まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
のんびりまったりv
この話で異なるのは、アルフォンシアも理解している。ということかな?
ともあれ、いくのですv
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メビウス・レクイエム ~第3話~
ぱたぱたぱた。
広い、広い聖殿。
人がいない、というのには、いまだに慣れないが。
だがしかし、人類どころか生命体も誕生していないこんな状況。
よくばってばかりはいられない。
声のしたほうにと、駆け出してゆく二人の少女。
と。
廊下の先よりかけてくる、見覚えのあるその姿。
『ロザリア様!?』
その姿を捉え。
思わず二人同時に叫んでいるコレットとレイチェル。
そして。
「アンジェリーク!レイチェル!そこにいたのね!」
二人の姿を見つけ、ほっとする。
「ロザリア様!?」
なぜかいつもと違う。
少しばかりあせっているような。
そんなロザリアの姿をみつけ、離しかけているコレットとレイチェル。
「いったいどうしたんですか?」
そう問いかけるレイチェルのその声とともに。
「…え?何?アルォンシア?」
ふと。
二人の脳裏に、アルフォンシアの声が響く。
― 陛下が…
彼が陛下、と呼ぶのは、ただ一人。
コレットのことは我が女王と呼んでいるからして。
その刹那。
二人の脳裏にとある映像が駆け巡る。
どこか虚ろな目をした人々に連れ去られてゆく守護聖たち。
いつもは、人である程度はにぎわっているはずの聖地が静まり返り。
そこにいるはずのない、なぜか。
王立派遣軍の軍隊と、そして一般の人々らしき人々が。
武器などを手に神鳥の宇宙の聖殿にと押し寄せているそんな光景。
それは、リモージュより、というか、リモージュの意をうけて。
神鳥であるフェアリーナがこちらの宇宙の意思である、アルォンシアに伝えた映像。
その映像はアルフォンシアを通して、聖獣の宇宙の女王、アンジリェークと。
そして、その補佐官であるレイチェルにと伝わってゆく。
まるで、自分がそこにいたかのごとくに鮮明に、脳裏にと浮かぶその映像。
その光景、というか脳にと直接にと伝えられたその映像にはっとなり。
思わず互いに顔をみあわせつつも、そこにいるロザリアにと視線を向ける二人の少女。
そして。
「…ロザリア様。今、アルフォンシアから何か信じがたい映像が…」
冗談、にしてはあまりにリアルなその光景。
そんなコレットの言葉に。
「あなた方にも伝わったのね。そう…聖地は、あらつられた人々の手により。今は陥落したわ。
守護聖たちも、彼らの手に捕らえられたようだし……」
そういいつつ、深くため息をつき。
「私がここに来たのは。あなたたち、というかアンジェリークに手を貸してほしいからよ。
いま、私たちの宇宙、というかあなた方が生まれ育った宇宙は、
別の世界からやってきたとある存在に侵略をうけているの。
その存在は、人々を操り、あまつさえ、人の心の奥底に潜む悪というか魔の心を表にだす、
という魔術を使い、生き物などを異形のそれに姿を変えて自らの手ごまにしているの。
陛下はそのことにいち早く気づかれランディとゼフィルを、
その存在がはじめに出現した惑星にと視察、という名目でさしむけたのだけど…
二人はその後、行方不明。そして、とうとう、私がこちらに来たとき、それと同時に。
聖地にもその存在の力の波が伝わり。元が一般人であるがゆえに手がだせないままに。
守護聖たちもまた、どうも捕まったみたいなのよ……」
ロザリアにも、アルフォンシアの声は感じられる。
映像を視たのであれば。
詳しい説明などはしなくても、それは、映像だけで、物事は物語っている。
あちらの宇宙にただならない何かが起こっている。
というのは、あの様子を視ただけでも一目瞭然。
そんなロザリアの簡潔なる説明に。
「ロザリア様は…」
ふと、今みた映像にロザリアの姿がないのに気づき。
といかけているレイチェル。
このあたりの頭の切り替えはさすが、としかいいようがないが。
「私は陛下に頼まれて、こちらにやってくるちょうどそのときだったから。
…陛下が私を逃がしてくれたようなものね」
無事なのか、それすらもわからない。
だけども、自分はアンジェリークを信じている。
そう、自分の心に言い聞かせつつ。
少しばかり顔を伏せ、二人にと説明しているロザリア。
「と、とにかく。こんなところでたち話しも何だし。ロザリア様。とりあえず執務室にお越しねがいますか?」
とにかく。
何かただならないことが起こっているのは明白。
詳しく話しをきくために。
コレットはそこにいるはずのない、とはいえ、神鳥の宇宙よりやってきているロザリアに対し。
にっこりと微笑みかけ、部屋の奥にといざなって行く。
「……これは……」
本来ならば、女王の力にて、安定が保たれている宇宙。
にもかかわらず。
宇宙空間において、まず、めったと見られるはずのない、オーロラ現象が勃発している。
そのオーロラは、地上の至る惑星においても目撃され。
本来、オーロラとは、その磁場、というか惑星の磁場が狂い、見えないはずの磁気や紫外線、
といった代物が具間みえている、といったそんな代物。
本来、科学的において、オーロラが出現するのは、その惑星の磁場が狂っているから。
宇宙空間においてのオーロラは。
あまたの理由が重なり合い、出現する、というのはすでに科学的にも証明されているものの。
だが、それは。
普通は肉眼などにおいては見えないもの。
にもかかわらず。
見えるのは。
昼間、だというのに。空にとかかるオーロラの姿。
惑星の外の空間、すなわち宇宙空間にて、
惑星を取り巻くがごとくに出現している…そんなオーロラの姿が。
主星で、主星系である星雲で、そしてまた、かけ離れた場所にとある別の銀河などにおいても。
同時刻、あまたとそれはみうれられてゆき。
それは一時ほど、個々の太陽の光すらをもさえぎるまばゆき光のカーテンと成り果てる。
「……これは……」
素直にみれば、綺麗。
と思うであろうが、だがしかし。
木々が、大気がざわついている。
これは、二つの似通った何かの力がまるで均衡し、それでいて、力を増加させている。
そんな感覚を何となくうける。
試験が終わり、だがしかし。
以前よりも、何か強く何かを感じる力は一段と増している。
何かが、宇宙に起こっている。
「…物語の始まり……か」
漠然と感じる。
その運命の波に自分は巻き込まれるであろう。
ということを。
そしてまた。
「これは!?まさか!?」
最近、派遣軍の人間が、突然に掻き消える事態が発生している。
それらの調査に赴いていたそんな矢先。
空にかかる不思議なオーロラ。
本来、明るいはずの昼間というのに、なぜか空が薄暗い。
オーロラの出現とともに、ゆっくりとではあるが。
空は元通りになっているものの。
だがしかし。
青空であるべきそこに。
空にオーロラが出現しているのは一体全体どういうわけか。
「もしや、聖地に?」
このような現象を聖地がほうっておくはずはない。
いてもたってもいられない。
原因究明のため。
その旨を報告し。
そのまま彼は主星にむけて出発してゆく。
― 聖地にと赴くために。
「兄様。これは?」
「大丈夫……大丈夫ですよ。カムラン……」
まだ若いが、だがしかし。
王位を継ぐことが決まり。
古よりの慣わしをどうにか国、そして家族、重臣たちすべてにおいて納得させ。
まだ若き、青年国王が誕生する。
そう、国といわず惑星全体が浮かれていたそんな矢先。
空にかかるは不思議な、どこか不安を感じるオーロラの波。
「なんや!?なんや!?」
報告をうけるは。
何かとんでもないことが起こっている。
それはわかる。
わかるが…
「売人が消えるとはどういうこっちゃ?」
「さあ?…チャールズ様。どうなさいますか?」
そう問いかけられて。
「とりあえず、現状把握!が何よりも先決や!
俺は最近消えた、という報告があったその惑星にいってみる。
まあ、ちょうどこの時期や。旅の商人としていけば、もうけにもなって一石二鳥やろ」
そういいつつも。
すでにてきばきと。
スケジュールの調整を始めている男性が、高いビルの一室において、みうけられてゆく。
「いったい何だというのだ!?」
別々にしないと、守護聖、という力は、未知数。
であるからして。
とりあえず、かといって、一人一人にして監禁する、というのも。
それは余計に力をそぐ結果となる。
それでなくても。
手にいれた、守護聖全員の髪と血。
それを使い、今より器を完成させる儀式にと赴くのだからして。
だが、そんなことは知るはずもなく。
砂漠地帯につれてこられたジュリアスの怒りの叫び声が響き渡る。
サクリアを使えば、話が早いが。
相手は一般人。
下手に力をつかえば、間違いなく彼らの命を奪ってしまう。
それほどまでに、サクリアの扱いは、危険で、それでいて強い力をもっている。
そのような力であるからこそ。
女王の意思のみで使うことを許されているのだからして。
一人がもっているサクリアは、簡単に星ひとつ、まるごと消滅させる力以上をもっている。
だからこそ…
「あ~。ジュリアス。ここはとりあえずおちついて…」
ズズズズズ…
そういいつつも。
なにやらゆっくりとではあるが。
気のせいではないであろう。
何となく距離が離れていっているルヴァ。
「っ!?ルヴァ!?そなた、流砂に巻き込まれてるぞ!?」
「おやぁ?……あ~、これはいけませんねぇ。あ~れぇ~……」
「『あ~れ~。』でないだろうが!こら、貴様ら!ルヴァを助けるのに協力せんか!」
みれば。
砂漠地帯にありがちの流砂に完全にと飲み込まれていっているルヴァの姿がそこにあったりするのだが。
「……普通、こんな普通にあるいてて、流砂に巻き込まれるか?」
「……トロイやつ。……なあ?オレたち……こんなやつの監視をするのか?」
操られている、とはいえ、多少の自我はのこっている。
そんなのんびりとしたその光景に。
少しではあるが、自我を取り戻しつつある彼ら。
それは。
彼らを操っている男性の力が多少力を使いすぎ、弱まっているがゆえに。
だが。
彼らに刻み込まれている命令は。
― 守護聖を監禁すること。
その命令は…彼らにとっては絶対……
「っ!このままでは、ルヴァ!そなたも何か抗うとかせんか!」
みれば。
なすがままにと流砂にと流されて。
そのまま、ずふずぶと流されていっているルヴァの姿が。
そんなジュリアスのその声に。
「あ~。そうはいいますけどねぇ。ジュリアス。流砂はあがけばあがくほどにのみこまれるんですよ~」
何とものんきな、今の状況がわかっているのかいないのか。
まったくあせった様子もない声が、ルヴァの口より発せられる。
そして。
「おやぁ?どうもこの流砂、何か、あの先がありじこくのようですねぇ。
おやおや、みてくださいよー。ジュリアス。これはこれは。ちょっとした大きさの生物がいますよ~」
みれば。
流砂のその先に、ちょっとした、というか、かなり大きめのすり鉢状になっている。
砂が流れ込んでいる場所があり。
その中から、二本の鋭いはさみらしきものが具間みえている。
「って、だから落ち着いている場合か!やむをえん。ルヴァ。力を使うぞ」
このままでは、まちがいなく。
ルヴァはそのまま、流砂に飲み込まれたまま、その生物の元にとたどり着くのは必死。
時と場合において、守護聖の判断で力を使うことも一応は許可されている。
ゆえに。
そのまますっと手を前にとかざし、その手の平にと精神を集中させ、そこから力を解き放つ。
ドッン!!!!!
それと同時に。
あたりに、鋭い音が鳴り響き。
大気中にと砂がこれでもか、というほどに舞い上がり。
視界が一瞬閉ざされてゆく。
ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
それと共に。
その力が直撃したその砂地自体が巨大な穴を大地に開けたらしく。
その穴の中にと砂が飲み込まれてゆく。
『うどわぁぁぁ!?』
その流れに、抗えるはずもなく。
ジュリアスとルヴァ。
彼ら二人を連行していた兵士たちもまた。
そのまま、その砂の流れに飲み込まれ。
今のジュリアスの力によって生じた穴にと。
そのまま、彼らの姿は掻き消えてゆく。
あとには。
燦々と照りつける太陽と、穴の中にと流れ込む砂地が。
そこの大地に見受けられるのみ……
-第4話へー
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あとがきもどき:
薫:何となく。ルヴァ様って。流砂に飲み込まれても。
知識が豊富ゆえに、そのまま流れに任せるような気がする私です(笑
ああいうのって、もがけばもがくほど、ぜったいにさらに飲み込まれてゆくとおもうんですよねぇ。
のんびりとしたルヴァ様なので。流砂に飲みこまさせてみましたv
ちなみに。ルヴァ様が向かっていた先にいたのは。この流れゆく砂の惑星。
この地に存在している、ちょっとした大きさの。
同じ種族には属するけども、大きさがかなり異なる、「アリジコク」のお仲間です(笑)
こんな辺境の惑星なので、進化して巨大化している。とおもってやってくださいなv
さてさて・・・・・。
あとは・・・・
ちとばかり。
設定をば。
アンジェリーク=ユニバース=ラナ=カタルテス。
エリオス=ドナ=アルヴィース=カタルテス。(またはエリアス←あだ名)
ロザリアナ=コスモス=ドナ=リモッド。
主な三人の本質たる名前ですv
誰が誰だかまるわかり(かなりまて!)
さてさて、それでは、また、次回にて。
2004年6月30日某日
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