まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

さてさて。今回の前振りさん。
佐偽が入水自殺したときの裏側。
つまり、実は佐偽は自殺しなくてもそのまま生きていればどうにか汚名挽回はできていた。
という裏設定なのですけど、残された人々達の様子を少しほどv
ヒカルはちなみに、空気のような存在としてその光景を客観的に見ている感覚、となっています。
いや、公式設定集さんのフクロウの話をみてから無償にこの裏設定、いれたくなって(まて
何はともあれゆくのですv
そういや、王座戦の三局目って何月なんだろう?
いや、二局めは九月のはじめ、というのは納得したんですよ。
新聞に棋譜がのってたから…はて?

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あれ?これ…あ、夢だ。
夢だ、とわかるのはよくあること。
でも、ここってどこ?
何だかまったくもってみたことのない場所である。
ふとみれば、着物らしきものをきている人々の姿が多々とみえる。
そして。
「…ご、ごめんなさいっ!」
何だか涙をぐしゃぐしゃにして謝っている小さなおかっぱ頭の女の子らしき姿が目にはいる。
どうしても、だまっていることができなかった。
あの場にてかくれんぼをしていた、というのを知られたら怒られる。
そうおもって黙っていた。
だけども、隠れていた目の前であの人物はこっそりと自分の碁笥に白石を混ぜていた。
それを見ていたのに何もいわなかったのは、ひとえに怒られるのがこわかったから。
だけども、毎日のように遊んでくれていた彼がその後、こなくなり、
聞こえてきた噂は、碁笥にまぎれていた石を自分のアゲハマとしてごまかしたことにより追放されたというもの。
それは嘘である。
遊ぶ前にあの碁笥の中は興味があって確認した。
そのとき、白の中には黒などはいっていなかった。
黒に白を入れたのは……
「ごめんなさい。父様!わたし、わたし、おこられるのがこわくてっ!だけど佐偽はわるくない、わるくないのっ!」
ざわざわ。
すでにもう職をとかれた後である。
ある程度の関係者が集まっている中での姫君の告白。
それゆえにざわめきが大きくなるのは仕方がない。
たしかに、彼がそんなことをしでかすような人物だ、とは誰もがおもっていなかった。
だけども、相手が負けたのがほかならぬ証拠!と攻め立てたとき、佐偽は何もいわなかった。
何もいわない、というのがまぎれもなく不正をした証しではないか!
とさらに一人がせめたてていたのが記憶にあたらしい。
「…彼を、ここに」
真意をどうしても確かめる必要がある。
碁笥に石をまぎれさせた現場を目撃していた小さな目撃者がでてきたのならばなおさらに。
だが、しかし……
「それが…さきほど藤原家にいきましたら…このようなものがおかれていた…と」
残されたのは一通の手紙。
そこには、命をもって身の潔白を証明いたします、とかかれている文字と。
そしていわれなき汚名とはいえこのままでは生きてゆく意味がありません、といった意味がかれている文面。
そしてまた、今まで育ててくれた藤原家にあてた感謝と謝罪の言葉が示されている。
だが、しかし、彼らが真実を知ったときにはすでに遅かった。
佐偽はそのとき、すでに入水自殺を図ったあとであったのだから。
あ、これ…佐偽がしんだときの光景?
ヒカルはまるで空気のような存在としてそんな彼らの会話や行動を客観的にみている状況。
大君、すなわち天皇の勅命をうけて佐偽の捜索にあたったものの、その後続いた大雨。
まるで、そう佐偽の無念さを指し示すかのごとくに。
佐偽の死体はその大雨によって流されてしまったのか見つけることなどはできなかった。
その後、対戦相手であった彼を問い詰めたところ、不正が実は彼がやったものであり、
佐偽には勝てない、とおもったからこそ不正を始めから思いついて石をまぜた、ということが判明した。
それでも、すでに都中には佐偽が不正を働いた、という噂はまことしやかにつたわってしまっている。
あまりにも大きな代償。
あのとき、彼を誰もが信じてはいたがもしかしたら、ともおもってしまったのも事実。
悲しみにくれる人々と、そして人々から責められて落ちぶれてゆく対局相手の姿が印象深い。
そして……
『私は…もっと碁をうっていたかった……』
佐偽の悲しみを示すかのように、佐偽が家にてうっていた碁盤。
それに染みが表れだしたのはそれからしばらくのこと…
陰陽師いわく、これには非業の死を遂げるしかすべがなかった彼の魂が宿っている。
とはいわれたが、彼らにもどうしようもできないほどの強い想いである、ということであるらしい。
碁をひたすらあいし、そして愛しているがゆえに誹謗や中傷に耐えられずに自ら命をたってしまった藤原佐偽ふじわらのさい
それでも、その名前が後世に残されることがなかったのは…人々が自分たちを恥じ、伝えるのを戸惑ったがゆえ。
そもそも、彼の死はかかわった人々全員の責任でもあったのだから……

「どうか佐偽をおねがいしますね」
キミは……
そんな光景をみている最中、ふと目の前に現れる小さな子供。
名前は相手は名乗らない。
だけども、ヒカルにはわかる。
「……虎次郎?」
そんなヒカルにこたえることもなく、にっこりと虎次郎は笑ってそのまま光の中にと消えてゆく。
それと同時にヒカルの意識もまた浮上してゆく。
あ、目がさめるんだな…
そう、漠然とヒカルは理解しつつ、意識は現実にむけて覚醒してゆく。

星の道しるべ   ~模索と結論~

「塔矢名人、五冠達成、おめでとうございます。
  しかし塔矢君もこれからどんどん忙しくなりますね。今、連勝、20だったよね?」
「はい」
王座戦を制し、塔矢行洋はタイトルを五冠所得しているタイトルホルダーにとなった。
それゆえの取材である。
「がんばってね。しかし塔矢名人も五冠となりましてさらに忙しくなりますねぇ。
  いやぁ、インタビュー、どうもありがとうございました。それでは今日はこのあたりで失礼します。では…」
忙しい中、朝も早い、というのに取材させてもらっている彼ら達。
ちなみに、この取材がおわれば塔矢行洋はまた地方へ対局のために出向いてゆくこととなる。
「天野さん」
「はい?」
立ち上がり、失礼しようとした矢先、いきなり声をかけられ思わず立ち止まる天野。
「デビュー前の新人とトップ棋士を対局させる例の……」
「新初段シリーズですか?でていただけるんですか!?」
行洋のセリフに思わず足をとめて語気も強めに弾んだ声でオウム返しにといかける。
「いやぁ、去年も一昨年も名人には多忙を理由に断られていましたらかね。実は遠慮していたんですよ。
  本当にでていただけるんですか?」
彼からそのような話題がでてくるなど夢にもおもっていなかった。
対局多忙な彼はおそらくお願してもまた断られるだろう。
誰もがそう判断していたのだからなおさら驚かずにはいられない。
「そのかわり、相手を指名させていただきたい」
つまり、それは指名した相手と対局したい、ということを指し示している。
「指名?名人が指名するほどの新人とは…ああ、もしかして進藤君ですか?」
少し考えてすぐさま一人の少年の姿が思い浮かぶ。
塔矢名人の息子の明と仲がよく、若獅子戦の優勝者であり、今年のプロ試験全勝合格した子供。
その実力はいまだに天野達には計り知れないものがある。
「ええ。彼とはなかなか都合がつきませんでしてね」
「そういえば、いつも彼が家にきたときいつもお父さん、対局とかでいませんしね」
たしかに、ヒカルの都合がつくとき、いつも彼は家にはいない。
家に帰ってきたとしてもヒカルもそんなに遅く滞在するわけにはいかずほとんどすれ違いの状態が続いている。
しかも、アキラがヒカルと知り合い、家を行き来するようになってからこれまでずっと。
まるで、そう何か得たいのしれない力が邪魔をしているかのごとくに。
「彼とは私、うってみたかったんですよ」
「なるほど。ではそのように私どもから棋院につたえましょう。
  まあ、進藤君は明君の友達ですしね。名人が気に掛けるのもわかりますよ」
「お父さん?」
父が自らうってみたい、というなどめったとないこと。
それゆえに戸惑わずにはいられないアキラ。
「いつも明に対局したときの棋譜は並べてみせてはもらっているのですけどね」
それでも、やはりヒカルには何かをたしかに感じる。
まるで、そう、ヒカルともう一人、別人がいるかのごとくに。
しばし、朝も早く、ここ塔矢邸にてそんな会話が繰り広げられてゆく――

トッン。
ごくっ。
今日は金曜日。
別に用事もないのでとりあえず、碁盤をだして佐偽と対局しているヒカルである。
その最中、ヒカルが一手をうちだすと、佐偽が盤面上の一点をその手にもっている扇で指し示してくる。
その佐偽の表情が何とも呑まれてしまうほどにとても真剣そのものでおもわずごくりと唾を飲み込みつつ、
「…な、なるほど。それで俺の反撃ふうじちゃうんだ。佐偽、お前、最近顔がこわくないか?」
最近の佐偽との対局は気のせいなのか何だか鬼気迫るものがあるような気がするのは、
おそらくヒカルの気のせいではないであろう。
『ヒカルが意地悪するからですよっ!何を隠しているんですか!?』
「だから~。新年になったらおしえてやるって。しかし、そっか~、こうくる、のかぁ~」
ヒカルがなかなか隠し事を教えてくれないからこそ手加減なく打ち込みしてしまうのは大人げないのかもしれない。
『ヒカル、最近隠し事が上手になってますしっ!』
「そりゃ、慣れればな~。この石の霊力つかえばお前に隠し事することも可能になるみたいだしさ」
たしかに、佐偽に直接に伝えることもできれば隠し事をすることも可能らしい。
さすがにもともと、佐偽が生前身につけていた石だけのことはある。
それぞれがそれぞれに感情を相手に伝えたいときにのみ伝える。
それらが可能になっている以上、便利でもありまた不便でもある。
と。
プルル…プルル…
部屋に置いてある子機と、そして一階にとある親機から鳴り響く電話の音。
「あれ?あ、そうだ。お母さん、買い物だったんだった。ちょっと休憩、な、佐偽」
いいつつも、碁盤をそのままに机の上においてある子機を手にとる。
「はい。進藤です。あ、はい。俺…いや、僕です。え?あ、はい。新初段シリーズ?
  え、はい。知ってます。はい。はい。あの、それで…相手は……ええ!?塔矢のおじさん!?」
電話の相手は棋院から。
ヒカルの新初段シリーズの対局相手が決まった、という連絡。
その言葉にヒカルの横でおもいっきり固まっている佐偽の姿にヒカルは気づかない。
【進藤く~ん、君ねぇ。まがりなりにも塔矢名人に対して……】
何やら電話の向こうからあきれたような相手の声が聞こえてくる。
世界ひろし、といえども明を基準にして塔矢行洋を呼ぶものなどまちがいなくヒカルくらいのものである。
「ほんとうに塔矢のおじさん…でなかった塔矢名人が相手なんですか!?…はい、はい。はい!もちろん!」
【じゃぁ、相手には了解とつたえておくね。次期はまあ塔矢名人も忙しいだろうから、また改めて連絡するよ】
がちゃ。
ぴっ。
電話をきり、子機をそのまま充電器の上にとおきつつ、
「佐偽!きいたか!?俺の新初段シリーズの相手、塔矢のおじさんだってさ!
  去年みたろ!?塔矢と座間王座の!あ、今は元王座、か。
  とにかく!塔矢も絶対にみにくる!よぉし!どこまで今の俺ができるか確かめるチャンスだ!」
ヒカルからしてみれば、佐偽が自分のライバル!といってはばからないアキラの父親。
その彼との対局は自分がどこまで一応棋力というか実力がついてきているのか確かめるいい機会ではある。
『ヒカル…』
「何?佐偽?」
くるりと向きをかえて、佐偽をみれば、何だかいつもの表情とはうってかわり佐偽の表情は真剣そのもの。
『私に…私にうたせてくださいっ!!!!』
「って、えええええええええええええええええ!?おまえ、なにいってんの!?
  バカいうなよ!塔矢だけじゃない、関係者もみにくるんだぜ!?
  棋譜だってまともにのこる!週刊碁にものるんだぞ!?」
そういっても佐偽の真剣な表情に変化はない。
佐偽の言葉におもわず大声をだすヒカル。
そう、棋譜だけでなく、週刊碁、さらには新聞にすら載ることをヒカルは知っている。
それに何よりも……
「それに。それに。だ。新初段シリーズは逆コミ五目半のハンデがついて新初段のほうに有利な対局だ。
  そんなんでお前がうったらおまえは圧倒的にかっちゃうだろ?お前の強さは俺がよくわかってる。
  お前だってそんな圧倒的有利な対局をしたいわけじゃないだろう!?」
佐偽の影を背負う覚悟は一応、あのことを決めたときにすでにできている。
だけどもそれとこれとは話が別。
『でも!いつもあのものとはすれちがってばかり!私はいつになったらあのものとうてるんですか!?』
「それは……だけど、だめっ!と、とにかく。今回ばかりは譲れないからなっ!」
佐偽の気持ちはわかる。
わかるけど…ああもうっ!
『ヒカルっ!!!!』
「佐偽。お前、ほんとうにどうしたの?最近お前、何かおかしいぞ?何かこう、余裕があまりない、というかさ」
最近、佐偽からあまり以前のような余裕を感じないがゆえに戸惑いながらも問いかける。
強く望めば相手の心のうちはわかる。
それゆえに相手の心の中を視ようとすれば、漠然とした不安が佐偽の心を占めているのがヒカルにも伝わってくる。
「ただいま~。ヒカル、いるの~?何かきてるわよ~」
佐偽と向かいあいながら言い合いをしている最中、玄関のほうから美津子の声が聞こえてくる。
「あ、お母さん、かえってきた。は~い、今いく。とにかく、お前だってまともな対局じゃなくなるんだ。
  だから無理、いいな!?」
佐偽がまだ何かいいたいのはわかっている。
それをあえて無視し、そのまま部屋をあとにする。
「あ、おかえり。お母さん」
「何かきてるけど、ヒカル、これ何?」
何か玄関にはいりかけたときに郵便やがもってきた。
何か封筒らしいがずっしりと重い。
「あ、この前ネットで頼んだ資料。無料の案内資料がある、ってかいてあったから頼んだんだ。
  塔矢のやつがさ。まともな対局はじまったらなかなか時間が取れないとかいってたし。
  今のうちに先に、先に勉強しとこ~とおもって。受験もあるしさ~」
「あら。ヒカルにしてはいい心がけね。通信教育か何かかしら?」
「そんなもんかな?あ、お母さん、時間あるときいいかな?
  お母さんにもみてもらいたいし。決めるにしても受講料のこともあるしさ」
「勉学に関係してることなら別にかまわないわよ。あなたのためにもなることだし。
  多少ならあなたのこの前の何とかっていう大会の優勝賞金でまかなえるしね」
金額をみたときには美津子はかなりたまげたものだが。
しかし、それでも明子に相談してみれば、あの金額はさほど高くはない、といわれもした。
金銭感覚にたまげたものの、それでもこれから先、ヒカルはかなり教育費がかかるのが目にみえていたがゆえに、
あまり金銭的余裕がない家庭からしてみればかなり助かる金額ではある。
とにかく。
佐偽。
さっきの話はきかなかったことにするからな。
『ヒカルっ!』
たしかに無理をいっているのはわかっている。
それでもなぜだろう。
彼と対局するのがもうこの先ないような気がひしひしとしてしまうこの不安は。
「まあ、ご飯の用意をしてしまうから。あなたは部屋を片づけてらっしゃい」
「は~い」
ヒカルが家にいるときはヒカルもある程度家の仕事を手伝うようにといわれている。
ヒカルの役目はお風呂のおゆとり。
そしてまた、食事の用意の手伝い。
今のご時世、男の子も料理の一つや二つ、できなければ生きていけない。
という美津子の意見でもある。
まあ、たしかに、共働きでなければ先がみえないこのご時世。
美津子がいっているのも間違っては…いないのであろう。
何か佐偽のやつ、ものすごくおちこんでるけど…仕方ないよな。
はぁ~……
だって、逆コミ、だぜ!?
たぶん、棋譜をみるかぎり、佐偽と塔矢のおじさんはほぼ互角はおそらく佐偽のほうが実力は上。
そんな中で有利すぎる対局をすれば相手にも、そして佐偽にもいい碁は打てないのは明白。
横のほうで落ち込む佐偽に対して罪悪感を感じつつ、とにかくヒカルは碁盤を片づけ、
母親の横で夕食の支度を手伝い始めてゆくのであった。

「……は~」
ずっとふさぎこみな佐偽をみていればこちらの気がめいってしまう。
あれから佐偽はずっとふさぎこんでいる。
学校でも、日常においても日々無言でいられれば、こっちがわるいことをしているような気になってしまうのは仕方がない。
気分転換をさせようとネット碁をうたせても、勝つには勝つがどうしても気が晴れないらしい。
そもそも、佐偽らしくない早碁でさくっと相手を片づけていっているのが目にあまる。
『くすん、くすん…あのものと対局……』
横をみれば泣きつかれたらしく、あれから毎日のようにダダをこねては泣きつかれ、
寝入っている佐偽の姿が目にとまる。
寝言ですらそんなことをいうほどによほど塔矢のおじさんとやりたいのかぁ。
気持ちはわからなくもないけど…だけどなぁ。
その端正な顔立ちで泣き顔をみせられればどうしても心が痛くなってしまう。
そもそも、寝姿もまるで猫のようにまるまって、顔に手をあてて涙をふくような形でねていればなおさらに。
「…しかたない、か」
ぴっ。
時刻をみればすでに夜の十一時を過ぎている。
夜遅い、というのはわかっている。
わかっているが相談できるのは一人しか思いつかない。
それゆえに、佐偽を起こさないようにペットから起き上がり、子機の受話器をとるヒカル。
そして、おもむろに、登録してあるとある番号をプッシュしてゆく。

ピルルル、ビュルルル……
「?明子?電話のようだが?」
すでにとこの用意をし、あとはもう寝るだけの状態。
それでも夜遅い、というのに息子とともに棋譜並べをしている二人にとお茶を運んでいた明子。
ふときづけばポケットの中にいれていた携帯電話が鳴っている。
「あら、本当。失礼。あなた、明さん」
着信音が鳥の音。
この設定にしている人物は一人しかいない。
「はい。もしもし。あら、進藤君。どうかしたの?」
電話をとれば、やはり電話の相手はヒカルから。
「?お母さん?進藤君からですか?僕にですか?」
【こんばんわ。おばさん、夜分おそくすいません。
  ちょっと佐偽のことで相談にのってほしいことがあるんですけど……】
佐偽が寝ているからこそできる相談。
「…ええ、あ、ちょっとまってね。いえ、違うわ。ちょっと席をはずすわね。二人とも」
どうなら何かあったらしい。
それゆえに夫や息子に聞かれないようにと場所を移す。
「?僕にではなくてお母さんに用事?何の用なんだろ?こんな時間に?」
「…たしかに、もう夜も遅いな。明。今日はここまでにしよう」
おそらく、自分たちに聞かれたくない会話。
すなわち、あちら方面のことに関する話しなのかもしれない。
明子は基本的にその方面の話を夫や息子たちにはあまり話すことはない。
かなりの実力をもっているにしても、下手に知識や興味をもって二人が危ない目にあうことを避けるための手段。
「あ、はい。お父さん、今日はどうもありがとうございました」
たしかにもう夜も遅い。
睡眠不足はかなりの大敵。
それゆえに素直に父親の言葉に従い、部屋にとアキラはもどってゆく。

「どうしたの?いったい?」
とりあえず離れにまでいき電話の続きをうける明子。
「今、佐偽はねてるんだけどさ。おばさん。あのね。俺の新初段シリーズの対局相手がおじさんにきまった。
  っていうのはきいてる?」
佐偽を起こさないように小声で電話口で話しかける。
「ええ、きいてるわ。それがどうかしたの?」
「何かさ、佐偽が自分にうたせてくれっ!てものすごくいってきてるんだ。
  だけど、あれってかなり新初段側のこちらに有利の対局だし。まともな碁にならないとおもうし。
  だけど……」
だけども、佐偽のいいたいこともわからなくもない。
塔矢の家にいったのは一度や二度ではない。
かなりの数になるというのにいつもすれ違ってばかり。
このまますれ違ってばかりでは普段対局することもおそらくままならないであろう。
しかも、ヒカルが勝ち進んでいったとしても、タイトル戦は二年がかり。
つまりは二年先まで勝ち進んでいったとしても塔矢行洋、という人物とは対局することもままならない。
近くにいながら打てない。
それは佐偽にとってどんな思いなのか何となくだがヒカルにはわかる。
佐偽が自身で碁石をもち碁をうてないのを悲しんでいるのがダイレクトにつたわってくればなおさらに。
「たしかに。何かの邪魔がはいってる、としかおもえないけど……
  たしか、逆コミ、だったかしら?なら、逆にしてしまえば?」
「逆?」
明子のいわんとすることがよくわからない。
「そう。逆。ハンデを逆にするのよ。たとえば普通ならばあの人に本来のコミのハンデがかかるのでしょう?
  それ以上のハンデを課してうてば、少しはまともな碁になれるんじゃないのかしら?」
「…あ、そっか!だけど、う~ん…どれくらいのハンデ?
  佐偽の実力から考えたら十五目くらいのハンデになっちゃうとおもうんだけど……」
それだと相手が相手である。
ひとひねりされて終わり。
そんな碁をおそらく佐偽も望んではいないであろう。
「だからね。佐偽さんにもハンデをかして、あの人にも貸すのよ。
  そうすれば互いにふつうの対局のように打てるでしょう?」
「だけど、そんなの佐偽やおじさんが承知する?」
「進藤君が佐偽さんにきいてみて、もしそれでも打つ、というんだったら、
  私からあの人にそれとなくいってみるわよ。進藤君はハンデを自身につけてうってみたいっていってたって」
そうして、それをうけるのであればあの人から連絡してもらうようにすれば問題ないでしょう?
「…だけど、おじさん、気をわるくしないかな?」
「上手にそのあたりは私も手伝うわよ。たしかに何らかの意図を私も感じてたのよね~。
  あまりにタイミングが悪いから」
佐偽が夫と打ちたがっていることは佐偽が家にくるたびに話していて明子もよく理解している。
それゆえの提案。
「まあ、とりあえず、進藤君は佐偽さんの意見をきいてみて。
  佐偽さんのあの様子からしておそらくそれでも打つ、といってくるとはおもうけどね」
「それは俺もおもうけど…むちゃな碁になろうとも、一度は手合せしてみたい、と佐偽なら絶対におもうだろうし」
ずっとそばにいるからこそ佐偽の性格はよくわかっているつもりである。
いまだにすびすびと涙をうかべたまま眠っている佐偽をみればよほど対局を望んでいるのがよくわかる。
「まあ、もう遅いし。進藤君もよく考えてみて。それじゃ」
「あ、夜おそくにごめんなさい。相談できるのおばさんしかいなくてさ」
「いいのよ。佐偽さんによろしくね。じゃ」
ぷっ。
つ~つ~。
互いに挨拶をして電話をきる。
そのまま子機をおき、窓の近くにと近づき、
「ハンデ、かぁ。…まあ、明日、佐偽にきてみるか」
いいつつも、再びペットに戻るヒカル。
新初段シリーズはヒカルにとっても重要な一局。
だけども、佐偽にも打たせてやりたい、というその思いはヒカルの優しさの表れ。
ヒカルがいま、こうしてここにいるのはいわば佐偽のおかげといっても過言でないのだから……

「明子。進藤君の電話はおわったのか?」
「ええ。明はもう寝室に?」
電話がおわりもどってみればすでに碁石は片づけられている。
碁盤も部屋の片隅においてあり、どうやら今日の練習は二人とも終わったらしい。
「あちら方面の相談、か?」
「ん~。にたようなものかしら?あなた、そういえばあなたが進藤君を相手に指名したんだったわよね?
  やっぱり毎回すれちがってばかりいた、だからかしら?」
「?明子?」
妻が何をいいたいのかが行洋にはよくわからない。
「進藤君からはその対局のことで相談をうけてたのよ」
「相談?」
「ええ、進藤君やさしいから。だけども新初段シリーズって逆コミで初心者有利の対局なんでしょう?」
「たしかに。新初段がコミで五目半ほど、先手の黒でもらえるのはかなり有利ではあるがな」
そもそも、先手じたいが有利なのである。
それにさらにコミで目数が得られるのは有利以外の何ものでもない。
「進藤君ね。自身にハンデをつけてまともに互戦のような形にしてうってみたいんだって」
嘘ではないが真実でもない。
「たしかに。いつも彼とあなたがすれ違ってばかり、というのは何か特殊な力が働いてる、としか私も思えないしね。
  毎回、くるたびにあの人、嘆いてるし」
…あの人?
どうももう一人別の誰かがいるような言い回しである。
「ハンデを?それはまた……」
「まあ、あなたがそれを受け入れなくてもどちらにしても。あの子はそれで打つでしょうけどね。
  確かに注目される一局ではあるでしょうけど。周囲がどう思うのか、とかあの子はあまり気にしないでしょうしね」
おそらくはたからみれば子供が無謀な一局を打ちだしている。
そのようにとらえられるであろう。
たしかに、ハンデを自らに課してうてば、普通の互戦のような形にはできるであろう。
しかし、そのハンデの目数によっては相手に伝わらない以上、かなり無謀な一局となる。
それをどうして明子に、妻に相談してきたのかは行洋にはわからない。
だけども、何となく勘がつげている。
ヒカルが打たせたいのは…自分と対局させたいのは……
「ほんと、進藤君、やさしすぎるのよね~。
  あのお守りがなければ進藤君、かなり危ないことになりかねないもの。最近では」
ヒカルが常に身につけているネックレスの石。
その石の霊力でヒカルの守りはどうにか保たれているのを明子は知っている。
常に霊力の高い佐偽がいるがゆえにヒカルの霊能力もまた研ぎ澄まされ、
力があるがゆえによくない霊もあまたとよってくる。
だが、それでもヒカルがそれらに気づくことなく生活できているのは一重にひかるが身につけている石の霊力ゆえ。
「お守り?」
「進藤君が常に身につけている紅い石なんだけどね。その石が彼の霊力を補佐する形でどうにか保たれてるのよ。
  進藤君、おそらく自分でも自覚してないでしょうけど、かなり霊力や零格高くなっちゃってるからねぇ」
何だか話しをはぐらかされたような気もしなくもないが、だけども明子の言葉もきにかかる。
「まあ、彼がそばにいる限り、めったなことは起こらないとはおもうけどね」
彼?
「明子?彼、とは?」
「何でもないわ。それより、もうねましょう。あなたも明日、はやいのでしょう?」
「あ、ああ」
「あなた、もしその申し出、あなたなりに受ける覚悟があるなら、進藤君のところに連絡してあげてね」
おそらく、ヒカルは相手が了解していようが、何もしらない状況でも佐偽に打たせようとするならばその方法をとらざるを得ない。
相手が知っているのと知らないのとでは対局の形にも差がでてくる。
明子はあまり囲碁のことには詳しくはない。
ないが、夫である行洋のそばに常にいればおのずとわかってくるものもある。
もしも、もしもそのことを伝えないままに一局を手合せしたとする。
ならば、進藤光の第三者からしてみる評価はかなり微妙なものになる。
そのことを行洋はわかっているはずである。
普通に考えて自らにハンデをかけて対局に臨む…などと一体誰が想像できようか。
「…ハンデ?」
そのまま布団にはいる明子の姿をながめつつ、しばし一人でつぶやく行洋の姿が、
ここ塔矢邸においてみうけられてゆく。

『…ヒカル!?今…何て……』
「だから。普通にうったら注目しまくられるけどさ。
  逆のハンデを課して打つのでよければお前にも打たせてやれることはできるけど。
  だけど、これはカケ、だぜ?塔矢のおじさんがうけてくれればそれでまともな対局になるけど。
  そうでないならばお前には不満な対局になる」
目覚めて聞かされた言葉は佐偽からすれば青天霹靂、といっても過言でない。
『かまいません!あのものと対局できるのならばっ!』
「おまえ、わかってるのか?ハンデといっても並大抵なものじゃない。
  お前の実力から考えても絶対に十目以上のハンデを化すこととなる。
  佐偽の実力はそれで外部には漏れないだろうけど、だけどいくらこっちが先手でも、
  そんなハンデをつければ普通の碁は打てない」
『かまいませんっ!それでうちます!何目でも差がはじめからあるとおもって!』
「お前、わかってるのか?相手は塔矢のおやじだぜ?相手がこの申し出をうけてくれないかぎり、
  こちらの手はかなり無理となる。いくらこっちが先手でも。だ。
  盤面でかなりの数のハンデがあるとおもってうてば無理な手が多くなる。
  ひとひねりされておしまい、だ。そんな碁でもうちたいのか?」
『やります!やらせてください!私は…私は…っ!』
ふぅ。
「そういうとおもったよ。まあ、おじさんもたぶん受けてくれるとはおもうんだけどな。
  おばさんが上手におじさんにいってくれるらしいから」
『ヒカル?』
そういわれてきょとん、とする。
先に彼に伝えている、ということを佐偽はきかされていない。
「お前がねた後でおばさんに相談したんだ。俺だってお前とおじさんの対局みてみたいのもあるしな」
佐偽が自分と実力が同等のはず。
といっている相手である。
その対局をみてみたい、とおもうのはヒカルもまた碁打ちだからゆえ。
「まあ、ハンデはこれから目数を考えるけどさ~、お前、何といってもつよすぎるしな~」
さて、どうするかな?
いいつつも、ぼすん、とベットの中にと横になる。
「ヒカル~!いつまでねてるの!用意できたの~!?」
「あ、は~い。すぐにいくっ!」
今日はとりあえず、先日取り寄せたパンフレットの中でめぼしい場所。
それらの説明会にゆく予定である。
両親も囲碁のことに関してはほとんど無関心であるがどうやら勉学に関しては別モノらしい。
説明会にいくことに関してはまったくもって文句をいわず逆に率先して早いほうがいい、ときた。
「とにかく、佐偽。そのつもりでよければ対局はお前にまかせるからなっ!」
いいつつも、あわてて用意しておいたカバンを手にとる。
すでに朝起きてすでに服は着替えて、夕べのうちに今日必要な書類などをも鞄の中にと入れている。
通信教育、とはいえやはりいって説明をきかなければわからないものもある。
ましてやヒカルの場合は科目によってその力が違い過ぎているのである。
よくよく説明を聞いておくのにこしたことはない。
相手にもハンデの数、いっとくべきなのかなぁ?
そんなことをおもいつつ、今だに信じられない、というような表情の佐偽をひきつれて、
ヒカルは一階にとおりてゆく。
今からヒカルが説明をうけにいく場所は個人にあわせた指導をする、というので有名らしいとある通信教育をしているとある塾。
その塾は普通の塾もやっており、また通信教育やネット教育すらをもやっている。
それゆえに説明をききにいくヒカルたち。
碁の勉強もおろそかにせず、さらには勉強もきちんとこなそうとするヒカルのその思いは両親は認めている。
たとえ囲碁のプロというものになったとしても、彼らからしてみれば子供の性分は勉強が主、なのだから。

ハンデ。
たしかにハンデを自身にかせば普通の互い戦のようになるのは明白。
だけども、何となくだが普通のハンデでないような気がするのは気のせいではない。
だけども、相手がわざわざ妻に相談してきた。
というのは何らかの意味を絶対にもっている。
だからこそ。
「…明子、進藤君によろしくいっといてくれ」
「はい」
「?」
出かけ際の短い言葉。
それだけで明子には通じるがアキラにはわからない。
「では、いくか。明」
「あ、はい」
どちらにしても明は棋院、そして行洋は飛行場。
二人それぞれ車も別々に家をあとにしてゆく二人の姿。

「…で、あるからして、ですね。こちらで申し込み者の能力を判断します」
レベルに応じた指導。
それをこの塾はモットーとしている。
家からめったとでることができない人に最近かなり注目をあびている。
それでも、きちんと勉強すれば有名大学すら合格できる、というのが売りとなっている。
「納得した上で、こちらに署名をおねがいいたします」
一通りの説明をうけて、保護者である美津子にと係りのものがいってくる。
わざわざ来てまで説明をうけるものはかなり珍しい。
それはつまりやる気を示しているのに他ならない。
聞けば今は中学二年であり、来年三年。
しかも来年からは何らかの個人的な事情で学校すらも休みがちになってしまう、とのこと。
聞けば囲碁のプロ試験に合格したからとか何とか。
この塾には囲碁界にはいっているものも多数存在している。
だからこそその理由はわからなくもない。
進学するにしろ、どちらにしても学校の授業にでれない、というのはかなりの不利益となる。
資格を所得しようとしているものならばなおさら不利となる。
そのための在宅でもできる塾、である。
アキラからもらったアドレスの中で一番ヒカルが興味を抱いたのがこの場所。
かなり融通がきくらしいし、何よりもメールで答案用紙などが送られてくるのがかなり嬉しい。
つまり、どこにいてもネット環境さえととのっていればどこにいても勉強することは可能、ということなのだから。
ヒカルからしてみても、何でも確定申告すら自分でやるようになる。
とはアキラから聞いている。
それゆえにそれなりの知識をもっておきたいというのがある。
何だか政府は税金を無駄遣いしまくっているような気がするのはおそらくヒカルのような子供だけではないはず。
それでなくても最近、よくわからない支出をめぐってニュース紙面がにぎわっている。
だからこそ、きちんとしておくところはしておきたい。
しばし、ヒカルもまた説明書にとくぎづけになってゆく。


                                -第51話へー

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あとがきもどき:
薫:次回でようやく新初段シリーズ、ヒカル(佐偽)vs塔矢行洋です(まて
  って、もう50…今後が怖いよぉ…あうっ(汗
  まあ、これがおわればさくさくいく…かな?
  さてさて、では例のごとくに小話、いっきますv
  今回は、ネット碁の開始さんなのですvふふふふふ♪42話の小話しの続きみたいなものですv


『ヒカル。今何ていいました!?』
聞き間違いかとおもったがゆえに再度かさねて問いかける。
「ま、みててって。これで佐偽が自由にうてるようになるから」
先日というか昨日、アカリとともにいった囲碁の大会。
そこではプロの対局が実況を交えて説明されており、
ヒカルはたまたまそのロビーにてネットでうてる碁というものを知った。
自分の部屋にパソコンはある。
それゆえに別にさほど問題はない。
「佐偽。うちながら私にも教えてね」
佐偽が興味をもっている碁、というのもは何となくだけど面白いような気がひしひしとする。
一つ上だというあの子もまたものすごく真剣な表情をしていた。
佐偽をみてみても何だかとても真剣な顔をしていたので自分も覚えて佐偽に喜んでほしい。
そんな思いがヒカルの中にはある。
院生、という言葉をもきくにはきいたが、何でも試験をうけるのにお金がかかるらしい。
普通の塾などならいざしらず、これ以上習い事で親にお金をだしてもらうのはかなり気がひける。
それゆえに受けるにしてもお年玉が手にはいってから、とおもっているヒカルなのだが。
「名前は…sai…っと。さ、佐偽。対局したい人を指し示してね♪」
先日の大会で石の流れをつかむ、という意味が何となくだがわかった。
まるで宇宙の星々の誕生と、そして消滅。
それらを局面でなしとげるかのような、そんな不思議な感覚。
ヒカルとて星空というか宇宙空間にはものすごく興味がある。
そもそも、昔から伊達に空想小説などを書いているわけではない。
ヒカルのことをよく知る友達などは、ヒカルは夢見がち、というがまさにその通り、であろう。
神話などといった内容もヒカルは普通の人よりかなり詳しい。
まあ、聖書に関してはかなり突っ込みどころが満載なのでヒカル的には好きなはなれないが。
それでも一応は、旧約、新約聖書ともヒカルは閲覧したことはある。
伊達に趣味に読書や創作文といったものをもっているわけではない。
『ヒカル、ヒカル、本当にうてるんですか!?ねえねえ!?』
「うん。昨日おしえてもらったでしょ?この中のリストの名前の中から対局したい人を選んで申し込んで。
  それで、相手が了解したらいつでも対局可能らしいよ。顔も姿もみえないけど。
  盤面しかこれには示されないし」
チャットなどはとりあえず無視すれば問題ないはずである。
『では、まずこの人からおねがいします』
「は~い。じゃ、いこっか。佐偽」
『はいっ!!』
視ていてとても満面の笑みを浮かべてしっぽでもあればはちきれんほどに振っているであろう。
そこまでの笑みを浮かべられればヒカルとしても満たされる。
少し優しく微笑む佐偽も綺麗だが、このような全身で喜びを表現する佐偽もまた違う意味でかわいい、ともおもう。
何しろこの佐偽。
その容姿端麗差からは信じられないほどに現代のことに疎い。
喜怒哀楽がとても激しい。
ほとんど驚く表情ばかりをしている佐偽をみていてはっきりいってまったくあきることはない。
ヒカルは今だによく囲碁のことは詳しくない。
それでも佐偽に教えられてとりあえず最近は基本くらいは頭にはいってきている状況。
ヒカルは知らないが、一般的に囲碁の棋力を高めようとするならば、
強いものといく度も対局をこなすか、より高い棋譜を幾度もみたり並べたりすること。
それらが主に一般的、とされている。
ヒカルは知らないままに、より高みにと向かう佐偽の片棒を担ぐことになり、
そしてまた、このネットの対局にヒカルにしらずしらずに棋力を養わせてゆくことになる。
そのことを今のヒカルはまったくもって知る由もない。
そしてまた、今、ここにネット上にて新たな伝説が始まりをみせてゆく、ということも……
ネットに蘇る、本因坊秀策。
それが意味することを…ヒカルはよく理解していないのだから。


みたいな感じでv
小学のときに参加した中学囲碁大会。
それがおわったのちの日曜日。
筒井につれられてとあるトーナメントの大会を見学にいったヒカルですけど。
そこにてネット碁のことを知り、翌日からsaiに自室のネットでうたせてあげていたりします(まて
でも小学生なので時間は限られてはいますけどねぇ。
まあ、両親もヒカルがへんなところを見たりしない、と信じているのでさほどあまり口をだしてきません。
まあ、ヒカルの母親はネットに疎い、という設定なので仕方ないにしても(こらこら
ちなみに、うちもそんな感じです。
というか資料とかいつも私につくって~、といってきます。
…ま、いいけどね…別に……
時間別にばらけてかいてたら自分でもどこにどの小話しいれたかわからなくなってきた(こらこら
…今度、別に小話のみ、メモ帳にでもまとめとくか…同じネタがだぶらないように(かなりまて
ではでは、また次回にて~♪

2008年9月3日(水)某日

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