コズミック・サブリナル ~第4話~
カチャカチャ。
このたびのことは内緒のそして秘密の対談。
それゆえに、ロザリア自身が恐縮しつつも席にとついた彼ら三人にと。
用意しておいたお茶を振るまっているロザリア。
「そんなに硬くならないで。それより、このたびは申し出を受けてくれてありがとね。」
そういってにっこり微笑む少女は紛れもなく普通の少女にしかみえない。
見えないが、その纏う気配とそして雰囲気が普通の人間でないことを、あからさまにと物語っている。
「え、いやあの……」
いったいどのように声をかければいいものか。
ヴィクトールが思わず声を詰まらすが。
「しかし、まさか女王陛下が直々に…とは。ちょっと質問いいですか?」
女王といえばまず雲の上の存在で、まずお目にかかれるものではない。
そんなことをおもいつつも。
ふとした疑問を質問しているセイラン。
「あら?何かしら?セイラン?」
そんなセイランの質問に答えているロザリアに。
「女王陛下の像には確か羽があったように思われるのですが。
それにうわさでは女王は白い羽をもっている。と。
でも今目の前にいる陛下は普通の少女ですよね?羽とかはなくて?」
「ああ。」
くす。
そんなセイランの質問に思わずくすりと顔を見渡し。
「それはあまり知られてないけど。あれはサクリアが具現化したものよ。
正装しているときにはサクリアが具現化するようにしているけど。
今でもできるけど?みたいの?」
くすりと笑いにっこりと微笑みかちゃりと手にした紅茶カップをテーブルの上にと置くアンジェリークに。
「い、いえ!ただちょっと気になっただけです!」
あわててぱたぱたと手を振っているセイラン。
「…あ、あの。陛下。それで、いったい?
見たところ別段に女王交代、というわけでもなさそうなんですが?」
普通、伝説では女王交代の時期には何らかの瑞兆が世界に現れる、そういわれている。
だが目の前にいる少女は自分たちのような素人でもわかるほど。
聖なる力に満ち溢れているのがすぐさまに感じ取れる。
一番気になってきたことを恐る恐る質問しているのは、とある惑星の皇太子でもあるティムカ。
そんな彼のその言葉に。
「ああ、そうだったわね。……ロザリア。説明はまだ?」
そういって隣にいるロザリアにと視線をむける。
「ええ。まだですわ。一応これは歴史的なことですしね。
それにいまだに守護聖たちにも正確には伝えてないことですし。」
そういうロザリアのその言葉に。
「それもそうね。彼らにはあれがきちんと形になってから伝える。ということにしたもんね。」
などとにっこりと微笑みつつ。
そして目の前に座っている三人にと視線をむけ。
「とりあえず簡単に説明すると。あなた方三人には。
これから生まれてくる、とある世界の新たな女王候補。彼女たちの教官をしてほしいのです。」
そういってにっこりとほほえむアンジェリークに続けて。
「実は私たちの宇宙がかつてあった場所にあらたな力の球体が発見されました。
それは陛下いわく【卵】らしいのですわ。」
そんなアンジェリークの言葉に続けて説明をしているロザリア。
「あなた方はその卵が成長し、あるべき姿になったときから。
品位、感性、精神。それらの世界を守ってゆくのに一番大切なもの。
それらを女王候補たちに与えてほしいのです。
今から生まれ出るあの卵からはまだ何もないまっさらの空間。
つまりは、ま、簡単にいったら、実は新たな宇宙が誕生しかけてるの。
今回の試験はその新たな新宇宙の女王を決定するもの。
普通の今までも女王試験とは違い、このたびは文字通り、宇宙そのものを育ててゆく。
そんな試験となります。それゆえにあなた方の協力が文字通り必要なの。わかったかしら?」
いきなり核心、というか理由を言われ、しばらくその意味を理解するのに時間がかかる。
「……は?あ…あの?陛下?それっていったい?」
思わず、かすれる声で問いかけるそんな彼らのその言葉に。
「ですから、実は今新たな宇宙が誕生しかけているのですわ。
宇宙育成に必要不可欠なもの。それは別にサクリアだけではありません。
それを導く宇宙の意思と心を通わせるもの。
そして。その心を通わせた存在そのものの成長、それも含まれます。
あなた方にはですから、しばらくはまだあの卵が成長するまでは。
それまでの間にこの地になれることを心がけて専念してください。」
そういいつつにっこりと微笑むロザリアに。
「ええ。あなたたち三人には。あの場所に新たな宇宙……
つまりは新たな銀河空間ができてからのち、本格的に教官として活動してもらうことになります。
それまではしばらくこの聖地に慣れ親しむことを心においてくださいね。
あなた方の家はもう用意してありますから。それと……学芸館の方も。」
学芸館とは。
女王候補たちがこれから三つの力を学ぶために作られた建物。
聖地の摩訶不思議。
別に大掛かりな工事をしたわけではない。
この聖地にある建物などのその大半は、女王の力にて創造されることが可能。
それゆえに守護聖たちにすら気づかれずに。
土地さえあれば一瞬のうちに創生することなど、リモージュにとってはたやすいこと。
事実はその土地すらをもリモージュは創造りだせるのであるが……
はじめてみる女王陛下はとても親しみやすく。
それでもどうしても、緊張してしまうのはそれは当然のことで。
いったい全体、何を話したのか説明をうけたのか。
緊張の中いろいろと説明をうけたものの。
それでもどこか心は上の空。
まあそれもそのはず。
何しろ宇宙を統べる女王陛下、そんな雲の上の存在が今彼らの目の前にいるのであるからして。
緊張の中、ふと彼らが気づいたときには。
「それではロザリア。
三人に学芸館とそして各自の私邸を案内してあげて。私はまだ執務が残ってるから。」
そういって席を立ち上がるアンジェリークに。
「わかりましたわ。陛下。それでは、みなさん、ご案内いたしますわ。」
一通りの説明を彼ら教官として招いた人々にと説明し。
そういいつつ席を立ち上がるロザリアとそしてアンジェリーク。
やがて。
彼らはいまだに緊張が解けないままに、ロザリアに案内されて学芸館にと案内されてゆく。
-第5話へー
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