エピローグ:
………自分は忘れられてないかな? いや、絶対に忘れられてるような気がひしひしと…… 自分は魔王のそばにいたいのに。 しかも、今度の魔王は実は……だと知っているからなおさらに。 ユリティウス様ぁ……いや、シル様ぁ…… 自分をこんな宝物庫なんかにおいとかないで、できればそばにおいといてくださいよ…… 自分を火山に封印。 なんて言葉が出たときには、びっくりしたし。 だからそ、力の源である石を取り外したのも自分の意思。 何のために長い年月、あの泉の中で待っていたのかがわからない。 一番の目的は、シル様の力を回りに知られないように。 シル様、としてでなく、普通の魔王としての力のみを表面上にだすように。 自分は目くらましの役目をも担っている…になっているはずなのに…… 眞王と共に戦ったときも、そうだった。 あの強大な力を自分というモノにと置き換えたがゆえに。 本来の力は周りには気づかれなかった。 アーリー様にしろ、大賢者、と呼ばれる存在になったときにしろ。 自分の存在があってこそ、元々の存在意義は周りにはバレなかった。 だからこそ。 …それなのにぃ…… ……自分…すねますよ?ねえ??? ……せめて、美女というか若い女の子のそばにでもいたらな…… 本体が壊れることのない限り、自分の命は永遠のもの。 自分を壊すことができるのは……限られた存在のみ。 自分に魂を吹き込んだのは、他ならないシル様なんですから……はるかな昔…… そのときと、今の姿はまったく異なってはいますけど。 我が望みは、あなた様をお守りすること。 この一点が何よりなんですよ? ねぇ? ……だから! 頼みますから、ここからだしてくださいぃぃぃぃぃぃ!!!!
…誰か。 我が意思をかのお方に伝えてください…… アーリー様ぁぁ!! そばにいるならば伝えてくださいよぉぉ!!!!
「最近、宝物庫でうなり声がするんだって?」 「やだ〜。こわい。幽霊かしら?」 そんな会話をしているこの城に勤めている女性たちの声が聞こえてくる。 断じて違います。 というか、お嬢さんがた? そんな会話をしてないで、お願いだから自分をここから出してください……
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