「ツェリ様、アニシナさん、ギュンター・コンラッドにヴォルフラム…
  あとはっと。グウェンダルと…あ、ウルリーケの分も」
そういえば、彼女は何が好きなのだろう?
「ウリちゃんの?」
オレのつぶやきに、アンリが横でいってくるけど。
「ウリちゃんって……ま、まあいいけどさ。彼女どんなのがいいかなぁ?」
「ずっと託宣の間、というか眞王廟にこもりっきりだからねぇ。まったく、昔脱走する方法教えてるのにさ」
…そ、そ〜いやそんなこといってたっけ…アンリ……
「ネックレスとかブレスレットとか…かなぁ?やっぱしそれとか髪留め?」
「「ま、お土産っていっても気持ちだし。どれでもいいとおもうよ?」
「ま、そうなんだけど…さ」
とりあえず、ウルリーケにはオルゴールとブレスレット、花柄のかわいいやつにするとして。
最近、十八金のネックレスもかなり安くなってるからねぇ。
プラチナとかはまだ高いけど。
メッキなら尚安いし。
オルゴールの中にと両方を入れてもらい、それぞれ一つづつ包んでもらい、
間違えないようにメッセージカードもつけてもらう。
先にネックレスなどを宝石店で購入して、それから宝石箱へ。
そういったものができる、というのも一緒にある利点なのかもしれない。
「アンリ。お願い」
「名前だけでいいの?」
「いいんじゃない?オレも小さくかくから」
オレは日本語で、アンリにはあちらの文字でカードに大きく名前を書いてもらう。
「?」
お店の人はアンリが見たことのない文字を書いているので首をかしげているけど。
どうやら何かの記号か何か、と思っているらしい。
…ま、まあ確かに。
見ようによればそうとも取れるよなぁ…この文字は……
ついでにグウェンダルにはいつも政務や執務でもお世話になっているから、
あっちの世界でも使えるペン立てとか文鎮もいれておこう。
海の生物の形をしたペンギンとか白クマとか、いろいろとかわいいのがあるし。
ごまふあざらしの赤ちゃんバージョンの文鎮も結構かわいい。
ひつだとちょっぴり寂しいのでそれぞれにちょっとした付属をつけて一つの箱にと入れてもらう。
そんなこんなをしていると、お土産代だけで結構値が張るし……
ま、全員のお土産をなるべく買おう、と思って余分にお金は持ってきていたけどさ。
浮いた二万円でスピカが前々からほしがっていたでっかいペンギンぬいぐるみを家宛で送ってもらう。
「こんなものかな?」
何かアンリもいろいろと買ってるし。
あとは兵士の皆さんの分…
……は、人数的に一人一人に買っていたらそれこそお金がいくらあっても足りないし。
仕方ないので、でっかい缶入りの動物銘柄アメで簡便してもらおう。
それでも、全員すべてにいきわたる、というのは無理そうだけど……
ついでにそれらも重いので一緒に宅配してもらう。
ここ、シーワールド特性海の動物キャラクター巨大缶詰アメ。
ちなみに、一つあたり五キロ以上あり、中身にはかなりの数のアメが入っている。
ちなみに、小さな子供が万が一飲み込んだりした場合にビニールなどで大変なことにならないように、
口の中で溶ける素材の袋にと一つ一つ入っている、というすぐれもの。
それを数個購入して一緒にと家にと送ってもらう。
宅配サービス、というか黒猫サービスがあるし。

「結構券がもらえたねぇ」
「気がついたらね」
いろいろと購入していたら、いつのまにか計三万以上は買っていたりするオレ達二人。
三百円につき福引券一枚なので、百枚くらいの福引券がもらえていたりする。
全部引くのも何なので、ひとまず、アンリとオレとで数回ひいた後。
あとはいい。
といったところ、なんでかどっさりと海の生物くんお友達バージョン。
大量生産ヌイグルミ……それらをせっかくだから差し上げます。
とのこと。
何でも末等の場合でも一人につき二つヌイグルミを選んでもらうようにとなっていたらしい。
…こんなにあってもどうすんだろ?
という疑問もわくが。
とりあえず断ってもせめて少しだけでも…といってくるし。
……何だか雰囲気的に、どうやらヌイグルミを作りすぎちゃって困っているようだ……
おいおい……
もしくは、ご近所などに配ってもらってここの宣伝をかねているのかもしれないが。
…多分、両方。
シーワールドの従業員の意図的には……
すべてのヌイグルミにシーワールドのタグがついているので、配ったりしたら宣伝になるのは明らかだし。
ちゃっかりしてるよなぁ。
仕方ないので、ダンボール二箱分ほどもらい。
何でもランダムにいろいろと入っているらしいそれらも一緒に家にと宅配してらうことに。
明日の午前中。
十時から十一時までの時間指定なら、まだ時間的に大丈夫らしい。
黒猫さんはお仕事が速いよな。
などと思いつつ。
ペリカンさんも早いけど。
そんなことを思いつつ。
そろそろ、服ができたころだろうから。
というのでアンリとオレはショップゾーンをあとにする。


「どうもありがとうございました!」
きちんと洗濯してくれた服を受け取り、服を着替え。
借りていたシーワールドキャラクターや文字入りの服やズボンを戻そうとしたところ。
何でも記念にと差し上げます。
とのこと。
せっかくだからもらって帰るけど……何かものすごいサービスをしてもらって何かかなり悪い気がする……
今度はスピカをつれてきてみよう。
あと、ここのサービスはとてもいい。
というのを近所の人たちにもいうのを忘れないように…って。
たぶんシーワールドの関係者の皆様としてはそが目的なんだろうなぁ〜……
まあ、オレ的には踊らされても別にかまわないけど。
何しろ、今回は、全面的にエドさんが、イベントの最中に引っ張ったのが悪いんだし。
これくらいはシーワールドの人にしないと気がすまない。
というのもあるし…ね……

そんなこんなで。
とりあえず、遅めのお昼を食べてから家路にとつくことに。

その帰り、明日必要なもの。
特にカラーサングラスなどを買うのを忘れない。

明日十二時にあちらに出向くことを決め。
オレたちは一度それぞれの家にともどってゆく―――




何かとっても楽しい夢をみた。
アンリとシーワールドに出かけてもどり、家にもどってお土産を渡して夕ご飯を食べてねどこにとつく。
やっぱり家は一番落ち着く。
あっちも落ち着くけど、あっちでは何だかオレの部屋、だというのに。
ヴォルフラムが一緒に住み着いちゃってるし……
絶対にありえるはずのない夢だ。
なぜかアンリがいて、オレがいて。
そしてコンラッドたちやオレの実の父と母。
そしておふくろたち。
つまりは、渋谷家の面々が。
義兄がいて、義妹がいて、義母さんに義父さんの四人がいて。
ボブ叔父さんやツェリ様…といった面々で何か楽しくパーティーをしている。
そんな夢。
周りは何か白く輝くテーブルだけがひときわ目立っている。
ありえるはずもないのにジュリアさんもいるし。
直接にあったことは当然ないけども、直感でわかった。
彼女はオレだ。って。
夢の中の母さん、父さんはとても優しい人で……
「あれ?」
おきたとき自然に涙が出てきている自分に戸惑う。
何かとても暖かくなる夢だった。
…夢の最後に……振り向いたその先に、何かが見えた気がしたけど。
……覚えているのは…銀色の羽。
まるで天使とかのイメージにあるような不思議な……
ふと目がさめて、時計をみると、まだ朝の六時前だし。
でも二度寝をする気分でもない。
ひとまず服を着替えて早朝ランニングといきますか。
ずっと続けていることでもあるしね。

ジャージの上下はとても動きやすい。
首にタオルを巻いて町内をぐるり、と一周する。
もう少ししたら、夏休みの名物。
ラジオ体操にいく子供たちの声でにぎわうだろう。
川べりの土手を走りつつ、すれ違う犬の散歩の人たちとかるく挨拶。
太陽が昇り始め、いつもより一瞬なぜかまぶしくかんじ、思わずふらついてしまう。
だがしかし、すぐに体制を整える。
「よっし!今日からまたがんばるぞ!!」
今日で一応、戸籍上ではオレは十六の誕生日だ。
実際には産まれてから十八年たつらしいけど。
その辺りのことはよくわからないし。
何しろオレの出生どころか、その後の経験もまずは普通ならば誰も信じないようなことがあったらしいし。
どこかの漫画や小説の中じゃあるまいし…という。
小説や漫画もびっくり。
というような現実を経験していたりするらしいしなぁ……オレ……
覚えてないけど。
いつものコースを走り終え、七時ごろにといえにとたどり着く。
さってと。
お風呂に入ってからそれから朝食だ。


「あ。ゆ〜ちゃん。お帰り」
コトコトコト。
いいにおいが家の中をうめつくす。
「あれ?おやじは?」
「馬ちゃんならまだ寝てるんじゃないのかしら?
  昨日何かボブさんに呼び出されてもどってきたの遅かったみたいだし」
地球の魔王に?
何だったんだろ?
「兄貴は今研修中だしね」
何でも泊りがけの研究課題とか。
大学生も楽じゃない。
「スピカは?」
「まだラジオ体操からもどってないけど?」
「それじゃ、オレ迎えにいってくるよ」
大体この時間だと、友達と話しこんでいる…というところか。
近くの公園にて毎年決まって行われているラジオ体操。
小学生の夏の宿題の一つ。
最近では治安の関係で中止している地区もでているらしいけど。
やっぱり夏、といえばラジオ体操、というのは昔からのものだしね。
なくす、というのも何だかなぁ……
ジャージのまま外にと出る。
そしてかるくランニングをしつつ近くの公園にと向かってゆくと。
「あら。ゆ〜ちゃん?スピカちゃんのお迎え?」
「おはようございます。おばさん」
ご近所の顔見知りのおばさんが話しかけてきて軽く会話をかわす。
このおばさんにも子供がいて、したの子供はまだ小学一年生だ。
「ジョギングからもどったらまだ帰ってなかったので」
「うちの三女もよ。たぶん話し込んでいるのね」
一応、最近何かと物騒な事件の多いこのごろ。
子供のラジオ体操には以前より数名ほど大人が多くついている。
昔は大人が一人か二人。
下手すると、大人はいなくて上級生が指揮をとっていたけども。
このおばさん家はれっきとした人間だ。
うちの…つまり、オレが世話になっている家族のように片親が異種族。
ということはない。
異種族っていっても魔族。
というだけのことだけど。
それにこの地球の魔族も神族も人間とまったくかわらないから、はっきりいってわからない。
中には一生知らずにすごす人もいるらしい。
自分が何なのか、ということを。
まあ、それはそれとして。
オレが親父にもお袋にも似てないので近所の人はオレが『養子』ということは知っている。
お袋もあっけらかんと話したらしいし。
『でもゆ〜ちゃんはうちの子ですから』
と。
そのおおらかさには頭が下がる。



戻る  →BACK・・・  →NEXT・・・