まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
さてさて。今回は多面打ちさんと、あとは院生試験の申込さんですv
次回さんで慶長の花器にゆく予定v
そういやあれって普通のアニメの回と、SPの回とでは内容が多少ことなってましたねぇ。
おもしろいのでSPのほうでいくかな?
何はともあれいくのですv
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神がヒカルの元に私をよみがえらせた理由。
おそらくそれはヒカルを囲碁の世界に導くためであったのだろう。
最近、そのことを強く思う。
この半年ばかりのヒカルの成長でそれはほぼ確信にかわっている。
ヒカルとならば…そう、虎次郎のときは果たせなかった夢。
神の一手を究められるのかもしれない。
何よりも教えている存在として、素直に喜ばずにはいられない。
虎次郎。
あなたを忘れたわけではありません。
私はおそらく永遠にあなたをわすれることはないでしょう。
だけど、ときどき思うのです。
この場にあなたがいたら、ヒカルもあなたもどのような反応を示すのか…と。
かわいい私の教え子たち。
私はあなたたちに教えを請えたことことを何よりも誇りにおもいます。
千年の月日をかさねてもこの世にとどまることをゆるしてくださる神に感謝を……
星の道しるべ ~多面打ち~
「しかし…世の中は広い、な」
「まったくだ。あの塔矢明に匹敵する子供がいるなんてしんじられないよ」
いいつつも、二人の局面を余っている席にて並べてゆく。
手順がまったくみえないものの、後半のあたりは一人が確認しては打ち込みし、
それぞれ異なる席にて検討をしている参加者の生徒たち。
すでに三将をのぞいた決勝戦の結果は出てはいる。
二回戦の三将戦の結果がどうであれ、海王中学の優勝にはかわりはない。
だが、何よりもこの大会にでれたことを他の参加者たちも誇りにおもうであろう。
タイトル戦並み、といっても過言でない、濃い内容の一局が目の前で展開されているのだから……
ぱちっ。
……そこだ!
……あ゛!
『ヒカル、そこは!?』
よ、読み間違えた!?
すでにおお寄せもおわり、小寄せに近い。
ひたすらに思考しつつ打ちまわしていたものの、そこはやはり経験がものをいうのであろうか。
一手、一瞬読み間違いをして打ちこみしてしまう。
その隙を見逃す相手でもない。
それゆえにその場所にすかさず切り込んでくる。
このままでは確実に自身が反目負け、は確定。
何か…何か番回するすべは……
佐偽ならどうする?
佐偽なら……
そうおもうものの、やはり小寄せの正確な道は一本のみ。
やはり今の読み間違いの一手はかなり大きい。
「……ありません。…だぁぁぁぁぁぁ!今の読み間違いがきついぃぃっ!」
しばらく長考し、考え込んだものの、負けは負け。
それゆえに投了を申し出る。
ざわっ。
「ここで投了!?」
「小寄せ、といってもこまかすぎるっ!」
ふと、ざわざわとした声が今さらながら耳にとはいってくる。
「…え?…うわっ!?」
ふと気付けばいつのまにか周りには人だかりができている。
いつの間に!?
おもわず驚きガタン、と席を立ちあがるヒカルとは対照的に。
パチパチパチ!!
誰からともなく健闘していた二人に対し拍手が巻き起こる。
「進藤。ここの読み間違いが命取りだったね」
「うっ。わるかったな!俺もおもったよ!ああ!そこさえここにうっとけば、ここをこうやって、
俺の半目有利のままにいってたのにいっ!」
いや、そう言われても、回りのものはあまりに細かすぎる局面であるがゆえによくわからない。
「いやぁ。白熱した一局でしたな。中学の大会でここまでの一局をみれるとは」
実行委員の人々も、何やらとても誇らしく思えてしまう。
それほどまでにすばらしい一局であったのは間違いない。
「負けはしましたけど、葉瀬中の三将もよくやりましたよ」
「しかし。あの塔矢明に匹敵する実力もった子供がいた、というのも驚愕ですな」
何やらそんな会話が耳にと入ってくる。
「はいはい。それでは二回戦の結果がでたようですから。勝った海王の三将は決勝戦を行ってください。
すでに他の大将、副将の決勝戦はおわってますから」
「「…え?」」
よくよくみればたしかにすべての対局がおわっているようである。
しかも、ふとみれば対局時計もいつのまにか時間がかわっていたのか残り時間があとわずか。
ふと時計をみれば時刻はすでに三時を回りかけている。
つまり、二人は三時間近く碁をうっていた計算、ということになるのだが。
「塔矢!今はまけたけど!次の大会では絶対にお前にかつからなっ!」
読み間違いをしたとはいえ負けは負け。
それゆえに、びしっと塔矢に指をつきつけて高らかに言い放つ。
「僕はもう、大会にはでないよ」
「え?何で?」
ヒカルのいきごみをさえぎるかのようにさらっといいつつも、
局面をかたずけるアキラのセリフにきょとんとした声をださざるを得ないヒカル。
「僕はこの夏のプロ試験をうけてプロになる。だからもうこういった大会には二度とでない」
「…はぁ?お前何いってんの?プロ試験?お~い?塔矢?大丈夫か?
お前も俺もまだ中学一年生だぜ?試験といっても大人にならなきゃうけられないだろ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
首をかしげつつもきっぱりはっきりいいきるヒカルのセリフに一瞬ざわめいていた会場内部が静まり返る。
「し~ん~ど~う~!!葉瀬の恥になるようなことをいうなっ!おまえはっ!」
「って!加賀!何すんだよ!?」
そんなヒカルの背後からはがいじめにしておもわず叫んでいる加賀。
まあ、気持ちはわからなくもないが。
「プロ試験に年齢制限はねえ!」
「…は?でも前。塔矢から三十歳まで試験はうけられる、ってきいたぜ?」
「それは上限!下限はプロ試験にはねえんだよっ!」
「・・・・・・・え、え、ええっ!?嘘!?」
「「・・・はぁ……」」
「……先生。あそこまで打てる子が何でそんなこともしらないんでしょうか?」
「私にきくな。私に」
何やら周囲にいたほかの中学の生徒や教師たちが何ともいえない表情でそんな会話をしているのが目にはいる。
ほとんどのものたちは、今のヒカルの言葉に唖然とするばかり。
あの塔矢明にも匹敵するほどの棋力をもちながらも、囲碁界の、しかもプロ試験の概要すら知らない子供。
あきれるというか驚くというか・・・何と表現していいのか大人たちですらわからない。
「やっぱり。君は知らないとおもった。僕は君とどうしても大会で勝負してみたかった。
プロ試験に望むにあたってね。次に君と会うときにはプロとしてとなる。
だけど、プロになった僕は上段者と対局を重ねてさらに強くなっている。
もう一人の君ですら二度と勝てないほどに高みにのぼる」
むっ。
「何だと!?おまえ、勝ち逃げするつもりかっ!?それに!おまえ!俺の幻影に勝つとかいうけど!
みてろよっ!いつか本当の俺自身がお前のその自信をへしおってやるっ!
勝ち逃げしたままなんてずるいぞっ!!加賀!プロ試験ってどうやったらうけられるの!?」
淡々といいはなつ塔矢の言葉にエキサイトしながらも背後ではがいじめしている加賀にと問いかける。
はうっ。
どうやら塔矢明の思惑どおりになりそうだけど、何というか。
まさか本当にプロ試験の概要までしらなかった、とはおもわなかった。
それゆえにため息ひとつつき。
「進藤光君。だったよね?今期のプロ試験の申込はもうおわってるよ?
プロ試験は年に一回。今からだと間に合うのは院生試験、くらいかな?」
たしか夏場と冬場に試験はあったはずである。
基本、院生試験は年に四回。
それゆえにため息をつきつつも一応説明する海王の顧問教師である尹。
「インセイ?ねえねえ!それってどうやったらなれるの!?」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
いやまて。
かなりまて。
院生になる方法すらしらなくて、しかもプロ試験のことまでしらなくて。
どうしてあそこまでの碁がうてるのか。
その場にいる全員が思わずそんな何ともいえない感想を抱くのは無理はない。
「どちらにしても僕は先に進むよ。君がもたもたしている間に、ね。
すいませんでした。どうやら僕たちの対局が終了するまでまっていてくれたようですね。感謝します」
おそらく実行委員の人たちが途中でやめさすのがもったいない、と判断してのばしてくれたのであろうが。
その心づかいに感謝する。
ぺこりと頭を下げてお礼をいいつつ、
「あとは、じゃあ、決勝の三将戦、だけがのこってるんですね?」
すでに対局表をみてみれば、海王が勝ったのを示すように太く線がひかれている。
ただ、そこには結果報告が何対何、というように示されていないだけ。
「え~?先生~。不戦敗だめですか~?あんな碁うてるやつにかてませんよ~……」
何やら決勝にあたったらしい中学の三将らしきこが引率の教師になきついている姿もめにはいる。
「玉砕してこい」
「そんな~!!」
不戦敗、といういくら何でも不名誉なことをするわけにはいかない。
相手との力量の差が歴然としていようとも。
「では、決勝戦、三将戦をはじめたいとおもいます」
進行係りのそんな声は何のその。
「って、ちょっとまて!進藤?たしか院生って大会に参加したらいけないんだったよな?
ならお前、これからの囲碁部の大会はどうするつもりだ!?」
ヒカルが院生試験のことをきき、うけて塔矢をみかえしてやるっ!
とか叫んでいるのをきき、ふと思い出したようにはっと我にともどりヒカルにと言っている三谷。
「え?…あ。で、でも!あのまま塔矢に言い逃げされるのはくやしいしっ!!」
気持ちはわかる。
おもいっきりに。
だがしかし、ほぼ無理やりに大会に参加させるためだけに囲碁部にヒカルに誘われた身となれば話は別。
「え?え?筒井先輩?どういう意味なの?」
アカリにはそんな彼らの会話の意味がよくわからない。
「へ。まあ、いいんじゃないか?確かに。
塔矢明をおいかけるなら囲碁部なんかでくすぶってたんじゃ、どんどんと差は開くばかりだろうしな。
…おい。筒井。それにそこの三谷とかいうガキ。そこのあいてる席にとすわれ!
おい、進藤!塔矢おいかけて院生になってプロを目指す。というんだったら、この一局につきあえ!」
「…加賀?」
「加賀、何を?」
加賀のいいたいことがよく理解できない。
「三面うちだ。これくらいこなせないとプロどころか院生にもなれやしないぜ」
「「さっ!?」」
加賀のセリフに今だにヒカルたちの周囲にいた人々からどよめきがおこる。
「三面うち?何それ?」
ヒカルはその意味すらもわからない。
「つまり。だ。互戦と同じように、同時に三人一緒にうつんだよ。普通にな。
俺達も普通に打つ。多面打ちには考える時間なんかねぇ。勘でうつんだ。勘で。
碁にたいするセンス、ひらめき。そのすべてが収縮してるのが多面打ちだ。
これくらいこなせなきゃ、プロにも院生にもなれやしないぜ?進藤?さあ、どうする?」
挑戦的な加賀のセリフ。
ごくっ。
「わかった!」
立ち止まってはいられない。
何よりも塔矢に勝ち逃げされたままで差をつけられたくない。
ヒカル生来の負けん気もあり加賀の挑発的な挑戦をうけるヒカル。
ざわざわ。
多面打ちだって?
というか、あの子、多面打ちすら知らない様子じゃない?
何やら面白そうなことがはじまっている。
それゆえにその対局に再び、今は中学の大会だ、というのにまったく別の一局に注目があつまってゆく。
?
「何がはじまってるんでしょう?あっちは?」
局面はあっさりと中押しもいいところ。
それゆえに数分もかからずに三将戦は終わりをつげた。
ふときづけば、ヒカルたちがいるほうにかなりの人だかりが再びできている。
「何でもさっきの子が多面打ちをしてるらしいですよ?」
「ほぉ。それは確かに見ものですなぁ。しかし、なぜ?」
「去年、大将とでてきた子の意見でね。多面打ちをこなせなければ院生にもなれない、とかいったらしいですよ」
「しかし。別に院生になるには多面打ちができなくても問題ないのでは?
というかあの子のレベルならばプロ試験にもとおるでしょうに」
大人たちの会話は至極もっとも。
だがしかし、ヒカルはそんなことを思ってもいない。
ただ、加賀がそういったからそうなのか、という程度にしかとらえていない。
「……確か、進藤は多面打ちどころか二面打ちも初めてじゃなかったっけ?」
げっ。
碁石をかたづけながらもそちらのほうに注意をむけてつぶやくアキラのセリフを対局者は聞き逃してはいない。
それゆえに驚かざるをえない。
葉瀬中の三将、進藤光。
そんな名前は今まで一度もきいたことがない。
ないのに…囲碁界では期待の星、としてもてはやされている塔矢明に匹敵する実力の持ち主。
そんな子供が塔矢明以外にいたことにも驚きだが、何よりも囲碁界に関する知識のなさも驚愕に値する。
「あ。どうやらあちらもおわったようですな」
みれば、たしかに多面打ちをしていたのは事実らしい。
席ははなれていれども机を三つならべてうっていたらしく、何やら周囲の人々がざわめいている。
「…ちっ。多面打ちですらかてなくなってる、か。よし、進藤!次は四面打ちだ!」
「ええ!?まだやるの!?」
「あたりまえだ!プロなら二桁の十面だろうが何面だろうがかるくこなせるぜ?
つまり、だ。それくらいの実力がなけりゃ、やってかれない、ということだ」
いや、それは無理。
おもわず赤い髪の人物のセリフに内心突っ込みをいれる大人たち。
プロ棋士ですらそんな多面打ちをこなせる人などいるはずもない。
「あ。多面うちでも、こいつとうってみたいやつとかいないか?」
ざわざわ。
何やら他の中学の生徒にそんな声をかけている加賀の姿が目にとまる。
「あ、私やってみたい」
「先生。いいですか?」
多面打ちとはいえ、塔矢明とあれほどの切迫戦を繰り広げた相手と打ってみたい。
そう思うのは碁をたしなむものならば誰でもおもうこと。
それゆえにおずおずとパラパラと希望者が出始める。
「ひぃ、ふぅ…ミィ。ふむ。全部で二十人弱。か。よし。進藤。こいつらと全員うて」
「ええ!?」
「ブロならこなせるぜ?まあまずは四面、次は六面。それがおわったら十面だ!」
「加賀!?プロってそんなにきびしいの!?」
「当たり前だ!あの塔矢明なら全部こなせるぜ?」
「塔矢にはまけらんないよっ!やるっ!」
何やらそんな会話が耳に届いてくるが。
「…塔矢君。何か君、いいように名前つかわれてない?」
「ですね。というか僕は十面打ちなんてしたことないですけど……」
というか。
十面うちをこなせるプロ棋士がいったい幾人実際にいるか、ということも進藤はあの調子じゃわかってないな。
そんなことをおもいつつも、さらに溜息が深くなってしまうアキラであるが。
「いや、しかし。大会に支障をきたすような対局は……」
「いや。おもしろそうじゃないですか。まずは表彰式を済ませてから。
それから希望者のみ、多面打ちの小さな大会ひらいてみませんか?
おそらく今日、この場にきている生徒たちはさきほどの塔矢明君と進藤光君との対戦で思うところがあったでしょうし?」
一人の審判係りのセリフに、今回の審判長をつとめていた男性がにこやかに提案してくる。
「あ。それいいですね。では、多面打ちをしたい生徒を募って…」
時刻はまだ三時前。
それゆえに時間はまだまだだいぶある。
「まずは、引率してきている先生たちの意見をきいてみますか」
進行係りのものがそうはおもえども、それぞれの参加者たちにも都合がある。
それゆえに、表彰式の前に関係者をあつめ、しばし話し合う大人たちの姿が見受けられてゆく――
『ヒカル!ヒカル!ヒカルばっかりずるいっ!!』
ああもう!
一番うるさいのは絶対にこいつだ!
結局のところ、時間がまだあるから、という理由から何でか多面打ち大会にと発展しているこの現状。
男女混合、年齢制限なし。
参加は自由。
もっぱら多面打ちに人気があつまっているのはやはり塔矢明のほうであるが、
それでもヒカルと打ってみたい、という人もかなりいる。
すでに六面打ちまでこなし、今のところ負けはない。
しかし、加賀いわく、十面打ちを十回やって十回とも間違いなくうてるようでなければ院生、
ましてやプロの世界では通用しない、という。
実際はまったくそんなことはないのだが。
ブロ棋士の上段者ですらそのようなことができるのはごくごく一握りの存在のみ。
たしかに、早打ちのような多面打ちではその感性と感覚が磨かれる。
だあっ!
わかった!わかったからすがりつくな!
次の十面うち、うたせてやるからっ!
『本当ですか!?』
どうも佐偽からすれば面白そうなことがはじまったので参加したくてたまらないらしい。
ヒカルとていきなり十面、といわれてもその感覚がいまいちつかめない。
先に佐偽が指示する様子をみれば感覚が何となくつかめるかも。
そんなことをおもいつつ、すがりついてきている佐偽に心の中で叫び返す。
『わ~い!ヒカル!大好き!』
「……ま、いいけどな~……」
横でぴょんびょんと文字通りとび跳ねている佐偽をみて思わず苦笑してしまう。
ここ半年ばかりでいつもおもうが、佐偽は見ていてまったくもって飽きない。
しかも、夜などはヒカルの隣、もしくは座ったままで爆睡している様子をみればなおさらに。
「よし。じゃ、次の人、お願いします!」
何やらどうもヒカルと碁をうつのは順番待ちにすらなっているらしい。
それは塔矢明ほどの人数ではないにしろ。
結局、多面打ち大会、といっても打っているのはほぼヒカルと、そしてアキラの二人のみ。
ほとんどのものは自身が行うよりも対局を希望する。
打ち終わったあとに、それぞれ順番が押し迫っていることから、
別の場所で打ち終えた人たちが検討している様子が何とも微笑ましい。
そんな光景をみつつ、
「いやぁ。今年の参加者たちは気合、はいりまくりですねぇ。
まさか全員のこって参加してくる、とはおもいませんでしたよ」
それぞれが用事などもあったであろうに。
表彰式にてこののち、多面打ち会場とします、と公言したところ、帰った参加校ははっきりいって一校もない。
逆にだたの見学としてきてやってきていた人々まで参加して何やら大会のときよりもにぎわいをみせている。
はじめに多面打ちの会場とすることに意義を唱えていた教師の一人が関心しつつもおもわずつぶやく。
「みなさん。あの二人の対局に刺激されたんですよ。いいことです」
初手からずっとみていた尹の手により先ほどのヒカルとアキラの一局の棋譜はすでに書かれた。
棋譜、といっても時間まではおぼえていないので順番通りに指示した簡単な棋譜、ではあるが。
それでも後々の後学、もしくは勉強になるから、とそれぞれの学校関係者からコピーを求められたのはついさきほど。
自分たちも参加してみたいのは山々なれども、だがしかし生徒たちのせっかくの機会を奪うことはしたくない。
そんな思いをいだきつつも、大会関係者たちは熱気につつまれた会場をしばし見渡してゆく。
途中から指導碁になってる。
多面打ちだ、というのに全員に全員、いつのまにか進藤君は指導碁をうってるし。
意図しているのか、はたまた相手のためをおもってなのかはわからない。
だがしかし、よくよく局面を並べ変えてみればそれが指導碁であることは疑いの余地はない。
しかも、第三者としてみているだけでもわかる。
この多面打ちによって彼が依然よりもより進化していっている、ということが。
「…本気であいつは底がしれねえな。先がたのしみだぜ。もしかしたら囲碁界に旋風を巻き起こすかもな」
自分の言葉がきっかけで何やら陰気臭いイメージが定着してしまっている囲碁界に波乱が訪れる。
それは加賀として何かどこか楽しくもあり、そしてまた面白くもある。
「だけど。加賀。本当に多面打ちこなせないとプロになれないのか?」
感じていた素朴な疑問。
ユウキ自身はプロになろう、までおもったことがないのでそこまで詳しくはない。
少し離れた場所にてヒカルがうった局面をならべつつもそんな会話をしている筒井、加賀、三谷の三人。
「まさか。たぶんブロでも多面打ちをこなせる相手はそういないとおもうぜ?」
「じゃぁ、何であんなむちゃなことを進藤君にいったわけ?…初めてでできる彼も彼だけど」
そう。
ヒカルはこのたびの多面打ちがはじめてなのは疑いようがない。
それなのにきちんとこなせて、しかも全部勝っている、というのだから驚愕せざるをえない。
多面打ちはいわば、早打ち碁。
もともとある天性の才能が示される場所。
日々、佐偽とうち、また世界各国の人々とネットで碁をうつ様をみては自身もうっていたヒカルは、
知らないうちに棋力も、そして読みの力もつけている。
ヒカル当人は気づいていないまでも、そのことに佐偽は気づいている。
最も、筒井達は佐偽の存在を知らない。
目に視えない存在である佐偽を知ることなど彼らにはできるはずもない。
「きまってるだろ?そのほうが面白そうだし。それにあいつの底力をみるのにはうってつけ、だしな」
底が知れない。
いったいどこまで強いのか。
加賀ですら計り知れないのも事実。
だが、塔矢明との一戦でわかったことが一つだけ。
進藤光は…対面しての対局の数が極端に少ないがゆえに読み間違いもありえる、という欠点がある、ということ。
多面打ちとはいえ、対局の数をこなしてゆくことにはかわりない。
多面打ちは先読みの能力をも磨く方法でもあるのだから。
そんな会話が繰り広げられているなど当然、ヒカルは知る由もなく。
とりあえず交互に打つ、ということで話しをまとめ、
しばし、ヒカルと佐偽が交互で多面打ちをしてゆく様がその場において見受けられてゆくのであった……
「院生試験は近く七月にあるはずだ。締切は…五分五分、というところかな?」
「す。すいません。えっと海王の大将さん……」
多面打ちの大会もどきも完了し、とりあえず迷惑をかけたから、という理由から後片付けのお手伝い。
そのさなかに院生試験のことを他より詳しいから、といって説明してくる海王の大将をつとめていた岸本。
ヒカルは彼が元院生であったことを知らない。
彼もまたそのことをいうつもりはない。
だがしかし、塔矢明にしろ、この目の前の進藤光にしろその実力をみせつけられれば、
自分がプロになるのを諦めて正解だったような気もしなくもない。
それでも、彼らとやはりきちんとした場で戦ってみたい、という思いもある。
何よりもここまでの力をもちつつも、何もしらないとおもえるこの進藤光をほうってはおけない。
「院生試験は年に四回。春、夏、秋、冬に一度ずつ。さらにうえのプロ試験においては年に一度。
これは予選、本線とあり勝ち抜いたものがプロとして認められる。予選は夏場から始まるけどね」
がしがしがし。
迷惑をかけたこともあり、碁石洗いの手伝いをしているヒカル。
「院生試験に必要なものはまず棋譜が三枚」
「棋譜?三枚?どういった?」
「人それぞれ、だけどね。だけどまあ一番いいのは最近うったもの、かな?」
「最近…かぁ。じゃぁ、今日打ったやつとかでもいいのかな?
塔矢との対局のは負けちゃってるし、あ、はじめの多面打ちの棋譜でもいいのかな?」
岸本のセリフに少し考え込みつつつぶやくヒカルの言葉に一瞬驚愕の表情をうかべ、
「…君、おぼえてるの?」
「?自分がうったんだからおぼえてますよ?普通自分がうった盤面全部わかるでしょ?」
この人、何おかしなこといってるんだろう?
そうヒカルはおもうが、普通、数十局以上、しかも多面打ちである。
それらすべてを覚えている、となれば、それは……
「…なるほど」
きょとん、としたヒカルの台詞にどうやらそれが特殊すぎることだ、と理解していないのに気づくものの、
それを口にはださず、
「とにかく。院生試験に必要なものは、今からいう数点。申し込み書は日本棋院にいけばある。
日本棋院で院生志願書をもらい、そして履歴書。そして印鑑…つまりはハンコ、ともいうが。
あと、保護者同伴がもとめられ、申し込み金、試験手合いあわせて一万三千六百五十円ほどいる」
「・・・・・・・ええ!?お金がいるの!?」
「…あたりまえだろう?よくそこまでしらなくてあそこまで打てるよ。君は……」
『そりゃ、教えてる先生がよいですしv』
溜息まじりにつぶやく岸本のセリフに、横でにこやかにさらっといっている佐偽の姿。
「一万…一万…う~…お年玉でもはいらなきゃそんな大金ないよ~……」
「普通は親にだしてもらうのが当たり前なんだけどね……」
自分で払おうとおもっているヒカルが何ともズレているようにみえるのはおそらく気のせいではない。
「う~…ダメもとで頼んでみるしかないかぁ。…一万円……」
どうやら、棋譜云々、というよりもヒカルにとっては金額のほうが重要らしい。
「とにかく。棋譜とかもきちんとしたものにかかなければいけないから。
まずは無難なのは日本棋院会館でもらったほうがいいよ」
あの多面打ちの棋譜をもってゆくならば彼の本当の実力はわからないであろう。
逆にあそこまでうてるのならば試験のさなかにプロ試験にそのままいけるから、といって断られる可能性も高い。
「君は対局はあまりしたことがない。といってたよね?」
「え?あ。はい。家ではいつも石を並べてるだけですし。あとはネット碁のみです」
それであそこまで打てるのだからたいしたものといえる。
最も、石を並べて云々、のところが実はそれが棋聖とも呼ばれていた『本因坊秀作』として名前が通っていた、
藤原佐偽と打っている、などとは誰も夢にも思わない。
「なら、志願のところに、対局をほとんどしたことがないから、みたいなことをいれたらいいよ。
君はおそらく、対面しての対局数が少ないがゆえにとぎとき読み間違えもするみたいだしね」
そう。
さきほどの、今日の塔矢明との一局のように。
『確かに。ヒカルは私以外とまともに対局、といったら塔矢くらいしかいませんしね』
そもそも、筒井達とでは差がいつのまにかできすぎていた。
あれではおそらく対局のうちにははいるまい。
「志願理由?塔矢にまけたくない、じゃだめ?」
「…別のにしたほうがいいよ」
それだとただのミーハーというか負けん気のつよい実力のない子供、とおもわれる可能性が高い。
彼の実力ならば普通にプロ試験をうけても通るような気はものすごくするが、だがしかし。
囲碁の実情をしらない彼が普通にプロ試験をうける云々、というのはかなり難しいような気がひしひしとする。
だがしかし、院生ならば上位にあがれば自然とプロ試験はうけられる。
「ふ~ん……あ、石このくらいでいいですか?」
「ああ。かまわないよ。あとはそれを奇麗に拭いて影干しすれば完了、だよ。
悪かったね。碁石洗いをてつだってもらって」
「あ。いえ、何か迷惑かけたみたいですし」
ヒカルとて一応の分別はあるつもり。
自分と塔矢との対局を続行させてくれた人々に感謝していないわけではない。
まあ、けっきょくは自分がポカをして半目負けしてしまったのだが。
それはしかたなのいこと。
結果は結果、くつがえせない事実なのは間違いないのだから……
「え~!?もう近くの試験申込おわり!?」
碁石洗いがおわり、とりあえずそのままその足で日本棋院にとむかったヒカル。
すでに日もくれかけているせいかあまり人影は見当たらない。
『ヒカル。ヒカル。まだこれありますよ?!偽物の魚!』
何やら横のほうではインテリアとして置いてあるイミテーションの水槽をつんつんつつきながらも騒いでいる佐偽。
前回ここにきたときも、アカリと騒いでいる最中、佐偽はその水槽にくぎづけだったのだが。
どうやら未だに珍しくてしかたないらしい。
「次の試験は秋口だね。九月になるよ」
「この七月にあるっていう試験にはどうにもならないの!?」
「そうはいってもねぇ~……」
そもそも初めてみる顔である。
いきなり院生試験のことについて聞きたい、といってきて、さらにはこの七月にある試験をうけたい。
ときたものだ。
だがしかし、申し込み期日は昨日まで。
それゆえに断るしかないが、どうもしつこく食い下がってくる。
しばし、受付の人物とヒカルがそんなやり取りをしているそんな中。
ガァッ。
日本棋院の出入り口にとある自動ドアがふと開く。
そしてそこからはいっくてる白いスーツをきている男性と、もう一人、見慣れない男性の姿。
だが、ヒカルはそちらのほうには気づいてはいない。
『おや?確か、彼は……』
佐偽のほうが先に気づいて彼のほうに視線をむけるが、一方のヒカルのほうはといえば、
いまだに受付のものと押し問答を繰り返している。
「うん?何だ。進藤じゃないか。こんなところで何してるんだ?」
何やら受付のほうが騒がしい。
それゆえに視線をむけてみれば見慣れた子供の姿が目にはいる。
「…あ、緒方先生」
「あれ?緒方のおじさん?」
ふとそちらに気づいて、同時に声をだす受付の男性とヒカルの姿。
と。
つかつかつか。
「し~ん~ど~う~。前にもいったが?どうして芦原がお兄さんで、このオレがおじさんなんだ!?」
「いひゃい、いひゃい!」
つかつかとコメカミに手をあてながらも近づいてきたかとおもうと、
自分のことをおじさん、といったヒカルの口をおもいっきりひっぱりつつも何やらそんなことをいってくる。
「あ、あの?緒方先生?そちらの子と知り合いなんですか?」
緒方がこのようなことをするのはかなり珍しい。
それゆえに首をかしげつつも問いかける。
「え、ええ。まあ。しかし、どうしてお前がこんなところに?今日はたしか中学の大会じゃなかったのか?」
確か、それに明君もでていたはずだが。
そんなことをおもいつつも、問いかける緒方の言葉に。
「あ。うん。大会はおわったけど。だけど!塔矢のやつが今年のプロ試験うけるとかいってさ!
勝ち逃げは絶対に卑怯だとおもわない!?緒方のお…いや、緒方さん!?」
おじさん、といいかけて、とりあえず訂正する。
「なるほど。それですでにブロ試験の申込はおわってるからならば院生試験、といったところか?」
「?何でわかるの?」
「…明君にしろ君にしろ。ものすっごく思考が読みやすいお子様、ということさ。
しかし。試験か。それで、受けさせてもらえることになったのか?」
明君にしろ、この進藤光、という子にしろ。
あるいみかなり思考はわかりやすい。
どこかしらにたもの同士、というところがあるのかもしれない。
塔矢明も普段はおとなしく優等生っぽいが地は実はそうではない、というのをなにとなく緒方は気づいている。
「今交渉中。受付昨日まだだったからって、十月のじゃないとむりとかいわれてさ。それだと遅いしっ!」
なるほど。
ヒカルの言葉にある意味納得しつつ、
「すいません。この子、ちょっと知ってる子なんで多少便宜はかってもらえませんかね?推薦が必要なら私がしますよ」
「え?…緒方先生がそういうのなら、考えてみますけど…」
プロ棋士である緒方の推薦、というのならばまあ考えなくもないが、
だがしかし、いったいどういった知り合いなのかもきにかかる。
「本当!?おじさん!?」
「おじ…まあ、緒方先生の推薦、ということで今回だけだよ?
君?しかし、君、緒方先生とはどういう知り合いなんだい?」
相手はどうみても中学生くらいの子ども。
しかも制服である。
「友達の家で幾度かあったことがあるんですけど?」
その友達の家、というのがよもや塔矢名人の自宅だとは誰も夢には思わない。
「しかし。明君の読みは正確というか、お前もわかりやすい性格、というか。
まあ、しっかりもまれてこい。来年を楽しみにしてるぞ」
おそらく彼の実力ならばまちがいなく来年度のプロ試験には受かるであろう。
それまで院生の中でもまれていくわけであるが。
「そういえば、緒方さんはどうしてここに?あ、一応何か口利きしてもらったみたいになったのでお礼いっときます」
「お礼はいい。だが!二度とオレをおじさん、とよぶな!?いいなっ!せめてお兄さんといえ!お兄さんと!」
「いや、緒方先生、それはちょっと無理があるのでは…あ、いえ、何でもないです」
ヒカルにおもいっきり突っ込みをいれている緒方の言葉に思わず横から突っ込みをいれる受付係りの男性。
「そもそも、お前は芦原のことはお兄さんとよぶくせに。何でオレだけおじさんよばわりなんだ!?」
「え?何となく」
というかおもいっきり【ヤ】のつく職業のイメージ色がつよい彼をお兄さん、と呼ぶのは何だかとても抵抗がある。
「そもそも、先生のことも明君の父親、とおまえはよんでるし」
「え?でも塔矢のお父さんにはかわりないでしょ?」
確かにそうだが。
普通は塔矢名人、もしくは塔矢プロ、などいろいろ呼び方はある。
塔矢明を基本にして呼ぶものなどはまずいない。
「…え?…あ、あの?」
何だか二人の会話をきいていれば、この子供が何だかあの塔矢名人と知り合いのような口ぶりである。
そんなことはあるはずがない、とは思うのだが…それゆえに戸惑いを浮かべてしまう。
「まあ、まずは院生試験、だな。君の実力じゃ、院生になる必要はない、とかいわれそうだが。
先生もいってたが、確かに君は対局をこなしたほうがいいのも事実だろうしな」
対面しての対局が極端に少なく限られた人としか対局したことがないゆえに読み間違いも発生する。
「?緒方さんも海王の大将の岸本さん、とおなじようなことをいってくるんだね……」
つい先ほども同じようなことをいわれたばかりである。
「緒方先生。時間が……」
「おっと。のんびりしてられないんだったな。じゃあな。進藤」
「あ。はい」
そんな会話をしつつも何やらそのままエレベーターに乗り込んでゆく緒方の姿。
そんな緒方の姿を見送りつつも、
「緒方のおじさん、何しにきたんだろ?」
おもわずぽそっとつぶやいているヒカル。
「え、え~と。とりあえず、君。緒方先生の推薦、ということで七月の試験参加はみとめるけど。
しかし、君っていったい、あの緒方先生とどういう関係?まあいいけど。
とりあえず、はい。これが申し込み用紙と。あとは必要な棋譜を三枚。これに書きこんできてね。
それと……」
一応ブロ棋士の推薦があれば数日くらいは前後していても試験を受けることは可能。
当然、ヒカルがそんな知識を知るはずもなく、たまたまこの場に緒方が着たのはヒカルにとってはかなり好運。
もっとも、やってきたのが緒方でなく塔矢名人などではさらに大騒ぎになっていたであろうが。
だが、そんなことは当然、ヒカルは思いもしない。
しばし、試験を受けるにあたっての注意事項、そして必要な手続きなどの説明が日本棋院。
その一階にある受付においてヒカルに説明する姿が見受けられてゆく……
「インセイ?何?それ?」
案の定、というか想像通りの反応、というべきか。
「何それ?囲碁でそんなものがあるの?」
「ねぇ。お母さん!おねがい!塔矢に馬鹿にされまくったままでおわりたくないしっ!」
どうやら今日の大会でポカをやらかしてあの塔矢君に負けた、というのはきいた。
「まあまあ。いいじゃないか。ヒカルも最近は碁に熱中してるようだし。成績もまずまずのようだしな」
珍しく夜の十時には家にもどってきている父親。
それゆえに遅いながらも家族でとる憩いの夕食時。
「昔、ヒカルが習っていた珠算は教えるものがいなくなってしまったがゆえに中途半端なままだったしな」
事実、ヒカルは小学三年生までは確かに珠算を習っていた。
いたが…段位の上にいくほどにそれなりの教えをできる人物が周囲におらず、結局五段止まりとなっている。
それでも小学生でしかも五段合格、というので当時はけっこう騒がれたものである。
「そうねぇ…でもヒカル?うからなくても文句いわないのよ?いい?
それと。成績がおちたりしたらすぐにやめさしますからね?」
習い事をするのは構わない。
構わないがそちらに気をとられて成績が落ちればもともこもない。
そもそもそれではいい会社などに就職することもできなくなってしまうかもしれない。
当人がどう考えているのかどうかは別として。
親とすれば子供に安定した生活を送ってほしい、とおもうのは当然の心境。
「うっ。わ、わかったよ」
確かに母親のいうことも最も。
英語は今だによくわからないさっぱり状態、ではあるが。
それでも他の教科で何とか点くらいはしのげそうである。
そんなことをおもいつつも、母親の提案にしぶしぶながらもうなづくヒカル。
それもすべてはアキラに負けたままで終わりたくない。
というヒカルがもつ生来の負けん気の強さゆえの決意の表れ。
「じゃあ、申し込み用紙をそこにおいときなさい。明日までにはかいといてあげるから」
何でも保護者の捺印、署名もいるらしい。
まあ、子供なのでそれは当たり前、といえば当たり前だが。
今日は中学の大会があったことは知っている。
その帰りにニホンキインとかいうところにより、何かの申し込み書をもってもどった一人息子。
何でも碁の塾のようなものがあるらしい。
それの申込だとか何とか。
説明されても美津子はよくわからない。
もっとも説明している当人のヒカルがよく意味がわかっていないままに説明しているので余計にわからない。
という事情もあるが。
父親にしても碁に関することはまったく無知。
まあ、何かに熱中するのもいいだろう。
そんな感覚で後押ししているだけに他ならない。
何でもない日常の夕食の光景。
そんな会話をしつつも、夜は静かに更けてゆく……
-第24話へー
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あとがきもどき:
薫:何やらいろいろと詰め込みすぎたかな?ま、いっか。
本当は母親も日本棋院につれていきたかったんですけど(まて
まあ、やはりまだ緒方とかと面識ないほうがいいかな?とおもってヒカルのみにしてみたりv
季節はただいま五月の終わり。
試験があるのは七月、という設定。
だいたいああいう申込って一か月前くらいが締切、というとらえ方でいってたり~
実際のところは不明です(まて
何はともあれ、ではまた次回にてv
(例のヒカル女の子バージョン小話はまた別の機会にてv)
2008年8月8日(金)某日
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