まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
さてさて。今回はティムカ編?(笑)
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メビウス・レクイエム ~第10話~
「アンジェリーク!?それにヴィクトールさんにメルさん!お久しぶりです!」
即位式も間近。
というので。
いろいろと公式行事などあるものの。
だがしかし。
彼らが尋ねてきた、と報告をうけ。
どうにか時間をあけて、彼らにと会っている一人の少年。
「お久しぶりです。ティムカ様」
そんなティムカに頭を下げているコレットに。
「久しぶりだな。ティムカ。国王になるとか。
本来ならば、笑顔でお祝いを言いたいところだが…だが、そうもいかなくなった」
そういいつつ、手を差し出すヴィクトールのそんな行動に。
「……やはり、何かあったのですか?」
最近感じていた不安感。
何かが起こっている、というのは確かに感じられていた。
何というか、そう。
宇宙の空気というか雰囲気自体によどみが感じられている。
よどみ、というか、何ものかが、無理やりにこの中にと入ってこようとするその気配。
どうして自分にそのようなことがわかるのかはわからない。
わからないことだらけではあるが。
だが、それは。
しばらく守護聖、そして女王、女王候補達…今では新宇宙の女王と補佐官ではあるが。
彼らに接していたがゆえに感性が磨かれているのであろう。
そう彼自身は判断している。
そして。今。
新宇宙の女王となったはずのコレットがここにいる。
ということは、何かしらとんでもない事態が起こっているのではないのか。
ということは懸命なティムカのこと、容易に想像はできる。
ちらり、と視線を走らせるヴィクトールの意図を汲み取り。
「立ち話も何ですから。どうぞ」
いいつつも、彼ら三人を別の部屋にと案内してゆくティムカの姿。
とある一室にと彼らを案内し。
それとなく人払いをしてから後。
「いったい?何がおこったのですか?先日より何か不穏な空気が漂っているのですが?
アンジェリークまで新宇宙からこられているとは。何か聖地に異常事態でも?」
思っている不安を問いかける。
そんな彼の言葉に。
「確かに非常事態だ。実は…聖地が別の宇宙からの侵略者の手に堕ちた」
「!!!!?」
あまり、といえばあまりの説明に思わず絶句するティムカ。
「女王陛下は東の塔にと閉じ込められたらしい。
ロザリア様は陛下をお助けするために塔にとはいっていったらしいが…」
そういいつつ、ちらり、と横にいるメルにと視線を移すヴィクトール。
「あのね。ロザリア様が陛下のいる東の塔の中にはいっていってしばらくして。
誰かが塔ごと封印したの。メルの水晶球に映し出されたの」
詳しく【視よう】としたところ、巨大な力にてさえぎられた。
「『皇帝』となのっている人物らしいんです。
守護聖様がたも洗脳された一般人に手をだすことができずに、捕らえられたようなんです。
ティムカ様。この事態を解決するために、お力添えをお借りできませんか?」
懇願してくるコレットのその言葉に。
「そのような大事が……」
「即位を控えて大変なことはわかっている。
だが、ことは宇宙全体にかかわることだ。力を貸してくれないか?」
あまりのことの重大さに。
思わず絶句するティムカにと。
頭を下げて懇願するそんなヴィクトールの姿に。
「ああ!やめてください!ヴィクトールさん!……でも、一晩、考えさせてください」
自分に何ができるのか。
だからといって。
自分の即位、まだ13という年齢にもかかわらず。
王位を譲ることにした父と。
それらを歓迎してくれている国民。
彼らの期待を裏切りたくはない。
だがしかし。
宇宙がどうこうなってしまえば。
自分が即位したとしても……それは。
宇宙全体が消滅してしまう事態になればどうにもならない。
そう…かつて。
今の女王陛下が即位するとき。
宇宙の寿命がつき、崩壊の道をたどっていたときのように……
まだ、そのときは自分は生まれてなかったにしろ。
あのとき。
この惑星ですら、かなりの天変地異が起こった。
というのは習っているがゆえに知っている。
「わかってる。無理をいっている、ということは」
「ティムカ様。それではまた明日きますね」
そういって、とりあえず宮殿を出ようとする彼らに対し。
「あ、今日は宮殿にとまっていってください」
しばし考えつつも。
彼らに滞在を促してゆくティムカの姿が。
「父様、ご機嫌いかがですか?」
とりあえずコレットたちを侍女にお願いして。部屋にと案内し。
現国王であり、そしてまた、自らの父親でもある男性のもとにと挨拶にとやってきているティムカ。
「ティムカ。お客様がたは?」
その横に彼の母親が常に控えているのは。
それは、彼の父親が病気がちで臥せっているからに他ならない。
「ええ。とりあえず今日はこの宮殿で泊まってもらえるように。部屋を手配しました…ですが…」
少しばかり沈んだ様子のティムカの姿に。
「何かあったのですね?」
心配し、声をかけている王妃。
「ティムカ。迷いがあるならば、その迷いを払うように自ら行動するがいいだろう。
わざわざ、お前が話していた新宇宙の女王がやってきた。ということは。
この宇宙に何らかの自体が起こっている、ということだろう。
お前にはお前にしかできないことがある。……わかっているな?」
「父様!?」
何もかも見透かしたような父親の言葉に思わず目を見開くティムカ。
確かに。
自分の心はきまっている。
女王陛下をお助けし、宇宙の平和を。
宇宙が平和でなければ、自らが王位についたとしても、それは意味を成さないことなのだからして。
だが、決心がつかない。
まだ年若い自分にすべてを託す、と決めてくれた父と。
それらを了解してくれたすべての人々に。
「ごほっ!ごほほごほっ!」
「あなた!」
「父様!?」
せきこむ彼を心配し、背中をさする王妃に、そして水を差し出しているティムカ。
「ここのことは心配するな。ティムカ。自分が信じた道をいけ。
だが、国民にはそなたからきちんと説明するのだぞ?」
いつも、父親は暖かな瞳で自分を見守ってくれている。
そして、誰よりもやさしく、時に厳しい。
そんな父親だからこそ、ティムカには憧れであり、目標でもある。
「父様……わかりました。時期国王である僕の務めです。国民や重臣たちには僕から説明します」
宇宙の危機、というのは不安にさせてしまうがゆえに。
説明はできないけれども。
だがしかし。
自分がやらなければいけない。
というのは漠然とであるがわかる。
いつも迷う自分の心を後押ししてくれるのはほかならぬ父親。
父親の言葉をうけ。
迷いをふっきり。
「それでは。父様。僕はこれからみんなを説得にいきます」
「うむ」
そんな会話を二言、三言かわしつつ。
ティムカはそのまま。
城の人々を説得するためにと。
父が臥せっている部屋を後にしてゆく。
そんなティムカを見送りつつ。
「……あの子には、もしかしたら……
……国王なんかよりもっと大きな何かが待ち受けているのかもしれないな…」
彼が産まれたときのことを思い出す。
小鳥たちが祝福するように。
部屋の周りに集まっていたのはつい先日のことのよう。
聖地とかかわりを持つなど、普通では考えられないこと。
だがしかし。
ティムカは教官として聖地に招かれ、その役目をまっとうし。
その結果。
かつて自分たちの宇宙があったその虚無の空間にと新たな宇宙が誕生し、
そしてそこに新たな女王と補佐官が誕生した。
というのは彼の話から報告はうけている。
そして…今。
再び、何かが宇宙におこっている、この今。
また彼の力が必要、とされたのは。
それは宇宙の大いなる意思のもと。
「……あなた……」
しばし。
そんな会話を交わす夫婦の姿が。
その部屋において見受けられてゆく。
「では、後のことは頼んだぞ。カイン」
「了解いたしました」
すべては手はずどおりに。
彼らと合流し、彼らの旅に加わることにおいて。
必ず力を我が物に。
そのためには。
「レヴィアス様。おきをつけて」
「ユージィンは手はずどおりに。そのほかのものもわかっているな?」
とある塔の中の一室にて。
そんな会話を交わしている十人の男性たち。
たしかにこの宇宙においては、自分の力が通用はする。
するが。
それ以上の巨大な力が自分の力を妨げる。
まるで自分自身を説得するかのように働きかけているその力。
どこか懐かしくもあり……だがしかし。
その力をも手にすることにより、自分にははむかえるものはいなくなる。
というのも何となく感じられる。
心のどこかで、それはいけないことだ。
と叫ぶ良心があるものの。
だが、今の彼にはそんな心の声は届かない。
今あるのは…ただ、自分を排除し、そして彼女を死においやった…世界への復讐……
ここは……どこ?
リモージュの声にと導かれ。
壁のはずの中にと触れたその刹那。
どこかわからない空間にと投げ出された。
どこか懐かしくも感じるその空間。
先ほど、この東の塔全体に結界が張られたことはわかっている。
だからこそ。
気が気でない。
しかも、感じるのは力を吸い取る何かの装置が発動している、ということ。
だがしかし。
それらの気配も何も完全に感じられない。
ふとみれば。
周りは深遠なる虚無の空間。
いや、虚無、というか暗闇、というか。
よくよく見れば、いたるところに、銀河集団が具間みえている。
それらは、よくよくみれば、普通の銀河ではなく銀河などが集まってできている星雲系である。
とすぐさまに理解する。
彼女が知っているのは自分たちのいる世界。
とはいえ。
この世界もまた、
今の女王であるアンジェリーク=リモージュが即位と同時に移動した世界であるがゆえに。
まだまだ発展途上であるがゆえに。
発展途上にとあるそれらの星星の様子は、大体色などで判断ができる。
そしてまた。
寿命がつき、消滅していこうとする世界すらも。
「……ここは……」
どこか懐かしい感じがする、この空間は。
いつも感じている雰囲気とはまた違う……何かこう、冷たいまでの、それでいて暖かな空間。
いつかどこかで見た光景。
かつてはこの光すらもまったくなかった、その光景。
「陛下?どこにいらっしゃるの?陛下!アンジェリーク!」
それがどこだったのかは思い出せない。
というかこんな空間など見たことなどないはずなのに。
そんなことを思いつつ、ただひたすらに。
リモージュの名前を呼びつつも。
とりあえず、道なき道、おそらくはこちらであろう。
という勘と、
それと何となく感じる、というか覚えているその道を奥に奥にと進んでゆくロザリアの姿。
「ご親切にどうも。」
「いや、素敵な旋律を聞かせていただきまして」
まずは怪しまれないようにと旅の楽師を装い、人々にととある音楽の旋律を聞かせた。
星星の移動に関しては。
彼らが今住みかとしている塔そのものが。
亜空間移動が可能なものであるがゆえに。
希望の星星にと一瞬にてたどり着くことが可能。
寂れた村にとやってきた。
水色の髪の綺麗な男性とも女性とも一瞬見まごうばかりの旅の楽師。
村人はもとより近隣の人々は、すぐさま彼に打ち解けた。
そして。
数日もたたないうちに。
近隣の人々は、この綺麗な旅の楽師の元にと集うようにとなりはて。
今日もまた、たくさんの人々が彼の旋律を聞くためにと。
彼のいる場所にとやってくる。
それらが彼らの運命を捻じ曲げる旋律、とも知らずに…
水色の髪に赤い瞳。それが不釣合いのようでいて。
だが。
その旋律はどこか心に残る。
深層意識面から、それは人々を操り洗脳する旋律、であることは。
…当然、村人の誰もが知るはずも……ない。
「エリス……もうすぐ、もうすぐだ……」
彼女の髪の毛は手にいれた。
そして、眠っている彼女から血液も。
だがしかし。
さすがに新宇宙の女王、というだけのことはあり。
一般の器と違い、簡単に魔道の体は作り出させない。
すぐさまに実験したものの。
それは形を成すこともなく消え去った。
だがしかし。
彼女をよみがえらせるには、やはりできればかつての彼女の姿のほうがいい。
それは彼女も望んでいるはず。
おまけに女王の力、というものも付随していれば。
何も申し分あるはずもない…
復讐と、かつてのいとしい存在をよみがえらせるため。
今の彼には…本当に彼女が何を望んでいたのか。
というそのことは……すでに頭は回らない……
「……自業自得とはいえ……」
悲しくなる。
まったく。
どうしてああなったのか。
権力におぼれた人の行く末。
瞳の色が異なる存在は。
あの地においては要の存在である。というのに。
彼を排除したその結果。
彼らは知らなかったはずはない。
彼らが生活する世界といわず宇宙空間がどのようになってゆくのか。
ということを。
かの地は。
要として彼が設立し。
そして、その力をもってしてあの空間の維持にと努めていた。
あの地は。
彼にとっては思い出深い地。
あの近くにかつて、自分たちがすごしていた世界があった場所。
それは。
今、自らがいるこの空間とほぼ近しい距離にとあり。
いわば表裏一体、という位置にと存在する。
だが、しかし。今。
彼をあの空間から追放したことにより。
宇宙のバランスが瞬く間にとくずれ。
あの世界は崩壊の一途をたどっている。
上層部の者の不条理な行動より、命を奪われる存在も哀れ、としかいいようがないが。
だけども。
彼をあのようにと追いやったやからを助けて上げる義理はない。
ほかの魂には救いを与えても。
そんなことを思いつつ。
レヴィアスの故郷である世界を視つめつつ。
「……人間ってどうしてこうなのかしらね……」
憂いをこめた表情でつぶやくリモージュの姿がしばし見受けられてゆく。
-第11話へー
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あとがきもどき:
薫:だんだんとオリジナル要素が強くなってきてます。
まあ、完全にオリジナル・・・といってもいいかもしんない・・・そろそろ・・・
ちなみに。鏡・・・のイベントも組み入れますvあしからずv
問題は・・・・いまだに友人にドラマCDを貸したままになっている、ということですね・・・・(汗
過去のアンジェリークとアリオスことエリオスの関係がちらほらみえてきたりして(まてまて)
ロザリア覚醒までさあ、いずこ?(こらこらこら!
何はともあれ、それではまた次回にてv
2004年7月10日某日
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