まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

今回はあまり話しがすすんでおりません。
ええ(自覚あり)
何となく打ちこみがすすまなくなってきている今日この頃。
だいぶ脳内消化できたかな?
何はともあれゆくのですv

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ザ~ザ~ザ~
よくもまあ、ここまで土砂降りのように降るものである。
あるいみ局地的豪雨にちかい、まるで台風が上陸しているかのごとくの大雨。
こういう日は碁盤を出すのはためらわれる。
碁盤とて木なので湿気などは最大の敵。
ゴロゴロゴロ……
何やらときどき雷の音がしているのは気にかかるが、だが音は遠くのほうから聞こえてくる。
「今日はネット碁でもしてみよっかな……」
雨だ、というのに父は対局で地方のほうへといっている。
今、家にいるのは自分と、そして母親と、そしてお手伝いさんの三人のみ。
そんなことをおもいつつも、彼…塔矢明はパソコンの電源をいれてゆく……

星の道しるべ   ~ヒカルとアキラ~

「あれ?珍しい。塔矢がいる」
外は相変わらずの豪雨。
それゆえに碁盤を出そうとしたら、佐偽が雨の日はあまり碁盤にも碁石にもよくない。
そういってきたがゆえに、ネットで碁をしている二人。
一応、一人で石を置きながら棋譜並べ式の碁をうつ場所もあり、そちらで数局、佐偽と打ったのち、
午前中はsaiで、午後からはlaitoで入室して碁をうっているヒカル。
あまりの豪雨に本来ならば院生の手合い日ではあったのだが電車などが運行を見合せてしまい、
急遽、日本棋院のほうから今日の手合い日は延期となった、と連絡があったのが朝方のこと。
彼らとて大事な子供を預かる手前、豪雨の中、無理にでもこい、とはいえない現実もある。
確かに、無理にでさしてそれで事故にでもあわれでもしたらもともこもない。
院生生活が始まってもうすぐ二週間が経過する。
院生生活が始まったのが八月の一日から。
あれから時間があれば和谷や伊角、そして奈瀬や福井、といったメンバーで碁会所めぐりをしているヒカルたち。
みんなの都合がつかないときには一人で出向いていていたりする今日この頃。
ついこの間は多面打ちの、しかも持碁を成し遂げたばかり。
結構つかれたが、それでも四面、五面までは作り上げられた。
最も、佐偽がせっつくので佐偽にもやらせたことはやらせたが。
『これ、塔矢、なんですか?』
「たぶん。最近塔矢とうってないな~。あ、今塔矢、対局してないみたい。もうしこんでみよ」
相手が塔矢本人かどうかは不明。
それでも名前からしてその可能性は多少はある。
最近は彼も忙しいのか前のようにヒカルの家にくることもない。
そんなことをおもいつつも、対戦申込にakiraを指名し、ぽちっとカーソルを合わせてゆくヒカルの姿。

これは……
午前中は常にsaiの対局をみていた。
午後にはいってみればいつのまにかsaiはおちており、かわりに入ってきているのは見慣れたハンドルネーム。
しかも、相手から対局申込がはいってくれば一瞬驚いてしまう。
彼が院生になった、というのは知っている。
母からもそのことはきかされている。
なぜか進藤、僕の母と仲がいいし。
そんなことをおもいつつ、ふと画面上を凝視する。
その理由はアキラは詳しくはしらない。
母もまた、仲間で同士だから、としか答えない。
もしかすれば母のもつ特殊な力に関係しているのかもしれないが、アキラには皆目不明。
彼が自力でプロになる道をすすむためにあえて彼と一線をおいたのは他ならない自分。
だが、やはりどうしても彼と対局するのと、他と対局するのとでは何となく意味が違うような気がする。
確かに院生となった彼とはそう頻繁に打ちあう時間はもてないであろう。
しかも自分はこの八月の終わりからひと月かけてプロ試験の本線にと望むのである。
「…力…さらにつけてるのかな?進藤……」
かちっ。
対局の申込を今の彼の実力が知りたいがゆえに了解する。
どちらにしても時間はまだ一時過ぎ。
時刻はだいぶある。
だがしかし、相手が彼当人なのかは皆目不明。
一番手っとり早いのはチャットでといかけてみること。
違っていたら違っていたときのこと。
謝ればどうにでもなる。
そもそも、ネット上は顔も名前もわからないのだから。

「あ、相手許可してきた。…塔矢かな?とりあえず一局うてばわかるかな?」
話しかけてみるのもあるいみひとつの手。
だがしかし、打ちあってみてわかるものがある。
先番はこちら。
『たしかに。一局まじえましたら相手のことはわかりますからね』
そのときどきの相手の心境なども一手一手の運び具合によっても理解ができる。
カチッ。
はじめから勝負かけてみるか。
そんなことをおもいつつ、右うわすみ小目にと一手目を打ちこんでゆくヒカルの姿。

ごくっ。
思わずのどを鳴らしてしまう。
相手はまちがいない。
進藤だ。
だがしかし、以前にあった読みの甘さが今では感じられない。
明かに以前より力をつけてきているのがみてとれる。
油断をしたら確実にまける。
プロ試験予選においてもここまで集中しなければ勝てない局面などはなかった。
はじめは以前の彼と比べて一瞬別人かともおもったが、石の運びの癖はそうそうかわるものでもない。
しいていえば彼もまた進化していっている。
そう考えるのが至極妥当。
ふと気がつけば対局時間がもうあまり残りすくない。
対局時間が過ぎてしまえば時間オーバーの表示がなされるネット碁。
それゆえに、すうっと息を大きくはいて、カチカチとキーボードを操作してゆくアキラの姿。

「あ。やっぱり塔矢だ」
画面に表示されているチャット画面。
そこには、キミなのか?シンドウ?という文字と、そして改めて時間設定しなおしての対局の試案が示されている。
「ひさしぶり~。あ、そ~いえばプロ試験予選、お前に直接いってなかったよな?おめでと~」
とりあえず、ひとから話をきいてはいるが、当人に直接いった記憶はない。
それゆえに、カチカチとチャットを通じてではあるが相手にと返事を返す。
【君がいないのにそういわれてもね。とりあえずありがとう。君も院生になったんだって?】
【あ。うん。まだこの八月から入ったばかりで二組だけどさ~】
まあ、たしかに、はじめはたしか二組の一番終わりからはじめてゆく。
それは誰しも始めは一番下から初めて高みにのぼってゆくもの。
【そう。なら若獅子戦がたのしみだね】

「佐偽。若獅子戦ってなに?」
『さあ?』
そこにかかれている文字をみて首をかしげずにはいられない。
どうやら佐偽もしらないらしく、きょとん、と首をかしげているのがみてとれる。
【何それ?】
とりあえずわからないので問いかける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
チャット画面に示された言葉に何やら忘れていた頭痛が再発したかのような感覚。
思わずバソコンの前にて頭に手をやってしまう。
「…進藤、あいかわらず無知すぎる……」
院生になったから、といってどうやら囲碁界のことを知り始めた…というわけではなさそうである。
【院生と若手の棋士たちの大会が一年に一度、あるんだよ。五月にね】
「へ~。そんなものがあるんだ」
何だかそれはとても面白そうである。
「五月、かぁ。来年だな。佐偽も打てる機会もてるかな?」
『え!?うたせてくれるのですか!?』
「機会があれば、な。そ~いえば、塔矢にきいてみるか?」
【塔矢。そういえば院生の子からきいたんだけど、きゅ~せ~かいとか研究会とかって何?】
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
かちかちと打ちこみをして相手にと問いかける。
それぞれの家の子ども部屋において画面をみつつも会話をしているヒカルとアキラ。
その画面をみてさらに溜息をつかずにはいられない。
【し~ん~ど~う~。君、絶対にもうすこし囲碁界のことをおぼえろっ!】
おもわず強い口調でチャット画面に打ち込みをしてしまうのは仕方ない。
「むっ」
【わるかったなぁっ!知る機会がないんだからしょうがないだろ!?】
確かに、彼にはしる機会というか知る場所が今までなったのも事実。
ふぅ。
【今度時間があるとき、僕の家にくれば?昔の新聞とかいろいろみたほうがいいよ。君は、絶対に】
彼の家には昔の囲碁新聞なども全部保存されている。
【新聞?】
【囲碁新聞。そういうのがあるんだよ】
「『へ~』」
アキラの説明に思わずパソコンの画面の前にてうなってしまう。
【手合い日以外だと君も時間とれるだろうし。きてみたら?僕も時間あけるから】
『ヒカル、ヒカル!いきましょう!みてみたいです!』
何やらその文字をみて佐偽が一人はしゃいでいるのが気にかかるが。
「でもさ。佐偽。手合い日がいつか、なんておぼえてるか?」
『ひ~か~る~…そういえば、いつも翌日のしかヒカル、確認してませんでしたっけね?』
【次の手合いの日しか確認してないからいつが休みとかよくわかんないや】
「・・・・進藤らしい、というか何というか…」
パソコンの前にてその文字をみてさらに溜息が深くなってしまう。
【…ツテがあるから僕がきいとくよ……夏休み中とか日曜日とかならいつでもかまわない?】
【あ。うん、それはまっくた問題なし】
とはいえ夏休みもあと二週間と少ししかない。
【じゃあ、こっちが予定きめてから連絡するよ。それはそうと、しきりなおす?対局?】
【そうだな~。さっきは時間制限でアウトになっちゃったから、時間のばすか?】
【一番いいのは対面して打ちあうのがいいけど、この豪雨じゃね……】
【時間、どうする?】
【本来の互戦の時間、三時間に設定しない?】
【わかった~。あ、でも途中で雷の影響で停電したらメンゴ、な】
【こっちもかなり雷すごいからね~。それは僕のほうもありえるかもしれないけど、じゃ、とりあえず、仕切りなおそうか】
カチカチと画面に示される互いの会話。
このチャット画面はそれぞれの打ちこみ相手にしかみることができないので第三者がその内容をしることはまず皆無。
『ヒカル!私も私も!』
「あ~、わかった、わかったってばっ!」
【じゃあ、三回勝負で。二度めはいつものごとくの直感打ちやってみてもいいかな?最近あまりしてないし】
【例の?…それはかまわないよ。じゃ、始めようか】
ヒカルの申し出はアキラからしてもあるいみありがたい。
いつもみているsaiがヒカルである、という疑いをまだ晴らしたわけではないのだから。

ガラガラ…ピッシャァン!!
ドザァァァ……

二人がパソコンに向かい合いつつそんな会話をしている最中も、雨は激しく降り注いでゆく……

ぷっ。
ふっ……
「「…あ」」
『?ヒカル?いきなり真っ暗になりましたよ?』
一応持ち時間、三時間…としてはいても、一局にそうは時間はかからない。
特に二局目ははっきりいって当然のごとくに佐偽の中押し勝ち。
ふとパソコン上の時間をみてみれば時刻はいつのまにか夜の八時をまわっている。
夕ごはんもたべなければいけないしお風呂にもはいらないといけない。
一階のほうから母親が叫んでいるのにヒカルは集中して聞こえていない。
それゆえに、ヒカルの目の前。
すなわち、机から顔を突き出すかのようにしてヒカルに母親が呼んでいることを告げた佐偽。
当然といえば当然で、いきなり机から顔を突き出した格好となった佐偽にヒカルが驚いたのはいうまでもないが。
そんな佐偽といいあっている最中、おもいっきり大きな雷の音とともに部屋の電気といわず、
パソコンの画面もいきなり真っ暗にとなってゆく。
「どうやら停電みたいだな~」
『テイデン?』
佐偽からすればどうして夜なのに家の中が真昼のように明るいのかその仕組みはよく未だに理解できていない。
ヒカルがいうその意味すらもよくわからない。
だが、今はその小さな明かりもほとんどなく、ぼんやりとした明るさが部屋の中をうめつくしている。
ヒカルの部屋につけている電球は一応、停電のときなどに対応するタイプのもの。
つまりしばらくの間はぼんやりとではあるが明るさを保つ、という品。
それゆえに完全に暗闇…とまではなってはいないが。
ふと窓の外をみてみれば、あれほどあかるかった外が深淵の暗闇にと包まれている。
どうやらこのあたりいったい、一時停電してしまったらしい。
「う~ん。強制終了、か。ま、時間も時間だし、かたづけるか」
停電がいつまでつづくかわからない。
それゆえに、仕方なくノートパソコンを片づける。
『ヒカル?』
さきほどこの本の中でやってた対局はまだ途中だったのでは?
そんな疑問をいだきつつも、片づけをはじめたヒカルにとといかける佐偽ではあるが。
「停電がいつまで続くかわかんないし。とりあえず…電話、つうじるかな?」
停電中の電話はかなり怪しいものがあるというか通じるかどうかは不明。
「母さんにいって携帯かしてもらうか」
自分はもってはいないが、母である美津子は一応携帯電話をもっている。
それゆえに、ノートパソコンをきちんと入れ物にいれて片付けおわり、トントンと暗闇の中階段を下りてゆく。
やはり完全に停電らしく、家の中はすべて真っ暗。
それでもほのかにゆらゆらとした何となく心休まる明かりがみえているほう、すなわち台所のほうへとすすんでゆくヒカルたち。
台所のテーブルに小さなランプがあり、その中にどうやらろうそくをともして明かりをとっているのがみてとれる。
「ヒカル。ようやくおりてきたの?まったく。お風呂はいま無理よ?停電中なんだから。
  それとも関係なくはいる?」
まあ、暗闇とはいえ入れないわけではない。
シャワーなどは使えないにしろ。
降りてきたヒカルに気づいて声をかけてくるヒカルの母親、美津子の姿。
さすがに暗闇とはいえ佐偽の姿のみはくっきりと視える。
それはおそらくふつうに視界にはいるソレとは異なる分野の存在だからなのであろうが。
一節には視力の弱い人ほど霊とそうでない存在との区別がしっかりつく、という話もある。
それはすなわち、普通の肉体をもっている存在とは異なり、霊は直接脳にその映像が伝わるようなもの。
それゆえに回りがみえなくても霊体のみはくっきりと視える、らしい。
そんなことはヒカルはあまり考えたこともないが。
昔はたしかにヒカルとて生きている人とそうでない人の区別がなかなかつかなかった幼き日々もあるにはあった。
だが、さすがに歳をかさせるごとにそれらの区別は一応つくようになっている。
最も、ヒカル自身にいま取付いたともいえるこの佐偽はどの分野における霊、とはかなり違っているようであるが。
「あ。母さん。ちょっと携帯かして。さっき塔矢とネットで碁うってたら停電しちゃったから。
  たぶん電話つうじないだろうし、携帯同士なら通じるだろうし」
確かに、携帯電話においては別に停電していようがあまり関係ないかもしれない。
「あら。塔矢君とやってたの?まあ、いいけど。はい。あまり長話ししないようにね」
いいつつもエプロンのポケットにいれていた携帯電話をヒカルにと手渡してくる美津子。
すでに塔矢明子の携帯番号はヒカルの母親もまた登録している。
それゆえに登録番号から連絡すればいちいち番号を打ちこみする必要もない。
プップッ…ブルル……
登録を開いて相手に電話をかけると独特な音とともに呼び出し音がしばらく間、携帯から聞こえてくる。
と。
「はい。塔矢です」
電話のむこうから聞こえてくる声。
「あ、塔矢のおばさん?俺ヒカル。いきなりすいません。さっき塔矢のやつとネット碁してたらいきなり停電になってさ~」
「あらあら。こちらも停電中なんだけど。ちょっとまってね。明さ~ん。進藤君から電話よ~」
どうやら向こうも停電になっているようである。
「もしもし?進藤?」
「あ、塔矢?わるぃ。いきなりこっち停電になったわ」
「こっちもだよ。もう今日はおそいし、またにする?」
「だな。じゃあ、今日のところは俺の勝ち、だな」
「勝ち逃げはずるいぞ!進藤!」
「それはこっちのセリフ!」
そもそも、一回戦、二回戦ともヒカルの圧勝。
正確にいえば二回目は佐偽がうったので勝敗の数には入らないような気がするが。
「こらこら。電話で喧嘩しないのよ?ヒカル」
二人の喧嘩というか言い合いはいつものことなのですでに慣れっこになっている美津子がたしなめてくる。
携帯で話しているのでその会話の内容は詳しくはつかめないが口調で何を話しているかは容易に想像はつく。
「明さん。もう遅いから、あまり長電話しないのよ?」
「は~い。お母さん。とりあえず、進藤。こちらのほうで調べて都合のいいときにまた連絡するよ」
「うん。わかった」
たわいのないやり取り。
たしかに停電中にそんなに長話をしていれば、下手に充電ができないがゆえにいざ、というときに困るかもしれない。
しばらくのあいだ、たわいのない会話をかわしつつも、電話をきるヒカルであるが。
「どうも停電、回復しそうにないわねぇ。ヒカル、いまのうちにお風呂はいってしまいなさいな」
「は~い」
たしかに時間が経過していても停電は復活しそうにない。
それゆえに美津子にいわれるまま、先に風呂にとむかってゆく。
暗闇の中、風呂にはいるのはけっこう心休まるものがある。
「明かりが必要なら懐中電灯もっていきなさいよ?」
「うん。わかった。だけど必要ないよ」
そもそもいくら真っ暗、とはいえ完全なまでの暗闇…というわけではない。
まだ、今ならばそれぞれの電球が残像した明かりにおいて一応、みえることはみえる。
そんな会話をかわしつつも、とりあえずヒカルはお風呂へとはいることに。
どうやらしばらくは停電回復はありえなさそう、である。


自分の可能性をするのはまず己、そして相手を知ること。
おそらくこのたびの試験の一番の課題は、あの塔矢明のはず。
豪雨、ともいえる雨の中。
すること、といえばネット碁くらいなもの。
それゆえに何の気なしに午後からネットをつなげてみた。
ふときになったのが対局中、となっているakiraの名前。
たしか塔矢明のハンドルネームであったはず。
観戦しているものは他にはみあたらないが、それでも気になって観戦してみよう、とおもってのぞいてみた。
「…何だよ…なんなんだよ!?」
こみあげてくる何ともいえないこの思いは恐怖なのかそれとも畏怖なのか。
自分でも考え付かないような手をそれぞれが互いに打ち合っている。
盤面は互角のようにおもえたが、気づけば黒が優勢となっている。
だが、その優勢さをはねのけるようにして白が優位にたったとおもえばあらたに黒が巻き返す。
そんな場面上にて展開が繰り広げられていたそんな中。
いきなり対局が途中でとまり、二人の名前が画面から掻き消える。
つけっぱなしのテレビからはどうやら停電が発生した、というテロップが流れている。
彼の家の周囲は停電の範囲からは逃れているらしいが、特定のいくつかの場所が落雷により停電中、とのこと。
停電のせいなのか、それとも何かほかに理由があるのか。
ともかくしばらくまっても対局が再開される気配はない。
「義高~!そろそろご飯よ~!!」
下のほうから聞こえてくる声。
「は~い」
考えていてもどうにもならない。
気持ちを切り替えなければやっていられない。
そもそもプロ試験本番は間近に迫っているのだから。

「そうですか。すいません。お手数をおかけしまして」
「いやいや。でも塔矢くん?どうかしたのかい?」
「いえ、ちょっと」
週刊碁の記者である天野ならばおそらく手合い日などにも詳しいはず。
それゆえの問いかけ。
昨日の電話では今日もヒカル達院生は手合せがあるらしい。
「そういえば。明君。もう少しでプロ試験本番だけど、どう?手ごたえは?」
父の取材にきていた週刊碁の記者でもある天野。
彼とはアキラは小さなころから顔見知りでもある。
彼が編集に配属になったときにはすでに塔矢行洋は三冠以上をもつ棋士であり、囲碁界でも有名なプロ棋士。
そんな彼の一人息子である塔矢明。
その息子が今年、プロ試験をうける、というのであるいみその筋では大変に盛り上がりをみせている。
「がんばるだけですよ」
予選においては手ごたえを感じる人はまったくもっていなかった。
だがしかし、本番ともなれば日本全国で行われた予選から勝ち抜いた人々がやってくる。
油断は一応できない…とはおもう。
おもうがやはりこう、身が引き締まる対局を求めたい、とおもうのは仕方のないこと。
「しかし……手合い日がない日が30日か……」
その日はたしか、プロ試験本戦の初戦日。
混乱をさけるためにと院生の子どもたちには休みがあたえられている。
予選と違い、本戦は日本各地からさまざまな人々が集まってくる。
それがここ、東京にとある関東地区の日本棋院会館ならばなおさらに。
初戦をとるか、それともヒカルとの対戦をとるか…といえば、アキラからすればどちらかといえば優先順位は後者。
ふっ。
息子が何を考えているのか何となくだが理解する。
「お前の人生だ。好きにしたらいい」
妻である明子から息子があの進藤光、という少年とどんな会話をしたのかは大体きいている。
それゆえにかるく笑みをうかべつつも一言つぶやく塔矢行洋。
「?塔矢名人?」
そんな彼の言葉の意味がわからずにきょとん、と首をかしげる取材陣のメンバーたち。
「天野さんたち、御苦労さまです。粗茶ですが」
「あ、これは奥さん、すいません」
居間にて会話をしている最中、明子がお盆にお茶とお菓子をもってやってくる。
こういう来訪はいつものこと。
それゆえに塔矢家には常に何かしらの茶請けようのお菓子が常備されている。
「明さん。行動するなら早いほうがいいわよ?あの子も九月からは学校があるんですし。
  まあ、あなたも学校はあるけど試験を理由にお休みもらってますけどあの子はそれはないし」
そもそも、ヒカルの通っている学校は囲碁に関してかなり関心が薄すぎる。
海王のように囲碁が盛んであり、そのあたりの融通性がきく中学校ならともかくとして。
ようやく囲碁部もしぶしぶ認められたような状況の葉瀬中学校。
院生、とはいえ一応対象となっているのは基本、学校生活をおくっている子供が主体。
それゆえに大体、手合いの時間や日程も子供の事情にあわせて組まれている。
最も、プロともなればそうともいかず、四六時中、どこかで対局が行われているのも事実なのだが。
「そう…ですね」
たしかにこの機会を逃せばヒカルを家に呼んで云々…ということはあまりできないであろう。
何よりも彼の性格上、部活を休んでまで…とは言い難い。
「?何の話をしてるんでしょうか?天野さん?」
「さあ?」
そんな彼ら塔矢親子の会話の意味は当然その場にいる記者たちにわかるはずもない。
それゆえに互いに顔をみあわせて、ただただひたすらに首をかしげてゆく二人の男性の姿が、
ここ塔矢邸においてしばしみうけられてゆく。


さすがに八月からはいってこのかた。
毎回のように半目勝ちが続いている、ともなれば偶然ではなく何かしらそのようにしている。
としか思えない。
事実、ヒカルは佐偽にいわれて意識して半目勝ちを目指しているのであるが。
「なあ、進藤、お前…」
「ん?」
きょとん、とした顔をむけられれば問いかけるのが戸惑われる。
彼といく度か碁会所めぐりをしていても、今まで彼は負けたことがない。
確かに彼はまだ二組。
だがしかし、院生になって二週間目に突入するにあたり、彼の成績はすでに二組の上位にさしかかっている。
おそらくこのままでいけば近いうちに一組に昇格するであろう。
彼は今まで碁会所にかよったこともなかった。
といっていた。
それなのに対局が始まると局面にのみのめりこみ周囲をまったくきにしなくなる。
その集中力には驚愕せざるを得ない。
「そういやさ。お前あれから、時間あるときあの碁会所にいってるんだって?」
とのあえず聞きたいことは心の隅において無難な話題をふってみる。
「え?あ、うん。みんないい人ばかりだよ?皆俺と打ちたがるんだ。
  それにさ~。何となく俺って早碁のほうが得意みたい。多面打ちとかおもしろいし」
さらっといわれて思わず絶句してしまう。
確かに三面うちの棋譜は彼…和谷も篠田師範から見せてもらいしっている。
知ってはいるが……
相手はまだ二組。
しかも院生になってまだひと月もたっていない新人。
「おまえ、そんなことしてたんだ?」
ひょこっと背後からそんなことをいってくる青年に対し、
「うん。そういや伊角さんたちはこれからどうするの?」
「私も碁会所いきたいけど、そろそろ学校の宿題やらないといけないからね」
「僕も~」
どうやら八月も終わりに迫り、それぞれ学校の宿題に追われているらしい。
そんな会話にひょこっとまじってくる奈瀬と福井の姿が目にとまる。
「?あんなの先にとっとと初日にかたづけとけばいいのに?それとか手渡されたその日の休み時間とか」
たしかにヒカルの言い分は最も。
最もではあるが……
「おまえ、いつもそ~してんのか?」
おもわずヒカルのその指摘に呆れた声をだしてしまう。
「え?便利だぜ?学校ですましといたらそのままおいてかえられるし、荷物すくなくなるし」
最も、そのせいでヒカルがおいているのをしっているがゆえに登校日などにはかならクラスメートから頼まれるが。
「でも英語だけは苦手だからなぁ~」
社会科ならば佐偽の協力もあるからさくっとどうにかできるけど。
その言葉を心の中でつぶやきつつも盛大にため息をつく。
とはいえ宿題の持ち帰りがすくない、ということはそれだれそちらに時間をつぶせる、というもの。
がんばれば一日、二日で課題はこなせる。
「そういうやつは特殊だとおもうぞ?」
うんうん。
ぽそっという和谷の台詞にその場にいたヒカル、そして佐偽以外の全員がおもわずうなづく。
それはどうやらその会話をきいていたほかの院生の子どもたちも同じらしく、
盛大になにやらしみじみとうなづいているのが傍目にも目にはいる。
だがしかし、当のヒカルはなぜみんながそんな反応をしているのかわかっていない。
「そういえば、もうすぐ試験本番なのよね。それまでには宿題かたづけとかないと」
「たしかに」
いくら何でも課題をせずに…というわけにはいかない。
「試験?」
「だ~か~ら!プロ試験本番!」
「そういえば、試験ってどんなことするの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
し~ん。
無知すぎるヒカルのセリフに一瞬その場が静まり返る。
「お前、そんなこともしらないわけ!?」
おもわず和谷が強い口調でいってしまうのはしかたないであろう。
「進藤君。えっとね。プロ試験は日、火、土曜日の週三日。二か月かけての総当たり戦なのよ。
  ちなみに予選は五日間。一日一局。三勝したひとから抜けて一か月後から開始される本戦に進むのよ」
こめかみに手をあてながらも溜息まじりに丁寧に説明してくる奈瀬。
彼らはすべて一組のメンバー。
二組のメンバーはヒカルに何となく気遅れしているのか、もっぱらヒカルと話すのは一組の人たちが主。
「二か月も!?じゃあ学校どうするの!?」
「…おまえ、ほんと~~に知らないんだなぁ。そんなんでよく院生になってプロ目指そう、とおもったな…」
「むっ。いいじゃん。知らないなら覚えてけば。それに対局するのに必要ないとおもったし」
いや、それは絶対に必要だ!
思わずその場にいた全員がヒカルの言葉に内心おもいっきり突っ込みをいれてしまうのは仕方がない。
「おまえ、来月からの手合せ日、よ~くみとけよ?何だかおまえ、手合いもないのにきそうな気がしてきた……」
事実、試験のある日は手合いは行われない。
彼の無恥具合を知らされてペースを乱されてはかなり困る、というか気力がそがれるのは明白。
「そういや、来月の表、母さんからわたされたけど、どこしまったっけ?」
「「し~ん~ど~う~(く~ん)!!」」
首をかしげてぽそっというヒカルに思わずその場にいた和谷、伊角、奈瀬、福井が思わず突っ込みをいれてしまう。
彼とかかわってわかったのは、彼があまりに囲碁の世界に無知すぎる。
ということと、どこかほっとけない、という性格であること。
別に自分の力を奢るでもなく、振りかざすでもなく。
それでいて無自覚極まりないほどにおそらく強い。
塔矢明のことにしてもしかり。
気になるからかまってしまう。
「…おまえ、篠田先生にまたもらっといたほうがいいよ。うん」
ぽんっとヒカルの肩に手をおきしみじみとつぶやく和谷。
ヒカルのいいたいことはわかる、わかるが…たしかに対局することができれば他をしらなくても普通は問題はない。
だが、それだけではすまない、というのが世間、というもの。
どうやら目の前のこの進藤光、という少年にはその概念がきれいさっぱりとないらしい……
「同感」
「進藤君って、どこか抜けてるのよね~」
それはいく度かヒカルと碁会所めぐりをしたがゆえに理解した。
和谷の台詞にしみじみうなづく福井と奈瀬。
「そういえば。進藤は今日はどうするんだ?」
「おれ?俺は今日もあの碁会所、かな?最近マスターたちが面白いこといってきててさ。
  今日こそは十面うち!成功させるぞ!」
え~と……
「おまえ…十面うち?」
どこかつうっと冷や汗が伝う。
「うん。何かさ。あそこの碁会所のマスターがさ。多面打ちでもわざと持碁にできるくらいでないとプロになれない。
  とかいってさ。前にも同じようなことを中学の先輩から言われたことがあるし、挑戦中なんだ」
もっとも、成功させたりできなかったり、というのは成功しているのは佐偽がうっているから。
ヒカルの実力ではせいぜい七面までがいまのところの成績。
「それじゃ、またね!みんな!」
なぜかその場に呆然としてしまった彼らをその場にのこし、にこやかな笑みを浮かべて立ち去るヒカル。
そんなヒカルを見送りつつ、
「…なあ、もしかして俺達、とんでもないやつを成長させたんじゃないのか?」
ぽそっという伊角の台詞に内心同意せずにはいられない。
「で、でもさ。強くなるやつは強くなる、っていうじゃん?」
和谷もまた乾いた笑いを浮かべるしかないが。
「多面打ち、かぁ…でもさ。プロってそんなことも簡単にできるものなの?」
「たぶん、ごく一握りの人達だけだとおもうよ?」
多面打ちで持碁にもちこむ。
しかし、成績はすべて半目勝ち。
つまりは、やはりこの成績はヒカルは意図して半目勝ちを目指している、ということを暗に指示している。
なまじ実力があるからこそわかる。
「こらこら。君たち。そんなところでつったってないで」
そんな会話をしていると、そんな彼らにと話しかけてくる男性が一人。
「あ、篠田先生」
「先生。質問~。持碁を多面打ちでこなせるプロの人っていくらくらいいるんですか?」
「…多面、で?…う~ん。面数にもよる、かな?それだけ頭の中でけいさんが必要だからね。
  ……どうかしたのかい?」
そんな篠田のセリフにそれぞれが顔を見合わせ、
「実は……」
申し訳なさそうに先ほどのヒカルの言葉を篠田にと話す彼らの姿が、
ここ日本棋院の六階にある手合いの間においてしばしみうけられてゆく……


                                -第29話へー

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あとがきもどき:
薫:さてさて、ヒカルは試験前にゆっくりとではありますが実力をつけていっております(笑
  試験のときには台風の目にしてやる!というコンセプトv(まてこらv
  若獅子戦もありますしねvんふふv
  あ、越智も九月になったらはいってきますよ~~
  彼には井の中の蛙、という言葉を実感してもらいましょうv(笑
  さてさて、んでは恒例(?)のヒカルの女の子ば~じょんをばv


倉にはいったのは掃除の手伝い。
そこでみつけた古い碁盤。
そこに血のような染みをみたときからすべてははじまった。
「ねえねえ。佐偽」
『何です?ヒカル?』
「佐偽ってさ。そんなに髪ながくてどうやってあらってたの?」
最近、ヒカルは髪を伸ばし始めている。
今まではショートカットだったのだが、どうやら長い髪にもあこがれがでてきたようである。
『平安の世ではこれでも短いくらいでしたよ?』
「ふ~ん。ねえ、佐偽。私、囲碁もっと勉強するから、もっとおしえてね?」
『ええ。ヒカル』
初恋。
といってもいいのかもしれない。
いわば一目ぼれ、とでも。
それが相手が肉体をもっていない相手だとしても。
それほどまでに佐偽の美貌はまだ小学生だったヒカルの心を強く捉えた。
しかも意識がつながっていればなおさらに親近感がわく、というもの。
だからこそ、彼が望んでいることを、興味をもっていることをやってみたくなった。
それははじめは淡い恋心から。
「それはそうと!佐偽。お風呂にいくから、佐偽はお風呂の外でまっててよっ!」
『くすっ。はいはい』
完全にぴったりとくっついてなければいけない、というわけではないらしい。
確かに意識そのものはヒカルの心の中に居候している状態であるにしろ、
少しばかりならば佐偽当人が離れていても問題ないらしい。
ヒカルはまだ十歳の女の子。
といってもこの九月で十一になる小学五年生。
そろそろ女の子の特徴もあらわれてくる年齢ではある。
佐偽と出会って常に一緒に行動していた。
時には笑い、ときには喧嘩して……
それなのに……
「佐偽…もどってきてよ…佐偽……」
目覚めればそこにいるはずの存在がいない。
喪失感。
佐偽は消える直前にヒカル、ありがとう。
そういっていた。
信じたくない。
佐偽がいなくなるなんて。
佐偽が消える、そう聞かされてとにかくかたっぱしから手はつくしたつもりではある。
とはいえ所詮は子供。
できることは限られている。
虎次郎にゆかりの場所にも一身上の都合でしばらく休みます。
と本当ならば連絡もせずにいきたかったが、佐偽にそれではいけません。
といわれてきちんと連絡のみいれて、とりあえず理由を聞かれて言葉につまった。
大切な人が死にかけている状態で碁はうてません。
そういって電話をきったのがつい昨日のことのように思い出される。
佐偽がいなくなったら私、もう碁はうたない!
そういった自分に、叱咤してくれた佐偽はさがしてもどこにもいない。
つながっていた心の中にぽっかりと穴があいたよう。
だけども、心のどこかで望んでしまう。
自分が碁をたっていたら、佐偽が、
『ヒカル!あなたは私がいったのに何やってるんですか!?』
といってまたいつものあの姿と声を表してくれるのではないか…と。
自分が碁をうったら二度と佐偽にはあえない。
そんな気がしてしまう。
今まで頑張ってきたのは何よりも佐偽の…彼のあの笑顔がみたかったから、というのもあったのに。
たしかに碁を覚えていく中で楽しみも増えた。
だけども、何よりも喜びを分かち合いたい人は…今はそばにはいない……

「…進藤、また休み?」
手合い日だというのに進藤の姿は見当たらない。
「みたいだね。でも…いったい何があったんだろう?」
どうやら棋院の上の人たちは理由を何となく察しているらしいが。
彼らとて大人。
おそらくヒカルが手合いにでてこれなくなった理由をそれとなく察したのであろう。
大切な人が死にかけている。
以前、進藤光は数日、棋院を休むのにあたりそう彼らに連絡をいれている。
調べてもヒカルの周囲にそれらしき人が亡くなったとか入院したとかいう話は見当たらない。
だが、家族以外で…ということもありえる。
十四歳、という若さで、しかも容姿が容姿である。
ヒカルの容姿はかなりかわいい。
どちらかといえば当人に自覚がないのか美少女の部類にはいる。
母方の親戚に海外の人がいるらしく、ヒカルもその血を受け継ぎ、髪もまた半分金髪状態。
瞳も漆黒ではなくどちらかといえば薄い茶色。
整った目鼻、顔立ち、そしてその囲碁歴は周囲の人々を驚愕させたものである。
さらにいえば院生ながらに並みいるプロと堂々と渡り合ったのは記憶に新しい。
最も、相手の力量を測った上で佐偽がうっても問題ないかな?
とおもった対局はこっそりと若獅子戦のときには佐偽にヒカルは打たせたのだが。
何よりも佐偽が喜ぶ顔がみたいがゆえに。
そしてまた、ヒカルも佐偽がうつ局面を見たいが故に。
「家にいってもさ。あいつ今は誰にもあいたくないっていってさ」
「あ。それは塔矢君も同じみたいだよ」
「ほんと、何があったんだろう?」
何かよほどショックなことがあったのかもしれない。
「・・・まさか、不遜な輩が進藤によからぬことをしたとか?」
「だとしたら、一番可能性が高いのは緒方さん、だな」
うんうん。
そんな和谷のセリフにその場にいた周囲の人たちがおもいっきり同意する。
「とにかく。だ。…立ち直るのも当人次第、だが…気になるな」
森下とてヒカルをかわいくおもっていないわけではない。
何しろヒカルはよく笑う。
しかも誰にたいしても屈託なくはなしかける。
娘のような年齢でもあることから、森下もまたヒカルを実の娘のようにおもっているのも事実。
森下は一応、ヒカルが出てこれなくなった理由をそれとなく棋院の事務部から聞かされてはいる。
だからこそどうしても気にかかる。
人は、何よりも大切だ、とおもっていた心の支えを失えば瓦解し壊れることがある。
それがわかっているからなおさらに。
「塔矢も進藤のことをかなり気にしてるみたいだけど……」
本来ならば塔矢門下のことを話題にだされれば嫌なのに今回ばかりはそうとはいってはいられない。
「とにかく、何かきっかけが必要。だな」
何か、ひとつのきっかけさえあればいい。
だが…そのきっかけをつかむことができないがゆえに戸惑うしかない。
進藤光がだれを失ったのか。
それがわかれば……
「…嫌だが可能性のある人にきいてみるか……」
塔矢元名人。
彼ならばおそらく知っているはずである。
それは勘。
よもやまさかそばにいた幽霊がいなくなり、喪失感を味わっているなどと…誰も夢にはおもわない……


こんな感じにてv
ちなみに、ヒカルが不戦敗を重ねていたときの小話ですv
あしからずvv
若獅子戦、ヒカルは決勝戦にまでのこってたり~(笑
ちなみに、決勝の相手が塔矢でヒカルと対局、でしたv
そんな裏設定v
ではまた次回にてv

2008年8月13日(水)某日

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