エピローグ:

コチコチコチ。
時計の音が新鮮だ。
「なるほど。陛下のお育ちになったところでは、このようなもので時刻を計っているのですね。
  実に興味深い……」
「わたくしとしてはこの構造がとても興味深いですわ。
  これはぜひとも魔力で動く魔道時計を開発いたしましょう!!」
ギュンターの言葉に、アニシナが横でいい。
「…それはちょっと……」
何やら少し引いているギュンター。
「それよりさ?アニシナさん?ちょっと面白い提案があるんだけど?どう?」
何かイタズラを思いついたかのようなアンリの笑みをうけ。
「?猊下?何ですの?」
「どうせしばらくこっちに滞在するようになるだろうしさぁ。
  せっかくだし。翻訳機なんてものをつくってみる気ない?」
そんなアンリの言葉に。
「まあ!それは面白そうですね!!」
「でしょ?何しろ今のままだとさぁ。あちらからこちら。こちらからあちら。
  それぞれに誰かが移動したとしても言葉が通じないしね。
  以前のウェラー卿のときのようにNASA製の睡眠学習装置。
  あれを使うわけにはいかないし。どうせならこっちでつくってみようよ?
  僕も協力するからさ。というかとりあえず、日本語と英語と…
  他にも含めて十ヶ国語でもあれば対応は便利だとおもうしさ。
  それぞれの地球の言葉を魔族語に、魔族語をそれぞれの言葉に。
  どう?面白そうだとおもわない?」
「それはぜひとも!つくりがいがありますわ!
 ちょうどここに、いい実験モニアタがいることですし」
「わ…わたくしがですかぁぁ!?」
「いいじゃん。僕達の、というか。ユーリの育ったところの言葉を覚えるいい機会だよ?」
「そ…それは……。わかりました。この不詳ギュンター。協力いたします」
「決まり…だね」

…実は、箱の一つが…地球にあるんだよねぇ……
それに…今の調子だと…
どうもエドの話では人間達がまた無謀にもあれを悪用しようとしてるらしいし……
ユーリが覚醒する可能性もあるし。
そうしたらさ。
…ユーリは自力で誰をもこっちに運べ出すしさぁ……
早いうちに打てる手はうっとかないとね……

アンリがそんなことを内心思っていることは。
当然、アニシナやギュンターたちはしるはずもない。

すぐに開発できるものではない。
だがしかし。
できうれば、ユーリや自分の翼の羽を使うことなく翻訳することができれば。
…それにこしたことは…ない。

ユーリは今。
疲れているのかもはやもう眠っている。
夜遅く。
そんな会話をしている彼らの姿と。
「まあ、確かに。猊下のいうことも一理あるな」
会話に参加していたグウェンダルがつぶやき。

かくして。
内々にて、翻訳機作成の話は。
今ここにまとまってゆく……



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