まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。ようやくのやく、ヒカ碁の中でこれにしにはかたれない!
の塔矢名人さんの入院さんv
あ、ちなみに、ここからおもいっきりオリジナルもいいところですよ~(笑
ポイントは一緒くたになってあるいみ夫をからかう明子夫人v(まて
でも、それはたぶん次の回になるのかな?うにゅ?
何はともあれゆくのですv

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ちちち。
十段戦、五番勝負、第二局。
塔矢名人、三目半勝ち。
「…さすが、ですね。先生。しかし第一局は先生に中押しでやられてしまいましたけど」
それでも二局めはそこまでいかずにここまでねばった。
…負けはしたが。
「第三局が楽しみだよ。緒方君」
二勝している塔矢名人からすれば、あと一勝すれば十段のタイトルは維持できる。
緒方としてもいつまでも九段から十段のタイトルにのぼりたい。
「次は四月の七日、ですね」
「そうだな。次の対局地は愛媛…か」
日々、日本全国だけでなく海外にも飛び回っての対局の日々。
それでも、どこかこう満たされない。
こう、全力でうちこむような相手がいなければなおさらに。
対して息子であるアキラはその相手がいる。
ふっ。
この差は大きいな。
そんなことをおもうが、息子に素晴らしいライバルがいるということはいいこと。
おそらく近いうちに、息子と、そして彼が自分の目の前に挑戦者としてむかってくるその日が待ち遠しい。
「おつかれさまでした。塔矢先生。そして緒方先生」
対局がおわり、そんな二人にと声が投げかけられてゆく。
それは三月も終わりのある日の出来事。

星の道しるべ   ~胸騒ぎと心臓発作~

ざわざわ。
しばらくなりをひそめていたsaiの復活。
ここ数か月、まったく姿をみせなかったのに。
「…まじか?」
おもわずネット上を凝視する。
今日は三月の二十八日。
月曜日。
普通は平日、である。
にもかかわずに、昼前からsaiはネット上にと存在している。
昨日の夜も遅くまでいたらしい。
ここ数か月まったく姿をみなかった、というのに。
まるで、そう、思い出したかのように。
しかも、以前よりかなり強くなっているような気がするのは気のせいではない。
対局申込をしてみても、saiに気づいた人たちがすぐさま対局を申し込んでおり、
なかなかチャンスはめぐってきそうにない。
それでも、平日の昼間、ということもあり人数は以前よりもかなり少ない。
ゆえにこそ手合せができる。
それでも、手も足もでない、とはまさにこのこと。
三月…春休み?まさか…そんな…
平日の昼間にもはいっている、といえばどうしても自分たちが春休みなのでそう考えてしまう。
真実、春休みなのでヒカルはひさしぶりにsaiにネットで打たせているのだが。
最近、佐偽もまたヒカルに徹底的に指導をしていたこともあり、いい気晴らしになる、とのこと。
まあ、気晴らし程度でさくっと負けることとなる対戦者はかなり気のどく、といえば気のどくだが。
だが、ネットの上では顔はみえない。
指導碁を頼めばそのようにうってきて、格の違いをみせつけられる碁ではある。
「そ~だ。進藤のやつにおしえてやれ」
そんなことをおもいつつ、電話に手をかける。
和谷は知らない。
まさかこのsaiはヒカルが佐偽の指示をうけてうっている、ということを。

「ヒカル。調子はどうなの?」
「とりあえず、送られてきたテキストは全部やったよ~。ネットのほうのもやったし」
「きちんと勉強をしてくれてお母さん、嬉しいわ。しっかりと勉強しなさいね。
  成績によっておこずかいアップも考えてあげるから」
「は~い」
しかし、全国模擬テストで上位にはいってもまだ勉強、かぁ。
大人ってよくわかんないや。
それがヒカルの本音。
全国で三十番以内にはいればそれはそれでものすごいとおもうのだが。
しかも、教科別ではタンゴ状態の一位でもある科目も多数ある。
どうやら理数系で満点をとる子供は全国でもかなりいるらしい。
海外ならばトビ級、というものが存在しているが日本にはそんなものはない。
そもそも大学にいくにしても年齢制限がしっかりとある。
大学に関しては実力あるものは年齢が満たされていなくても入学を認めてもいいのではないのか。
という議題はあがるようではあるが話題にのぼるだけでまったく進まない。
まあ、今やってる場所は個人のレベルにあわせた問題がくるので、
その手の問題は大学レベルのものがヒカルには送られてきているのも事実だが。
だからこそヒカルもまたやりがいがある、というもの。
佐偽がそれをみては首をかしげまくっているのをみるのも最近のヒカルの楽しみ、ではある。
しかし、やはりどうしても英語がどうも理解がしにくい。
それでも初心者用のテキストをやりつつどうにか理解できている今日この頃。
…まあ、発音などはともかくとして。
「そういえば、母さん。高校なんだけどさ。塔矢がいうには、海王だとプロ棋士に融通きくらしいんだけど。
  他の高校だと融通きくところって他にもあるのかなぁ?」
「そういえば。平日にも対局とかあったりして学校やすまないといけないんだって?
  ほんと、何て世界なのかしら。子供から勉強の機会を奪うなんて。休むわけにはいかないの?その仕事」
「母さんだってよくよくいってるじゃん。自分のことには自分で責任をもて、って。
  そんな無責任なことをするわけにはいかないよ」
学校があるから休みます、とはいかないであろう。
「…まあ、きちんとした対局とかができない精神状態だったりしたら逆に失礼になるから休むことは可能かもしんないけど」
というか、そんなことになれば自分にも相手にも失礼にもなり納得がいかない碁となるはずである。
それよりはさくっと対局を不戦勝にしたほうがはるかによい。
「でも海王って、私立高校でしょ?かなり高いのよね~」
「だけど、他の公立高校とかだと、出席率とかの問題とかでてくるしさ~。
  それに塔矢も海王にいくらしいんだ。だめかなぁ?」
「ヒカル。うちにそんな経済的余裕があるとおもうの?」
「…おもいません……」
ぴしゃり、といいきられ、しゅんとなるしかないヒカル。
塔矢のやつがいうように、自分でブロ棋士としてかせいでいく方法しかないのかなぁ?
だけど、学費くらいかせげるかな?
プロって?
しばし、ヒカルと母親との間で高校進学に関しての話が繰り広げられてゆくのであった……


四月の六日。
水曜日。
この八日から学校が始まり、ヒカルは中学三年生となる。

何だろう。
しばらくなかった胸騒ぎ。
そんなものがふと脳裏をかすめる。
それが何なのかはヒカルにはわからない。
『ヒカル?』
「何でもない。それより今日は初手合い、相手は塔矢か~、がんばるぞ~!!」
こんな不安に襲われたときには必ず何かある。
自分、もしくは周囲、もしくは知っている人の誰か。
しかし、誰に、とまで特定できないのがたまにきず。
しかしもしわかっていたとしても、そういった力を信じていない人々に注意を促すことはまずできない。
そのことをヒカルは身にしみてよくわかっている。
そう。
かつて、祖母が身代わりになったあのときのように……
胸に湧き上がる漠然とした不安を抱きつつ、ヒカルは棋院に足を進めてゆく。
ガァッ。
『ヒカル。いったいどうしたんですか?何かこう不安な感情が私にもつたわってきてるんですけど?』
ヒカルから伝わってくる漠然とした不安。
それゆえに戸惑いつつも問いかける。
この不安はおそらく対局のことに関してのものではない。
別の何か。
でもそれが何かなのは佐偽にもわからない。
「それがさ~。よくわかんないんだよな。こういうときってあまりよくないことが起こるからな……
  周りの人に何事もなければいいけど……」
この漠然とした不安に襲われるとき、身内だけでなく世の中でも何かがおこることもある。
どうせなら何がおこるから気をつけるように、とか予知のようにしてはっきりとわかったほうが気分的にもかなりよい。
それもまあよしあし、ではあろうが……
電車にのっている間もその不安はどんどんと強くなってきていた。
時間がたつにつれてその不安は多少薄らいできてはいる。
そんな会話をしつつもエレベーターにと乗りこみ、六階にと向かうヒカルたち。
『あれ?ヒカル、あそこ』
「あれ?冴木さん?」
ふと佐偽に指摘されてみてみれば、靴箱の前にと体をもたれかけている見覚えのある姿。
「遅い」
「遅いって、まだ開始まで三十分はあるはずだけど?」
「お前の緊張をほぐしてやろうとオレがこうしてまっていてやったのによ」
幾度も和谷につれられて森下の研究会に顔をのぞけているのでどうしても面倒をみたくなる。
ましてやヒカルはどこかほっとけない何かがある。
まあ、棋力はものすごいのに知識がとぼしすぎる、というのがほっとけない理由の一つなのだが。
「オレなんか、初戦の日は緊張して早く来すぎて、始まったら始まったで緊張して石がもてなかたったんだぜ?
  まあ、進藤はどうもそういうのはなさそうだがな」
いいつつもヒカルの顔をまじまじとみる冴木の姿。
「あ、うん。まあ気合いはあるけどそういう緊張はないかな?対局相手の塔矢とはよく打ってるし」
「そっか」
そういえば、今日のヒカルの相手はあの塔矢明である。
アキラとヒカルが仲がよい、というのは彼とてしっている。
それゆえにどこか納得ができる。
まったく知らないものとの対局に対する緊張と違い、たしかに気心知れている相手とならばさほど緊張はしないであろう。
「お、冴木いるのか。今日の昼飯どうする?」
そんな会話をしていると、別の棋士らしき人が冴木に気づいて声をかけてくる。
「外でくおうぜ」
「あれ?その子、どっかでみたことあるんだけど…今年はいったやつ?」
どこかで見たことがあるような気がするのに思い出せない。
まあ、そのほうがいいのかもしれないが。
「あ、お、おはようございます!」
『おはようございます』
ヒカルの横で丁寧に挨拶している佐偽の姿がヒカルの視界にはいってくる。
「ああ。俺とは森下先生つながり。といってもこいつは先生の門下生とかじゃなくて、
  オレの弟弟子の同期生というよしみでよくつれられてきてるんだ」
あえて名前を出さないのは、ヒカルの名前は棋士仲間のうちではかなり有名になっているがゆえ。
何しろ院生ながら若獅子戦を優勝した、という実績の持ち主である。
ここで気づかれれば騒ぎになることは必然。
「へ~」
「あれ?今日は岡田のやつもいるのか。あいつもさそおうぜ」
大手合いの日、といってもプロ棋士の数はかなりとなる。
それゆえに場所などを変更しておこなわれるので常に顔見知りがいる、とは限らない。
事実、今日のこの手合い場には越智も和谷も参加してはいない。
「進藤。昼はオレたちとくう?店屋物もあるけど」
「店屋物?」
そういわれてもピンとこない。
「これが注文票。出前がたのめるんだよ」
「へ~」
みればたしかに、そこに注文票のようなものがある。
ブロ試験のときとおなじようにその横に名前をつけていく形になるらしい。
すでに何人か名前がメニューの横にとかかれている。
「あ、冴木さん、それ、いいかな?」
「あ、桜野さん。どうぞ」
「ごめんね~。今日はよろしくね。冴木さん」
「こちらこそ」
みたことのない女性がそんなことをいいつつ、名前をヒカルたちの横で書きこんでゆく。
「まあ、今日はオレたちと外でくうか」
「ん~。塔矢さそってたべるよ」
あいつ、ほっといたらご飯もたべないからな~。
よく互いに打つがゆえに相手の性格はわかっている。
「そっか。とりあえず、対局場は院生研修とおなじだけど、ちょっと違うのは。
  プロの手合いにはお茶がつく。他にコーラでもコーヒーでも好きなもの持ち込んでいいんだぜ?」
「へ~」
『ほ~。それは便利ですねぇ。ヒカル、熱中しすぎてよく喉かわかしてますし』
「たしかに。熱中してたら気づいたら喉がからから、というのよくあるもんな~」
冴木の言葉にしみじみとつぶやく佐偽におもわず同意しつつも声をだす。
冴木からすれば今の自分の説明でヒカルが独り言をいっている、としか到底みえないのだが。
「そういえばさ。冴木さんは誰とやるの?」
「さっきみただろ?女流の桜野さん。進藤、だいぶおちついてきたみたいだな。
  エレベーターからでてきたとき何ともいえない顔してたぜ?」
ヒカルがエレベーターからでてきたときには、何だか苦虫をつぶしたような顔をたしかにしていた。
それゆえに冴木は少しばかり心配していたのだが。
「え?あ、あれはちょっと、緊張とかでなくてさ~」
何といったらいいのかわからない。
そもそも説明しても理解してもらえるかどうかすらもわからない。
「?まあ、ほどよい緊張も大事だけどな。緊張がほぐれすぎても何だからおまじないをしておこう」
「?おまじない?」
『?』
そういわれて、佐偽と顔を見あわせおもいっきりシンクロしつつも同時に首をかしげるヒカルと佐偽。
「森下師匠の顔を思い出せ」
ぱっ。
【塔矢明を何とかせいっ!】
冴木の言葉とどうじ、二人の頭に浮かぶ森下の顔。
『ぷっ…ぶくくっ……』
「うわ~、たしかにものすごいプレッシャー」
それを思い出し、佐偽はおもわず笑いだし、ヒカルはヒカルで一瞬あの大声を思い出しおもわず耳をふさいでしまう。
「あはは」
そんなヒカルの姿をみて笑いだし、
「お。そろそろみんなもきはじめたな。進藤の席は…一番後ろの向こうから二つ目、だな。
  あ、岡田!今日の昼だけどさ~」
たしかにみれば次々と手合いがあるであろう棋士とおもわしき人々がぞろぞろとはいってくる。
何やら知り合いと話しはじめた冴木にお礼をいい、冴木が示した席のほうにとむかってゆく。
とりあえず自分の場所にと腰をおろす。
と。
ぞわっ。
……何これ?!
座ると同時に感じる言い知れぬ不安。
それと同時に目の前にくるはずの塔矢が何ともいえない表情をしているのがぱっと浮かぶ。
がたっ。
『ヒカル?』
朝から感じていた不安。
…塔矢がらみかっ!
今の幻で確信した。
ヒカルが何を視たのか佐偽にはわからない。
首をかしげる佐偽に説明するよりも先に、
そのまま、だっととにかく席を立ちあがり、おそらく知っているであろう事務室にとヒカルはむかってゆく。

「…あ、進藤君!」
すでに開始時間をつげる合図が手合いの場から聞こえてきている。
だけどもやはりアキラがきた気配はない。
「すいません!塔矢に…塔矢に何かあったんですか!?」
朝から感じていた言い知れぬ不安。
「知ってたの?いや、たしかに今日は塔矢君はこない。というかこれない。
  もう、さっきから大騒ぎだよ。塔矢名人が倒れられてね。救急車で運ばれたそうなんだ」
「『え!?』」
今日の手合いは進藤光と塔矢明。
それゆえに来ない相手を待ち続けているであろうヒカルに伝えるためにと、
棋院の職員の一人がふと思い出して六階にあがってきた。
それほどまでに朝から棋院は大騒動に陥っている。
それでもひとりがそのことに気づいただけましなのかもしれない。
すでに棋院の中はひっくりかえしたような大騒ぎ。
『ヒカル!?それって…!?』
佐偽も救急車、というのがどんなものかは知っている。
そもそもヒカルに取り憑いたときに真っ先にのった車がそれである。
「そ、それで!おじさんは!?どこの病院に!?というか何で!?」
「情報が錯誤しててね。とにかく、君が今日塔矢君と対局だ、と思いだして伝えにきたんだよ」
どうして倒れたのかとかいう情報も今だに錯誤しておりよくわからない。
「病院ってどこ!?どこですか!?」
「たしか、中央武蔵病院だったとおもうけど……」
「ありがとうございます!」
だっ。
「え?あ、進藤君!?」
「おれ、今からいってみますっ!」
『ヒカル!あのものは大丈夫なんですか!?倒れた、ってねえっ!!』
「いってみなきゃわかんないよっ!おばさんに電話してもおそらくつながんないだろうしっ!
  …って、中央武蔵病院、ってどこ?!…そうだ。お母さんならしってるかな?とにかく電話、電話っ!」
ばたばたばた。
とにかく分かった以上、無視はできない。
何よりも朝から感じていた不安。
その不安がどうしても頭から離れない。
最悪な結果すらもおぼえてしまうのは、かつての経験があるからこそ。
佐偽の表情もまた暗い。
焦りとも何ともいえない表情で占められている。
そのまま、手合いの場から荷物をとり、棋院の中にとある公衆電話にとヒカルは向かってゆく。
「…そういえば、進藤君って塔矢君の家の人々とも中がよかったんだったっけ?」
ならばその心配もわからなくもない。
「あ、進藤くん!何かわかったら連絡ちょうだいっ!情報は少しでもほしいからっ!」
「は~いっ!」
叫びつつも、エレベーターにて一階にヒカルはおりてゆく。
ヒカルがばたばたと出て行ったのをみて、何かがあった。
というのは理解できるが、今日の大手合いをしている棋士たちにそれを悟られるわけにはいかない。
もしも、塔矢名人が倒れた、という情報が彼らの耳にはいればそれはおそらく大騒ぎとなり対局どころではなくなる。
それは棋院とてよくわかっているのだから……

「…ええ!?本当なの!?ヒカル。わかったわ。まっときなさい。お母さんもいくから」
いきなりヒカルから電話があり、聞けばアキラの父親がたおれて救急車で運ばれた、とのこと。
それで心配なので病院にいきたいけど、場所がわからない、という連絡。
美津子とて塔矢の家族とは付き合いがある。
といってもいまだに父親という人物に出会ったことはないが。
しかし明子には何かと世話にはなっている。
電話をしてみれば、ヒカルの母も心配らしく、車でヒカルをむかえにくる、とのこと。
何ともいえない漠然とした不安。
その不安の正体…これかっ!
おもわずぎゅっと一階のロビーにてこぶしを握りしめる。
ざわざわざわ。
一階もまたすでにひっくりかえしたような大騒ぎとなっており、
人々がばたばたとエレベーターをいったりきたりしているのが目にはいる。
すでに手合いが始まっているというのにこの場にいるヒカルに対し気に留めるものは一人もいない。
それほどまでに大混乱になっているのがよくわかる。
『ヒカル…あのものは…あのものは……』
「…わかんない。…だけど、おばさんがいるんだ。めったなことはない、とおもう。…たぶん」
明子でもそれでも気付かなかったのであろうか。
明子はヒカルとちがい、かなりの霊力をもっている。
そのあたりの勘もものすごい。
だからこそ不安がよぎる。
「俺もさ~。きちんと確実にわかるほどの能力、あったら違うんだろうけどな~」
は~。
こういうとき、確実に能力がないがゆえに何もわからない自分がはがゆい。
まあ、こういうのもめったとないのだが。
何ともいえない空気がヒカルと佐偽の中を駆け巡る。
こちこちと、時間だけがしずかに経過してゆく。
「まえに…さ。似たようなことがあったんだ……」
『ヒカル?』
佐偽にもまだ話していなかった過去の出来事。
両親はまったく信じずに、そしてそのとき、ヒカルに取り憑こうとしひっぱろうとしていた悪意あるもの。
そのとき不安を感じたのはヒカルではなくてヒカルの母方の祖母。
まだ幼かったヒカルに対処する方法があるはずもなく。
生死の境をさまよい、医者ですらさじをなげた。
科学ではどうにもならないことがある。
両親はそれをかたくなにしんじなかったのだが。
そんな中で、祖母だけがそれに気づき…そして身をていしてヒカルを守った。
ある人いわく、その祖母はヒカルの守護についている、とはいわれたが。
ヒカルはだがしかしその祖母の姿を確認できたことはない。
もしかしたら自分をなぐさめるためにいってるのかも、とすらおもえてしまうほどに視えないのだから。
ヒカルから聞かされた内容は佐偽にとっても衝撃的で。
だがしかし、佐偽が生きていた時代にもよくあったことでもある。
あの時代では陰陽師、という存在が一般的にも広くしれわたり、そしてその影響力もかなりあったことから、
今の時代のようにその手の力を信じないもの、というものはまずいなかった。
あのときから、ヒカルは自分の力をコントロールしよう、と固く決意したのもあるのだ。
「ヒカル!」
「あ、お母さん!」
ぽつぽつと話しをし、しばらく無言の空気が漂う中、ふと声をかけられ顔をあげる。
どうやら時間はかなり経過していたらしく、美津子が車にのってやってきたらしい。
「とにかく、いくわよ」
「うん」
倒れた、ときいて美津子からしても黙っているわけにはいかない。
囲碁界のことについて何もしらない美津子にとって、詳しい明子はあるいみ心の支え的な存在でもあるのだ。
そんな彼女がこまっているであろうに…だまっていることができるはずもない。

「塔矢!おばさんっ!」
彼らがいるのは集中治療室の手前。
確認してみたところ、すぐに塔矢行洋がどこにいるか、というのは判明した。
何でも心臓発作をおこして倒れたらしい。
一時はかなり危険であったがいまは持ち直し、集中治療室で様子見、らしい。
それでもまだ意識はもどらないらしいが脈はどうにかしっかりとしてきた、ということらしいが。

明子から感じる強い力の残留思念。
ヒカルにすらダイレクトにつたわるほどの強い思念。
しかもあまりよくないようにと感じられる。
「…進藤?…どうして、君がここに…それに、美津子おばさんも?」
どうしてここにいるのか信じられない、という表情をして呆然とつぶやくアキラ。
そういえば、とおもう。
今日は進藤との手合いがあったんだったっけ?
父があのとき、家の中で倒れて気が動転してすっかり失念していたが。
時刻をみればいつのまにか昼近い。
ヒカルに連絡がいき、彼がここにきても何ら不思議はない時間でもある。
「明子さん、このたびは…ご主人は?」
「ええ。あとは意識が戻るのをまつだけなんですけど……」
いいつつも、ちらりとアキラにと視線をむけ、
「明さん。あなた今朝から何もたべてないでしょう?何かこれでかってきなさい。
  あ、美津子さん、すいませんけど息子をつれてってもらえますか?まだ息子の気が動転してるようですし」
「え、ええ。それはかまいませんけど。いきましょう。塔矢君」
「お母さん?」
「私の飲み物もかってきてね。はい」
たしかに二人がこの場を離れるわけにはいかないであろう。
それゆえにこくりとうなづき、素直にその言葉に従うアキラ。
普通の精神状態のアキラならばどうしてヒカルではなくその母親に頼んだのか、というのを疑問におもうであろう。
だが、今のアキラにはその余裕はない。
二人の姿がみえなくなるのを確認しつつ、
「…おばさん。何があったの?おばさんにまとわりついている残滓のせい?もしかして?」
この悪意には覚えがある。
あるがゆえに問いかけずにはいられないヒカル。
「やっぱり。進藤君には視えるのね。それがね。私にもよくわからないのよ」
明子がいうことには、塔矢邸には明子が自分なりに結界を張っているのでそうそう邪なきは入ってこれない。
しかも、いつも紐で結んでいるはずのお守りを今日にかぎって行洋はしていなかった。
行洋もいつどこで落としたのかわからない、という。
家にもどったときにはたしかにあった。
ならば家の中にあるはず、というので手わけして探していたそのさなか。
ぞくりと感じた嫌な力。
それと同時に何かが倒れる音。
あわてて駆けつけてみれば、居間にて倒れている行洋の姿。
そのそばにはすでに人の意識すらたもてなくなっている悪意ある霊の姿。
あまりに邪気のつよい気に触れた場合、ひとは時として心臓にも影響を及ぼす。
塔矢行洋がまさにそれであった。
行洋は自分では気づいていないが引き寄せる体質である。
当人は無自覚きわまりないが。
だからこそ、常に明子は行洋にお守りをいつも首からさげさせていた。
絶対に肌身はなさないように、と。
家の中ならば明子もいることもあり安心していた、というのもあるのかもしれない。
しれないが……
「とにかく、それを消し去って、あの人のもとによったら心臓発作おこしてて……」
すぐに救急車をよび、ひたすらに心臓マッサージを繰り返した。
「だけども、おかしいの。結界があるはずなのに、あんなのがはいってこれるはずも……」
そもそも、行洋は外した覚えがない、というのにお守りは寝室の枕もとに紐もきれることなく落ちていた。
まるで、そう、何かが意図してそれをはずしたかのごとくに。
それでも、行洋の魂の光が途切れたり薄くなったりしたわけではない。
それがわかるからこそまだ気丈に振るまえたのもある。
アキラのほうには大丈夫だから、と言い聞かせる以上何もできなかったが。
つまり、明子の周囲にまとわりついている残滓は明子が消した、というソレの気配なのであろう。
『命に別条はないのですか!?明子どの!?』
佐偽からすれば心配でたまらない。
佐偽はすでに肉体をもたぬ身。
それでも現世で同じ神の一手を究めようとしている彼にはすくなからず自分と同じ、という仲間意識がある。
「現世のつながりを示しているあのひとのものは、影響ないから命に別条はないはずなんだけど。
  魂もべつにどこかに飛ばされてるとかではないみたいだし」
だからこそ、棋院に連絡をいれたり関係者に連絡をいれることが明子にはできたのである。
せっぱつまった状況ではまずない、と客観的ながらに判断できたがゆえの行動。
そうでなければパニックにおちいり何も普通はできないであろう。
「…その感じ、おれにも覚えがあるから……」
「…そう」
そういえば、この子の後にいるお婆さんがそんなことをいっていたわね。
佐偽と話せないときでも、ヒカルの背後霊というか守護たる彼女とは明子は話をしている。
そのことをヒカルには話してはいないが。
能力がある者同士だから通じる会話。
おそらくこの会話を第三者がきいていてもまったくもって意味不明。
もしくは頭がおかしい?と下手をすればおもわれかねない会話である。
『では、命に別状はないのですね…よかった……』
二人の会話をきいていて何となくだが彼が命に別状はない。
というのをつかめてほっとしつつもつぶやく佐偽。
「佐偽さんにも心配をかけてしまったようでごめんなさいね。
  そういえば、今日は進藤君と明は対局だったんだっけ?ごめんなさいね。対局つぶしちゃって」
「ううん。でもおじさんが無事でよかった……」
棋院できいたときにはかなり驚いたが。
「朝から漠然とした不安があったんだけど、それが何かわからなくて。
  棋院にいって座ったときに明が視えた、んだ。それでやっとわかってさ」
「まあ、あの人もちょうどいい機会よ。少しは体をやすめないと。
  最近、本当にまったくあの人やすんでなんていないもの。
  五冠の防衛戦や対局などで日々日本全国どころか世界各国までとびまわってて。
  体だけには気をつけるように、といってもきくようなあのひとでもないしね」
碁のことになるとわが身を顧みずに没頭しちゃうし。
いたずらっぽくいってくすりと笑う明子。
それは今も昔も行洋は変わらない。
「でも、あの人のことだから、目がさめたら対局!とかいうんでしょうねぇ。は~」
『あ、でもその気持ちわかりますよ。私も石をもてなくなってものすごく焦燥感みたいなのありますし。
  今はヒカルが私とうってくれてはいますけど。やはり碁をうてない、というのはさみしいものがありますしね』
まるで、そう。
自身の存在を否定されているかのごとくに。
「佐偽さんとあの人ってほんとにたもの同士のところがあるわよね。碁打ちってみんなそうなのかしら?
  あ、そろそろ明たちがもどってきそうね。この話はここまでにしましょうか」
ふとアキラたちの気配を感じて、いたずらっぽく口元に手をあてる明子。
たしかに、アキラたちに聞かれていいような会話の内容ではない。
明子の言葉が真実である、ということを指し示すかのごとくに。
「もどりました。はい。これ、お母さん。お母さんも朝から何も口にいれてないでしょう?」
いって明がさしだしたのはゼリータイプの簡易的な栄養補給の飲み物。
それと野菜ジュース。
「あ。そういえば、棋院の人に詳しいことがわかったら連絡してくれ、ってたのまれてたんだっけ。
  ちょっと俺、電話してくる」
「ええ、おねがいね。進藤くん。あ、美津子さん、少し相談があるんですけど……」
ヒカルがその場を立ち退いたのち、しばらく美津子と会話する明子の姿がその場において見受けられてゆく。

「進藤君?じゃぁ、塔矢名人、命に別状はないんだね?」
ざわっ。
ヒカルからの連絡はいまだに情報がごったがえしている人々にはかなり朗報。
誰かが病院にかけつけなれればいけないものの、それ以上にやることは山済みである。
「ええ。あとは塔矢のおじさんの意識がもどれば問題ないらしいです」
いつもならば、塔矢名人をおじさんよばわり、とかいいたいのは山々なれどそんな余裕も人々にはない。
まだ、意識は回復してしませんけど。
という言葉をひとまず一応つけくわえておくヒカル。
意識がもどるのは遅くても医者の話では明日以降になるであろう。ということも。
「とにかく、ありがとう。対策をこれからたててみるよ。あとで棋院の人をそっちによこす。
  と奥さんにいっといて」
「あ、はい」
とりあえず、棋院に電話をいれて集中治療室の前にともどってゆくヒカルであるが。
ヒカルから連絡をうけた棋院においては、
「とにかく、今後のことを対策しなければ」
「関西棋院のほうや中央のほうに連絡は!?」
「あ、まだですっ!」
それだけではない。
海外の対局の日程もある。
まずは彼がどれくらいの期間入院するのか、というのもあるにしろ。
とりあえずここ一週間の間にある対局は…見直さなければならないであろう……

「塔矢、大丈夫?」
「あ、うん。どうにか」
とりあえず、家にアキラ一人戻すのも心配がつのっておちつかないであろう。
それもあり、明子が美津子に頼んだのはアキラをしばらく進藤邸においてあずかってもらう、ということ。
しばらく明子は病院に寝泊まりして夫の看病をするらしい。
とりあえず行洋の意識は翌日の昼間に回復した。
医者いわくしばらく養生すれば問題ない、とのことではある。
集中治療室から意識がもどったのもあり、個室にと行洋はうつっている。
しかも、ヒカルたち、普通の公立中学とはちがい、アキラが通っている中学は私立中学。
それゆえにすでに学校もはじまっている。
ヒカルの家から美津子がアキラを学校にまで送り届けるのがここ数日の日課となっている。
そして今日。
土曜日。
何でも地方で棋院主催の指導碁の仕事があるらしい。
ヒカルがやすめばいいのに、といったがそういうわけにもいかない。
身うちのことで迷惑をこれ以上かけるわけにもいかないしね。
そういいつつも、仕事にでかけていこうとするアキラにと心配そうにとといかけるヒカル。
「俺、今日学校昼までだから、あとから病院よってみるよ。それで情報連絡するから」
「うん。たのむよ。連絡先はね……」
プロとなりアキラも連絡の不備を考えて一応携帯電話をもっている。
ヒカルもそのほうがいい、と半ば強制的にとアキラに説得されてもつハメになったのはついこの間。
アキラがヒカルの家に厄介になっている間、アキラがしつこく両親を説得した結果のたまもの、ともいえなくもない。
アキラがヒカルの家に寝泊まりするようになってはや三日。
今日で四日目となる土曜日。
日帰りらしいがそれでも精神的にきついのはいわずともわかる。
それでも、仕事にいくきになったのは、父が心配しなくても仕事をまっとうしなさい。
とアキラに伝言をつたえたがゆえ。
ヒカルもまた昨日から始業式となり、今日からまともな学校が始まるのであまり自由には動けない。
そんな会話をしつつも、
「じゃ、ヒカル。お母さん、塔矢君をつれてってくるから。あなたも気をつけていきなさいよ」
「は~い」
玄関先で母親とアキラをみおくり、ヒカルもまた戸締まりをして外にとでてゆく。
「佐偽。今日、学校おわったら病院によろうな」
『はいっ!』
そんな会話をかわしつつ、ヒカルもまた葉瀬中にむかって足をむけてゆく。


                                -第55話へー

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あとがきもどき:
薫:塔矢行洋との戦いに供えて、sai、それとなくネットに復活v
  そのほうが対局のときに大騒ぎになるのは目にみえてますし(まて
  ではでは、ようやく次回、対局申込~♪
  ではでは、また次回にてv

さてさて、では例のごとくに小話をば。
ちなみに、院生になって手合いをしつつ。
その一局目の途中の昼休みの会話ですvんではいくのですv


「?塔矢君?うん、親切な子だよね~」
彼女たちというかその場にいる全員が聞きたいのはそういうことではない。
塔矢明のことをきいてみればヒカルからもどってきた返事がその一言。
てっきりかなり強いのかとおもいきや、それほどではなかったのでほっとしなくもない。
それでも、はっとする手をうってくるときはあったにはあったが。
やはりこう、まだ何かあぶなっかしさをヒカルの対戦相手は感じたのも事実。
「だけど、わざわざ連れてきてくれたんでしょ?何で?」
わくわくわく。
女の子、というものはどうしてもそういった類の噂はかなり好き。
しかもこういった閉鎖されたような環境であればなおさらに。
「それがね。うちのお母さんが相談したらしいの。
  私が囲碁やりたい、っていってもうちの親、まったも無知でもあったし。
  それでね、前塔矢君のお父さんにあって、それで連絡先とかおしえてもらってたから。
  それお母さんにいったら、お母さんが連絡とってたらしくて」
まあ、嘘ではない。
嘘では。
塔矢名人と佐偽がうったり、また石の打ち方を教えてもらった、というのをいっていないだけ。
「それまでやったことなかったの?」
「うん。うちのお爺ちゃんは興味あったみたいだけど。私はどちらかといえばお婆ちゃんいわれて、
  それ以外のことが忙しかったし。お茶とか着付けとか空手とか柔道とか」
何だかものすごく偏っているような気がするのは気のせいだろうか?
おもわずその場にいた好奇心旺盛な院生仲間たちが顔を見合す。
「このご時世だから力はつけといたほうがいいからっていろいろとならってたんだ」
「あ~、それわかる。たしかに今の世の中物騒だもんね~」
「たしかに。女の子でも身をまもる術は必要よね」
うんうんとおもわずヒカルの言葉にうなづくその場にいる女性陣。
「でも、何で興味もったの?」
「え…えっと。新しくできた友達がね。囲碁が好きで、だけどその人、自分で打つことできなくて…
  だけど口では指示できるから、それで私も覚えてその人を喜ばせてあげたくて」
それもまた嘘ではない。
人、というのが佐偽のことであり、幽霊、というのをいっていないだけ。
「塔矢君のためじゃないんだ」
「?塔矢君は関係ないよ?まあ最近よく親切にいろいろ教えてくれるから助かるけど」
どうやら口ぶりから広がっていた噂、塔矢明がライバル視してるだの、婚約者だの。
彼女だの、といったのはどうやらまがい物である、ということは何となくだが理解はできた。
「私も頑張って碁が上手になってその人を喜ばせてあげたいんだ」
そうすれば、佐偽にももっと上手な人と対局させてあげられることもあるだろうし。
だから、院生になったんだよ?
そう言葉に意味をこめてにっこりとほほ笑むヒカル。
「はは~ん。さては進藤さん、その人のこと、好きなのね?」
「え?え、えっと、それは……」
「あ~!あかくなった、あかくなったぁ~!!」
「もう!そんなのどうでもいいじゃないっ!」
「…なあ、伊角さん、何か話しについていけない、とおもうのはオレだけ?」
「いや。和谷。俺もついてけないよ。女の子って……」
そんな彼女たちの会話を横目でみつつも、何やら溜息をついている男性二人。
「ま、私は奈瀬明日美よ。明日美ってよんで。進藤さん。あ、ヒカルってよんでもいい?」
「うんっ!」
「えっと。私は内山美希っていうんだ。よろしく、進藤さん」
「こちらこそ」
「へ~、ただの噂だったわけだ。ま、僕にはどうでもいいけどね」
あの噂の塔矢明がライバルとみとめている子供がはいる、と噂であった。
だが、はいってくればよくよく何もしらないような女の子。
自分と同い年ではあるらしいが、だけども力のないものには興味がない。
「進藤さんって、師匠とかいるの?」
「ううん。いないよ?いつも家で石をならべてるの」
佐偽と。
最後の言葉は声にはださずににっこりとほほ笑み返事を返す。
しかし、それだけで院生試験に受かるであろうか?
そんな疑問を一瞬抱くものの、
「どんな棋譜ならべてるの?」
「え~と、昨日ならべたのでもいいの?」
いいつつも、さらっと昨日佐偽とうった一局をその場にある碁盤に並べてゆくヒカル。
「…え~と、棋譜みなくてもならべられるの?」
「?自分がうったんだからならべられるよ?普通そうなんでしょ?」
佐偽だって出来るっていってたし。
塔矢君もできるっていってたし。
ヒカルはそう思うが基準とする人物たちが特殊である、ということにヒカルはまったくもって気づいていない。
「…え~と、ちなみに今まで印象深かった棋譜とかある?」
「あ、あるある。えっとね~」
いいつつも、パシパシと海王中との一局をヒカルはさらり、と何もみずにと並べてゆく。
棋譜を何もみずに並べる、というのはかなり高度。
つまりそれは頭の中に棋譜がすべてはいっていることを指し示している。
「この一局、とっても石の流れが綺麗で印象ふかかったんだ~」
自分が打った、とはヒカルはいっていない。
まあ、印象深い一局だったので心にとめおいている。
そう知らないものは思うであろう。
「…これ、どこの棋譜?」
みたことすらない、とても、とても吸い込まれるような非の打ちどころがない一局である。
「え~と。前にみた中学の大会のときの」
嘘ではない。
あのとき打ったのは佐偽でありヒカルはただ変わりにうちつつ視ていただけ、なのだから。
しばし、その場にいた全員がその一局の美しさにしばし呆然となったのは…いうまでもない。


みたいな感じで~
ちなみに、海王にいってる兄がいる人にある院生の子がきいて。
それでヒカルのことがバレル、という裏設定v
ばれる、といっても怪しまれる程度ですが(笑
まあ、でもその子も小学生が参加してきてた、というのしかしらなかったのでまあまあ、なのかな?
名前まではわかってなかったので不幸中の幸い、なのかもしれません(まて
まあ、小学五年生の女の子に中学三年生の海王のメンバーが負けた。
というのはかなり屈辱ではあったでしょうしね(苦笑
さて、次回はそろそろ佐偽転生ののちの話にいくかな?
んではでは、また次回にてv

2008年9月7日(日)某日

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