厨房の扉を開くと、そこには三人の女の子たちが。 「「「きゃ〜!!陛下に猊下よっ!それにコンラート閣下にヴォルフラム閣下まで!!」」」 何か女の子たちはオレたちをみて黄色い声をあげている。 「こんなところにおいでになるなんてっ!」 何かきゃ〜きゃ〜と騒いでいるけど。 ぐんっ。 「…ん?うわっ!?」 と、いきなり手にしているモルギフが強くひっぱってきて、 何やら女の子たちのほうにといこうとしているし。 「って!?うわっ!?モルギフ!?」 何か目をハートマークにして、女の子たちに剣なのに迫りそうになってるんですけど…… 「…う〜ん……本当に四千年前と性格がかわってるねぇ。女の子好きになってるし」 それをみてのんびりと、何やらしみじみといっているアンリ。 「うわっ!?モルギフ!?おまえまさか…あそこから出て女の子捜してただけぇ!?」 ずるずるとモルギフにひっぱられ、 不可抗力で女の子たちを追っかける格好になってしまっているオレ。 そんなオレをみて。 「魔剣のコントロールくらいしろっ!このへなちょこめっ!」 ヴォルフラムがいって、オレを後ろから羽交い絞め。 それでも、二人してずるずるとモルギフにひっぱられてしまう。 どうやら力はかなりあるらしい。 …こいつ、剣なのに…… 女の子たち三人はモルギフをみて、きゃ〜きゃ〜といって逃げ回っている。 そんな光景をみつつ。 「とりあえず。三人のうち、だれか宝物庫に最近はいった?」 アンリが腕を組んで三人に何やら問いかけてるけど。 そんなアンリの問いかけに。 「え?あ。はい。アニシナ様と……」 「――アニシナと?…まさか、また妙な薬を作る気なんじゃぁ……」 ようやく剣を押さえ込んだオレとヴォルフラムの耳にコンラッドの不安気な声が。 「そういえば……。兵の報告でアニシナが部屋に閉じこもって何かやっている。 といってたな……。とにかくアニシナは関係ないだろう。 下手に聞きにでもいったらそれこそ大惨事だ」 名を呼んで、女の子を追いかけるのをやめさせたオレにモルギフは抗議して何やら泣いてるし… モルギフが大人しくなったところで、 ヴォルフラムが額から一筋汗を流しつつ、そんなことをいってるけど。 「……それはあるかもね……」 思わずヴォルフラムの言葉に、乾いた笑いを浮かべつつ同意してしまう。 「アニシナはおいといて。他に何か気づいたことはないか?」 「そういえば……。用意しておいた料理が昨日なくなりましたけど……」 確か、ラザニアとかいう女の子がコンラッドの問いかけに答えてくる。 「…侵入者が食べたのかな?」 「可能性はあるね」 オレとアンリのそんな会話に。 「あのぉ?陛下?猊下?いったい?」 そう問いかけてくる三人の女の子たちだけど。 「あ。気にしないで。ちょっとした調査をしているだけだから」 「この城に賊が入り込んでいるようだ。おまえたちも十分に気をつけておけよ。」 「って!こわがらせてど〜すんだよっ!」 まったく、きっぱりと事実らしいことをいわなくても…… 「昨夜。彼女たちはそのこと知ってるから問題ないんじゃない?ユーリ?」 「そういう問題じゃないってば!」 アンリの言葉に思わず突っ込み。 「まあ、いずれは城中に知れ渡るとはおもいますけど…… とにかく。君たちも十分に気をつけて?いいね?」 ヴォルフラムやオレたちの会話にため息まじりのコンラッドが、 深い息をつきながら女の子たちにといっている。
とりあえず。 どうやらここには不審者はいないようなので、外にとでることに。 もしかして…結局振り出し? そんなことをおもいつつ、ひとまず広すぎるほどの中庭の一角にて腰をおろし少し休憩。 向こうから出向いてくるのを待ったほうが早いかも。 というアンリの意見で、オレは只今たった一人。 といっても、アンリたちは隠れて周囲で待機していたりする。 侵入者の狙いが本当にオレならば、まず仕掛けてくるであろう。 というので。 アンリが囮になる、といってきかなかったけど、オレだって少しは役に立ちたいし。 みれば、モルギフは泣きつかれたのか、ぐ〜ぐ〜いびきをかいて眠っている。 本当に変な剣だよな…… しかしど〜でもいいけど、気配を隠すのが下手…というか、何というか…… コンラッド達はきっちりと気配を隠している。 というのに対して、しばらくして近づいてくる三つの気配は丸判り。 ざざっ…… 音とともに、茂みが揺れて、出てくるのはどうみても黒尽くめの忍者もどき。 もしくは時代劇の暗殺者のコスチュームの方々。 ちなみに、人数は三名。 彼らはその手に短剣をもち、あからさまにとオレを狙っていたりする。 といっても殺す気とかはないみたいだが。 何はともあれ。 「何だってこんなことをするの?っていうか自分が何をしようとしているのか考えたことある?」 内心、さすがに多少はびっくりするものの。 ついついいつもの調子で説得を試みる。 と。 それと同時。 「…ユーリィ〜…。こんなときまで説得しようとするかなぁ?」 「陛下っ!下がってくださいっ!」 「猊下の言うとおり…だったな」 ふとみれば、三人の後ろにぴったりと気配を殺して近づいていたらしい、 アンリ・コンラッド・ヴォルフラムの三人が、男たちに剣や杖をむけて何やらいってるし。 「だってさ。この人たちに殺意ないみたいだし。だったら話し合いでさ〜」 忍者村とかにも幾度かいったことがあるためか、 それほど男たちの姿をみても、別に驚くようなことはないし。 あからさまにはめられた。 という感情丸出しのオーラを出して一人が何やら口笛を吹く。 「逃がすかっ!」 それと同時に走り出した男を追いかけているヴォ。フラムに。 あっさりと剣を弾き飛ばしてみぞおちを別の男にくらわせているコンラッド。 アンリはアンリで、ポカリ、と杖で残りの一人の頭を殴って気絶させてるし…… い…いたそ〜…… 今、アンリ…あの杖に電気…通してたよ…な? 電気というか雷の力を…… 体がしびれて男が動けなくなっているのが傍目にもわかってしまう…… いともあっさりと倒れた二人の仲間をみて驚きつつも、 オレの座っていた中庭にある噴水の像の上に残りの一人が飛び乗ってゆく。 だがしかし。 「逃がすかっ!炎に属する精霊よ。創主をほふった魔族に従えっ!」 ヴォルフラムの言葉と同時。 ヴォルフラムの手から炎が出現し。 その炎は男の体をかすめとり、そのままバランスを崩して噴水の中にと落っこちてくる。 が。 飛んできたコッヒーに直前に助けられていたりする。 えっと? 「コッヒー。まさかユーリを害そうとしたものの手助けする気じゃないよね」 に〜こり。 アンリが何か顔は笑っているのに笑っていない声で、飛んできた三体のコッヒーに話しかけると。 びくんっ! あからさまにその言葉に反応して、何やらぱっと男を手放していたりする。 「なっ!?馬鹿な!?骨飛族が命令に逆らうなどっ!」 そのまま手を離されて噴水の中にと落とされた男が何やらわめいているけど。 カチャリ。 「その命令。というのは誰のものか、教えてもらおうか」 そんな男の首に剣を突きつけてヴォルフラムが言い放つ。 「お〜い…ヴォルフ…それはちょっとやりすぎじゃあ……」 いくら襲撃してきた人、といってもそれはちょぴっとやりすぎだとおもうぞ……オレは…… 「何をいっている!こいつはおまえを狙ってきたんだぞ!? 大方竜王の石もこいつらの仲間の仕業だろうっ!」 「いやあの…狙われた云々はともかく……盗難騒ぎまで結びつけるのはちょっと……」 「今ここではかせてやるっ!」 「わぁ〜!!まてまてまてぃ!おまえ何か殺しかねない勢いだぞ!?」 「縛。」 「ぐっ!?」 何か剣をさらに近づけていっているヴォルフラムを後ろから抱え込みあわてて止める。 それと同時にアンリが何かつぶやき、なぜか男が動けなくなっていたりする。 そして。 「えいっ」 バチチッ!! 『・・・・・・・・・・・・・・・』 アンリが杖を男が浸かっているままの噴水の中にと浸けると、男の体に電流のようなものが流れ。 そのまま男は気絶していたりする。 それをみて思わず目を点にするオレとヴォルフラム。 「…?一種のスタンガンみたいなものですか?今のは?」 コンラッドが何とも的確な表現をしているけど。 なるほど。 言われてみればそうかもしんない…… 「とりあえず。侵入者三人ほど確保。ですね」 のんきにそんなことをいっているコンラッド。 …この状況で動じない。 というのはある意味すごいぞ……コンラッド…… アンリは……まあ前世の経験とかの記憶から、 もっとすごい経験した記憶とかあるだろうから動じない。 というのは判るけど…さ。
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