ジェニファー義母さん直伝。 必殺おねだり攻撃。 瞳にコンタクトをいれ、髪を染め。 アンリが用意していた服にと季語得て町の人たちにと話をきいてゆく。 何かスカートっぽいデザインのような服。 見た目何か余計になんかオレって女の子っぽくなってないか? という疑問は残るけど。 アゴの下で手を組んで、相手の顔を上目遣いにみて、懇願するような眼差しをむける。 その状態で相手にと問いかけると、義母さんいわく。 これで大概相手は素直に応じてくれるらしい。 ちなみに、目薬なんかをいれて目を潤ますといっそう効果的…らしい。 何かちょっぴり…いや、か〜なり違うような気もしなくもないが。 確かに皆さんその方法だと素直にいろいろと話してくれる。 それでも有力な情報はなかなかにつかめない。 まあ、聞き込みってそういうものだ、とはわかっているけど。 ただはっきりと判るのは、この町に入ってずっと何者かに見られている。 ということ。 アンリは、 「そのうちに向こうから出てくるから気にしないで行動して」 とかいっているけど。 ま、確かに。 こちらを見張っているらしき人たちからは殺気はどうやら感じられないし。 ……多分。 王都から少し離れている町ではあるが、町は活気にと満ちている。 人々の笑い声やはしゃぐ声。 オレは彼らが平和に暮らしを続けていけるように、何かをしていく義務がある。 義務とかなくても皆を守りたい、とおもうのは当然のこと。 彼らだけでなくて全ての人々を守りたい。 そう願っているのは絶対に誰しも同じことのはずだ。 「なかなか有力な情報、でてこないね」 「ずっと何者かはついてきているがな」 「少なくとも、六人はいるね」 お昼をもう過ぎたけど、少し遅めの昼食タイム。 外では数名の兵士が不審者が入ってこないようにと食堂を見張っている。 人々も数日前から出没しているなぞの覆面男の調査に軍人がゃってきた。 という感じで捕らえているらしく、かなり協力的だ。 どうやら人々も不安が募っていたらしい。 何の被害もこの町においては出ていないにしろ。 まあ、子供を持つ親などは特に注意して警戒するのは当然のこと。 食堂にと入り。 オレとアンリ。 コンラッドとヴォルフ。 この四人で一つのテーブルにこかけ少し遅めの昼食をとりながら会話する。 周囲のテーブルには兵たちが座り、周囲を警戒している。 彼らは交代で食事をとり、警戒を怠らないようにとしているようだけど。 ……店の中にまでは入ってこないとおもうけどな〜…… そんなに警戒しなくても…… スパゲティのようなパスタを頼んで、運ばれてきたそれを食べながら。 「でも。何かこの警戒の仕方…逆に異常じゃない?何かさ。相手が逆に意識するんじゃぁ?」 そんなオレのしごく最もな意見に。 「お〜ま〜え〜は〜!!狙われている当人がそういってどうする!? 町でおまえに何かがあったら困るだろうがっ!」 ヴォルフラムがオレの質問に対していってくるけど。 「オレより町の人たちに何かあるほうが危険だよ。」 即答するオレに、なぜか顔に手をやっているヴォルフラムの姿が。 別にオレはおかしなことはいってないとおもうけど? 「念には念を。ですよ。 それに猊下のいわれたとおり。あの黒尽くめたちはこちらをマークしてますしね」 コンラッドの言葉に。 「そういうこと。あたは人通りのない場所にでも出向いていったら。 彼らのほうから出向いてくるのは目に見えてるし。 どうも彼ら、僕をユーリと間違えている節があるからそれを利用しない手はないでしょ♪」 アンリはオレとは違い、布で頭を隠してターバンみたいにしている状態だ。 よくみたら、その下に黒髪がある…とわからなくもない。 「おい!アンリ!」 オレの言葉は何のその。 「陛下はここで、ヴォルフとしばらく休んでいてください。俺と猊下とでやつらをおびき出します」 そんなことをいってくるコンラッド。 ってちょっとまてぃ! 「オレもいくっ!」 「ユーリはだ〜め。いい機会だし、町の人々の生活とかをよくみときなってば。 ユーリはまだ、こっちの町にあまり出たことないしね」 に〜っこりと微笑んでそういってくるアンリだけど。 「だけどっ!」 「とにかく。ここは僕達に任せて。捕まえたらユーリにも取り調べをしてもらうからさ」 いって、アンリとコンラッドは顔を見合わせて立ち上がる。 「ヴォルフ。陛下を頼んだぞ?」 「判ってる」 そんなやりとりをして外にでてゆく二人の姿が。 ああいうときのアンリに逆らったら…絶対に何かされるんだよなぁ〜… なので思わずオレは固まってしまったのだが。 その固まっているすきに二人は外にと出て行ってしまっていっていたりする。 ……おいっ! つうかさ? オレが普通は囮にならないといけないんじゃないの!? ねえ!? いつのまにそんな話がまとまってたの!? アンリやコンラッドの言いたいことは判る。 判るけど…… オレとしてはやっぱり自分の目で確かめて、やっぱり当人たちにきちんと聞いてみたい。 じっとしているなんて性にあわない。 ここは、どうにかヴォルフを説得することにかけてみよう。
どうにかヴォルフラムを説得し、食堂から外へと。 ずっと感じていたいくつもの気配がなくなっている。 どうやらコンラッド達のほうをおいかけていったらしい。 何かそのうちの一人だけは残っているようだけど。 まずは、もっと詳しく情報を集めてから行動を起こすことにしよう。 何にしても情報はかなり重要だし。 それゆえに、再び町の人たちに聞き込みを開始してゆく。 今度はオレとヴォルフラムの二人で。 少し離れてヴォルフラムの私兵らしき人々や兵士の方々が周囲を警戒しているけども。 何しろ探しているのは全身黒づくめの格好をしている人。 どう考えても目立つに決まっている。 それゆえに、町の人たちには見慣れない人を見なかったか。 というような質問をぶつけてみる。 都会ならば他人に無関心。 隣の家の人の顔すら知らない。 というのは日本でもよく聞くが、この国ではそういうことはなさそうだ。 お互いがお互いにそれぞれに差さえあって協力して生きている。 子供たちものびのびとすこやかに元気に何やら遊んでいるし。 中には。 「又。何か二十年ばかり前のようにはなりませんよね?」 と男たちの姿を見たことがある人はそう不安そうに問いかけてきたりもしたけど。 「窃盗犯人、とおもわれる人物たちの聞き込みですから」 とオレが素直に答えたら、 町の人はほっとした表情となり、ヴォルフラムはなぜか顔を手で覆っていたりしたけども。 別に事実をいっただけじゃん? どうしてそこで盛大にため息をつかれないといけないのやら。
「みんな平和そうだな」 アンリがいっていた。 人々を見るのもオレの役目…と。 確かにその通りだよ。アンリ。 オレの役目は国民全てが平和に暮らせて、それが全ての世界にも共通する。 それが当たり前の世界になるようにきっかけをつくり。 そしてそれが当たり前のこととなるようにと、成し遂げること。 そう自分できめた。 町の至るところでは、オレ…つまり新魔王を祝う品々が売り出され。 子供たちは何かモルギフのおもちゃをもって魔王ごっこをやってたり。 「今はな」 町の広場の噴水で少し休憩しつつ、周囲を見てつぶやくオレにヴォルフラムが答えてくる。 「そういや、二十年ばかり前って……」 「――ひどい戦があったからな……。国民の間にはまだそのときの不安は残っているハズだ」 気になっていたことを問いかけると少し戸惑いながら、それでもおしえてくれるヴォルフラム。 「ツェリ様の時代に?」 「母上のせいではないっ!母上は最後まで反対されていた! それを…それを強引に開戦にふみきったのは…やつ…シュトッフェルだ!!」 ヴォルフラムの体から怒りのオーラが立ち昇る。 「あいつは母上の兄。という立場で摂政になれたのをいいことに。好き勝手して… 挙句は、この国に余計な混乱と戦乱をよびこんだ!! 母上の意見も聞かずに独断で!だ!母上は政の全てをあいつにまかせていた。 自分では判断ができかねないから…と。それを!あの男はっ!!」 「落ち着けって。ヴォルフラム。…そっか。それであそこまで恨みの気が……」 誰に聞いても詳しくは教えてくれなかった昔のこと。 今のヴォルフラムの説明でも完全に詳しくはないけれど。 だけど大まかには理解ができたような気がする。 そして、その戦いは恐らくは…オレの前世でもあったジュリアさんが死んだ。 という原因の戦いにも関係しているはずだ。 アンリも似たようなことをいってたし。 「とにかく!今は平和になっているが。本当に平和になったわけではないぞ? いつあのような時のような状況に陥るか…… あのときは、ウェラー卿たちが率いるルッテンベルグ戦士団の活躍で。 魔族は勝利を勝ち取ったようなものだが……代償は…大きすぎた」 いって空を見上げていっているヴォルフラム。 「大丈夫。オレが絶対にそんなことにはさせないよ。戦争、なんて無意味だしさ。 何があっても人々を守るよ。それがオレの…上に立つものの役目だもん。 上にたつものでなくったって、オレはそうでなくても皆を守りたいし。 この笑顔を失わさせるようなことには……」 ? 何か以前も同じようなことをいったような記憶があるような? 気のせい…かな?
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