スイート・メモリーズ     ~第17話~

「あ、おはようございます!」
「……てめぇ……元気だな……」
時間的には朝から夜まで。
引っ張りまわされてへとへとになり飛空都市に戻り。
そのまま爆睡。
それでも朝になると元気に育成に励んでいるアンジェリークをみて、
寝不足な頭を抱えて言っているゼフェル。
「あら?ゼフェル様?あの程度で疲れてたらだめですよ?」
「……あのな……」
あの程度、とはよくいったもの。
なぜ子供の遊びでロッククライングとかをしなくてはいけないのか。
挙句はバンジージャンブもどきなど。
自然豊かであるがゆえに様々な遊びができる。
ランディなどはターザンのように弦をもってがけを飛び越える遊びなどは喜んでいたりしたが。
「それより、ゼフェル様、育成、お願いします!」
にっこりと夕べの疲れが抜けきらないゼフェルに育成のお願いをしているアンジェ。
「わぁった、わあったよ。」
このタフさは根性あるよな。こいつも。
などと次の日。
改めて関心するゼフェルの姿が見受けられてゆくのであった。



「……くやしいですけど。さすがですわ……」
人たる種族が誕生し。
この地ではようやく文明レベルも上がってきている。
が、しかし。
相手…つまりはアンジェーリクが育成している大陸は。
育成者の思いのままに、すべての生き物が心を通わせ、共存している。
そんな世界が作り出されている。
確かに大地の育成だけからみれば人などが住める場所が少なすぎるが。
だがしかし、起伏にとんだその地形は、逆に多種多様の命をはぐくんでいる。
自分が育成している場所にはない、命の輝きというべきか。
とにかく完璧なまでの育成を。
そう思っていたロザリアの胸にそれだけがすべてではない。
と。
現実的に風景をもって知らしめされる。
アンジェリークが育成している大陸、エリューシュオン。
そこにはロザリアが育成している大陸にはない、活気というものが満ち溢れているのであった。


「な、頼む!このとおり!」
部屋にて両手を机につけて拝み倒している一人の少年。
「でもだからって、どうして私に?」
ほとんどくすくすと笑いながらも問いかけている一人の少女。
傍目には六歳程度の女の子に十四歳くらいの少年が、
何やら頼むのに拝み倒しているようにしか見えないのだが。
まあ、事実そのとおりの光景なのだが。
「だって下手に外に出たらうるさい奴等がいるんだよ!」
それでなくても、ここ、飛空都市は。
聖地より離れたいってみれば異なる銀河の孤独の浮遊都市。
いまだにこの銀河には生命あふれる星は浮遊大陸の下にある、惑星ε-α。
ただいまこの惑星を育てることによって時期女王を決定する試験のまっさい中。
「おめえならいけるんだろ?」
できない。
とは聞いていない。
それに何となくだができるような気がする。
というか絶対にできる。
という確信がある。
それは勘というべきに他ならないのだが。
その言葉に苦笑し。
「まったく。かまいませんわね。ゼフェル様には。」
くすくすと笑いが漏れる。
そして。
「わかりました。本当なら明後日は大陸に下りる予定だったんですけど。
  ゼフェル様がそこまで言われるなら。」
くすくすと笑いつつにっこりと微笑む緑の瞳。
「本当か!?サンキュ~!アンジェ!」
目を輝かせるゼフェルに。
「明日は定期審査の日ですから。そうですね。それが終わってからでも計画をにつめますか?
  ジュリアス様たちに知られたらうるさいでしょうし。」
守護聖の長でもある光の守護聖ジュリアスに。
まさか、あちらの世界のどこかの星にいくなど知られては、間違いなくお説教がまっている。
「でも、ゼフェル様?こちらの飛空都市と、聖地の時間率。
  今は陛下の力で聖地の時間と外界の時間が平行しているがゆえにあまり長居はできませんよ?
  よくても一日。それでもいいですか?」
そういう金色の髪のどうみても歳のころは六歳程度。
実際の年齢はそうではないにしろ。
まあ今まで子供の姿でいたからそのまま継続しているというか。
または年齢相応の姿になると、さすがにその雰囲気で自らがもつ気配に気づかれる。
というか。
とにかくいまだに本来の姿という17歳の姿はまだ誰もみたことがない。
「ああ、それでかまわねぇ。」
とにかく、何というのか最近おかしい。
いや、それはこの試験が始まった少し前から感じていた…違和感。
それを見定めるにはどうしてもあちらの宇宙、すなわち銀河にいく必要がある。
何も説明されないままに、突如としての女王試験。
感じる女王陛下の力は力強くよどみない。
にもかかわらず…である。
そして。
趣味で彼が星などの状態の数値を調べているその結果が。
女王試験が始まる以前から、気のせいか格段に低くなっていた。
というのも気になって仕方がない。
くす。
「わかりました。それでは日曜日に。」
にっこり微笑み、出かける相談は今ここにまとまってゆく。


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