「まあ。ヴォルフラム様ったら大胆」 「この積極性に陛下が陥落する、というのもありえるわね」 「大変。大変。陛下ご寵愛トトの倍率もかわっちゃうっ!」 そんなことをいいながら何やらメモっているし。 なるほど。 何か面白そうなことをしている。 眞王廟で見せてもらった例の裏眞魔国日報に載ってたあれか。 「私コンラッド様に、二口もかけているのにぃ」 「さっそく報告。」 「あ、もしかしたらギュンター様かもよ?」 何かこっそりと部屋の中をのぞいて何やら言っている女の子たち三人。 確かこの娘たち、名前をドリア・ラザニア・サングリアっていったっけ? 別名。 眞王廟の中では、血盟城の三人娘。 とかいわれてたけど。 なるほど、納得。 「超大穴でグウェンダル様。ってこともありえるわよ?」 「彼はかわいいもの好きだからねぇ」 思わずその言葉に突っ込みをいれてみる。 だって事実だし。 「え〜?でもグウェンダル様って、でも陛下の前ではいつも眉間にしわを寄せてるしぃ」 「それはもしかしたら、愛しいものを前にしての苦悩の表情なのかもよ?」 「ツェリ様は国外だしぃ」 ツェリさん…そういえば、前回、ユーリがモルギフ探索からもどった後。 というか、正確にいったら、カヴァルケードとの条約が正式に結べたあとで。 何か面白いことしてたらしいけど。 グウェンダルがツェリさんがおいてた微香欄の原液を使っちゃってさ。 結局、あれの中和剤を作ってあげたのはあげたけどねぇ。 ユーリに影響でてもこまるし。 まあ、それはそうとして。 「あ。もしかしたら猊下。というのもあるかもよ?」 「それより、超・超大穴のアニシナ様とかは!?」 『それは絶対にない(とおもうね)。』 『・・・・?』 あ、ようやく気がついたらしい。 「さっきから。私たち以外の声がしてない?」 そんなことをいっているのは、たしかドリアとかいう少女だ。 それをうけて。 「そういえば……」 いってこちらをみてくるラザニアとかいう少女。 「なるほど。ユーリトトかぁ。何か楽しそうだね。で?今僕には何口かかってるの?」 にこにこと、彼女たちにと問いかける。 『げ…猊下ぁぁ!?』 僕の言葉に、三人がいきなり大声をあげるけど。 「あ。そんな大声をだしたら……
「……ん?」
…あた〜。 面白かったのに、ユーリに気づかれちゃったし。 女の子三人はなぜか僕の横で直立不動と成り果てている。 フォンビーレフッェルト卿とユーリのやりとりみるのって、 何か漫才みたいで楽しいんだけどねぇ…♪
「アンリ!?…って、?君たちは?」 何か叫び声というか大きな声が聞こえてそちらを振り向けば。 そこにはアンリの姿と、そして女の子三人の姿もあったりする。 そして、その女の子三人のうちの一人は…… 「あれ?確か君はこの前の?」 たしか、以前ヴォルフラムの炎につっこまれちゃった子だ。 「あ…あの!?そのっ!」 何か硬直しているようだけど。 そんなに硬くならなくてもいいのに…… 何かこちらが悪いことでもしているかのような気分になってしまうし…… 「それより。ユーリ。今、フォンビーレフェルト卿と面白い言い合いをしてたねぇv」 「面白くな〜いっ!!」 アンリのやつは、明らかに楽しんでいる。 どうやら面白がってアンリは隠れて聞いていたようだ。 女の子たちは…たぶん何か用事があってやってきて。 そして、オレとヴォルフラムが会話をしているのをみて、出てくるにこれなかったのだろう。 「まあまあ。…それより君たち。 フォンヴォルテール卿にこの城の中に侵入者が入ったって伝えてくれる? とりあえず、侵入してきたの六人ほどいるようだし」 さらり、と何やらいうアンリのその言葉に。 「何?!」 「え!?」 「「「え!?」」」 その言葉に、ヴォルフラムの顔が真剣そのものにとかわり。 女の子たちは驚きの表情を浮かべている。 「?アンリ?」 戸惑い、問いかけるオレに。 「城が教えてくれたからね。 格好的に言うと、さっきユーリが風呂の中でいってた忍者もどきさんみたいだよ?」 何やらにこやかにアンリがそんなことを言ってくるけど。 「いい?フォンヴォルテール卿にだけ伝えてね。 それと普通に振舞っていてね。でないと、君たちも危険かもしれないから」 アンリの言葉に、こくこくとうなづき、お辞儀をして出てゆく女の子たち。 「とりあえず。今回僕がいるのは彼らは知らないはずだし。 というわけで。ウリちゃん達に協力してもらったこれ。窓際にとりつけるよ〜」 何か楽しそうなアンリの声。 「つくったっ…って……」 アンリが手にしている袋の中には…… 「これってナルトじゃんっ!?」 「『なるこ』だってば。ユーリ。」 どっちでも似たようなもののような気がするけど…… 「これは?」 ヴォルフラムの戸惑いの声に。 「これに引っかかったら音がでるの。ちなみに鈴もつけてみたよ。 さ、とりつけとりつけ♪で、フォンビーレフェルト卿?」 「わかってる。僕がユーリのふりをしてここでねる」 いって、いつのまにかアンリの言葉に剣を持っているヴォルフラム。 え…? 「え?ヴォルフラム?」 戸惑うオレの言葉に。 「ユーリは僕と僕の部屋へ。壁と壁の間の空間をつないでるから。 外の窓や扉からユーリが部屋から出て行った、と知られてはまずいしね」 「……いや、だから……」 「城に入ってくるとは命しらずなやつだ。……何ものだ?」 「さあ?まだ僕にもわからないけどね。僕もこの血盟城にもどったとき深くフードをかぶってたし」 そんな会話をしているヴォルフラムとアンリだけど。 いや、そんなことよりも…… 「あの?アンリ?…本当に?」 冗談…とかでなくて? ねえ?? 「とりあえず。念のためだよ。いいね?ユーリ?」 真剣な表情でオレの肩をしっかりとつかんでいってくるアンリと。 「ユーリ。おまえは猊下とともにいろ。そのほうが安心だ」 そんなことをいってくるヴォルフラム。 「でも……」 「いいから。――いいね?」 「……わかった」 反対しても、又、何かオレがいても、足手まといかもしれない。 それは判っている…判っているけど…… 「けどっ!もし賊が本当に入ってきたとしても!殺したらだめだからなっ!」 オレの叫びに。 「努力はする」 「…ど…努力って……」 それじゃ、意味ないとおもう…というか、絶対に怪我とかさせたらだめだってばっ! オレがそう続いて言いかけるよりも早く。 「さ。ユーリ。長話は後で」 いって、オレをせかしてくるアンリだし。 「…ヴォルフ?気をつけろよ?」 「へなちょこに心配される筋合いはないっ!」 「大丈夫だって。相手はユーリを殺そうとはしてないみたいだし。 そんなそぶりを少しでも見せたら、城そのものが始末するっていってるし」 「「…始末って……」」 そんなアンリの言葉に思わず絶句。 どうやらヴォルフラムも同じ感覚に囚われたらしく、同じく言葉を失っている。 と…とにかく…… 何か気配というか雰囲気的に、侵入者が…つまりは賊がこの城の敷地内に入っている。 というのはどうやら事実のようだ。 下手にオレがさらわれたり、何かあったりでもしたら、それこそみんなに迷惑をかけまくるし。 もし、相手の狙いが本当にオレだった…としたら。 オレ…抵抗する力なんてもってないもんなぁ〜…… 相手をみたら、とりあえず説得は試みるつもりではあるけど。 とりあえず、ここは納得いかないまでも大人しくアンリの言葉に従っておこう…… というか…… こういう真剣な目をしているときのアンリに逆らったら…後が怖い……というのもあるし……
とりあえず、オレはアンリに言われるままにと。 アンリの部屋にとそのまま壁をすり抜けるようにして移動してゆく……
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