まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ん~と。過去から延々と続けよう、ともおもったけど。
やはり、原作のアニメ同様、ちらほらと過去を出してゆく、という形をとりたいとおもいますv
あ、ちなみに主人公の能力というか力。
すこしづつでてきますけど、ほんっとうに万能ですよ(笑
しかし、「ギアス」の能力とはまったくもって異なりますv
あしからず♪
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それは、小さな幸せ。
ただ、それだけを守りたい。
その小さな幸せは誰にでもあるもので、理不尽に奪われるものではない。
それが、ましてや『誰か』の手によってならばなおさらに。
それでも、大切なものを助けるためには犠牲はともなう。
得に今の世の中では、それ以外に大切なものを助ける手立てはないのだから――
~~
「よっし!」
「ああ。ずるい!リナリー。…視た、でしょ?」
「んっふっふ。お兄様。勝負に私情は禁物ですわ♡」
「くそ。いくら戦略つくしても、視られたら……」
「それをどうにかするのもお兄様のお役目、でしょ?ふふ♡」
こんなやり取りがほほえましい。
できうれば、ずっとこのままこの平和が続いてほしい。
「お姉様。すご~い」
チェスならば、いつも兄が勝つ。
だがしかし、カードとなれば話は別。
いつも勝ちをもってゆく、自分の双子の姉に思わず拍手を送る。
「んふふ。ナナリー。もっとほめて、ほめて♡」
「ああ!ずるい!リナリー!ナナリーは僕のものでもあるんだよっ!」
アリエスの離宮の神殿。
ここが、彼らの住まい。
ブリタニア帝国の首都に属している、皇族の住まいの一つ。
もっとも、皇帝には百八人もの妻がおり、彼らの母親であるマリアンヌもまたその一人。
ぎゅっ。
小さな体で、彼女そっくりの髪とその瞳の色が異なる少女を抱きしめる。
リナリー・ヴィ・ブリタニア。
ただいま四歳。
四歳にしてその知力と能力は一部のものには認められている。
それは、兄であるルルーシュ・ヴィ・プリタニアとは二歳違い。
そしてまた、双子の妹であるナナリー・ヴィ・ブルタニア。
双子なので顔形ははっきりいってそっくりなのであるが、髪の色と瞳の色が異なる。
基本、ブリタニアの皇族の瞳は紫に生まれつくことが多いのであるが、リナリーの瞳は黒。
母であるマリアンヌのものと同じもの。
誰もいないからこそ、いえる。
そもそも、ここには盗聴器など、といったものが仕掛けられていないか。
というのは毎日のように確認して『視て』いる。
この能力のことを知っているのは家族のみ。
他には一切教えていない。
そもそも、父であるブリタニア皇帝に知られでもしたらどんなことに利用されるとも限らない。
『力』のコントロールが聞かないときは気が狂いそうにもなった。
自分がいま、ここにいることすらも不安で、不安で。
それでも、今、ここに産まれてきた奇跡を信じ、今度こそ大切な人たちを守りたい。
その思いがリナリーを動かしている。
とはいえ、たかが四歳の子供にできること。
などといったものは限られており、無理をいっては体術や戦術、そういった類を習っているのみ。
そのときには兄であるルルーシュも無理やりにひっぱっていっている彼女なのだが。
――知っている未来を変えたいから。
彼女はこの世界のことを知っている。
否、産まれたときに知識として全て流れ込んできた。
本来たどるはずの、ゆくすえ、そして結末。
そして、皇帝がのぞむその結果。
それによって産まれるいくつもの悲劇。
「まあまあ。リナリー。いくら何でも相手の手札を透視しては意味がないでしょうに」
あの彼にこの娘の能力を悟られなかったのが不幸中の幸いかもしれない。
いや、何となくは気づいているのかもしれないが。
少なくとも、この力の強さまでは知られていない。
彼女が知っている彼の『力』は、記憶を書き換える、というもの。
全ての特殊な今一番皇帝が力を注いでいる『それ』に対しての切り札、ともいえる力をもって産まれた娘。
だが、母親というものは娘を大変な目にあわせたい、とは絶対おもわない。
それでなくても自分の身分というか出自からして子供達も他の皇族に狙われている現状で。
彼は、自身の能力のことを知っていて無理やりともいうべく后の一人にした。
――『能力』が聞かない彼女だからこそ。
子供達にその属性が現れないか、とおもっての人を人ともおもわないその実験。
いくら嫌いな男の子供とはいえ、自分の子供であることは間違いはない。
ましてやおなかを痛めて産んだ実の子供。
「でも。お母様?相手にそういう能力もってる人がいない、ともいえないんだよ?
そんな中でどうにかする力が必要になるんだし」
四歳の子供の台詞とは到底思えない。
世界を知りすぎている、また判りすぎている娘。
未来が心配になる。
それでも、『力』を得ている自分は死後いく世界は決まっているわけで……
自分たちとはまったく異なる『力』を手にして産まれた娘。
その運命は、母親であるマリアンヌとて見通せるものではない。
「まあ。リナリーが事実力もってるのはわかってるから。否定はしないけど。しかし絶対にずるいっ!
よっし。今度はリナリー、チェスで勝負だ!!」
「ええ!!お兄様、ずるいっ!これでかったらお兄様、
今度一緒にシュナイゼルお兄様とお出かけする、と約束したのにっ!」
知っていたほうがいい。
今後のためにも。
だけど、それを口にすることは怖い。
あんなことが起こる、などと信じたくはない。
この幸せな時間が壊れるのは……
それは、ある日の光景。
まだ、家族と一緒に幸せにくらしていたある日の出来事――
「……っ!?」
びくん。
伝わってきたナナリーの恐怖。
そして…流れ込んでくる映像。
「?どうかしましたの?リナリー?」
今日は異母姉妹の一人、ユーフェミアとコーネリア。
その屋敷にお邪魔しているリナリー。
本当ならばナナリーもつれてきたかったのだが、あいにくと体調が優れないとかで。
それなら、お誘いを断りたかったのだが、にこやかに、
『ユフィお姉様たちによろしく。リナリー』
そうナナリーに言われては、リナリーとすれば断るわけにもいかない。
適当に時間をつぶして帰ろう、そうおもっていたが。
「あ。なにでもないです。あ、そろそろナナリーが心配なのでかえりますね。
それでは、コーネリアお姉様、ユフィお姉様。ごきげんよう」
まだ、間に合う。
それは、一時さきの未来を具間みただけ。
まさか、あれが今日だったとは。
間に合って。
そのための、私の『力』なんだし。
ゴトゴトゴト……
誰も乗せていない馬車が道をゆく。
馬車に乗り込むと同時に、『移動』した。
とりあえず、懸念されないようにそれらしき幻影をおいている。
「お母様!!ナナリー!!」
ばっん!!
勢いよく扉を開く。
本来ならば今は、馬車の中で帰路についているはずの彼女。
だが、今彼女がいるのは自分の家でもある屋敷の中。
「リナリー!…ナナリーをお願いね」
すでに悟っていたらしく、その手には使い慣れている鞭。
閃光のマリアンヌ。
まるで踊るように、それでいて早く敵をなぎ倒してゆくことからついた母親であるマリアンヌのあだ名。
不安にかられている少しばかり熱っぽい娘をかといっておいて戦いに出向いてゆくことなどはできない。
不安はあった。
リナリーが出かけてから後。
屋敷にいた半数以上の存在がいつのまにか姿を消した。
残っているのは彼女を慕うものばかり。
いつかはしかけてくる。
そう判ってはいた。
だが、それでも負けるわけにはいかない。
それがたとえ自分自身の運命でも。
「だけど…だけどお母様!!」
「大丈夫。――未来は、かえられるのよ?リナリー?」
くしゃり。
「あの?いったい何が?お母様?リナリーお姉様?」
ナナリーには何のことをいっているのか理解不能。
そんなナナリーと、そしてリナリーの頭をくしゃりとなでて。
「あなたたちはここでおとなしくししていなさい。いいわね?」
「お母様!私も!私も戦う!」
「あなたはナナリーのそばにいて。…お願い」
もし、こんなところで『力』を知られれば、そのほうがマアンヌにとっては恐怖。
「そういや。ルルーシュは?」
これだけの殺気に彼が気づかないはずがない、のに姿がみえない。
「そういえば。お兄様、少し顔色がわるかったのでお部屋に戻られたみたいですけど…」
あの妹を大切に想っているルルーシュが、一人で部屋に、しかも具合の悪い彼女をほって戻るなど。
ありえない。
ありえるとすれば、それはおそらくは……
トッン。
そのまま、壁に手をあて意識を集中。
自分がいなくなってからのこの『屋敷』でおこったことを視はじめるリナリー。
これが彼女の能力の一つ。
物を媒介に…否、その気になれば世界全てを『視る』ことが可能。
それが、未来であれ過去であれ、そして現在であれども。
視得た、のは、自分が出かけた後に出された食事にて薬を盛られていたルルーシュの姿。
無味無臭のそれは、どうやら殺すため、というものではないらしい。
すくなくとも、数時間ほど後に効果を発揮させ、しばらくねむらせる、という品。
そして、瞬時にこの襲撃をしかけている存在達の心の中にと『進入』する。
今回の襲撃の目的、そしてその黒幕。
「あ……あ、あの男はぁぁぁぁぁっっっっ!!」
ぎりっ。
思わず顔をしかめるリナリーに対し、
「え?え?お姉様?」
何が何だかわからない。
ここまで、姉が怒った姿をみるのは今までなにないこと。
「あ。大丈夫。大丈夫だから。ナナリーは少しここでまってて」
とにかく、ルルーシュを起こさなければ。
あのままでは、体がしびれ、そのまま犠牲になるのは明白。
部屋の中から鍵をかける。
そして、ナナリーを部屋にあったクローゼットの中にと隠す。
そして、『みえない』ように力をかける。
これが見えるのは、血縁者のみ。
それ以外のものには、ここには何もないように見える。
かくれんぼのときなどにはこの能力がよく役にたったが、まさかこのようなことに使うハメになるとは。
「すぐにもどってくるから」
「え?お姉様?」
「かくれんぼ、だよ。ナナリー」
余計な心配はかけたくない。
だからこそ、にっこり微笑み、口元に手をあてる。
「わかりましたわ。お姉様。すぐにもどってきてくださいね?」
「とうぜん!お兄様とすぐにもどってくるわっ!」
ばたんっ。
それだけいって扉を閉める。
そして、部屋の中から二十に鍵をかけ、そのままそこから『移動』する。
そう、戻ってきたときと同じように――
「夢……か」
あの日のことはよく夢にみる。
「結局……」
あのとき、何もできなかった自分。
ルルーシュと、そして自分と、母親とで、襲撃者と戦った。
それでも、七歳と九歳では大人たちにとってはとるにも足らないもので。
だから。
偶然をよそおって地震を起こした。
それがよかったのか悪かったのかは判らない。
すくなくとも、あのときにはそれが最善の判断だとおもったから。
ゆれの低い地震とはいえ、襲撃者たちにとっては予想外。
そもそも、地震など滅多にあの国では起こるものではなかったから。
まさか、それでナナリーが悲鳴をあげて、襲撃者がナナリーに気づくなど。
そんなナナリーをかばうようにして背中に剣をうけた母親の姿がいまだに目に焼きついている。
いっておけばよかったのだ。
と思うのは後の祭り。
だけども、過ぎたことはかえられない。
いくら万能、ともいえる『力』を持っていても、過去には戻れない。
『視る』ことはできても、過去には介入できない。
それが何とももどかしい。
「ま。考えていても仕方ない。とにかく今は……」
ゆっくりと起き上がる。
いまだに状況は混乱している。
つい先日、ブリタニアがこの国、日本に攻め込んできた。
そして、枢木首相の自害で日本は完全に敗北した。
事実は、自害なのではなく、リナリーが殺したも同然なのだが。
あの男は、自分の子供達かいるのをみこしてこの国に戦いを仕掛けてきた。
その戦いにおいて自分たちが死ねば、それを理由にさらに大義名分ができる。
気になるのは、自分の名前がいまだに兄たちとは違って戸籍に残されたままだ、ということ。
おそらくは契約外の存在として産まれた自分に対し、多少の警戒をしているのだ。
とリナリーは理解している。
紫の瞳は契約の証。
その対象の人物として産まれた証。
特定の役割により瞳の色をたがえている。
それは父親であるブリタニア皇帝しか知らないはずの真実。
「おはようございます」
元気よく服を着替えて挨拶をする。
ここは、アシュフォード家が所有している小さな小島。
しばらくおちつくまでここで暮らしたほうがいい、というアシュフォード家の配慮。
かつて、アシュフォード家は、彼女たちの母親であるマリアンヌの後ろ盾でもあった。
そしてまた、かの家の保護があったからこそ彼らは日本、という異国の地で生きながらえられていた。
「あ。お姉様。おはようございます」
いつもとかわらぬその声に安心する。
とはいえ、かつての元気がよかったときの妹の姿とは異なる。
今の彼女は車椅子がなければ生活が不可能と成り果てている。
あのとき。
マリアンヌの体を突き抜けてナナリーの骨髄に達した弾丸。
それはナナリーから下半身の動きを奪い去った。
その場にいた刺客全てを、母親が殺されたその刹那。
頭がただ真っ白になってしまい、一瞬盛大に館を震わせた。
それゆえに襲撃者たちはそのままその重圧ともいえる、重力変化に耐えられずに死に絶えた。
すぐさま治療というか力を使い、それを直したものの。
目の前での惨劇、それは彼女の瞳から光をうばい、また動くことを奪った。
本来ならば歩けるほどに回復はしているのだが、理性がそれを妨げている。
自分が動いたから、叫んだから母親は殺された。
そう、心の奥で思い込み、自らの自由を無意識に封じてしまった大切な双子の妹。
「リナリー。やけにゆっくりだったんだな」
すでにみれば、兄であるルルーシュもまた席にとついている。
この地は基本、無人島のような場所。
彼らを世話する一人の日本人以外の人は存在しておらず。
食事などは定期的に怪しまれないように運ばれてきている。
「ちょっとね。あ、咲世子お姉様。いつもすいません」
といっても、咲世子自身も大人、というわけではない。
まだ十五にも満たない子供。
彼女もまた、ブリタニア侵攻時に親をなくし、アシュフォード家に助けられた経歴の持ち主。
「リナリー様。そのお姉様。というのは……」
そんなリナリーの言葉にただ苦笑するしかない咲世子。
「え?でも咲世子お姉様はお姉様ですし。ね。ナナリー?ルルーシュお兄様?」
「たしかに。咲世子お姉様はお姉様ですし」
「たしか、咲世子さんは俺と八つしか違わないしな」
咲世子は、アシュフォード家の当主からリナリー達が何ものなのかを聞かされている。
そしてまた、父親に切り捨てられ、利用されそうになっている、ということも。
こんな小さな子供まで利用しようとするブリタニアは許せない。
アシュフォード家の一族は、本国に隠れてこっそりと日本人たちを庇護してきていた一族。
彼らの匿名の寄付で助かった子供達は数え切れない。
だからこそ、彼らのことを聞かされて彼女は自分から志願した。
少しでも年齢の近い自分ならば少なくとも彼ら兄妹たちの不安をやわらげられるのではないか。
とおもったから――
そんな会話をしつつも、いつものように朝食をとるためにと席にとつく。
あれから一年。
それでもまだ何かしらごたごたとしている。
この地もまた日本ではあるが、こんな小さな島まではブリタニア軍は手が回らない。
正確にはほうっておかれている。
というのが実情。
まあ、混乱が収まったら収まったで物資の調達が難しくなるからいいけどね。
そっと心の中で一人思うリナリー。
彼女にとっては、そんな混乱している状況こそが周囲を気にしなくてすむ。
そもそも、誰もいなくなった場所にいって、『とって』くればいいのだから。
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あとがきもどき:
薫:題名がおもいつきません。
ちなみに、双子なので、ナナリー&リナリー、にしてみましたv
あ、皇帝の力はR2の初期段階では記憶操作、しかわかってませんけど。
両目にギアスがあったことから二種類あるのでは?と予測しております(笑
題名がおもいつくまでしばらく無題ですすめま~す。
それでは、またです♪
ではではv
2008年4月16日(水)某日
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