「う〜ん。何かピクニックみたい」 そろそろお昼にしようと、小川の横でシートを広げ休憩タイム。 そんなオレの言葉に。 「こっちは空気がまったく汚れてないからねぇ。汚染もされてないし」 用意されていたハンバーガーの形をしたサンドイッチを食べつつも。 そんな会話をするオレとアンリに。 「何だ?そのピニクック…というのは?」 「え?ここってピクニックの概念ないの!?」 ヴォルフラムの突っ込みに逆にこちらが驚いてしまう。 「まあ。キャンプの概念もここないからねぇ。外で火とか使ったらいろんな意味で危険だからって」 そんなアンリの説明に。 「そうなの?それじゃ。今度バーベキューでも提案してみようかなぁ? アウトドアにはもってこいだとおもうし」 「外で食べる。というのはこちらではあまりしませんからね。 夏の暑い日などにはしている家庭もあるでしょうけど」 オレのつぶやきに、コンラッドが説明してくる。 「そうなんだ。あ!みてみて!魚がいる!」 さすが川の水が綺麗なだけのことはある。 岸にいても、川の中の魚がみえるし。 「川なんだから当たり前だろうが。だまって食べろ」 横でそんなオレにとヴォルフラムがいってくる。 「情緒がないなぁ」 「ま、彼らは自然に囲まれた生活が当たり前だしね。 現代日本育ちの僕達かららは新鮮なことでも、彼らにとっては当たり前だしね」 「ま。そりゃわかるけどさ。何しろ日本は水すら買う時代だもんねぇ。水道水。あまりよくないし」 「水道は薬をかなり使ってるからねぇ。 かといって井戸とかほっても逆に都会では汚染された水が出てくるしさ。 深くほったりしたら、いろいろと配線などの関係でできるとこと出来ないとこがあるし」 そんなオレとアンリの会話に。 「ええいっ!おまえは何を猊下とわけのわからないことばかり話してるんだ!?」 なぜか叫んでくるヴォルフラム。 「いや、わけのわからないって……」 日本での当たり前なことを話してただけだけどなぁ? そんなオレたちの後ろでは。 「ギュンター。気がついたか?」 「ええ。罠のいくつかが解除されていましたね。 我々のほかにも山に入ったものがいるのかもしれません。気をつけていきましょう」 「ああ」 そんな会話をしているギュンターとコンラッド。 そして。 わいわいと騒いでいるオレたちにと向かって。 「陛下。ヴォルフ。しっかり食べておかないと。今度は山の斜面を登りますからね。 体力は温存しておいたほうがいいですよ?」 笑いながら言ってくるコンラッド。 そ〜いえば…・・・ 「まだ歩くようなの?」 オレの問いかけに。 「一番近くの巣に今は向かってますからね。あと一時間は覚悟しておいてください」 ……がくっ。 「……ドラゴンに会うのがこんなに大変だったなんて……」 思わず脱力するオレに。 「ほら。ユーリ。ファイト♪この程度でへばってどうするの?」 「…おまえは元気だな。アンリ……」 「だから、ユーリも早く力に慣れれば。浮かんだままで移動とかできて楽だよ〜?」 ・・・・って!? 「何!?っておまえまさかズルしてたのか!?」 「だってさぁ。道のりながいし」 「ゆるせんっ!こらまて!アンリ!」 ひょいっ! つかみかかろうとするオレは何なくあしらわれてしまう。 みれば、アンリの足元…少しだけ浮いてるし…… こいつ、どうやら体を少しほど浮かせて、すべるように歩いていたらしい… …そりゃ、疲れないわけだわ…… とりあえず、アンリをとっちめようと、アンリを捕まえようとして。 なぜかオレとアンリはその場にて、追いかけごっこに…… 「お二人とも。下手に体力つかたら後がつらいですよ〜?」 そんなオレたちにいってくるコンラッドに 「……何かあの二人…すごく息があってないか?」 「まあ。お二人は長い付き合いらしいですからね」 そんなことを言っているヴォルフラムとギュンターの姿。
とりあえず、昼食を終え。 オレたちは、さらに奥にと進んでゆく。
え〜と…… 「…な、何かどっちもどっち?」 長くつづく、斜面。 ここを上りきれば、竜の巣のある谷にとつくとか。 当然道なんてものはなく、ロッククライミング状態で上っていくしかないらしい…… アンリは何やらシーラに頼んで空気の階段を即席で作ってもらい、それを登っているけども。 だけどさ。 好きなほうを選べ…といわれても…… 階段の幅は人が一人通れるほど。 即席ゆえに、当然、手すりとかは何もなし。 足を踏み外せばそのまま落下…う〜む…… 「…階段にします……」 「僕も」 「では我々は横から登りますので」 アンリを先頭に、オレとヴォルフラムとで透明な空気の階段をのぼってゆく。 その横からは帆走するかのように、コンラッドとギュンターが、オレたちにスピードをあわせ、 がけ、というか斜面をよじのぼっている。 よくもまあ、かるく登れるものだ。 しかも、服を汚すこともなく、すいすいと。 コンラッドはともかく。 ギュンターもあんなひらひらの服でよく登れるものだ。 オレならあんな服だと絶対にこけることまちがいなし。 「何か天への階段…って感じ?」 何もないはずなのに、そこに透明な階段があるのがとっても不思議。 きっとドラクエ6の主人公もこんな感覚だったんだろうなぁ…… となぜか感心してみたり。 「いつまで登ればいいんだ!?ウェラー卿!」 何かヴォルフラムが横にいるコンラッドにと叫んでいる。 「ここを登りきればすぐですよ。ヴォルフ。まさか疲れたのか?何なら村でまっていても……」 「誰がつかれているものか!ただ聞いただけだ!!」 さすが兄。 弟のことをよくわかっている。 コンラッドの言葉に、ばて気味だったヴォルフラムが元気にとなっている。 そんな会話をしつつも、しばらく。 とにかくもくもくと階段と、そしてコンラッドたちは斜面をのぼることしばし。 やがて。 「ついたよ〜」 「つきましたよ。陛下」 「え!?本当!?」 アンリとコンラッドの声が同時に聞こえ。 思わず階段を駆け上る。 そして。 地面にしっかりと足をつけ。 コンラッドとアンリ、その横にギュンター。 三人がいる間をくぐり、彼らの視線の先をのぞいてみると。 そこはちょっとした切り立った崖の側面のそば。 少し遅れてヴォルフラムもやってくるけど。 「あそこが竜の巣です」 コンラッドが指し示す先には、確かに何か巣らしきものが見えているけど。 結構ここらは離れてるし…… 「こんな遠くからじゃ見えないよ」 オレのつぶやきに。 「竜はとても神経質な動物です。とくに今は子育ての時期ですから。 そっと離れて観察するのが望ましいんです」 そうオレに説明してくるギュンターだけど。 う〜ん…… どうにか目をこらしてよく見ようとすると。 「あ!何か動いた!」 何か視界の端で何かがもぞもぞと動くのが目にはいる。 もっとよく見ようと前にとでる。 と。 「「陛下!あぶないっ!」」 「ユーリ!前!!」 コンラッドとギュンター。 そしてアンリの声が同時に発せられる。 ――へ? 「…うわっ!?」 ずざざっ!! …どうやら、オレはどじなことに、道、というか地面がある。 と思い込んで…足を踏み出したものの、足元の地面の先は途切れていたようだ…… そのまま、斜面にそるようにしてすべりおちてるし。 う〜ん…… 足場の確認…怠ってたか。 かなり反省。
「てて……」 どうにかそんなに落ちることがなかったのは、途中の茂みに引っかかったためらしく。 こしを押さえて起き上がる。 と。 「陛下っ!ふせてっ!」 何やら上からコンラッドの声が。 「……は?」 オレが、何で?と理由を聞こうとするよりも先に。 ばさっ!! 何かが上空を横切る音が…… おそらくは、音に驚いて見に来たのだろう。 オレの目前にてドラゴンがとまってるけど。 ちなみに、容姿は西洋風だ。 なぜか不思議とこわくない。 「えっとぉ……」 何となく視線をそちらにと向けたら…目があうし。 どうやら巣にいたドラゴンのようだ。 と。 ぺろんっ。 「うわっ!?くすぐったっ!!」 いきなりドラゴンはオレの目の前にととまり、そしてオレをなめてくる。 いきなり舌で舐められる!? そして。 何やら。 「クァ〜!!」 一声いななき。 そのまま、オレの頭をそのまま、パクリ、と銜えて飛び上がる。 いやあの…… 案内する。 って何!? 何か今…このドラゴンの声がわかったオレって一体……??
「陛下っ!?」 何やら驚きの声を出しているギュンターに。 「あ。やっぱり気づくよねぇ。ユーリに赤ちゃんみせるきだ」 何かなごやか〜にそんなことをのんびりと言っているアンリの声が聞こえてくるけど。 ……? 赤ちゃん? オレが疑問に思う間もなく。 オレはふわふわと、頭をぱくり…と。 正確にいえば、歯も何もたてられていなく。 動物が子供を運ぶときのような感じの咬み方に似ているような気がする。 そのままドラゴンにと運ばれて。 ぼすっ!! 何やらやわらかい材質の上にと下ろされる。 …?あれ? ここって…もしかして??
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