まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

さてさて。
ようやく話はストーリーモード(そーか?)
何はともあれ、いくのですv

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メビウス・レクイエム   ~第11話~

「話は息子から聞いております。わざわざ、新宇宙よりおいでくださいまして……」
一夜あけ。
国王が挨拶したい、というので。
国王が臥せっている、という離れにと。
出向いてきているコレット・ヴィクトール・メルのこの三人。
その傍らには、おそらくはティムカの母親なのであろう。
どこか優しい雰囲気を持っている女性がたたずんでいる。
そして。
その女性の足元に、まだ幼い子供が一人。
ティムカのかなり年の離れた弟、カムランの姿が。
ごほっ!ごほほっ!
「あなた!」
「「父様!?」」
そういいつつ、ベットより起き上がろうとする国王であるが。
そのまま、咳き込みはじめ。
そんな彼をみて心配した声を上げている王妃と彼らの子供たち。
「あ、無理をなさらないでください。国王陛下」
そういいつつ、王妃たちにと手をかして。
再び国王である彼をベットにと横たえているコレット。
「もうしわけない。どうも体の調子が芳しくなくて。
  ベットに横たわったまま新宇宙の女王陛下をお迎えするなど失礼極まりないというのに……」
新宇宙。
とはいえ、女王にはかわりがない。
宇宙を司り、そしてよりよい進化に導き、その安定を促し持続を促す存在。
「気になさらないでください。それよりこちらこそ、急におしかけまして。申し訳ありません。
  実は、あなたのご子息のティムカ様にお願いの儀がありまして」
そういいつつも、かるく会釈をするコレットに。
「わかっております。宇宙に何かが起こっているのですね。
  そして、それにわが息子の力が必要とされている。
  だが、それは私がどうこういえる立場ではありません。決めるのは息子です。
  ティムカ。話はついたのか?」
ベットに横たわりつつも、少しばかり苦しそうに。
横にいるティムカにと問いかけるそんな彼の言葉に対し。
「はい」
力強くうなづくティムカ。
一晩かかって、重臣たちを説得していたがゆえに彼は寝ていない。
まあ、宇宙の危機に際して。
王位についても、宇宙が滅んではそれこそ本末転倒。
何も意味を成さないのは誰もが承知の事実。
それでなくても。
以前、そのような危機が実際に起こったがゆえに。
宇宙の寿命がつき、星とともに消滅を迎えるはずであった運命。
それを免れられたのは。
今の女王と前女王の力の賜物。
というのは物心ついた子供ですら、親から、そして様々な場所より見聞きし知っている。
「あ、無理をなさらないでください。…そうだ。少し失礼いたします」
もしかすると、自分の力で苦しそうなこの男性の苦しみを取り除けるかもしれない。
そう思い立ち、そっと彼の体の上にと手をかざすコレット。
それと同時に、コレットの精神集中と祈りとともに、彼女の体が淡く光り、
一瞬、部屋全体に白い羽が舞い落ちる。
それは幻というか実際の羽ではないにしろ。
次の瞬間、国王の体は淡い金色の光につつまれ。
やがて、息苦しく吐いていた呼吸が落ち着きを取り戻し。
顔色も先ほどに比べて格段にとよくなってゆく。
すべてを癒し、すべてをいつくしむ女王の力。
漠然とであるが。
つらそうなのをどうにか助けてあげたい。
そう思う心の中で。
ふと頭の中にて『できる筈。』という言葉が浮かび。
不安ではあるが、自分を信じて【力】を国王にむけて解き放ったコレット。
「まあ!!?」
「「父様!?」」
その力を目の当たりにし、思わず驚きの声を上げる王妃に。
父親の顔色がかなりよくなったことに驚きの声をあげているティムカとカムラン。
光が国王の中に吸い込まれてゆくのと同時に、顔色もほのかに赤みがさし。
やがては、呼吸も整ってゆくのを目の当たりにし。
これが…女王の力……
その力を目の当たりにし、今さらながらに驚きを隠せ得ないヴィクトールに。
これがアンジェリークの力なんだ…
そんなことを思いつつも目を丸くしているメル。
「……これ……は?」
今の自分の力では、どうやらこの病気を完全に完治させることは難しいらしいが。
それでも、病状を和らげることができたのに少しばかり安心し。
「すいません。まだ私の力では完全に完治、というわけにはいきませんでしたが…
   どうですか?少しは楽になったと思うのですけど……」
まだ女王になってまもない。
その力の使い方など、まだわからないことは多い。
いつも、補佐官であるレイチェルと聖獣であるアルフォンシア。
彼らの補佐があってこそ、力をよりよく使いこなせるのだからして。
そのうちに自分ひとりで行えるようになるであろうが。
まだ、だがしかし。
女王になって間がないコレットは。
その力を自在に、確実に使いこなすことは、その力の強大さゆえに。
そのコツをまだつかんではいない、という事実がそこにある。
「…おお。これは…いや、感謝いたします。かなり楽になりました」
そういいつつ、半身、その身をベットよりおこし。
そして。
「ティムカ。私たちは大丈夫。今のこの新世界の女王アンジェリーク殿のお力で、
  かなり私の病状も楽になったようであることだしな。
  お前はお前のなすべきことをしなさい。くいの残らないようにな」
「父様……。……はいっ!」
そんな父の言葉に勇気付けられ。
「アンジェリーク。そしてヴィクトールさん。メルさん。僕に何ができるかわかりませんけど。
  ですけど、宇宙に平和を呼び戻すお手伝いをさせていただけますか?」
そういい、右手を胸の前にと少し掲げ。
軽く頭を下げつつもコレットたちにと話しかけるティムカ。
そんな彼の言葉に。
「こちらこそ。ティムカ様。おねがいします」
「こっちこそ、すまないな。即位を控えているという大事なときなのに」
ぺこり。
と頭を下げるコレットに。
かるく会釈をしているヴィクトール。
「さて。それでは、父様。いってまいります。
  あ、すいません。皆さん。国民に挨拶してから出発でもいいですか?」
「もちろんです。ティムカ様」
そんな会話を交わしつつ。
しばし、彼らは国王などをも交え。
会話をしばし交わしてゆく。


「では、これからどうするんだ?アンジェリーク?」
ティムカの国民に対する説得は。
それは、国王、としての威厳と、そして説得力にと満ち溢れていた。
だがしかし、そんな彼のわがまま、ともいえる即位の儀の引き伸ばし。
旅にでる、というのを、詳しい事情も聞かず、彼を信じてくれている国民たち。
その思いが、彼に対する信頼の強さを物語っていると。
ここにいる三人ともよく身にしみて理解している。
結局のところ。
ティムカは。
王宮のテラスより国民に対して、旅に出る旨を伝え。
旅から戻ったら即位する、ということを人々にと伝えた。
一時期、即位の儀は保留状態、となっているこの白亜宮の惑星。
「そうですね。とりあえず酒場にいきましょう。旅に同行してくれる人がまってるはずなんです。」
そういいつつも。
城を後にし、町の中にとある酒場にと向かっていっているコレット。
そんなコレットの言葉に。
「ああ。あなたを火事から助けてくれた、という人ですね。いったいどういう人なんですか?」
そういい。
横にいるヴィクトールにと話しかけるティムカであるが。
「いや、私たちも本人にはまだ会ってないんだ。駆けつけたときには。
  すでに何か用事を済ませてくるから、とかいって部屋を後にした後だったらしいからな」
待ち合わせをしている町の酒場。
そこに向かっていっているコレット・ヴィクトール・メル。そしてティムカ。
この四人。
「んとね。メルの水晶にも詳しくは映し出されなかったから、メルよくわからないの」
そんな会話に割って入り説明しているメルの言葉に。
「何でもアリオスは剣の修行をかねて旅をしているらしいです。
  口はちょっと悪いようですけど、いい人ですよ」
そんなティムカの疑問にと答えているコレット。
しばらく歩いてゆくと。
やがて、道の横にと、待ち合わせ場所に指定している酒場が彼らの視線にと入り込む。
「ここです」
コレットの言葉に促され。
酒場の中にと入ってゆく四人。

カララン……

「いらっしゃいませ!」
元気な声がカウンタより聞こえてくるが。
ふとみれば。
この国の人ではないであろう、銀色の髪の青年が一人。
カウンタに腰掛けて、何やら飲んでいる様子が目に飛び込んでくる。
ほかにも客はあまたといるけども。
その男性に少なからず目がいってしまうのは。
その整った顔立ちと、そして。
どこかその身から感じられる雰囲気が、懐かしいように感じてしまうがゆえなのか。
「アンジェリーク。彼か?」
「あ!アリオス!ごめんなさい。お待たせして!」
コレットにと質問するヴィクトールの言葉を肯定するかのように。
カウンタに座っている男性にと声をかけて走りよってゆくコレット。
その声に。
ゆっくりと入り口にと視線をむけ。
「よう。そっちの用事は終わったのか?」
「うん。ごめんなさい。お待たせして。あ、皆さん。彼がアリオスです」
そういい、三人の方を振り向き。
そこにいる銀色の髪の男性を彼らにと紹介しているコレット。
「ほう。貴殿が。先日は彼女を火事から救い出してくれたそうだな。感謝する」
そういい、手を差し出すヴィクトールに対し。
「つうか、火事の中でも目覚めずにとろくさく眠ってたこいつが悪いんだろうがな。くくっ」
「ひっどぉぉぉぉぃ!アリオス!!!!」
意地悪い言い方ではあるが。
その口調からあからさまにその反応が面白いためか、からかっているのが見て取れる。
くすくすと笑うアリオス、と紹介されたそんな男性の言葉に。
「どうやら悪い人物ではなさそうだな。それにかなりの腕とみた。」
一目見ただけで、どの程度の腕の持ち主なのかは、判断できるつもりではある。
伊達に王立派遣軍に在籍しているわけではない。
数々の様々な任務をこなしてきたがゆえの、現役軍人、としての勘が。
目の前のこの男性はかなりの使い手である、というのを感じ取っている。
「そういうあんたもな。俺はアリオス。見てのとおり旅の剣士だ。腕を磨くために旅を続けている。
  修行をかねてあんたたちの旅に同行させてもらうことになった。ま、よろしくたのむ」
そういい、腕を差し出すアリオスの手を、右手にて握り締め。
「こちらこそよろしくたのむ。何しろ腕のたつものは必要だしな」
「詳しい事情はまだ聞いてないが。
  まあ、それは別にいいたくないんだったら、それはそれでかまわねえがな。
  俺としては修行ができればそれでいいしな。
  しっかし…もしかして、実戦で使えそうなやつはもしかしてあんただけか?
  そのいかにもおぼっちゃまらしい子とあとはお子様だが?」
そういい、ちらり、とヴィクトールの後ろにといるティムカとメルをみてそんなことを言い放つアリオス。
そんな彼の言葉に。
「確かに僕は力になれませんかもしれませんが。
  でもこんな僕でもできることはあるとおもうのです」
「あのね。あのね。えっと。アリオス?さん?
  アンジェリークを助けてくれてありがとね。僕メルっていうの。
  あのね、あのね。メルはね占いでアンジェークたちの手助けするつもりなの」
無邪気なその笑顔に。
……こいつら、人を疑う、ということをしないのか?
一瞬心の中であきれるアリオス。
自分がどこの誰、とも聞かないで。
すんなりと旅の同行をみとめているあたり。
このおめでたさには思わずあきれ返る。
普通疑ってかかるのが常識的なのだが……
「……なあ?あんた?この軍人らしき人はともかくして。こいつらあてになるのか?」
「ティムカ様とメルさんですもの。大丈夫です。」
あきれた視線を二人にむけ、
そしてその視線をコレットに移し問いかけるアリオスの言葉ににこやかに返事を返しているコレット。
どうやらかなり信頼しているようだな。
こんな力のないやつらがどこまでできるのか。
まあ、力を完全に復活させるまでのいい余興というか暇つぶしなどにはなるかな?
相手の戦力や、性格などを知るのもまた戦いのうちの必須条件だしな。
アリオス、としてではなく、レヴィアス、としてそんなことを思いつつ。
だがしかしそのことはまったく表情には出さずして。
「……実質子守か。…で?旅のメンバーはこれだけなのか?」
コレットではなくヴィクトールにと話しかけるそんなアリオスの言葉に。
ほう。
どうやら、さすがに旅をしながら修行をしている。
ということだけはあり頭の回転なども早そうだな。
彼は確かにかなりの戦力となりえるな。
そんなことを思いつつ。
「いや、あと、二人いる。」
「とりあえず、セイラン様とチャーリーさんですね」
「しかし、セイランはどこにいるかわからないだろう」
「チャーリーさんはお仕事じゃないのかなぁ?」
確か、セイラン。というのはこの宇宙の名高い有名とされている芸術家で。
そして、チャーリー、というのはこの宇宙屈指の大財閥の総帥。
そう、調べはついている。
彼らの姿も、洗脳したロキシーの脳内よりその姿などは掌握している。
「よくわからねえが。で?どうするんだ?これから?」
とりあえず、何も知らないフリをして、コレットにと問いかけるアリオス。
その言葉に。
「そうですね。あ、メルさん、占いでセイラン様がどこにいらっしゃるかわかりませんか?」
「んっと。まってね。見てみるね」
いいつつも。
懐より水晶を取り出し精神集中を始めてゆくメル。
なるほど。
どうやら宇宙に満ちている力を使い、占いをするようだな。
これは占い、というより事実を占いの形で表しているだけか。
火龍族……か。
やっかいだな。
精神力も強いがゆえに、洗脳は行えなかったしな。
すでに。
王立研究員、ロキシーの口というか知識より得た情報で。
関係ある場所や種族。
自分の目的に邪魔となりそうなモノ。
それらは排除するためにと動いている。
だがしかし。
かの種族はその精神力が強い、という特性のせいか。
すんなりとは洗脳、または自らの手下ととして手ごまにすることはいまだできてはいない。
彼がそんなことを思っているとは露知らず。
やがて、メルの手にした水晶にと映し出されたのは…
「あれ?これって、エルンストさん?」
知りたかったのはセイランさんなんだけど……
そんなことをおもいつつ。
水晶に映し出されたモノをみて思わずづやいているメル。
「本当ですね。エルンストさんですね」
「ここは……周りが雪景色となってるが……いったい?
  エルンストにも手伝ってもらったほうがいいだろう。
  彼は王立研究院の責任者という立場からいろいろと便利だろうしな。」
そんなメルのもっている水晶を眺め、そんなことを提案しているヴィクトールに対し。
「そうですね。とりあえず、それじゃ、エルンストさんのところにいきましょう。
  でも、ここ、どこなんでしょうか?」
こちらもまた、水晶を覗き込みつつ首をかしげるコレットに対し。
「こいつがエルンスト、とかいうやつなのか?
  よく見てみろよ。周りが完全に雪景色に覆われているだろうが。
  この時期、こんなに雪が降り積もっている町とかがあるのは、
  白き極光の惑星以外には考えられないだろうが。この景色は…どうも、細雪の町のようだな」
下見をかねて、いったことがある。
だがしかし、その言葉を、旅の途中でよったのだと解釈し。
「なほど、確かに。白き極光の惑星で間違いないだろう。
  とりあえずセイランの前にエルンストを探しに行くか。メル。
  それまでにセイランの居場所を占ってくれ。時間があればどうにかなるだろう」
「うん。わかった」
そんな会話をしばし交わし。
「それじゃ、とりあえずエルンストさんに協力してもらうために白き極光の惑星に行きましょう!
  星の小怪を開きます」
「?星の小怪?」
そんなコレットの言葉に。
少しばかり首をかしげるアリオス。
こいつら、自力で移動できないのか?
まあ、どうならここの種族は自力での移動というか魔道移動は無理らしいが。
それが我の有利となる……
そんなことを内心レヴィアスは思うが。
「ええ。それじゃ、いきましょう!」
そういいつつも。
アリオスを伴い。
その酒場を後にしてゆくコレット一行。

それぞれの思いを胸に秘め。
旅はこれより本格的にと始まってゆく。


          -第12話へー

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あとがきもどき:
薫:アリオス、本当にいい人、と私おもってたんだすけどねぇ。
  でも、先に4コマで彼が脱戦するのわかってたから。
  装備はあまりいいものを買い与えなかったりして。
  でも新密度はかなり高かったり(まてまて)
  さてさて、次回でようやくセイラン登場かな?
  あとはチャーリーと(笑)んでは、何はともあれ、また次回にてv

2004年7月13日某日

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