エル様漫遊記 ~ワンダホー偏~
カウ…つまりは、人間の赤ん坊にと姿を変えて。
記憶も赤ん坊と同じくまっさらの状態に封印されている、そんな彼が寝付いたのを確認し。
「とりあえず、座りませんこと?」
ダルフィンがいうと、それと同時に椅子が創りだされてゆく。
「そうねぇ。」
同意しつつ、腰掛けているゼラス。
「ええと。確か、貴方たちの名前は……」
ゼラスが口を開くと。
「あ。はい。こちらの女性が、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンさん。
で、こちらの男性が、ゼルガディス=グレイワーズさんです。
あともう一人、男性で、ガウリイ=ガブリエフさんがいますけど。
そちらは眠っていらっしゃるようです。
かるく会釈をしつつ、説明しているゼロス。
二人にかわって、それぞれの紹介をしているゼロスに。
「……ゼロスさん?本当にこの人達、あの…腹心の魔族なんですか?」
アメリアが、声をかすれさせつつゼロスに問いかける。
「そうですけど?それが何か?」
にこにこしつつ、笑顔を崩さずに、いたって気楽な口調でいうゼロス。
「……で?何だって、そんな奴がここにいるんだ?」
なぜか、こめかみを押さえつつ、言っているゼル。
何で、リナの周りでは、こうも信じられんようなことばかりがこう起きるんだ?
と、心でつぶやいているけど。
「あら。疑問にお答えいたしましょうか?
いえね。ゼロスが、人間の赤ん坊の面倒をみているって報告を受けてたものだから。
ダルフィンを誘ってみにきただけなんだが。
でも、何か、私もまた育てたくなっちゃったわ……生き物……」
そう、ゼラスはいいつつ。
ちらりと、ゼロスをみやり。
「また、ゼロスを赤ん坊の姿に固定させて面倒を見るっていうのもねぇ。」
しみじみといっているゼラスに。
ひ……ひひくく。
多少ひきつりつつ。
「あ……あの…………
できれば、それはもうやめていただきたいのですが……
本気で遠慮しているゼロスの姿。
「あら?でも前。ゼラス確か、猫とか犬とかオウムとか。飼ってたじゃない?」
ダルフィンが、ふと思い出したようにいうと。
「みんなもうとっくに死んじゃったわよ。ダルフィンこそ、確かシーサーペント飼ってなかったっけ?」
「あ~、あれね。約二百年は生きていたんだけど。やっぱり死んじゃったわ。
……ま、フィーネとフィーナが育てていたシーラカンスという異世界の魚は、
五百年生きてましたけど……」
ダルフィンが、しみじみと思い出してつぶやく。
「あ……ああ、あれ……ね……」
なぜか思い出したくないことらしく、二人は、顔を見合わせてなぜか無言になってるし。
別に、あれを使って、このあたしが料理の材料にした、というだけのことなのにねぇ。
バタン!
とりあえず、用事もすんだので。
そんな会話を彼らがしているそんな最中。
扉をあけて、あたしもまたゼロスの部屋にと入ってゆく。
「あら♡ゼラスに、ダルフィンじゃない♡こんな所で何してるのかしら?カウでもみに来た?」
にっこりと微笑みつつ、つかつかと部屋にと入ってゆくと。
『!!!!!!!!!』
なぜか、あたしをみて、固まっているゼラスとダルフィン。
「リナさん?今まで何をしてたんですか?って…知ってるんですか?この二人?」
アメリアが二人を指差しつつ、あたしにと聞いてくる。
「あら♡獣王ゼラス=メタリオムに、海王ダルフィンでしょ?」
あっさりと答えたあたしの台詞に。
「……何でそこまで知っているだ?リナ…お前は……」
ゼルがじと目であたしを睨んでくるけど。
「あら♡そんなの、ルナの関係に決まってるじゃない♡」
とりあえず、嘘ではないし。
そんなアメリアとゼルガディスの質問を軽くかわして。
「それで?何の用?二人とも?」
アメリア達はとりあえずおいといて、ゼラスとダルフィンにと問いかけるあたし。
まあ、理由は分かるけどねぇ。
ふふ♡
『あ…あの…ご挨拶に、遅ればせながら参上いたしました……』
それゆえに、アメリア達にはこの『声』は聞こえていない。
「あ…あの、ゼロスの様子を見に来るのと。ついでに赤ちゃんを見に来たんですわ。」
アメリア達の対策用に、嘘でない事実を説明しているゼラスに。
「そえいえば……
リナさん、以前クロツ達とたたかったときにいっていた。
『二人が見たら怒る』って、こういうことだったんですか?!二人が女性だから?」
アメリアがあのときのことを思い出し言ってくる。
「ピンポーン♡正解♡」
指をたてて、にっこりするあたし。
なぜか、それで固まっているゼロス達。
ま、ちょうどいいし。
『あら、ちょうどよかったわ。二人とも♡
今度人間に、あんた達が張ってた結界越えさせて、交流計らせてくるから手出し無用ね♡』
あたしは二人の
『な゛!!!?』
なぜか、言葉に詰まっている、ゼロス、ゼラス、ダルフィンの三人。
それを無視して。
「で♡こんな所でのんきに油うってていいのかしら♡あんた達は♡」
にぃぃこりと、冷ややかに笑いつついうあたしの言葉に。
「い…いえ。では、私達は、これにて失礼させていただきますわ。」
「ゼロス。くれぐれも失礼のないようにな。」
いって、椅子から立ち上がり、椅子を無と化して一礼して姿を消してゆく二人の姿。
しばしの後。
二人の気配は、その場から完全にと掻き消える。
しばらく静けさが続いてゆくけども。
やがて、ぽつりとゼルが口を開き。
「……あれ…が。獣王と海王か…。想像とは、かなり違っていたが…な…
まさか…そんな大物をこの目で来ることになるとは…な。
…しかし、どうみてもただの人間だったぞ…見た目は……」
などとつぶやくゼルに。
「そうですね。まさか、魔王腹心の二人が女性で。しかも、子供好きなんて……
やっぱり一人はゼロスさんの上司だからでしょうか?」
さらりと面白いことを何気に言っているアメリア。
「……あ……あの、それって……」
アメリアの言葉に、抗議の声を上げているゼロス。
「ゼロス。あんたが、妙に人間くさいからじゃないの?」
アメリアの突っ込みに、くすくす笑いつつ答えるあたしの言葉に。
「……どうせ……どうせ……」
その場にうづくまり、いじけて、のの字を描き始めるゼロスだし・・・
ええい!うっとうしい!
「で?ところでガウリイは?」
部屋を見渡すと、ガウリイがいないので、分かっているけど聞いてみる。
「あいつなら、まだベットの中だ……」
いって、溜息をつくゼルに。
「…ガウリイさん。たたいても、何しても起きないんですよ。」
アメリアが追加で説明してくる。
「一度寝たら、それこそ何かない限り。ガウリイは起きないからねぇ。
ま、いいわ。もう夜も遅いし♡明日にむけてねましょ?ね♡」
「…そう…ですね。」
「……そうだな。何か疲れたし……」
あたしの言葉にうなづく二人。
「それじゃ、おやすみなさい。リナさん。」
「それじゃあな、リナ。」
いって、カチャリと部屋から出てゆく二人の姿。
アメリアとゼルは、今のことでしばらく話しをつづけていくつもりらしく、同じ部屋にと入っているけど。
「それじゃあね♡ゼロス♡いい加減にうっとうしいわよ?」
「は…はぃぃぃ!」
あたしがその場から立ち去りつつ、一言いうと、ピンシャンと跳ね起きるゼロスの姿。
とりあえず、あたしも、自分の部屋にと戻ることに。
――さてっと♡
あ、きたきた♡
あたしが部屋にと戻って、しばらく後。
ふいに空間がぐらりと揺れる。
と。
それと同時に。
ザっ!!
ひざまづく二人の姿。
『お久しぶりでございます。エル様』
出てきた二人…つまり、ダルフィンとゼラスの声が同時にと発せられる。
くすっ。
「本当、久しぶりねぇ。でも、あんた達♡フィブリゾの計画♡知ってたのよね♪
ってことは、やっぱり、全体責任よねぇ♡」
嬉々として、にっこりと笑っていうあたしの言葉に。
ピシ!
なぜか、そのままの姿で硬直し、顔面蒼白になっている二人の姿。
「まあ、それはそれとして。ということで♡
このたびは、あんた達が張ってたこの結界の中と外の世界の交流させてみるから♡
それでどうこうなるようなら、やっぱりSのやつを首にして他のを創るっていうのもいいかもねぇ♡」
くすくすと笑いながらいうそんなあたしの言葉に、なぜか完全に固まる二人。
「あ……あの?交流って……」
かすれた声で聞いてくるダルフィン。
只今の形態は先ほどと違い、流れるような艶やかな青い髪に青い瞳をしているけど。
「あら?もちろん、ここに住んでいる人間なんかの存在達に星中内で行き来させるのよ。
多少の結界を張ったら、あんたたち四人が張った結界も関係ないし。
それに今フィブリゾが封印されているから、どんな存在でも行き来できるし。」
なぜか、固まっている二人に、とりあえず、これからの目的をいうその言葉に。。
『・・・・・・・・・・・・・・。』
なぜか、無言になる二人。
まあこれで、手出しは出してこないはずよね。
「……伝えますが…あの…もし……。その…下っ端の者達が…その船を襲ったりしたら……」
ゼラスが、だくだくと冷や汗ながしつつ聞いてくる。
「あら、そうねぇ。とりあえず始めの使節団達について、今考えている方法だったら。
そんな馬鹿は、船に触れたり、または近くまできただけで。消滅するでしょうね♡」
にぃぃぃこりと、微笑みながら説明すると。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
なぜか、しばらく石化している二人だし。
しばらく石化していた後に。
「……わ……わかりました……では、そのように伝達いたします……」
「……た……たしかに承りました……」
なぜか、かなり畏れつつ、声を震わせていっている二人だし。
だから!どうしてそんなに、こんな心優しいあたしを畏れる必要があるのよ!
とりあえず。
挨拶をそこそこに。
あわてるようにと。
『それでは、エル様、失礼いたします。』
いって、空間を渡って消えてゆくゼラスとダルフィンの姿。
次の朝。
「おはよう!」
元気よく、いつものように食堂にと足を運ぶと。
「お早うございます。リナさん。」
アメリアがなぜか疲れた口調でいってくる。
宿屋の一階にある食堂にて、朝食をとるために、各自部屋から降りてきているあたし達。
「あら、何?どうしたの?アメリア、元気ないわねぇ。」
あたしのその問いかけに。
「……『どうしたの』じゃ、ないだろ?リナ?
何で、昨夜、腹心(魔王)の内の二人もがやってきたんだ?」
他にも客がいるので赤瞳の魔王という言葉を省いて言っているゼルガディス。
「何だ?誰か来たのか?」
のん気にいっているガウリイ。
「昨夜、
アメリアが、声を殺してガウリイにと説明する。
「で?その、獣何とかと、海何とかって…何?」
ごげっ!!
見事に椅子から転げ落ちるアメリアとゼル。
あ、ゼロスも転げ落ちているし♡
「が…ガウリイさん……
ゼロスが、椅子のせもたれにつまかりつつ、身を起こしながらいう。
「……説明しても無駄だろ……」
「……そうですね……」
疲れたようにこめかみを押さえていっているゼルに、あきれた表情を向けているアメリア。
ふたりとも、完全につかれきった表情をしているけど。
「ま、どうでもいいじゃない♡そんなこと♡それより、今はご飯よ。朝食♡」
「おおい!こっちにモーニングセットのおかわりなぁ!」
追加注文をしているガウリイ。
『……どうでもいいって……』
あたしの言葉に、なぜか汗を流しているアメリアとゼル。
「大丈夫だって♡何もしてこないから♡それよりアメリア。
セイルーンについたら、フィルかエルドランにちょっとした話があるんだけど?」
「?」
あたしの言葉に首をかしげつつ。
「お爺様はまだ臥せってますから無理ですけど。
あ、でも、父さんなら大丈夫ですよ。何か用なんですか?リナさん?」
アメリアがあたしに向かって言ってくる。
話題がそれているのに、気づいてないみたいだけど。
そこはそれ。
「いえね。滅びの砂漠の結界が今弱まっているから♡結界の外に行こうと思うんだけどね。
あたし一人が抜け駆けするっていうのも悪いじゃない?
ここはやっぱり、この結界の中の世界の人々や存在にもその権利はあると思うのよねぇ♡
ま、というか。すでに各国なんかには、神託として『結界が弱まっている』
っていうことは伝わっているはずだけど。
で、どうせ行くなら、船一隻でいくより船団を組んで一緒に行くほうがよくないかな?
と思ってね♡使節団とかでも作って、外の派遣する気がないか聞いてみようと思ってね。
話というのは、そのこと♡」
こくこくと、出されているモーニングティーをのみつつ説明するあたしの言葉に。
「……リナ。その話…本当なのか?結界が弱まっている…というのは?
人間でも砂漠越えができるのか?」
ゼルが興味をひかれて聞いてくる。
「まあ、多少は防壁を張ることになるけど。可能よ。」
簡単な風の結界だけで、誰でも抜けられるしv
というか、結界なしで行き来できないというのも悲しいけどねぇ。
あれくらい素でいけなくちゃ♡
そんなあたしの言葉に。
「…なるほど。なら俺も外の世界にいくぞ。
この体を元に戻す方法というか…材料をみつけに…な…」
「あら。ラグラディアの知識で方法はわかっているでしょうに。
自力で元に戻す方法は、それかすっぱりあきらめて♡
いい加減にこのあたしに言えばいいのに♡すぐに元通りにしてあげるわよ♡
もちろん、魔力なんかはそのままで♡」
食事を優雅にこなしつつにっこり微笑んでいうあたしの言葉に。
「…いや、いい。自分で納得がいくまで調べて自力で探し出す。」
それに、リナの力を借りたら……後が怖いような気がするからな……
などと思っているゼルだけど。
ど~いう意味かしら?
「ゼルちゃぁん?後が怖いって…どういう意味かしら?それって♡」
にっこりと微笑むあたしの言葉に。
「い…いや、何でもない、何でも……」
というか、どうして、心で思っていたことがリナには分かるんだ!?
心の中で汗を流しているゼル。
まあ、このゼルガディス。
人間にしては、いい根性してるんたけどねぇ。
北のSのやつこと、レイ=マグナス=シャブラニグドゥにも見習ってほしいものよね。
「あ…あの?それでは、セイルへーンへはいつ出発なさいますか?」
こ……これ以上、深く追求されるとかなり危険です!
などと思って話に割り込んでくるゼロス。
「そうねぇ。とりあえず。もう一度温泉にとつかって。ご飯を食べてそれからにしましょ。」
「意義な~し!」
あたしの言葉にアメリアが元気よく、賛同の声を上げてるけど。
――パシャリ……
ん~♡
結構気持ちいい湯加減♡
食事も終わり。
今後のことを簡単にと話し合い、それぞれの部屋にと一度戻り。
それから、食後の温泉を満喫している今現在。
あたしとアメリアは只今風呂にと入っている。
「…リナさんって、本当。見た目じゃ分かりませんけど。すばらしいスタイルしてますよねぇ。」
あたしの方をみて関心しているアメリア。
「まぁね。でも、このスタイルのまま歩いてたら、どんどん雑魚が構ってくるわよ。
ま、盗賊とかだったら、その場でぶち倒して金銀を巻き上げればいいけど。
一般の人々の場合は記憶を消すか、眠らせるかになるからね。」
あたしの返答に。
「???その、記憶を消す……というのがよく分かりませんが。
確かに。そのままだったら、襲ってください。って言っているようなものですよね。
でもリナさん?何というか…そのままだと。神々しさというか、神秘さというか……
ともかく、何かが感じ取れるんですが……一体?」
「それは、秘密♡」
さすが伊達にセイルーンの巫女頭を務めてはないわね、アメリア♡
とりあえずのんびりと。
ゆっくりと羽を伸ばしてからのちに、あたし達はセイルーンにと向かって出発することに。
-続くー
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んふふふふ♪
次回、フィル登場v
一気に、場所は、セイルーンv
ノートの次のページ゛て・・・・。。
ようやく、RPG、『スレイヤーズわんだほー』の内容に・・・・(汗)
あはは(汗)
んではでは・・・・・・・・。
2003年1月4日~6日某日
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