「…あれ?」 何でオレ…ベットに寝てるわけ? 「ユーリ。目が覚めたみたいだね。体の調子はどう?」 どうって…… ベットに腰掛けてアンリが聞いてくる。 …もしかして? 「もしかしてオレまた何かやっちゃったの!?」 オレの言葉に。 「今回はまだ記憶にない…か。とりあえず、ユーリの行いで盗賊団は全員捕まったよ。 あのロゼって子もりぞっていう子も無事。とりあえず彼女が拾ったのは別の魔石だった。 ってことにして、昨夜作ったあれを渡しておいたから。 で、盗まれた、と思われる石のほうは僕が拾ったことにしておいたよ」 そう説明してくるアンリ。 …ま、まあアンリがそういえば疑うわけにはいかないだろう。 たとえグウェンダルすら表向きには。 「じゃ、あの子たち……」 「うん。今日は昨日のこともあって、お店は繁盛するんじゃないのかなぁ?」 その言葉に。 「しまった!?今何時!?今日も手伝いにいくっていったのに!!」 思わず飛び起きるオレに。 「……ユーリが王だってばれちゃってるけど?」 「………え゛?」 一体オレは何をやったというのだろう? 思わず固まるオレに。 「というか。あのお父さん、城に来てたし。フォンクライスト卿がユーリのこと探しまくってたからねぇ。 フォンクライスト卿ギュンター。といえば国民なら大概知ってるし。 国内美形ランキングでずっと一位をキープしてたらしいから。 ちなみに、今の一位は僕とユーリが同列で一位らしいよ?」 …何それ? 「つうか…そんなランキングなんかあるの?」 思わず問いかけるオレに。 「ま、どこの世界でも似たようなことはやるって」 何か明るい口調で言ってくるアンリだし。 「…じ、じゃあ手伝いにいかれないの?…約束したのに……」 「いってもいいけど。向こうが固まるとおもうなぁ?特にロゼとその父親が」 確かにアンリの言うことも最もだ。 だけど…… オレ的にはあの家族が気になるんですけど。 「とりあえず。地球の時間でいうならばもう十一時過ぎだし。 さ、おきて、おきて。体はもう大丈夫そうなんだろ? だったらウェラー卿にいって、あの家族の様子を確かめて。 とっととあっちにもどるよ?……僕まですぐにプールから浮かばなかったらどうなることか……」 いってブルリ、と身震いしているアンリ。 …そ〜いや、アンリは騒ぎが大きくなる前に、危険を冒して迎えに来てくれたんだった…… 「…と、とりあえず。お風呂にはいってご飯をたべて着替えます。」 「よろしい。それじゃ、僕は一度ユーリともどるって伝えてくるね。すぐに出かけられる用意しといて」 「わかった」 こういうときのアンリって手際…いつもながらいいよなぁ。 何か手の平の上で転がされているような感じがするような気もしなくもないけども。 元々着てきていた服はすでに洗濯されて、タンスの中にとしまわれている。 ポーチについては何と中身まで洗濯されていたり…・・・ サイフはさすがに紙幣らしきものをみたので、洗濯されるのは簡便されたらしい。 あと、何か携帯電話をみてアニシナさんが騒いでいたとか何とか…… …壊れなくてよかったよ。 分解したい、というアニシナさんをギュンターがオレたちがスヴェレラに向かった後止めてくれたらしい。 携帯も安くないから感謝感激。 とはまさにこのこと。
眞王廟に一度挨拶してそのままもどる。 というので今回こっちに移動してきたときの服。 トレーナーにGパンを着て、怪しまれないようにその上からフード付きマントを羽織る。 アンリも同じような格好になっているけど。 馬はそのまま、あちらにと一度もどる。 というので今回はオレもアンリの他人の馬に同乗して眞王廟にいくことに。 「うん。大丈夫そうだ」 「結構繁盛しているな」 眞王廟に向かいがてらその途中。 ロゼたちの様子を見に行くと、リゾットがお客さんの呼び込みをしており、店は中々繁盛しているようだ。 「本当だって!昨日の夜中に巨人がでて雷をおとしたんだよ〜?」 「またまた。この子は寝ぼけたんだね。」 「ちがうったらぁ!」 何かそんな母子の会話が聞こえてくるけど。 …巨人? 何のことだろ? 「とりあえず、彼らの様子は兵士たちにも気をつけておくようにいっておきますし。さ、いきましょうか」 「は〜い」 コンラッドの言葉に従い、オレはヴォルフラムの後ろに。 アンリはコンラッドの後ろにと乗り、ギュンターを伴って眞王廟にと向かってゆく。
何だかまだエドさんはもどってきてないらしいけど。 本当、一体何してるんだろ? エドさんは…… ウルリーケにと挨拶をすませ、オレとアンリは託宣の間より、地球にむけてもどることに。 アンリが壁にと手をつくと、その壁が何やらブラックホールのようにと成り果てる。 「さ!いくよ!」 「あっ!ちょっと!」 有無を言わさずアンリに引っ張られ。 オレは前のめりになる形で通いなれた道…というか。 ブラックホールもどきをくぐってゆく……
ぶはっ!!! 「あのなっ!アンリ!底付近に道をつなぐな!おぼれかっただろうが!!」 ざばっ!! 出現した場所は何と…どうやらプールの底近く。 オレ達が出現したとたんに、なぜかバンドウ君とエイジ君であろうイルカたちがよってくる。 あまりの恐怖に必死で水面にと浮かび上がり、一緒に浮かんできたアンリにととにかく文句。 と。 『わっ!!!』 『無事だぞ〜!!!』 『二人一緒に浮かんできたわ!!』 何やら四方八方より大歓声の声が…… え…えっと…… 思わず立ち泳ぎのまま、辺りを見渡せば。 ぐるり、と周りには観客席。 それらを埋め尽くす、人、人、人の姿が…… と。 ふわり、と何かに体を持ち上げられる。 「うわっ!?」 気づけば下からバンドウ君、もしくはエイジ君がオレを背に乗せてステージのほうにとむかっているし!? アンリのほうも何かイルカにのって、こっちの方は手なんか振っていたりする。 …はっきりいってオレ…気絶しそう…… 「お客様!?大丈夫ですか!?」 「気絶してたみたい」 アンリの言葉に。 「ああ。それで…なかなかみつからなかったのかしら?ともかく、二人とも。さ」 いってオレたち二人をプールから引き上げてくれるお姉さんと。 どうやらオレがプールに落ちた、というので呼ばれたらしき、捜索隊であろうダイバーさんの姿が。 ……あ、危なかった…・・・ もし、オレを捜索しにもぐられていたら…オレの姿が綺麗に消えている、というのがバレバレじゃん!? 時間的セーフ!! 「大丈夫ですか?ご気分とかは?」 「…何か生臭いだけ…はくしっゅ!」 気分がいいわけがない。 何しろヤツの背中にのってステージに運ばれたのだから。 だが、それをいうわけにはいかずに、とりあえず無難な言葉をいうと同時、思わずくしゃみがでてしまう。 さっきまで秋口の国にいたからなぁ…… こっちは太陽がガンガン照り付けている真夏日だ。 というのに。
とりあえず、どうにか無事にともどってこれたようだ。 何はともあれ。 とりあえすず、オレたちは服が濡れたままでは、何だから。 というので、従業員の待機室にと通されて着替えを手渡される。 服が洗濯されて乾くまではしばらく再び水族館内部をふらふらすることに。 何かお詫びとして、当シーワールドのグッズを差し上げます。 とかいってきてくれたが、丁寧にと断った。 ……だって、悪いのはエドさんだしさぁ…… ここの施設の人たちには落ち度はないし。 するとなぜかそれでは危険な目にあわせたので申し訳が立たない。 といってくるので、アンリが無難に。 お任せします。 と答えたところ…シーワールドのショッブでのみ利用可能な二万円分の買い物券をくれたりしたけど。 な……何か恐縮するよぉ〜…… 「ま、怪我の功名ってことで。お土産代ういたじゃん。どうせ明日またいくんだしさ。 あっちの人たち用のお土産でも買えば?」 アンリも又、なぜかオレの連れ…というのと。 飛び込んですばやくオレを引き上げた。 とかで感謝されて買い物券をもらっている。 いや、だから…引き上げたとかでなくて異世界にですね…とは言うわけにはいかないしなぁ。 時間的にアンリが飛び込んで約一分後にオレはもどって……否。 オレたちはプール水面上に浮かんできたらしい。 携帯で実際の時間を確認し、時計を合わせてうろうろとシーワールド内部のショップをうろつきまわる。 夏休み、ということもあり 『三百円以上お買い上げの方に三百円毎に福引一回。空クジなし』 というそんなイベントまでやっていたりするし。 「とりあえず、おふくろとスピカのお土産は必要だし……」 以前、流されちゃった経験から、唯一の形見でもあるロケットペンダントには。 おやじにたのんで知り合いの宝石店にと防水火口をしてもらった。 ゆえに、父さんや母さんの肖像画が水につかっても、ダメになるようなことはまずはもうない。 だってあっちにいったが為に、唯一ともいえる形見の絵姿がなくなったらオレはいやだし。 ……ま、まあ眞魔国の血盟城の中に、 父さんと母さんの使っていたとかいう品がか〜なり残されたままにとなっていたりするのはおいとくとして。 「そっか。あとはコンラッドたちにか」 それもいいかも。 とりあえず、グウェンダルはかわいいものが隙なので、何でも喜ばれるだろうし。 でもやっぱり土産ってある人とない人があったらえこひいきだよなぁ? う〜ん?…な、悩む…… とりあえず、確実にすぐに決められるといえばツェリ様のでしょう。 ツェリ様には宝石タイプの、というか海をモチーフにした宝石箱。 ちなみにオルゴールつきにするとして。 アニシナさんは…発明家さんだから、クリスタル…というかケースの中で魚が泳ぐやつにしよう。 きっと好奇心をそそられるはずだ。 作り物の魚が何もせずに中を動き回るのだから。 揺らしたりしたらさらに動きは早くなるし。 ギュンターには何にしよ? 「ギュンターには何がいいかなぁ?」 「ユーリからもらえるものだったら何でもいいとおもうけど?」 オレのつぶやきに、アンリが横から即答してくるけど。 それもなぁ…… 確かにそうかもしれないけど…さ。 「とりあえず。身につけられるものとか、ロケットペンダントとかは?」 う〜ん…… とりあえずペン立てにしておこう。うん。 結構綺麗なのがいろいろとあるし。 コンラッドには…っと、そだ、時計がいいかも。 腕時計かもしくは懐中時計が。 このシーワールドのショップって普通の品も扱ってるし。 なぜか中に宝石店とかもあるんだよなぁ〜…… 本当になぜか。 それか、時計はまた別の場所でいいのを買うとして、カフスボタンとかキーホルダー辺りが無難かな? あ、これいいかも、置時計。 あとはヴォルフだけど…… 絵が趣味だからジクソーパズル。 額縁つき。 にでもしておくか。 そんなことを思いつつ、とりあえず一人ひとりの土産を選んでいく。
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