まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

今回。ようやくリモージュちゃんの登場ですv
物語はどんどんすすんでゆくのですv
何はともあれ、いっきますv

#####################################

~エトワール・エンジェルズ~ ~第6話

「こりゃ!お主!いい加減にはなさんかぁぃ!!」
じたばたじたばた。
いまだに、しっかりと抱きかかえられている、
ウサギとも何ともいえない生物らしきモノがエンジュの手の中で何やら叫ぶ。
「どうやら間違いないようだな。お前は選ばれたのだ。詳しくはそこにいるレイチェルに聞くがいい」
いって、ふっと微笑んだように見えなくもない、黒い髪の男性のその言葉に。
「?選ばれた?あの?」
いまだにしっかりと、ふわふわふかふかの生物を抱きしめたまま問い返すエンジュのその言葉に。
「ああ、ごめんなさいね。実はね。驚かないで聞いてほしいんだけど……」
「ええぇぇぇぇ~~!!??」
そんなレイチェル、と呼ばれた女性の言葉に、いきなり叫び声をあげるエンジュ。
「…あの?まだ説明してないんだけど?」
「いや、先に驚いてたら、驚かなくてすむかなぁ……って」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
そんなエンジュの言葉に思わず無言になっている二人の男女。
「……ま、まあ、とにかく。おちついてきいてね。
  実は、あなたは、宇宙を助ける使命をもつ、という、伝説のエトワールに選ばれたの。
  精霊の石版からその精霊を目覚めさせたのが何よりの証拠。
  あなたに助けてほしいの。――私たちの宇宙を。そして女王を」
「…宇宙を助ける????それに…伝説の……何?」
当然のことながら、意味がわからずに首をかしげるエンジュに対し。
「こりゃ!おぬし!よもや自分の使命がわからぬのか!?このわしを目覚めさせといてからに!?」
何やらじたばたと、エンジュの手の中で騒いでいるうさぎのような存在。
「……いや、使命……って?」
まったく意味がわからずに、とまどうエンジュに。
「戸惑うのも無理はないわ。実はね。あなたがここにくぐってきた三つの扉。
  あれは、普通の人にはみえない扉なの。
  使命を帯びた資格のある子だけが見え、そしてくぐれる扉なの。―― そしてあなたは……
  選ばれし存在にしか目覚めさせることができない、その石版の精霊を目覚めさせた。
  エンジュ…だったわね。あなた、この宇宙のこと、詳しくご存知かしら?」
そういってくるレイチェル、という名前らしい女性の言葉に。
「少しだけは。えっと、この宇宙は女王様が統治していて……」
自分の知っている知識を述べてゆく、そんなエンジュの言葉に。
「そう。あまり一般的には知られていないんだけど。
  この宇宙の意思の姿が鳥の形をしているのは知っているわね?」
こくっ。
意味がわからないままに、とりあえずその質問の意味はわかるのでうなづくエンジュ。
「それゆえに、この宇宙は【神鳥の宇宙】と呼ばれてるの。
  そして…こことは別に、新たにできている宇宙があるの。
  そちらは、宇宙の意思が獣の姿をしていることから【聖獣の宇宙】と呼ばれているわ。
  私はその聖獣の宇宙の女王補佐官をしているの」
「……女王…補佐官?」
確かそれは、女王を補佐する、はっきりいって自分からしたら雲の上の人のことではないだろうか?
そんなレイチェルの言葉に繰り返すようにつぶやくエンジュの言葉に。
「そう。わたしはその新たな宇宙からやってきたんだ。――今、私たちの宇宙は大変なの。
  宇宙、といってもまだ産まれてまもないから、
  人類とかといった知的生命体は生まれてないんだけど。
  そのせいで、私たちの宇宙の女王がたいへんなことになってるんだ」
そういうレイチェルの言葉に続き。
「本来、世界は女王が九つの力を導きつつ、その力はそれぞれ、
  力…すなわち、サクリアの意思のまま。その力を抱擁する存在がいる。
  その存在たちの補佐があってこそ、女王の力はより確実に宇宙にいきわたる。
  だが、彼女がやってきた新たな宇宙にはまだサクリアを預かれるほどの存在は誕生していない。
  ゆえに、今かの地では、女王が一人ですべての力をコントロールしているのだが。
  だが今その力もほぼ限界に達しようとしている。
  宇宙は常に成長してゆくのに、女王の力が追いつかないのだ。
  力を見誤れば、新宇宙の女王の命も危ない」
淡々と語る男性の言葉に。
「うんうん。宇宙創世記にはよくある話じゃて。つまりじゃの。おぬしは、このわしに選ばれた。
  というか、このわしを目覚めさせたお主こそ、
  そんな宇宙創世記の混乱の手助けをする人物なのじゃよ。
  この広い宇宙でたった一人、その手伝いができる存在、というわけじゃな」
エンジュの腕の中で、うんうんうなづきつつも何やらいっているうさぎ(?)。
「―つまり。じゃ。
  このわしを目覚めさせたお主は、伝説のエトワール、と呼ばれる崇高な存在なのじゃよ。
  ちなみに、これは誰にでもできるものではない。
  ――宇宙を救うも、見捨てるのも、お主次第、というわけじゃな。
  エトワールの手助けなくして、創世記の宇宙はそれを乗り越えることは不可能じゃの」
……ただ、一つの例外を除いて……
その言葉は胸にしまいこみ、そういう腕の中のうさぎ(?)の言葉に続き。
「おねがい!私たちの宇宙を…アンジェを…女王陛下を助けるのに力を貸して!」
そういって、手を合わせてくるレイチェルの言葉に。
「…私が?そんな……たいそうな存在?……うそ……」
いきなりそんなことをいわれても、驚くのが普通の反応。
だがしかし……
「…私がそんな大層な存在だとは思えませんけど……この私の力で役に立てるのなら……」
レイチェルのその必死な瞳から、おそらくは、嘘ではないのだろう。
いきなり、いろんなことがありすぎて、頭が混乱しているが。
だがしかし。
もし、自分の力で…誰かの役に立てるのなら?
誰かの役に立てること、それは何よりも誇らしい。
そう、常々物心ついたころから両親より教わっているこのエンジュ。
だからこそ。
何が何だかわからないが。
誰かの役に立てるのならば。
そして……
「私の力なんかで女王様を助けることができるかわかりませんが……
  ……ですが。こんな私でよければ。その手助けのお手伝いをさせてください。
  ―― 困っている人には手を差し伸べるのは当たり前のことですし」
何よりも。
レイチェル、と名乗った女性のその切羽詰った表情と言葉から、それが事実だと。
そして、その言外に、その新宇宙の女王、という存在が、今はとてつもなく窮地に立たされている。
というのは明白。
自分に何ができるのかは…わからない。
だが、だからといって。
何もわからないまでも、困っている人をほっておくなどはできはしない。
そんなエンジュの言葉に。
「こりゃ。おぬし、このわしを忘れておらんか?何のためのわしがいるとおもってるんじゃ。
  由緒ある古代からの、石版の神器、とはこのわしのことじゃぞ?
  お主にしか、それはできないことなんじゃ。―― このわしを目覚めさせたお主にしか……な。
  それに、じゃ、わからないことは何でもこのわしにきくがいいじゃろうて。
  何しろこのわしは、今までにもこういった危機を幾度も乗り越えてきたベテランじゃからの!」
いって、その口元ににっと、笑みを浮かべるそのうさぎもどき。
……まあ、そのたびに、
最後にははじめに力を預かっていた精霊達に負けてそのまま石版の中で眠っていた。
というのもあるにはあるにしろ……
だが、それは、彼にしろ今、ここでいうべき事実ではない。
「え?あなたもちからを貸してくれるの?うさぎが?」
「うさぎじゃない!!」
そんなエンジュの言葉に。
「でも、うさぎだし」
「おぬしがこんな姿にしたんじゃろうが!
  石版の神器であるこのわしを扱えるのも、そしてその姿を思い通りにするのも。
  すべては、選ばれしエトワールのみなんじゃぞ!
  おぬしの心の中にうさぎのことが満ちておったからこの姿になったんじゃ!」
エンジュに抱かれたまま、何やら叫ぶソレに対して、何やら言い合いをしているこの二人。
一人は、人、という表現は当てはまらないような気もしなくもないが。
だが、元々は彼もまた人間であった、というのは確かであるので、
まあ、そう間違った呼び方ではないであろうが。
その事実を知っているものは…今、この場には当然一人もいるはずもなく。
「でも、呼び方がなければ不便じゃない?」
そんなエンジュの言葉に。
「わしには、サフィル……っ!という立派な名前があるんじゃい!」
いって、はた。
とあわてて口元に手をやるうさぎ。
早口でいったために、エンジュたちには、その名前は聞き取れなかったが。
そして。
「そうじゃ。お主がわしの名前をつけてくれ。
  わしを目覚めさせたのがお主なんじゃから、それが妥当じゃろ?
  何しろこれから長い付き合いになるんじゃからの」
そんなウサギの言葉に。
「私が?」
「そうじゃ」
いわれて、しばらく考え込み……
「ん~と。それじゃ、コンスタンタン」
ずるっ!
さらり、といったエンジュの言葉に思わず、ずるっとエンジュの腕の中で脱力する。
そして。
「何じゃぁ!?その気の抜けたような名前は!?」
「略してタンタンね。私が昔飼ってたウサギの名前なんだ」
「……うさぎ・・・しかも、タンタン……もっとわしの名前はかっこいいのに……」
いって、いじいじと手をエンジュの腕の上でいじけるように何やらのの字をかいているウサギの姿に。
「それじゃ、タンタン。これからよろしくね」
「……とほほ……まさかそんな情けない名前をつけられるとは……
  ……しかも、姿までウサギみたいな意味不明の形じゃし……」
まあ、以前は、ポピュラーなところで、猫とか犬とか鳥とか。
挙句は、たまには蛇、といったときもあったのを考えれば…ましなほうかの?
そんなことを思いつつ、ため息をつく、タンタン、と今名づけられたソレ、の言葉に。
「それじゃ、石版の神器の名前もきまったことだし……あなたを案内するわ。こっちよ」
いって、ふとみれば、そこには扉などなかったはずなのに。
なぜかそこに出現している扉に手をかけ、いってくるレイチェル。
その言葉に。
「あ。はい。役に立てるかわかりませんが、よろしくおねがいします!」
いって、ぺこり、と頭をさげるエンジュ。
「では、いくか。――そろそろ、全員待っているころだろう」
「?」
男性の言葉の意味は、エンジュにはわからない。
「そうですね。クラヴィス様。――エンジュ。
  とりあえず、この宇宙の女王陛下と、そして守護聖様がたに紹介するわ」
「……って、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~!!??」
いきなり、なそんなレイチェルの発言に、思わず目を見開いて叫ぶエンジュに。
「こりゃ。何をおどろく?当たり前じゃろうが。
  エトワールとは。守護聖のサクリアを運び、宇宙の発展の手助けをする存在なのじゃぞ?」
いまだに、エンジュに抱きかかえられたままで。
そういうタンタンの言葉に。
「運ぶ?」
「そうじゃ。……とにかく、女王陛下をまたしても何じゃしの。いこうかの。新宇宙の女王補佐官殿」
そういえば……確か、今、この宇宙の女王は……
ふと、そんなことを思いつつも、レイチェルにと話しかけるそんなタンタンの言葉に。
「そうですね。――エンジュ。こちらです」
「あ。はいっ」
いわれるままに、レイチェルたちに続いて扉をくぐり……
パァッ
……う、まぶしい!
思わず、そのまぶしさに一瞬、エンジュが瞳を閉じて、そして、再び瞳を開いたそのときには。
「…………えっ!?」
そこは、先ほどまでいた小さな部屋とは比べ物がないような広い部屋。
赤い、絨毯がまっすぐに伸びており。
そして、その先には一つの椅子が。
そして、そこに座っている、ふわふわの金の髪に緑の瞳の少女。
歳のころは、自分と同じ17歳、といったところであろうか。
だが、しかし、その纏う雰囲気が、そう、普通とはかなり異なっている。
さらに驚くことには。
ずらり。
と両脇にと並んでいる男性の数々。
ざっと見れば9人。
それぞれが、特異な雰囲気を身にまとい、近寄りがたい雰囲気をかもし出している。
エンジュが驚いていると。
「おどろいた?あの扉は、あなたを主星の総合庁舎から、ここ聖地に運ぶためのものでもあったんだ」
そういって、にっこりとエンジュに微笑みかけ。
「――陛下。そして皆様方。
  ご協力もありまして、おかげさまで、かの伝説の少女を見つけることができました。
  今はうごけぬ聖獣の宇宙の女王アンジェリークに代わり、
  ここに心よりのお礼と感謝の言葉を申し上げます。」
いって、かるく会釈をするそんなレイチェルに対し。
「―― よかったわ。みつかって。
  ―― ようこそ。選ばれし運命の少女よ。いきなりのことで驚いたでしょう?
  あなたがこころよく自らの運命を引き受けてくれたことは、クラヴィスより報告をうけています。
  ―― ここにいるのは、これより先、あなたの手助けをしてくれるはずの守護聖たちです」
いって、すっと立ち上がる、席にと座っているその少女。
そんな少女に対し。
『―― 陛下!?』
周りから驚きの声が上げられているが。
すっと席を立ち上がり、そして呆然と立ちすくんでいるエンジュの前にと歩いていき。
そして。
「大変でしょうけどがんばってくださいね。
  ―― それに、サフィルークア。彼女の手助けをお願いしますね?」
「…やはり、あなた様でしたか。お心のままに……」
ふわふわとエンジュの横にて浮んでいるタンタン、と名づけられた生物にと話しかけているのは。
この宇宙の女王でもあり、256代女王にして、初代女王、アンジェリーク=リモージュ。
その当人。
「……あ、あの?あなたは……」
とまどいの声を上げるエンジュに対し。
「陛下!私がかわりにご説明いたしますわ。―― 陛下は席におつきになっていてくださいまし!」
いって、そんなリモージュの横にと走ってきているのは、
彼女の補佐官でもある、ロザリア=デ=カタルヘナ。
そんなロザリアの言葉に。
「いいじゃないの。ロザリア。えっと…あなたの名前は?」
「あ。私はエンジュ。エンジュ=ドナ=サイラス。といいます」
思わず、ぼうっと見とれつつも、あわてて、名前を問われ、答えるエンジュ。
それほどまでに、この目の前の少女は人をひきつける魅力と、そして雰囲気をもっている。
そしてまた……何というか、そう、近寄りがたい神々しさすら。
「そう。エンジュ。私はこの宇宙の女王をしているアンジェリークよ。
  で、こっちが私の補佐官をしてくれているロザリア」
「じょ……じょおうさま!?」
まさか、とはおもっていたが。
でもまさか。
はっきりいって、
御伽噺でしか聞いたことがない人物をいきなり目の当たりにして思わず叫ぶエンジュに対し。
「そう固くならないで。――それより。ようこそ。運命の少女よ。
  今ここに、神鳥の女王の名をもって、あなたを『エトワール』として任命します。
  ……引き受けてくれるかしら?」
いや、固くならないで、といわれても、それは無理とおもうのですけど……
そんなことを思いつつも。
ただただ、バニックになっているエンジュの姿。
「――陛下。陛下が近くで話されると、必要のない緊張までしてしまいますわ。
  後はわたくしに任せてください」
そんなエンジュの姿をみてため息を一つつき、
そして横にいるリモージュにと話しかけるロザリアの言葉に。
「そう?……せっかくお話したかったのに……」
「はいはい。いいから席にもどってくださいませ」
「はぁぁぁぁい」
何やらそんなほのぼのとした会話をしつつも。
ロザリアの意見をうけて、玉座にと戻ってゆくリモージュの姿と。
「え…ええ。こほん。いきなり驚いたでしょうね。とりあえず、改めまして。ようこそ聖地へ。
  ここは聖地の中心、聖殿の謁見の間。あの扉からここまであなたを導いたのはわたくしたちです。
  わたくしは、そこのレイチェルと同じく……といいましても、
  この神鳥の宇宙の女王補佐官を勤めておりますロザリアと申します。
  そして、左右に並ばれている男性の方々が、サクリアを司っております守護聖たちです。
  ――みなさま、一人ひとり、彼女にご挨拶をお願いいたしますね」
そういうロザリアの言葉をうけ。
「そうね。ジュリアス。あなたからエンジュに挨拶お願いね♡」
いって、にこり、とリモージュに微笑みかけられ。
「わかりました」
いって、一歩、エンジュの前にと出てゆく金髪のかなり威厳に満ちた男性の姿が。

……えっと……
この場にいるのは、女王様に……それに、守護聖様方ぁぁ!?
……私…夢みてるのかしら?

などと、とまどいつつ……九人全員の挨拶を夢見心地で受けてゆくエンジュの姿が。
しばし、その謁見の間において見受けられてゆくのであった……


                        -第7話へ―

    

########################################

あとがきもどき:
薫:いきなり、女王様とか守護聖様がたに出会った反応って・・・びっくりしますよねぇ。
  ふつう。なので、挨拶うけても、ほとんど耳にはいってないエンジュだったり(笑
  ちなみに、タンタン、とエンジュが名づけた「石版の神器」の彼は。
  リモージュが『誰』であるのか知ってます(笑
  というか、彼そのものを創りだしたのが『彼女』ですからねぇ(まて
  何はともあれ、次回、エンジュたちは聖獣の宇宙にと出発ですv
  それではvまた次回にてv
  2005年3月2日某日