まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて、佐偽が消える前に秀作ゆかりの地めぐり~♪
これは絶対にいれたかったものなのでvふふふふv
一度いっとけば二度めは楽、というのもあるのですが(こらまてや
何はともあれ、今回もまたまた話しがすすんでいませんが、何はともあれゆくのですv
※賞金額は予測というかそもそも、棋院そのものには若獅子戦、というものが実際にはないのもあり、
勝手に金額設定しております。あしからず……
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「何だってこう騒がしいのかなぁ?」
「お前、自覚皆無、だろ?」
まさか学校まで記者などが押しかけてくるとはおもわなかった。
何だか門の前に数名の記者が張り付いているらしい、とはタマコ談。
時間があいたら送ってくれる、というのでひとまず理科室に避難しているヒカルであるが。
若獅子戦が終了し、週があけての六月七日の月曜日。
何やら朝から学校周囲どころか自宅周辺も騒がしい。
おもわず避難してきたヒカルにあきれた口調でいっている三谷。
「まあな~。というか、まさかおもしろい快挙やるとはおもわなかったぜ。やるな!進藤!」
ばんっ!
「ってぇ!加賀!いきなりたたくなよっ!」
何でも担任すらも翻弄気味になっているらしい。
まあ、たしかにプロにもなっていない院生が並みいるプロ棋士をけちらしての優勝を遂げたのである。
最近はあまりいいニュースがなかったマスコミなどがこれ幸いととびつかないわけがない。
「だけど、絶対に大会ではプロの人たち手加減してたはずだよ?手ごたえなかったもん」
「「だから、お前無自覚すぎ」」
きっぱりはっきりいいきる台詞に思わず声を一致させる三谷と加賀。
この場においては、ヒカルの意見よりもあきらかに三谷達の意見のほうが正しい、といえるだろう……
星の道しるべ ~本因坊秀策・所縁の地~
「いわれてもよくわからないのですけど……」
取材にきた記者に対して困惑気味。
そもそも彼女は何も知らない。
それゆえに別に囲碁の関係者でない普通の記者などはこれはあまり聞いてもラチがあかない。
そう判断し次々と帰っていっていたりする。
普通は親ならば子供を褒めまくるのが常であろうが、この家族にはそれがない。
それどころか大会で息子さんが優勝された感想は?!
とかきいても、首をかしげるばかり、なのである。
それでは面白い記事にはできない。
ふぅ。
ガチャ。
ようやく家の前にいた記者たちがいなくなり、ほっと一息ついて電話に手をとる。
「あ、明子さん?美津子です。…え、ええ。…そうなんですか?」
とりあえず、昨日、騒ぎになるだろうから覚悟しておいたほうがいいかもしれません。
とは連絡はあった。
その騒ぎの意味がよく美津子からすればわからなかったのだが。
ようやく記者たちが全員かえり、ほっとひといきついて電話をとった。
「まあ、今まで院生が優勝、というのはありませんでしたからね。
しかし美津子さん、本当に囲碁界のことには詳しくないんですね」
電話の向こうから聞こえてくる声。
「そもそも息子がどうして興味をもったのかもよくわかってないですし……」
ヒカルの友達という塔矢明君の父親。
つまり電話相手の夫はその筋では有名人、ではあるらしいが。
まあ、霊能力云々に理解のない両親にいっても信じてもらえない、というのがあるだろうから進藤君もいってないんでしょうけど。
電話のむこうでそんなことを思う明子。
ヒカルが囲碁を始めたのは彼に指導霊として憑いた佐偽の影響である、と明子は理解している。
囲碁を教えるための指導霊、など聞いたことはないが。
何かがこの世界に起こる前触れなのは確か、なのであろう。
「まあ、何かありましたら遠慮なく連絡してきてくださいな」
「ええ。すいません」
そんな会話をかわしつつも電話をきる。
いったい、自分の周りに何がおこっているのだろう?
そんなことをおもうが、いまだに美津子はよく理解していない。
「何かつかれた~!」
思わず愚痴をいってしまうのは仕方ないであろう。
六月の第二土曜日の院生手合い日。
「まあ、しょうがないんじゃないのか?お前優勝したんだし。それより、進藤!今日の帰り、何かおごれよ!?」
「って、何でそんな話になるわけ!?」
院生研修日であるがゆえに棋院にでむいたところ、いきなり他の院生や関係者たちにと取り囲まれた。
ようやく解放されてすでに何だかとても疲れているような気がするのはおそらくヒカルの気のせいではない。
「おまえ、篠田先生から振込報告用紙、もらったんだろ?」
何でも若獅子戦の賞金とかいう明細がはいっているという封筒はたしかにもらった。
だが、それがいったい何だ、というのだろう。
「もらったけど、中みてないよ?通帳は俺、もってないし」
そもそもカードをもっていれば出し入れ自由であろうが、ヒカルはそんなものはもっていない。
すべては母親が管理している。
は~……
ヒカルのその台詞にその場にいた院生の誰もが思わずため息をついてしまう。
「あのな。若獅子戦は一応はそれなりの有名な大会でもあるんだ。
それゆえに優勝賞金も並みじゃない。現金でもらってないから実感わかないだろうけど。
二百万あるんだぜ!?」
「に…二百!?二千円の間違いなんじゃないの!?」
がくっ。
「あ~…こほん。進藤君。君の場合はどうも基本から教えたほうがよさそうだねぇ。
今日、対局おわったら少しのこりなさい……」
どうしてあそこまで打てるのにそういった知識が皆無、なのであろう。
それゆえに溜息をつかさざるを得ない篠田。
みればその場にいる院生たちもまた呆れたようにヒカルをみている。
「おっと。そろそろ時間になりますね。はい。みなさん、用意がすんだらそれぞれ席について対局を始めてください!」
ふと気付けばいつのまにか開始時間はとっくに過ぎている。
それゆえに院生の生徒たちを促す篠田。
先日の若獅子戦。
院生が優勝した、というので院生の中ではかなり熱気が高まっている。
それはそうであろう。
今まで並みいるプロをおしのけて院生が優勝した、などと棋院、否、若獅子戦が始まって以降、
一度もなかった快挙、なのだから――
「つかれた~」
というかいろいろ聞いたけどほとんど頭にはいっていない、というのが事実。
『ヒカル、途中で居眠りしてたでしょ?』
ぐっ。
佐偽は興味があったのでひたすらに相手の説明を熱心に聞いていたがふときづけばヒカルはうとうとと居眠りをしていた。
とりあえず、篠田による試合などによる賞金やそれにともなうさまざまな賞など。
全部が全部ではないが一応、ヒカルにと説明した篠田。
一日やそこらで全部教えられるほどにそれほど囲碁界における予備知識は軽いものではない。
「そもそもさ。棋譜を暗記して棋力云々、とかお前いうけど。囲碁はそんな簡単なものでもないし。
というかよくもまあそこまで無知でそこまでうてる、というのが素直な感想、だな」
うんうん。
ズルズルズル……
結局のところ、おごるといっても手にしているお金はそれほどない。
それゆえにラーメンを奢る、というので話がまとまったヒカルたち。
今、この場にいるのは、ヒカルと和谷、そして福井と伊角、そして奈瀬の五人。
佐偽を含めれば計、六人となる。
和谷の言葉にしみじみうなづく伊角達。
「私も最近は親に頼んでパソコンかったし。ネット碁、はじめたわよ?たしかに実力はつくわね。あれ」
「チャットを利用すれば語学の勉強にもなるしね」
「面倒だからチャットはしないな~。知りあいとはするけど。話しかけられてもさくっと無視するし。
いちいち翻訳サイトで調べて返事をする、ってめんどくさいし」
棋院近くにとあるラーメン屋。
そこに手合いがおわりやってきているヒカルたち。
「そういやさ。来月からプロ試験予選らしいけど。その間は院生の手合い、ないんだっけ?」
確か去年は平日にあったような気もしなくもない。
それでもヒカルが院生になったのは去年の八月から。
七月のことはよくわかっていないのも事実。
「七月中は手合いはお休み、だよ。八月からはあるけど」
「そっか。ならやっぱりやってみようかな~」
「?何を?」
「いや、今年の夏休みの自由研究、今考えてるんだけどさ~。去年は時代における定石の変化とかやったし」
「おま、そんなことしたんだ……」
というかあきれるというしかない。
「でも、進藤君?時代における定石の変化、っていつごろからの?」
「えっと、平安時代から江戸時代、現代にかけての変化の軌跡?」
すべては佐偽の知識によって作成したのだが。
もっとも、そんなものを提出されても囲碁のことにはまるきり無知の学校からすれば、
こってる自由研究、としかとらえずにそれほど重要視はしていない。
「でもさ。よく平安時代の定石とかわかったよね」
「まあ、それはいろいろと……」
まさか佐偽にききました、とはいえるわけがない。
「自由研究、かぁ。たしかに夏休みの宿題の中で一番ネック、よね。進藤君は何をするの?」
奈瀬の問いかけに、
「今おもってるのは、母さんたちの許可もらえたら、本因坊秀作のゆかりの地めぐりマップ作成しよ~かと」
『ヒカル?』
だってさ。
お前、虎次郎と生涯、一緒にいたのに墓参り、とか一度もいけてないんだろう?
おそらく佐偽は碁盤に取り憑いていた以上、お墓とかにはいけていないはずである。
お前だってさ、気になってるんじゃないのか?
『それはそうですけど、ですけどいいんですか?』
俺も気になってるし、気にしない、気にしない。
「まあ、許可がでたら、の話だけど」
ヒカルの言葉に。
「お、それ面白そう!進藤!その話、おれにも話しかませろ!それだと自由研究ひとつこなせるし!
あ、私も、私も~、ねえねえ。裕子もさそってもいいかな?」
「子供だけで旅行は無理がないかなぁ?」
しかも年頃の男女、である。
「というか、夏休みだったら早くホテルとか予約しないと一杯になっちゃうよ?」
「因島、だっけ?虎次郎の誕生地?」
『ええ。なつかしいですね。あの小さな島からすべてははじまったのですから』
虎次郎が誕生したのは、広島県の東南部。
瀬戸内海のほぼ中央に位置している因島、とよばれている小島らしい。
「お前、ほんとうに第十四世本因坊跡目、好きだよな」
江戸時代末期に活躍し、近代布石の定石の基礎を気づき、現在においても並ぶものはいない。
とまでいわれている伝説の棋聖。
広島県、尾道市因島外浦町出身、と史実ではいわれている。
「俺も秀作は好きだけど、まだいったことはないんだよな。進藤、いくならさそってくれよ?
何しろあそこ【生家跡にある本因坊秀策碑】にお参りしたら半目つよくなる!とかわいれてるし!」
「?そうなの?」
佐偽?
『さあ?私はそもそも虎次郎の実家にそんな所以があるなどときいたこともありませんけど。
そもそも、彼の本当の家族はほとんどあまり囲碁なんてたしなみませんでしたし』
「でもさ。秀策もあれ、よね。コレラに感染した人達を率先して看病して…
彼以外の感染した死亡者が、本因坊家からでなかったのは彼の看病があったからこそ、といわれてるものね」
『虎次郎はとても優しい子でしたからね。本当に……』
何よりも人のことを思っていた。
佐偽が心配している中でも大丈夫、こまっている人をほうってはおけないでしょう?
そういっては微笑んで…そして、血を吐き、佐偽に済まない、といいのこしてこの世を去った。
そんな佐偽の感情がダイレクトにヒカルにも流れ込んでくる。
先日、不思議な少女から紅い石をネックレスとして受け取ったあのときから。
佐偽とのつながりを今まで以上に感じているヒカルたち。
それは佐偽においてもいえること。
強く思えばおもうほどにその感情は相手に直接にと流れ込む。
「だから、なのかな?虎次郎がつかっていた碁盤を保管してくれてたのは……」
「「は?」」
「あ、いや、何でもない」
まさか虎次郎がつかっていた碁盤が実は祖父の家にあり、さらにはそこに虎次郎とともにいた幽霊がいました。
などといっていったい誰が信じるだろう。
ヒカルのつぶやきに思わずきょとん、とした声をだす和谷達五人。
それがどう間違ったのかめぐりめぐってヒカルの祖父の蔵の中にあったのは必然なのか偶然なのか…
それはわからないが、ヒカルはこの出会いにとても感謝している。
何よりも以前からは思えなかったほどに佐偽と出会ってから日々が充実している。
そしてまた、ずっとほしかった兄弟ができたようでもあるのだから。
自分の力を隠さずにきがねなく本音を言い合える相手が昔からほしかった。
佐偽は自分が幽霊、ということを自覚しているからそういうことにあまりこだわらない。
両親などは今だにヒカルがその手のことを話すと気づいてないのであろうが眉をひそめる、というのに。
「塔矢もさそっみるかな~」
「でも、塔矢君はもうプロ棋士なんだから、対局日もあるんじゃない?」
いくら院生手合いはない、とはいえプロ棋士の手合いは普通どおりにある。
「でもさ。たしかに。碁をたしなむものならば、一度はいきたいよね。因島」
奈瀬や伊角の意見はもっとも。
ヒカルからすれば囲碁をたしなむ、からではなくて佐偽が昔みていた光景を見てみたい。
というのと、佐偽に里帰りのようなものをさせてみたい、という思いのほうが強い。
すでに彼を知る人はこの世にはいなくても、風景は今も昔もそれほど変わらないものがあるであろうから……
【因島?いいね。それ、是非とも僕もいってみたいよ。いついくの?】
電話をしてみれば案の定、すぐにくいついてくるアキラ。
「それがさ。まだきめてないんだ。八月らか試験があるから、できたら七月にいきたいんだけど」
奈瀬達もいきたがっていたが、彼女たちは予選があるのでまたの機会にするしかないか、とあきらめてはいた。
【七月、かぁ。なら僕のほうの予定もみとくよ。そっちは進藤以外に誰かいくの?】
「あ。うん。伊角さんと和谷が」
プロ試験があることもあり、ぜひともその前にいってみたい、とは和谷の談。
院生の手合いがおわり、家にともどり夜になってアキラの家にと電話をかけているヒカル。
子機で電話をかけているので自室で電話をかけている。
最近では棋院からの連絡があるかもしれない、というのでもっぱら子機はヒカルの部屋にとおいてある。
【?…ああ、たしか君の前に一位だったって人と、あとは森下さんの門下の人か】
「おまえな~。いい加減に名前くらいおぼえろよ」
今だにどうも顔と名前が一致していないらしい。
【えっと。ちょっとまってね。今年の予定表をみてみるから…え~と……】
パラパラ。
何やら紙をめくる音が電話の向こうから聞こえてくる。
【八日から十三日の間なら大丈夫そうだよ。僕のほうは】
「んじゃぁ、そのあたりで、かな?またきまったら連絡するよ」
【それか、あって計画ねったほうがよくない?】
『ヒカル、ヒカル、ほんとうにあの島にまたいけるのですか?ねえねえ?』
何やら佐偽は昼間のヒカルの話をきいて、あれからずっとハイテンション。
まあ、気持ちはわからなくもないが。
「あ、じゃあさ。明日院生手合いがお休みなんだ。
それでさ、碁会所にいこう、って話しなってるんだけど。お前もいく?」
【明日?うん、いくいく。ちょぅど棋院に用事もあるし。じゃぁ、棋院で待ち合わせでいいかな?】
何でもなんとかという大会の予選があるらしく、明日の手合い場はうまっている。
それゆえのお休み。
「じゃ、また明日」
チッン。
実際に和谷達と待ち合わせをしているのも日本棋院のロビー。
なので別に一人増えようがヒカル的にはさほど問題はない。
『ねえねえ、ヒカル、ヒカルってば!』
「ああもう!うるさいってば!まだきちんときまってないよ!
お母さんにさっきいったら夏休みだから仕方ない、みたいなことはいってたけど、あまりいい顔されなかったし」
それでも、夏休みの自由研究にしたいから、といったらしぶしぶながら許可は得たが。
ふと。
「そういや、お前、新幹線とかもはじめてだっけ?」
『シン?』
こりゃ、いくにしても佐偽がさわぎまくるの覚悟でいかないとな。
心の中でつよくそれを肝にと銘じるヒカル。
和谷達には佐偽の姿は視えていない。
それゆえにおおっぴらに話しなどしていればまちがいなく怪訝に思われる。
人、というのは対外、自分にない力を畏れるものだ、というのは今まで生きてきた上でよくよく理解している。
そして、大人は常識、ときめつけ病気扱いにしたりもする、というのをヒカルは身にしみてわかっている。
「とにかく、詳しい話は明日。さってと。じゃ、やるか?」
『ねえねえ、ヒカル?シン?って何です?ねえ?』
「ものすごい早いのりもの」
今ではそれよりも早い乗り物はざらにはあるが。
「それより、佐偽。先番はおまえだぜ?」
『あ、は、はい。今日はどうします?普通にいきますか?』
「そうだなぁ。定石でやろうぜ」
『では、いきますね』
いいつつも、佐偽がすっとヒカルの対面にと座り、目の前の碁盤のひと隅を扇で指し示す。
すでに毎日の日課になっているので日々打たないとどこか落ち着かない、というのもある。
それでも、どうにかして佐偽をぎゃふんといわせたい、というのもあるのでヒカルも必至。
最も、今のところいともあっさりと赤子の手をひねるように負け続けているのも事実なのだが……
たわいのないそんな会話をしつつも、夜は静かに更けてゆく。
「って、やっぱり塔矢もいくのか」
やはりというか、電話をするとはいっていたが、すぐさまのってくるとはうすうす予想はしていた。
「でも、対局は大丈夫なの?塔矢君?」
日本棋院の一角にとある喫茶店。
そこにて話しをしているヒカルたち。
「ええ。この期間中はありませんから。残念ながら本因坊戦は倉田さんにまけちゃいましたから次にすすめてませんし」
本因坊戦の一次予選は四月に行われる。
基本、春、夏、秋、冬、この季節に一度づつ予選があり、二年がかりで行われ優勝者が決定する。
「でもそれ以外は全勝街道まっしぐら、らしいね」
「でもないですよ?進藤とうつときには最近よくまけてますし」
「「って……」」
さらっというアキラの言葉に思わず絶句する和谷と伊角。
「お前がさ、さいきん手堅くいきすぎるからだとおもうけど?」
「というか、君の場合はせめすぎ」
何だかほっとけばどんどん話しがながくなる。
そう直感的に確信し、
「それより、いくのは因島、だけにする?せっかくだからゆかりの地、全部まわる?」
「俺は伊角さんもいく、といったら親はOKしてくれたし」
「僕の家は進藤達と旅行にいく、といったら手放しで喜んでたけど。
今まで僕が友達と旅行にくなんていったことがないからうれしいとかいって」
「うちは夏休みの自由研究課題にする、といったらしぶしぶ了解とれた」
それでも、男の子なんだから、それくらいの冒険心もあってもいい。
という父親の意見がなければどうなっていたかわからないが。
「まあ、子供だけ、というのもあるし。よくて二泊三日が限度…かなぁ?」
年長者の伊角もまだ十七。
保護者、という立場にはない。
「宿のほうは父のつてがあるからとれそうですよ」
「あ、それはたすかるわ」
何しろ次期が時期である。
宿がとれずに野宿する、というのも気が重い。
土曜日からではおそらく人が多いであろう。
それゆえに出発日を金曜日にと決める。
一日違うだけでも込み具合はだいぶ違う。
「じゃぁ、出発は七月の九日の金曜日、で」
しばし、旅行の日程をきめるヒカルたちの姿が、日本棋院の一階のカフェにおいて見受けられてゆく――
「あん、旅行~!?かぁ!学生の身分でうらやましいねぇ!」
「というかさ。河合さん、また仕事さぼってるの?」
塔矢達とともに碁会所、石心にと立ち寄ったヒカル達。
そこで七月の旅行の話になり、それに突っ込みをいれてくる河合。
「これでも河合さん成績いいんだから不思議だよねぇ」
「まあ、河合さんの客はほとんど遠出客が多いからね」
何やら碁会所の中ではそんな会話が繰り広げられている。
幾度かアキラとともにこの碁会所にもよっているのですでにヒカルもアキラもお客達とは顔見知り。
「だけど、子供たちだけでいくのか?よく親ごさん許可したなぁ」
「まあ、夏休みだし。男の子だから冒険させてみようか、という親心でしょ」
石心のマスターがそんなことをいってくる。
「なあなあ、いくのにさ、運転手いらねえか?」
「「「「?」」」」
ずいっと顔を前につきだしてにかっといってくる河合のセリフに思わず互いに顔を見合せて首をかしげるヒカルたち。
「本因坊秀作が生まれた因島、にいくんだろ?それにゆかりの地めぐりも。
一応オレもタクシードライバーのはしくれ。そのあたりの観光名所は把握してるつもりだぜ?」
「って、河合さん、何がいいたいんだい?」
そんな彼にと首をかしげて別の人物がといかける。
「いやな。このゴールデンウィークにはこのオレにしては珍しく働きづめだったしよぉ。
こいつらの保護をかねて一緒についていこうかな、とかさ」
そんな河合の言葉に思わずさらに目を丸くして顔を見合わせるヒカル達。
たしかに、大人が一人いればいろいろと都合がいいのはわかる。
わかるが……
「だけど、河合さん、仕事は?」
「あん?んなのどうにでもなるさ」
「あ、じゃぁ。観光の案内役として雇う、というのはどうでしょう?僕たちもたしかに大人がいたほうが助かるでしょうし」
実際にどうしても子供たちだけならば制限はいろいろとついてしまう。
タクシーや公共機関を使うにしてもどうしても足は必要となる。
「さすが塔矢ジュニア!話しがわかるねぇ!」
「…いいのか?」
「というか、勝手に話し、すすんでないか?」
ぽそっと何やらそんな会話をしているアキラの横ではぽそぽそと会話をしている伊角と和谷。
「じゃあ、会社のほうからは僕のほうからその旨を伝えますよ。ええ。あなたをおかりする、というので」
何やらかってに話しがすすんでいるアキラたち。
「でもまあ、案内係り…は必要、なのかなぁ?」
ここにものすっごく詳しいやつはいるけど。
『ですけど、百四十年前と今とではどうかわってるのかわたしもわかりませんしねぇ』
確かに、ゆかりの地などは佐偽ほど詳しい存在はいないであろう。
だが、江戸時代と現代とでは様子もまったく異なっている。
それゆえにたしかに、詳しい人がいるのは助かるのもわかるが。
「よっしゃ!話しはまとまった!んじゃぁ、お前らの家に一人づつ迎えにいくからな。
お前らの家、どこだ?」
「「「え?え?え!?」」」
何やら佐偽とヒカル、和谷と伊角が話している最中、気づけば話しはいつのまにかまとまっているらしい。
それゆえにいきなり河合に話しを振られてとまどうヒカル達。
「この人が荷物もあるだろうから、って家まで迎えにきてくれるってさ。
タクシー業界で次期を指定して予約する、というのは父経由でしってたしね」
どうやらそういうことがあるらしい。
それもこれも生き残るためのサービス精神、なのであろう。
「まあ、たしかに。荷物があるからそれは助かるけど…だけど、いいの?河合のおじさん?」
和谷達もこの碁会所にはいく度か顔をだしているので彼とは顔見知り。
それゆえに戸惑いつつもといかける。
「というか。新幹線でいくのにタクシーで迎えにきてもらっても、残りの車はどうするのさ?」
たしかに、行きはそれで問題ないが、そのまま新幹線にのってしまえば車はのこる。
「ああ。それは問題ない。そ~いうレンタルサービスもうちはやってるしな」
正確にいえば、駅までタクシーでいくものの、そこからは仲間にタクシーを受け渡す。
それゆえに駐車料金も何もかからない。
サービス業、ともいえるタクシー業界もさまざまな工夫を凝らし生き残りをかけている。
「まあ、たしかに。大人が一人いればたすかるけど…」
「おっしゃ!きまりだな!これでどうどうとやすめるっ!」
「やっぱし、河合さん、それが本音かいっ!」
どっ!
きっぱりはっきりいいきった河合のセリフに一人が突っ込み、他の客たちも一斉にと笑いだす。
ここの碁会所は何だかとても暖かい。
どこかアットホーム的な感覚をもっている。
アキラも碁会所、といえば父が経営するあの場しかしらなかったがゆえにはじめは戸惑ったものの、
それでも慣れればどうしてもそんなことを思ってしまう。
自分の家が経営しているあの碁会所は敷居的には高いのかもしれないが、ここにはその気負いがない。
それはここの経営者ともいえるマスターの気質によるところも多いのであろう……
「ふむ。秀作ゆかりの地、めぐりね。進藤君も面白いことかんがえつくな」
地方対局からもどり、息子から聞かされたのは、七月にはいってから秀作ゆかりの地をめぐる旅行にいく、とのこと。
「まあ、あの子らしいわねぇ」
きっと、佐偽さんのことを気遣ってのことでしょうね。
それがわかるがゆえにころころと笑いながらもそんなことをいっている明子。
明子はヒカルから佐偽が以前には虎次郎こと本因坊秀作にと憑いていた、と聞かされている。
「私も都合がつくようなら是非とも一緒にいきたかったよ。それで、ホテルとかはもう予約したのか?」
「いえ。それはこれからなんです」
「なら、私のほうからそれらは手配しておこう。お前も友達との旅行は初めてだろう?」
まあ、まだ中学生なので初めてでも不思議ではないが。
アキラはそもそも、友達とどこかにふつうに日帰りとかでも遊びにいったりする。
ということがヒカルと知り合うまで全くなかった。
それゆえの親心。
ついでにいえば碁をうてる環境にとまれるほうが院生の子どもたちと一緒にいくそうなのでそのほうがいいであろう。
そう判断しての行洋の台詞。
あちらのほうも幾度も対局にいっているので大手のホテルなどには顔がきく。
少しでも安く、というのが子供たちの希望らしいが、それでも下手なところに泊まらせたくない。
というのは親心である。
「アキラは残りの二人の連絡先をしっているのか?」
「あ、そういえばきいてないです」
「まあ、明さんったら、おっちょこちょいなんだから。そのあたりはあなたににたのですわね」
明子しか気づいていないが行洋は実は多少おっちょこちょいなところがある。
彼の性格上、回りにそのことをほとんど知られてはいないが……
「まあ、進藤君が知ってるでしょうし。それより、その河合って人、信用できる人なの?」
「かなりかわってるひとではありますけど。信用はできる人だとおもいますよ?」
「ふむ。その時期だと、たしか芦原君が暇してるかもしれないな。明子、すこし話しをしてみておいてくれ」
「はいはい」
いくら何でも他人に子供を押しつける、というわけにもいかない。
もっとも、芦原とて身うちではないが、門下、ということは身うちも同然。
「ではそのタクシー会社には私のほうから話をとおしておこう」
こういうことは子供が話しを通すより大人を通したほうがはるかに効率はいい。
しばし、そんな会話が、塔矢邸においてくりひろげられてゆくのであった……
へくしゅっ。
「おかしいなぁ?風邪かな?」
六月とはいえ気温の差が激しいのは異常気象のせいなのか。
そもそも、次期的には梅雨にはいっており、ときどき集中豪雨などもあまたとある。
「しかし、今年は僕参加してなくてよかったよ……」
進藤君の実力、ある程度は理解してても、やはり公式の大会でまけたらへこむしなぁ~…
そんなことをしみじみとおもってしまうのは仕方がない。
一応、プロ、としてのメンツがある。
よもや自分のことが噂されているなど知るよしもなく、ここ、芦原の住むアパートの一室において
そんな彼のつぶやきがみうけられていることを、誰も知らない……
虎次郎。
あなたのお墓にお参りできることになりましたよ。
あなたは今の私をみて何というでしょう?
そしてヒカルをみてのあなたの感想は何というのでしょう?
あなたは私にあのとき、すまない、といいました。
でも、それは私のほうがあなたにいわなければならなかったのかもしれません。
あなたは、公式の試合のすべてを私に打たせてくれました。
あなたも碁をうちたかったでしょうに。
ヒカルをみていて、それを強く最近思うのです。
ヒカルは、私を気遣ってくれますが、彼もまた強く碁を打ってみたい、という気持ちをもっています。
そう、虎次郎、あなたも私に一局をよくせがんできていましたよね。
ヒカルとあなたの違いは、ヒカルはいずれ私に勝ってみせる!と何やらムキになってるところでしょうか?
あなたはいく度私が違う、といっても私を神のようにおもっていましたっけね?
横で寝ているヒカルの寝顔を見れば、その寝顔が虎次郎の姿と重なる。
虎次郎とであったのは彼がまだ幼き日のこと。
あの、小さな島であなたは生活をしていましたね。
あの日、あなたがあのお寺にきたときほど私は神に感謝したことはありませんでした。
誰も私に気づくことはなかったのに、あなただけが気づいてくれたあの日。
そして…百年以上の時を得て、再び私に気づいてくれた、このヒカル。
ヒカルの成長はあなた同様、いえ、それ以上なのかもしれません。
あなたは私と出会ったときから囲碁の知識はありました。
ヒカルは知識がないままにまるで水を吸収するかのごとくに成長を遂げていっています。
あなたは、ヒカルとともにいる私をみて、今、何をおもいますか?
虎次郎……
私はあなたに伝えたいことがあるのです。
あなたは最後の最後まで私のことを心配してくれていました。
ですが、私は大丈夫ですよ…と。
それがこのたびの墓参りであなたに伝えることができるでしょうか?
かつての江戸の空は何やらキラキラとした光に覆われ、はっきりみえていた夜空すらもあまり見えない。
それでも窓から見上げればそこには変わらない夜空が垣間見える。
ヒカルが寝入っているその横で、しばし夜空を眺めつつ感慨にふける佐偽の姿。
人はそれぞれ。
それぞれの場所にいようとも、空はどこまでもつながっている。
そう、過去も現在も同じように空が存在しているように。
さまざまな人々の思いを抱きこむようにして、しずかに夜は更けてゆく。
七月。
「よっしゃ!今日から夏休み!」
「ヒカル!ドリルかして!」
「おまえな~。開口一番、それか!?」
一か月たつのはさすがに早い。
気付けばすでに季節は七月。
今日は学校の修業式。
とりあえず、通知表をみてみればそれほど成績はわるくない。
とはいえ5があったり4があったりするのは仕方がない。
長すぎる教師たちの演説がようやくおわり、それぞれに教室にもどり通知表などを手渡された。
あとはそれぞれ帰路につくだけ、なのだが。
とりあえず、すでに先にと授業がおわり手渡されていたドリルなどを整理しているところにとやってきたアカリの開口一番。
「だって、ヒカル。数学のドリルはもうおわらせてるんでしょ?」
「そりゃ、やってるけど。お前な、少しは自分でやろうとしろよなっ!」
すでに終わっている宿題はそのまま机の中、というか後ろの自分の鞄入れの棚にといれて帰るつもりであったヒカル。
小学生からの彼をしっている友達などはヒカルのそんな宿題を当てにしているものもかなりいたりするのだが。
その一番、あてにしているのが目の前のアカリであろう。
中学にはいってそれまでの幼稚園から小学校までの腐れ縁ともいえる同じクラス、というのは一応今のところ回避されてはいる。
七月二日の金曜日。
来週は先月予定をたてた旅行である。
「とにかく。今日はだめ。用事があるんだから」
今日はこれから日本棋院に用事がある。
それに何よりも他の宿題をさくっと片づけておきたいのも事実。
日本棋院の用事はさほど急がないので別に明日でもいいが、宿題だけは話が別。
とにかく今から図書室にいってヒカル的には宿題をやっつけようとおもっているのだ。
「それか、今から図書室で宿題やるし。お前もいっしょにやるか?
そういえば、今年の囲碁部はどうすんだ?夏休みの部活?」
「それがね。筒井先輩も受験だし。一年も一人だけだし、今年もやらないことになったの。
あ、でもときどきは一週間に一度くらいはあつまろう、って話しになってるけど」
最近は、何かと忙しくてヒカルは囲碁部のほうには顔をだしていない。
だしたとしてももっぱら指導碁をうつか別のこと、すなわちカードゲームなどに時間を奪われている。
「ふ~ん」
そんな会話をしつつも、とりあえず机の上を片づける。
すでにもってかえらなければいけないものは前日までにほとんど持ち帰っている。
修業式にはあくまで手軽に帰路につく。
それはヒカルの昔からのクセ。
中には修業式だからこそ、ものすごく荷物が増えている子もいるにはいるのだが……
アカリとたわいのない会話をしつつも、鞄を手にもちヒカルは図書室にとむかってゆく。
まず目指すは今日中の基本的な宿題の完了。
何しろ就業式のあと、教師たちはいろいろとすることがあるらしく結構遅くまでのこっている。
すなわち、わからないところなどがあれば質問にいけばまちがいなく教えてもらえる、という特典までついている。
この便利な法則を利用する子供は…ほとんどいない……
-第43話へー
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あとがきもどき:
薫:さてさて、河合さんをも含めて、ヒカルたちの因島旅行の開始、ですvでもさらっと流しますけどね(まて
次回で旅行、そうしてようやくブロ試験!といくのですよvふふふふふv
さてさて、んでは例のごとくに小話をば……(今回はものすごく短め)
↓
「う~ん、碁盤って結構たかいんだ」
先日のお礼、といわれてやってきている囲碁の何とかという大会。
もう少ししたらお年玉が手にはいる。
そのお年玉で碁盤を購入しよう、と決めているヒカルにとってはパンフレットの金額をみてかなりびっくりすることしきり。
とりあえず、家では広告の裏にと線を引いて、それで佐偽に簡易的ながらも教わってはいる。
石のかわりにつかっているのはビーズ球。
ちょっとした大きさのビーズならば石の代わりに使用してもさほど問題はない。
もっとも、時々は代用としてオセロ盤をつかってやってはいるものの、大きさが異なるがゆえに、
簡単な対局しかあれでは佐偽いわく、できないらしい。
最も、今のヒカルからしてみればそれで十分すぎるものなので、それで碁を教えているのが現状なのだが。
「でも、進藤さん、ほんと、どうやって碁をやってるのさ?」
あの海王にすら勝てる実力をもっているのに囲碁のことはさっぱり知識がないというこのヒカル。
それゆえに筒井の疑問もわからないでもない。
「えっと、紙にかいて」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そういわれて思わず無言になるのは、おそらく聞いているのが筒井だから、ではないはずだ。
囲碁をたしなむものならばそのセリフをきいてまちがいなく絶句するのは確実。
「う~ん。やっぱりお爺ちゃんに頼んで、あの碁盤、もらおうかなぁ?」
あの、というのは一時は平八は却下してきたが、ヒカルからすればその碁盤はかなり貴重な品。
何しろ佐偽の本体ともいえる品なのだから。
「あ。そろそろはじまるよ?」
何でも今回の大会ではプロ同士の対局がみれ、さらにはそれにともなう解説もあるらしい。
「何かおもしろそ~、ね。ヒカル」
「そうだね」
ヒカルだけでは、というので一応アカリも一緒に誘っている。
ヒカルが男の子と出かける、というので心配した母もアカリも一緒なら、と了解した。
最も、ヒカルからしてみればいざとなればどうにかできるほどの実力をすでにもっているのだが……
『ねえねえ、ヒカル、ヒカル。あの大きい盤面、あれに示されるんですか?ねえねえ!?』
そんなヒカルの横ではきゃいきゃいとものすごくはしゃいでいる佐偽の姿が目にとまる。
くすっ。
「うん。そうらしいよ」
「?何独り言いってるの?あ、はじまるよ」
それと同時、解説者らしき人物が開始の言葉を会場にむかってなげかけてくる。
この大会は何でもテレビ中継もされているらしい。
そういわれても、今だに囲碁界に詳しくないヒカルはピンとこない……
「あれ?何だろう?」
対局途中、とはいえどうしても退出しなければならないのは仕方がない。
それが三日目、ともなればなおさらに変えは必要なのだから。
ふとロビーにて何かパソコンをやっている子供の姿が目にとまる。
「佐偽。ちょっときになるからのぞいてみてもいい?」
『ヒカル?』
佐偽とて女の子の日、というのは昔からあるので理解はしている。
今は便利なものがあるんですねぇ、と感心したりもしているのだが。
昔はそんな便利なものなどはなかったのだから。
「何かパソコンやってる。パソコン関係で囲碁関係ってあるのかな?」
そもそもロビーには囲碁関係のものばかり扱っているはずである。
それゆえに自分の部屋にパソコンがあることもあり、そちらのほうにと佐偽とともにヒカルはあるいてゆく。
パソコンの画面の中にみえるのは、碁盤が表示されており、何やらパソコンで碁をうっている、らしい。
パソコン…で、囲碁?
しばし、興味をひかれ、しばしヒカルはその画面にとみいってゆく。
↑
みたいな感じで。
原作では大会が何の大会、と示されてましたけど。
時期的に何の大会にしたらいいのか期間も棋院のHPにはのってないので(そういうののせてほしい・・)
ひとまずぼかしておきましたv
こちらは、中学の大会がおわったのち、筒井がお礼をかねてヒカルたちをつれてっているのです。
このときにネット碁のことをきいて、これから家で毎日ヒカルはうつようになるのですよ(笑
何はともあれ、ではまた次回にてvv
2008年8月26日(火)某日
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