まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

何だか最近、テンションが下がり気味です。
ノートパソさんが壊れる前は結構気分がのってたんですけどねぇ。
そろそろネオさんの打ち込みもあまりのらなくなってきたから他に移る可能性は大。
とりあえず、せめて100いくまでに終わらせたい今日このごろ。
何はともあれゆくのですv

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銀花の園   ~流行病と依頼~

「サンティーヌ、ですか?」
「ええ。そうです」
聖都にいく途中に立ち寄った依頼のあった首都ヴォードンの画廊。
「たしかに。修繕に出した修復家たちも次々に倒れた、というのは可能性が高いな」
依頼内容は、あるとき絵に大きなしみが出来てしまい、それを修復にだしたはいいものの、
修復にあたった職人たちもまた原因不明のままバタバタと倒れた、とのこと。
売ったときには絵に何の異常もなかったということらしい。
「お客様にもしものことがありましても困りますし。それで依頼をしたわけなんです」
財団にいえば、間違いなく屋敷ごと壊しかねない。
かといって、タナトスなのかどうかわからないのに銀樹騎士に頼むわけにもいかない。
消去法としてどうしても依頼をするのはオーブハンターである彼らになってしまうのは仕方ないであろう。
「判りました。万が一のこともありますからね」
絵を買った人物がいる場所は平原の村サンティーヌであるらしい。
聖都に続く街道とは逆方向にあたる、街道を南に下った位置にとあるちょっとした村。
近くには翠羽の泉すいうのいずみ、と呼ばれている泉があり、
そこではそこでしかとれない千夜草と呼ばれる花が咲くことでも有名。
陽だまり邸のメンバー全員とディオンを含んだ七人の旅路。
念の為に依頼をうけにいくにあたり、常にアンジェリークには二人ほど必ず側についているようにしている。
いつ、何どき財団が別の手をつかってくるかわからない。
また、おそらく彼女が女王の卵であることはアルカディア中の人々は認知しかけているはず。
危険なことに巻き込まれない、とも限らない。
それゆえの配慮。
レインのつぶやきに答えるかのように丁寧にお辞儀をして依頼主である画廊の経営者にと頭を下げる。
サンティーヌ。
そういえば、私はまだいったことはないわ。
どんな場所なのかしら?
そうはおもうが、それをきける雰囲気ではないのも事実。
アンジェリークのそんな思いをしるはずもなく、
ともあれ、首都ヴォードンの画廊の依頼をうけ聖都に出向くがてら、
平原の村サンティーヌにと向かい絵を調べることに。

ゴトゴトゴト……
外からは荷馬車を引く音が聞こえてくる。
聖都に続く表街道。
その途中にあるちょっとした休憩地点ともいえる小さな村。
聖都に巡礼するにあたり、ここから先にはあまり目立った村や街は存在していない。
それゆえにこうした小さな村などが休憩地点として昔から活躍しているのもまた事実。
「はやり病…ですか?」
首都ヴォードンを出発ししばらく表街道を進むことしばし。
本日の宿を求めて立ち寄った小さな村。
宿屋兼食堂、となっているその場所にて情報収集。
ここにくるまでも、タナトスの襲撃は多々とあり、そのたびに出向いては浄化はしてはいるが。
それでも、旅人などの噂話し、というのもはかなりの信憑性がある。
「噂、だけどね。だけどもどうやら嘘、ともいえないらしくてねぇ」
まだ日は明るいが、早い段階で宿をとっておく必要はある。
遅くに宿を取ろうとしてすでに埋まってました、では自分達はいいが、アンジェリークもいるのである。
彼女一人を宿に…というわけにもいかないであろう。
まあ、全員が全員、宿をとれば他の客にも迷惑になるので宿に泊まるのはアンジェリーク以外には一人のみ。
といっても宿の裏手にある空き地にてそれ以外のものは野宿をすることにきめている。
「…流行病?」
その言葉をきき、すでにこの世にいないかつての友達のことを思い浮かべる。
彼も特効薬のない流行病にかかり命を落とした。
「タナトスが関わっているんじゃないか、というものもいるけどね。
  とにかく、あの村にいったものは少なからず悪夢に取り込まれ、そして命を落としてゆく。
  確実に被害は広がっているらしくて、今議会も対策を講じているらしいよ?」
「噂では、財団は村ごとタナトスで壊せばいいみたいなことをいったらしくて非難をあびてるらしいけどね」
説明をしてくる女将の言葉に続いて別の客が話しにと割り込んでくる。
こういう場は社交場のようなところでもあり、こういった情報収集や情報交換は当たり前。
何よりもこのアルカディアでは最新の情報が重要視される。
そんな会話をしつつも、注文された料理をおいて別のテーブルにと向かってゆく女将の姿。
「しかし、ほうってはおけませんね」
「だが、もしそれが真実だとして、そんなところにアンジェリークをつれてくわけにはいかないだろう?」
少しばかり考え込むニクスを畳み込むようにして間髪いれずにいっているレイン。
「無論だ。このかたを危険な目に合わすことだけはしてはならないからな」
「ですけど、ほうってなんかおけませんし」
知ってしまった以上、ほうっておくことなどできはしない。
「あ。じゃあ、こうしよう。俺とジェイドとで様子を見に行く、というのは?
  俺もジェイドも普通の病気とかだと関係ないわけだし」
そもそも、カーライルは肉体をもっていない精神だけの存在。
そしてまた、ジェイドの肉体は機械の体。
それぞれが人の体の構造とは異なっている。
「ああ。それはいいかもしれませんね。ではとりあえず我々は近くの地点を探索、というのでどうでしょうか?」
何かあればすぐに駆けつけられるように付近の探索をする。
たしかにニクスのいうことにも一理ある。
「しかし、二人だけで大丈夫なのか?」
「下手に皆といって本当に流行病だったりしたら感染する可能性もあるしね」
ディオンの心配そうな声に対し、にっこりとさらっといいきるカーライル。
傍目からみれば、ディオンにしろカーライルにしろ銀樹騎士の服をきているがゆえに、
騎士団の一員が一般人と行動を共にしている、というように見受けられている。
精神だけの存在であるカーライルにとって服なども自身の気まぐれによって変えることも可能らしい。
だが、着慣れた服のほうが違和感がない、というのもあり常にこの服を身にまとっているのも事実。
まあ別に教団員以外が、制服を着てはならない、という規則もないので問題はない、といえばそれまでだが。
「じゃあ、決まり、だね」
にっこりと全員を見渡し言い切るジェイド。
たしかに其の方法が一番能率的である、というのは理解できる。
できるが、困っている人がいるとわかっているのにただ見ているだけ、というのも気にかかる。
わがままをいうわけではないが、それでももし困っている人がいるのならば早く何とかしてあげたい。
それがアンジリェークの願い。
「あ…」
あの、やっぱり私も…
くいくいっ。
やっぱり私もいきます。
そういいかけるアンジェリークの横から、何やらスカートをひっぱられる感覚。
ふと気配に気付いて視線を横にむければそこに小さな女の子が一人、たたずんでいるのが見て取れる。
「?あなたは?」
何やら切羽つまったような顔をしている少女に向かい、視線をかがめて問いかける。
「おね~ちゃんたち。オーブハンターの人たちなんでしょう?
  おねがい!森の中にあるお爺ちゃんの祠を私と一緒にさがして!」
すでに瞳には涙すら浮かべているのが見て取れる。
『祠?』
思わず全員が顔を見合わせると同時。
「こら。ニーナ。…すいません。うちの娘が無理をいいまして……」
その女の子の母親らしき人物があわてて近寄ってきて少女をたしなめる。
「?あの?森がどうかしたんですか?」
少女の様子からただならない雰囲気を感じる。
それゆえに母親らしき人物にと問いかけるアンジェリーク。
「え。ええ。私達は濃霧の森の近くにある集落に住んでいるものなんですけど。
  最近、濃霧の森にタナトスが出まして……この子の祖父もタナトスの犠牲に……
  近くの村のサンティーヌでは流行病が発生した、ということもありますし。
  私は娘をつれて花畑の村フルールの親戚を頼って移動しているところなんです」
少し困ったようにいいつつ、その場にかがみこみ、
「いい?ニーナ。無理をいわないの。あんなに信心深いお爺ちゃんですらタナトスに襲われたのよ?
  それなのにあなたは、目を離すと森にいこうとするし……」
どうやら話しを総合すると、子供の名前はニーナで、しかも一人で森にいこうと幾度もするらしい。
それゆえに子供の安全を考えてフルールにひとまず避難してゆくところらしい。
「だって!だって、森にはお爺ちゃんの祠が…」
何やら今度こそ本当に泣き出しそうな感じである。
「あ、あの。私たちでよければ、ニーナちゃんと一緒にその探し物を手伝いますけど?」
何か他にも理由が子供ながらにありそうである。
「濃霧の森、ですか。どちらにしろそこにも探索にいく予定でしたし。問題はありませんけどね」
アンジリェークに続いてニクスが紅茶を一口のみつついってくる。
「そうだね。こんなにかわいい女の子が困っているのをほうっておくわけにはいかないものね。
  じゃぁ、さっきのとおり、俺達はあっちにいくから、皆でこの子のほうはお願いしてもいいかな?」
「で、でもご迷惑なのでは……」
何やら勝手に話しがまとまってゆくのをみてとり、戸惑い気味にといってくるニーナの母親。
「気にしないでください。どちらにしろ私たちもそちら方面にいくところでしたから。
  ニーナちゃん、だったわよね?詳しく話してくれる?」
「うんっ!」
アンジェリークの問いかけに、満面の笑顔を浮かべるニーナの姿。
濃霧の森の中に彼女の祖父が女王を祀る祠をつくり、毎日祈りを捧げていたらしい。
ニーナはその祠をみつけたい、とのこと。
心配する母親の気持ちもわかるが、ニーナの気持ちもよくわかる。
子供を心配しない親などいない。
言い出したら聞かない娘に伴い、とりあえず母親もまた彼女たち一行に同行することに話しはまとまり、
ニーナ母娘を加えた一行は、翌日、濃霧の森にむけて出発してゆくことに。

「すごい霧ですね」
「アンジェリーク。離れないようにな」
「マドモアゼルたちもはぐれないように気をつけてくださいね」
馬車の中でまっているようにいっても、自分も探す、といって聞かないニーナ。
子供一人でいかせるわけにもいかずに母親も同行しているこの現状。
ヒュウガは何かあったときのための連絡役にならなければとかいって、
ジェイドとカーライルとともに出向いていっている。
ディオンのほうは、聖都に続く街道と、サンティーヌに続く街道。
その分かれ道において聖都にひとまず戻るといってその場で別れた。
濃霧の森はその名前の通り、常に霧が立ち込めており、それゆえについた名前が【濃霧の森】。
「いつもはこんなにここも霧が深くないのですけど……」
そういう母親の顔には不安がありありと浮んでいる。
そもそも、幾度も歩いているのにどうも同じところをぐるぐると回っているような気がするのは目の錯覚か。
「ニーナ。みたとおり霧が深いわ。もう諦めましょう、ね?」
娘にまで何かあってはきが気ではない。
そもそも彼女の父親も以前タナトスに襲われて命を落としている。
彼女に残されたのはこの娘、ただ一人。
それゆえにニーナのことを心配して、娘にと話しかける。
「いや!探すんだもんっ!」
「あ、ニーナちゃん!まって!」
母親の提案をおもいっきり否定し、まるで逃げ出すようにその場から駆け出してゆくニーナ。
そんなニーナをあわてておいかけてゆくアンジェーク。
「アンジェリーク!…ち。ニクスは彼女をたのむ!」
「レイン君。気をつけて、おそらくこの霧は…」
この霧の深さは尋常ではない。
おそらくタナトスがトラップとして発生させている可能性は大。
「わかってる!」
ニクスに母親を託し、走ってゆくアンジェリークとニーナを追いかけてゆくレイン。
とくん。
目の前が真っ白で何もみえない。
思い出すのはあのときのこと。
目の前にタナトスがやってきて、そして……
気がついたときにはタナトスに襲われ、すでに冷たくなった両親たちの姿を目の当たりにしている自分。
「にゅう」
「って、エルヴィン!?おまえ、いつのまに!?」
たしかに馬車の中においてきたはずだというのに、足元から聞こえてくる猫の鳴き声。
「にゅっ」
「案内…してくれるの?」
深い霧で、目の前すら見えないはずだというのに、エルヴィンの姿はくっきりとみえる。
それゆえに、エルヴィンの後をついてゆくように、
ニーナがいるとおもわしき方向にひたすら進んでゆくアンジェリークの姿。
「ニーナちゃん!?どこにいるの?返事をして!」
走りながらもニーナの名前を呼び続ける。
きゅっと目を瞑り意識を集中すればなぜか走っているニーナの姿が目に浮ぶ。
だがしかし、ニーナの周囲は相変わらず深い霧でどこにいるのかすらわからない。
『アンジェ。いいかい?医者たるもの、常におちついて冷静に物事をみなければならないんだよ?』
ふと、昔父親から聞いた言葉を思い出す。
どういう場面に医者たるもの出くわすかわからない。
だけども、人々の命をまもるべき医者までもが状況に流されてしまえば助かる命も助からない。
あせる感情に捕らわれていては見えるものもみえてこない。
幼いアンジェリークに伝えた両親の言葉。
「そうだわ。まずはおちつかないと……」
ひょいっと足元にいるエルヴィンを抱き上げて、しばしその場で目を閉じる。
意識を集中させて、周囲に同化させる。
方法は夢の中で散々やり方を習っている。
実際に行うのは初めてといっても過言でないが。
ゆっくりと視る視界を広げてゆくと、一点の方向に見える一筋の光り。
その先にみえる幼い女の子の姿。
「こっちだわ」
周囲は霧で本来ならば何も見えない。
だけども、感覚でなぜか判る。
間違いなくこの先にニーナがいる、ということが。
本能がみちびく感覚のまま、エルヴィンを抱いてひたすらにその方向にと進んでゆく。

「あったぁ!」
思わずそれをみつけて歓喜の声をあげる。
小さな祭壇が森の一角に備え付けてあり、その扉の前には女王をかたどった彫像がひとつほど置かれている。
そしてまた、その彫像にかけられているネックレスが一つ。
どうしても無理をいってでもきたかった理由。
それは祖父がこの場にお守りを捧げて聖なる力を宿してもらう。
そういっていたのを忘れていなかったからに他ならない。
しゃらり、と彫像にかけられているネックレスをそっと外す。
と。
「ニーナちゃん!」
ニーナが首飾りを取り外すと同時、がさりと茂みの音とともにニーナの耳にと声が聞こえてくる。
ニーナの声にて場所が特定できて、ようやくおいついたアンジェリーク。
「あ、お姉ちゃん!みて!お爺ちゃんの祠がみつかったのよっ!」
アンジェリークの姿と声をきき、嬉しそうな声をあげるニーナであるが、
「危ない!」
ニーナの声とは裏腹に顔色を変えるアンジェリーク。
まるで待ち構えていたかのごとくに祠の上にと出現する髑髏の顔をもつタナトスの姿。
「え?…きゃっ!」
いきなりのことで思わず叫び、一瞬転んでしまう。
「ニーナちゃんっ!」
そんなニーナにあわててかけより、助け起こすアンジェリーク。
「二人とも!伏せろっ!!」
バンバンバンっ!
アンジェリークがニーナを助け起こすとほぼ同時、霧の中に響き渡る銃声。
そしてまた。
「ニーナっ!」
ニクスとともにニーナを追いかけてきていたニーナの母親が叫び声をあげる。
「二人とも、ご無事ですか?」
そんな二人の姿をみとめてタナトスに鞭で一撃を加えつつも話しかけているニクスの姿。
「ニーナ!」
「お母さんっ!」
ニクスとレインがタナトスに攻撃を仕掛けている最中、あわてて娘のようにとかけよってゆく。
「気をつけろ!やつは霧の中に姿を隠したぞ!」
レインの言葉にみてみれば、霧の中にその姿をけしたらしくタナトスの姿がみえなくなっている。
まずはこの霧を何とかしないと……
このままでは視界もわるく、タナトスの思う壺。
何よりもこの母娘を危険にさらすわけにはいかない。
それゆえに、抱いていたエルヴィンを下にとおろして、きゅっと手を組む。
周囲に満ちている霧は普通の霧ではない。
何だか悪意すら感じる霧。
「聖なる光よ。悪意に満ちた力を打ち払って……」
アンジェリークの祈りに伴い、光りが周囲に満ち溢れる。
それと同時、光りに掻き消されてゆくようにと消えてゆく霧。
「ナイス!アンジェリーク!」
バンバン!
「あなたのお相手はこちらですよ?」
バシッ、ビシッ!
霧が晴れると同時、霧の中に姿を隠していたタナトスの姿がさらされる。
それと同時にレインとニクスの攻撃がタナトスにむかって炸裂する。
タナトスの叫びとともに、周囲の木々が一気に枯れてゆく。
悪あがき、とでもいうのであろうか。
周囲の木々より生気を奪い、どうにか体制を立て直そうとしているのが見て取れる。
「アンジリェーク!浄化をっ!」
「はいっ!」
相手に生気を補充させて復活させるわけにはいかない。
タナトスが弱ってきたのをみてとり、攻撃の手を休ませることなくアンジェリークに対し叫ぶレイン。
レインの言葉をうけ、再び今度は浄化のための祈りを捧げるアンジェリーク。
「浄化の力よ。世界を優しさで満たして――」
アンジェリークの祈りとともに、タナトスの体が光りにつつまれ、やがて光りの粒子となり掻き消える。
「アメイジング!よくやったな。アンジェリーク」
「どうやら、先ほどまでの霧も今のタナトスがおこしていたようですね」
日に日にタナトスにも知能がついてきているような気がするのはおそらく気のせいではないであろう。
周囲に不穏な気配がないのを確認し、そうつぶやくレインとニクス。
「あ、ありがとうございました。ニーナ、一人で走っていったらだめでしょう?」
目の前で繰り広げられたあるいみ奇跡ともいうべき光景。
一瞬言葉を失うものの、すぐに我にともどり子供に注意を促す。
「ごめんなさい。だけどどうしてもお母さんにこれを渡したかったの」
そういいつつも、小さな手にしっかりと握り締められている一つのネックレスを母親にと差し出すニーナ。
「これは…?」
ニーナが手にしている首飾りをみて首をかしげるニーナの母親。
「お爺ちゃんがいってたの。祠にお守りを捧げて女王様の力を宿してもらうんだ、って。
  それを身に着けていたら悲しいことやつらいことから守ってもらえるんだ、って」
だからどうしても母親に渡したかった。
「このこったら……」
いくらいっても森に入りたがった理由。
それがあまりにも健気でそれでいてとてもいとおしい。
だがしかし、彼女にとって何よりも優先すべきは大切なわが子の安全。
だからこそ強くしっかりとニーナを抱きしめる。
「さて。とりあえず長いは無用、ですね。マドモアゼルたち。お送りしますよ」
「そうですね。もうタナトスはいないようですし」
ともあれ、感動の再開をここでするにはいつ何どき新たなタナトスが出てくるとも限らない。
それゆえに、二人の母娘をつれ、ひとたびこの場を離れ、
近くにあるという彼女たちの集落にと向かってゆく彼らの姿がしばし見受けられてゆく――。


                                -第75話へー

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あとがきもどき:
薫:えっと。ニーナの一件に関しては、漫画の一巻の一話。あれを参考にしております。
  次回でサンティーヌの浄化と絵画のタナトス…ですね。
  ではでは、また次回にてv
  しかし、最近なぜか足の裏ばかり蚊にかぶられます(涙

2008年6月26&27日(木&金)某日

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