まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

今回は、ちょこっとそれぞれの現状?

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メビウス・レクイエム   ~第14話~

「い……いたぁっ!」
「ここ……どこだろ?」
深い霧が立ち込めているそんな惑星。
その中に映し出されているのは、青い髪の青年が一人。
そこはどこか霧の深い場所。
そしてまた。
途切れ途切れに水晶に映りこむのは。
熱帯雨林らしきものに囲まれたそんな場所。
その中を歩いている水色の髪の男性と派手な衣装をその身にまとっている男性。
そして…
どこか薄暗い場所の中にいる赤い髪の男性と黒い長髪の男性に。
おそらくは砂地であろう。
どこかの砂の上にといる金の髪と、頭にターバンを巻いている二人の男性の姿が。
「一番強く映っているのは、セイランさんだね……」
そのほかは、詳しく調べようとすると。
何かの力に邪魔されて、水晶にと映りこむ映像が乱れて詳しくは特定できない。
だがしかし、以前よりは確実にその映像が鮮明になっているのは一目瞭然。
精神を集中させ、そして意識を集中させ。
宇宙の鼓動、すなわち、星星のささやきにと耳を澄ませ。
自分が知りたいことの情報を星星のささやきから感じ取る。
それが、彼たち、火龍族のもつ特殊能力。
かつては誰もが星の声を聞けていた時期があったのであるが。
今はそれは遠い昔のこと。
だがしかし、そんなことをこの少年、メルは知るはずもなく。
「とりあえず、アンジェリークたちに連絡しなきゃ!」
いいつつも。
そのまま部屋を後にしてゆくメルの姿が。
とある宿屋の一室においてしばし見受けられてゆく。



「いったい何が……」
女王試験も完了し。
再び安定していたはずである。
自分の中の不思議な力が問いかけている。
何かが起こっている…と。
それが何なのかはわからないが。
聖地に何かがあり、宇宙の均衡が乱れ始めている、というのは。
何となくその感性から感じ取られる。
自然がざわめきたっている。
自然の心を感じ取り、その感性のままにと絵に、詩にと。
それぞれの言葉などをそれらにのせ。
気のむくままにと表現している彼だからこそ。
少しの変化も見逃さない。
感じるのは、確かに異質な力が、この地、いや、この世界にと満ちている、ということ。
「女王陛下と同じ……いや、似通った力?」
漠然と根拠があるわけではないが自然と感じる。
「…とにかく、ここにいたら何か危険のようだね」
そうつぶやき。
そのまま。
山の中にと足を踏み入れてゆく。
その中に、彼の別荘地のひとつである小さな小屋があるがゆえ、
そのまま森の中にと足を進めてゆく。

ピピピ。
「うわ!?何だ!?この鳥は!?」
「確かあの守護聖の鳥だ!逃がすな!」
地下室の一室にと閉じ込められ、唯一ある窓には枷がはめられ。
しかも、何らかの特殊な結界が施されている。
先ほど感じたリモージュの女王のその力。
その力を元に力を振り絞り。
その枷にとかけられている結界に小さいながらも
少しのほころびを生じさせることにと成功した。
だが、人一人が通れるほどの大きさではなく。
それゆえに。
唯一の出入り口。
どうやらここを閉じている鍵となる仕掛けは。
ここより離れた場所にある、というのだけ、感じ取られる。
それは、この屋敷が木をも数多と使っているがゆえに。
緑の守護聖たる彼、マルセルに当然ながらそのあたりのことは感じ取られる。
小さな結界のほころびとはいえ。
その場所から力を注ぐことは可能。
外にと生えている植物に、その自らの力を注ぎ込み。
急速に外にと生えている蔓状の植物を成長させてゆく。
植物の力を利用し、窓の枷をはずす試み。
その間の注意を彼の飼っている青い鳥【チュピ】がその間、
見張りの人間の注意をそらしてゆく。
そして。
チュピを追いかけて、あたりに人の気配がなくなったのを確認し。
「いまだ!」
そのまま。
この部屋には様々な品物が置かれているがゆえに。
どうやらここは、この家の荷物置き場、いわゆる倉庫のような役割をしているようで。
それらの品物を積み上げ。
戸口以外の唯一の出口である窓にと。
そのまま身を乗り出してゆく金の髪の少年…マルセルの姿が。
しばし、じたばたと地下より出ようともがく少年の姿がその場にて見受けられてゆく。


「なあ?あれ…マルセルのチュピじゃねぇか?」
地下に向かおうとすれども。
目にみえない何かの力。
自分たちの力、つまりはサクリアをもってしても破壊できないその力。
その不可解な力に阻まれて、地下にいくことができない。
自分たちはこうして、どうにか脱出できた、というのにもかかわらず。
地下にいるであろう、もう一人の人物、マルセルを助けにいくことができずに、
口には出さないがとてもはがゆい。
とりあえず、外にでて対策を考えようと。
見張りのものたちの目をかいくぐり。
外にでているこの二人。
鋼と風の守護聖、ゼフェルとランディ。
この異変に一番初めにかかわった人物ではあるのだが。
ふと。
空に飛ぶ青い鳥の姿を目にして。
そんなことをつぶやくゼフィル。
「ゼフェル!隠れろ!見張りだ!」
ふと、
その背後より追いかけてきている何やら少しばかり武装した格好の人間の姿を目に捉え。
あわてて、そんなゼフィルをそこにある茂みの中にと押し込んでいるランディ。
がさっ!
二人がそのまま、茂みの中にその身を潜めると同時。
「どこいった!?」
「あそこだ!逃がすな!」
もしかして、救助の手紙か何かを託されているかもしれない。
そう考え、そのままチュピを追いかけてゆく二人の男性。
そのまま、二人が彼らが隠れている茂みの中を通り越し。
上空を飛んでゆくチュピのみに気をとられているそんな隙をみて。
二人、そのまま無言で顔を見合わせうなづきあう。
そして。
「おい」
「ちょっと」
がさり。
そのまま隠れていた茂みよりその体を起こし。
チュピを追いかけている二人の男性にと話しかける。
「な゛!?」
「貴様ら!?いつの間に!?」
二人の姿をみて、思わず驚愕するそんな彼らの狼狽振りは気にも留めず。
そのまま。
二人。
手を軽く前にと突き出し。
次の瞬間。
ドッン!
ゼフェルとランディの手より見えない力のような衝撃がほとばしり。
あたりにちょっとした衝撃音が鳴り響く。
「「うわっ!!!!!!?」」
そんな見えない力にと吹き飛ばされ。
そのまま、そのあたりにある木にとたたきつけられ気絶してゆく男たち。
何のことはない。
彼らが少しばかり自分たちがつかさどる力を解放しただけのこと。
といっても、完全に、ではなくてほんの少しほど。
普通の人間がサクリアの巨大なる力を受けようものならば間違いなく死亡する。
それがわかっているからこそ。
とはいえ、こうして普通の人にサクリアを向けるなど今までしたことがなく。
それゆえに、思わず自分たちの手をまじまじと眺めているまだ若い二人の守護聖たち。
みれば。
ほんの少しほど力を解放し、解き放っただけだというのに。
数十メートル以上は吹き飛ばされ。
そのまま木にとたたきつけられて気絶しているおそらくは元村人であろう男たち。
力を人にむかって解き放つなどしたことがないゆえに、かなり驚きを隠せ得ないが。
「と、とにかく。今のうちにマルセルのやつを!
   お~い、チュピ!マルセルのやつはどこにいるんだ!?」
動揺しながらも、とりあえず。
今、自分たちがすることは、まずはマルセルの救出。
そう自分自身にと言い聞かせ。
空を飛び交うチュピにと話しかけているゼフェルに。
「そ、そうだね」
俺たちがつかさどるサクリア……ここまで人にむけて放つと衝撃が……
そんなことを思いかなり動揺しつつも、
今はとにかく同じ屋敷にと捕らわれているらしきマルセルを助けるべく、
そちらにと意識を向けてゆくランディ。

「……あれ?」
「うん?これは……」
ふと意識を向けたそこに感じるのは。
先ほどまで確かに何らかの不可解な力によって阻まれていたそれが。
鮮明にと感じられる間違いのないその気配。
思わず顔を見合わせ。
「「もしかして!?」」
二人同時。
そのまま、その場にと倒れている男たちをそのままに。
気配のするほうにと駆け出してゆくランディとゼフェルの姿。

「チュピ、ありがと」
守護聖がこんなところで捕まってたらおかしいものね。
そう自分自身に言い聞かせ。
地下室より地上にと抜け出ているマルセル。
気絶していたのであろう。
自分がいったいどこにいるのかなどは知らされてはいなかったが。
どうやらここはどこかの家の中。
しかも、あたりに人の気配などはあまりない。
ふと。
何ものかが自分のほうにとむかってかけてくる気配を感じ。
「ど、どうしよ!?」
周りを見渡せど隠れる場所はあるはずもなく。
少し離れた場所に見えているのはちょっとした並木道。
そこに走っていくまでに間違いなく今自分にとむかってきている誰かは。
自分を見つけるであろう。
様々な思いをめぐらせるものの。
ふと。
「……あれ?あ、あれは!」
向かってくるその気配は間違えようのない仲間の気配。
「あ、あれは!お~い!」
一瞬不安になったものの、
だがしかし、向かってきているのが仲間であるゼフェルとランディの気配であることを感じ取り。
そのままその気配が向かってきている方向にと駆け出してゆくマルセル。

「マルセル!無事だったか!」
「ゼフェル!ランディ!」
「よく脱出できたな~。」
並木が立ち並ぶ人気のないちょっとした町の中の道。
そんな道の中央にて合流したわいのない会話を交わしてゆくこの三人。
しばしそんな彼らの姿がこの場において見受けられてゆく。


「ねぇ?リュミちゃん?どうおもう?」
「…皇帝…ですか…」
自分たち守護聖の力を一時的とはいえ封じ込められる力をもったその人物。
とりあえず今いる森の中より人のいる場所にと向かって移動しているこの二人。
水の守護聖と夢の守護聖、リュミエールとオリヴィエ。
蒸し暑いまるで熱帯雨林のようなその森は。
歩いていると当然のことながら虫などが彼らの周りにと寄ってくる。
まあ、そのあたりは、伊達に長く守護聖をやっているわけではない。
その身に少しばかりサクリアの結界をまとっているがゆえに被害はないのであるが。
がさがさと道なき道を進みつつ、そんな会話を交わしているオリヴィエとリュミエール。
「確かに脅威ですね…」
「う~ん。私彼のあの力、女王陛下に何か似通ったものを感じるんだよねぇ…」
異質ではあるが、どこか根本的な何かが似通っている。
そう、自分の中の何かが感じる。
「異世界からの訪問者…彼の目的はいったい…
  ほかのみんなは無事なのでしょうか…女王陛下は…」
先ほど感じた女王の力。
それゆえに、今まで皇帝、と名乗るものの力によって一時封じられていた自分たちの力。
その封印がとけ、自らの中にと満ち溢れているのが感じ取られる。
ゆえに、女王アンジェリーク=リモージュは無事なのだ。
と嫌でもわかるが。
まあこの宇宙が存続している、ということ、それすなわち。
女王が健在、ということなのであるが。
「まあ、とりあえず、この星にも確か王立研究院があったと思うし?とりあえずそれからだね」
そんなことをいいつつも。
二人、道なき生い茂った森の中、
をそのまま人のいる村があるであろう気配のするほうにと向かって足を進めてゆく。


「なるほど…な」
どうして彼らが操られる結果となったのか。
その事実はその手の中にとある水晶が映し出している。
彼、闇の守護聖クラヴィスが持つ遠見の水晶。
それは真実のみを映し出す。
彼らとてまた被害者であるのは一目瞭然。
そしてまた。
どうして女王…否、全ての世界を創りし存在コスモスメイトでもあるリモージュが何も手を打たないのかも。
その手にもつ水晶が彼女の言葉を映し出す。
それは…
「かつての弟君…なるほど。『全ての世界を創りし存在コスモスメイト』の…
  道理で力にあふれているわけだ。だが…闇にとらわれてるな…」
守護聖である自分たちの力を押さえ込むまでのその力。
ましてやこの世界は、
女王アンジェリーク=リモージュの加護による聖なる結界にと守られている。
そんな中侵略してきた【皇帝】と名乗る黒髪に左右の瞳の色が異なる一人の青年。
その理由は。
今まさに、水晶球が映し出した事実によって疑問は解消された。
「ならば、私がするべきことは……」
守護聖として、自分が何をなすべきか。
まずは。
自分を見張っている一般人である洗脳されている人々を正気に戻すこと。
そのためには。
彼らの過去を見せればよい。
彼のもつ水晶は未来、過去、現在、すべてにおいて見通せることができる代物であるがゆえ。
未来は確定的ではないにしろ。
だがしかし、彼らを正気に戻すには十分すぎるほど。
そのまま、水晶に彼らのすべてを映し出すべく意識を集中してゆくクラヴィスの姿が。
とある坑道の中の一角に設けられた牢屋の中、しばし見受けられてゆく。


それぞれがそれぞれに。
自力でどうにか現状を脱出しようとしているそんな中。
「アンジェリーク!とりあえず全員の場所がわかったよ!」
外にでていったコレットを追いかけて。
そのまま走り出してゆくメルの姿が。
細雪の町の中の一角において見受けられてゆく…


          -第15話へー

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みじかいかな?・・・ま、いっか。
とりあえずセイランとかとの合流は次回にて・・・
ではでは、また次回にてv
2004年7月31日某日

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