エル様漫遊記・ベゼルドの妖剣偏


「と……とりあえず、リナ様…もとい、リナ殿の言われたように、
  あの元ガルファとかいう人間は、私とダルで何とかする。
  ――ゼロス。お前はそれによって、生じるであろう。
  肉片から再生するというものを片付けてくれ。」
淡々というゼラスのそんな言葉に。
「わかりました。……あの?だけど…ケドアレ…下手な攻撃は通用しませんけど?」
何やら呆然としている人々の前でそんな会話をしている彼ら達。
一方【ガルファ】はといえば、目の前に出現したこの存在たちが、
かなり力ある存在だと感じ取り、思いっきり警戒して動きなどを止めているけど。
だけどもその思考力は混乱しているので、完全に動きをとめている、というわけでもないにしろ。
一応本能は、人のそのままだし。こいつは。
このゼラス達は、ゼロスとシェーラから大まかな説明を受けているので、
一応の状況は把握してるようだし。
そんなゼロスの言葉に。
「あら♡心配しなくてもいいですわ♡ゼロスちゃん♡
  わたくし、以前エル様に命じられて作った薬の残りをもってきましたの♡」
「「……げっ!!?」」
……あ、ゼロスが固まった♡
シェーラ達も何やらかたまってるし♡
そんなダルフィンを露骨に嫌そうに見つめ。
「……まあ、今回は仕方ないであろう。
  ……もっとも、ユニット様の薬の影響……というのであるからして。
  どこまで効くかわからんが……な。」
いいつつ、深くなぜかため息をついているゼラス。
そんな会話をしているゼラスたちに対し。
仕掛けてこないのならば、こちらから。
といわんばかりに。
「うるぐわぁぁ~~!!」
叫びとともに、数百本の触手を伸ばしてくる【ガルファ】の姿。
「ダルっ!」
「わかってますわ♡」
ふぃっ。
ゼラスの言葉とどうじに、にこやかに微笑み、ダルフィンの姿が、その場から掻き消え。
次の一瞬後には、【ガルファ】の頭上にと出現する。
そして。
「お土産ですわ♡」
いいつつ、懐より、小瓶を取り出し、ガルファの頭より注いでゆく。
なぜかそんな光景をみつつ、何が何だか理解できずに唖然としている人々や。
又、今のうちに、遠くに逃げようと走り回っている人々の姿が見受けられていたりする。
ダルフィンが、とあるキラキラと何やら光る液体をガルファの頭上より注ぐと同時。
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!」
面白いほどにガルファがのたうちまわり、
伸ばした触手と、肉の塊でもあるその肉体から、紫色にと輝く煙を全身から噴出してゆく。
何かのたうちまわった表示に、町を取り囲んでいる壁まで壊していたりするけど。
まあ、関係ないし♡

「……おい……何がどうなってるんだよ……」
なぜかゆっくりと、あたし達にと近づいてきたルークが、あたしにと問いかけてくる。
「つうか。あの姉ちゃんたち…久しぶりだなぁ。」
などと、ゼラスとダルフィンをみていっているガウリイ。

そして、上空より、再び、ふいっと掻き消え、そして再びゼラスの横にと出現し
「あなたたちは再生する生物の処理を。
  ヒュレイカーちゃんはシェーラちゃんと一緒に人々を避難させてくださいましね♡」
いって、後ろに控えている少し髪にカールがかかった女性にと指示を出しているダルフィン。
「よっしゃぁ!あばれるぜ!」
「…リュクシファルト……あまり暴れないでくださいね?後始末が面倒です。」
何やらもう一人の女性にといっている、ヒュレイカー…と呼ばれた女性。
ちなみに彼女たちは、ダルフィンの直属の部下なんだけど別に説明することもないしね♡

「ああ。彼女たち?
  何かゼロスとシェーラが上司たちを呼びに言ったみたいで♡さっきいってたでしょ?
  それで、ゼロスの上司の獣王ゼラス=メタリオムと、
  シェーラの上司である覇王グラウシェラーはきてないけど。
  代わりに海王ダルフィンが来た見たいね♡」
にこやかに、横にとやってきたルークとミリーナに親切にそう説明すると。
「「……な゛!?」」
何か二人とも、言葉に詰まってるし。
「…あ…あのぉ?リナさん?冗談……です…よね?」
何やら額に汗を流しつつ、聞いてくるミリーナ。
「事実だけど?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
いや、事実って……
何でそんな伝説級の魔族が!?
何やら同じようなコトをおもいつつ、無言になってるこの二人だし。
些細なことなのにね♡
「そんなことより?ここでのんびりしてたら危なくないですか?
  ゼラスさんたち、攻撃開始してますよ?」
いって、すいっと手でゼラス達二人を指し示すユニット。
その指先においては。

「……ふむ。どうやら防御力はおおむね落ちたようだな。」
「さすがに完全、とまではいきませんでしたけど♡でもこれで私たちでもどうにかなりますわね♡」
いって、紫の煙の出終えた【ガルファ】をみて、そんなことを言っているゼラスとダルフィン。
「がぐわぁぁ!!」
びゅっ!
しゅっ!
シュシュ!
ジャッ!!
叫びとともに、四方八方に触手を伸ばし、攻撃を仕掛けてくる【ガルファ】。
「いくぞ!」
「ふふ♡いきますわ♡」
いって、ゼラスが、だっと賭けで手空中にと浮かび上がり。
パチン♪
ダルフィンはその手にもっている扇子を開き、こちらもまた、空中にと躍り出る。
そして……
ザシュシュ!!
それと同時に、ガルファが生み出していた触手のいくつかが、切っ先部分から切り裂かれ。
ポタタタッ!!
そのまま大地に落ちてくる。
ダルフィンが扇子を一閃させると、さらに触手が切り刻まれ、
ゼラスが手を一振りすれば、虚空より見えない刃によってガルファ自身が切り刻まれる。
ベシャ!
ずるずる……
ずもも……
大地にと落ちたガルファの肉片は、
そのまま、まるでアメーバのような少し盛り上がった肉の塊にとなり。
【ずるずると溶けた肉の塊】としか見えない物体にと変化し。
そしてそれは、うぞうぞと移動しつつ、
そこいらの動いている物体や、また町を取り囲んでいる壁にととりつき。
その力をもって、その対象物を溶かし始めていってたり♡
『うどわぁぁぁぁ~~!!??』
何かそれをみてさらにパニックになっている兵士達や魔道士たちやそして町の人々の姿。
ちょこっと【ガルファ】が切り刻まれ、
降り注ぐようにと落ちてきている肉片からそれが誕生しているだけ、だというのに。
たかが、町中に肉片が降り注ぐ格好になってるだけだ、というのに。
ボトトトトッ!!
少しばかり上空にまで伸ばした触手すら切り刻まれ、
それらは、このガイリア・シティ全体にと降り注いでいってたり。
……楽しい♪
それに攻撃を受けながらも、【ガルファ】は町に向かってゆくっりと進んでるし。


「だぁぁ!こいつらか!」
うぞうぞうぞぞっ……
気づけば回りを取り囲んでいる肉の物体に何やら叫んでいるルーク。
町の至るところから、悲鳴が飛びきってるけど。
螺光衝霊弾フェルザレード!!」
ザッシュッ。
ムクッ。
ムククッ。
ミリーナの術により、攻撃をうけたそれが、さらに分裂し、その数を増してゆく。
「あ、これ一撃で決めるのは高位の存在の力とかでないと無理よ♡」
そんなあたしの言葉に。
「まあ、朝になったら軽くやっつけられる程度に力は落ちるけど……」
そんなことを言っているユニット。
そして続けて。
「術を使うんだったら、スィーフィードさんの力とか。シャブラニグドゥさんの力とか。
  あ、あと、精霊王さんたちの力とか♡」
確実なのはエルの力だけど♡
そんなことをいいつつ、最後の言葉だけ小さくつぶやきつつも。
ミリーナとルークに、にこやかに説明しているユニット。
「とにかく。強いダメージを与えるんだろ?」
ザッンッ!
いいつつ、それを切り裂いているガウリイ。
「ま、そうだけど。とりあえず、ゼラスたちが、あの【ガルファ】の核を成している心臓部分。
  あそこにたどり着くまで、あたし達はこの町のこの物体…つまり、雑魚の始末ね♡」
いいつつも、軽く指をはじきそれを消し去る。
そんなあたしをみつつ。
「どこが雑魚だ!これのどこが!」
何やら叫んでくルークにる
そして。
「……まあ、とにかくやるしかないな。」
などと、ため息をつきつつ言っているガウリイ。
何やら町の至るところや、周りにおいては、情けないことに、
この肉の生物に兵士とかが捕まって、その体を溶かされてたりするけど。
まったく。
根性がないわねぇ。
これくらい、捕まることなくあっさりと倒さなきゃ♡

町の数箇所においては、リュクシファルトたち、といった海王将軍や。
ヒュレイカー、といった海王神官。
そして、覇王将軍シェーラに、獣神官ゼロス。
そんな彼らが人々を守りつつも、これを駆逐していってるけど。
面白いまでにそれによって感謝の正の気をうけながて、何やら調子がわるくなってる彼らだし♡
これは、あとからじっくりとお仕置きが必要なようね♡
あんな程度でダメージうけてるようじゃ♡

「ちっ!魔王剣ルビーアイ・ブレード!!」
炎霊滅鬼衝ルーン・フレイア!」
ルークの言葉に従い、その手にSの魔力が凝縮し、そしてそれは一つの赤い刃と化してゆく。
ゆえに、赤い髪に赤い瞳、そしてその赤い剣。
ということで、彼に昔ついてた通り名が、『赤い死神』だし。
まあ、それはそれとして。
ミリーナの放った光の槍が、触手の切れ端から生じた物体を貫いてゆく。
とりあえず、あたし達は町の掃除。
ということで、それぞれ町の中にと散り【プチガルファ】もどきを始末していっている今の現状。
といっても、なぜか手にした大鎌にて、
…ちなみに大きさは今のあたしの身長よりも少し大きい程度。
それを振るっただけで、なぜか軒並み消滅してゆく【プチ・ガルファ】
ゆえに、ガウリイやルーク、ミリーナはそんな光景をしばし絶句。
……もとい、ガウリイはやっぱしか、というあきれた表情してるけど。
とにかく、町の入り口付近はあたしとユニットにと任せ、
三人は町の中の物体の始末にいそしんでいたりする。


「あんた、あのリナとミリーとかいう子は何なんだ!?」
ザシュ!
赤い剣を振るいつつもガウリイに問いかけているルーク。
とりあえず、道波にいる、【プチ・ガルファ】はルークとガウリイが。
そして、屋根の上とか、家々に軒並みへばりついているそれは、ミリーナが。
という分担を取っていたりするけど。
「いや。何といわれても……。ま、何かある、とは思ってたしなぁ~~」
ザシュシュ!
いいながら、走りつつも、こちらもまた、【プチ・ガルファ】を切り刻んでいっているガウリイ。
「今はそんなことより!これをどうにかするほうが先決です!」
そんな二人にと何やら言っているミリーナ。
ポタポタ……
未だにゼラスとダルフィンの攻撃によって削がれた肉片が、町の中にと降り注いでいるそんな中。
そんな会話が三人の中において繰り広げられ………

………そして……

コケコッコー!!!!

「「「・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・」」」

やがて、一番鶏の声とともに、夜空が白々と明けてくる。
それをみて、何やらそれぞれ空を見上げて何やらつぶやいているゼロス達やゼラスたち。
そして。
なぜか憔悴しきっている兵士達や魔道士たち。
彼らがそれぞれに空を見上げると、ほぼ同時にゆっくりと太陽が地平線の向こうより顔を出す。

「が……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

朝もやが出始めている町の中。
ガルファの何とも言えない面白い声が響き渡り。
そして。
「「……あ!?」」
ゼラスとダルフィンの目前で、【ガルファ】の体が一瞬大きく震え。
次の瞬間。
どぱっ!!
面白いまでに、【ガルファ】の体が四散する。
――そして――
後に残るは、ちょっとしたドラゴン程度の数本手足のようなものが生え、
ぐずぐず、どろどろと肉が絶えず溶けては再生している【ガルファ】の姿が。


「あ♡薬の効果が切れた♡」
それをみて、ユニットがにこにこと何やらいい。
なぜか町の中には今の【ガルファ】の飛び散った肉の細切れが、
ちょっとしたボタン雪のように街中にと降り注ぎ。
それに伴い、ゆっくりと朝日が町の中に差し込むにつれ、
―――きしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!!
何やら叫びつつも、次々と朝日を浴びてその全身を一瞬震えさせ、
まるで内部から爆発でもしたかのように。
ベシャッ!!
四方八方にと飛び散って、次々と消滅してゆく、【ブチ・ガルファ】。

やがて、町全体に朝の光が差し込み始め。
それと同時に。
ザッシュ!!
―――ガグワァァ~~!!
朝もやが少し晴れ始めた町のこの辺り一帯に、何ともいえない声と。
そして。
―――ぐぉぉぉぉぉぉぉ~~~!!
絶叫と…そして、叫びが響き渡る。

何のことはない。
こつこつと、ガルファの肉体を切り刻んでいたゼラスとダルフィンが、
【ガルファ】の核を成しているドゥールゴーファが生み出した、
『魔族』そのものを叩いたからに他ならないのだけど。

「なっ!?デーモンが!?」
「崩れてゆく!?」
小さな【プチ・ガルファ】が消滅していったのをうけて。
【ガルファ】の元にと駆け寄ってきていたルークとミリーナの驚愕の声。

二人の竜破斬ドラグスレイブを受けても再生していた【ガルファ】の体は。
あたしたちの目の前でゆっくりと…ゆっくりと崩壊し、
力なくのたうつ触手の群れは、やがて大地に横たわり。
それは土くれと化して崩れ去る。
そしてそのまま、【ガルファ】の体も土と化し……その場において、崩れ去ってゆく。
後に残るは…それによって生じた土ぼこりと、戸惑う町の人々のざわめき。


「…なあ?リナ?結局、何がどうなったんだ?」
崩れ土にと還ってゆくガルファをみつつ、ガウリイがあたしにと聞いてくるそんなガウリイに。
「ああ。ドゥールゴーファが、ガルファと名乗ってた人間の精神を使って生み出した、
  『魔』があの物体の中心にいたんだけど。それをゼラスたちが滅ぼしたのよ。」
そんなあたしの説明に。
「「????」」
疑問符を浮かべつつ、あたしを見てくるルークとミリーナ。
くすっ。
「ま、細かいことは、ゼラスさんたちに説明してもらいましょうよ♡」
ストッン。
ユニットの言葉とほぼ同じく。
ゼラスとダルフィンもまた、上空よりあたしの横にと降りてくる。
「あ♡そうだ♡ついでにあんたたちでこの壊れた町並みの再生もお願いね♡」
そんな二人にとにこやかに話しかけると。
「「は……はぃ……」」
なぜか素直に従ってくるゼラスとダルフィンだし。
やがて。
同時にふいっと空間を移動して、ゼロス達もまた、この場にとやってくる。
なぜか町の人々はそんなゼロス達をみて、驚いたり、
何が何だかわからずに、呆然としてたりするけど。
「リナが彼女たちの町の再生たのんじゃったし……それじゃ♡シェーラさん♡
  ルークさんとミリーナさんに詳しくわかるように説明してあげてくれる♡」
いって。
くるり。
と向き直り、シェーラにと話しかけているユニット。
「わ…わかりました…」
そんなユニットの言葉をうけ、何やら声を震わせつつも。
「アレが混乱して、暴走したり、又、分裂したりしたのだけ!はっ!!
  絶対に私のせいではありませんからね?それだれはよぉく覚えておいてください。」
何やらそんなことをぶつぶついいつつ、念を押して。
「そもそも、アレは…
  …ドゥールゴーファに手をかけた、『ガルファ』とかいう人間の変化したものです。
  そもそも、ドゥールゴーファには、『自らの体に触れたものを魔族と成す。』
  というような命令を下してまして。
  ……で。まあ、力なきものならば、器にしても仕方がないんですけど。
  あのガルファとかいってた人間はそこそこ実力も、そして魔力ももってましたから。
  とりあえず軽く屍肉呪法ラウグヌトルシャヴナをかけさせてその肉体の中に魔族を……
  …人間などの精神を集めていたそれを使って創り出したんです。
  一応、屍肉呪法ラウグヌトルシャヴナをかけたのはドゥールゴーファではなく、
  まだ人間の肉体の状態のときに作り出した新たな『元ガルファ』がその肉体に術をかけ…
  そして、その体を依り代として具現化したんです。あの術はより高位のものの力の干渉。
  もしくは、それをかけた本人を倒すことで解けますし。
  そこにもって、そこのユニット様の『正体不明の何か』が加わりまして……
  そんな機能なんてつけていないはずなのに……
  ……切り落とした肉片から新たな生物が誕生するわ。
  さらには別れて分裂して増えるわ…と、あんな状態になりまして………」
何やら半分泣きながら説明しているシェーラに対し。
「まあ…ようわからんが、とにかく終わったんだろ?」
のほほんと言ってくるガウリイ。
「ま…まあ、そうなんですけど…ガウリイさん、動じませんね……」
そんなガウリイに何やら言っているゼロス。
「だって、リナ達と一緒にいたら、こんなことくらい慣れてきてるぞ?…怖いことに。」
『確か(に)(ですわ)』
「ふぅん♡どういう意味かしらねぇ~♪あんたたち♡」
ガウリイのつぶやきになぜかまったく同時に答えているゼラス達。
ピキキッ。
あたしの言葉をうけて、何かそれで固まってるけど。
気のせいよね♡
「…なあ?ミリーナ?何かこのリナ=インバースと共にいたら…
  ……命がいくつあっても足りないような気がするのは…俺の気のせいか?」
何やら横にいるミリーナにとつぶやくように言っているルークに。
「…気のせいではないと思いますわ。ルーク。
  …それはそうと、この町…どうします?かなりひどいことにになってますが……」
何やらそんなことをいいつつも、あたしにと聞いてくるミリーナ。
「あら?死んだ人間は生き返らせて、後は町並みを再生させればいいだけじゃない♡
  当然。同僚の失敗だから、ゼラスたちが何とかするわよ♪」
そんなあたしの言葉に。
「……あ、あの…いくら我らとて、肉体が無くなったものを生き返らせるのは……」
何か言ってくるゼラスだし。
「あら?魂は死んじゃった存在たちはまだこの町から出てないんだから♡
  それくらい何とかしなさいね♡」
「…無理だと思いますが……」
あたしの言葉に何やら横から言ってくるゼロスだし。
まったく。
「まったく。こんな簡単なこともできないの?
  それじゃ、肉体は再生しておくから、あとはあんたたちでね♪」
いって、軽く指をパチン♪と鳴らす。
と、同時に。
少し離れた避難所の一つともなっている広場の中央にと、
このたびの一件で肉体を失った生き物たちの体が瞬時に再生され。
何もなかったはずの大地にと横たわる。

「「うわぁぁぁ~~!!??」」

……なぜかそれを目の当たりにして、そこにいた人々などが叫んでるけど。
まったく、度胸が小さいわねぇ。
響いてくる悲鳴をうけ、なぜかさらに固まっているゼラス達に。
そして―――
「……なあ?ミリーナ?今リナのやつ…何かともでもないことをしたんじゃぁ……」
「…気にしたら負けよ。ルーク……」
そんな会話をしているルークとミリーナのこの二人。
そんな二人の会話は風にと解け消えてゆく。


―――そして。
次の日。
とりあえず、壊れた町並みはゼラスヤムダルファンを筆頭に。
彼らが直し、死んだはずの人々なども生き返り。
町は騒然としていたりするそんな中。
とりあえず、あたし達は別に用事もないので。
それと、ルークとミリーナはなぜか逃げるのように、ベゼルドの町をあとにする。


「じゃ、お元気で。お二人とも♡」
にっこりと微笑みかけるユニットに。
「ミリーちゃん?悪いことはいわねぇから。とっととこいつとは別れたほうがいいぞ?」
何やらぼそぼそとユニットの耳元でささやいているルーク。
「あら♡どういう意味かしらねぇ♡ルーク♡」
どごっ!
「うわっ!あぶねぇ!つうか、何だってんなばかでかい岩が!?」
なぜかルークがいた場所にどこからともなく岩が飛んできて、間一髪それを避けているルーク。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
今……リナさん…何かしたんじゃあ……
そんなことを思いつつ、それをみて無言になっているミリーナ。
「さあ?ま、ともかく♡また縁があったら会いましょうね♡」
そんなあたしの言葉に。
「つうか、何かあったらあったで、また何かに巻き込まれるようなきがするんだが……」
何やらぶつぶつとつぶやくルーク。
ベゼルドの町を出て、左右にと分かれる街道の分岐点。
何やら少し後ろのほうでは、ベゼルドの町から何やら声がまだしてきていたりもするけども。
「あら♡気のせいよ♡」
にっこりというあたしの言葉に、なぜか無言になっているルークだし。
「とりあえず、ルークさんも、ミリーナさんも気をつけてくださいね?」
いって、にこやかに手を差し出すユニットに。
「ええ。ミリーさんもね。」
同じく、こちらもまた、手を差し出してユニットと握手しているミリーナ。
「ルークさん♡ミリーナさんに嫌われないようにがんばってくださいね♡」
ミリーナと握手しつつ、にこやかにいうユニットの言葉に。
「あ、あのなぁ……」
何やらつぶやくルーク。
そして。
「寝言やたわごとをいってたらそれはありますね。」
淡々というミリーナに。
「ミリーナァ!そりゃないぜ!俺は本気……」
何やら言いかけるルークの言葉をアッサリと無視し。
「それでは、私たちはこれで。」
ぺこり。
と頭を下げて、左の道を進んでゆくミリーナに。
「ミリーナぁぁ!まってくれぇ~!!」
いじけつつも、追いかけてゆくルークの姿。
そんな二人の姿をしばし見送りつつ。
「それで?リナさん?次はどちらにいかれるんですか?」
なぜかゼラスたちに言われて、ゼロスだけば、またまたあたしについてきてるけど。
「そね♡とりあえず、気の向くまま…ね♡」
そんなあたしの言葉に。
「……きっと、あのシェーラって魔族の娘…
  …リナにこれからいいようにちょっかいかけられるような気が……」
何やら小さくつぶやいているガウリイ。
「あら♡気のせいよ♡」
「あら♡気のせいですよ。ガウリイさん♡」
そんなガウリイの言葉に、あたしとユニットの声が同時に重なる。
「ま、ともかく、いきますか♡」

あたしの言葉をうけて、歩き始めるあたし達。

さってと、しばらくしたら、アレにいきますか…ね♡
ふふ♡


                            -ソラリア編に続くー


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あとがき:
薫:おわったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
  全部で42Pでした。ノートにおいては・・・
  ・・・しかし、これから後、ほとんどこれくらいなんだけど・・あ・・・あはは(汗
  さて、一番気の毒なのは、誰なんでしょうかねぇ?切実に(こらこらこら!
  何はともあれ、次回でようやくソラリア編に入りますv
  ・・・でも、いつ打ち込みするのですかねぇ(笑
  ではでは。
  また・・・いつか・・・・
  2005年2月16日某日

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