まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
ちなみに。ちょこっと。 捕らえられているはずの守護聖様がた。
数名、ちと違うことになってたりしますのは。まあ、それは、二次創作(?)というか、
別世界のお話、ということでご了解を(こらこらこら! 何はともあれ、いっきますv
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メビウス・レクイエム ~第4話~
くっ!
さすがに手ごわいな……
宇宙の安定を司どる、その力を宿したその人間。
彼らならば、自らの手足となる、【彼ら】の器にちょうどいい。
そう思っての行動だが…
だがしかし。
「まさか、ここまで魔力障壁があるとはな…まあいい。とりあえず、我に近しいものから…」
さすがに一般の普通の人間の器を作り出すのとはまた違う。
かつて、自らの器を作り出し、影武者として、自らに向かってきていた刺客たち。
それらの魂をいれて、敵側を欺いていたときとは、また異なる。
さすがに力を消耗する。
だがしかし。
この宇宙にきてから、あまり力をつかっても、以前のように疲れるどころか。
逆に、時間さえおけば、再び力が満ち足りてゆくのが感じられる。
しかも。
それはどうやら、この世界を統治している【女王】の力と関係があるのか。
自らが宇宙にと広げたその力が、女王の力とぶつかりあい。
宇宙空間にて、見た目、【オーロラ】というような現象とあいなっている。
それは、力の特性が似通っている場合、だがしかし、属性が異なる場合に。
反発して起きるその現象に程近い。
「器を作り出すまでにここまで力を消耗するとはな……まあいい。目覚めよ。カイン!」
まだほかの器は不安定であるものの。
一番、器として、その力が充実しており、やっかいそうなモノから手がけている。
ゆえに。
はじめに手がけたのは、ジュリアスとクラヴィス。
その器。
幾度も形にならずに失敗したものの。
かなりの力を投じ、ようやく形を成すことにと成功した。
魂の属性と相性のいい器を。
その結果、まずは。
一番優先させるのは…
パシャ…
その声とともに、あたりの魔力の光が炸裂する。
その光がいってんにと集中し。
目の前にとある、とある何かの水らしきものが入っている器にと注がれ。
その中より、白い腕がにゅっとのび。
やがて。
「ぷはっ!」
その中より出現するは、長い黒髪の青年が一人。
深き闇をずっと漂っていた。
それは、救い、ということばのない、魂の牢獄。
反逆を企てた彼らには、救いは必要ない。
という皇帝…否、その地の王族の手によって。
彼らの魂は個々の場所の深き闇の中にと永遠にと閉ざされていた。
そんな中。
一点の光が差し込み。
次に気づけば、そこは、みたことのない空間。
それは。
かつて自分たちが拠点としていた【塔】そのものだ。
と。
気づくのには、そうは時間はかからない。
「…レヴィアス様?……私は……」
けほっ。
何だか息苦しいが、だがしかし。
目の前にいるのは、自らが使えるべき、唯一の存在。
「目覚めたか。カイン。どうだ?新たな器である体の調子は?」
「……体?」
そうだ。
私はたしか……あのときに確かに処刑され、そして魂の永遠なる牢獄にと隔離された。
だが、再び自分をそこから救い出してくれたのは、ほかでもなく……
「これは?レヴィアス様?いったい……」
戸惑う、そんな、カイン、と呼ばれた男性の言葉に。
ふっ。
かるく微笑み。
「お前たちにはまだ働いてもらわないといけないからな。
あの宇宙に復讐し、我が本来あるべき姿を取り戻すために!そのための、新たな器だ。
それは、この世界においては。宇宙の安定を司るといわれている【守護聖】とかいうやつらの体だ。
多少の力もお前たちならば使えるはずだ。
確かお前の元になっているその体は、闇の守護聖、といってたかな。
安らぎと、そして破滅をもつかさどる。お前ならばその力、つかいこなせるであろう?」
その言葉が。
目覚めたばかりの脳裏にゆっくりと染み渡ってゆく。
本来、彼自身は。
こういった、考えごとなどをすることが主に専門。
ゆえに、彼らの中では参謀役、として存在していたのだからして。
目覚めたばかり、だというのに、巡るましく思考を回転させる。
「はっ。ありがたきお言葉です。して、レヴィアス様?私のすべきことは…」
そこに用意してあった服を身にまとい。
かつての口調で話しかけてくるそんな彼の様子に満足げに微笑み。
「さすがだな、カイン…」
どうやら、この器は成功のようだな。
そう満足してつぶやくレヴィアスの姿が。
とある、塔の一室においてしばし見受けられてゆく。
この塔は、かつて。
かれが、彼の故郷でもある世界において。
彼が拠点とすべき作り上げた…いわば、彼の力の創造の力による建造物…
それは、物質世界に俗しているのではなく。
二次元空間にとその存在を置く…人の目には普通には見えない場所…
「まったく、何がどうなってるのさ」
少しばかり。
その見た目には信じられないようではあるが。
護身術などにはたけている。
「そう、いわれましても…オリヴィエ。ここはいったいどこなんでしょう?」
強大な力をぶつけられ。
その力をどうにか押さえようとして、意識をどうにか保とうとしたものの。
その力があまりに大きすぎて。
そのまま意識を失った。
次に気づいたときには、そこはどこかの部屋の中。
周りに人の気配がないのを確認し。
どうにか、隙をみて、その部屋より出たはいいものの。
その次なる部屋よりとある力を感じ取り。
周りに人がいないのもあり、開いたところ。
そこに倒れている人影ひとつ。
「ちょっと!?リュミちゃん!?」
そこに倒れているのは水色の髪の見知った男性。
守護聖同士は、その力をもってして、お互いのサクリアを感じることができ。
つまりは、気配を感じ取ることも可能。
ゆえに。
扉一枚隔てている場所にいるとしても、そこに誰がいるのかは自然とわかる。
「う…ううん。あ、オリヴィエ?私はいったい……」
こちらもまた。
力を直接に受けたがゆえに。
一瞬気を失っていたリュミエール。
「あんたもきっと、あいつから力を直接うけたんだね。」
抵抗しようとしたその矢先。
見えない、それでいて、強大な力をもつ、何か。
その気配を感じ取り、思わず振り向いた。
その直後。
自分にと向けられた、黒い力。
倒れる直前にと目にはいったのは。
黒い髪に金と緑のその瞳……
「さあ?しっかし…まさか、魔道の力で塔ごと異空間に存在させてるとはね…」
どうにか人がいないのを見計らい。
部屋の外にと脱出することにと成功し。
さらには。
窓の外にと逃れようとしたものの。
そこに見えたのは、見たこともない空間。
それが、異空間だと瞬時にと理解できるのは。
そこに満ちている力の特質がゆえ。
空間が常に不安定。
その空間が、とある場所とつながったころを見計らい。
窓から飛び降りたはいいものの。
着地したのは、どこかの森らしきそんな中。
いったいここがどこなのかすらもわからない。
どうやら、どこかの惑星の森の中、ということまではわかるのであるが。
「どうにかして、聖地と連絡を取りませんと…それに、陛下のことが気がかりです」
彼らは、押し入ってきたときに。
― 女王はわれらが手のうちにある、と了解していただきたい。
そういっていた。
そんなリュミエールの不安の言葉に。
「う~ん。ま、陛下なら大丈夫だよ。リュミちゃん。あんたも感じるだろ?陛下のお力。
何か今はとある力と拮抗しあってるようだけど。
空にかかっているオーロラがそれを指し示してるね…
でも、何かかなり陛下、力、手加減してるような感じじゃない?きっと何かのお考えがあるんだよ。
とりあえず、私たちは、ここからどうにかして、聖地に戻る算段を考えないと」
確かに宇宙には、女王陛下の力は滞りなくいきわたっている。
だがしかし。
今、新たに出現してきている、異なるその力。
それを退けているその力がいつにもまして、少しばかり弱い。
まるで、何かに遠慮しているかのように。
ここにいるのは、彼…オリヴィエとそしてリュミエールのみ。
見上げる空は、うっそうと茂る森の木々。
そしてまた。
かすかに見えるそらには。
そこにあるはずのない、
銀色のようなそうでないような、不思議な光沢を放つ、オーロラが空にと広がっていたりする。
そんなことをいいつつ、空を仰ぐ。
この蒸し暑さ、それにこの熱気……
めまぐるしく、自分の中の知識を総動員させる。
いったいここはどこなのか。
「このように森が続いている惑星、となると、ここはいったい?しかも、何やら蒸し暑いですし…」
そんなリュミエールの言葉に。
「ちょっとまって。たしか、以前ルヴァから聞いたことが…
……もしかして、ここって、【騒がしき森の惑星】じゃないの?!」
まるでジャングルのような、蒸し暑い森。
しかも、たしか、ルヴァの話によれば。
この小惑星は、もともとは火山地帯。
このように、まるでジャングルのような密林が続いているその大地の下には。
かつて流れ出た溶岩地帯がそのままのこっている。
ゆえに。
それが指し示す事実は、ただひとつ。
ここでは、科学的、つまり、方位磁石、といったものがまったくもって役にたたない。
という事実がひとつ。
「これは……こまったね…」
確か……この森、というか惑星には肉食植物とかも生存してなかった!?
そんなことを思い出し、思わずつぶやくオリヴィエ。
あのままつかまっていたほうがよかったのか。
はたまた、逃げ出したのがよかったのか…
それは、今の彼らにはどちらがよかったなど。
ということは…いえるはずもない事実……
あちらはすでに数名をよみがえらせた。
あとは…
「何?補佐官が?」
ここにやってきたときに行方不明であったはずの女王補佐官。
その姿を確認した、という報告があったのは。
聖地に戻ってすぐのこと。
いまだに女王は東の塔にと入り込んだまま出てこない。
ふっ。
「女王め。だがしかし。補佐官を手にしたら、どう反応するかな?」
聞くところによれば補佐官と女王は親友らしい。
ならば。
人質にとって、おびき出すのもわるくない。
報告をうけ。
そのまま、その場から再び虚空にと掻き消えてゆくレヴィアスの姿。
「気にしないでがんばってきて。アンジェリーク。こっちはまかせてよね」
その言葉に励まされ。
そして、自分たちが生まれ育った宇宙を救うため。
ロザリアにと導かれ、再びこちらの宇宙にと戻ってきた。
次元回廊を通ってやってきた、聖地。
だが、いつもの雰囲気ではない、というのは一目瞭然。
敵に見つからないように、ということで。
とりあえず、神殿から少しはなれた、場所にと移動した。
次元回廊はこういった芸当もできるがゆえに、かなり便利な移動手段、といえば聞こえはいいのだが。
「ロザリア様。あれは?」
みれば。
いつも、澄み渡るまでにと晴れていた…まあ、一部の期間を除いて、ではあるのだが。
空というか大気そのものが。
まるで、しっとりと、霧全体にと聖地そのものが覆われている。
それから感じるのは、何かしらの、強い力。
だけど、それは、危険、という感じではなく、むしろ、その中にいるものを守るかのような感覚をうける。
「おそらくは陛下の仕業でしょう。何か住民が巻き込まれないようにする。とかおっしゃってましたし」
霧から感じる力は間違いなく女王・アンジェリーク=リモージュ、彼女の力。
リモージュは霧、という形をとり、聖地の一般の人々を戦乱にと巻き込まないようにと。
深い眠りにといざなっている。
そしてまた。
その霧にと包まれている存在たちに関しては、何ものにおいても手出しはできない。
ある種、少しばかり次元がずれているがために。
そんな会話をしつつも、静まり返った聖地の中を。
聖殿にとむかってばたぱたと走ってゆくロザリアとコレット。
そしてまた。
彼女たちが聖地にと戻ってくるそんな一時ほどまえ。
「……これは?」
いつもならば、見えないはずの、聖地にと続く、扉が。
自分の目にも見えるのは一体全体どういうわけか。
本来ならば、見えるはずのない、白き門。
それが、あからさまにと開放されているかのごとくにそこに存在している。
何が起こったのか気になって。
ここまでやってきたものの、中には入れないであろう。
そう、思っていた、というのに。
「どうなってるんだ?とにかく!中に!」
そのまま。
ここまで乗ってきた馬の背を。
かるく足でたたきつつ。
そのまま、馬にとまたがったままにと、聖地の白き門をくぐってゆく。
本来ならば、絶対に。
女王の許可がなければ、一般の人はおろか。
この門すらも見えないはず。
なのに、門が見えている、というのは、いったい?
そんなことを思いつつ、馬を走らせて行くヴィクトールであるが。
だが、彼は気づいていない。
その門が見えているのは……実は、自分のみだけ、ということに。
そう…彼もまた。
女王の意思のもと、中にと招き入れられている、ということに…
その事実に気づくこともなく。
聖地のはずれより、聖地の中心地である、聖殿のある場所にとむかって。
馬を走らせてゆく、ヴィクトールの姿が、しばし見受けられてゆく。
-第5話へー
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あとがきもどき:
薫:さてさて。次回でようやく、レヴィアス、コレットの姿をその瞳に捉えますv
ユージィンや、ジョヴァンニ。彼らもおいおいとだしてきますので、あしからず(まてまて!
ちらほらと、過去、つまり彼らの過去話も踏まえて、複線はりつついきますかv
何はともあれ、それでは、また次回にてv
2004年7月1日某日
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