいても言葉を濁すであろう。
というか実際に出会って話しをしてみれば詳しいこともわかるかもしれないが。
そういった機会はどうも今のところまだ、持てそうにないのだから――


「ただいま~」
「お帰り。ヒカル。手合いの通知がきてるわよ?」
「え?本当?」
九月にはいり、二学期はすでに始まっている。
学校からもどったヒカルに美津子が声をかけてくる。
「はい。これ」
母から手渡された紙にはたしかに日付がかかれている。
そこには名人戦、一時予選の組み合わせの日程と人物、そして時刻とが記載されている。
「…二週間、後、か」
塔矢明との対局は…二週間後。

「あ~ん!中間テストの順位がさがったよぉ~…」
たわいのない会話、である。
中学三年、ともなればこの会話も必然ともいえる。
「順位表、もらったの?うちのクラスはまだよ?さては担任のやつ、わすれてるなっ!」
前科があるだけにいいきれる。
「あ。アカリ。バイバイ!」
「うん。バイバイ。またね」
同級生から声をかけられて返事を返す。
と。
「あ。ヒカル!」
ふとヒカルの姿をみつけて声をかける。
「?アカリ?どうしたんだ?」
帰り道にアカリが話しかけてくるなど最近ではあまりなかったというのに。
「ううん。えっと。明日、塔矢君との対局、だよね?」
何か今日のヒカルは朝から空気が痛かった。
というのもいつも学校にいくときにはアカリとヒカルはいつも一緒に同じ中学ということもあり登校している。
それでからかいの対象にならないのは、ひとえにアカリとヒカルの性格ゆえ。
「何でしってるんだよ?」
おもわずそんなアカリにと問いかける。
「週刊碁、みたの。今週の対局予定がのってるじゃない」
「…あ~……」
いわれてみればそうである。
「対局って前日からもう緊張するものなの?ヒカル、朝から一言も話してなかったから」
たしかに一緒に登校はしたけど、何もはなさない、というのはかなり空気が痛かった。
アカリもヒカルの様子からして声をかけられる雰囲気ではなかったのでだまって一緒に登校したのだが。
「何で?」
「だって、ヒカル、朝からずっと怖い顔してるから」
「…塔矢との公式手合いって特別、なんだよ」
「・・・そっか~。一勝一敗。不戦勝、だもんね」
アカリとて明との付き合いはながい。
そもそも、ヒカル同様の長さなので二人の仲の良さはわかっているつもり、ではある。
「まあ、それもあるけど…そうだ。アカリ。ちょっと時間ない?」
何よりも佐為が消えてからアキラとまともに打つ機会、というのもはそうそうなかったのも事実である。
ネットと対面しての対局は違う。
かつて佐為がいっていたことの意味がいまのヒカルならば…わかる。
「え?な、なに!?」
「一局、うたねえか?お前とうてばピリピリした気持ちが落ち付きそうだ」
「ひ、ヒカルがうってくれればうれしいけど、私!」
いきなりいわれて多少舞い上がってしまうのは仕方ないであろう。
「よっし!じゃ、オレん家いくぞ!」
「・・・・・・・・・」
いって、すたすたと歩きだしたヒカルをふとみつめる。
いつのまに、こんなに大人っぽくなったんだろう。
とおもう。
そう、ヒカルがこの春、倒れて退院して、ヒカルはいっきに大人びてきた。
いつもそばにいるからこそ、見ているからこそわかる。
何だかおいてけぼりをくったような…そんな気分。
「アカリ?」
「ヒカル。かわったね」
「そう?」
「うん。かわった。プロが板についてきたのかなぁ?…大人っぽくなった」
他の同級生と比べても格段にヒカルは最近では落ち付き払っている。
それでも、以前のどこかほっとけない危うさはのこってはいるにはいるが。
「そっか?お前だってかわったよ?」
「ほんとう!?どこが!?」
ヒカルにそういわれるととてもうれしい。
「ん~。背が縮んだ」
・・・・・・・・
「もう!ヒカルがのびたんだよ!」
もっと、こう綺麗になったとかかわいくなったとか大人っぽくなったとかいってほしいのにっ!
ヒカルの馬鹿っ!
そうはおもうがそれを口にはだせないのがアカリである。
「ハハ。冗談だって。でもさ~。前、俺くやしかったんだぜ?お前のほうが背がたかくてさ~」
「ヒカル、小さサイころからちいさかったもん」
実際にずっとアカリがヒカルよりも背は高かった。
「それをいうなよ!まったく、お前って本当、かわんないよな」
「もう!どういう意味よっ!」
かわっていない、といわれておもわずむくれてしまうのは乙女心、というもの。
「何か話していてほっとする。っていうかさ。一緒にいて自然っていうか。
  こう本音をポンポン言い合えるやつってあんまりいないしさ」
以前には、佐為とこのようによくいいあっていたが。
アキラとも最近会えない以上、毎日のように本音を言い合える相手はヒカルにとってはアカリくらいなものである。
そしてまた、怖がりでもあるのにも関わらずヒカルの能力を理解しつつも一緒にいてくれるのも昔からアカリのみ。
それをわかっていたからこそ、アカリには佐為のことははなさなかった。
怖がらしたくなかった、というのもあるにはあるが。
最も、佐為をしればアカリの怖がりもなおってたかもなぁ~。
とおもうのもヒカルのまた本音、でもある。
「そういえば、お前、志望校、どこにしたんだ?」
「ヒカルは海王、だっけ?」
「うちの親は相変わらず私立、っていうのでいい顔はしなかったけど。
  手合い料で家計に負担かけることなく支払はできそうだし。
  それにプロになっている以上、手合いなどで融通がきく学校って他にはないし」
海王は中学、高校とも囲碁で有名な学校、である。
有名な進学校、としても有名ではあるが。
それゆえに若手のプロ棋士についてもとても寛大な処置をほどこしてくれるらしい。
「そっか。そういえば、ヒカル、中間テスト、どうだった?」
「あ~。一学期の中間はうけてないからな~。それがひびいてたな。やっぱり」
「・・・そっか……」
五月から六月にわたり入院していたのでそれはそれで仕方がないのかもしれないが。
「だけどさ。最近は辻岡さんの教えで英語も何とか形になってきたんたぜ?
  ようやく全教科をみてもそれほど差がなくなってきた感じ」
そもそも、英語のみいつも五十点以下、ぎりぎり赤テン近くであったのはヒカルくらい、であろう。
「む~。ヒカル、その人と勉強するときは私よんでくれないし~」
「・・・何かヤ、なの!」
そう。
なぜだかアカリが他の人といるのは、囲碁部の仲間や同級生、ならばまだいい。
いいが……
「変なヒカル」
「わるかったなぁ!そういうお前こそ夜、いつも勉強しにきてるだろ!?」
「だって、ヒカルと一緒にやったら伸びがいいんだもん!」
「だからって、ねまきでくんなっ!!」
いくら家が隣同士…とはいえ、である。
女の子が夜、ねまきでわからないことがあるからヒカル、教えて~、とくるのはかなりご免こうむりたい。
ヒカルとて一応は健全な男子…のつもりではあるのだから。
自分だからまだいいけど、こいつもどこか天然だからなぁ~…
そういえば、この天然差ぶりは佐為と共通するとこもあるよな。
佐為がいなくなってからそれに気づいたのも事実だが。
「は~……」
思わずヒカルが溜息をついてしまうのは仕方ないであろう。
まあ、アカリは姉の影響でそこそこ強い、というのはヒカルも嫌、というほどに身にしみてしってはいる。
いるが……
こう見えてもアカリは空手の段位をもっている。
姉のほうは全国大会にでたことがあるほどで、何でも姉妹喧嘩に負けないためにアカリもまた始めた。
ということもヒカルは知っている。
伊達に長い付き合いではないのである。
そんなたわいのない会話をしつつ、二人仲よく並んで家のほうへと歩いてゆく姿が、
すでに秋空色のこくなった空の下、みうけられてゆく――


                                -第65話へー

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あとがきもどき:
薫:ラストのほうはほんのりと恋愛色をば(笑
  いあ、後々二人、腐れ縁(まて)で結婚するし、それようの複線みたいな感じでいれてみましたv
  次回でヒカルVSアキラ、ですねv
  んではでは、また次回にてv
  んで、例のごとくに小話、をばvv


laitoとsaiの小部屋。
「うん。今日の佐為との対局。っと、あと、佐為がうった棋譜とかいうのをやって…と」
中学の大会にて棋譜のことをひとまず海王の生徒から聞くには聞いた。
日本棋院とかいうのを検索したところ、棋譜の無料ダウンロードというものをみつけた。
それを使えばたしかに打った一局がきれいに保管できるらしい、というのも。
『しかし、今は便利ですよねぇ。紙にかかなくてもいい、なんて。昔は紙も貴重品でしたのに』
なのに今では使い捨ての紙まででている世の中、である。
平安時代、そしてまた江戸時代からみてみればこんなことは夢にも思わなかった変化でもある。
「念のためにこの部屋のみにカウンタつけてはいるけど、やっぱりちまちまとしかこないね~」
『というか、ヒカルが清少納言殿達とおなじように文学をしているのには驚きましたよ』
「あはは。私のはそんな大層なものじゃないって。趣味の範囲だし」
たしかに、ヒカルは佐為と出会う前から趣味で自分のサイトをもち創作オリジナル小説のホームページをもってはいた。
ちなみに、容量を考えて無制限サイトをレンタルしているのも事実。
もっとも、有料サイトなのでデザインも自由自在、でもある。
その中のひと隅に、佐為と出会ってからの一局、一局のすべてを記載する場所を設けているのは、
ヒカルと佐為のみがしるところ、でもある。
ヒカルのサイトに来る人々は主に小説目当てであり、こちらをのぞいても、あ、趣味ではじめたんだ~
程度の人々ばかり、なので囲碁関係者の目にとまることは絶対にない。
しかも、ヒカルは自分の小説に自信がないので検索ヨケをきちんとタグにといれている。
ゆえにこそ、検索しても絶対に表示されない。
ゆえに、いくらネット上でsaiのことが騒がれて検索されまくっていてもヒカルのサイトがヒットすることは…ない。
「でもさ。佐為ってすごいんだね~」
本因坊秀策を検索してみればまあ、でてくるでてくる。
それゆえにさらに尊敬せざるをえない。
『私なんかまだまだ、ですよ。まだまだ神の一手にはほどとおい……』
そう、いわれてもヒカルにはよくわからない。
そもそも、神のいって、の重みもよくわからない。
だけども佐為がそこまで熱心にしている碁には興味を覚えているのも事実。
だからこそ必至で佐為に教えてもらってもいるのだから。
「さってと。さっきまでのはおわり。佐為。どうする?また寝る間にうつ?ネット?」
『いいんですか!?やりたいです!ぜひとも!』
きらきらきら。
碁をうつ?
といったときの佐為の表情はとても純粋に喜んでおり、みているほうですら幸せな気分に浸れてしまうほど。
…佐為に、どうにしかして自ら石をもたせて打たせてあげたいな……
そうおもうが、佐為の肉体はすでにはない。
よくテレビなどでポルターガイストとかいう現象などをきくにはきく。
さらに幽霊関係の映画などをみれば幽霊でもモノを動かせたり触れたりすることはできるらしい。
…が、佐為に挑戦してもらったが…とうの当人がよくのどおりがまったくいかないらしく、成果は・・・ない。
どうやら佐為自身には霊症をおこしうるほどの力はないのか、それともまったく別の存在、なのか・・・
気になるのは、自称、霊能力がある、といっている人々ですら…佐偽の姿は視えない、ということである。
何しろ法事などでお寺などにいっても何もいわれないのだから……
「じゃ、やってからねよっか」
そんなことをおもいつつも、再びネットをあるサイトにと接続する。
そのサイトではすでにsaiの正体はだれか!
と大騒ぎになっていることを…ヒカルも佐為も知る由もない……


のような感じでv
このお話のヒカル&佐為はあくまでもどんなに霊能力高い人物とかがそばにいても。
佐為の姿は認識できなかった、という形になっております。
いやほら、霊格たかかったり、神格たかかったりしたら確認できない、とよくききますし(まてこら
しかし、このヒカルのオリジサイトさんのこの小部屋、囲碁関係者がみつけたら…大騒ぎまちがいなし(笑
でも、ヒカルは当然そんなことをおもってもいませんよvvふふふふ♪(あやしい笑み
ではまた次回にて~♪

2008年9月17日(水)某日

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