まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

今回は、ちょっと話がすすんでない?(汗)
それでもよければどうぞです。

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メビウス・レクイエム   ~第9話~

「わかりました。それではティムカ様に連絡をとりましょう」
「お願いする」
今は数日先にと迫った即位式。
そのために、時期国王となるべくティムカは外には出られない。
いまだ目覚めまいコレットを宿屋にと頼み。
とりあえず、ティムカとつなぎをとるためにと。
王宮にとやってきているヴィクトールとメル。
詳しいことは説明はできはしないが。
だがしかし。
聖地の緊急の用件、といえば。
それは、断ることなどはできはしない。
できはしないが。
それでも。
あくまでもきちんと儀礼にのっとって手続きをしてくる目の前の軍人らしき人物に。
敬意の念が湧き上がる。
「いえ。お急ぎの用件でしょうに。
  きちんと形式をとっていただけるとは。こちらも痛み入るばかりです」
何かが起こっている。
そのことは、数日前からの空の様子で何となくは判断ができている。
そして…おそらくは。
その事態にティムカ様が必要なのであろう。
そんなことを思いつつ。
ぺこり、とお辞儀をしているその男性。
彼はこういった、王家などにとつなぎをとる役目の職業であるがゆえに。
彼らと先に会話をしているのであるが。
ティムカとの謁見をとりあえず頼み。
どうにかつなぎをとってもらえる旨の了解を得。
ほっと顔を見合わせるメルとヴィクトール。
と。
メルの懐が突然にと輝き始める。
「あれ?どうしたんだろ?水晶球が?」
ごそごそと。
懐にといつも入れている水晶を取り出し、不思議がるメル。
今までこんなことはあまりないのに。
水晶が何も意識していないのに、ほのかに光を放っている。
「うん?どうした?メル?」
そんな水晶球の様子にいぶかしがりながら問いかけるヴィクトールのその言葉に。
「うん。何か…あああああああああ!ヴィクトールさん!大変だよ!」
懐から取り出した水晶球が映し出している映像は。
ある宿屋が燃えている様子。
「何!?」
その宿屋が一体全体どこなのか。
確認せずともわかること。
「いかん!アンジェリーク!
  申し訳ない。緊急事態が発生したようだ。また改めて後にと参上する」
顔色を青くしつつも、だがしかし。
そこは礼儀正しい彼のこと。
きちんと退室の挨拶などをして。
そして。
「メル!急ぐぞ!」
「わかってる!」
そのまま。
二人、同時に部屋よりでて駆け出してゆく。
水晶が映し出している光景は。
まぎれもなく。
今、まさにコレットが眠っているはずのその宿屋が燃えている様子。
水晶球はうそは映し出さない。
常に現実、事実を映し出す。
そのまま。
ふたり。
あわてて、元きた道を戻ってゆく。


「へぇ。何か事情がありそうだな。そうだ。
  もし、これから腕の立つものが必要、というのであれば。俺を連れて行かないか?
  一応俺はこれでも修行をかねた旅の剣士をやってるんでね」
さすがに歯切れが悪い。
観光客ではないな?
というそのせりふに確かにうなづきはしたものの。
じゃあ、なぜこの惑星にやってきたのか。
という質問には黙り込むコレット。
「え?どうして戦いにいく……と?あっ!」
ベットに体半分を横たえたまま。
半起きとなり、彼がもってきてくれた果物を食べつつも思わず問いかける。
そして。
ふと自分が口を滑らしてしまったことにと気づき、あわてて口を押さえていたりする。
そんな動作も似ているな。
ふと、彼はそんなことをふと思うが。
「伊達に旅をしているわけではない。というわけさ。わけありが何なのかはわからないが。
  あんたのその目は戦いを決意している目だ。それくらい誰でもわかるぞ?」
「そうなの?」
火事より助けてくれた、ということもあり。
たわいのない会話をしているコレットとアリオス、となのったこの青年。
私ってそんなにわかりやすい顔してるかなぁ?
などとコレットは思うが。
「あんた見てたらすぐに顔にでるようだしな。
  で?どうなんだ?腕の立つヤツは必要ではないのか?」
どうやら悪い人ではなさそうだし。
だけども。
どこまで事実を話していいものか。
戸惑うコレットにと話しかけるアリオス。
「でも。話したら、あなたに迷惑が……」
無関係な人である。
巻き込むわけにはいかない。
そんなコレットの気持ちとは裏腹に。
「いったろ?俺は修行をかねて旅をしているって。
  少しでも修行になりそうな事柄だったら詳しく教えてくれなくてもかまわないが。
  修行を兼ねて旅に同行してやってもいいぜ。
  何しろあんた、あの火事の中でまったく起きずに眠りこけてたようなとろくさいやつだからなぁ。
  一人でいかすほうが、よっぽど心配だぜ。
  それに、せっかく助けたのに死なれちゃ後味悪いからな。くくっ」
そんな少しばかり意地の悪い笑みを浮かべて、言い切るアリオスのその言葉に。
「あ~!ひっどぉぉぉぉぃ!私、そんなにとろくないもん!」
「そうか?よっと」
「ああ!それ、今私が食べようとしてたのにぃぃ!」
今まさに、口にいれようとしていたリンゴを。
ひょいっ。
アリオスにとられ、思わず抗議の声を上げているコレット。
「ほらみろ。とろくさいじゃないか。
  これじゃ、どこに戦いにいくのかしらねぇが。すぐにアウトだな」
「……もう!」
でも、この人……確かに悪い人ではなさそうだし。
そんなことを思い。
「でも、あなたには関係ないのに?」
「関係はあるさ。何しろあんたの命は俺が助けたんだぜ?
  せっかく助けたのにすぐに死なれたら、それこそもったいないじゃないか」
「……もったいないって……」
そういわれると反論できない。
たしかに火事に気づくのが遅れ。
煙を吸い込んで動けなくなっていた自分を助けてくれたのはこのほかならぬアリオスなのだから。
「それに…だ。あんた、とろくさそうだしなぁ。このまま旅に戻っても。気になるじゃないか。
  仲間にして損はないとおもうぜ?まあどんな旅なのかは知らないがな」
「でも、命の危険があるかもしれないのよ?」
そんなコレットの言葉に。
「それこそ修行になるじゃねえか」
「……そりゃそうかもしれないけど……」
どうしよう?
確かに、だけど。
てつだってほしいのは山々だけども、関係のない人である。
「もしかして、そこまで煮え切らない、というのは。
  最近連続している行方不明事件とかにかかわりがあったりするのか?
  旅の中でよく村ごと人々が消えたりしていた場所など。ここ最近たまに見たが……」
嘘ではない。
彼自身が村人などを捕らえて洗脳し、異形のものと化したり、
または、洗脳し手足として使っているのであるからして。
「え!?この宇宙に起こっている異変のことを知ってるの!?」
思わず驚き叫ぶコレットの言葉に。
「ふっ。どうやら図星だったようだな。顔がものがたってるぜ。お嬢ちゃん」
「お嬢ちゃんじゃないわ。私はアンジェリークっていう名前があるんですからね!」
そんな会話をしばし交わしつつ。
結局のところ。
確かに腕が立つ彼の力は、これからどんな危険なことがまっているかわからない。
だからこそ、必要、というのはわかるが。
しかも。
今、実戦で使える、という人物はといえば。
守護聖たちがどこにいるかわからない今。
戦力となるのはヴィクトールのみ。
自分の力にもあまり自身がない。
「でも、本当にいいの?危険かもしれないのに?」
とまどいつつ、問いかけるそんなコレットの言葉に。
「いっただろ?剣の修行をかねての旅をしている。と。なら、決まりだな」
「えっと……お願いします。アリオスさん……でしたよね?」
「アリオス、でいいさ。なら、俺はちょっと野暮用をすませてくる。
  明日にででもこの町の酒場で落ち合おう。」
「わかったわ。それじゃ、アリオス。おねがいします」
「敬語なんていらないさ。普通でいいさ。それじゃあな」
二言、三言、かわしつつ。
そのまま、アリオスはコレットが寝ている部屋を後にしてゆく。
そんなアリオスを見送りつつ。
「さて、私もおきないと」
そういって。
ベットから起き上がるコレットの姿がしばし見受けられてゆく。

バタン!
「「アンジェリーク!大丈夫(か)(なの)!?」」
アリオスが部屋を後にして、ちょうど入れ違いに近い時間帯。
旅の剣士らしき人物に助けられ、宿屋の先の家にと運ばれている。
そう町の人より説明をうけ。
あわてて、部屋にと入ってきているメルとヴィクトール。
ベットから起き上がり、出かける用意をし終え。
さて、これから外にでようか。
などと思っていた矢先のこと。
振り向いたその先に見えるのは。
心配そうな顔をして、顔色の悪い二人の姿。
無事な様子を確認し、おもわずほっとする。
火事で、逃げ遅れていた。
そう町の人から聞いたときには心臓が凍るかとおもった。
それでなくても、ヴィクトールに関しては。
かつての記憶から、仲間を失うことは……彼にとっては耐えられない。
自分ひとりだけが生き残った、というその負い目。
彼のせいではない、とはいえ。
だがしかし、かつて自分が指揮をしていた部隊の部下たちを失った。
というその事実は、今をなお、彼の心を苦しめている。
そして…自分がいない間に、守る、と誓ったコレットが下手をすると命を落としかねなかった。
というのを知り、自らを心の中で責めているヴィクトール。
「メルさん!ヴィクトール様!どうしたんですか?そんなにあわてて?」
あまりの二人のあわてように思わずコレットが聞き返すが。
「あわててって……アンジェリーク。火事だってきいたよ!?怪我はないの!?」
「怪我はないか?アンジェリーク?
  メルの水晶が宿の火事を知らしてくれてな。あわてて戻ってきたんだが…」
元気そうな彼女の様子にほっと胸をなでおろしつつも問いかけるヴィクトールに。
コレットにかけよってゆくメルの姿。
そんな二人の言葉に対し。
「ええ。大丈夫です。旅のアリオス、という人が助けてくれましたから。
  ご心配をおかけしましたようで申しわけありません」
二人が心から心配していたのを感じ取り。
謝るコレットにたいし。
「とにかく無事でよかった。寿命がちぢまったぞ。それで?そのアリオスとかいう青年は?」
ほっと胸をなでおろし、問いかけるヴィクトールの言葉に。
「あ、そのことなんですけど。アリオスを旅の仲間に加えてもいいでしょうか?
  彼、剣の修行をかねたたびをしているらしくて。
  何か私がとろくさいからほうっておくほうが気が気でないとかいって。親切な方なんです」
すこし考え、説明するコレットのその言葉に。
「うん?関係のない人物をか?」
「関係なくはないよ。ヴィクトールさん。アンジェリークを助けてくれた人だよ。
   悪い人ではないよ。きっと。それに宇宙の出来事は誰にも関係してるんだよ」
顔をしかめるヴィクトールににこやかにとそんなことをいっているメル。
確かに。
宇宙がどうこうなる、という事態になっている今。
関係ない存在などはいないではあろうが。
だが、信じてもいいのか?
そんなことを思うヴィトクールに。
「……だめですか?」
しゅんとなりつつ、上目づかいで懇願され。
「うっ!ま、まあ、お前がいいんならいいが…それで?その青年は?」
アンジェリークになかれてはたまらない。
そう思い、あまり乗り気ではないが許可を出しているヴィクトール。
「『野暮用を片付けてくる。』といいまして。明日、酒場で落ち合うことになってます」
説明するコレットのそんな言葉に。
「それじゃあ、アンジェリーク。先にティムカさんのところにいこうよ。
  僕たちね、ヴィクトールさんとティムカさんに会えるように頼んできてたの。
  多分、もうティムカさんに話がいってるんじゃないのかな?」
にこにこと。
そんなことをいっているメルに対し。
「確かにな。では?どうする?アンジェリーク?」
「そうですね。じゃあ、ティムカさんのところにいってみましょう」
そんな会話をしつつも。
三人は、ちょっとした話などをしつつ。
ベットを貸してくれていた家の人にお礼をいい。
そのまま、その家を後にしてゆく。

三人が目指すのは、ティムカのいる王宮。



「では。レヴィアス様は。彼らと?」
「敵をよく知る必要があるであろう。それに、だ。女王の力の源。それがわかるかもしれないしな」
すでに。
最後の一人であった彼をも目覚めさせた。
最後に目覚めさせたのは。
ジョヴァンニ、と呼ばれている人物。
その器は緑の守護聖、マルセル…
今、ここに。
かつての彼の親衛隊、九人が。
魔道の力によって生み出された守護聖の体を器とし、現世にとよみがえってゆく…


          -第10話へー

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あとがきもどき:
薫:まあ、誰もが知っている豆知識?
  光の守護聖:ジュリアス→キーファー(27歳)残虐な心の持ち主
  闇の守護聖:クラヴィス→カイン(29歳)参謀役。常に冷静。無表情。
  風の守護聖:ランディ→ウォルター(18歳)二重人格。陽気&乱暴
  水の守護聖:リュミエール→ユージィン(21歳)過去婚約者を殺害経験
  緑の守護聖:マルセル→ジョヴァンニ(24歳)悪意的な嘘を平気でつく
  鋼の守護聖:ゼフィル→ショナ(15歳)IQ200以上の天才。虚無的性格
  夢の守護聖:オリヴィエ→カーフェイ(27歳)戦争はゲーム感覚。自信家。
  炎の守護聖:オスカー→ゲルハルト(22歳)元海賊。怪力の持ち主
  地の守護聖:ルヴァ→ルノー(13歳)盲目的に従う幼き子供
  
  さて、彼らの性格・・・・きちんと表現できるかな?(まて
  何はともあれ。次回、ティムカの王宮&アリオスとの合流です。んではでは。
  また次回にて。

2004年7月8日某日


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