まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて、今回の前振りは前回のあの夢の続きのようなものです。
目覚める直前にヒカルの心に直接、虎次郎の言葉が伝わってきた、という形になっております。
ようやくヒカルの新初段シリーズ、佐偽VS塔矢名人、です♪アニメでいけば48話ですv
何はともあれいくのですv

#########################################

彼はわがままばっかりいってきましたけど。
こと、碁のことに関してはほんと、あのかたのわがままぶりはすごいものでしたよ。
ほんと、まるで子供のような方でしたよ。
ですけど、その碁の力はまちがえようのないものでした。
さすがは碁の神、と私が信じているお方だ、と常々おもったものです。
それは今もかわらないようですけどね。
あのかたはまごうことなき囲碁の神。
私が小さなころからあのかたはずっと同じ姿で、いつのまにか私はあの方の歳をこえてしまいました。
ずっとともにいたのです。
私はですが、あのかたをおいて逝ってしまいました。
私は、彼の碁をずっとみていたかった。
そのはるかな高みをともにみたかったのですよ。
だからこそ私はすべての手合いをあの方に打ってもらったのですから。
その神の一手ともいえる局面をみたいがために。
ですが、あなたは違うのですね。
彼をみとめつつも、あなたは自分でうつことを選びました。
彼をたたえつつも、自分自身で。
私は自分が成長するより、あの方の碁をずっとみていたいのもあったのですよ。
みていてはっといつもさせられる冴えわたった局面。
あなたもそれをわかっているのでしょう?
それでもあえて、自分もうち、彼とともに高みをめざそうとし、
彼と対等になろうとしようとしているあなたの気持ちはわからなくもありません。
できうれば、次に生まれ変わるときには、あなたと、そしてあの方がともにいて、
ともに碁の世界であいまみえたいものです。
ですけど…私がこのようにいっていたのは、彼には内緒にしていてくださいね?
シンドウ・ヒカル、どの。

それは、目覚める前に聞こえた、彼からの言葉。
彼から…虎次郎からヒカルにむけたメッセージ。

星の道しるべ   ~佐偽VS塔矢行洋~

「え~、ヒカル。塔矢君のお父さんと対局することになったんだ~」
「あ、うん」
とりあえず九月の大会もおわったこともあり、放課後ひょっこりと囲碁部にひょっこりと顔をだしているヒカル。
最近では家に送られてくる通信教育の雑誌類を学校にもってきてはわからないことは先生にきく。
そのバターンとなってきているヒカルである。
「塔矢君のお父さんってたしかこの前、新聞にでてたよね。五冠達成がどうとかいってさ」
新聞にのるほどなのだからおそらくそれはすごいことなのであろう。
だがしかし、この囲碁部にいるメンバーの中でその重要性を完全に把握できているものはそうはいない。
「まあ、お前、塔矢のやつと仲いいもんな。今まで対局したこととかなかったのか?」
あきれ口調でやってきたヒカルにといかける和谷に対し、
「うん。それがさ。不思議なことにいっつもすれ違いばっかり。
  まあ、おじさんもいそがしいらしいから仕方ないのかもしれないけど」
それにしても二年、二年である。
そこまですれ違いばかり、というのも偶然、にしては出来過ぎている。
「ま、がんばれよ。ついでだしうってくか?こいつらテンデよわくてさ~」
「あはは。三谷君がつよすぎるのよ」
「あ、進藤先輩!ぜひとも一局おねがいしますっ!」
「別にいいけど。あ、起き石いくつでもおいてもいいぜ?」
「いったわねぇ!ひかる!ならものすごくおいてやるぅぅ!」
わきあいあい。
塔矢行洋との対局がきまり、しかも佐偽に打たせてやることを決めたのち。
佐偽の雰囲気がものすごく痛い。
というか怖いほどの気迫が日々漲っている。
そんなんじゃいけない、というので気分転換に佐偽をここ、葉瀬中の囲碁部にとつれてきているヒカル。
気持ちはわからなくもないが、対局はまだまだ先。
今からぴりぴりしていてもどうしようもないのだから……


コッコッコッ。
今日、すべての謎が解明するのかもしれない。
そんなことをおもいつつ、棋院の扉をくぐる。
日本棋院の一階にはロビーがあり、喫茶店もあり、さらには販売コーナーも充実している。
そこにあるバーチャル水槽は手間がかからないがゆえに水をやりかえる必要もない。
二階と三階には受付と、そして大ホール、そして一般向けの対局場。
四回には事務所があり、本日対局がある幽玄の間は五階にと存在している。
他にも五階には四つの対局場があり、それぞれの場所でタイトル戦が執り行われる。
六階にある先心の間は対局場、ともいわれ院生手合いなどといった普通の手合いやタイトル予選など。
それらが執り行われる場所でもある。
六階には対局場のほかにも五つの部屋が存在しているのであるが。
七階、八階にいたっては資料室や、また棋院主催でもある週刊碁の編集部が存在している。
また、棋士控え室なども七階に存在しており、きちんと男女別となっている。
東京以外の棋院は、関西と中部にとあり、試験をうけた場所により棋士の所属は決定される。
チッン。
そのままエレベーターにと乗りこみ目的の階、五階にとむかってゆく白いスーツに身をつつんだ男性が一人。
コツコツコツ。
がちゃ。
ドアノブにと手をかけ扉をあける。
そのままその場に一瞬固まる緒方の姿。
そこには、いるはずのない老人が一人。
「…桑原先生?」
おもわず呆然と問いかける緒方に対し、
「お?ほほ~。これはこれは。緒方くんじゃないか。ひさしぶりじゃのぉ。
  こうやって面と向かうのは本因坊戦、以来かの?あの七番勝負はたのしかったのぉ。ふぉっほっほっ」
たばこをふかせつつものんびりと振り向く桑原の姿。
がちゃ。
しばらく固まったのちにすぐさま持ち直し、そのまま扉をしめて部屋の中にとはいっていきつつ、
「勉強させていただきましたよ。あのときは」
精神面でのあるいみ攻撃。
それがきになってしまいいい一局が打てなかったのも事実である。
そのまま彼の目の前にと腰をかける。
「なかなか最近は調子がよさそうじゃの。この間は倉田君をもののの見事にまかしたそうじゃないか」
「先生は反対に今一つのようですね」
それにこたえることもなく、逆に相手にといかける。
彼は最終戦まではのこるものの挑戦者には最近なっていない。
「もう年じゃ、欲はかかんよ。まあ本因坊のタイトルだけは誰にもわたさんがの。ほっほっほっ」
その名前に思い入れがあるからなおさらに。
自分の苗字とあの伝説の棋聖の苗字が同じだとしったときのあの喜び。
だからこそこのタイトルだけはどうしても誰にもわたしたくはない。
…自分が認める人物があらわれるまでは。
「その桑原本因坊がどうしてここに?」
たばこの煙をふきつけられて、手でかるくはらいつつもどうしてここにいるのかを問いかける。
「こっちにしたまえ、緒方くん。そんなアメをしゃぶってないで」
「けっこう」
緒方が自分のタバコを取り出し火をつけようとすると、桑原が自分のタバコを差し出してくるが、
それをいともあっさりと断り自分のタバコにと日をつける。
「ほっほっほ!どうしてここにきたか、と?その言葉、そっくり君にかえそうじゃないか。
  今日はたかが新初段の対局。いくら名人がうつから、といって君ほどのものがみにくるものではない。
  通常でかんがえれば、じゃがの。じゃが、相手は若獅子戦の優勝者、それも関係してるのかの?
  やはり、この進藤とかいう小僧が囲碁界に新しい波を起こす一人なのかな?」
「進藤をご存じなんですか!?どこかで彼の碁をみたことが!?」
彼は大会、という大会にはでていないので知っているはずがない。
もっとも、緒方がつけた若獅子戦のときの棋譜をめにしていれば話しは別だが。
「ほほう!そうなのか。やはり!あやつをひとめみてピンときたわしのシックスセンスもたいしたものじゃ」
相手の反応から判断し、面白そうにいってくる桑原。
「?シックスセンス?」
意味がわからずに首をかしげる緒方に対し、
「第六感、じゃよ。あやつ、進藤とは一度すれちがっただけでな」
「すれちがっただけ?ばかばかしい!」
そんな彼の言葉を一笑にふせる。
と。
「進藤が一番手で和谷はつぎか」
「和谷。連絡きた?」
「まだ。あ~あ、オレも早くうちてぇ」
がちゃ。
扉の向こうから子供の声がきこえてきて、それと同時に扉が開く音。
それゆえに同時にそちらのほうをふりむく緒方達。
「「え!?」」
誰もいない、とおもっていたのに扉をあければそこにいるはずのない大人が二人。
それゆえに思わずその場に一瞬固まり、そして
「「こ、こんにちわっ!!」」
てんぱりつつもどうにか声をたかくして同時に叫ぶ和谷と越智。
お、緒方九段と桑原本因坊!?
な、何でこんな雲の上のトップ棋士がこんなところに!?
二人の思いはもののみごとに一致していたりするのだが。
まあそれもそのはず。
こんなところに絶対いるはずのない二人、なのだから。
「お…おい。こっちに座ろうぜ」
「なんで新初段の対局をトップ棋士が二人もみにきてるの!?」
がたっ。
まさか雲の上ともいえるトップ棋士の横に座るなどそんな精神はもちあわせていない。
それゆえに部屋の隅の席にと向かう和谷と越智。
「そりゃ、進藤に興味あるからだろ。緒方先生は若獅子戦のときなんか無理いって塔矢明との棋譜をつけたくらいだし。
  進藤を名人の研究会に誘ったこともあるんだぜ?」
「名人の研究会に!?」
部屋の隅にと座り、ぽそぽそとそんな会話をする和谷と越智。
和谷の言葉に越智からすれば驚愕せざるを得ない。
「あいつはことわったけどな。オレの先生の研究会にいくとこだったし。
  桑原先生のほうはよくわかんねぇ。やっぱり若獅子戦のこともあって桑原先生も進藤に目をつけてるのかな?」
「…進藤って、いったい……」
「オレたちの同期でライバルで仲間」
院生になった直後からかなりの棋力をもっていながらも囲碁界のことに関しては極まりなく無知であった。
何だかとっても不思議な人物。
がちゃっ。
二人がそんな会話をしている最中、がちゃりと再び扉がひらく。
みれば扉を開けてはいってきたのは塔矢明の姿。
「あ~…やっぱりきたか」
それをみておもわずぽそっとつぶやく和谷の気持ちはわからなくもないであろう。
何しろヒカルが院生のときからよくヒカル目当てに彼は立ち寄っていたのだから。
「!あれ?緒方さんに…桑原先生?」
部屋にはいってまず目についたのは、ここにいるはずのない人物が二人。
それゆえに驚いて声をだすアキラであるが。
「…こんにちわ」
「越智くん?こんにちわ」
声をかけられるまで横に別の人がいたのに気づかなかった。
それゆえに声をかけられてようやく気づき、とりあえずぺこりと頭をさげて挨拶をする。
「あれ?お前、塔矢と知り合いだったか?」
顔見知りではあったにしても、名前まで知っている間柄ではいような気がしなくもない。
「・・・・・・」
そんな和谷のセリフにはこたえない越智。
「君はたしか、名人の息子、じゃな」
「あ。はい。はじめまして。塔矢明といいます」
桑原の言葉にはっと我にともどり、ふかく頭をさげてぺこりと挨拶しているアキラの姿。
「キミも進藤のことがきになる一人か?」
「え?気になる、というか。僕は彼とは友達ですので」
まあ、たしかに気になっている、というのは間違いないが。
「ほっほっほっ!なるほどの~!やはりヤツがいってた相手は息子と小僧のことか。
  こりゃおもしろい。となるとそれもあり名人も注目しておるな!ほっほっほっ!」
「桑原先生?」
以前、塔矢行洋が語っていた台詞を思い出す。
だからこそ笑わずにはいられない。
かつて桑原と塔矢行洋との間でなされた会話をしらない緒方達はただ首をかしげるのみ。
「これは楽しみな一戦じゃの。どうじゃ?緒方くん。どっちが勝つかかけんか?」
「かけ、ですか。おもしろいですね」
「「賭けぇ!?」」
「?え?」
何やら話しがとんでもない方向にいっているような気がする。
桑原の提案におもいっきり驚いたような声をだしている和谷と越智。
そして戸惑い気味に声を発しつつも、ひとまず桑原の横にと座るアキラ。
「逆コミ五目半のハンデはつくが相手が塔矢行洋ではきびしいのぉ」
「そうですね」
「名人が御祝儀で小僧にかたせてやろう、とすれば別だが」
「やりませんね」
即答。
「やらんな。あの男は」
こちらもまた即答である。
彼らは塔矢行洋、という人物の性格を知りつくしているつもりである。
だからこそ絶対にどんな対局でも手をぬかない、というのはわかっている。
それゆえの即答。
「で、どちらにはるんですか?」
「小僧じゃ」
「穴ねらい、ですか」
「何の。勝算のないバクチはせんぞ!わしは。それとも何か?君も小僧のほうにはりたかったのかね?」
きゅっ。
じゅっ。
挑発されるようなことをいわれて、加えていたタバコをひとまず灰皿にとおしつけ、
「名人門下の私としては名人の勝ちは疑いませんよ」
いいつつも、サイフをだして机の上に一万円札をだす緒方。
「ひゃっひゃっひゃっ!」
それにつづいて桑原もまた一万円札を机の上にと無造作にとおく。
「…進藤って…何もの?」
「お…オレたちの同期で…ライバルで……」
そんなトップ棋士たちの会話をききつつも、部屋の隅で小さくなりつつつぶやくしかない越智と和谷。
まあ、気持ちはわからなくは…ない。
…進藤。
進藤が僕や緒方さんや桑原先生がみている中、お父さんと打つ。
いったいどんな碁をみせてくれるんだ?
進藤。
ようやくここまで進藤もあがってきた。
知りたい。
今の彼の本当の実力を!
そんな和谷達とは対象的にこれから画面向こうにやってくるであろう、ヒカルのことに思いをはせるアキラの姿。
三者三様。
それぞれがそれぞれの思いをかかえつつ、しばし何ともいえない空気が部屋の中にとただよってゆく……

「…あれ~?おかしいな~」
いくらシャッターを押そうとしてもうんともすんともいわない。
「?どうかしたのか?」
念のためデジタルカメラを手にしても、やはりおりないシャッター音。
何か様子がおかしいのに気づいて横にいた天野が声をかける。
「それがですね。天野さん。シャッターがおりないんですよ」
「壊れてるとかじゃないのか?」
いいつつも、天野もカメラを確認するが壊れている様子はない。
そんな光景をみつつ、
……もしかして……
佐偽。
おまえ、ぴりぴりしたその空気、カメラにも影響させてないか!?
とある可能性に思い当たり、それとなく横にいる佐偽にとといかけるヒカル。
『え?…さあ?』
対局前、棋院の前にて並んで写真をとっているヒカルと行洋。
だがしかし、肝心なカメラのシャッターがはっきりいっておりない。
ここしばらく、佐偽はかなり彼との一局に集中しているのが傍目からみていてもわかるほど。
その気迫はヒカルですら一瞬ひるむものがあるのであったのだが。
今でも静かに精神を集中し、鬼気迫るものがあるのも事実である。
霊症でそういうことが多々とおこりえることをヒカルは【能力】があるからこそ知っている。
「は~……しょ~がない……」
佐偽のやつが気づいてないんだったらこれで何とかするしかないよなぁ~。
そうおもいつつも、溜息ひとつ。
佐偽とほぼ同じ霊力が秘められている首からさげている石。
それをつかえばどうにか周囲の機器に影響を及ぼしているであろう霊力を緩和することはできるはず。
しずかにぎゅっと胸にと手をあてて精神統一。
じ~…
ヒカルがしばし精神統一をしたそのほぼ直後。
今までうんともすんともいわなかったカメラがようやく起動しはじめた音がする。
「お、なおった。何だったのかな?」
「かなり多めにとっといたほうがいいよ」
「そうですね」
そういえば、以前彼をとったときに不思議な現象が写真に写ったことを思い出す。
今回ももしかしたらその関係だったのかもしれない。
そんなことをおもいつつも、ふとヒカルをみる天野。
「そういえば、前、天野さんたちが写真とったとき、佐偽、光の柱の形でうつってたっけ?」
『…え?ヒカル。何かいいました?』
「…お前なぁ…」
横で確かに誰かと会話をしている。
しかも、感じるここちよいほどの緊迫感。
ヒカルの様子をみるかぎりそんなに緊迫した表情をしているわけではない、というのにも関わらず…である。
小声で何やら話しているヒカルを横目でみつつ、
「進藤君。今日はよろしくたのむ」
「あ、はい。こっちこそ。うけてくださりありがとうございます」
とりあえずヒカルに声をかけてくる行洋にヒカルもまたぺこりと頭をさげておく。
明子より、申し出をうける、という報告はうけている。
まさか何目のハンデ、とまではいってはいないが。
「…普通の、ではないとおもうのは私の気のせいかな?」
「…え、あ~…それは……」
悩みに悩んで十五目にしたけどなぁ。
ハンデ……
それでもコミをいれれば十目の差。
答えに詰まってしまうのは仕方がないであろう。
何しろここには、第三者もいるのだから。
「ふ。まあいい。今日はアキラもみにきている。緒方君もだ」
「緒方のおじさんも?何で?」
俺、別に佐偽に打たせるとか何もいってないけどな~。
アキラより、ネットのsaiに緒方がかなり興味をもっている、というのはきかされている。
最も、ヒカルは知らないが、佐偽はネットの中で緒方をこてんぱにあっさりと中押し負けさせているのだが。
ハンドルネームを知らない以上、そこまで詳しくわかるはずもない。
それに何よりも、ヒカルと佐偽の関係はおそらく明子以外に知るはずもないのだから。
自分に興味がある、とはおもえない。
ゆえに何でだろ?
というのがヒカルの本音。
「君を気にしていたのは何もアキラだけではない。かくいう私も同じでね。
  君はよくいえにくるのにいつも私とはすれ違ってばかり。だから今日の対局は私から指名させてもらった」
「あ、おじさんも感じてたんだ。俺も何かこう何らかの意図がどうしても感じられて……
  毎回、毎回、というのはやっぱりおかしすぎるし」
まるで、何かが佐偽と彼をひき合わせないかのようにしているかのごとくに。
「現代と過去…かぁ。そのあたりなのかなぁ?やっぱり……」
現代で最高の打ちて、といわれている人物と、過去最強、といわれているうち手。
もしかしたらそのあたりにも関係しているのかもしれない。
ぶつぶつ。
横のほうで独り言のようにヒカルがそんなことをつぶやいている。
その意味はよくわからない。
わからないが、明子に相談したことといい、この不思議な緊迫感といい……
会話をしていてもこの緊迫感を打ちだしているのはヒカルではない。
だけどもこの場にはぴりぴりとした空気がたしかにある。
つまり、それは……
「あ、進藤君。お願いだから今日の写真には前のようなのがうつらないようにしてくれよ?」
「あはは。とりあえず対策はさっきしました~。カメラがうごかなくなってたから。
  あ、すいません。少しそのカメラ、いいですか?」
以前、写真を手渡されたときに、ヒカルにその手の能力がある、ということを天野達は知っている。
それゆえにすこしばかりカメラに近づき、ちょこっと力をかぶせるヒカル。
これでおそらくは、このカメラを使ったとしても普通に映る…はずである。
ヒカルがいまやったのは、佐偽の霊力ににかよったフィルターをかけたようなもの。
それゆえにこれで写した写真は佐偽に関するものは映らなくなる。
「でも、何でいっつも佐偽のやつうつってもヒカリの塊だけなのかなぁ?」
おもわず本音がぽつりと漏れる。
サイ?
それはたしか、門下生たちが騒いでいるネット最強のうち手とかいっている人物の名前のはず。
「どう考えてもそんなに霊格高くはみえないんだけどな~……」
ぶつぶつ。
思わず素直な本音がヒカルからもれる。
佐偽をみてみれば終始無言でずっと目をつむっているのが見て取れる。
「はい。これでたぶん大丈夫だとおもいます」
「何をしたのかあえてきかないけど、ありがとう」
ぶつぶつ一人ごとをいいつつも、カメラを天野達にかえし、再び行洋の横にともどるヒカル。
おそらく聞いてもまちがいなくわからない。
ゆえにあえて深くはきかない天野達。
「はい。では改めてとりま~す。二人とも、こちらをむいてください」
パシャパシャ。
そんな会話をかわしつつも、二人の写真が数枚、雑誌や新聞に掲載されるためにと撮られてゆく。

撮影がおわり、連れだって棋院の中にとはいり、
対局の間のある五階にとそれぞれエレベーターにて進んでゆくことしばし。
スッ。
って、佐偽!
ちょっとまていっ!
確かに今日打つのはお前だけど!おまえの姿は誰にも視えてないんだぞ~!?
当然のように碁盤の前にとすわる佐偽に思わず心でおもいっきり叫ぶ。
それでも佐偽の上に座ることはできる。
できるが、ヒカルと佐偽は触れたりすることができるがゆえに、佐偽がそこにすわっている以上、
ヒカルは佐偽の膝の上にすわることとなってしまう。
ということは傍目からみればヒカルが空気座りをしているように見えるのは必然。
って、こら!佐偽!きいてるのかっ!佐偽ってばっ!!
しかしどうやら精神を統一している佐偽には聞こえていないらしい。
すでに塔矢行洋は対局する位置にと腰をおろし座っている。
幽玄の間。
本日ここで新初段シリーズの対局が執り行われる。
幽玄の間に入った直後、当然のような対局場に腰をおろしている佐偽の姿。
だから、佐偽、のけってばぁぁ!!
叫べどもどうやらヒカルの言葉すら頭にはいらないらしく精神をかなり集中しているらしい。
「ん?進藤君?どうかしたの?」
その場につったったまま座ろうとしないヒカルに気づき、首をかしげてといかける天野。
「キミ、座りなさい」
その場にいた別の人物がヒカルに座るように促してくるが。
「どうした?進藤君?」
ヒカルはたしかにそこにいるのに、感じる緊張感は目の前から。
まさか、やはり…これは…
行洋の中にある考えがゆっくりと固まってゆく。
周囲には促されるが佐偽は無反応。
集中しているのはわかる、わかるが……
…ええいっ、ままよっ!
すぱぁっん!
『ったぁぁいっ!ヒカル、いきなり何するんですかっ!?』
とりあえずまったく話しにも応じようとしない佐偽の頭をおもいっきりたたく。
その痛さにようやく我にともどりおもわず文句をいう佐偽の姿。
頭を押さえて涙をうかべて文句をいってくる姿が何とも面白い。
とはいえ今はそんな場合ではない。
「?進藤君?」
「あ、すいません。何か虫がいて」
はたからみれば何もない空間をおもいっきり手ではたいたようにしかみえない。
それゆえにどうにかごまかしの言葉をいいつつも、
とにかく!そこをのけぇぇ!
おまえの膝にすわったりしたら、はたからみたら空気座りしてるようにしかみえないしっ!
心の中でおもいっきり佐偽にと叫ぶように話しかける。
『え?あ、す、すいませんっ!!』
ささっ。
ようやくヒカルがいわんとすることを察知しあわててその場をのく佐偽であるが。
たしかに打つのは佐偽かもしれないが、第三者からしてみれば佐偽の姿は視えないのである。
ゆえにヒカルのいわんとすることは少し考えればわかること。
「あ、今座ります」
かなり緊張していたが、ヒカルの今の一発でだいぶ我にもどったのも事実。
ここにいたるまで、とりあえず棋院で塔矢行洋の棋譜はかたっぱしからヒカルとともに調べてみた。
それからヒカルが導き出したハンデが十五目。
「時間になりました。新初段の先番でコミは逆込み、五目半、です。
  持ち時間は二時間。つかいきってからは一手一分の秒読みになります」
佐偽!いくぞ!
『…はい。ヒカル、感謝しますっ!』
「おねがいします」
「…おねがいします」
どんな碁にするきだ?佐偽?
佐偽には昨日、ハンデの数を伝えている。
あれからずっと佐偽はずっと手を考えていたようであるが。
そんな思いをいだきつつも、ヒカルは碁盤の前に佐偽の代理、として座ってゆく。
佐偽が指示す場所に石を打ちこんでゆくために。

「…開始から二十分になるよ?」
「はじまってるよなぁ?」
コチコチコチ。
時間だけが静かにすぎてゆく。
すでに始まっているはずなのに、先手のはずのヒカルには何の動きもない。
対局を映し出しているモニターをみつつもおもわずつぶやきをもらす越智と和谷。
「気合がはいっとるのぉ。小僧」
「気合、ですか?」
気合だけでは片づけられないような気がひしひしとする。
それゆえに桑原の台詞につっみをいれてしまうのは仕方がない。
「では何じゃ?緊張して石がもてん、とでもいうのかの?ほっほっほっ」
緒方とて、気になっているのであろう。
普通、初手でここまで時間をかけるようなことは…まず考えられない。
「何のつもりだろう。進藤は。対局相手は前からわかっている。
  第一手目をどこから打つか普通は前もって考えておくものだ。
  この対局、持ち時間は二時間しかないのだし。こんなところで二十分もつかうなどばかげている」
テレビに映し出されたモニター画面をみつつもうなるようにつぶやく。
「うん。絶対につかわないよな」
「使わない」
緒方の台詞に同意するかのように、部屋の隅にすわっていた和谷と越智もこくこくとうなづき同意を示す。
「おかしいな。彼は父の棋譜をかたっぱしからここしばらく調べてたはずなんだけど…何かんがえてるんだろう?」
ヒカルと父、塔矢行洋の対局が決まったのは十月のはじめ。
塔矢行洋が五冠を達成した取材をうけていたときに、行洋のほうから申し出た。
塔矢行洋が取材をうけたのは十月の四日の月曜日。
そして、棋院の中で話しがまとまり、行洋の対局日の関係から、今日。
十月もおわりの日曜日。
塔矢行洋の対局日の日程からかなりはやいが十月の三十一日、日曜日。
とにかく今日のこの日に進藤光と塔矢行洋の対局はきまったのだが。
「ひゃひゃ。じゃから、何かをたくらんでおるのじゃよ。あやつはただものではないからの」
何かをたくらんでいる。
…もしかしたら…もしかしたら、だけど。
最近は進藤いわくの直感、アキラ的にはもう一人のヒカル。
そう感じてやまないあのほうで打つ気なんじゃぁ?
ならばこの時間もある程度は納得できてしまうところがある。
桑原のそのセリフにその思いがどうしても湧き出てきてとまることをしらなくなるアキラ。
しばし、何の変化もみえないモニターを凝視するアキラたちの姿がその場においてみうけられてゆく。

わかっている。
盤面で十五目以上の差をつける、というのがどれだけ無謀なことか。
ヒカルがそしてどうしてこの目差にたどりついたのかも。
おそらく本来ならば半目をしのぎ合う相手のはず。
今まで一度たりとて対局したことはないが棋譜を見る限り抱いた佐偽の感想はそうである。
すうっ。
さきほど一時ほぐれた緊張感を再び持ち直す。
『ヒカル、いきますよ。…右上隅、星!』
ぱしっ。
十五目以上の勝ちを目指すとなれば、相手を全滅させるか自分が全滅するかの局面にもってゆくしかない。
カシャカシャ。
ヒカルが一手目を打ちこんだことにより、部屋の中にシャッターの音が響き渡る。
この緊張感は…タイトル戦以上にとぎすまされた緊張感とも圧迫感ともいえないものが対面よりつたわってくる。
これは、やはり普通のハンデ、ではないな。
直感的にそう判断する。
おそらく、ヒカルは自身にふつう以上のハンデをつけてこの一局をうっている。
まだ始まったばかりなのでどれほどなのかはわからないが。
『右下隅、星』
カシャカシャ。
ヒカルの二手目とともに再び鳴り響くシャッターの音。

何なの?
何なの?これ?
記録係をひきうけたはいいものの、ありえないほどの圧迫感を感じてしまう。
空気がぴりぴりととても痛い。
気をぬけば空気に飲み込まれて気絶してしまいそうなほどの何ともいえない緊迫が部屋全体を包んでいる。
今、目の前で繰り広げられているのはたかが新初段シリーズ。
つい先月、プロ試験に合格したばかりの子どもと囲碁界のトップをゆく塔矢行洋名人との対局。
こんな緊迫感はタイトル戦の棋譜作成においても味わったことがない。
知らずと冷や汗が背中を伝う。
ちらりとみればどうやらもう一人の立会人も同じことをおもっているらしい。
みれば顔色もわるく、それでもどうにか気力でもちこたえているようである。
この場にはたしかに、えもいわれない不思議な空間というか空気がたしかに出来上がっている。
それも、今、対局している子供がすべて原因のような気がするのは気のせいなのか、はたまた偶然なのか……
ごくっ。
誰ともなくつばを飲み込む音が部屋にと響く。
それ以外は冴えわたるほどに石の音のみが大きく響く。
しいていうならば、今、この場には普通の人がいてはいけないのではないのか?
というような感覚を誰もがうけてしまう。
霊感のレの字も自覚していない人々にすらわかる気迫、というものがたしかにそこにある。
とりあえず、必要なのは初手と二手目。
写真もひとまず撮り終えた。
気になるのはきちんと撮れているかどうか、というところだが。
まあ、とれていなければまた時間をおくか、もしくはパソコン処理でもこなしてどうにかするしかない。
そのままその場にいること自体がいたたまれなくなってくる。
それゆえに、顔を見合わせ、その場をそっと立ちあがる天野達取材陣。
だがしかし、天野達はその場を離れればすむこと、かもしれないが。
残された立会人や棋譜作成の人々は、逃げることすらもままならず、
そんな緊迫した空気の中に取り残されてゆく……

「ふ~…何かものすごく疲れたな」
第一手に二十分もの長考。
かなり波乱づく目の開始ではあった。
それだけではない、あの場にいてあそこまで息苦しくかんじたことなど今までなかったこと。
それゆえに部屋をでて初めて息ができた、とばかりに大きく息を吸い込む天野。
「ええ。はじめてですよね。こんなことは」
写真係の人物も気持ちはおなじらしく、おもいっきりのびをして空気をおおきくすっている。
「ああ。タイトル戦以上の緊張感があの場に満ちてたよな」
その場にいるだけで息苦しくなるほどの圧迫感を確かに感じた。
息もできなくなほどの圧迫感。
おしつぶされてしまいそうなほどの雰囲気。
「進藤君は緊張しているようにはみえなかったんだけどね~」
だがたしかに、外からあの奇妙な違和感は感じてはいた。
霊的なものなのかな?
ふと天野はそうおもうが、霊能力がない以上、詳しくわかるはずもない。
というか説明を求めようとおもえば教えてくれるのかもしれないが、あまり聞きたくない。
というのが本音である。
もし、そうです。
とかいわれでもしたら、答えにつまる。
そんなことを記事にするわけにはいかないのだから。
そもそも、その手の記事は天野たちの専門分野ではない。
最も、その職業柄、そういったことにどうしても首をつっこまざるを得ない。
それゆえにある程度の理解あるつもりではあるのだが……
「そういえば、塔矢君がきてたな。一手目の長考の感想をきいてみるか」
息苦しい空間の中にいるよりは、検討室でみていたほうがはるかによい。
それゆえにその場をあとにして隣の部屋にとむかってゆく天野達の姿が、日本棋院の五階の廊下においてみうけられてゆく。


                                -第52話へー

Home   Top   Back    Next

#####################################

あとがきもどき:
薫:とりあえず、今回は、せっかく手にいれた設定集をつかって棋院の説明をばv(かなりまて
  勘でたぶん幽玄の間は五階としてたけどほんとに五階だったんだ(笑
  としみじみ納得してみたり。

  さてさて、今回も例にもれずに小話、いっきますv
  今回は、小学五年の冬休みの手前の会話、ですvあしからずv
  新年よりのち、ヒカルは春から院生生活をはじめますv
  ちなみに、ヒカルがプロ試験合格したのは十三の歳。
  つまりは中学一年のときにうけた試験に合格してるのです。
  十四の歳から云々、というのはプロとして活動しはじめるのが十四の歳。
  つまりは中学二年から、という意味をもっていますv


「さすがにヒカル。進研ゼミをきちんとやってるだけはあるわね」
「うん。あれわかりやすいし」
希望すれば上の学年のも送ってもらえる、というのがかなり嬉しい。
学校の授業だけではどうしてもわからないものもある。
それゆえに、ネットで検索し、個人にあわせた【ゼミ】、というものをみつけた。
小学三年からずっとやっているこの進研ゼミ。
そのせいかヒカルはかなり呑みこみがよい。
「最近は、一応英語も覚えてるし」
一応、相手が何をいってきているのか気にかかることもあるので、
きになって他の国の言葉をもネットで一応きいてみて、それなら見本をおくってみましょう。
というので今とっている教材とともに諸外国碁の初心者向けの本もまじっている。
気付けば季節はすでに十二月。
佐偽と出会ってあっというまにすでに三か月が経過していたりする。
「それでね。お母さん、私、囲碁ならってみたいんだ。
  友達がね。囲碁が好きらしいんだけど、私よく知らないし。最近がんばっておぼえてはいるんだけど」
「そういえば、ヒカル。あなたいきなり囲碁教室なんかにかよいはじめてるものね。あそこじゃだめなの?」
「何かもっと上手になりたいの。やるからには」
この子はやるからにはとことんつきつめる。
そのあたりの性格はどうやら母親譲りらしい。
それがわかっているからこそ娘の言葉に苦笑してしまう。
さすがに碁盤はかなり高い、
というのが判明したので祖父に拝み倒して倉にあった碁盤をゆずってもらおうとしたのだが、
さすがにかわいい孫娘にいわくつきの碁盤は渡せない。
そういって、少しはやいけどクリスマスプレゼント、といってこの間、
ヒカルが希望していた足つきの碁盤をかってくれた。
まあ、たかが数か月でいきなり上達していた孫娘の力をみて、買ってもいいか。
という気になったのだが。
「それでね。日本棋院とかいうところで院生とかいう碁の塾があるんだって。
  お年玉でその受験する金額払うからうけちゃだめかな?」
先日、なぜかまたまた葉瀬中の加賀にひっぱられてとある大会にでることになってしまったヒカルである。
何でも年齢制限的に今度はヒカルでも問題ない大会だからとかいうので、
半ば無理やりに。
それより前に一つ年上の子ととある碁会所で知り合っていたヒカルはその子を含めて参加することになってしまった。
今回、加賀は参加しなかったものの、筒井とヒカル、そしてその碁会所で知り合った男の子、三谷。
その三人で男女混合、団体戦にでるハメにとなってしまった。
どこから聞きつけたのか、その大会にあの塔矢明も参加してきたり、というハプニングがあったりもしたのだが。
個人戦と団体戦。
どちらにもヒカルが知らないうちに登録されていたりした、という実情がある。
小さな地区大会であったのでさほど注目はされなかった大会ではあるが、
ヒカルにとってはかなり意味のある大会でもあった。
自分が知らないうちにふつうに対局ができるようになっていた、
などとヒカルは想像もしていなかったのだから当然といえば当然なのかもしれない。
十二月の二十三日。
今日は小学校の終業式。
二学期までの通知表が手渡され、それを母親にみせつつの母子の会話。
「そうね。まあ興味があることに挑戦するのはいいことだものね。ま、いいわよ」
「ほんと!お母さん、大好き!」
「はいはい。でも、お金がかかるの?そこ?」
「この前、塔矢君にきいて一緒に説明うけにいったらいるんだって」
「そうなの」
ヒカルがアキラとの対局でヒカル自身がうって、アキラに馬鹿にしてるのか!?
といわれもしたが、何よりも。
ヒカル的には勝つつもりで打ってはなかったのだから仕方がない。
最も、今のヒカルの実力では到底アキラにはかなわないであろうが。
だって、これってかつためにうってるんじゃないんでしょ?塔矢君も?
そうきょとん、といわれて言葉につまった明の顔は佐偽ですら一瞬目が点になったほどである。
地区の小さな大会、とはいえ人数はそこそこ参加者はいた。
さすがにアキラが大会に参加することは他の子どもたちの目をつむことになる。
という父親の意見はあったものの、どうしてもアキラはヒカルとうちたかった。
そして、導きだした答えは、一般参加の対局。
大会に参加していなくても、参加者とうてる時間がその大会にはもうけられていた。
それに目をつけてアキラはヒカルと対局したのであるが……
そのときの目安が何といっても引き分けにする、という規則があった。
そんな中での対局、である。
それゆえにヒカルのいわんとすることを察してアキラはかなり歯がゆい思いをしたのだが。
しかし、どうしてもヒカルと本気の対局をしたいがゆえに、とにかくヒカルを説得しまくり、
そしてヒカルが興味を抱いていた院生のことを持ちだして、はいってみるべきだ!
とさんざんアキラもまた進めた、という内情がある。
ヒカルもその説得をきいて、それだと佐偽を満足させられてあげられるかな?
と気持ちがうごいて、こうして今、母親にお願いをしている状況なのだが。
「そうね。成績もいいから、いいわよ」
「ほんと!ありがと~!お母さん!」
とりあえずこの冬休み。
宿題をすませたのちはとにかく佐偽が満足できるくらいにネットで碁をうたせてあげよう。
そうヒカルが思っていることを、母親である美津子は知らない。
まずは棋譜がいるらしいから、あとから筒井先輩たちに相談してみよっと。
ヒカルのその決意は…初めての三めん打ち、ということに結び付いてゆくことになるのだが。
このときのヒカルはそれを知る由もない。


みたいな感じですv
佐偽の対局を数か月、さんざんみているがゆえにヒカルは知らず、知らずのうちにその手の知識がついてます(笑
また、佐偽も丁寧~にヒカルには教えてますしねぇ。
なにしろ超、初心者なのに石の流れというか棋譜のの見込みがものすごいですから、教えがいがあるので(笑
ちなみに、アキラはヒカルをどうにかしてプロ世界にひっぱりこもう、とすでに画策しております(笑
何しろヒカルの周りの祖父ですら、囲碁界のことにはあまり興味なし、ですからねぇ。
町内大会とかではまあまあ名前は知られてるらしいですけど、その程度、ですし。
両親にいたっては完全に無知。
ヒカルも無知ではありますけど、底知れない実力がある。
そうアキラ的には思っている(真実あるけど)のでかかわってしまうのですよv
しかも、女の子、とわかったいじょぅ、そうみればヒカルはかなりかわいいですしね(苦笑
何しろだまっていればかわいい、かわいいお人形さんのような子なものでv
それはアキラにもいえること(まて
何はともあれ、ではまた次回にて~♪

2008年9月4日(木)某日

Home   Top   Back    Next