まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
そろそろ完全にオリジナル性が発揮です(汗)
って、またセイラン合流までにいかなかったり(滝汗・・)
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メビウス・レクイエム ~第15話~
「…何かが……」
ぴたり。
思わず手にした筆がとまる。
気のせい、などでは…ない。
聖地より元の世界にと戻り。
より今まで以上に感性が敏感になっているのが自分で感じられる。
なぜか今までよりより深く、自然の動向というかその心を捉えることが簡単となり。
その感性の赴くまま、今まで以上によりよい作品などを生み出している彼。
そらを見上げれば、時が近づいてきているのが。
漠然と、自分の中にと感じられる。
どうして自分が必要とされるのか。
それはわからない。
だけども、確かに。あの女王試験のあのときより。
確かに自分の運命がゆっくりとどこかにむかって歩み始めているのが
漠然と感じ取られるのもまた事実。
宇宙にその名を知らぬものがいない芸術家。
だが、どうやら自分がすべきことは別のところにあるような…
それが何なのかがわからないのがとてももどかしい。
「ま、気にしてもしかたないね」
そう自分に言い聞かせ。
森の奥の中にとある彼の別荘のひとつである小屋の中にとそのまま姿をかき消してゆく。
「商人さん…というか、チャーリーさん!?」
思わず驚き目を見張る。
外にでて、しばらく歩いていると。
何やら見覚えのある姿が。
その聞き覚えのある声に露店を開いていた人物が思わず振り向く。
「って…!?アンジェリークちゃん!?って、えっ!?えっ!?」
ここにいるはずのない少女の声。
思わず耳を疑い振り向くが。
一瞬自分の耳がおかしくなったのではないか?
という疑問にさいなまれつつも。
露店を開いていた人物が振り向いた先にと見えるのは。
確かに見覚えのある人物と。
そして、見たこともないようなちょっとしたかわいい服にと身を包んでいる。
二度と会えないであろう、とおもっていたその人物。
その赤い服にレースがついている服がとてもよく似合っている。
そして頭のヘアバンドについている羽飾りなどもまた。
「チャーリーさん、お久しぶりです!」
いいつつも。
そんな彼の元にと駆け寄ってゆくコレット。
まさかこんなところであえるとは。
不安の中の救い、とはまさにこのことかもしれない。
そんなことを思いつつ。
彼の元にと駆け寄ってゆくコレット。
そんなコレットをしばし見つめ。
「…え、えっと他人の空似……というわけでもないでっしゃろ?
というか、どないしたんですか?新宇宙の女王となったお人がこんなところに?」
彼女は確かに、新宇宙、聖獣の宇宙の女王となり、新宇宙にといるはずである。
それがこんな場所にいるはずもない。
そんなことを思いつつ問いかけるチャーリー、と呼ばれたその人物。
緑の長い髪を赤いバンダナでひとつにまとめ。
服装はあたりが寒い、というのにもかかわらずに軽装。
かつて、女王試験を行っていたときに。
日の曜日に聖地の庭園の中にとある公園内部で、露店を開いていたこの人物。
見た目からは想像もできはしないが、これでも宇宙にその名前を知らないものはいない。
という、大財閥、ウォン財閥の総帥でもあるこの人物。
チャールズ=ウォン。
それが彼の名前。
通称、チャーリー。
「よかった!チャーリーさん!実は大変なことが…手をかしてほしいんです!」
何やら真剣そうにいってくるそんなコレットの言葉に。
「…何やら何か大変なことが起こってるようでっしゃな。
ちとまってや。店を片付けてから詳しく聞くさかい」
いいつつも。
何かコレットがここにいる、というのと、先日より感じている何かの不安。
宇宙に何かが起こっている、それは彼の情報網からしてもわかっている。
それゆえに。
コレットの詳しい話を聞くには、店を出したまま、というわけにもいかず。
てきぱきと店をたたむ準備を始めてゆくチャーリー、と呼ばれたその男性。
さすがにこういったことには慣れているのか。
数分もたたないうちに。
そこに出ていた出店はあっというまにとたたまれ。
そして。
「おっしゃ。お待たせ。とりあえずどこか店か何かにはいってから話でもしよっか?
どうもまた雪が降りかけてきたし」
みれば。
一時ほどやんでいた雪が再び降り始め、風とともにふぶき始めている。
そんなチャーリーの言葉に。
「あ、それでしたら、私たちが泊まっている宿に…」
「私…たち?何や、やっぱり何かあったんかいな……聖地で何かあったんかいな?」
ここにコレットがいる、という事実からしても、何かがあった。
というのは、一目瞭然。
そして、先日より感じる不可解な何か。
聖地で何かが起こったのであれば、確かに。
自分たちの力でどうにかできるものではないのだが。
まさか、移動した宇宙の軋みが今さらになって出てきているのでは?
などといった不安もよぎる。
そんなチャーリーの不安を知ってか知らずか。
「こんなところでチャーリーさんにお会いできるなんて。きっと陛下のお導きですね。実は……」
宿にと向かう道すがら。
周りに誰もいないのを確認し。
簡単に、今この世界というかこの神鳥の宇宙が置かれている状況をチャーリーにと説明してゆく。
皇帝、と名乗る人物が守護聖、そして女王を塔の中に閉じ込めたこと。
守護聖たちはとらわれ、今メルがどこに彼らがとらわれているか占っている、ということ。
それは、とても信じられないような事実。
「私はロザリア様に頼まれてあちらの宇宙からやってきたんです…
私に少しでもできることがあれば、と」
コレットの口より、今の現状を具間きき。
今現在、ウォン財閥に所属している旅の行商人たちなどから連絡が途絶えたのか。
ようやくコレットの説明にて納得がいく。
各星などにと出向いていった組織の人間が最近忽然と消息を立つ。
ということは、総帥でもある彼の耳にも届いている。
だからこそ、原因究明、という意味もこめて、この星にとやってきているのだからして。
「なるほど、そういうことかいな…それで納得や。
いやな。俺がここにいるのも。最近消息不明となる連絡が後をたたんでな。
で、最近消息をたった。という従業員のことを調べるべくこうして出向いてきてるわけや」
宿にと戻りながら。
どうして今自分がここにいるのかをコレットにと説明してゆくチャーリー。
確かに何かがこの宇宙で起こっている、というのは漠然とは理解していた。
何しろ聖地との連絡がぱったりと取れなくなっていたここ最近。
まさか、聖地が侵略されていようなど夢にも思うはずもなかったが…
「あ、私たちが泊まっているのはここです」
一通り、説明を終えたころ。
二人は宿の前にとたどり着いてゆく。
バタン!
二人が宿の前にとたどり着き、中にと入ろうとしたその矢先。
勢いよく宿の扉が開かれる。
「って、メルちゃん!?」
「メルさん?どうかなさったんですか?」
ふと見れば、出口より飛び出してくるのは、二人にとっても見覚えのあるその人物。
そんな二人の声にふと反応し。
思わず前を振り向くメルの目にと飛び込んできた姿は。
「ああ!アンジェリーク!あのね、あのね……って、商人さん!?」
コレットの横にチャーリーがいるのに気づき。
驚きの声を発してゆく。
「ちょうどチャーリーさんとそこの露店で再会しまして…
それより、メルさん?あわててどうかなさったんですか?」
そんなコレットの説明と問いかけに。
はた。
とわれにと戻り。
「ああ!そうだった!あのね。セイランさんのいる場所がわかったよ!
あと、リュミエール様とオリヴィエ様のいるところも!」
メルのそんな言葉に思わず顔を見合せ。
「何ですって!?」
「何やて!?」
コレットとチャーリー、二人の声が同時にと重なってゆく。
「陛下…これは…」
目の前にと映し出されているのは守護聖たちの姿。
ここがいったいどこなのか、疑問は山ほどあるにしろ。
だけどこの空間はとてもどこか懐かしい。
聖地の聖殿、その中にとある東の塔。
そのとある一室の壁よりここには確かに入ってきたはずである。
確かに聖地の一部なのであろうが。
景色というかまったく雰囲気が異なっている。
そう、しいて言えば…まるで、すべてを包み込むような…虚無、ともいえるそんな感覚。
だがしかし、逆にすべてを包み込むそんな感覚もまた感じられる。
この感覚は、彼女は女王特待生として、その教育をうけていたときにと習っている。
この感覚は…そう、宇宙空間そのもの、その感覚。
すべてを生み出し、そしてまたすべてを滅ぼし、慈しみ、そしてまた破壊する。
そんな空間の雰囲気。
それは言葉では言い表せないその感覚。
「ロザリア。よくきてくれたわ。あのね。あのね、手伝ってほしいの」
にっこりと、戸惑うロザリアにと微笑みかけるリモージュ。
「それはかまいませんが…ここはいったい?」
「ここはすべての源ともいうべき空間。それはそうと、早くしないと虚無が満ちてしまうわ。
ロザリア、説明はあと。それより…ほら」
みれば、自分たちが住んでいる宇宙と少し離れた場所にとあるとある星雲系。
確か数千万光年年以上、離れている場所にとあるらしきその宇宙。
知識でしか知らないはずなのに、なぜかその宇宙だ、とわかる自分に疑問を感じつつも。
目の前にと見えているのは、その宇宙がゆっくりとだがしかし確実に闇にと覆われている、
そんな光景。
まるで、闇が生きているかのごとくに、すべての光を包み込み消滅させていっている。
もしかして自分たちの住んでいるこの守るべき宇宙もまた、あのようになってしまうのか?
と思ってしまうと。
思わずぞくり、と体が震えてしまう。
「あの地は要となる存在を失ったことよにより急激に消滅の道にと入ったんだけど…
あの場所とこの世界は今道ができているから、
あの余波がこの世界に入り込む可能性があるのよ。それを防ぎたいの。
ロザリア、協力してくれるわよね?」
聞きたいことは山ほどある。
だけども。
もし、あれが、この世界に入り込んでしまえば…
それは誰に聞くともなく明らか。
せっかく、滅びゆく宇宙より新宇宙にと移動し、安定したこの新たなる世界。
ほかの場所の影響で被害を受けるなどあってはならぬこと。
「聞きたいことは山ほどありますが、とりあえず今は陛下のご期待に沿いたいと思いますわ」
「ありがと~!ロザリア。だから好きよv」
にっこりとそんなロザリアに対して微笑むリモージュ。
自分ひとりの力だけでは完全、というわけにはいかないのだ。
あの地は…かつて、ロザリアの力もまた使われているがゆえに。
かの地が滅ぶのは自業自得。
だけども……
しばし。
異世界、ともいえる別の世界というか別の宇宙、
星雲系よりこの星雲系にと向けられている闇の力を押しのけるために、
意識を集中してゆく二人の姿がしばし見受けられてゆく。
「…ここですか?」
深い霧にと覆われた星。
それがここ、深き霧の惑星。
星の小径をとおり、ティムカがいる、と占いにでてきたこの惑星にとやってきているコレット一行。
チャーリーを仲間にと加え。
今、この一行はコレットを含め、メル・ヴィクトール・チャーリー・ティムカ。
五人の旅となってはいるが。
先刻までいた細雪の町において、チャーリーの話をきき。
やはり躊躇はしていられない、というヴィクトールの意見も優先し。
ひとまず、セイランを向かえにいき、協力を要請し。
それから、どこにいるかが判明したオリヴィエたちを救出にいこう、というのが彼らの意見。
一番セイランが近くにいる、と思われる町の近くにと移動した。
だがしかし、町の中はなぜか静まり返っている。
それがなおいっそう、深い霧とあいまって静けさとそしてまた、不気味さをかもし出している。
あたりの森から聞こえるのは人あらざる何かの声。
「うん?ここはこんなに静かなはずはないんだが……」
「そうですなぁ。ここは結構にぎわっていた町のはずなんでっしゃが……」
町の様子をみてそんなことを話しているヴィクトールとチャーリー。
彼らはその職業がら様々な場所などに精通しており、そのあたりの知識などは豊富。
「確かにセイランさんはこの近くにいるよ。だけど詳しい場所までは…」
水晶はこの近くにセイランがいる、ということを物語っている。
だが、今の彼の力と、そしてまた、何らかの妨害の力が入っている今においては。
完全に特定した場所を示すことができない。
それが何よりももどかしい。
そんなメルの言葉に。
「とりあえず、町の人に話を聞いてみましょう」
「だな」
ティムカの意見にうなづくアリオス。
うなづきつつもあたりを見渡し意識をとぎすさむ。
どうやらユージィンはこのあたりのものはあらかた完了させたようだな。
意識を集中させれば、負の力にととらわれた人々が、あたりの森などにおいて、
異形の存在…
すなわち、魔物やモンスター、と呼ばれている存在となり人々などに恐怖を与えている。
それが手にとるようにとわかる。
それらは人の心の闇が具現化したもの。
そして、それゆえに、恐怖などが高まっていけば、また再び魔物は存在してゆく。
つまり、魔物とは、人の心が生み出せしもの。
その心の作り出した魔にと人は姿を飲み込まれる。
「とりあえず手分けをして町の人などから話をきいてみよう。
ティムカとメルはあっちを。チャーリーは俺と。アンジェリークはアリオスと。いいな?」
てきぱきとしたヴィクトールの意見により。
それぞれにと話を聞く場所を分担し。
ひとまず一行は人々の話を聞くためにと分かれてゆく。
「…え?水色の髪をした…美青年?」
「その人が来てからかねぇ。最近、このあたりに見たこともない魔物が出没するようになって…
王立派遣軍の人もきてくれたけど…何か行方不明とかになってねぇ……」
町の人にと話を聞いてゆく中で。
そのような情報がもたらされてゆく。
水色の髪をした美青年。
その容姿を詳しく聞いてゆく彼らの脳裏にまず浮かんだものは…
その外見の特徴からしても、まず間違いはないであろう。
だが、ただひとつだけ。
「瞳の色が燃えるような血のような紅でねェ……」
その言葉が別人だ。
ということを暗にとさししめしているものの。
町の中で得られた情報はといえば。
最近、このあたりに見たこともない魔物が出現しはじめた、ということ。
見知らぬ水色の髪に紅い瞳の美青年がやってきた、ということ。
そして…
「ああ、その人ならおそらく、一人で森の中にはいっていった人のことかな?」
数時間の聞き込みを得て。
ようやくセイランの情報らしきものを彼らがつかんだときには。
すでに日は傾きかけているのであった……
-第16話へー
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あとがきもどき:
リモージュとチャーリーとのかかわりは。
「リモージュの秘密の大作戦」を参考にしていただけたらありがたいかなぁ?(まて)
聖地と外界との時間の流れを象徴しているお話ですし(だからまて)
ちなみに。ただいまの時間率、リモージュ、ゆっくりと設定していたり。
理由は・・・・ふふ。わかりますよねぇ?ふふふv
何はともあれ、それではまた次回にて。
2004年8月4日某日
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