「……えと?」 ……ここ……どこ?? ふと気づいたら見知らぬ場所。 …え…えっと? と。 戸惑っていると、一瞬オレの真横の辺りが光ったかとおもうと。 次の瞬間。 なぜかそこには景色がゆがむのと同時に、アンリとコンラッドとヴォルフラムの姿が…… そして、なぜか拘束されているままの忍者もどきさんも一人ほど。 「…ユーリぃ…。頼むから力のコントロールくらいしてってば」 「?」 アンリがいきなり出現したかとおもうと、いきなりオレにとそんなことをいってくる。 何のこと? っていうよりここ…どこ? 「お〜ま〜え〜はぁぁ〜〜!!いきなり消えるなっ!」 何かいって叫んでくるヴォルフラム。 …は? まったくもって意味がわからない。 「…猊下がいてくださってるこれほど助かった。とおもったことはありませんでしたよ。 陛下。無意識にお一人で移動されるのは危険ですのでおやめください」 額に手をあてて、何やらため息まじりにそんなことをいってきているコンラッドの姿も。 「……?何のこと?というか…ここ…どこ?」 何かどこかの中庭っぽいような気がしなくもないけども。 えっと? …あれ? 何か視界の先に映ってるの…あれ…お城? 何かさっき頭に浮かんだ風景にとよく似ている。 「…馬鹿な。一瞬でシュピッツヴェーグ城にたどり着くなど……」 何やら一人つぶやいている忍者もどきさん。 「…は?」 思わず何が何だかわからないままに目を点にするオレに対し。 「ユーリは無意識下でこの人たちからここの景色を読み取って。 さらには一人で無意識のうちに移動しちゃったんだよ。 すぐに僕も気が付いて追いかけてきたけどね。 どうやら、みたところここは、シュピッツヴェーグ城の中の中庭みたいだね」 ため息とともにオレに説明してくるアンリ。 ……って…… 「ええ!?そんなこと、このオレにできるわけないじゃんっ!?」 そういや以前にも、ふと気づいたらどこか違う場所に行っていた。 ということがあったような気もしなくもないけども。 オレの最もな叫びに。 「…へなちょこめ……」 何かため息とともにそんなことをいっているヴォルフラム。 いや、そういわれても。 オレにできるわけがないってば。 …多分。 「…え…えっと……ま、いっか。考えるのは後にするとして。とにかく、話し合いにいってみよう!」 何でいきなりこんな場所に来ているのか、とかその他いろいろ。 理不尽…というか不思議なことはあるにしろ。 どうやら話からすれば、ここはシュピッツヴェーグ城のすでに敷地内らしい。 だったらすることを済ませてから悩んだほうが得だ。 というものだ。 ……何が得かはおいとくとして。
どうでもいいけど、ものすっごく気分が建物に近づくにつれてわるくなってくる。 ざわざわと人あらざるものたちの声。 しかも恨みつらみなどをもった声が直接脳に響いてくる。 そんな感覚――― さらには何やら戦仕度を整えているらしき人々の声までもが風にのって聞こえてくる。 「フォンシュピッツヴェーグ卿シュトッフェルに話があってきた。取次ぎを」 あまりに根強い負のオーラ。 屋敷といわず城そのものすらをも覆っている。 こんな中で暮らしていたら体調も絶対に芳しくないであろうに。 入り口にいた兵士にとアンリがいうと。 なぜか兵士達は驚愕の表情。 ちなみに捕らえたままの忍者もどきさんも一緒につれてきてはいるのだが。 兵士達は何やらパタパタと建物の中にと入っていき。 そして、ほんの数分もたたないうちにオレたちは建物の中にと通される。 「……くっ……」 「?ヴォルフラム?」 部屋に入るならヴォルフラムが険しい表情となり苦痛の表情をうかべている。 何やらかなり辛そうだ。 いきなりお腹でもいたくなったかな? 部屋の中には、何かでんっ!と大きな天然石のような物体が置かれている。 何か巨大なアメジストの原石の置物みたいだ。 石の色は違うけど。 「あれは……」 アンリがそれをみて何やらつぶやき。 そして。 「…まさかこんなものまで用意していたとは……」 コンラッドが何やらつぶやくようにといっている。 と。 「ようこそ。陛下。我が城へ」 何やら上のほうから声がする。 ふと振り仰ぎみれば。 「あ!?」 そこにはシュトッフェルとそしてもう一人。 何やらその後ろに灰色の髪の男性が控えている。 それと同時。 バンッ! ザザッ! 扉が四方から開かれ、何やら武器を手にした兵士達がなだれこんでくる。 「シュトッフェル!オレは話し合いにきただけだ!」 気分が悪くなるのをこらえつつ、二階の出っ張り部分にいるシュトッフェルにと叫ぶ。 「私が用があるのは陛下。あなたお一人です。 ……なるほど。噂は事実。どうやら双黒の大賢者殿もおられる様子。 おっと。コンラート。下手な真似はするでないぞ? でないと兵士達がそなたたちを狙っている。ヴォルフラムは動くのもつらかろうしな」 何かそんなことをいってくるし。 「きさま!?法石まで用意してたのか!?」 何かヴォルフラムが油汗を流しながら叫んでいる。 法石? その問いに答えることなく。 「武器をすててもらいましょうか?――下手な真似をしたらわかってますな?」 何かシュトッフェルの後ろで言っている男の人。 「シュトッフェル!こんなことをして国に対する謀反だぞ!?」 コンラッドが何やら叫んでいるけど。 「心外な。私は陛下に正しいことを教えようとしているだけ」 「武器を捨ててもらいましょうか」 「「……くっ……」」 何やら兵士達が弓やらを構え、コンラッドとヴォルフラムが剣を床にとおいている。 ムカムカする。 というかっ!! 「ちょっとあんたっ!そりゃいきなり話し合いにきたから驚くのはわかるけどっ! 兵士達まで巻き込むことないだろう!?オレはただアンタと話し合いたいだけだっ! 何で血盟城に賊を侵入させる必要があったのか!とかいろいろとなっ!」 シュトッフェルたちに対して指を突きつけて言い放つオレに対し。 「どうやら陛下はお疲れのご様子だ。部屋に案内しろ。――例のものを忘れるな」 などと、何やら兵士達に言っているけど。 こっちのいうこと聞いちゃいないし…… その言葉と同時。 何か手に青い石らしき一抱えもある物をもった兵士とやりを持った兵士が後ろから近づいてくる。 「くっ!」 「よせっ!ヴォルフ。――…陛下の身が危険にさらされる」 何か手を上げたヴォルフラムに対し、コンラッドが何か言っているけど。 「しかし。コンラート!」 「何よりも陛下の身が第一だ。 いくらシュトッフェルとて陛下を傷つけるようなことはすまい。……ここは様子をみるんだ」 「くっ!」 「こちらへお願いします」 槍を突きつけられ、オレとアンリはコンラッド達から引き離される。 「お二人にはゆっくりと。我々だけで話ができる部屋にと移っていただきます。 ――その二人は捕らえておけ。一応はかわいい妹の子供だ」 『はっ!!』 何かそう兵士たちに命じているシュトッフェルの姿を垣間見ながら、 オレとアンリは槍を突きつけられ、別の部屋にと移動させられてゆく。
…しかし…… この前よりシュトッフェルって人の纏っていた黒いオーラ……増えてるよ…お〜い……
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