エピローグ:

一体、何が起こった。
というのだろうか?
いきなりの、これまでの雨不足が嘘のような大雨。
それと共に、大気と混じって聞こえてくる不思議な旋律。
地上を埋め尽くす青白い光。
それらは雨の中、ふわふわと、空中を漂い、雨の中にときえてゆく。
人々の体にまとわりつくように。
それと同時。
今まで、完全に干上がっていた大地が突如として芽吹き。
一瞬のうちにと、新芽がでたかとおもうと、それらは一気にと成長する。
それは、さながら、伝説の中にある、天空人がとある歌を歌ったかのごとくに。
天空人の神の歌声は、地上に恵みをもたらし、乾いた死んだ大地にも再び命を芽吹かせる。
それは、伝説を知っているものならば、まず誰しもが知っていること。
昔、昔から語り継がれている…伝説の一つ。
光に触れると、かなりの怪我や病気をしているものですら、その症状が緩和され。
しばらくすると完全にと全快する。
普通、常識的に考えても、このようなことがありえるはずがない。
あるとすれば……

「…まさか……」
伝説の。
天空人が、この地上に再び降臨した?
と考えるものや。
また…噂では十八年前にと死亡した…とされていた天空人と魔族の御子が。
もしかしたら生きているのではないか……
と、まことしやかに。
真実性を帯びてささやかれ始めるのは……
そうは時間はかからない。

十数年前。
たしかに、天空人は、この地上にと降臨した。
というその事実は…ほとんど、その当時生きていたものならば、誰しも知っている事実……
その相手が魔族。
だということも。
それゆえに、魔族に対する偏見…というか、ねたみもかなり入っている。
というのも否めない……


…もし。万が一。
あのとき、暗殺された。
とされた、魔族と天空人との子供が生きていたとすれば?
このような現象は…たやすいはずだ。
ならば…もしかすると……

人々は、夢物語。
ときいていた古の伝説をまことしやかに噂する。

――もしかしたら……と。

それは……誰もが願っていながらも、絶対に不可能。
とされている…こと……



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